もしも…
自分が有田先生と出会ったのは幸せだったとつくづく思う。
初任の6月、同じ初任仲間のアパートに行ったおり、「社会科で有田和正先生の本がおもしろかったよ」と教えられた。「そういえば、本屋さんがもってきた『立ち合い授業』の本は有田先生だったな…」と思い、さっそく注文をした。「学級づくりと社会科授業の改造」だった。(今は絶版) 読んで「これは勉強しなくちゃ」と思ったものだった。この初任の仲間がいなければ初任時に有田先生の本を読むことはなかったかもしれない。
2年目の6月。市の社会科教育研究会で「今年の県の社会科教育研究大会では有田先生が講演されます。ぜひご参加を」と事務局の先生から呼びかけがあった。「あの有田先生だ」とピンと来た。宮古は遠かったが、張り切って参加した。ユーモアたっぷりの大満足の御講演。このタイミングで有田先生が岩手に来られたことに感謝した。
3年目、願っていた有田学級を学校公開時に参観。数百人の参観授業。鍛えられた学級の子どもたちの姿に驚いた。この時の有田学級が自分の目標になった…。
大学卒業時に「教師になってから3年目までが勝負」と恩師に言われていた。その3年目までに、有田先生との価値ある出会いがあった。
「もしもあの時に初任仲間が教えてくれなかったら…」
「もしも県大会の講師が有田先生でなかったら…」
「もしも3年目で有田学級を参観していなかったら…」
著名な有田先生のことをいずれは知ることになっても、今とは違う学びになっていたに違いない。だからこそ、自分にとっては価値ある出会いだった。
有田先生が亡くなられた今、つくづくこの出会いに感謝するのである。
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