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2005.11.19

情報テキストの開発

小学MM連載 「私の教材開発物語」 第53回より

■ 学会での初の発表

 私が今年叶えたい夢の一つに「学会の発表」があった。その夢が今月12日に実現をした。
 第31回全日本教育工学研究協議会全国大会で発表したからである。

 教師として研究大会での発表や公開授業は数多く行ってきた。しかし、学会での発表は未経験だった。
 学会での発表となると、一般的な研究会での発表とは違った要素がいくつか入ってくる。まず論文を書くということ。当然そこには、研究の価値・先行研究との違い・検証の方法の明確さといった学術的・研究的な要素が必要となる。単なる「実践報告」とは大きく違うわけである。
 また発表も限られた時間で自分の言いたいことをどう伝えるか、工夫しなければいけない。よく見られるような「レジュメの順番に沿って・・・」という形式では、聞き手にはなかなかアピールしない。その点も初めての経験で実に大きな学びがあった。
 今回はその情報テキスト開発の物語である。

■ 情報テキストの開発の必要性

 今回私が発表した論文名は「情報社会のしくみを学ぶ情報テキストの開発」というものである。
 昨年末から「情報テキストプロジェクト」というものに関わらせていただいている。プロジェクトの主宰は堀田龍也氏。メディア教育開発センターの助教授である。堀田氏のご指導のもと、情報テキストの開発を行ってきた。
 情報化が進む社会で児童に情報社会のしくみを教え、その見方を深めることは重要であると考えている。現代の情報社会について一定の理解や見方を身につけることがもととなって、今後の情報社会の創造に参画する態度が育つと思われるからである。しかし、小学校の教科書において情報社会のしくみについて記述をしている例は、国語と社会を中心に断片的にしか過ぎない。先行実践にしても、広くその情報社会のしくみのよさや問題点までは考えさせてはいない。
 そこで、児童に情報社会のしくみについての理解と見方を深めるために情報テキストの開発を試みたわけである。
 テキストという形式は「指導内容がイメージできる」「どの教師も活用できる」いうよさがある。それは児童にとっての学習しやすさに通じ、ひいては普及するための大事な要素と考える。
 これが情報テキスト開発の発端である。

■ 「逆向きの設計」が開発ポイント

 今回テキスト開発の研究を次のような形にした。

1 現行の社会科教科書より情報社会に関わる内容をリストアップする。
2 リストアップした内容をもとに、学習内容・対象学年を決める。
3 学習目標を決定する。
4 学習目標・学習内容からテキストを作成する。
5 テキストの内容に基づき、指導書を作成する。
6 テキストを活用した授業を行い、その効果を検証する。

 従来、テキストを作成する時には目標を決定してから学習内容を考えるという方法が一般的である。番号で言えば、3→1→2の順番になるであろう。しかし、今回は目標より先に学習内容を決めている。いわば「逆向きの設計」である。これが今回の開発の大きなポイントである。
 テキストの開発自体も研究に成果であるが、同時に「開発手順を明確にする」ということも論文の重要な柱である。
 では、この逆向きの設計によるよさは何か。次のような点があげられる。

・目標に学習内容が制約されたり、規定されたりすることはない。幅広い素材から内容を選択することができる。
・そこで教科書から関連内容をリストアップし、それらをベースにして学習内容や題材を決めることはきわめて妥当な指導内容になる。

 これらは魅力的なテキストを作る点で重要と思われる。
(つづく)

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Comments

とても初めてだとは思いませんでした。発表はもちろん、研究も授業と同じ設計(デザイン)と伝え方がポイントだと、佐藤先生の発表を拝聴し分かりました。また、研究の目的が時代をとらえ焦点化されていた点も、今後の自分の研究に活かしていけると思います。ありがとうございました。

Posted by: みやくん | 2005.11.19 at 18:06

コメント、ありがとうございます。当日もお聞きくださり感謝します。「研究も授業と同じデザインと伝え方がポイント」という言葉に共感します。さらにプレゼンも通じるものがありますね。私の場合は今回が学会発表のスタートです。
これからが勝負と思っています。

Posted by: サトマサ | 2005.11.19 at 18:27

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