最後の学級通信は一人一人への思い出メッセージ
本校は学級通信を発行前に教頭が見るしくみである。校長には発行後に提出する。
明日の卒業式前に6年生担任が最後の学級通信を作成していた。
事前に拝見させていただく。そこには、6年生の子たち一人一人のメッセージが書かれていた。
先生方の通信には、「OKです」の他にコメントを書いてお返しすることがしばしばある。琴線に触れた時には特にそうだ。今回は担任の思いが文章から伝わってきて、長めのコメントを書いた。
私自身の学年末の学級通信は「思い出シリーズ」だった。卒業生の担任ではない時もそうだった。
その子へのメッセージ。ちょっと気取った感じで書いたものだった。
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■Hくん
他の先生方が言う。君の目が変わったと。落ち着きのある優しい目になったと。それは以前の君を否定しているわけではない。人間は、成長すればするほど目が変わって、いくものなのだ。今考えると、水泳強化練習は自分を鍛えるいい場だった。そして、それに君は一生懸命に参加した。自分で自分を変えるチャンスを君自身が生かしたのだ。
■Iくん
正直に言おう。5年生の時の水泳強化練習の時、君が厳しい練習にどこまでついていけるか不安だった。それが、一日も休まず練習をした。それが、6年生の時に実を結び、選手になった。それだけで十分と思ったが、市内6位と入賞を果たした。スタート台で緊張しきったあの表情が忘れない。同時に、ゴールでタッチした直後の満足そうな顔も。
■J子さん
君は読書家。誰も認めるところだ。平均一日一冊のペース。5年生の時にも驚いたが、6年生でもそのペースは変わらなかった。そして、私が感心するのは、忙しい中で上手に時間をやりくりしている点だ。合唱クラブも、おけいこごとも並行して読書する。しかも、中途半端にしたのは一つもない。君のその徹底ぶり、今後の何事にも通用することだ。
■K子さん
君に「代表委員をやって」と私は気軽に頼んだ。「エッ」と一瞬困った表情をしたことを今でも覚えている。ところが、実際になってみるときちんと自分の責任で仕事をしてくれた。それもそのはず。君は水槽が汚くなってくると、いつの間にか水を交換してくれていた。寒い中、係でもないのに・・・細かなことによく気付く人は責任感ももちろんあるのだ。
■L子さん
君は最初、自分に自信がなさそうだった。自分を出すことを遠慮しているように見えた。でもそうではなかった。活躍の場が与えられると、どんどん積極的になってきた。君の活躍の場は、6年生では陸上だった。4月から朝練習をはじめて、10月までやり通した。陸上競技場で走る君は、何と大きかったことか。自信はその人を大きく見せるものだと感じた。
■M子さん
君は、何ごとにもズバリと言う。誰が相手でも構わない。たとえ、学級のやんちゃな男の子でも、言うべきことを言っていた。自分の考えがしっかりしていなければできないことだ。それがふだんの生活だけでなく、学級会でどんどん出るようになってきたことを嬉しく思った。一人一人の個性が輝いてこそいい学級だ。君の個性も、学級で光っていた。
■N子さん
努力の人。今まで君に言い続けてきた言葉だ。聞き飽きたかもしれない。しかし、あえてまた言おう。君は本当に努力の人だ。それも、人に言われての努力ではない。すべて自分で考えて、努力するというの点が尊いのだ。だから、君は自分の人生を切り開いていくであろう。それは、努力という財産が君にあるからできることなのだ。
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今から14年前。教師になって10年目の子どもたちへのメッセージである。
この時には卒業式で大粒の涙を流し(式場を出た後、子どもたちの第一声は「先生が泣いている!」)、教室でも泣きながら一人一人に学級通信を渡した。全員分を書くと4枚ぐらいになる。それを真っ白い封筒に入れて渡したのだ。その個へのメッセージを添えて。一番泣いた卒業式だった。
Comments
部長Mさん、コメントありがとうございます。
専門家に認めていただけると嬉しいですね。1年間一緒に過ごした担任にしか書けない文章というのがあると思います。この時の子たちはいろいろあり、教師の思いが自然につまった形になっていると思います。
Posted by: サトマサ | 2009.03.18 05:02
すばらしい文章です。こうした気持ちのこもった言葉を、先生から書いてもらったら一生忘れないでしょうね。
私は真逆の経験がありますが、こういう言葉が書けるようになりたいです。
Posted by: 部長M | 2009.03.18 00:10