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2004.10.21

様々な立場から歴史を見る その1

小学MM連載原稿「私の教材開発物語」第41回より

■ NHK「わくわく授業」の取材

 NHK教育テレビに「わくわく授業」という番組がある。
毎週木曜日の22:25~22:50の放送である。この番組では主として小学校と中学校の全国各地の授業を取材し、その様子を紹介している。授業そのものが放送の中心になるのはもちろんだが、どのようにして授業作りが行われているのか、教え方の工夫は何かといった解説もあり、授業作りの参考になる。有田和正先生の飛び込み授業の回では、「我が家でこのような一流の授業を見られるなんて・・・」という思いであった。
 さて、その「わくわく授業」の取材班が私の教室にも入った。7月中旬である。題材はザビエルである。

■ ザビエルを通して何を学ぶか

 今回扱うザビエルについての記述は教科書では簡単なものだ。資料集もごくわずか。
 では、なぜ取り上げたか。それは自分自身の歴史授業のメインテーマとの関連がある。
 私は常日頃「歴史的なものの見方・考え方が深まる授業」を行いたいと思っている。子どもたちが歴史の事実を知り、そこから自分なりの歴史的な見方・考え方を身につけてほしいと考えている。この「私の教材開発物語」39回で
紹介した「水墨画に挑戦しよう」も水墨画の見方を深めるという実践であった。
 今回扱うザビエルもこのような授業に適切な素材である。というのもザビエルが日本で布教活動をする時には様々な立場から様々な反応があったからである。たとえば、仏教を信仰する僧は反対したし、貿易目的で布教に賛成した大名もいた。民衆でも信じる者もいれば、疑う者もいた。「キリスト教が日本に伝わった」と言っても、立場が異なれば様々なスタンスがあるのは当然である。
ザビエルを通して、「立場が異なれば、考え方も違う」というものの歴史的な見方を学ぶチャンスであると考えた。

■ ロールプレイで意欲化を図る

 授業の意図は決まったら次は方法である。どのようにして学ぶか。
 今回はロールプレイを授業の中心に持ってくることにした。子どもたちをいくつかの立場に分ける。グループごとに、その立場を調べ、ロールプレイでザビエルの布教に関わる場面を表現するというものである。
 歴史授業でのロールプレイは今まで数回行ったことがあった。しかし、どれも1時間の授業中に考えたことを表現させるというもので数時間にわたるものはなかった。本格的なものは今回が初挑戦である。
 むろん先行実践の研究は不可欠である。文献を読んでいくうちに、ロールプレイの実践には次のよさがあると思われた。

・「ロールプレイのための調べ活動」というように調べる目的がはっきりしている。目的を意識した調べ活動となる。
・調べた後、「どの点をロールプレイで表現するか」という話し合いが必要となる。この活動によって歴史に対する子どもたちなりの解釈が生まれる。
・ロールプレイを学級全員の前で行うことにより、調べた内容が効果的に他者に伝わる。

 このようなよさを引き出す学習構成にしようと考えた。むろんロールプレイ後には、教師が歴史的なものの見方・考え方を深める学習活動を行うようにする。

■ 単元「ザビエルは日本をどう変えたのか」の流れ

 最終的には次のような単元の流れになった。

□1時間目
ねらい:ザビエルについて興味を持ち、学習についての見通しを持つ。
1 キリスト教について知っていることを発表する。
2 教科書と資料集からザビエルについて調べる
3 戦国時代の人々はザビエルの教えを受け入れられたかどうか予想する。
4 イメージマップを書く。
5 これからの学習の見通しを持つ。(立場ごとにグループを作り、ロールプレイを行うことを知る)
6 感想発表

□2・3時間目
ねらい:調べた内容から史実に基づいたシナリオを作る
1 本時のねらいと学習方法の確認(調べたことをもとにシナリオを作ろう)
2 活動を行う
3 シナリオが完成したら役割分担をする。(時間があったら練習をする)

□4時間目
ねらい:ロールプレイの練習をして修正をする。
1 本時のねらいの確認をする。(ロールプレイの練習をしよう)
2 注意点を確認する。
3 練習をする

□5・6時間目
ねらい:ロールプレイを通してザビエルに関わる様々な立場の見方を学び、歴史的なものの見方を深める。また、単元を通しての学びを振り返る。
1 本時のねらいを確認する。(ロールプレイをして『ザビエルは日本をどう変えたか』考えよう)
2 自分たちのチームのPR点を発表する。
3 ロールプレイをチームごとに行う。
  「ザビエル」「大名の立場」「民衆の立場」「僧の立場」「ザビエルが持ち込んだもの」「ザビエルが去った後の布教」
4 ロールプレイから中心課題「ザビエルは日本をどう変えたか」を考える
5 学んだことを考える
6 イメージマップを書く。

 実際の授業の様子は次号で。なお、この授業は11月11日(木)の「わくわく授業」で放送されます。

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Comments

佐藤実践の追試をしてみたい!
と,どうしても無い物ねだりをしたくなる
昨今です(泣)。

Posted by: NOB | 2004.10.22 at 04:21

NOBさん、コメントありがとうございます。確かに実践したくても実践できない立場ですものね。でも、それはNOBさんをさらにビッグにする立場でもあると思います!

Posted by: サトマサ | 2004.10.22 at 06:19

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