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2010.01.16

恩師の発見

読売新聞の「教育ルネサンス」は定期的にチェックしている。教育情報として初めて知ることも多いからである。同時にその分野での著名な方が出てくるので、その考えを学ぶこともできるからである。
今行っているシリーズは「教員養成」。その3回目に秋田市の小学校の例が出ていた。その学校の校長名に釘付けになった。私の大学4年の時の指導教官だったからである。

秋田大学の教育学部生だった私は、3年・4年と教育実習のために附属小学校に行った。4年次には5年生に6人が配属された。実際の教員採用試験を目前に控え、「教師になろう」という思いも強かった。(実際は採用試験に落ちてしまうのだが・・・)
さらに指導教官のすばらしさも加わり、この時の4週間の教育実習では学ぶところが多かった。その指導教官である八柳先生のお名前を久しぶりに目にしたのである。
八柳先生から学びはホームページに書いたことがあるが、改めて記したい。(Y教官が八柳先生である)

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■その1  教官に怒られる

教育実習の初日のこと。
誰が何の授業をするのか割り振りをすることとなった。 同じクラスに配属された実習生6人で話しあうのである。

そうじの前に、そのことについて放送があった。
「実習生の皆さんに連絡します。授業計画用紙をできるだけ早く出してください。」と。
目の前で子供たちは机を運び始めた。実習生6人は、そうじに行ったらいいのか、計画作りを優先させたらいいのか、わからなかった。

そのうち一人が言った。
「実習生室に行って相談しよう。」

そうじの時間に、授業計画はできた。そして、5時間目の授業に臨んだ。
ところが放課後、担当のY教官に怒鳴られてしまった。
「子供たちのそうじも見ない実習生がどこにある!」
(こっちにはこっちの理由があるのに!)と思ったが、教官が怒った真意をよく考えてみた。

子供たちが学校にいる限りは、何事も子供たちのことを優先すべきという当然の原則がある。私たちはそれを間違えていたのである。何も「今すぐに」授業計画を出すのではない。
「そうじを優先させるべきだった」・・・このことを悔やんでも後の祭りである。

この件で実習生たちはがっくりしてしまった。アパートに帰ってからも怒鳴られたショックが尾を引いた者もいた。
「いやだなあ」と思いつつ、翌日Y教官に接すると、昨日のことには全く触れない。それどころか、子供たちに接するのと同じ笑顔で私たちにも接する。
「ふだんはやさしいが、怒るとこわい」・・・教師にとって大切な資質を私たちにも示してくれた教官だった。

■その2 45分間の授業が1分の説明に負ける

Y教官は算数が専門であった。
実習生の中にT君がいた。数学研究室である。当然実習授業も算数を選択した。
そのT君が顔をゆがめる。平行四辺形の問題で、プリントを一生懸命説明するのであるが、子供たちは(わからない)という顔をしている。

T君は、さらに説明や質問を加えるものの、説明をすればするほど、子どもたちは困惑したような顔をする。
授業の原則の一つに「発問はやたら変えてはいけない」ということがある。発問がころころ変わったのでは、子供たちは混乱するばかりである。
ところが、実習生の悲しさ、そんな原則など知るわけがない。

やがてチャイムが鳴る。次の授業もある。
やむを得ない。Y教官の登場である。その説明、わずか1分。子供たちが「わかった、わかった」と生き生きとした顔でうなずく。
その様子を見ていたT君。実習生の我々の席に戻り一言。「悔しい」。
この時ほど、プロとアマの違いを感じたことはなかった。
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これらのシーンはもう26年も前のことである。それでも一こま一こまを鮮明に覚えている。それぐらい強烈な印象として残っている。5年生の子たちも個性ぞろいだった。しっかりもののMさんからは、「家庭の授業、みんながうるさくてまさとし先生がかわいそうだった」と慰められた(笑)。
その時の子どもたちももう30代半ば。きっとそれぞれの持ち場で活躍しているのだろう。
そして、八柳先生は県の小学校校長会会長らしい。ますますのご活躍を祈念したい。

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Comments

教育実習で、担当教官に「学生のあなたたちのことを子どもだけでなく保護者も『先生』と呼んでくれます。しかし、子どもがケガでもしたら、いっぺんに保護者は『鬼』になります。それを忘れてはいけません。」と言われた言葉は今でもいつも肝に銘じている言葉です。
後年、その学校であの児童殺傷事件がおこりました。自分が実習をした教室の隣の教室でした。ニュースを初めて聞いたとき、その教官の言葉を思い出すとともにあの制服を着た小さな子どもたちの身の上に起こった理不尽な出来事に涙が出ました。

Posted by: おーさわ | 2010.01.17 at 19:05

おーさわさん、コメントありがとうございます。
おーさわさんが書かれている通り、実習教官の一言一言は本当に胸に響きます。当時の教官は今の自分よりはるかに年下なのですが、自分が今何を語れるのか自問自答することがあります。
それにしてもあの事件はあまりにも衝撃的でした。知った時の状況も覚えています。

Posted by: サトマサ | 2010.01.17 at 21:57

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