学級通信 1年生版その1
初めて1年生を担任したのは教職5年目のことでした。当時はベテラン教師が多かったので、自分が1年生を担任することなど思いもよりませんでした。でも1年生を若いうちに担任していて、本当によかったと思います。この学級通信は、その第1号です。
学級通信 なかよし 第1号 4月14日
小人の国に来たガリバー
学級通信「なかよし」の第1号です。
学年通信としての「なかよし」はすでに2号発行しています。この通信は、学年通信で伝えることのできない学級内の様子、私の考え等を伝えたいと思います。
今年の3月まで6年担任だったせいか、1年生の子供たちに接することは私にとり、すごく新鮮です。
たとえて言うなら、
小人の国に来たガリバー
のような気分なのです。
言葉でも「1年生にわかるものを」ということを常に考えていますが、時々、「ニッチョクってなあに」といった質問を子供たちにされてしまいます。
なかなか難しいものだと改めて感じています。
さて、1年生担任になって強く感じているのは、「御家庭との距離がとても近い」ということです。
お家の方々の子供たちに対する愛情を目の当たりに感じるのです。たとえば、
・算数セットの細かなもの一つ一つにすべて記名されている
・貯金日に全員の貯金通帳が集まる(今まで4年間の経験で、1回しかありません
でした。)
・私服の全員名札がついている。
といったことです。
当然、子供たちが一人でできることではなく、すべてお家の方々の手がかかっていることでしょう。
そのようにして大切にして育てているお子さんです。私の方でも気を抜くことなく育てたいと思います。ますますのご協力をお願いします。
■ケンカがありました
入学してから昨日で1週間。
初めのうちは、おとなしくしていた子供たちも、友だちの顔を知り、名前を覚えるようになり、にぎやかになってきました。
女の子に比べたら、男の子たちがにぎやかかな・・・という感じです。
そんな中でおこったのが元気な男の子二人によるケンカです。
昨日の朝、私が連絡帳を集めている時に、そのケンカは始まりました。
最初はつかみあいでした。私からすれば、「いずれやめるだろう」という思いと「他の子がどんな反応をするだろうか」という興味があり、すぐに止めには入りませんでした。
そうしているうちに、床に取っ組みながらの本格的なものになりました。
「そろそろ出番かな・・・」
と思ったその時、女の子たち二人の大声が教室に響きました。
「やめなさい!!」
AさんとBさんの勇気ある声でした。私も、上になっている子を持ち上げ、けんかをやめさせました。
理由を聞くと、お互いに「〇〇君が最初にたたいた」と主張します。その場では、両方に注意して終えました。
「ケンカは人間形成にとって必要」とよく言われます。
私の教職経験(短いのですが)では、学級内にケンカやトラブルや事件があった時には、学級集団をまとめるよき機会でした。
子供たちにとっては、集団生活のルールを学ぶことになりますし、私にとってはよき児童理解になります。
「ケンカ」も大きな目で見るつもりです。(度が過ぎたのは別ですが)
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新鮮な一年生との出会い、その2です。
学級通信 なかよし 第2号 4月17日
いつ「べんきょう」するの?
■やさしさがいっぱい
1年生の子供たちの行動を見ていると実に楽しいです。
集団生活をそれほど体験していないためか、実に様々な「個性」を発揮するからです。
そんな中で目立つのは「やさしさ」です。たとえば、教室の戸があいているとします。すると必ず誰かが戸をしめてくれます。それも、戸口に近い席の子供たちだけでなく、窓際の子でもしめます。
他にも、席をたって移動する時、いすがあいている子がいたとします。そうすると、これまた必ず誰かが黙々といすを入れてくれます。
教室内に、大きなゴミがある時、拾ってゴミ箱にすててくれる子、かさがランドセルに入らない友だちを一生懸命に手伝い子・・・。
実にやさしい心の持ち主が多いといった感じなのです。
その様子を見ていると、こちらまで心が洗われる思いがします。
一人一人の個性も集団生活の中では、埋没されることもあります。
しかし、この「やさしさ」だけは、大切な個性として育てていきたいと思います。
■ひらがなをならっています
先週から、教科書を使った学習に入っています。
国語の最初の単元は、「はる」です。ここでは、絵を見ながら、物の名前や動作を表す言葉をいうのが学習の目標となっています。
先週の水曜日に、教科書の絵をみながら「さくらがあるね」「子供がいるね」というような話をしていたら、「いつ、べんきょうするの?」と一部の子に言われてしまいました。
その子達にしてみれば、勉強イコールノートに鉛筆で字を書くことという感覚らしいのです。
教科書では、字を書き始めるのは1週間ぐらいあとからです。
しかし、私は子どもたちの学習意欲を考えて(これは教師の私からすれば相当なもので驚いてしまいます)、国語の中で必ず1回は書く作業を入れることにしました。
今までに習った字は「う」「つ」「く」「し」です。
最初の「う」をノートに書かせた時のこと。ノートのマスの使い方を確認したくて、「う」を一文字だけ書かせて、ノ―トを持ってこさせました。
そして、正しく書くことができている子には丸をつけ、一行全部書くように言いました。そして、ある子のノートを見たら、私の丸の下の「う」という文字全部に、自分で花丸をつけていました。
1年生の心理ってこのようなものなのかと私には、その黒い花丸がやけに新鮮でした。
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1年生の子どもたちが学校に慣れる過程は、楽しいものです。
学級通信 なかよし 第6号 4月22日
学校になれました
入学して今日がちょうど2週間目。子どもたちが学校に慣れた様子を伝えます。
1 8時15分まで
学校の開門が8時で、子どもたちは8時15分まで着替え、学習道具を机の中に入れる、担任に連絡帳を出す、トイレに行く等の行動を完了しなければいけません。
「けっこう大変だろうな・・・」
と思っていましたが、それが全員時間までに、終了できるようになりました。立派なものです。
2 授業で
授業もようやく学習する姿勢らしきものが形成されてきたかな?というところです。たとえば、指示された作業を注意されずにするようになった、1時間の授業の長さに慣れてきた・・・というようにです。
3 給食で
これが私の1番の悩みです。
準備は早くなって15~20分程度でできますが、食べるはやさに個人差が大きいからです。
はやい子は15分、ゆっくりととる子は40分ぐらいかかります。もちろん食べることに関して急がせることは個人差を無視することで禁物です。
問題は、早く食べ終わった子への対処です。昨日はかなり勝手な行動が見られたので、ついにどなってしまいました。
しかし、私自身も本の読み聞かせをする等の工夫をすればよかったと反省をした次第です。
4 最後までやり通そうとする
以前ある本で、「小学校に入った子どもたちは、最初に『まってー!』と言うが、やがて言わなくなる」ということを読んだ記憶があります。
その趣旨は、「『まってー!』と言っても先生が待ってくれず、子どもは言っても意味がないと悟る。それほど、教えることが多い。」というものだったと思います。
私にとっては耳が痛い話です。
突然、この話を思い出したのは、子どもたちが強く「まってー!」と主張するからです。
「チャイムがなったから」と言っても、「給食の時間だから」と言っても関係なしです。
最後まできちんとやり通そうとがんばるのです。
そんな子どもたちの姿を見て、「この意欲を失わせないように子どもを育てなければいけないなあ」と強く感じています。
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運動会練習は子供にとっては忘れ得ぬ行事。1年生は興味津々で練習をしていました。
学級通信 なかよし 第14号 6月1日
がんばっています 運動会練習
日曜日の運動会まであと3日。
毎日の練習の量も増えてきました。
昨日などは1校時が全体練習(入退場、ラジオ体操練習)、2校時がダンスの練習、3校時が紅白玉いれの練習というように3時間連続になりました。
しかも、2校時のあとの休み時間は地区対抗リレーの練習、昼休みは紅白リレーの練習があり、多い子は5種類の練習をしたことになりました。
「つかれるんじゃないかな」「あきるんじゃないかな」と思っていたものの、そこは初めての運動会をむかえる子達です。
元気一杯に活動をしています。
特に私がほほえましく思うのは、「勝った!」という喜びを素直にあらわすという点です。
たとえば、昨日の紅白玉入れ。
はじめてということでなかなか玉が入りません。それどころか、上になかなかいかず、棒を支えている私にまっすぐに当てる子もいます。
それでもl、3分ぐらい続けると十個以上は入ります。
しかも、かわいらしいことに、「せんせい、はいったよ・・・・」と競技中にわざわざ言いにくるのです。
私からすれば、「言いにくるより、そのまま続けて投げた方が勝つのに・・・」と思うのですが、子供からすれば入った喜びの方が大きいのでしょう。
さて、時間が終了し玉を一つ一つ数えます。
相手方の玉がなくなり、こちらがあるとわかると、心の中で「勝った」と思い、そしてこちらの玉もなくなった時に喜びが爆発します。
たまたま、昨日は3回行ったうち2回勝ったので、子供達は「ヤッタ―!」といった感じでとびはねていました。とてもほほえましく思いました。
なお、お忙しい中、紅白玉を作っていただき、たいへん有難うございました。
また、玉が入っていたビニール袋等も学級で使いたいと思います。よろしくお願いします。
■よみきかせをしています
月曜日と水曜日は5時間授業で国語が2時間あります。
そこで、5校時の終わり10分ぐらいを本の読み聞かせの時間にしています。
ある本によれば、子供を本好きにさせるのは、この読み聞かせが一番のこと。というわけで始めています。
最初は私が「昔話」を中心に読んでいましたが、そのうち「もっとこわ~いおばけの本を読んでほしい」と要求されてしまいました。
「じゃあ、本屋さんに行って買ってくるから」と私は言ったものの、なかなか時間がとれずに買いそびれていました。
そうしたら、子供達が次々に本を自分から持ってくるのです。「先生、よんで」とです。
さっそく読みました。そして、学級文庫として本だなに置いています。
やはり、他の本と違い人気があるようです。
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家の人に学習状況を伝えることの大切さを意識して発行した通信です。
学級通信 なかよし 第21号 6月20日
わたしは、へやへおかしをもっていきました
国語の授業の最後に「わたしは、へやへおかしをもっていきました。」という文を書かせました。
この文を書くことができると、今まで学習したことがすべてきちんと習得できていることになります。
これは教科書に出ている文ですが、子供たちが間違えそうな点がかなりあります。
どんな点かというと、
1 書き出しは一マスあける。(マス目プリントに書かせましたから)
2 「わたしは」が「わたしわ」になる。同様に「へやえ」「おかしお」も。
3 「もっていきました」が「もていきました」になる間違い。
4 点や丸の書き忘れ。
というようにです。いくつものハードルをこえなければいけないわけです。
この中で比較的容易なのは2のくっつきの「は」と「を」です。これは、国語で学習する時点でかなりの子が「知っているよ」と言っていました。
それに対してむずかしいのが1、3です。
1に関しては、実際に私が文を読む前に、「書き始めも注意するんだよ」とヒントを与えました。それだけだったら、正答率はそれほどではなかったのでしょうが、それを聞いたJ君が「みんな、一マスあけるんだぞ!」と大声で言ったものですから、何と正答率100%でした。
(こんなところは1年生だな・・・と楽しくなってしまいます。)
さて、どれぐらいの正解であったか書きます。
1 すべてあったもの・・・9人
2 書き出しを一マスあけなかったもの・・・なし
3 「わたしは」を「わたしわ」とした子・・・なし
4 「へやへ」を「へやえ」とした子・・・13人
5 「おかしを」を「おかしお」にした子・・・2人
6 「もって」を「もて」とした子・・・9人
7 点や丸の間違い・・・2人
「へやへ」は発音通り「へやえ」と書いてしまいがちなのです。
また、「もって」というのは「っ」という発音があるということが理解しがたいのでしょう。
いずれにしても、このような基本的な作文ができるのとできないのとでは大きな違いがあります。
算数の文章題でも、読解力がないと問題が理解できないわけですから。
国語の授業では、毎日ノート1ページぐらいの教科書の視写(文をそのまま写す)をさせて力をつけさせようとしています。
しかし、今までの視写を行っただけでは、さきほどの結果からみるとまだ不十分のようです。
なおいっそうの習得をはかるように授業を進めたいと思います。
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