重陽の節句と菊の話
1 九月九日は重陽の節句
九月九日は重陽(ちょうよう)の節句です。三月三日の桃の節句や五月五日の端午の節句ほど有名ではありません。
中国では、この日に高い場所に登って、菊の花から作られた菊酒を飲むと長生きをすると言われてきました。もともと菊には長生きをする効能があると信じられていたのです。
日本でも平安時代には、菊を鑑賞する行事が始まりました。また、九日の前夜から菊の花に綿をかぶせ、露にぬれたその綿で身体を拭いて長生きを願いました。
それほど、この重陽の節句と菊とは関係がありました。
2 江戸時代になって広がった節句
日本で重陽の節句が広がったのは江戸時代です。
この江戸時代には菊の栽培も盛んになり、「菊合わせ」と言われる菊の美しさを競う催しも盛んになりました。
菊人形が作られたのもこの頃です。植木職人が菊で人形を作り、お寺で見せたのが始まりました。今でも「菊祭り」などが行われている地域もあります。
ところで見ることが中心の菊ですが、食べられるものもあります。ゆでておひたしにしたり、酢のものにしたり、刺身に添えられたりするものもあります。きっと皆さんも食べたことがあると思います。
3 菊のデザインいろいろ
「春は桜、秋は菊」というように、菊は日本を代表する花です。ですから、さまざまなものに使われています。
たとえばお金の硬貨の1つに使われています。何円玉でしょうか。そうですね。五十円玉の表に菊の模様が使われています。
また、外国に行く時に国籍や身分を証明するものとなるパスポートにも表紙中央にも菊が描かれています。
勲章の最高位も「菊花章」(きっかしょう)と言って、菊の花のデザインが使われています。
これらを見ると、まさに日本を代表する花ということがわかりますね。
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