「プロ教師の「折れない心」の秘密」
大前暁政先生の「プロ教師の「折れない心」の秘密」(明治図書)を拝読させていただいた。
岡山県の小学校教師だった大前先生は、昨年4月から大学の准教授をされている。
明治図書ではHPでこちらの連載を月1回行っており、学ばせていただいている。
今回の新著は、教師としての心を自分で育てるための大切なことがいくつも書かれていた。
「悩める教師への50のアドバイス」という副題からすると、若手教員向けと思われるかもしれないが、「悩める教師」は年代に関係ない。40代、50代も悩むのは当然である。そのような教師にとっては、ヒットする部分は間違いなく多い本である。
その内容も一般的ではなく、具体的なエピソードで綴られている。大前先生はまだ30代半ばであるが、様々な経験を自分のものとして積んできたことがよくわかる。
たとえば、「一つひとつの出来事が、教師としての幅を広げていく」。公開研で学校代表で授業することになったが、議論を重ねた指導案が締切当日に管理職にストップがかけられた。結局勝手に修正された指導案で行った授業は、できない子がつまずいたままだった。
ただ、それでも大前先生は、くだらない状況でも意味を見出す。子どもの事実で判断して、「この授業ではだめだ。子どもを伸ばせない」と検討会で宣言するのである。確かにこれはこれで一つの研究となる。
自分の今の職務でも、このような「どんな状況でも意味を見出す」は大切だと考えている。それだけに、このエピソードは特に印象に残った。
その点で、一人一人が様々な学びや解釈ができる本である。
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