4年生学級通信 その1
【HP移行に際してのリバイバル掲載です】
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★私が日々話していることの中からの素材です
学級通信ホップ・ステップ・ジャンプ 第186号(2月6日)
賢さが子供を伸ばす
■一昨日の午後は私が出張の日でした。
研究会では、算数・数学の個人研究の発表を聞きました。3人のうちの お一人がおもしろ数学の課題をレポートに書くという内容で、なかなか興味深い内容でした。
実例として8人の子供たちの作品があげられていました。それを見て、胸にこみあげてくるものがありました。そのうち4人の子が、小学校時代に 私が担任した子供たちだったからです。
発表を聞きながら、その子たちの小学校時代の様子が浮かんできました。不思議なもので、エピソードや会話までが鮮明に浮かんでくるのです。時間を超えてタイムスリップしたような感じでした。
それくらい子供たちの様子は教師の心に刻まれています。
■さて、昨日学校に行って、私が不在の時の様子を子供たちに聞きました。
するとそうじ時間に、具合が悪くて吐いてしまった子がいたとのこと。体のことですから、それ自体は仕方のないことです。
感心したのは、その子のとった行動です。
すぐさま、近くにあった防火用の砂を吐いた所にまいたとのこと。確かに、ティシュやぞうきんでふいてもあまりうまくいきません。砂をまいて、それをほうきで集めれば、処理に時間がかかりませんし、においも残りません。事実、他のそうじ区域だった子供たちは、そのようなことがあったこと知らないくらいです。
■ その機転のきいた行動に感心した私は、子どもたちに聞きました。
「もし、君たちが同じように具合が悪くて吐いてしまったら、どうしますか?」
かなりの子が「わからない」「困ってしまう」と答えました。
そこで、子供たちに「かしこい人」について話しました。
「かしこい人」とは、勉強ができるという意味とはちょっと違います。何か困った時に、自分でどうしたらいいかわかる人のことです。
ふだんの生活の中で、いろいろと考えなければいけないことがあります。
そんな時に、どうしたらいいかしっかりと考えることができる人です。
■ たとえば・・・・ということで、次のように聞きました。
君たちが1階廊下を歩いていました。玄関からお客さんがきました。図書室がわからないようです。君たちが、「図書室はどこですか?」と聞かれました。君たちはどうしますか。
もう4年生ですから、このような場合にもきちんと応じる力はあると思います。すぐに出てきた答えは2つでした。
・「ついてきてください」と言って、一緒に行く。
・その方向を指差して、「階段をのぼって3階まで行って右側にあります」というように詳しく説明する。
私は、「すぐにそのように考えることができれば、かしこい人です」と話しました。
このようなかしこさは、きちんと学習できることと同様に大切と私は考えています。
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子どもたちのトラブルも、「子どもたちのよさ」の発見につながる場合がありま
す。だから「トラブル」があった時は、場合によって「チャンス」でもあります。
学級通信 ホップ 第27号 5月17日
水槽がこわれた!
■「先生、4年教室の水槽がこわれて、水が教室に流れています!」
昨日のそうじの時間、1年生の教室掃除の手伝いをしていた私にSさんとMさんが教えにきてくれました。
1年生にはまだ掃除が大変ということで、4年生が掃除をするシステムになっています。4年生の教室から1年生の教室までは結構距離があります。だから、二人とも少し息がはずんでいます。私がすぐに教室に向かおうとすると、今度はD君が「大変!大変!」ととんできました。
■「教えてくれてありがとう」とまず言いました。
そもそも、水槽が割れるという経験は初めてです。廊下を歩きながら、いくつかの心配をしました。
・教室が水浸しで、学習用具等にも被害がいったのでは?(水槽はカラーボックスや ロッカーの近くにありました。)
・ガラスが割れたのだから、ケガをした子がいる可能性もある。
・何よりも、子どもたちがパニックになっているのでは?
■不安げに行ってみると、子どもたちはぞうきんで水を絞り、バケツにどんどん水を入れていました。その行動も落ち着いたものです。まずは、一安心。
そんな中でH君が「魚は大丈夫かな?」とつぶやきました。私は、ハッとしました。割れた時に、魚のことは思いつかなかったからです。子どもの生き物に対するやさしさです。
「そういえば、魚は?」
あわてて聞くと、ちゃんともう一つのバケツに入れていました。
■「さすが4年生、こんな時にもきちんと対処できるんだなあ」と感心して、割れた水槽を教室から持ち出しました。
戻る途中、廊下でY君とNさんと会いました。プラスチックの水槽を持って、「先生、これをさがしてきました。使っていいですか?」と聞きます。
学校でいくつか買っておいたものの一つです。二人の頭の中には、「魚がバケツの中だったらかわいそう」という考えがあったのでしょう。そして、水槽探しの行動にうつったのでしょう。そのやさしさと自主性。
■次から次へと子どもたちのやさしさが出てきて、私はうれしくなってしまいました。5時間目のはじめに子どもたちに、そのうれしさを話しました。
みんなも知っているように、学級の水槽がこわれてしまいました。
水槽はなくなってしまいましたね。でも、それよりももっともっと大きなものを得たような 気がします。
それはみんなの「やさしさ」です。教えにきてくれた人、一生懸命に水をとってくれた人、 魚のことを心配してくれた人、別の水槽をもってきてくれた人・・・みんなやさしいです。
そのやさしさに拍手を送りたいと思います。
■ところで、なぜ水槽が割れたのかと思った方もいると思います。自在ぼうきの棒の部分が間違ってあたってしまったのだそうです。もちろん、責められることではありません。
でも、帰りの会、その子から「ぼくが、間違って水槽をわった時に、みんなが手伝ってくれてありがとうございました。」と感謝の言葉を述べてくれました。それが自然に出てきたことにも拍手です。
■ハプニングがあっても、それが時には道徳教育のいいチャンスとも言えます。そんなことを感じました。
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子供たちのちょっとした様子や変化のことを書いた通信は、親御さんがよく読みます。
学級通信 トゥモロウ 第7号 4月13日
ささいなことも喜びです
毎日子供たちと生活をしていて、微妙な変化(いい面)やささやかな成長が見られる場合があります。それは、どんなささやかなことであっても、教師にとって大きな喜びです。今日は昨日の出来事から、その喜びをいくつか拾ってみました。
■「どうぞ!」「ありがとう!」
昨日の給食のこと。
当番の子供たちが一人一人に対して、「どうぞ!」と声をかけて給食を渡していました。それに対して受け取る方も、「ありがとう!」「はい、どうも!」と明るく受け答えをしています。何ともほほえましい光景です。
実は子供たちとの出会いの日に、一つ布石を打っておいたことがあります。それは、「どうぞ・ありがとう作戦」です。プリントを配布する時に無言で後ろに渡す子供たちに次のように言ったのです。
プリントを後ろに渡すときにには「どうぞ!」と言って渡しましょう。もらった人も明るく「ありがとう!」と言おうね!
ささいなことです。プリントの受け渡しには「どうぞ」と言おうが言うまいが、何ら変わりありません。
しかし、これを毎日続けているうちに子供たちが気軽に「ありがとう」と言えるようになるから不思議です。それが1週間後の給食で出てきたのです。
これは、私にとっては大きな喜びでした。「ありがとう」がたくさん出てくる学級になってほしいからです。言ってくれた給食当番の子たちにありがとうです。
■自分たちの力でやりきった!「1年生を迎える会」
これも昨日の話題です。「1年生を迎える会」がありました。この会で各学年で出し物をします。先週の木曜日から取り組んで2週間で出し物を完成させました。
内容は「〇×クイズ」と「劇・ドラえもん」です。実はこの二つとも、私はほとんど手をかけませんでした。子供たちなりに今までの経験から内容を決めました。特に劇は、短い時間の中で配役を決め、大まかな劇の流れを決め、さらに実際の練習をしました。練習風景を見ていると、ワイワイガヤガヤと言い合っていました。そこに、「自分たちで成功させるんだ」というパワーを感じました。
この自主性があれば、学級の係活動も楽しみです。
■必死に練習、交通安全教室
延期になっていた交通安全教室をしました。
実際の自転車練習では、手信号がなかなかうまくいかなかったり、左端に寄ることがなかなかうまくいかなかったりといった面が見られました。しかし、何度も練習をして路上での運転も大丈夫になりました。
さて、昼休みの校庭では4年生の子供たちの自転車練習の列が続けていました。安全教室だけでは練習不足と感じたのか、自主的に練習をしているのです。
この意欲ぶりにも拍手です。
ささいなことでしたが、これまた大きな喜びでした。
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大きな行事にはいろいろな裏話があります。
学級通信 ホップ 第35号 5月26日
運動会余話
■一昨日の運動会、天気がよくて何よりでした。
練習の時には、半袖で寒い日もあったのですが、本番は半袖短パンが本当に気持ち よかったと思います。
私も半袖でいたら、腕時計のあとをのぞいて日焼けのあとがくっきり。実はこの日焼け、 私の運動会の楽しみ?の一つです。もう一つの楽しみは、昼食後に水分補給をしないこと。こちらは、反省会でのビールの一口目を最高に味わうためにです。
今年の運動会は両方ともでき、私にとっては大満足でした。
■さて、ふだんの練習通りに実力を発揮すれば、運動会での子供たちは心配ないと思っ ていました。練習段階で天候に恵まれ、順調に仕上げることができたからです。
ところが、ハプニングは予期できないものです。団体競技の「アレーすい星」で、事前に準備していたフラフープの色が違うことに気付きました。チーム別にフラフープの色を「赤・青・白・黄」にしていたのですが、実際に出てきた色が、「黄2本、白2本」でした。「あれ?」と思ったのが、スタート直前。子供たちは、次に渡す人をもちろん覚えてはいるものの、今まで慣れた色のフラフープを見て間違う子もいるのでは・・・と不安がよぎりました。
でも、フラフープを変えるには時間がありません。せっかくテンポよく進んでいる運動会にも水をさすことになります。
■子供たちの力を信じてスタートです。
無事アンカーの子までトラブルなくリレーできた時にはホッとしました。
考えてみれば、一番時間をかけたのが団体競技でした。その分、「いざ」という時に力が発揮できたのだと思いました。これが、中途半端な練習だったら、トラブルがあったかもしれません。
■さて、私は今年は審判係でした。順位を判定したり、その順位の子を並べて座らせたり、等賞リボンをもらいに行かせたり・・・という仕事です。仕事自体は高学年の子供たちがしますが、一番忙しく動かなければいけない係でした。
特に徒競走。
ゴールして、ゴールテープが少しからまってしまった。あわててとったら、もう10m前には次の人たちがかけこんできていた。そんなあわてる場面もありました。
まさに時間との勝負。一瞬の判断が要求される中で、子供たちはよく動いていたと思います。
今の4年生の子たちも来年は、この係活動をすることになります。きっと嬉しそうに活動するだろう・・・そんなことを考えました。
■運動会には中学生も見にきます。
私は、現在の中学校2年生の子どもたちを担任しました。昨年は、卒業したてということでかなりの子供たちが見にきていました。(今年は、かなり少ないだろう)と思っていたら、それでも10人くらいの子供たちと会いました。
係の仕事についていたので、十分に話す時間はとれなかったものの、「〇〇くんと同じになっちゃたのよ。6年生の時と同じように(その子を)鍛えているから。」と元気な女の子の話を聞いて、思わず小学校時代の様々なエピソードを思い出しました。
卒業生に会える・・・これも元担任からすれば大きな楽しみです。
■ いずれ子供たち一人一人のがんばりぶりがよく見えた運動会でした。
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★社会科でこんな形の学習をしてみました
学級通信 ホップ・ステップ・ジャンプ 第176号 1月24日
沖縄に引っ越しするには 1
社会科で、暖かい地方の沖縄の学習に入りました。自分たちが住んでいる岩手とは、同じ日本でも気候、風土、農産物等いろいろと違いがあります。教科書を読んでその知識を得るだけでもおもしろいのですが、ちょっと工夫をしてみることにしました。
あなたたちが、岩手から沖縄に引っ越すことになりました。引っ越しする時にはいろいろと大変です。持ち物や家のこと、仕事のことなど考えなければいけません。
今日は、引っ越しの持ち物を考えてみましょう。
まず、どんな服を用意したらいいですか。
沖縄はあたたかいということを子供たちは知っていますから、「半袖、短パン」といった夏向きの服がどんどん出てきました。
さらにおもしろいものとして、「水着」「ダイバースーツ」も出てきました。「どうして?」と聞くと、「沖縄の海がたいへん美しく、サンゴ礁があるから、それを見る」とのこと。確かにそうです。
「マフラーやジャンバーは必要ないですか」と聞くと、「必要ない!」という答え。それはそうです。昨日の沖縄の最高気温は20度ということですから。
その他に、沖縄にぜひ持っていきたいものは何ですか。
沖縄の気候に合わせたものが続々と出てきました。
・サングラス、麦わらぼうし、うちわ、せんぷうき、クーラー(暑さ対策のもの)
・台風が来た時に家に打ちつける板、ラジオ、カッパ(台風対策)
・雪(沖縄には雪がふらないので、ぜひ見せたい)
・地図(全く見知らぬ土地の行くので必要)
このほかにも、虫網、うきわといったものが出てきました。
こんな形で、引っ越しをする時の持ち物を考えていく中から沖縄の気候の様子がみえてきました。
今度は、引っ越しをして実際に家を設計するお話です。これまた気候に合わせるわせた家になるわけで、どんなアイデアが出てくるか楽しみです。
■このあと、次号では引っ越し先の検討、家の設計、仕事選びをしました。教科書と 地図帳をもとに楽しい学習になりました。
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子供たちが進んで活動をした時には、ついその様子を学級通信に書きたくなってしま
います。
学級通信 トゥモロウ・2000 第54号 6月24日
自主的に、自主的に
■子供たちが自主的に活動をしてくれる時ほど、うれしいことはありません。たとえば教室のすみにゴミが落ちていて、それを拾ってくれた時。窓を進んであけてくれた時。
そんな小さいこともうれしいものです。
それとは別に、「自分たちの学級で、こんな企画をしたい。そしてそれを実現したい」 という大掛かりな活動を自主的に行ってくれることもうれしいです。それは、子供たちに 「自主性」という力をつける点でとても大切だからです。そして、それを実現させるための システムを作っておくことが教師の役割です。
■教室に「プラズマ・ボックス」があります。学級に対する提案、意見や悩み等を入れる箱です。「プラズマ」は子供たちから決めたキャッチフレーズからとりました。ここに入れられたものは毎週月曜日に取り出し、朝の会や学級会で取り上げられます。「給食をグループごとに食べたい」という希望もそこに入っていました。
■今まで給食は勉強の時の席と同じでした。それを変えたいという希望です。さっそく学級会で取り上げました。議題は「給食の席を工夫しよう」です。
子供たちが工夫のアイデアを出し合います。
・好きな人と食べる ・男女別にして食べる ・学級を半分のグループにして向かい
合って食べる ・輪になって食べる ・班ごとに食べる 等
■先に出たアイデアから「いくつにしますか」と議長が聞きました。
私からすれば「全部いいです」というようになっても構わないのですが、子供たちは「3つがいいです」が圧倒的。1週間に5回の給食と考えると、「いつも通りの席での給食」も2回あった方がいいのでしょう。
一番最初に選ばれたのが「男女別に食べる」です。次が「向かい合って食べる」ものです。
ここまではすんなりです。あと一つが大変でした。「輪になって食べる」派と「好きな人と食べる」派で完全に、真っ二つに分かれたのです。
■「輪になって食べる」派の主張は、「好きな人と食べるとなると、残る人が出てしまうかもしれない」ということです。それに対して「好きな人と食べる」派は、「そういう時には入れればよ い」と反論します。
片方の主張が出るたびに、「よし!」という声が出たり、拍手が出たりと白熱した討論です。意見が出尽くしたところで、教師の出番です。「どちらの意見も取り入れた形で新しい提案は ありませんか」と言いました。「輪になって、好きな人と食べる」という意見が出て、みな納得です。
■ さっそく昨日の給食から工夫した席で給食を食べ始めました。ふだんと違う雰囲気に、みんなにこにこ顔です。話題も盛り上がっているようです。
私からすれば一人のささやかな提案から、みんなが真剣に考え、決まったことを実行する・・・それができたことがうれしいです。そこにみんなの自主的な姿が出ていました。今回だけではありません。これからも、きっといろいろな活動が生まれてくることでしょうね。
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