著書紹介
連載している小学MMに自著のことを書いた。その原稿である。
連載 私の教材開発物語 第54回
著書紹介:この冬発刊!お勧めの2冊
佐藤 正寿(岩手県水沢市立水沢小学校)
■ 編著と共著の発刊
この冬、私が関わった2冊の本が発刊された。
1冊は『IT活用の授業ミニネタ&コツ101』(上條晴夫・佐藤正寿編著・学事出版)である。IT授業初心者の先生方のための本である。
普通の先生が簡単にできて、子どもが授業にのってくるITを活用したミニネタが満載の本。次のWebの目次を見れば「これならやってみたい」と思うであろう。
☆『IT活用の授業ミニネタ&コツ101』の学事出版のHP
愛知県の小牧市IT活用委員会からは、「会員にぜひ配布をしたい」ということでまとめて30冊の注文があった。小学校はもちろん、中学校でもIT活用のテキストになるような本だと自負している。
もう一冊は『できる教師のデジタル仕事術』(堀田龍也・玉置崇・石原一彦・佐藤正寿著・時事通信社)である。
この本は教師の仕事術をテーマにした本である。一般社会のビジネス書は数多く発刊されている。しかし、「教師の仕事術」というのは各自が自分なりの術を持っているのに、本になることは少ない。そこにスポットを当てた内容である。
4人のライターはそれぞれ立場が異なる。堀田氏は研究者、玉置氏は管理職(校長)、石原氏はIT達人、私は授業屋の立場から執筆している。その仕事術の項目も魅力的だ。「情報を集める仕事術」「人と会う仕事術」「学級事務をスピードアップする仕事術」「授業の質を上げる仕事術」といった日々直面する仕事術がテーマである。さらに、「無意味は会議での仕事術」「スランプに陥ったときの仕事術」というように「そんな時、確かにある!」という例もある。
これまた見逃せない1冊である。
■ 初の編著でメーリングリストをフル活用
今まで単著を2冊出しているが、『IT活用の授業ミニネタ&コツ101』は私にとって初めての編著である。
この本ではメーリングリストをフル活用して作業が行われた。たとえば、次のようにである。
・ライター(小学校教師を中心に13人)はメーリングリストでミニネタ案を出す。
・出されたミニネタ案を編者が検討して決められた数に絞る。
・執筆段階で疑問点や必要な情報の交換を、メーリングリストを通して行う。
この本の場合、最初から執筆項目が決まっていたのではない。各自から出された案をもとに決める。その場合、メーリングリストは大変便利である。たとえば、あまり執筆経験のないライターでも、先に発信している人の分を見
て、「このようなネタでいいのか」と参考にできる。また、あるライターが数多くネタの案をメーリングリストに発信すれば、それが刺激になって他のライターもがんばって発信するということもあった。もちろん、疑問点や情報交換
もスピーディーに行われた。
この本の製作過程で、「発信したメールが全員で共有化できる」というメーリングリストのメリットを最大限生かすことができたと思っている。
ただし、一度編集会議を持った。これはこれで必要なことであった。本の趣旨は文書で提案していたものの、各自によってイメージが異なる。また書き方も各自によって解釈が異なる。その点で、実際に顔を合わせてディスカッションをするということは必要不可欠なことだと感じた。
なお、メーリングリストは本が発刊された今は、本のPR作戦の場であるとともにさらなるIT活用交流の場となっている。
■ 自分の仕事術を振り返る
『できる教師のデジタル仕事術』は自分の仕事術を振り返るいい機会になった。もともと「仕事術」に興味があったということもあり、この本の執筆は実に楽しいものであった。
実際に発刊して10日あまり。読者からの感想も続々届いている。その中で共感が一番多いのは「その場主義」ということである。たとえば、ノート点検では次のように書いている。
たとえば、ノート点検はその場で持ってこさせてすぐに見る。持ってこさせれば、子どもたちに「上手なノートだね」「よくこんなに書いたね」と声もかけられる。これが後で返却となれば、放課後に見ることとなるし、返却のため
の時間も費やす。もちろん、じっくりと評価したり、コメントを必ず書いたりという場合には別だが。不思議なもので教師が「その場主義」となると子どもたちも同じような行動をするようになる。
『できる教師のデジタル仕事術』より
これは子どもの指導だけではなく、事務的な仕事でも同様だ。机上に提出物があったら、すぐに取り掛かる。原稿依頼があったら、依頼要項を読み、すぐに思いついたことをメモする。それが頭の中に残り、関連情報に接した時にひらめくものである。先日も6年生の子が「卒業文集への一言をお願いいたします」と小さな紙を持ってきた。その子たちが他の先生に依頼している時に、その場で書き上げた。後回しにすると、集める子どもたちも再度集めに来なければいけないし、自分も紙を探したり書く内容を再考する時間がかかったりする。
同じ内容を書くのなら断然「その場主義」がいいのである。
本著はこのような仕事術が盛りだくさんである。「デジタル仕事術」と題名にあるが、デジタルをとっても十分に参考になる。ぜひ手にとって見ていただきたい本である。
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このメルマガの編集者である蔵満逸司氏は次のように「デジタル仕事術」の感想を述べている。有難い感想である。
『 『できる教師のデジタル仕事術』、面白いです。実は、同じだなあと思うところが多々あり、不思議な気もしながら読んでいます。その場主義も大賛成です。後の名文よりその場の短文と思い、ノートや連絡帳などなるべくその場で返しています。メールでも同じです。後で・・・と思って書いていない返事やお礼の手紙・メール・・・反省です。
とにかく読んでみてください。ひょっとしたら、時間の使い方が大きく変わるチャンスかもしれませんよ。』
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