地域のすばらしさをアテルイで学ぶ
それぞれの地域には必ず特色やよさがある。伝統行事や食文化、そして歴史や郷土を愛する人々…。
今まで赴任した学校では、それらのよさを子どもたちに伝えたいと考え、積極的に教材化してきた。「ああ、自分たちの地域はこんなにすばらしいだ」と、子どもたちは地域の特色やよさを実感していた。
現任校に赴任した時にも地域の特色として楽しみにしていたことがあった。それは「アテルイ」の存在である。
8世紀にアテルイ率いる蝦夷軍が朝廷軍と戦い、大勝利をした。そのアテルイに関係する史跡が学区にはいくつもある。戦いの場所となった巣伏の戦い跡地。アテルイ王記念碑や北方の王者アテルイ像。それらを子どもたちはじかに見学できる。アテルイを学ぶためには最高の学区である。
本校では、3年生が総合的な学習の時間を活用して、先の史跡を回り、千年以上前の歴史に思いを馳せた。
それだけではない。地域のアテルイの研究家を学校に招き詳しく話を聞いた。「アテルイは何が得意でしたか。」という質問に対しての答えは、「弓が上手で、遠くまで矢を飛ばしていた。」
これには、子どもたちも納得していた。
10月に行われた学習発表会で、子どもたちは学習の成果を「常小アテルイ」という劇で見事に表現した。「アテルイの勇敢さが伝わってきた」と6年生が感想で述べるほどだった。
自分たちで地域を歩き、歴史を調べ、偉大なる先人に共感し、その思いを劇で表現する。アテルイの学習を通して、子どもたちは自分たちが育った地域について、確実に愛着をもった。
そして、その郷土愛は、10年後、20年後に子どもたちが郷土を支える時の土台となるであろう。そう感じた。
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