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2005.04.18

今年度の教材開発

小学メールマガジン、連載「私の教材開発物語」 第47回より

■ 今年は5年生担任

 新年度、5年生の担任になった。「自分の行いたい実践をするのなら、高学年がいい」と思っていただけに、希望が叶い嬉しい。
 子どもたちと出会ってから一週間あまり。学年で4学級あり、子どもたちもクラス替えで新しい友達と出会った。この一週間はルールの確認、組織作り等、新しい学級の基礎固めに集中をしていた。その中で、「佐藤学級のルールブック作り」「スマイルカード」といった今年の実践がスタートしている。
  ただ、教材開発した実践についてはまだ着手していない。そこで、今回は今年度の教材開発での方向性を伝えたい。自分のメインの実践教科である社会の場合である。

■ 「社会的なものの見方・考え方を育てる」という視点で

 社会科の学習において自分が重視しているのが「社会的なものの見方や考え方を育てる」という視点である。
 昨年度、このメールマガジンに紹介した例で言えば、次のようなものがある。
・水墨画を実際に体験することによって、『四季山水図』の見方が変わったことを自覚する
・ザビエルを、大名や民衆等の様々な立場からロールプレイをすることにより、複眼的な歴史的な思考を学ぶ
 見方や考え方を深める学習をすることによって、子どもたちも社会科を学習することの楽しさを知る。今年もそのような教材開発をしたいと思う。最初は農業についての学習である。農薬を使わない米作りと農薬を使った米作りの二つの立場を同時に追究させることによって、単一ではない複眼的な思考を学ぶことができるのではないかと思っている。

■ 情報化社会に対応した教材開発を

 今年度から新しい教科書を使う。一通り読んで気づいたのが、情報化社会に対応する部分が多くなっているということである。たとえば次の通りである。
(教科書は教育出版)
・インターネットで農業の情報交換
・インターネットショッピング
・インターネットでのモラル
・携帯電話で商品を購入できる自動販売機
・デジタルテレビ放送
 これらの例だけではなく、「ビデオレターを作る」「ホームページで発信する」「Eメールで情報を得る」といった学習活動例も紹介されている。
 将来、子どもたちは今以上の情報化社会の中で生きていく。情報の受け手と送り手の両方の立場に立つことによって、学習活動も深まる。その点で多様な形の教材開発ができるのではないかと思っている。

■ 今までの財産を生かす

 「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」がメインテーマである自分のホームページを開設してから、5年生を担任するのは3度目である。今までの実践の財産があり、それらをまた活用できることは嬉しいことである。
 たとえば、宮古市の新たな育てる漁業のパイオニア「イワガキを育てる」。環境の学習での「えりも岬に緑を蘇らせた人々。
 このような内容をもう一度実践できることが楽しみである。
 さらに、実践をしてはいないものの「これは教材になるのでは」と思って収集していたものもいくつかある。「もの作りにかけた技術者」「美しい風景・棚田」はいつか授業をしてみたいと思っていたら、今回教科書に写真やコラムが掲載されていた。きちっと教材化するチャンスである。

■ 方向性を決めておくことのメリット

 自分が行いたい教材開発について述べた。
今まで、一通り5年生の社会科教科書を何回か読み、「これはこの教材が使えるな」といった感触を持った。また、先に述べたように自分の中での教材開発での視点も決めた。
 このように方向性を決めることはきわめて重要である。関連情報がどんどんと見えてくるからである。たとえば、日々入ってくる情報で森林に関するものがあれば、「3学期の環境の学習で活用できるかも」と思い、注目をする。もしかしたら、価値ある教材に発展するかもしれない。それも一通り方向性を決めておいているからこその情報である。
 実際にどのような実践ができるか。それはこれからの連載で紹介していきたいと思う。

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