心に刻まれる黒板メッセージ
最近執筆したエッセーです。
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「教室にあるもの」といえば代表的なものとして「黒板」があげられるであろう。授業で使われるのはもちろん、担任からのメッセージを伝えるものとしてもよく活用される。
私も担任時代は、前日の放課後に翌朝のメッセージを時々書いていた。運動会の時には「がんばろう!」と子どもたちへの励ましを書いたり、誕生日の子のよさを伝えたりしたものだった。
そのような黒板メッセージが、子どもたちの心に一番刻まれるのは、卒業式の日であろう。本校では先月、六学年各学級が卒業の日を迎えた。当日、各教室には担任からの心温まるメッセージが書かれていた。
「だれかが困っているとすぐに助けてくれる人がたくさんいました。友達を大切にする学級でした」と書かれていた学級。同じ中学校に進学しても、クラスは別々となる。「学級の友達の大切さ」が伝わってきた。
別の学級では、「今、別れの時。飛び立とう、未来信じて!」と大きく書かれていた。これは卒業式で歌う「旅立ちの日に」の歌詞の一部だ。思い出に残るであろう曲のメッセージは何とも力強い。
その隣の学級では、学級一人一人の名前が全員分、丁寧に黒板に書かれていた。名前を書きながら、一人一人の思い出も担任は思い浮かべていたのではないだろうか。
そして、ユニークだったのは「清々しく飛び立て」と書いた後に、「最後の学級会」と記されていた学級。議題は「学級目標は達成できたか」。子ども達が学級会で成長したことを物語るメッセージだった。
「教室の黒板」が生み出すこれらのメッセージ。卒業式という忘れ得ぬ日に、子どもたちの心に深く深く刻まれていったことは間違いない。
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