加湿器で思い出した
1年生が加湿器のことで、あれこれ話していた。
そのことでかつて書いたエッセーを思い出した。加湿器から、有田先生が話していた「一手少ない指導」を思い出した話である。
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担任が出張等で学級を空ける時には、代理でその学級で授業をする。3学期に1年生に入った。
冬の教室ではヒーターと加湿器の両方をつけている。加湿器の水が少なくなっていたので、さっそく水を追加しようとした時に一人の女の子が近寄ってきた。
「副校長先生、それは〇〇さんの当番です」
「ああ、そうなの。いつもみんなでしているの?」
「そうです」
「足りなくなっていたから、先生がしようと思ったけど、みんながするのね?」
「はい、そうです」
私は「そう言うのなら・・・」と水を入れる容器を元に戻した。
1時間目が終わって、加湿器の水がほぼなくなったら、今度は「今日の加湿器当番表」を何人かの子が見ていた。当番を替える日だったのである。これも自分たちの力で確認できた。
さっそく当番の子は水を入れ、セットをした。スイッチまで入れて、「これでOK!」と満足そうだった。
その様子を見て、私は、「危うく子どもたちのやりがいを奪うところだった」と反省した。担任時代から、「子どもたちには一手少ない指導を」ということを意識してきた。「目はかけるが手はかけない」という姿勢である。というのも、「教師が何でもすると、子どもたちは『先生がやってくれる』という意識になり、自主的な行動をしなくなる」ということを感じていたからだ。
今回もささやかなことであるが、子どもたちから大事なことを教わった。たとえ1年生の子どもたちでも、自分ができることは、「私たちでできます」と主張する。
そういう子どもたちに対して、私たち教師は、心配な面があっても、「任せるよ」という姿勢で見守ることが大切なのだ。「一手少ない指導」で子どもたちの行動力も育つのである。
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