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2016.03.06

学級通信 1年生版その2

 最初の1年担任の時には、学級作りが自分のテーマでした。この学級通信も、当時の自分の思いが色濃く出ています。

 学級通信 なかよし 第27号 7月4日

    学級「集団」になってきました

 「まとまりのある学級」とか、逆に「まとまりのない学級」というような言い方があります。
 「学級」といっても、一人一人がバラバラな状態では単なる「群れ」であり、それをお互いのことを考えることのできる「集団」にいかにしていくか、というのが我々担任の仕事でもあります。
 いわゆる「学級作り」というものです。

 さて、ではどんな状態が「集団」と言われるものかというと、私は「学級内に自己指導力が出てきた時」と思います。
 初めての一年生担任ですから、「学級内に自己指導力が出ることなどあるのだろうか・・・」と皆目見当がつきませんでした。
 しかし、6月校半からそのきざしらしきものが見えてきました。
 具体例をあげてみましょう。

■係活動(はいたつ係、ほけん係、はな係、きゅうしょくてつだい係、きんぎょ係)や日直の仕事(小鳥の世話、おぼん洗い)を確実にするようになった。
■給食準備や、そうじで私が今までしていた「指示」を子供がするようになった。
■並んでの教室移動も子供が先頭になってするようになった。

といった具合です。
 特に私が待っていたのは、給食準備とそうじを子供たちだけで行うことができるということです。
 最初は、私の指示が絶対でした。そして、私は誰かが、「指示したい」という要求があるまではずっとするつもりでした。
 逆にいえば、誰かがそう言うのをじっと待っていたのです。そうじも同様です。
 そうしたら、先々週の2班の給食当番の時、H君が「ぼくが、言いたい」と立候補してきました。
 また、そうじでも先々週、Yさんが進んで「〇〇して下さい」といったのを聞いて、私の方から「全体の指示を言えますか?」といってやったものです。
 このようなものは面白いもので、一人が実行すると必ず波及するものです。特に、掃除の指示などは先週はJ君がしたのですが、他にもH君やO君が「やりたい」というようになりました。
 このようにして、学級内の集団が作られていくのでしょう。
 むろん、1年生の子供たちですから、指示の手落ちやうまくいかないところはあります。そこは私がフォローすることで、十分にことが足りています。

 そうじや給食が自分達でできるようになると、他の何かの場面に遭遇しても、子供たちの力で何とかなるものです。
 そこに学級「集団」の意味があり、子供達の自主性も育つものだと考えています。

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1年生を担任すると、基礎的な学習を身につけることの大切さがよくわかります。

学級通信 ガリバー 第144号 11月18日

    つまずき

■つまずき
 教えていて、「よくまちがうなあ」というものが必ずあります。
 たとえば、漢字だったら、「人」と「入」、「白」と「自」といったものです。数は多くはありませんが、いざテストをしてみると間違える子がいます。
 「右」と「左」の書き順もそうです。「右と左の書き順は違うんだ。」と覚えていても、わざわざご丁寧に反対に覚えている子もいます。
 カタカナでは、「ツ」と「シ」、「ン」と「ソ」が一番です。中には知能犯?がいて、どちらにも読み取れるように紛らわしく書く子もいます。
 恐ろしいのは、これらの間違いがいったん子供たちの頭の中にインプットされてしまうと、そのままずっと記憶に残っていることです。
 これは、私自身の経験からも明らかです。
 あえて恥をさらしますが、教員になる前に私が間違えて使っていた言葉がけっこうありました。
 たとえば、「場合」を「ばわい」と発音していて、大学の先輩に「ばあいだぞ」と大勢の人の前で言われたことがありました。また、ひらがなの「よ」の書き順を間違えて、ずっと学生時代を過ごしていたり・・・というようにです。
 これからは、小学校の時にしっかりと基礎的なことをマスターしなかったためです。
 だから、改めて基礎的なことを重視したいと考えます。

■正しい文章をかく
 その「つまずき」といっても、算数の場合、それほどでもありません。
 基礎的な方法を身につけていれば応用がきくからでしょうか。
 ところが、「聞いて正しい文章を書く」というのはなかなか困難なようです。
 たとえば、国語の教科書の「かいもの」という児童作文を私が読んで、子供たちに2回ほど書かせました。ところが、すべて正しく(原稿用紙の使い方も含めて)書くことができた子は半分ぐらいでしょうか。
 「とおく」が「とうく」になったり、「はだかの王さま」という本の題名にかぎかっこをつけなかったり、私の読むペース(かなりゆっくり読んだのですが)についていけなかったり・・・・というような間違いです。
 前号までのような表現力をのばすのも作文指導の一つですが、正しい文章を書く力をつけるのももちろん重要です。2本立てでいって、よりよい文章が書くことができるようになるのでしょう。

■手紙
 このごろ、家に帰ると、去年担任をした子からの手紙が何通かずつ届いています。
 4月から毎月数通ずつは来ていたのですが、このごろは連日です。
 今、その子達は3年生なのですが、国語で「手紙を書く」学習をしているらしいのです。そして、そのターゲットに私を選んだということらしいのです。
 私自身はふだんあまり手紙を書きません。
 しかし、担任した子供たちから手紙がきた場合には、何よりも優先して返事を書くようにしています。
 それには理由があります。以前、夏休みに手紙をもらって2日おいて返事を出したことがありました。その2日間、子供は何回も何回も家のポストをのぞいたそうです。そして、手紙がないことを知るたびにガックリしていたという話を聞きました。
 その時に「子供は、担任からの返事を待ち焦がれている」と強烈に感じました。自分の鈍感さを恥じた次第です。

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低学年に時には下品な笑いも必要かな?

学級通信 ガリバー 第145号  11月19日

   ちょっと下品ですが・・・

 国語で「かみなりさまの手つだい」の単元に入りました。
 ここは、昔話の独特の言いまわしが多いので、音読に力を入れています。特に会話文のところを、子供たちにどう読んだらいいか考えさせながら授業を進めています。
 この物語の中に「こやしを3ばいやると・・・」というくだりがあります。
 そこで、子供たちに「『こやし』とは何でしょう」と聞きました。
 手をあげたのは3分の1ほど。
 全員に発表させました。
 ほとんどの子が「ひりょうのことです」「くすりのことです」とといった発表をしました。そんな中で大笑いしたものがありました。
「小さなヤシだから、『小ヤシ』というのです。」
 なるほど。考えています。しかも理由をつけた発表です。そのことをまずほめました。

 1年生に言葉についての発表をさせると、こちらが噴き出してしまうようなことがたびたびあります。(子供たちには失礼なのですが・・・)
 いつだったか、「白」という漢字と「自」を間違えて書いている子がいました。いい機会なので、「自」の漢字の読みがなを教えようと思いました。
 「自ぶん」と私は板書して、「これは、みんながよく知っている言葉だよ」といってどう読むか聞きました。
 そうしたら、勢いよく手をあげたA君。
「『さぶん』です。」(そういえば、近所に「さぶんストアー」があるなあ・・・)
 続いてB君。
「『さくぶん』です。」(作文が好きだもんね・・・)
 さらにC君。
「『ぶんぶん』です」(さすが虫好き!)
といった調子で笑いが続きます。「小ヤシ」もその一例です。

 さて、「むかし」の「あるむら」のお話なので、私は「こやし」のことについて、さらにつっこんで言いました。
「むかしの話ですから、今のひりょうとはちがいます。何を使っていたと思いますか。」
 これはむずかしかったらしく、4人目でようやく「ふんです」という言葉が出てきました。
「先生の小さなころは、人間の小便などを肥料のかわりに使っていたのですよ。」
 そう言ったら、「エー!」という反応。中には、「そんな下品な話をしないでください」という声も。
 「野菜はお店できれいに売られているもの」といったイメージを持っていた子供たちにとって、このことを意外だったようです。

 そういえば、4年前の国語の全国大会で、著名な先生が「低学年の子供たちに、下ネタとダジャレを言うことは、授業を盛り上げるうえで大切だ」とけっこうまじめな顔で言っていました。
 この「こやし」はまさにその典型例だったわけです。

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学級通信の文体を変えてみて、好評だった通信です。

学級通信 ガリバー 第147号 11月21日

  校内球技大会実況中継

 「ガリバー」をお読みの皆様、こんにちは。
 今日は、子供たちにとって待ちに待った校内球技大会の日です。
 この校内球技大会というのは、児童会主催で行われているもので、いわば「小学生版学級対抗」というものですね。そうですね、「クラスマッチ」というのが合う人もいるかもしれません。
 する種目は、サッカーです。未来のJリーガーを目指してがんばるわけです。

 さて1組の子供たちも、この球技大会に向けて必死の練習をしてきました。と言っても2回だけですが。
 最初の練習では、珍プレーの続出でした。思わず手でボールをつかんでしまう子、ボールがラインから出てもそのまま遠くへける子などがいました。まあ、これも「一年生だから」という理由で許しましょう。
 
 さあ、前置きはこれくらいにしましょう。いよいよ試合が始まります。
 今日は天気がいいものの、昨日の雨がたたって、グランドでのゲームはできません。やむをえず体育館でのゲームとなります。
 私は、白組の実況を担当させていただきます。
 すでに一試合目に2組対3組の対戦が終了しております。白熱した試合の末、2組が勝利を収めています。敗れた3組の女の子たちの目には、うっすらと涙が光っていました。
 さて、まちくたびれた1組の子たちがいっせいに並びました。
 「おねがいします!」という声とともに、いよいよ開始です。

 1組のキックオフです。
 けったボールにいきなり両チーム全員が寄ってきました。まるで、餌に群がるハト・・・いや失礼、プロ野球で優勝したチームの胴上げに集まる選手たちのようです。
 さて、攻防は一進一退です。おっと3組が強くけったボールをN子さんが体で止めました。しかし、3組のロングシュ―ト。
 1組のゴールまで一気にボールがいきました。あらかじめT君とI君が守っています。
 が、どうしたことでしょう。二人の間をぬけていってしまいました。ゴールです。まず3組が1点先取です。
 今度は1組のキックからです。R子さんがいきなり強くキック・・・おっと、そのままゴール!何とハーフラインからの一気のシュート。体育館のサッカーでしかできないプレーでした。

 さて、時間は経過し、試合終了のホイッスルが鳴りました。
 9対6で3組の勝ちです。得点を審判が言った瞬間、3組は飛び上がって喜びました。それに対して、1組は相手を拍手する余裕さえありません。やはり勝負は厳しいものです。

 ここで、総合結果を改めて紹介します。おっと、白組、赤組とも同じ結果になりましたね。
 1位は2組。2位は3組。そして、3位は1組です。
 練習をしたかいもなく敗れ去った1組の子たち。来年はもっと力を蓄えて雪辱をしてほしいものです。
 これで、実況中継を終わります。

  いろいろな作文を子供たちだけにさせるのではなく、自分に課してみました。が、どうしてもカタイ文章になります。
 球技大会の結果は残念でしたが、親御さんの応援をとても喜んでいました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
 次号で子供たちの球技大会の作文を紹介します。

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一年生といえども、指導によって変わります。また、その指導は全ての学年の基本になると思います。

学級通信  ガリバー 第6号  4月14日

   言葉にこだわると・・・

 毎日、子供たちと過ごしていると、気になるということも出てきます。
 今日は子供たちの言葉づかいです。
 といっても、以前書いたような単語のみの発表(たとえば、「紙!」というように「です」を抜いたような発表の場合)のことでは、ありません。
 それは、

 「〇〇していいですか?」と聞くことが多い

ということです。
 たとえば、給食の時間のおわりごろに、どうしてもトイレに行きたい子がでてきます。
 そんな時に、ほとんどの子供はこう言います。
「トイレに行っていいですか?」
 中学年や高学年を担任しているときには、こういう言い方には、やや意地悪く、「『だめです』と言ったら、トイレに行かないの?」と答えたものでした。

 私自身の考えとしては、このような場合には、許可を求めるのではなく、きっぱりと「トイレに行かせてください」と言うべきだと思いますのです。
 考えることは同じでも、「トイレに行っていいですか?」と「トイレに行かせてください」では、子供の姿勢に違いがあります。
 前者は指示待ちの受け身型、後者は自分の意志で決定する自立型というところでしょうか。
 私達教師は、「自立できる子供を育てる」ということも仕事としています。そう考えると、ささいなことではありますが、先のような言葉づかいにこだわってしまうのです。
 子供たちにも、そのような意味をかみくだいて話しました話しました。そうしたら、昨日はさっそく、「せんせい、トイレにいかせてください」と言いにくるようになりました。
 一年生らしく、「言われた通りすぐに実行」というところでしょうか。

 ただ、一年生ですから、このように書いても、失敗(私がです)もあります。
 例によって、「オシッコに行ってもいいですか?」と言いに来た子がいました。
「あれ?こんなとき、どういうんだっけ?」
と私は答えます。先のような答えを求めてです。
 しかし、その子はわからずに困ったような表情。そのうちに、腰が横に揺れ出しました。もれそうになってきたのです。私の方も「まずい」と思って、思わず一言。
「はやくトイレに行っトイレ!」
 でも、急ぐ子にはこんなシャレは通じなかったでしょうね。

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