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2004.12.20

青い目の人形を追う1

小学MM連載 「私の教材開発物語」 第43回

「青い目の人形を追う」より

■ 教科書に出ている「青い目の人形」

 11月に研究授業を行った。題材は青い目の人形。本地区で使用されている教科書(小学校6年・教育出版)にも数行ではあるが取り上げられているものである。

 さて、この青い目の人形はどのような運命をたどった人形なのか。
 1927年、アメリカのギューリック博士が、約1万3千体もの青い目の人形を国内から集めることを呼びかけ、日本に贈られてきたものである。最初は「友好の使節」と言われ、日本でも大歓迎された。人形は全国の小学校や幼稚
園に贈られ、行事の時等には飾られた。
 しかし戦争が始まると「敵国人形」ということで、壊されたり、焼かれたりした。それでも、「焼くのはかわいそう」とあちこちに隠したり、保存したりして現在全国で300体残っている。
 
 私が初任校(江刺市立愛宕小学校)にはこの人形が愛宕小学校に保存されており、当時から機会があるごとに子どもたちにも紹介されていた。以来6年生担任になった時には、この青い目の人形の授業を行うようにしている。

■ 教師の教材研究

 授業にかける前にまずは教師の教材開発である。現任校には青い目の人形は現存していない。そこで初任校の愛宕小学校に行く。
 人形は大切に校長室に飾られていた。貴重品で持ち出し禁止ということで、写真を撮影する。また人形のパスポートの実物が添えられており、さっそくコピーする。このパスポートは当時の人形に「交流大使の役目を果たしてほし
い」と人々が願いをこめていたことを表していると感じた。その他の関連する文献資料も借りる。
 青い目の人形が学校にあった時代のことや守った時のことを直接知っている人がいたら話を聞きたかったが、ご高齢ということで難しかった。地域教材の場合には可能な限りゲストティーチャーをお願いしてきたが、今回は数km離
れた隣市ということもあり断念する。

 数年前の教材研究なら、この時点で終わりである。ところが今はインターネットがある。さっそく「青い目の人形」で検索すると次々と授業に活用できるサイトが見つかった。写真も活用できるし、人形を守ったエピソードもあった。
「これなら身近に青い目の人形がなくても、授業を組み立てることができるなあ」と改めてインターネットの便利さを感じた。

■ 子どもたちがプレゼン

 今回のこの青い目の人形を扱う時間は1時間のみである。となると子どもたちが聞き取りやインターネットで調べる時間はほとんどない。(授業後に自主的な調べ活動として深く追究することはできるが。)

 そこで、「先行調べ学習」を行うことにした。特定の子どもたち(2~4名)が学習するテーマを、休み時間や放課後等に他の人に先駆けて調べる。その結果を学習の中でプレゼンをするのである。

 今回は2人の女の子が行うことになった。2週間前から準備を始め、地域の方への聞き取り、インターネットでの調べ活動を行って、プレゼンテーションソフトにまとめた。青い目の人形についての基本的な情報はこのプレゼンによ
って提示することにした。(つづく)

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