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2006.05.20

連載原稿

小学メールマガジンの連載「私の教材開発物語」の原稿である。

著書紹介:「社会科の授業ミニネタ&コツ101」

■ この春、発刊!
 この春、私が編集した本が発刊された。
 『社会科の授業ミニネタ&コツ101』(上條晴夫監修・佐藤正寿編著・学事出版)である。
「社会はなかなか教え方がわからない」
「課題を出して、それを教科書や資料集で子どもたちが調べて発表させるというワンパターンの授業ばかり」
「おもしろい教材開発をしたいけど、簡単にできない」
 このような悩みの解決に大きな助っ人となるのが本書である。教師であれば誰でもすぐに実践できるミニネタを101本集めた。一目見て「実践してみたい」と思うようなミニネタ揃いである。
 目次に101のネタが書かれている。

・地図記号作文を読み取ろう(地図記号の暗号作文を読み解くネタ)
・簡単アンケート資料作成(子どもたちにアンケートをし、資料で使うネタ)
・〇〇県特産定食を作ろう(地図帳の絵記号から、オリジナル定食を作るネタ)
・ケータイ新機種開発コンテスト(未来のケータイを開発するネタ)
・みんなで作ろう「解体新書」(自分たちで体の一部分を説明するネタ)
・お気に入り人物を選ぼう(歴史人物で時代ごとに好きな人を発表するネタ)

 この目次だけ見ても、本書のミニネタの活動がイメージできると思う。先のネタは、私の学級で子どもたちが興味を持って取り組んだものである。

■この本でのミニネタの特色

 この本におけるミニネタの特色として、次の3つがあげられる。

1 何と言っても楽しい
一般的に社会科が、「好きな教科ランキング」で上位にあることは少ない。子どもたちに人気がない。そこには「授業での楽しさ」が不足しているのではないかと考える。「工夫された活動を体験する楽しさ」「知識を広げる楽しさ」
「友だちと考えをコミュニケーションする楽しさ」等々。基本的にミニネタには子どもたちが「楽しい」と感じる活動が組み込まれている。楽しさが増すことによって、子どもの学習意欲は高まる。
実際にミニネタを使った授業では、「楽しい!先生、もう1回」といったような声がよく聞かれる。ミニネタの効果である。

2 バラエティな活動ができる
ミニネタをいくつも知っていれば、様々な場面で多くの活動に取り組ませることができる。たとえば、次のように。
・まとめでキャッチコピーを作る
・未来の自動車を新しい発想で提案する
・クイズを作って出題したり、答えたりする
・ミニロールプレイをして歴史人物になり切る
・コンテスト形式でアイデアを競う・・・等々
 このような活動のバラエティさがミニネタの特色である。そして、バラエティであることによって、子どもたちの学習技能も幅広く育つというメリットがある。

3 「活動のミニネタ」は応用がきく
 ここに紹介されているものの多くは「活動中心」のミニネタである。「教材のミニネタ」は1回の学習でその役目を終えてしまうことがあるが、活動中心の場合には応用がきく。先のロールプレイやコンテスト形式は多くの単元でも実践が可能である。

 その点でこの本は繰り返し活用できる本だと思われる。

■ メーリングリストをフル活用

 この本ではメーリングリストをフル活用して作業が行われた。たとえば、次のようにである。

・ライター(中心メンバーが3人、他に20人)がメーリングリストでミニネタ案を出す。
・出されたミニネタ案を編者とライターが検討し、執筆するネタを絞る。
・執筆段階で疑問点や必要な情報の交換を、メーリングリストを通して行う。
・執筆した原稿をメーリングリストに提出する。
・原稿に対して編者を中心にコメントを行い、必要に応じて修正をして、再度提出する。


 この本の場合、最初から執筆項目が決まっていたのではない。各自から出された案をもとに決める。その場合、メーリングリストは大変便利である。たとえば、あまり執筆経験のないライターでも、先に発信している人の分を見
て、参考にできる。これは、各自がバラバラで執筆した場合にはできないことである。また、疑問点や情報交換もスピーディーに行われた。

この本の製作過程で、「発信したメールが全員で共有化できる」というメーリングリストのメリットを最大限生かすことができたと思っている。

 今年度、私は6年生担任。さっそくこの本を活用して授業を行っている。
 なお、国語、算数、理科の「ミニネタ&コツ101」の本も同時発売されている。算数はこのメールマガジンの編集長である蔵満逸司氏が編著者である。
 これもお勧めの一冊である。

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