青い目の人形を追う2
■ 授業「青い目の人形」
1 青い目の人形について写真を見せ、感想を話し合う。課題を設定する。
最初に全国の青い目の人形の写真4枚を子どもたちに見せる。興味深げに見る子どもたち。感想や気づいたことを聞く。
・青い目の人形だ
・これはアメリカから贈られたものだ
・髪の毛が金髪
教科書に出ていることもあり、子どもたちは青い目の人形ということにすぐに気づいた。でも、「どのような運命をたどった人形か」ということはわかっていない。そこで「青い目の人形について知り、考えたことや伝えたいことをまとめよう」という課題を設定した。そして学習の流れを確認する。
2 友達のプレゼンや資料から青い目の人形について知る
今回は次の2段階で詳しく調べることにしていた。
(1)あらかじめ調べた友達のプレゼンを聞き、概要を学ぶ
(2)教師の資料によりくわしく学ぶ
最初に友達のプレゼンから「青い目が贈られた理由」「その後の運命」「岩手にも贈られた青い目の人形」等について学びました。これについては、子どもたちがインターネットや聞き取りから調べた通りである。これによって子どもたちは青い目の人形の概要について知った。
次は私の出番である。学習を深めるために新たな資料を提示する。「青い目の人形 憎きその敵」という見出しの当時の新聞をプリントにして配布した。当時の新聞を読み取り、感想を聞く。
「贈られたものを戦争だからといって焼くことはない」
「人形は悲惨な運命だ。このようなことをしてはならない」
といった発言が続いた。今の考えからすれば当然のことである。
ただ、当時の立場にも立たせたいと考え、「もし、君たちが当時の小学生だったらどういう行動をとりますか」と聞いた。そうなるとさすがに「自分も同じ行動をとらざるをえない」という子がほとんどであった。
この後、人形を命がけで守った人々の紹介をした。
そして中心となる発問をする。
「青い目の人形は何のシンボルですか」
「・戦争をなくすため ・平和を訴える ・戦争反対 ・人類平等 ・平和を取り戻すもの ・過去の戦争の歴史」
といったことが出てきた。
青い目の人形が単なる人形ではないことを子どもたちは考えた。
3 考えたこと、伝えたいことをまとめる
子どもたちからは、次のようなまとめが出てきた。
・青い目の人形は、日本とアメリカの友好のために贈られたのだが、戦争に時にほとんど焼き捨てられてしまった。青い目の人形は平和を取り戻すために大切な人形だからこれからは大切にしてほしいと思った。
・青い目の人形は「平和を」という考えでアメリカのギューリック博士から贈られたが、戦争が始まりやかれたり、串刺しにされたりした。気持ちを裏切ってこんな事はしてはいけないと思った。
・青い目の人形はたくさんの歴史があり、願いが込められている。青い目の人形は平和のシンボルでもあるので、これからは大切にしていくべきだと思う。
・青い目の人形は戦争でたくさん焼かれてしまったが、残りの数少ない人形達が戦争のない平和な世界をのぞんで博物館などで大切に保存されている。かわいそうに思って保存していた人達がすごいと思った。
■ 後日談
子どもたちのまとめからわかるように、青い目の人形を通じて一人一人が戦争と平和について考えたことがわかる。その点で価値ある学習ができた。
プレゼン発表をした子たちは、一生懸命に青い目の人形を追った結果、学区内の幼稚園の保存されていることを突き止めた。これはインターネットには出ていない情報であった。実際に見学に行き、改めて感動を共有することができ
た。
また、同じ頃に行われていた国語の短歌の学習で「青い目の人形」というテーマを設定した時には次のような作品ができた。
・戦争で焼き捨てられた人形は平和を願う宝物だよ
・歴史ある青いひとみの人形は戦争なくす平和の証
・人形は平和を願うシンボルだみんなの願いつまっている
・小さい目青い目そしてきれいな目その目で平和を訴えている
授業自体は1時間だったが、子どもたちにとっては記憶に残る授業になったようである。
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