叱り方で一工夫
講師役をしたとある研修会で質問を受けた。
「子どもたちに注意しなければいけない場面で先生はどんな指導のしかたをするのですか?」という趣旨のものだった。
そこで、「休み時間が終わり、子どもが授業開始時刻に間に合わなかった時のことを例にします」と言って実演してみた。
若い頃の私は、「3時間目は10時40分からです!間に合うように戻ってきなさい!」とストレートに叱っていた。その叱り方が強いほど効果があると考えていたが、今は違う。
「○○くん、3時間目に間に合わなかった理由は?」
「そう、チャイムが鳴っても遊んでいたからだね。約束ごとが守られなかったこと、先生は残念だな…」
「どうすればいいかな?」
「では、今自分で言った通り、チャイムが鳴ったらすぐに遊びをやめて教室に向かうようにしよう。明日の君に期待しているよ。」
ここで示した実演のポイントは次の4つである。
・理由を聞く(「泣いていた子のお世話をしていた」といった場合もある)
・人格ではなく行動を注意する(その子自身を否定するものではない)
・今後どうすべきか質問をする(自分の意志で行動できるようにする)
・翌日できたら褒める(できたことを見届けることでその子を認める)
子どもの人格や立場を大切にしつつ、子どもが自ら判断し行動できるように育てることが注意の基本である。ストレートに叱るよりも手間がかかるが、子どもの自立のためには、このような指導が大切と考える。
「確かにこれなら子どもも納得しますね」と質問者は頷いた。ストレートの注意なら誰でもできる。教師ならば一工夫をしたい。
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