一流から学ぶ
「初等教育資料」(東洋館出版)の6月号を読む。
この冊子は、文科省の教科調査官の先生方が精力的に執筆されたり、文科省指定の学校の実践事例も多く紹介されたりしており、オーソドックスな知識を得ることができる。同時に「この人の話を聞きたい」と思うような方の原稿も掲載されている。
今回は2人に注目した。
一人は林成之氏。医学関係の教授で北京オリンピックの競泳チームに「勝つための脳」の講義をされた先生だ。
売れている著書も多数。「好きから始まる学習」というテーマで書かかれているが、参考になるところが多い内容だ。
特に印象に残った部分。北京オリンピックの競泳選手に向かって、「コーチはみなさんがオリンピックで活躍するために神様が使わせた人です」と言った。すると、コーチと選手たちが共に肩をくみ、「やってやる」と同期発火したそうである。オリンピックでの競泳陣の活躍はその通りである。
そして、このことを学校現場に言い換えている。
「普通は無理なのに、君、すごいよ」と先生は子どもに言ってあげ、子どもは先生を「自分がやがて世の中で活躍するために神様が使わせてくれた人だ」と思えばお互いを尊敬するようになる。
確かにこういう関係になったら、子どもたちは教師も学習も好きになるであろう。そして、これは大人の関係にも言えることであろう。
もう一人はラグビーの平尾誠二氏。同世代のラグビー選手だ。リーダーの心構えについて次のように説く。
リーダーはまず「これは正しい」と自分が信じていることをやることが大切です。でも、自分が正しいと信じていることを常に疑う姿勢をもっていないと、いいものはできません。そのことで自分が磨かれる。
一見矛盾するようなメッセージであるが、確かに固定化した考えでは成長はできない。特に型を身に付けたベテランには重い言葉である。その他にも「クラスの湿度(密着度合い)を高める」「一点に絞り、アドバイスをする」等、教育現場に参考になる内容が書かれている。やはり一流の方のメッセージは応用できるものが多いと実感した。
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