学級通信特別エッセー
節目の号の学級通信でエッセーを書いている。今日はその日である。
子どもに教えられる①
「ファンタジア」が50号を突破しました。今回は特別編です。私自身のエッセーです。(節目ではこの企画で行きます)
■ 学級通信に子どもの失敗を・・・
教員になって2年目のことである。
この年、4年生を担任していた私は、学級通信作りに燃えていた。子どもたちの様子はもちろん、授業のこと、私の教育観など、何でもかんでも学級通信につめこんだ。
一日に2枚発行したこともあり、最終的には178号までいったものだった。
ある日のこと、学級内で次のような出来事があった。
朝の会で歌担当の係が、新しい曲をその日からすることになっていた。
曲名は「四季の歌」である。
ところが、次のような歌声が聞こえてきたのである。
「愛を語るハイネのような僕のヘンジン」
係の子どもたちが書いた歌詞の模造紙を見ると、「恋人」が「変人」になっていたのだった。
私は苦笑し、小説「青い山脈」のラブレターの話(「恋しい恋しい」を「変しい変しい」と書き間違えた話)をした。
そして、翌日の学級通信もこのことをネタにして、「小4の子どもたちが『愛』『恋』といった言葉が入った選曲をするのは斬新。異性を意識し始めたのかも」というようなことを書いた。
ところが、いざ配布という段になって私は「カァー」と体中が熱くなった。歌詞を間違えて書いた洋子(仮名)の「私のわがまま聞いてください」という題の日記を読んだからである。
【(何が変人よ。変人でわるかったわね)と思った。だって朝の会でまちがえたからって、みんなまちがえたままうたうんだもん。
わたしは、むねがあつくなるのを感じた。
みんなわたしを見て、わらった。先生もわらった。
それだけならいいけど、先生わざわざ変人のはなしするんだもん。
早紀ちゃんもオルガン係なのに、私の方を見て笑ってた。そりゃ、まちがってかいたのは、私だけど・・・。
私は泣きそうになった。でも、ぐっとこらえた。(以下省略)】
私は自分自身の不明を恥じた。一人の子がこんな思いをしているのに、さらにそのことをネタにした学級通信を出そうとは。
なんて鈍感な教師!
当然、その場で学級通信はボツにした。
また、洋子に対しては次のような返事をするのが精一杯だった。
「まちがいはだれにでもあります。私にも洋子さんにもあります。問題はそれをはずかしがるかどうかです。洋子さんは、だいぶ気にしていますが、ほかの人は気にしていないものです。クラスのうち、大部分の人が昨日のことは忘れていると思います。もう忘れなさい。(といっても気にかかるでしょうが)」
(次号につづく)
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