« もしも… | Main | 学ぶことの大切さと楽しさ »

2014.05.04

一人研修

有田先生のことは、自分の著書やこのブログで何度も書かせていただいた。

教師生活20年目(今から9年前)に地区の社会科研究会で佐藤学級を参観していただき、「すばらしい子どもたちですね」と前置きした後、「でも川のようにスッーと流れていますね。もっとこだわりを持っていい」と言われたこと。念願だっただけに、夢の中にいるような気持ちであった。

夢には続きがあって1年前の愛される学校づくり研究会のフォーラムでは、同一テーマで有田先生に模擬授業で挑戦させていただいた。「『6年生最後の社会科授業』というテーマで授業をしましょうよ。あとは当日!」というお電話をフォーラムの3ケ月ほど前にいただいた。あの時の声も耳に残っている。
ちなみに当日の有田先生は控室で「腰をやっちゃってね…」と本当に体調がすぐれない様子だった。それでも本番での授業は全く別。そのエピソードは玉置先生が書かれている

さて、今まで書いていない「研修」が一つある。
2011年の秋。数カ月後に50歳になることで、「残り10年の教員生活を考える研修期間」を設けた。県の制度として一定期間勤務した者に与えられるキャリアアップ休暇を2日間取得し、祝日や土曜日と合わせて4日間連続の休みをとらせていただいた。愛知と福岡での研究会参加が2日、行きたかった長崎観光が1日、残りの1日が東京での本の打ち合わせと有田先生宅への研修訪問だった。

有田先生宅にはあくまでも「研修」のために訪れるので、連絡する際にも「研修の趣旨」「時間(申込は30分)」「謝金」等を明記していた。従来の講師依頼と同じである。「ご多忙な先生のお時間を使わせていただくわけなのでいくらご自宅といっても単なる訪問とは違う。そして自分の研修だから」…そういう思いであった。

いざその日。緊張しながら玄関のチャイムを鳴らした。いつもの笑顔で「やあ、遠くからようこそ」と有田先生が出迎えてくださった。応接間に通していただいて、有田先生からの学びが始まった。自分が用意していた質問は5つほどだった。30分で聞けるだけ聞こうと思っていた。

ところが、有田先生は私が質問をする前に、ご自身が興味をもっていることを話し始めた。まずはその年にあった大震災のこと。実際に仙台に行って子どもたちに授業をされてきた時のこと。2日後に行う教育技術学会での模擬授業の教材開発のこと(自分も参加予定だった)。時々自分もその話題について質問をすると、さらに深くエピソードを語られた。気づくと予定の30分はすぐに過ぎ、1時間、そして2時間近く…と有田先生の話を拝聴してしまっていた。
いわば「聞き手が一人の講演会」のようなものだった。準備していた謝金は受け取っていただけなかった。事前の連絡の際にも「謝金は不要」と言われていたが、「お話を聞くのにそんな失礼はできない」と思い準備していたものだった。結果的にはご好意に甘えることとなった。「いつか恩返しをします」と言って、失礼をした。

その恩返しも十分にできないままお別れになってしまった。唯一できたのは、昨年2月のフォーラムの際に私が授業で使った文献(戦前の領土地図や地図帳の復刻版)を有田先生に謹呈できたこと。「いい資料だね」と言ってくださったことが、教材開発を有田先生から学んだ自分にとっては嬉しかった。

|

« もしも… | Main | 学ぶことの大切さと楽しさ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« もしも… | Main | 学ぶことの大切さと楽しさ »