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2005.11.12

学会発表のためのプレゼン指導1

学会発表が終わった。3年前、「情報教育を学ばねば」という思いで参加した日本教育工学会長岡大会。現場教員で堂々と発表する人を見て「いつか自分も・・・」と思いながら3年。今年、ようやく夢が叶った。当時は情報教育の先生方での知り合いはほとんどいなかったが、今回の学会では多くの先生方・企業の方とご挨拶。これが3年間の自分の歩みの場なんだ・・・と感じた。

さて今回発表できるのは、すべて堀田先生のおかげである。発表テーマが「情報社会のしくみを教える児童用情報テキストの開発」である。これは情報テキストプロジェクトに参加させていただいたからだ。しかも連名発表ということで、論文指導、プレゼン指導とも本当にお忙しい中、時間を割いていただいた。しかも今日の発表の質疑では私の答えのフォローまで。「学会の発表は初めて」ということで、本当に丁寧に教えていただいた。感謝してもしきれないほどである。
たとえてみれば、自動車学校の仮免で路上を初めて走る自分に、十分に練習をさせ、さらに隣の席に座ってこまめに教えてくださったようなものだ。まだ何回か仮免で走らなければいけないが、本免が取れるための努力が必要だ。

さて、自分が一番学会発表で準備しなければいけないのは、プレゼンだと思っていた。自分の苦手分野。セミナー等で発表する時にも何かうまくいかない。学会はわずか10分の発表だ。万全を尽くしたいという思いで、3日前の仙台でお会いした時に、時間をとっていただいた。「視界がスーッと開ける」ようなプレゼン指導を受けた。学会で満足感を得るプレゼンができたのは、まさにこの指導による。そこで、印象に残る指導部分を紹介する。

1 全体構成をどうするか
 プレゼン指導の場はスターバックス。PCではなく、スライドを印刷した紙で説明をする。その時間は3分ほど。終わった時、すぐに全体構成は「テキストの内容」「開発手順」「評価」の3つと言われた。自分は「つかみ・結論+論文の順番」と考えていた。しかし、どうしてもダラダラした感じになると思っていた。
 確かにこの3つだと伝えたいことが整理されると感じた。同時に自分のプレゼンが今までうまくいかない理由もわかった。「レジュメの順番通り」という点が悪いのだ。だったらレジュメを読み上げるのでよい。あくまでもプレゼンで、聞き手はプレゼンを見て聞くのだ。
 それにしても瞬時に全体構成を言われたのには驚いた。これは構成力・編集力がなければできないことだ。ポイントとなるものがどれか。それをどう並べるか。これをまず第一に考えることだと感じた。

2 思い切りよく捨てる
 一度自分が作ったスライドは「自分でも多いなあ」と感じていた。堀田先生に見せると「14分30秒ぐらいになる」と言われた。どれを捨てるか。「教師用の指導書作成」「意欲等を測った事後アンケートの結果」等を捨てることとなった。これらはこれらで自分として取り組んで一定の成果が出たものであった。
 しかし、その意識がよくないのだと感じた。そうだから伝えたい。ところがそうすると「伝えるべきもの」が多くなり、本当に伝えたいことの印象が薄くなってしまう。つまり「精選」ができないのだ。「他を目立たせるために思い切りよく捨てる」ことが大事と感じた。
(つづく)

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Comments

teruさん、コメントありがとうございました。今回私は初めての学会発表でした。論文書き、プレゼンだけではなく、その他の面でも学んだことが多かったです。「発表するからこそ見えてくるものがある」。そのような感じでした。どうぞ今後もよろしくお願いいたします。

Posted by: サトマサ | 2005.11.14 20:23

愛知の4年目の若輩者です。長野大会でプレゼンを拝見させていただきました。全くの勉強不足で、内容については自分の知識のなさに反省させられました。先生の発表は大変分かりやすく、「教師は最も話し方に気にすべき職業である」と以前に言われたことを思い出しました。大変勉強になりました。

Posted by: teru | 2005.11.14 18:28

コメント、ありがとうございます。プレゼンは私の課題分野です。ましてや「プロ」ではありません。学会でいろいろな方のプレゼンを聞くと「そうか、このようにするのか」と学ぶことが多いです。来年はぜひ学会に!(東北からは遠いのですが熊本です)

Posted by: サトマサ | 2005.11.14 05:09

>むしろ「論文の順番」という「定型」は使うべきではない

ええっ!
これはわたしにとって衝撃的な一文です!

サトマサさん、そして、堀田先生のブログその他でこのあたりを解明したいです。
ありがとうございます。

ウーム、サトマサさんを初めとするプレゼンのプロのプレゼンを見てみたいです。
もっとも、自分にそれを「感じる」力があるかどうかも問題なのでしょうけど。

Posted by: あべたか | 2005.11.14 04:07

いえいえ、むしろ「論文の順番」という「定型」は使うべきではないということです。上記のものが定型かどうかまで自分のプレゼンは深まっていません。これからの勉強です。
コメント、ありがとうございました。

Posted by: サトマサ | 2005.11.13 09:47

サトマサさんの、プレゼン、ぜひ聞いてみたかったです。

>すぐに全体構成は「テキストの内容」「開発手順」「評価」の3つと言われた。

なるほど。
わたしも、何かをプレゼンすると考えると、サトマサさんの書いているように「つかみ・結論+論文の順番」が定型なのかなと思っていました。

発表する内容によって、順序その他も変えなければならないのですね。
それとも、上記のものが定型の一つと考えればよいのでしょうか……。
(素人質問ですみません)

Posted by: あべたか | 2005.11.13 08:16

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