ものの見方や考え方を育てる社会科2
昨日の続きです。
■ 公開授業で意図した「第2課題による見方や考え方を深める指導」
4時間目までの「調べ活動から未来の自動車プラン作る」という実践でも、子どもたちの見方や考え方についてある程度育てることができる。しかし、多くの実践はそれらを発表させ、まとめて終わりということが多い。
私は「子どもたちを調べたものをもとに、もっと見方や考え方を深めることはできないか」と考えた。今回たどり着いたのが「第2課題」という方法である。
通常であれば、1単位時間の学習課題は一つであろう。それを「社会的な見方や考え方を深めること」を意図とした第2課題を意図的に設定する。今回は、「『安全』『福祉』『環境(リサイクル含)』のそれぞれの視点は大切だが、この中で現在優先させるものは何か」というものである。
この第2課題については、本校の部会でだいぶ検討したところである。部会での実践から、他にも次のようなものが実践例としてあげられる。
・北海道と沖縄の米作りで共通する点は何ですか。(5年)
・水沢に昔から伝わる3つの祭りに共通することは何ですか。(4年)
・青い目の人形は何のシンボルと言えますか。(6年)
・えりもに緑を蘇らせた例から言えることは何ですか。(5年)
これらをじっくり検討させることにより、子どもたちは自分の見方や考え方を確実に深めていった。その点で第2課題という方法は有効である。(むろん、「中心発問」という言い方でも構わない。)
■ 実際の公開授業で
実際の公開授業。子どもたちが調べた「未来の自動車プラン」について発表する。
・「より安全を重視するためにエアバックが全面に装着された自動車」
・「シートベルトをつけないと発進しない自動車」
・「ハンディのある人も健常者も共に使える自動車」
・「電気・ソーラー合体自動車」
・「100%完全リサイクル自動車」
このような案が、子どもたちから出てくる。もちろん、それらは「問題点から出ている願い」「現在の取り組み」を踏まえたうえでの発表である。
子どもたちは自分たちが調べた1分野についてはくわしく調べ活動を行っているが、他の分野は教科書の概略程度の知識である。そこでこの発表会だけでも子どもたちの知識を深めるのに十分だった。
それらをキーワードでまとめていく。
「安全・安心」「人にやさしい」「環境にやさしい」という3つの方向性でまとめられた。
それらは、一つ一つ大事だ、必要だと確認したうえで子どもたちに第2課題を提示した。「あなただったら、どれを優先させますか」。子どもたちは一瞬「えっ!」とゆさぶられた感じだった。これは参観者も同様だったようで、どれか必死になって考えられたようだった。
・今死亡事故が毎日のようにある。だから「安全・安心」を優先すべき。
・お年寄りがこれから増える。「人にやさしい自動車」をふやすべき。
・地球環境が悪くなったら意味がない。「環境にやさしい」を優先すべき。
このような意見を子どもたちが次々と出していく。
ここでは答えを一つに絞るわけではない。お互いの意見の中から、子どもたちが今までの見方・考え方から少しでも深まればそれでよい。だからオープンエンドで授業を終えた。
時間的な制約や子どもたちの資料不足で、この話し合いがお互いに関連づかない点が課題として残ったが、第2課題で見方・考え方が深まったのは確かである。
子どもたちの中には見方・考え方を深める学習は難しいと感じている子もいる。発表も全員で・・・というわけにはいかない。しかし、ある子が「発表はできなかったけど、みんなの発表を聞いてたくさん考えることができておもし
ろかった」と感想に書いていた。
これが学級で学習するよさ、集団で学習するよさだと感じた。発表しなくても聞いているだけでも考えを深めるのである。
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