エッセー「教室にユーモアを」
エッセーを書きました。紹介します。
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全国的に有名な先生の授業を参観した。三年生の社会の授業である。
多くの参観者の前で緊張するだろうと思っていたら、三年生の子どもたちが次々とユーモアのある発言を繰り返すのだ。それも皆、生き生きとした表情で話す。参観者であることを忘れて大笑いをしてしまった。もちろん、これは担任の先生が子どもたちのユーモア力を根気強く引き出したものであった。
その時に私は、ユーモアや笑いは学級経営の一つの柱になると感じた。それから積極的に学級経営に取り入れ始めた。
むろんユーモアが大切といっても、下品だったり、友達を傷つけたりするものは論外だ。「教室を明るくするユーモア」「子どもたちが元気になる笑い」を重視した。
まず、学級の中には必ずユーモアのある子が数人いる。その子たちがユーモアのある発言をした時には、すぐに「楽しい発言が学級を盛り上げるね」とほめた。日記や作文で、おもしろいことを書いた子のものを帰りの会で紹介し続けることで、他の子もユーモアのある内容を書くようになった。
そして私自身も「ユーモア小話」を準備して、子どもたちの前で披露した。大いに笑う子どもたち。子どもたちが笑っている教室は本当に明るいと感じた。
教師がユーモアを意識すると、明るい子が増え、子どもたち同士のコミュニケーションも深まる。また、学級での居心地もよくなる。
私の学級に教育実習生が来た時に、子どもたちが実習生に次のように言った。
「〇〇先生、もっと授業中に冗談を言わなくちゃ。笑いが多い授業は、逆に集中するよ」と。
ユーモアを大切にしていた私には最高の言葉だった。子どもたちはユーモアを待っているのである。
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