授業成立の基礎技術 指名
授業成立メールマガジンに掲載した原稿です。
授業成立プロジェクトリーダーである上條晴夫氏の新著が『子どものやる気と集中力を引き出す授業 30のコツ』(学事出版)です。
その中に「授業づくりの基礎技術 10のアイテム」という章があります。この授業スキル号では,この10の基礎技術を「紹介プラス具体例」という形でお伝えしたいと思います。今回はその6回目。指名です。
上條氏は指名の種類を次のように分けています。
■教師による指名
□挙手による指名
□挙手なしによる指名
・ランダムな指名
・意図的な指名
■子どもによる指名
大きくは「教師による指名」と「子どもによる指名」の2通りがあります。教師による指名は「挙手」と「挙手なし」に分かれます。さらに挙手なしには細分化した指名があるということです。
このうち最も一般的なのが挙手による指名です。教師の発問後に挙手した子どもを指名する方法です。発言の意志を持った子どもたちが挙手するわけですから、授業をスムーズに流すには都合がいい方法です。
ただし、この方法だと発言が得意な子だけが発言するという構図になりがちです。「自分の考えを持っていても挙手しない」という子は学級の中に必ずいます。そこで、「挙手なしの指名」を組み合わせる必要が出てきます。その「挙手なし指名」は「ランダムな指名」と「意図的な指名」があります。
「ランダムな指名」には、「この列、起立!」といった列指名や「最初に4班の人から」という班指名などがあります。私はよく「数指名」をします。「この写真からわかることを書きなさい」と作業をさせた後に、「一つ書いた人、起立」というように数ごとに指名をします。そうするとふだん挙手をなかなかしない子にも発言させることができます。最終的にはより多くの子が発言をします。「『どの子も発言することが自然』という雰囲気を作る」ことは授業成立の大事な要素です。
「意図的な指名」は、たとえば机間指導で考えをチェックしておいて、「ではこれについては、優実さんがいい考えを書いているよ。みんなに「紹介して」というように指名をします。私は机間指導の時に、あらかじめ「いい考えだね。発表してほしいから準備しておいてね」と小声でささやくことがあります。これでふだん「失敗がいやだから発表はいや」というような自信がない子も安心することができ、いい発表となります。授業に意欲的に参加させるためにはこのような教師のアプローチが大切です。
「子どもによる指名」は子どもが子どもを指名する方法です。「自分と同じ考えの子を次に当てる」といった何かしらのルールを決めておくとこの方法の効果が出ます。
また、授業によっては「指名なし」という発表方法もあります。私は討論やどんどん子どもたちに発言してほしい時には「では指名なしで」とよく言います。すると子どもたちは次々と立って発言をします。「同時に立った場合には発言の少ない方にゆずります」と決めておけば、子どもたちはすぐに慣れます。教師の指名がない分、授業にスピード感が出ます。子どもたちの「発言したい」という強い意志も感じることができます。
次回取り上げるのは「グループ指導」です。
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Comments
私にとっても懐かしい記事です。こちらこそ、ありがとうございます。
それにしても北方小・研究サイト、充実していますね。こちらこそ参考にしています。
Posted by: サトマサ | 2007.06.10 08:28
この記事,改めて非常に参考になります。校内研で紹介させてくださいね(^^)。
Posted by: みなかん | 2007.06.09 23:42