韓国の授業2
小学MMの原稿の続きです。
■ 授業「日本とつながりの深い国 韓国」
1時間の韓国の授業。次のような流れで行った。
1 本時のめあてと視点の確認 「韓国はどのような国なのだろうか」
2 韓国について,子どもたちのプレゼン(1チーム)
3 韓国の文化・習慣・歴史・日本との関わりについて知る
4 日本と韓国のこれからで大切なことは何か考える
5 学習のまとめをする。
ここで中心になるのは3と4である。
3では児童用図書の中にあった一枚の写真を提示した。韓国の一般家庭の食事風景である。この写真を深く読み取っていくと、「韓国」という国の文化や習慣,生活ぶりが見えてくる。最初,子どもたちに「気づいたことを発表しなさい」と指示をする。
・皿を置いたまま食べている ・茶碗が金属製
・はしとスプーンを同時に使っている ・日本人と似ている
・レストランのように焼き肉を焼いている ・膝を立てて食べている等
パッと見た感じでは日本と同じように見えた食事風景もよく見ると違いがたくさんある。特に「片膝を立てる」姿勢は日本との違いをずばり表しているものであり,子どもたちは興味を持った。
その他にも「韓国では冬でも部屋ではこのように薄着です。なぜか」と問いかけた。子どもたちは床に注目した。そこでオンドル(朝鮮の床暖房)のしくみを紹介した。一枚の写真から広く読み取ることができた。
4では「日本と韓国のこれからで大切なことは何か」と聞いた。社会の学習で知識を得るだけではなく、未来の社会についても考えてほしいという願いからの発問である。「交流」「平和」「文化の体験」等が出てきた。
それらをもとに一人一人が下のようにまとめて学習を終えた。
・韓国は独特の文化を持つ国である。食事の時、おわんを持たないことや女性はひざを立ててすわったりする。文化交流ではそのようなことを理解しあうことが大切だ。
・日本と韓国でこれから大切にすべきことは、お互いの文化を理解しながら深めていくことである。昔は争っていたから、これからは平和を大切にしていくことが大切である。
■ 「スッーと流れている。もっとこだわりを」
授業の参観者はおよそ80名。普通教室では入りきらないので,教室が二つ分ある視聴覚室に机を移動して行った。違った環境でも子どもたちはいつも通りの期待通りの反応だったし,指導案通り学習は流れた。
さて,授業終了後,有田先生からのご講評。「すばらしい子どもたちですね」と前置きした後,次のように言われた。
「でも川のようにスッーと流れていますね。もっとこだわりを持っていい」
子どもたちが教師の提示する資料を必死に読み取っているのだが,「どうして膝を立てる習慣があるのか」「なぜ皿を置いたまま食べているのか」といった子どもたちの疑問が授業中に出てきてもよいということだった。
確かに,私の授業は1時間にあれこれ詰め過ぎて,はやいスピードで展開するパターンが多い。それでいいと思っていたが,逆にそれは「こだわりの少ない子を育ててしまっている」ということに気づいた。
もう一つ,「教材研究にもこだわりを」というご指摘をいただいた。たとえば,韓国だったら,オンドル一つで韓国の自然,生活,エネルギー,食事等を深めることができるという話を聞いた(このことは有田先生が著書に書かれている)。
今回の扱い方は自分の場合,まさに浅く広くだった。
重要なご指摘をいただいて,自分としては感激の思いだった。これからの自分の授業での進むべき道を教えてくださったのだから,本当に有難かった。
研修会終了後,校長室で有田先生にサインをお願いした。ご著書に「授業は布石の連続」と書いていただいた。これも自分にはあまりなかった視点だ。この意味をかみしめ,新たな教材開発をがんばらねばと感じた。
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