星野富弘さんの授業1
2日の取材授業の中で行った道徳の授業記録です。資料や一部の発問は「子どもが本気になる道徳授業12選」(明治図書)をもとにしています。
学級通信 ファンタジア 第118号より
11月2日に教室に6人のお客様を迎えました。「学研NEW」の編集部の方3人、鳥取大学附属小学校の先生、カシオ計算機の方2名です。6時間、めいっぱい子どもたちの学習を参観されていきました。
その6時間の中で子どもたちが一番印象に残ったのが道徳の授業でした。ハンディを持ちながらすばらしい詩や絵を描く星野富弘さんについて授業をしたものです。紹介をします。
最初に右のカタカナを子どもたちに見せました。(資料は略)
何歳ぐらいの人が書いたものでしょう?
子どもたちからは、「2歳」「3歳」「6歳」といった反応が続きます。見た感じ、確かに小学校入学前の子の字に見えます。
どんなことを思いましたか。
正直な反応として「下手です」という言葉が真っ先に出てきました。確かに子どもたちがふだん書いている字よりは下手です。多くの子も同じことを考えました。
別の考えとしては「何か障害を持っていた人が書いたのでは?」という考えが出てきました。この考えに触発されて、「そうだったらかわいそう」と関連する発言も出てきました。
これは星野富弘さんという人が20代の時に書いた文字です。
と答えを教えると「エー!」という声が上がりました。「何で?」「わけがあったのかな」というつぶやきが聞こえてきました。
「それはこのプリントを読めばわかります」と言って、プリントを読み始めました。「子どもが本気になる道徳授業12選」(明治図書)の中から抜き出した資料です。
・小さな頃から体操が好きだったこと。
・大学を卒業して念願の中学校教師になったこと。
・教師になってすぐに体操で大けがをして首から下が動かなくなったこと
・絶望的になったが、何とか字を書いてみたいと思うようになったこと
・口にペンをくわえて何とか読めるような字がかけるようになったこと
このような話を具体的に資料で読みました。
「もしみんなが星野さんの立場だったら、どんなことを思いますか」という問いに子どもたちは、「つらい」「大変」「何もかもいやになると思う」と話していました。そして、実際に星野さんと同じようにペンを口にくわえて写真のように書いてみました。
もちろん子どもたちはうまく書けません。全然字にならないと言った方がいいでしょう。
しばし書かせてから、改めて先の文字を見せました。
「これは星野さんがそのように練習をして書いた字です」と紹介すると、「口で加えたのだったら上手!」「そんな字は書けない」と言う声が出てきました。これは、体験したからこそわかったことです。
星野さんは「練習をすればいつかきっと字が上手になる」と話しています。この後、星野さんはどうなったと思いますか?
と聞きました。この後、子どもたちから予想以上の大きな反響がありました。それについては次号で。
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