学級通信2年生版 その1
教師にとっては4月の入学式が「元旦」みたいなものです。1年生担任から持ちあ
がりの2年生。こんな出会いでした。
学級通信 ピーターパン 第1号 4月7日発行
教師にとっての「元旦」
■昨年度に引き続き担任をすることになりました。まずはよろしくお願いします。
(注:担任の自己紹介は学年通信に掲載済み)
■今年で教師稼業も8年目。2年生は2年前に前任校で一度経験をしています。
前年度に受け持った子たちを引き続き、担任することを教師用語で、「持ちあがり」 と言います。前回の2年生担任の時も1年生からの「持ちあがり」でした。
つまり、ここ4年間は「1年→2年→1年→2年」とずっと低学年を続けて担任して いることになります。
■学級通信名も「ガリバー」を卒業させました。1年間の子供たちの成長ぶりがすばらしく、もはや「たくさんの小人の中にいる大人」ではないと感じたからです。
でも新しい通信の名前になじむには時間がかかりそうです。なにせ、昨日も「1年生、はやく並びなさい!」と言って、子供たちに「先生、1年生、どこにもいないよ・・・(子供たちは2年生になったという自覚が強いようです)」と言われたほどですから。
■前置きが長くなりました。
1学期の始業式は、教師にとっても大きな意味を持っています。(もちろん、子供にとってもです。)
新しい「出会い」がそこにあるからです。3年生や5年生のように新しいクラスになった場合は特にそうでしょう。2・4・6年生のように、学級が変わらない場合でも、「進級するんだ」といった意識からやはりふだんとは違った気持ちがあります。
その意味では、昨日の始業式が教師にとっての「元旦」と言えます。
気分が一新するわけです。
■さて、昨日の紹介式。新しく転入された8人の先生方が次々とあいさつをします。
子供たちはいくぶんか緊張した様子でしたが、どこか落ち着きがありません。担任のことが気になるからでしょうか。
続いて1学期始業式。担任発表の時間です。1年生がいないので、2年生からの発表です。
教師自身は誰が担任になるか、もちろんわかるわけですから、興味は発表された瞬間の子供たちの表情です。「にこにこするだろうか。それとも残念そうな顔をするだろうか・・・」といったことを考えるわけです。
「2年1組は、佐藤正寿先生です。」
と校長先生が言った後、子供たちの前に立って、表情をみてみました。
ところが、ところがです。それほど、にこにこすることもなし、残念がるでもなし、言ってみれば「正寿先生になるのは当たり前」といった感じでした。(喜んでいいのか、どうか・・・)
■それでも、私としては2度目の「出会い」と考えて、教室で「2年生でがんばりたいこと」を全員に発表させました。
「算数の九九をおぼえることをがんばります。」
「やさしい2年生になることをがんばります。」
といった決意が子供たちから出てきました。私は一人一人が発表をするごとに、「そうだね。がんばろうね。」と声をかけて握手をしました。
■こんな感じの「元旦」でした。
まずは、「ピーターパン」をよろしくお願いします。
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「ちょっとした話」、まとめて時々発行します。この通信もその中の一つです。
学級通信 ピーターパン 第61号 6月20日
このごろ情報
■「パチ、パチ、パチ」
このごろ、とても気分がいいなあと思うのが音楽の時間です。
子供同士の認め合いが十分にできる時間だからです。どんな場面かと言うと、一人ずつ歌う時です。と言っても一曲すべて歌うのではなく、一部です。たとえば「たなばたさま」だったら、「ささのはさらさら のきばにゆれる」といったようにです。
この部分だけを途切れることなく、次々と歌うのです。さながら、「歌のリレー」みたいです。
いつからか、その合間(ほんの1、2秒ですが)に、友達の歌声を賞賛する拍手が起きるようになりました。しかも、私がいいなあと思うのは、「拍手なし」になる子がいないということです。(もし、いるのであれば私は即刻このことを止めさせようと思っています。)
これは、友だちのよさを見とめていることだから、できることなのでしょう。
「パチ、パチ、パチ」という拍手が増えるたびに、子供同士の絆が深まっているなと感じています。
■バースデー
この「人」クイズ。(先生から)
1 今日が誕生日です
2 四角です
3 みんながそうじの時に、1番ふれあっています
4 今年で119才です
朝の会で、子供たちに出したものです。
班で話し合わせたら、次のような反応でした。
「そうきん」「たいいくかん」「きんさん・ぎんさん」「まさとし先生」「学校」・・・119才というところがポイントだったのですが、私も年をとらされたものです。「きんさん・ぎんさん」は出てくると思いましたが、まさか私まで出てくると思いませんでした。
むかしの学校のようすは、どうだっただろうね。
と聞きました。
「かいだんなどが、古い板だった」
「ふむと音がしてた」
「まわりの建物が高くなかった」
「戦争をしていた」
「学生ふくだった」
「黒っぽいごはんだった」
「おにぎりが最高のごちそうだった」
といった答えが出てきました。けっこうお家の人から、昔の様子を聞いていることがわかりました。
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出張があるといろいろなことがネタになります。
学級通信 なかよしⅡ 第57号 9月17日
礼儀正さに驚く
先週の火曜日、水曜日は出張でした。それに関わることを記します。
先週の火曜日は貯金日なので、月曜日に貯金通帳の配布となります。
ところが、帰りの会では、私の頭の中は翌日から出張の連絡ばかり。「先生がいない時に一人一人の力がためされるんだよ」「困った時には、お互いに教え合ってね」といったことを話しているうちに、貯金日のことはすっかり忘れてしまいました。
貯金通帳が教室にあることに気付いたのが、子供たちが帰ってから15分後ぐらいです。すぐに、外で遊んでいる子を探したら、3人いました。さらに、上学年の兄姉等に頼んでどうにか残り12枚になりました。
「これぐらいだったら、すぐに配布できるだろう」と思って仕事を進めていたものの、翌日の出張の発表資料製作等で時間がかかり、配布し始めたのが6時半でした。行く先々で事情を話し、割と好意的に接してもらいました。
それよりも私が感心したのは、子供たちの態度です。夜に担任が家庭訪問をすることは珍しいので、たいていの子が家の人と一緒に出てきました。そして、多くの子が何も言わなくとも、「ありがとうございました」とお礼をするのです。
とんだハプニングから、違う子供の一面を見せてもらった感じです。
翌日の日記にも何人かの子が、私が家に来た事を書いていました。H君は、「先生は、せきにんかんがつよいんだなあ」と有難い感想を書いていました。
■出張にて
火曜日、水曜日の出張は北上で行われました。
5年間教職を経験した人が必ず受講する研修会です。私は昭和60年4月の採用ですが、同じ地区の小学校で同一校に6年間勤務している者は、同期採用では私のみでした。(確か十数名いたはずですが)
さて、今回は「話題提供者」という役割がありました。「自分にとって、1年生担任がとても貴重な体験であったこと」を中心に、今の学級経営について話をしてきました。やはり、6年間で1年生から6年生までの6学年すべてを担任するという経験には、驚かれました。
翌日、午前で出張が終わり、昼休みに学校に戻りました。
裏の駐車場で5人の子がお出迎えをしてくれました。さっそく、「〇〇君がせんせいのいうことを聞かなかったんだよ」と、私のいない時のことを教えてくれました。
職員室に入ってから、数分するとそうじの時間になりました。
少々トラブルを起こしながらも、自分たちの力でそうじをしようとしている子供たちの姿を見て、「やっぱり子供と一緒にいるのは、いいなあ」と心から思いました。
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低学年では、事故にあわないような配慮をいろいろとしたつもりです。それでも・・・。
学級通信 ピーターパン 第101号 9月3日
自己判断力をつける
「ちょっとおおげさな題だな」と思われるかもしれません。
しかし、自分の命にかかわる場面では、この自己判惰力はぜひ子供たちにつけたい力です。たとえば、遊び場所のことや遊びの種類でもそうです。誘拐などでも、同様でしょう。
昨日、避難訓練がありました。あくまでも「訓練」ですから、避難する際の行動様式を身につけることが第一です。それと共に、やはり非常事態での判断力(そのような行動をすべきかという判断)もつけさせたいものです。
さて、朝の会でのこと。子供たちには、その日に避難訓練があることは告げていません。いきなり、私は子どもたちに指示しました。
これからあることを調べます。すぐに、口にハンカチをあて、廊下に2列に並びなさい。始め!
予想20秒。ただし、完璧に並びおわるまでです。
ところが、ところが・・・・何とかかった時間は2分。
大きな原因はハンカチにあります。朝、運動着に着替えをする時に、私服にハンカチを入れたままにして、それをさがしていた子。ハンカチを持ってこなくて、友達に借りて手間がかかった子。
ただ、並ぶだけだったら10秒もかからないでしょう。しかし火災を想定した避難訓練ですから、ハンカチで口をおさえることが必要です。
このようなことのあとは、子供たちへの話も具体的にできます。
・火災の際には、1秒の時間も貴重であること
・いざという時のために、ハンカチは常にポケットに用意しておくこと
・火災の際には、窓をしめること
・移動の際の合言葉は、「お・は・し」
お・・・・おさない は・・・・走らない し・・・しゃべらない
といったことを話しました。
実際、どんな場合に非常事態になるかわかりません。学校にいる時でも、休み時間だったら、担任がそばにいるわけではありません。それだけに、それぞれが自覚をもった行動が必要なのです。
新聞やニュースで、小学校低学年の水の事故や誘拐のことを聞くたびに、実に悲しい思いをします。
一人一人の行動に全部つきあえるわけではありませんから、私にできることと言えば、「自己判断力の育成」になるわけです。もちろん、この一回の避難訓練のみでそれができるわけではありません。日常生活の中で、根気強く指導していきたいと思います。
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言葉のトラブルは低学年にはつきものです。その対処も担任の大事な仕事です。
学級通信 ピーターパン 第125号 10月6日
言葉のプレゼント
めずらしい日記が出てきました。
きょう、〇〇くんがわるぐちをいいました。1年生のときからいわれていました。〇〇くん、〇〇くん、〇〇くんがいっていました。バーカ、ドジ、エッチマン、くせっといいまいした。そしてないてかえりました。
全て友達への抗議です。このようなトラブルは教室の中では、考えられませんが、帰り道などには、私自身の経験からもあり得ることだと思われます。
さて問題はどう指導するかです。きっとそのトラブルのもとがあるはずです。まず、当事者の子たちにそれを聞きます。その様子によって、また指導の方向性は違います。
聞いてみると今回は、この子が何もしないのに悪口を言われたようです。
ここで、私がすぐに注意をしてしまってこの件を終わらせてもいいのです。しかし、このようなことが学級で表立って出ることは珍しいことなので、さらに発展して指導したいと考えました。さりとて1時間もとるようなことではありません。10分程度の指導です。
みんなにも、友達に悪口を言われた経験があると思います。その時、どんな気持ちでしたか。いやだったでしょうね。
反対に、友達にいろいろと励まされてうれしかったこともあるでしょう。言葉一つでいやな気持ちになったり、うれしくなったりするのです。
(「ことばのプレゼント」と板書してから)どうせなら、友達が喜ぶことばをプレゼントしましょう。
そして、子供たちが言われたことのある「いやだった言葉」と「うれしかった言葉」を考えさせました。
★いやだった言葉
ばか、あほ、まぬけ、エッチ、おまえの母ちゃんでべそ、チンドンヤ、ドジ、ブス、なによ、ベー、ばかやろう、ぶっころすぞ、かば、げり、でめきん、カス、デブ、ガリガリ、しね、なかまにいれない、へんたい、いいかげんにせんか、大ばかやろう、ちび、からすのカーカーばっかじゃない、おたんこなす、まんねんボケ、ねしょうんべんたれ、大食い・・・・・・
★うれしかった言葉
ありがとう(ほぼ全員が書いていました)、ごめんなさい、すごい、てんさい、ともだちになって、おしえてね、いっしょにあそぼう、おめでとう、いつまでも友だちでいようね、ごくろうさま、あたまがいいね、かしこいね、だいじょうぶ、サンキュー、うまい、がんばったね、かわいいね、しんせつだね、なかよくしようね、またあおうね、できたね、よかったね、ていねいだね・・・・
「ことばのプレゼントは、ただです。何回やってもです。そして、友だちに喜ばれます。さっそくプレゼントしましょう。」と言って終えました。それにしても、子供たちの「うれしい言葉」、いいです。私も心がけたいです。
(誰が悪口を言ったかは聞かないでください。いったん、解決したことなので。このピーターパンが「叱るネタ」にならないようにお願いします。)
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