デジタルコンテンツを使った食育授業2
■ 生きたコンテンツとゲストティーチャー
実際の授業。デジタルコンテンツのよさが随所で生きた。
・最初のアニメ。内容は「好きなものの話し合いで肉ばかり食べている子がいる。その子はどこが悪いと開き直っている。なぜ同じものばかり食べちゃいけないの?」というものである。子どもたちが興味を持って見ている。ユー
モアもあるアニメに、多くのお客さんに緊張していた子どもたちも笑顔になった。「同じように好きなものを話し合いなさい」という指示にもすぐに子どもたちは取り組んだ。アニメでイメージができていたからであろう。
・栄養素の調べ活動。ここでは「同じものばかり食べるとどうなるか」ということを調べることが一番の目的である。その点を一つのコンテンツを使って個々で調べる。適切な内容が子ども向けに書かれているだけに、子どもたち
は読み取って自分なりの感想をノートに書いていた。検索等でむだな時間を費やさず(栄養のサイトは大人向けのものがほとんど)、効果的に調べることができた。
・ゲームでは、一つのメニューの栄養素のバランスが示される。教師は偏った食事をあえて提示する。子どもたちからは「エー」「それじゃダメだよ」という声。トータルの栄養素は完全に偏った結果が出てきた。ゲームも使い方に
よっては例示の資料となるのである。
また、子どもたちが考えた食事プランについての栄養士のコメントには感心した。栄養素を考えたら一見理想的と見える子どもたちのプランにも、組み合わせの問題があったり、「旬のものを使うとさらによい」といった新たな視点があったりと私自身も聞いていて納得するコメントばかりだった。それは参観者も同様であり、栄養士の話に子どもたちの後ろで参観者が大きくうなずくのが授業をしながらよくわかった。
■ 子どもたちの変容
子どもたちはどのような感想を持ったのか。最後の時間の感想を紹介する。
★今日は食事プランを自分で作ってみて、栄養に気をつかってみたけど、栄養士の先生のアドバイスを聞いて、これから自分の食生活でもちゃんとバランスを考えて、いろいろなものを食べてみようと思いました。このプランをもとにして、家でもこのメニューを作ってみようと思いました。
★学んだことは自分の好きなものだけ食べてしまうと、バランス良く食べられないので、嫌いなものも食べなければいけないんだと思いました。これからも食事プラン作りのようにきちんと栄養を考えて食べたいです。
★自分で栄養素がとれていると思っても栄養士の先生に聞いてみると、栄養素が少し足りないと言われていました。食事プランを作ってみて楽しかったです。選ぶのに悩んでこれにしました。給食も残さず食べるようにしたいです。
★今日は自分では栄養をとっているといってもかんぺきには選ばれていないことがわかりました。食事をとるときには、ちゃんとバランスがいい食事をとることが大切だと思いました。組み合わせをよくして食べたいです。
★食事プラン作りをして栄養のバランスがいい食事を作るのはとてもむずかしいことだと学びました。これからはなるべく栄養のバランスがいい食事を食べようと思いました。あと出されたものは残さないようにしようと思いました。
4時間という限られた時間ではあったが、目標を子どもたちはほぼ達成できたと思う。この感想からも分かるが、その後の給食に対する興味も指導前と比べて高まった。その点では価値のある学習ができたと言える。
むろん、この授業で改善すべき点はいくつもあるだろう。たとえば、「一つのコンテンツだけではなく、違う方法・違う資料も活用する方がより正確な情報を得る点ではよい」「給食の献立で食事プランを立てるのではなく、やはり食材中心に考えるべき」といったことだ。その点は今後の検討課題としたい。
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