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April 2016

2016.04.30

アメリカ研修記1

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

「インデペンダンスをめざして ~一教師のアメリカ研修記」
 
  ここに書かれている内容は1993年に私がアメリカで研修したことを記しています。当時のお世話になった皆さんに、研修のお返しでミニ冊子にしたものです。今になって、ホームページという表現手段によって、陽の目を見ることになりました。当時のまま、掲載します。なお一部、補筆をしています。

まえがき

 1993年9月22日。
 アメリカ合衆国のオレゴン州ポートランドに向けて飛行機は成田を飛び立った。
 いよいよ2ヶ月にわたる文部省若手教員海外派遣研修が始まったのである。

 この研修の連絡を受けたのは、その年の6月だった。家庭訪問期間中なのに、教育委員会に来るように言われた。
 行ってみると、教育長に「おめでとう。海外研修に選ばれました。アメリカ合衆国、オレゴン州です。」と話してくださった。
 それから研修まで、あっという間に月日が過ぎて行った。筑波での4日間のオレゴン団の研修、2ヶ月間の滞在のためのこまごまとした物の準備、学校の仕事の引継ぎ等々。
 英会話の勉強をしておこうと思ったものの、結局は満足にはできずじまいだった。
 そんな中で突入した海外研修。不安な気持ちはすぐに吹っ飛んだ。同じオレゴン団の仲間がいたからである。

 さて、研修は大きく3つに分かれていた。

■最初の10日間・・・・今回の研修のためのオリエンテーション(ポートランド)
■次の30日間・・・・・・ホームステイ―をしながら、小学校に実際に通う。(ポートランド)
■最後の20日間・・・・各地の教育施設での研修。(ポートランド、ワシントンDC、ボストン)

 地方の一教師にとっては、2ヶ月の研修は毎日が新鮮であり、カルチャーの連続であった。
 このエッセーはその時に感じたことを記したものである。

 今や海外にどんどん旅行に出かける時代である。
 アメリカ合衆国の見聞録といっても珍しくない。
 しかし、私は旅行者としてではなく、短期間ではあるが実際に住んだ人の眼でアメリカ文化に接することができた。また、小学校研修にしても単なる参観者ではなく、授業者という立場になることができた。

 そのような視点からの研修記ということを意識して書いたつもりである。
 ここに書かれていることが、海外の様子、あるいは海外の教育を知る上で、少しでも参考になれば幸いである。

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2016.04.29

授業の話は楽しい

授業参観の前日の夜に各教室を見回っている時に、一人の先生が星野富弘さんの授業を扱うこと知った。
教室に置かれていたカレンダーで知ったのだった。
自分もかつて同じ教材を使って授業をしたことがあった。その時のことを一気に思い出した。
そして、「本校出身の人で実際に会いにいったことがある人がいますよ」と話をした。すぐにPTAの書籍を探しに行って、関係書籍を手渡した。
その先生は驚いて、「明日の授業で使ってみます」と話した。その事後報告も楽しいものだった。
やはりこのような授業の話は楽しい。

当時(2005年)の学級通信に授業記録があったので、一部掲載。

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 星野さんは「練習をすればいつかきっと字が上手になる」と話しています。
この後、星野さんはどうなったと思いますか?

と聞きました。
 みんな「字が上手に書けるようになった」と言います。
 そこで、「星野さんは努力をして、このような文字を書くようになりました」と言って、右の作品を見せました。
 子どもたちから驚きの声が上がりました。「さっきの字と違う」「上手」という声です。
 さらに私は付け加えました。

文字だけではありません。この花も星野さんが描いたものです。

「エー!」と驚きの声が一斉に出てきました。それはそうです。文字だけと子どもたちは思っていたのですから。
「ふつうに絵をかくよりはるかに上手!」
「口でかいたとは思われない!」
という感嘆の声が次々と出てきました。
 そして、星野さんの展覧会が全国各地で開かれてきたこと、今は海外でも展覧会が開かれていること、水沢小の先輩が小学生の時に実際に星野さんにお会いしていること等のエピソードを話しました。
 さらに他の作品も紹介しました。「そういえば見たことがある」「おばあちゃんの家にあったと思う」という声が聞こえてきました。確かに絵はがきやカレンダー等で市販されています。

 今群馬県に星野富弘さんの美術館があります。これからみんなで見に行きましょう。

 「どうやって?」「あ、わかった。インターネットだ!」と子どもたち。
 さっそく「星野富弘」でキーワード検索をして「富弘美術館」にアクセスしました。(これは子どもたちにものちほど見てほしいと思ったからです。)

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この時は確か雑誌の一日取材の日だった。一生懸命にあれこれICT活用をして実践していた頃だった。

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2016.04.28

副校長通信

副校長通信を週に1回程度発行し続けている。
さまざまなスタイルがあると思うが、今年は「学級びらき」「授業参観」といったように、先生方のヒントになるような具体的なものになればいいなーと思う内容にしている。
たとえば、授業参観では次のようなことを記した。

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1 保護者はどこに注目する?

 23日は今年度初めての授業参観。保護者は何を参観するでしょうか。
 一番注目するのは我が子の様子です。
どんな学習ぶりなのか。ちゃんと発表できるのか。どの子たちも活躍できる参観授業なら、保護者の期待に沿うことになるでしょう。

 また、担任にも当然注目します。
どのような先生なのか。わかりやすく考えさせる授業なのか。この先生で学級はどんな雰囲気になっているのか。掲示物は…。
我が子と同じぐらい熱い視線を担任に注いでいるでしょう。
 保護者からすると初めての参観授業は、このような「どの子も活躍」「保護者が信頼できる授業や学級経営」という視点が大切です。
この視点に沿った授業構想や環境整備、事前の準備をしたいものです。

※「保護者の前だといつも以上に緊張すんだよなー」という先生もいると思います。裏面に「緊張しないトレーニング」の記事を掲載しました。保護者は味方です!!

2 掲示物のチェックを!

 授業参観日には何らかの子どもたちの掲示物が貼られるでしょう。
保護者はまずは我が子の作品を真っ先に探します。事前にチェックしたいのは、次の点です。

〇 全員分貼られているか

 かつて参観日で一人の子の作品が掲載されておらず、その保護者との関係を修復するのに苦労をしたという知人の先生がいました。
 また、清掃後で雑巾の後始末が不十分だったり、黒板下にチョークの粉が落ちていたりといった面も意外と盲点です。
服装と同じように清潔感のある教室環境にしていきましょう。

廊下等の掲示物も季節外れのもの、古いものは、誰も見ていなそうなもの(これが一番多いかも…)はとっていきましょう。スッキリした学習環境が子どもにとっては一番です。(うば杉ホールもスッキリして静かになりした。ありがとうございました。)

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いわば「事前」の通信である。かつての自分の原稿も活用しながらお知らせしたいと思っている。


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2016.04.27

学級通信名

「何がステキな名前ですね…」
学級通信・学年通信のチェック&学校ファイリングを担当する先生がつぶやいた。
思わず私ものぞき込む。自分の場合には、そのファイルを見て、各学級の通信を知ることとなる。
定期的に見てはいるが、通信名まではそれほど注目はしていなかった。

その通信名は「縦糸・横糸」であった。
まさに教師が描きたい学級の理想像がそこにあった。(その意味は、学級経営について学んでいる人ならすぐにピンと来るだろう。)
周囲の先生方は、「どういう意味?」と言っていたので、少しばかり雑談。職員室でこういう話ができるということは、嬉しいことである。

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2016.04.26

ICT活用ミニミニプレゼン

先週の校内研のあとに、時間をいただいて10分足らずのところで、ICT活用にミニミニプレゼンをした。
担当者からの依頼である。

10年ほど前にかなり整備した関係で、本校にはプロジェクタや実物投影機が何セットかある。
大型モニターも学年一つはある。
学力向上のために効果的に活用できれば…という意図で行った。

今回は「実物投影機を使ってみましょう」というテーマ。

・ICT活用状況の把握(挙手で簡単に)
・自分のICT活用の位置づけ(「名脇役」)
・実物投影機のミニ実演(教科書、作文用紙、鍵盤ハーモニカを提示)
・活用8事例のスライド提示

10分足らずだったが、興味づけの内容にはなったと思う。これから実際に活用していく学級の紹介をしていく予定である。こちらも焦らずにやっていこうと思う。

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2016.04.25

これも縁

現任校は自分がかつてお世話になった上司との関係もある学校である。

初任校時代、そして2校目時代というように、若き頃にお世話になった校長先生方が学校評議員や地域の見守り隊で縁がある。

この4月、入学式や見守り隊紹介の式ですでにお会いした。お二人とも80代前半であるが、大変お元気であった。
自分が20代終わりから30代前半にかけての時代。
今考えると仕事にも自信をもってきて、「どんどん実践を積み重ねていこう」としていた時代だった。後輩たちもどんどん入ってきて、学年では主任となってリードすることを任された時代だった。
きっと生意気な言動が多かったに違いない。

それでも上司の先生方には温かく見守って、激励された記憶しかない。

初任校時代の校長先生は、受付でお会いして軽い挨拶した後に、背中をバーンと叩いて激励をしてくださった。まさに「背中を押してもらった」感じである。有難い縁である。

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2016.04.24

学級通信は教師として生きている証しである

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

■教研レポート  学級通信は教師として生きている証しである

★このレポートは1997年の県教研に出したレポートです。当時のまま掲載をします。ただし、レポートでは多くの学級通信を資料として添付をしたが、ここでは略します。

1 なぜ学級通信か ~学級経営の武器として~

 現任校に赴任してきて7年目。毎年200号を越える学級通信を発行してきた。
ほぼ日刊のペースである。この学校に来て、トータルの発行枚数は1300号を数える。
 そもそも学級通信を発行するようになったきっかけは、「自分の学級経営の武器」としてであった。
 初任の学校は学年2クラス。同学年で組む先生は40代のベテラン教師。父母の信頼も厚い。授業も上手であり、子供たちの力を確実に伸ばしていた。
 それに対して自分はどうだろうか。授業の力は未熟。若いから子供たちと触れ合う時間は長いものの、満足のいく学級経営ではなかった。
 それならばと取り組んだのが学級通信の発行である。その学校では、通信を出す先生方は少なかった。これを武器にして学級経営をしようと考えたわけである。
 それを継続していくうちに、学級通信は自分にとって、「教師文化を創る」という考えに至るようになってきた。ここで言う「教師文化」は次のようなものである。

 自分の実践が日常的になり、その実践が子供たちに還元して行く活動

 自分が発行する学級通信が、教師自身の自主的な実践活動のおおもととなり、そして、やがてそれが子供たちに自身に生かされていく・・・その過程すべてが「教師文化」なのではないかと考える。

2 文化を創る6つの視点

① 実践記録としての学級通信
 我々教師にとって実践記録を残すことは非常に重要である。しかしながら、現実的に記録に残す時間の確保はなかなか難しい。
 学級通信に、学級の授業記録や学級経営の記録を載せるのは一つの方法である。
 資料を掲載することにより、自分の実践が蓄積される。これは同学年を担任した時に大いに役立つ。また同学年の先生方にも通信を配布しているので、追試してもらうことも時にはある。そこから、教師同士の実践の交流が生まれる。
 もちろん、親御さんからも「授業の様子がよくわかります」という声をいただく。授業参観以外は親御さんも授業を見る機会がなかなかない。そういう意味でも貴重である。

② 学級通信は子供を見る目を育てる
 通信では全員の子供の様子をのせたい・・・そう思うのは当然である。しかし、よく話す子や行動が目立つ子に教師の目は行きがちである。
 一人一人の様子を改めて学級通信に書こうとすると、自分がいかに子供たちを深く見ていないかがよくわかる。
 逆に考えれば、「全員の子を学級通信にのせよう」と意識化することにより、子供を深く見ることになる。学級通信が子供を見るための効果的な一手段となっているわけである。

③ 学級通信は父母との交流を深める 
 父母との交流を深めるには様々な手段があるだろう。学級通信はその中で大きな存在である。次のような点に配慮をしている。
・学級通信はあくまでも学級全体を対象としているので、並行して個人カード(一人一人の光る点をカードに記入)として出す。
・通信には子供たちのよさを掲載する。問題点は特例を除き控える。
・父母からの投稿は歓迎するが、強制することは避ける。

④ 学級通信は子供の成長の足跡を刻む
 学級通信には、子供たちの作文や詩といった作品をどんどん掲載するようにしている。
 「1枚文集」みたいなものになる。現実的に文集を出すには手間ひまがかかる。1年間に1回発行するのが通常である。それが学級通信という手立てをとれば、子供たちの作品を気軽に伝えることができる。1年間通して掲載すると、子供の成長の足跡にもなる。
そして、それは時には授業の指導にも生かすことができる。

⑤ 教師としての軌跡を綴る学級通信
 私の通信の大きな特徴の一つに、節目となる号(50号、100号等)に、今までの教師人生で印象に残るようなエッセーを載せるということがあげられる。
 いわば教師としての自分史を独白するようなものである。
 学級経営や授業の内容からは離れるものの、自分の教育論を理解していただく点では、大いに役立っている。
 これらのエッセーは、親御さんよりもむしろ教師仲間からの反応が多い。特に先輩方から「若い頃、似たようなことがあった」といった声が時としてあり、教育談義の場となりうる。

⑥ 学級通信は子供たちへのメッセージとなる
 毎年、学年末の学級通信は子供たち一人一人へのメッセージと決めている。
 通信表とは別の、1年間で思い出に残ったことを本音でズバリ書く。いわば、私からの「贈る言葉」である。
 子供たちはその学級通信が配布された瞬間、自分の部分を食い入るようにして読む。自分のものだけではない。友達のものも読んで「そういえば、そうだったよな」といったセリフも飛び交う。私にとって嬉しい瞬間である。

3 学級通信作成法

 時々他の先生方に聞かれる。
「どのようにして学級通信を作っているのですか」「家で寝ないで作っているのですか」
 日刊で発行しているからそのように思われるのであろう。担任としてのあき時間はない。放課後もいつも自由に使えるわけではない。
 しかも、学級通信は学級経営の重要な武器ではあるものの、当然のことながらそれのみに専念するわけにはいかない。あくまでも、教材研究や児童理解が優先なのだから。
 では、どのようにして通信を作成しているのか。その方法を記す。

① ワープロの活用
 通信はワープロである。手書きの方が温かみがあるのはわかるが、そのような形だと今の3分の1も発行できないであろう。だから発行部数を優先させている。
 ワープロの便利な点は、何といってもメモをそのまま通信に使うことができるという点である。
たとえば、授業のプランをワープロに保存しておく。発問やその意図などである。それを授業でそのまま実践する。そのプランのメモに、子供たちの反応や様子を肉付けするだけで学級通信ができていく。
 また、板書も次の授業の合間2分ぐらいでワープロに打ち込む。後で、授業の様子を詳しく打ち込むといった方法でもできる。実に便利である。

② 細切れ時間の活用
 1時間の通信に費やす時間は20分~30分程度である。しかし、学校の中でこれだけのまとまった時間は放課後以外には考えられない。休み時間は、休憩したり子供たちと触れ合ったりする時間である。その放課後も、様々な仕事でできる日も限られている。
 しかし、「会議まで10分」といったような細切れ時間は必ず存在する。それらを積み重ねて一日合計20分の時間を生み出すのはわりとたやすいことである。その積み重ねの中で学級通信を作っている。

③ カット・見出しは必要なし
 限られた中で作る通信であるから、カット・見出しの工夫といったものは一切とらない。思ったことをひたすら記す。それで十分に思いは伝わっている。

④ ネタの発想はどんな場でも
 短い時間で仕上げるためには、書く内容が決まっていなければいけない。そのために、通信の内容は頭の隅でよく考えている。会議中でも、ひらめいた時にすぐにメモをして実行するようにしている。

4 再び、なぜ学級通信か
 
 「なぜ自分は学級通信を出すのか」。こう自問するのならば、次のように答えるであろう。
  学級通信は教師の文化を創る。教師の文化を創ることは、自分が生きている証しなのだ。
 通信を出す一方大切なのは、私たち教師が「自分たちの文化を創る」という意識を持つことである。そうすることにより、教育活動の質も高まっていくであろう。

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2016.04.23

学級通信 私の定番

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

■家庭訪問記
家庭訪問で聞いた一人一人のよさを2つか3つ記す。一日の訪問は7~10人。
1号にまとめるにはちょうどよい。事前に「お子さんのよいところを3つ教えてください」とお願いしておくことがコツ。「なかなかないんですよ・・・」と言いながらも、うれしそうに話してくれる。

■運動会ミニガイド
運動会前日あたりに、見てほしい種目と理由を一人一人掲載する。そのまま運動会ミニガイドとなる。これは、学習発表会ミニガイド、文化祭ミニガイドとしても応用することができる。

■運動会余話
取り組みの長い行事ほど、いろいろなエピソードがあるもの。そのエピソードを行事終了後に伝える。親御さんの理解が深まる。

■親御さんの声・声・声
学級通信といえども、なかなか親御さんの反応がないのが普通である。しかし、最初の参観授業はチャンス。学級通信等に書く用紙を添付しておき、依頼をする。それを「ありがとうございました。・・・・」といったコメントつきで紹介する。

■出張記
他校紹介といった気軽な感じでかく。特に県外の学校は、一種の旅行記みたいにいつも書いている。

■節目の号は特別エッセー
50号、100号といった節目の号は、今までの自分の教師人生での特別エッセー。親とともに同僚の教師にも好評である。

■学期初め号
「2学期初日」「2学期2日目」といったように、学期初めの子供たちの様子を追うもの。
  
■子供ウオッチング
一日の中で一人一人の子供の特徴的な動きを紹介する。必ず全員分を載せるので、この日は子供たちの見方も深まる。ネタがない子も大丈夫。教師が声をかけて、その反応を記す。

■〇月〇日という日
ネタが尽きた時によく使う手。教師の日記みたいな感じで通信を書く。「1時間目国語の授業。音読が上手になった・・・・」こんな感じで、休み時間や給食の時間のことも書く。もちろん、まずい点は書くことはできないが・・・。

■思い出シリーズ
学年末、一人一人の思い出を教師が記す。私にとっては、「もう一つの通信表」である。6年生には卒業式での「送る言葉」となる。

■ぼく、私の3大ニュース
12月中旬に企画する。自分にとっての今年の3大ニュースを記す。それに対して教師もコメントをつける。

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2016.04.22

「地図帳活用」

地図帳活用は教師によってだいぶ差が出る。
4年生担任で、1年間たっても子どもたちの地図帳が新しいままというのは、それほど活用されていないことだ。中には忘れ物防止ということで、地図帳を教室内にまとめて置きっぱなしという担任もいる。

自分はかなり地図帳を活用した方だと思う。社会科だけではなく、国語や総合でもしばしば使った。学習ゲームなどは、子どもたちが自習時間や給食の待ち時間に自分たちで行っていたほどだ。

さて、帝国書院では定期的に地図に関わる冊子「子どもと地図」を発行している。小学校教員向けでは唯一の冊子であろう。
先日、最新号(2016年1学期号)と共に「地図帳活用はじめの一歩」が送られてきた。4年生が地図帳活用の基礎技能を身に付けるにふさわしい冊子である。
なかなか地図活用の授業は見ることができない。自分も昨年の姫路で子どもたち相手に行ったぐらいである。このような冊子をもとに地図帳活用が広がるとよい。

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2016.04.21

「ゼロから学べる小学校社会科授業づくり」が重版に

ゼロから学べる小学校社会科授業づくり」が重版となりました。
発売されてまだ1ケ月。
初心者のみならず、中堅の先生方も参考にされているようです。
有難いことです。
見開き2ページが基本なので、パッと教室でも読めるのではないかと思っています。

以下、明治図書サイトの告知と目次です。

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社会科は世の中を生きぬくための知恵を育む教科である―単なる暗記科目ではなく、多くの人やモノとの出会いを通じて社会に関心をもち、参画する子を育てるために、社会科授業はどう教えたらよいのか。子どもはもちろん、先生も社会科好きにする、授業づくりの入門書

〇目次

第1章 楽しい社会科授業をつくろう

社会科で大切にしたいこと
授業づくりのベースに子ども理解を

【授業びらき】
授業びらきは「なぜ学ぶの?」から始める
子どもを“その気”にさせる授業びらきのコツ
子どもが喜ぶ授業びらきの面白アイデア 3年
子どもが喜ぶ授業びらきの面白アイデア 4年
子どもが喜ぶ授業びらきの面白アイデア 5年
子どもが喜ぶ授業びらきの面白アイデア 6年

【単元計画】
単元をつくるときに考えておかなければならないこと
単元づくりで大切にしたいこと 3・4年
単元づくりで大切にしたいこと 5年
単元づくりで大切にしたいこと 6年
総合的な学習の時間や生活科との関わりで大切にしたいこと

【授業の進め方】
活動時間の保障を大切にする
授業の進め方のポイント 3・4年
授業の進め方のポイント 5年
授業の進め方のポイント 6年
導入・学習問題ではやる気のスイッチをオンにする教材準備を
導入や学習問題づくりのアイデア
資料の読み取りのポイントは「全体」「部分」「理由」に着目する
グループ活動で大切にしたい3つのポイント
話し合い活動は場の設定によって効果が高まる
学習用語を身につけるための工夫
「書く」活動を行うときのポイント
まとめ・振り返りの時間に大切にしたいこと
子どもが喜ぶ振り返りの面白アイデア
社会科こそ学級づくりを大切に
第2章 社会科授業力を高めるポイント

【教材研究】
教材研究で大切にしたい3つのポイント
教科書を教材研究する3つのポイント
人物を教材研究する2つのポイント

【教材開発】
教材開発で大切にしたい4つのポイント
子どもを惹きつける教材開発のコツ
地域を生かす教材開発のコツ

【発問】
子どもの学習参加意欲を高める発問のつくり方&考え方
子どもの思考を深める発問のアイデア 3・4年
子どもの思考を深める発問のアイデア 5年
子どもの思考を深める発問のアイデア 6年

【ノート・ワークシート指導】
ノート指導は基本を大切に
ノート指導で大切にしたいこと 3・4年
ノート指導で大切にしたいこと 5年
ノート指導で大切にしたいこと 6年
ワークシート・プリントづくりで大切にすること

【板書】
板書づくりではノートへのつながりを意識して
板書では課題とまとめを一致させる

【資料の扱い方】
教科書・副読本で学び方を学ぶ
地図帳・資料集は使わせ方を意識する
映像・動画はねらいをしぼって用いる
自作資料はシンプルさが肝心
ICT機器の扱い方では適切な活用法を教える

【見学・調べ学習】
地域探検は事前指導がポイント
調べ学習が成功する3つのポイント
具体的な指導が効果的な学校図書館使用につながる
ICTを使った調べ学習のポイント
社会見学は子どもの力を引き出すきっかけとして
社会見学を記録する力は日常授業から

【評価】
知識を習得する4つのアイデア
基本的な評価の方法とテスト問題のつくり方

【研修・研究授業】
授業参観における見る視点
目的意識のある指導案の書き方
研究授業当日までにしておきたいこと
研究授業当日の取り組み方
研究実践は形に残そう

第3章 アイデア満載! 社会科授業づくりのアラカルト

アクティブ・ラーニングの授業づくり
ハテナノートで見る目を鍛える
授業のユニバーサルデザインを取り入れる
単元のまとめは新聞づくりで
レポート作成は繰り返しを重ねて
劇&ロールプレイで学びを深める
ディベート学習のよさを実感させる仕掛けづくり
明確な目的に基づいて行うクイズ&ゲーム
授業を活性化させる教科係
事前・事後指導の徹底でゲストティーチャーを生かす
ICT・タブレットはねらいに応じて効果的な活用を

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2016.04.20

桜の木

8年ぶりに同じ学校に勤めると、ちょっとしたことで「あっ、そうだった」ということに出会う。

入学式のしおりを見て、「あっ、これは自分が撮影した写真!」と思わず懐かしくなった。
桜と校舎をバックに子どもたちが楽しそうに休み時間に遊んでいる写真である。
自分が学校HPのトップページの写真に選んだものだから、強く印象に残っている。
その写真が、ずっと今まで使われているようだった。

それはそれで嬉しいのだが、やはりリニューアルしたい…そう思って先週末、桜の花もいい感じになり、何枚か休み時間に同じアングルで撮影をした。さらに中庭を中心に校舎を撮影すると、また違った雰囲気にとることができた。
それぞれさまざまな場面で活用できそうだ。

桜の木を見ながら、一つ思い出したことがあった。
6年担任の時に、運動会で体調不良で当日休間なければいけない子がいた。
しかし、最後の運動会。どうしても来たいということでお母さんが桜の木の日陰で短時間だけ雰囲気を味わった。自分もその場に行き、あれこれ話をした。休んだためか、桜の木の下で少し恥ずかしそうにしていたA君が印象的だった。
そのA君は高校生の時に交通事故で亡くなった。桜の木がA君を思い出させてくれたのである。

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2016.04.19

野口みずき選手の引退

野口みずき選手が引退した。
朝の会・帰りの会&授業でそのまま使える! 子どもたちに伝えたいお話75選」の中に野口選手の次の言葉を取り上げた。

「走った距離は裏切らない」

野口選手はインタビューの中で、「目標と聞かれたら、やっぱりドクターストップが掛けられるまで、走り抜くこと」「努力は裏切らない。走った距離もそうですけど、毎日の積み重ねがすごくものを言う」と答えている。
強い意志で目標に向かって努力することの大切さを、野口選手の言葉から学ぶことができる。

そのような内容を書籍では書いた。
書きながら、これは自分自身へのエールだなと思った。研究し続けること、書き続けることは自分にとっての「走る距離」と同じ。努力を重ねればそれは自分にかえってくる。裏切られることはない…そう感じながら書いた。
そして、今の自分にも言い聞かせたい言葉でもある。

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2016.04.18

やはり出かけて学ぶことは大切

土曜日に情報リテラシー連続セミナー@東北大学に参加。

3月に新保先生の登壇で参加し、今回が2回目であった。
その時にも思ったが、今回もやはり出かけて学ぶことは大切だと痛感した。

今回は文科省の情報政策課の室長さんが講師。文科省の現在の政策およびその根拠をわかりやすくお話してくださった。資料は今まで見たものもあったが、改めて解説を聞きながらだと違って見えてくる。
これらをどのようにして学校に還元するか。自分の大切な役目だと感じた。

さらに考えてしまったのが、機器の整備状況。本校ではかつて自分がいたころの財産が活用できる状況にある。これはプラスのことだ。まずはどのように使っていったらよいか。来週の参観授業が一つのきっかけになると思う。

終了後はあれこれ情報交換。自分が大学院生として今後のあれこれを考えるうえでのヒントをいただいた。
隣県でこのようなセミナーが開催されていることは、本当に有難いとつくづく感じる。

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2016.04.17

学級通信エッセー集2

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

有田和正先生との出会いが私の教師人生を決めました


先達に学ぶ  学級通信「トゥモロウ」51号(平成11年6月21日発行)より

■ 「先達に学ぶ」ということは、どのような場合でも大切と言われる。これは、教師の世界でも同様である。
  有田和正氏。筑波大学附属小学校教諭、愛知教育大学教授を歴任されて平成11月の3月にご退職された。私にとっては、授業そのものについて目を開かさせてくださった大恩人である。

■ 昭和60年。教師になって1年目。氏の名前を知った。実践を多く公開されているらしい。著書もたくさん。だから、雲の上にいる人という印象だった。

■ 教師になって2年目。わざわざ宮古に講演に来るという。「絶対見逃せない。」
  当時江刺に住んでいた私は車で3時間以上かけて、話を聞きにいった。子どもを見る目の大切さ、子どもの意欲をどう育てるかについて熱弁をふるってくださった。それもユーモアたっぷりにである。まさに名講演。「自分も何かをしたい」という気持ちにさせられるようなすばらしい講演だった。

■ 教師になって3年目。多くの著書を読んでいくうちに、「やはり氏の授業をみなければならない。氏が鍛えた子どもたちを見なければならない。」と感じ、友人と東京の有田学級に参観に出かける。
  2月。夜の新幹線から外を見ると雪であった。
  氏の授業は9時からである。全国的に有名な氏のことである。学校では授業できない。参観者が数百名にのぼるからである。だから、当日は7時に会場に行った。それでも私たちより早く来ている人が20名ほど。
  授業が始まってからは、子どもたちの熱気ある発表ぶりに圧倒されっぱなしであった。3年生の社会科。教師が問いを発するたびに、次々と自説を主張する。「教師に対しても論争を挑んでいる・・・」そんな感じに映った。
 「どうしたら、あれほど表現力のある子たちが育つのだろう」
 「どうしたら、あれほど調べてくる子たちが育つのだろう」
  感動と疑問が大きく、大きく残った。

■ それから授業で、有田氏を追うことを始めた。
  氏が授業したとおりに資料を使い、同じ問いをする。まずは真似をすすることから入ったのである。しかし、有田学級のような子どもたちにはならない。当然である。下地が違うのだから。
  そこで、子どもたちの実態に応じて自分なりに変化を加えてみた。問いもオリジナルのものを加えてきた。
  少しずつではあるが、社会科では楽しい授業ができるようになってきた。現在でも、社会科は自分が特に力を入れている教科の一つである。
  
■ 自分がたくさんのことを学ばせてもらったお礼に有田先生に手紙を書いたことがあった。
  すると、和紙に毛筆のご返事をいただいた。これには恐縮してしまった。
 超多忙な生活の中から一教師への返信を出していただけるとは・・・。
  後で知ったことであるが、有田先生は一日に十数通は手紙を書いているとのこと。頭が下がる思いである。

  教師として一つのテーマを持つことです。それも、より具体的なものがいいです。たとえば、発問だったら、発問をずっと研究していけばものになります。がんばってください。

  こう書かれていた手紙は、私にとっての宝物になった。

■ 有田先生に学んだことは大きかった。「人から学ぶ」ことの大切さを実感できたからである。
  そして、有田先生のお話を初めて聞いた小学校に我が娘を通わせている。これも一つの縁と感じている。

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★ 礼状を書くことの大切さを岩手の大先輩から学んだエピソードです

■学級通信「カルチェ・ラタン」第150号(H6・3・8)より

  一通の礼状より ①

 私は元来筆マメな方ではない。特に大学時代は、手紙を出すことなどまれであった。
 はなはだしい時には、手紙をもらったのに返事をしないということもあった。今考えるとずいぶん失礼なことをしたものである。

 今は別である。きっかけは教え子からの手紙である。やはり、卒業した子供たちからの手紙は特別である。その子たちと一緒にすごした日々が鮮明に浮かんでくる。だから、何よりも優先して手紙を書く。

 また、仕事上でも同様である。それは、こんな話を本で読んだからである。

  自分が感動した本や講演があったら、著者や講演者に対して礼状を書くといい。何も返事を期待するためではない。その本や講演の内容をもう一度自分なりに整理するためである。
 
 このことを聞いて「なるほど」と思った。
 本を読む。感動する。勇気がわく。そして行動する。
 しかし、日常はそれほど変わらない。また、いつもの生活に戻る。
 本を読んだあと、自分なりに考えを整理しておけば別なのであろう。しかも、読書ノートをつけるよりも、礼状の方が相手意識がある分、思考も深まるであるかもしれない。
 ということで、講演会や授業等で大変勉強になった時に、礼状を書くことにした。ただし、数はそれほど多くはない。ひんぱんに講演会や参観授業ができるわけではないからだ。年に2~3回、礼状を出すくらいであった。
 しかも、相手は著書がかなりある先生や全国的に有名な先生が多かった。つまり、著名な実践家ほど勉強になることが多かったのである。(当然であるが) 礼状を書いたものの、返事など期待するのは失礼にあたると考えていた。

 その時の講演もそうだった。
 研修会で熱く講演をしてくださった方がいた。若い頃夜遅くまで教材分析をした話、分厚い実践レポートを意欲的に書いた話等、刺激が多かった。
 すでに還暦をすぎた方で、現在はある市の教育長をなさっているという。
 けっこういろいろな講演会に参加した私ではあったが、その日の講演は特に胸にしみた。何か自分が教師として「もっと頑張らなければいけない」と勇気がわいたからである。
 たまたま講演資料の中に、住所があった。さっそく礼状を書く。講演内容が自分にとってどんな点が参考になったかということを整理してである。
 「書きたい」という思いよりも、「書かざるをえない」という気持ちからであった。人間、そんな気持ちになる時もあるのだ。
 時間を忘れて夢中で書いた。1時間以上は書いただろうか。便箋はいつのまにか5枚を越えていた。
 一気に書き上げたら5枚になっていたというのが正しいのかもしれない。ただ、その時も返事など期待していなかった。                     (次号へつづく)


■学級通信「カルチェ・ラタン」第151号(H6・3・9)より

 一通の礼状より ②

 礼状を出して1ヶ月。
 いつものように日常は過ぎていった。私自身も礼状のことは忘れていた。
 そんな時、「書籍小包」のはんこが押されたB5版の封筒が我が家に届いた。中にはケースに入った本が一冊。「私の教育論」という題名のその本は、私が礼状を出した先生から送られてきたものだった。
 本を追うようにして、翌日、その先生の手紙が届いた。
 市の要職にあられる方からの返事である。ご多忙な中を、講演を聞いた一教員からの手紙にわざわざ時間をさいてくださったのである。
 しかも葉書ではない。丁重なお便りが便箋3枚に綴られてあった。
 ありがたいことである。再び胸が熱くなった。

 その内容にも驚いた。私の手紙のことを評価した文面であった。
 その手紙に私は恐縮してしまった。と同時に、この手紙に感動した。そして、人間の誠意ということを学んだ。送られてきた著書を一気に読んだことは言うまでもない。

 「根を養えば樹おのずから育つ」

 その先生の応接間には、この書の額が飾られてあるという。
 教育に携わるものとして、含蓄のある言葉だと思う。
 その著書にも、その言葉の意味が書かれていた。
「子供の生き方の根本を深く耕せば、子供は自己開発していくものだ」という。

 我々はとにかく、目に見える「樹」の部分を変容させようと試みる。しかし、それだけではいけない。
 あくまでも、見えない「根」の部分をどう変容するかまで考えなければいけない。
 その「根」の部分は何か。どんな栄養を与えなければいけないか。
 これらは、教師生活を続けながら探っていくべきことだと思う。

 このエピソードから3年(注:現在は10年)たった。この先生とは会う機会がなかった。おそらくこれからもないかもしれない。
 人との出会いはそういうものであろう。
 しかし、この感動や刺激は今も心の中で燃えている。そして、別の形ではあるが、同じようなことを担任している子供たちにも与えることができたらいいと思っている。

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★ 子供の心を知る

 何げない教師の行動で子供が傷つく場合があります。この通信には子供の心の見方を深めることとなったエピソードです。「子供から学ぶ」というのは事実です。

★学級通信「トゥモロウ」 第151号(H・11・11・30発行)

              子供の心を知る

■私は4年生担任が3度目である。
 最初はもう13年前であり、その子たちはもう23才である。
 今の4年生と同じように、学級集会をよく行ったり、子供たちの発想でおもしろい係活動をしたものだった。学級通信をひんぱんに書くようになったのもこの時からであり、この年は2学期からの発行だったが、最終的には178号まで出すことができた。

■そんな4年生担任の時の思い出で、特に忘れられないことがある。それは、自分にとり、苦い思い出である。
 人間は自分の失敗や傷ついたことは、いつまでも印象深く残っているものである。私も同じで、その時の日記の文や子供の表情までも思い出すことができる。

■どんな件だったか忘れたが、学級の子供たちにあることで聞いたことがあった。忘れてしまうことだったから、それは今考えると、ささいなことだったに違いない。
 でも、「何も知らない」という子どもたちに業を煮やした私は、次のように問い詰めた。
「知らないということはおかしい。この中に誰かウソをついている人がいる。」
 ぐるっと学級のみんなを見た。皆、背筋をピンと伸ばしている。そんな中で、良子(仮名)と目が合った。その表情に何となく違和感を覚えたが、彼女にかかわりがないことは確かだった。
 結局、誰からも「知っている」ということは出てこなかった。後味の悪さだけが残った。

■ところが、今度は私が問い詰められる番となった。翌日、良子の「私はそんなに悪い人か」という題の日記を見たからである。
 
 【先生は、「この中にだれかウソをついている人がいる」と言って、ジロッと私の方を見 た。私はなにも関係ない。私はそんなに悪い人なのか。】

 思わず良子の顔を見た。そういえば、昨日のあの違和感はこの心のあらわれだったのか。何気ない私の所作が、彼女の心も傷つかせたのか・・・。

■私は自分の心を見透かされたような気がした。とにかく子供たちから事実を突き止めよう、悪い点は直そうといつのまにか問い詰めようとしていたのではないか。疑いを持って、子供たちに接していたのではないか。
 良子の日記はそのことに対する抵抗だったのだ。
 自分のしてしまったことは取り返しがつかない。日記におわびのコメントは書いたものの、この時のことがずっと心にひっかかっていた。

■それから3週間ぐらいしてからだろうか。私は、「魔の日」という題の学級通信を出した。その日の自分の実践がうまくいかなかったのを素直に書いたものだった。
 翌日見た日記の最後に、良子は次のように書いてきた。

【今日の「あすなろ」(学級通信の名前)を読むと、私と同じように先生もいろいろなことをなやんでいるということがわかりました。】

 スーと肩の力が抜けるような気がした。もちろん、私の心の中のわだかまりも抜けていった。
 自分の何気ない一言や動作にもっと敏感になること、もっと子供の前に自分の素直な気持ちを出すこと、そんなことを良子から学んだ気がした。

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2016.04.16

学級通信エッセー集1

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

★ 教師2年目。子どもの日記から自分の鈍感さを教えられた出来事です。

子どもに教えられる①   学級通信「ガリバー」100号(H3・9・18)


■ 学級通信に子どもの失敗を・・・

 教員になって2年目のことである。
 この年、4年生を担任していた私は、学級通信作りに燃えていた。子どもたちの様子はもちろん、授業のこと、私の教育観など、何でもかんでも学級通信につめこんだ。
 一日に2枚発行したこともあり、最終的には178号までいったものだった。

 ある日のこと、学級内で次のような出来事があった。
 朝の会で歌担当の係が、新しい曲をその日からすることになっていた。
 曲名は「四季の歌」である。
 ところが、次のような歌声が聞こえてきたのである。

 「愛を語るハイネのような僕のヘンジン」

 係の子どもたちが書いた歌詞の模造紙を見ると、「恋人」が「変人」になっていたのだった。
 私は苦笑し、小説「青い山脈」のラブレターの話(「恋しい恋しい」を「変しい変しい」と書き間違えた話)をした。
 そして、翌日の学級通信もこのことをネタにして、「小4の子どもたちが『愛』『恋』といった言葉が入った選曲をするのは斬新。異性を意識し始めたのかも」というようなことを書いた。

 ところが、いざ配布という段になって私は「カァー」と体中が熱くなった。
 歌詞を間違えて書いた洋子の「私のわがまま聞いてください」という題の日記を読んだからである。

【(何が変人よ。変人でわるかったわね)と思った。
 だって朝の会でまちがえた からって、みんなまちがえたままうたうんだもん。
 わたしは、むねがあつくなるのを感じた。
 みんなわたしを見て、わらった。先生もわらった。
 それだけならいいけど、先生わざわざ変人のはなしするんだもん。
 早紀ちゃんもオルガン係なのに、私の方を見て笑ってた。そりゃ、まちがってかいたのは、私だけど・・・。
 私は泣きそうになった。でも、ぐっとこらえた。(以下省略)】

 私は自分自身の不明を恥じた。一人の子がこんな思いをしているのに、さらにそのことをネタにした学級通信を出そうとは。
 なんて鈍感な教師!
 当然、その場で学級通信はボツにした。
 また、洋子に対しては次のような返事をするのが精一杯だった。

「まちがいはだれにでもあります。私にも洋子さんにもあります。問題はそれをはずかしがるかどうかです。洋子さんは、だいぶ気にしていますが、ほかの人は気にしていないものです。クラスのうち、大部分の人が昨日のことは忘れていると思います。もう忘れなさい。(といっても気にかかるでしょうが)」
                                          (つづく)


子どもに教えられる②  学級通信「ガリバー」101号(H3・9・19)

■ 共に育つ関係をつくる

 子どもとは有り難い存在である。
 このような私の返事に対して、洋子は次のように日記に書いてきた。

【先生、昨日の返事、うれしかったです。やっぱり先生に話してよかったです。
 むねのもやもやもきえました。
 わたしが今まで日記をつづけていられたのは、先生の返事を読みたいからだと思います。
 3年生のはじめは、『美恵先生(1・2年の担任)ほどいい先生はいない』と思っていましたが、今は佐藤先生にかわりました。本当に佐藤先生のクラスになってよかったです。】

 洋子の日記を読んで、「子どもに教えられるというのは、このようなことなんだな」と感じた。
 知らず知らずのうちにしている教師の失敗に対して、子どもたちはそれを失敗と思わず、自分の力で乗り越えようとする。子どもの持つ力の偉大さを垣間見た思いだった。

 そんな洋子に対して、次のような返事を書いた。

「このような日記を読むと、私も励まされます。ありがとう。教師も君たち子どもと同じで成長をするものです。特に、私のような若い、経験のあまりない先生たちは、成長しければいけません。洋子さんの昨日の日記を見て、考えさせられる点がありました。
 昨日のような日記をどんどんえんりょせず、書いてください。」

 よく「教育」は「共育」という言葉に置き換えられる。
 これは教師と子どもの関係にもあてはまる言葉だと思う。
 お互いに教え合い、そして共に育つ・・・教師にとって、いつも忘れてはならない大切な心構えではないだろうか。

 洋子との一件以来、私は子どもに対して、もっと敏感であろうと努めている。表面的な子どもだけではなく、心の動きに対してもである。
 それが、私にとり、教師として育つ場であることには間違いない。 

 (文中の氏名は私以外はすべて仮名です。)                  (おわり)

 これは、私が新採用で3年生を担任し、持ちあがりの4年生の時のことです。この子たちとは、その後、5・6年と続けて持ちあがり、異例の4年連続の担任となりました。
 この子たちも、すでに20代半ば。結婚したという子も数名います。
 偶然、まちで会うと、一人一人の思い出が鮮明に蘇ってきます。一人一人の個性はいつまでも忘れられないものです。 

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★ 教育実習の日々

  今まで教育実習生を二人受け持ちました。自分が今まで学んだことを、実習生にはできる限り還元しようと努めました。自分が教育実習生の時に指導してくだ
 さった先生方に、そうされたのと同様にです。
  これらの学級通信は、教育実習生を受け持った時に発行したものです。

★ 学級通信「トゥモロウ」 130号(平成11年11月4日)、131号(5日)より

    教育実習の日々

■その1  教官に怒られる

 教育実習の初日のこと。
 誰が何の授業をするのか割り振りをすることとなった。
 同じクラスに配属された実習生6人で話しあうのである。
 そうじの前に、そのことについて放送があった。
「実習生の皆さんに連絡します。授業計画用紙をできるだけ早く出してください。」と。
 目の前で子供たちは机を運び始めた。実習生6人は、そうじに行ったらいいのか、計画作りを優先させたらいいのか、わからなかった。
 そのうち一人が言った。
「実習生室に行って相談しよう。」
 そうじの時間に、授業計画はできた。そして、5時間目の授業に臨んだ。

 ところが放課後、担当のY教官に怒鳴られてしまった。
「子供たちのそうじも見ない実習生がどこにある!」
 (こっちにはこっちの理由があるのに!)と思ったが、教官が怒った真意をよく考えてみた。
 子供たちが学校にいる限りは、何事も子供たちのことを優先すべきという当然の原則がある。私たちはそれを間違えていたのである。何も「今すぐに」授業計画を出すのでは
ない。
 「そうじを優先させるべきだった」・・・このことを悔やんでも後の祭りである。

 この件で実習生たちはがっくりしてしまった。アパートに帰ってからも怒鳴られたショックが尾を引いた者もいた。
 「いやだなあ」と思いつつ、翌日Y教官に接すると、昨日のことには全く触れない。それどころか、子供たちに接するのと同じ笑顔で私たちにも接する。
 「ふだんはやさしいが、怒るとこわい」・・・教師にとって大切な資質を私たちにも示してくれた教官だった。

■ 45分間の授業が1分の説明に負ける

 怒鳴ったY教官は算数が専門であった。
 実習生の中にT君がいた。数学研究室である。当然実習授業も算数を選択した。

 そのT君が顔をゆがめる。平行四辺形の問題で、プリントを一生懸命説明するのであるが、子供たちは(わからない)という顔をしている。
 T君は、さらに説明や質問を加えるものの、説明をすればするほど、子どもたちは困惑したような顔をする。

 授業の原則の一つに「発問はやたら変えてはいけない」ということがある。発問がころころ変わったのでは、子供たちは混乱するばかりである。
 ところが、実習生の悲しさ、そんな原則など知るわけがない。

やがてチャイムが鳴る。次の授業もある。
 やむを得ない。Y教官の登場である。その説明、わずか1分。子供たちが「わかった、わかった」と生き生きとした顔でうなずく。
 その様子を見ていたT君。実習生の我々の席に戻り一言。「悔しい」
 この時ほど、プロとアマの違いを感じたことはなかった。

■ 気になる子

 考えてみると、私が教育実習に行ってから16年も経つが、子供たちの名前はけっこうすらすら出てくる。
 担任の先生に「学級委員長がそんな態度でどうする!」とよく怒られていた大川君(仮名)。私の家庭科の授業で子どもがなかなか集中せず「まさとし先生がかわいそうだった」と言ってくれた仲田ヨシノさん。(仮名)いつも、ひょうきんなことを言って、実習生たちを笑わせてくれた西君(仮名)・・・・といったようにである。

 ところが逆に名前は忘れてしまったが、その子の発言や表情を特に覚えている子がいる。
 その女の子は、実習生の誰に対しても心を開くことがなかった。それどころか、何か話しかけると怒ったりするものだから、実習生の中には、「私、あの子には話しかけたくない」と言う者も出る始末だった。
 その子はマラソンが得意だった。ちょうど実習期間中にマラソン大会があり、その子は2位に入った。
 廊下でその子に会った時に、私は「2位になってよかったね」と声をかけた。そうしたら、その子はニコリともせず、「(1位になれない)イヤミだ、イヤミだ」とつぶやいて怒るように走って行った。
 私もムッとしたが、その場はそれで終わった。
 
 実習最後の日、子供たちが実習生全員に書いた手紙をもらった。その子がどんなことを書いているか興味があった。読んでみると・・・。
 
「マラソン大会のことで、声をかけてくれてありがとう。わたしはなかなか自分から先生たちと話ができません。だからとてもうれしかったです。」
 
 実習生に対するすねた態度は、「自分にも声をかけてほしい」というサインだったのである。
 子供たちは、誰でも先生と話したがっている。そして、先生にどんな態度をとっても、子供たちは教師の声がけを待っているものなのだ、ということを感じさせてくれた子であった。

■ 担任の思い

 中学校の教育実習はわずか1週間であった。
 そのころは「荒れる中学生」という言葉がマスコミをにぎわせ、校内暴力の嵐が全国に吹き荒れていた。大学の教官からは、「あなたたちが教壇に立つ頃は、小学校高学年で校内暴力があるかもしれない。」と脅かされたりしたものであった。

 さて、その中学校は校内暴力はないものの、あまりよいとは言えない状態であった。
 3年生の学級に配属されたが、まず担任の話を聞こうとしない。帰りの会など、平気で席を立ったり、変な声をあげたりしている。
 担任の女の先生が、「静かにしなさい!」と声をふりしぼっても、子供たちには関係なし。日直の「さようなら」という声で、教室は飛び出すように出ていってしまう。私たちはビックリしてしまった。
 
 その様子を見たのは実習初日。放課後、担任の先生との打ち合わせがあった。
 さぞかし、「困ったものです」といった言葉が出てくるのかと思った。ところが、その先生は開口一番、次のように言われた。

「あの子たちは、一人一人見るととてもいい子たちです。ただ、集団になると歯止めがきかなくなるだけです。」

 確かに一人一人と話をするととても感じがよい。担任の言っている意味が、わずか1週間であったが、よくわかった。
 「子供たちを信じる」・・・たとえ、どんな状況でも担任である限り、このことは大切にしなければいけない。そんなことを感じさせてくれた中学校の教育実習だった。

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2016.04.15

履修届を出す

通信制大学院から2年目の履修届の資料が送られてきた。
1年生の時点で欲張って、修士論文以外の単元30単位を全部取得しようとした。
かなりきつい日程でレポート、試験を行った。特に試験では、自分の都合もあり、4科目を一気に一日で行った。1科目45分。180分間集中し、書き続けた。終了後、ボーっとするほどだった。
無事単位取得の連絡も正式に確認できた。(ネットですでにわかっている。)

今年度取得するのは修士論文のみ。
単位にすればわずか2単位。
しかし、この2単位は自分にとっては実に重いものである。昨年度かけたものの何倍もの労力が必要である。
単位をとれればよいのではなく、自分なりに価値あるものにしたいと思うのは当然である。
さらに単位とは関係ないが、関係論文等を学会でも発表できれば…と考えている。
「努力と挑戦」の年(毎年そうであるが…)の始まりである。

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2016.04.14

つぶやきより

フェイスブックのつぶやきです。

・自分自身が送られる職員送別会は7回目です。毎回毎回次の職場に異動するエネルギーになりましたが、今回は今まで一番でした。職場の中での自分の役割である「職員室の担任」と教師という仕事のすばらしさを再認識した場でした。会でいただいたはなむけの言葉と先生方からのメッセージカードは宝物です。

・今度4月1日から「奥州市立水沢小学校」副校長となります。水沢小学校は平成14年度~19年度までの6年間、教諭として勤務した小学校です。自分が住む学区の小学校(子どもたちも卒業)、岩手で一番古い校歌をもつ伝統校です。教諭時代に様々な実践を行った学校に再度赴任することとなりました。よろしくお願いいたします。

・常盤小学校での3年間の勤務が終わった。今日だけは早く帰宅。自分の中では恒例の「見送る皆さん」の写真を今回も撮らせていただいた。これが次の学校でのエネルギーとなる。研究校・中心校ということで、多くのことを学んだり、企画させていただいたりした。3年間、1日も体調を崩すことなく(声がかすれた程度で終わった)過ごせたことにも満足。明日から新しい学校での日々が始まる。

・8年ぶりの現任校赴任。学校を回るとその頃の自分の足跡も見つけ、何とも懐かしい気持ちになった。ただ、当時校内で広まったICT機器は更新が進まず、活用もあまりされていないようだった。でも、これは大きなチャンス。「まずは使ってみる」という段階からスタートである。

・新しい学校の3日目。頻繁に来る報告・相談、何度もある打ち合わせと会議、そして目の前の多くの事務仕事…でかなり「充実」した毎日。もうかなり働いた気分。前任者が副校長通信を出していたということで、今日は倣って「学級開き」の通信を発行。反応もあり。さらに、「ユニバーサルデザインのことで先生が来られるのを待っていました」「研究会の最後にICT活用のお話をぜひ」という声掛けも。担任目線で頼られるのも有難いことである。

・明日が始業式。初任者も7時過ぎには出勤したので、学級通信についてあれこれアドバイス。実は彼女は、17年前に担任した子。当時日刊で出していた学級通信の話をすると、「実家にまだ厚いファイルに保存しています」とのこと。何とも嬉しい。担任した子と同僚になるのは初。これも貴重な経験。

・転入者紹介の式。19名もいるので、お話は出入りを含め30秒以内。恒例の白砂糖での「砂糖です(佐藤です)」のパターンは使わず、せりふだけにした。「副校長の佐藤正寿です。学校はみんなが幸せになる場所です。ハッピーな学校、ハッピーな教室を一緒に作りましょう!」で終了。

・転勤してあっという間の1週間。昨日は歓迎会。何もPRしていないのに、2人の先生から「先生の新刊を購入しました」と言われる。これは嬉しいこと。本の購入はもちろんだが、これから関わりやすくなる。今年度は社会科の各学級への飛び込み授業が多くなるかもしれない。

・一度勤務した学校に再赴任するのはメリットが多いとやはり感じる。一番は人とのつながりだ。「以前もいらっしゃいましたよね」と保護者やボランティアの方に言われたり、かつて専科で関わった子から学校への依頼が直接あったり(向こうがビックリしていた)…と昨日は「強み」を感じた。学区を一通り知っているのも強みである。

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2016.04.13

社会科教育連載

5月号の教育雑誌が発刊されました。

今年は「社会科教育」誌で、「スペシャリスト直伝!アクティブな社会科授業づくりの基礎基本 」を連載しています。社会科におけるアクティブ・ラーニングを自分なりに考え、発信していく年です。

今月号では、「主体的に取り組む調査学習を」というテーマで書かせていただきました。
アマゾンはこちらです。

なお、今回は特集名も「9つの視点で日常授業をAL(アクティブ・ラーニング)型に変える!」という内容で読み応えがあります。

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2016.04.12

教科書プラスワン

自分の社会科の授業は教科書に基づいて行っている。
それでも十分であると思っているが、「プラスアルファ」があるとさらに充実すると思っている。
発展的な内容であればなおさらである。
自分がよく行う「第二課題」などは、それに適切である。

そのような自分に共感できる実践例が定期的に掲載されている。
「教科書プラスワン」で変わる社会科授業」(教育出版のホームページ)である。
執筆者は東京の嵐先生。昨年度、2度、東京での研修会でお会いした。今回も授業づくりの視点で学ばせていただいた。年間3回の更新のようであるが、注目していきたい。

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2016.04.11

山田町へ

昨日は「授業づくりネットワーク」誌の「対談」で山田町へ行った。
第二の仕事はいろいろとさせていただけいているが、県内での対談はこれが初めて。
もともとは編集長である藤川大祐先生の企画である。

藤川先生は自分が様々な活動をすることのきっかけを作ってくださった恩人である。
30代後半の自分に総合メルマガの企画、NHKプロジェクトへのお誘い等、活躍の場を与えていただいた。その時の活動が今のつながっていると思う。自分の車で2時間以上かかる山田町までの道中は思い出話も多々あり、楽しい移動だった。

さて、対談は山田町で震災復興に取り組む「マブリットキバ」さんとであった。子どもたちのために、こんなにも熱い思いをもって様々な活動に取り組む姿勢に対談をしながら感動を受けた。自分にできることは何が改めて感じた。

同時に復興に対してもっと自分が取り組まなければいけないとも感じている。あれから5年。まだ5年である。

それにしてもこのような企画に携われるのも縁である。有難さを感じる。

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2016.04.10

6年生学級通信 その2

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

 インターネットという資料収集手段ができなかったころの実践です。これは、これで味わいがあったなと、今考えると思います。(後戻りはできませんが)

学級通信 カルチェ・ラタン 第98号 12月14日

  世界に向けて発信!

 社会科の学習の一つに「世界の中の日本」という単元があります。いわゆる国際理解教育です。
 3学期に主として学習をするのですが、そのための興味づけとして、子供たちに「大使館への手紙」の授業をしました。
 まず、最初に子供たちに聞きました。

  「『外国』という言葉を聞いて、どこの国を連想しますか」

 学級で合計すると1位アメリカ合衆国(圧倒的!)、2位オーストラリア、3位中国、続いてロシアという結果でした。いずれも大国ばかりですし、マスコミでもよく名前の出てくる国です。これは、私も予想していた通りです。
 そこで次のように言いました。

  みんなは日本の歴史を学習しました。その中で日本と昔からつながりのあった国はどこでしたか。朝鮮、モンゴル、中国といったアジアの国々でしたね。そこで まずは一人一人がアジアの中の希望する国を選んで学習をしましょう。

 教室に地球儀を持ち込んでいました。それをもとに子供たちはアジアの国々の中でどこがいいかさっそく考え始めました。
 子供たちが選んだのは次の通りです。(それぞれ「よく聞くけど実はあまり知らないから」「〇〇という有名なものがあるから」といった確かな理由で選びました。)

 シンガポール(児童名略・以下同様)、マレーシア、タイ、フィリピン、モンゴル、ネパール、ブータン、大韓民国、インド

 さて、問題はその調査方法です。
「どのようにして調べたらいいですか」と聞くと、「外国人に聞いたらいい」「外国の資料館があったら、行って聞く」といった答えが返ってきました。
 もっともです。でも子供たちは、それは不可能と思っています。
 そこで、私は言いました。
 「でも、できるのです!」
 実は、各国大使館に資料を請求すると資料が送られてくるのです。
 大使館というのは、公務が忙しいのですが、地方の一小学生からの要望にもきめ細かく対応してくれることが多いのです。
 というわけで、さっそく右のような手紙(略)を書きました。
 さっそく発送。1ヶ月ぐらいかかって、きっと多くの大使館からの返事が届くことでしょう。
 今から楽しみです。

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各国大使館からの返信に子供たちは感激していました。

学級通信 カルチェ・ラタン 第103号 12月22日

   世界からの返信

 「カルチェ・ラタン」98号で紹介した大使館あての資料請求。さっそく返信が続々と届いています。
 第1号の返信は何と17日でした。お願いの請求の手紙を発送したのが11日です。1週間も待たずに返事がきたのです。このスピードぶりには、驚くばかりです。
 きっと大使館の職員の皆様はお忙しいので、「すぐにできることはその場でする」というのが、仕事上のモットーなのでしょう。私も見習いたいです。
 送られてきたものは次の通りです。

 ■マレイシア大使館より・・・パンフレット、観光ガイド
 ■大韓民国大使館より・・・本2冊
 ■フィリピン大使館より・・・観光パンフレット
 ■シンガポール大使館より・・・資料のコピー、マーライオンシール
 ■インドネシア大使館より・・・資料のコピー、観光パンフレット
 ■フィジー大使館より・・・観光ガイドブック
 ■タイ王国大使館・・・資料のコピー

 特に感激したのは、大韓民国とマレイシア大使館の便りです。
 資料を送ってくださるので十分なのですが、子供たちあての簡単な手紙まで添えられていたのです(本物の通信では紹介しましたが、ここでは略)。これには感謝の気持ちでいっぱいです。
 また、フィジー大使館からの本は見ごたえがありました。子供たちも鮮やかな本の表紙を見た時には、「すごい!」と声をあげていました。もっとも、「すべて英語で書かれているよ」と言った時には、ズッコケでいましたが・・・(笑)。
 正直なところ、冬休み中に返信がきて、3学期明けに礼状を書くことになるかな・・・と思っていました。
 しかし、これだけのスピード。そして、これだけの資料にさっそく書かなければいけないなあと思っています。感謝の気持ちからです。
 子供たちもなかなか礼状を書く機会は少ないと思われます。マナーの一つとして、この機会を利用してぜひ書かせたいと思います。

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 卒業の日、私からの贈り物は、子供たち一人一人への「贈る言葉」です。学級通信4~5枚になりました。特別に上質紙に印刷をして、白い封筒に入れます。

学級通信 ロマン・シューレ 第218号 3月18日

   贈る言葉 ①

 卒業の日。最後の通信。君たちへの「贈る言葉」です。

■Aくん
 音楽のテストで君が歌ったあと、必ず学級は「オーッ」という歓声につつまれた。もちろん上手だからだ。何せ実力は市内一、県でも有数の君のこと。でも、それに至るまでには君も努力したはずだ。何もしないで、歌がうまくなるわけがない。そういう点では、努力の意味を君はよくわかっている。これからは、その努力を他のことに広げることが一番大切!

■Bくん
 舞台は運動会、あるいは球技大会。がんばる選手たち。盛り上がる応援団。いつもその輪の中心に君はいた。あらん限りの声をふりしぼり、「何やってんだ!」「いいぞー!」と仲間を勇気づける励ましを君は言っていた。君の声や手拍子で、どれだけ学級がまとまったことか。みんなもそれは知っている。「明るさの配達人」-それを中学校でも生かしてほしい。

■Cくん
 何の授業の時にも、「熱心」という言葉があてはまる君。質問もしょっちゅうしていたし、発表も積極的。跳び箱では「先生、みてください!」と言う。しかし、一番印象に残っているのは別のことだ。歌を歌う時の君の表情がそれだ。意外と思うだろう。真剣な表情、真剣な歌いぶりは人の心を打つものだ。そして、それはいつまでも人々の記憶に残っていく。

■Dくん
 誰もが認める君の運動神経。運動会、陸上記録会、そしてミニバス。いつもトップを走り続けていた。しかし、それ以上に評価したいのは君が学校のリーダーになろうと思っていた点だ。企画委員の仕事をやりとおした経験は、スポーツとはまた別の価値がある。自分たちで仕事を考え、うまくいかない時には別の方法を考える。難しいことだけど、よくやり遂げたと思う。

■Eくん
 「6年1組は楽しかった」とほとんどのクラスメートは答えるはずだ。その理由の一つに、「お楽しみ会が多かった」ということがあげられる。そして、それらの活動は君抜きには考えられない。企画力、仕事の段取りなどは、授業で教える機会は少ない。どこから、あんな力を得たのか。そして、時間の使い方の上手さ。ビジネスマン顔負けだった。

■Fくん
 君が自立していると思ったのは、図画の時間だ。文化祭の絵。多くの子たちが、2~3人で同じ場所で風景画を描くのに、君は学校の坂に一人でいた。自分だけの絵にするために、納得のいく場所を選び、一人黙々と画用紙に向かう。考えてみれば、孤独な作業である。しかし、多くの芸術は孤独の中から生まれたのだ。それを知っていた君は、もはや芸術家だ。

■Gくん
 言葉遣いがきちんとできる人は信用される。この2年間で君の一番変わった部分は、その言葉遣いである。ただ、丁寧というのではない。オアシス(オハヨウゴザイマス、アリガトウゴザイマシタ、シツレイシマス、スミマセン)が完璧なのだ。こちらが元気になる挨拶はなかなかできない。そして、感謝の気持ちを持っていても、それを態度に表さない限り人には伝わらない。君はそれができた。

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学級通信 ロマン・シューレ 第219号 3月18日

   贈る言葉 ②

■Hくん
 他の先生方が言う。君の目が変わったと。落ち着きのある優しい目になったと。それは以前の君を否定しているわけではない。人間は、成長すればするほど目が変わって、いくものなのだ。今考えると、水泳強化練習は自分を鍛えるいい場だった。そして、それに君は一生懸命に参加した。自分で自分を変えるチャンスを君自身が生かしたのだ。

■Iくん
 正直に言おう。5年生の時の水泳強化練習の時、君が厳しい練習にどこまでついていけるか不安だった。それが、一日も休まず練習をした。それが、6年生の時に実を結び、選手になった。それだけで十分と思ったが、市内6位と入賞を果たした。スタート台で緊張しきったあの表情が忘れない。同時に、ゴールでタッチした直後の満足そうな顔も。

■J子さん
 君は読書家。誰も認めるところだ。平均一日一冊のペース。5年生の時にも驚いたが、6年生でもそのペースは変わらなかった。そして、私が感心するのは、忙しい中で上手に時間をやりくりしている点だ。合唱クラブも、おけいこごとも並行して読書する。しかも、中途半端にしたのは一つもない。君のその徹底ぶり、今後の何事にも通用することだ。

■K子さん
 君に「代表委員をやって」と私は気軽に頼んだ。「エッ」と一瞬困った表情をしたことを今でも覚えている。ところが、実際になってみるときちんと自分の責任で仕事をしてくれた。それもそのはず。君は水槽が汚くなってくると、いつの間にか水を交換してくれていた。寒い中、係でもないのに・・・細かなことによく気付く人は責任感ももちろんあるのだ。

■L子さん
 君は最初、自分に自信がなさそうだった。自分を出すことを遠慮しているように見えた。でもそうではなかった。活躍の場が与えられると、どんどん積極的になってきた。君の活躍の場は、6年生では陸上だった。4月から朝練習をはじめて、10月までやり通した。陸上競技場で走る君は、何と大きかったことか。自信はその人を大きく見せるものだと感じた。

■M子さん
 君は、何ごとにもズバリと言う。誰が相手でも構わない。たとえ、学級のやんちゃな男の子でも、言うべきことを言っていた。自分の考えがしっかりしていなければできないことだ。それがふだんの生活だけでなく、学級会でどんどん出るようになってきたことを嬉しく思った。一人一人の個性が輝いてこそいい学級だ。君の個性も、学級で光っていた。

■N子さん
 努力の人。今まで君に言い続けてきた言葉だ。聞き飽きたかもしれない。しかし、あえてまた言おう。君は本当に努力の人だ。それも、人に言われての努力ではない。すべて自分で考えて、努力するというの点が尊いのだ。だから、君は自分の人生を切り開いていくであろう。それは、努力という財産が君にあるからできることなのだ。

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学級通信 ロマン・シューレ 第222号 3月18日

      贈る言葉 3

■O子さん
 君の物事を見る目はとても温かい。いつも日記を読んでそう思った。人を見る時にいつも、「よい点」を見ていた。人間の本性からすれば、人の悪い点ばかり目につきやすいのに。そういう点では、卒業文集の「クラスNO.1」というのは、君にぴったりの仕事だった。読んでいて、人を見る鋭さ、そして温かさがよく伝わってくる。その温かさをいつまでも。

■P子さん
 水泳は疲れるスポーツだ。それを4種目も泳ぐのが個人メドレー。練習で何度も立ってしまう君。ゴールしたあと、へとへとになって座り込んだこともあった。それがどうだろう。回数を重ねるごとに立つ回数が減る。記録は伸びる。その結果が、県小学校標準記録突破。君がこれから困難にあった時は、この時のことを思い浮かべればこわいものなしである。

■Q子さん
 6年生、1学期途中からの転校。君にとって心理的に負担だったと思う。私も心配した。しかし、すぐに君がミニバスに入ったということを聞いた。練習は半端ではない。「大丈夫かな」とまた心配した。しかし、それは不要だった。君にはよきミニバス仲間ができ、どんどん君は話すようになってきた。君は短い間に自分自身を変えていったのだ。

 昨日、教え子から手紙が届いた。
 10年前、初任で担任した子からだ。背が一番低かった子。しかも泣き虫。勉強や運動が得意なわけではなかったが、よく努力をする子だった。
 彼女も今は高校3年生。卒業式を終えたばかりだ。
 手紙には、高校生活が充実していたこと、4月からいよいよ会社で働くこと、そのために自動車免許をとろうとしていることなどが書かれていた。それは教え子からの手紙というよりも私の友達からの手紙という感じだった。

 君たちとも同じだと思う。今までは担任と児童という関係だった。その関係もこの3月でおしまいだ。
 しかし、もうすべての縁がきれるわけではない。むしろ新たな関係になると考えた方がいい。どんな関係か。それは、「一人の人間と一人の人間の関係」である。
 いずれ、君たちも青春を迎え、成人になっていく。喜ぶことも、悲しむことも、悩み傷つくこともあるだろう。
 その時に、一人の人間として私にできることがあったら、応援をしたいと思う。電話でもいい、手紙でもいい。返事はすぐにする。
 これは、何も「手紙をください」という意味ではない。君たちは、前進あるのみだ。後ろを振り返る必要はない。
 ただ、ふとしたきっかけで小学校生活を思い出すことがあるかもしれない。その時に、また交流が持てることがあるかもしれないということだ。

 「別れは悲しい」と誰かが言った。その通りである。
 と同時に、「別れはまた美しい」とも思う。その意味で、今日は君たちが一番美しい日だ。いつまでも記憶にとどめておいてほしいと思う。

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2016.04.09

6年生学級通信 その1

【HP移行のためのリバイバル掲載です】


 思春期になるといろいろと子供たちも考えます。そのような子供たちが自分を見直す授業です。

学級通信 ロマン・シューレ 第165号 12月14日

   ぼくにはいいところがある。
   人生に花をさかせよう。

 9日に小中交流会がありました。
 これは、中学校の先生方に6年生の授業を見ていただくものです。
 6年1組では、学級活動の授業を行いました。子供たちは、「学級活動?何の話し合いをするのですか?」と感じていたようですが、何も学級会ばかりが学級活動ではありません。その日は、「自分や友達のよい所を見つけよう」という授業をしました。
 授業の概略は、次の通りです。

 1 「私は誰でしょう」の班対抗のクイズを行う。
   班で一人、答えとなる人を決め、その人に関するヒントを与えて誰か答えさせる。
 2 自分のよい所や直したい所を考える。
   クイズやヒントのように、その人にしかないものが個性。自分の個性について考える。
 3 友達から自分のよい所を教えてもらう。
   あわせて、「短所は長所の裏返し」という見方を理解する。
 4 授業の感想を書く。

 学習といっても、自分の長所・短所について考えるものです。
 最初に子供たちに、「自分の長所・短所について、真剣に考えたことがある人?」と聞いたところ、手をあげた子はわずか二人のみ。いろいろと友達関係で悩んでいることを日記に書く人もいるので、これは意外でした。
 しかし、中学校に入れば、自分はどうしてこんな性格なんだろうと悩んだりすることは間違いありません。私自身も私の友達もそうでしたから。
 いわゆる「思春期」です。その前に、改めて自分のことについて考えてみることも意義あることです。

 1のクイズは盛り上がりました。答えが合うたびに、「ワー!」という歓声があがります。「個性」という学習に興味を持たせるということが、このクイズの目的でしたから大成功でした。
 次に、自分の長所と短所をそれぞれ書かせました。これは、短所の方が長所よい多く書かれていました。特に十人くらいの子が、短所は書いたものの、長所は書くことができませんでした。これは、ふだんから長所より短所を意識しているからだと思います。私も、子供たちに「直したい所」を強調していたのではないかと反省しました。(お子さんが、どんなことを長所や短所で書いたのか、ぜひお聞きください。)
 そこで、友達に自分の長所を指摘してもらいました。それらを黒板にまとめていくうちに、「短所に『明るすぎる』とあるけど、長所ともいえるのでは・・・」「『がんこ』も長所と言えるのでは・・・」と気付いていきました。
 子供たちの感想を紹介します。

・楽しかった。ぼくにはいいところがある。人生に花さかせよう。
・今まで自分の個性についてあまり考えなかったけど、今日の勉強でよい所はこれなんだ とか、直したい所はこれなんだとかわかった。
・今日の授業はとても感心しました。ふだんは嫌いな人でも、いいところがあるんだなと考えれば、(ああ、この人は実はいい人なんだ)と考えると思います。これから人の長所を 見つけたいです。
・自分ではよいところを見つけれなかったけど、直したい所がもしかするとよいところかもしれない・・・。

 感想からもわかるように、子供たちの見方が変わった授業になりました。

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 6年生ともなると教師のことをよく見ているものです。「見られている」というのを以前はそれほど意識していなく、今考えるとだらしない恰好で授業をしていたものです。さすがに今は・・・・。どうかなあ。ここ7、8年は授業で常にネクタイをしていますが。


学級通信 ロマン・シューレ 第110号 9月27日

   教師ウォッチング

 子供たちは大人をよく見ているものです。以前、「子供ウォッチング」というのをしましたが、今回は、私が子供たちに見られている部分を紹介しましょう。

■電話に向かって礼
 学級と職員室を結ぶインターホンがあります。
 ある時、教室にかかってきました。私のほうで、「はい、どうも。どうも。」と言ってインターホンを置きました。そうしたら、ある子が、「先生、どうして相手が見えないのに、手をふるんですか?」と聞きました。
 私には、無意識のうちに電話でも身振り手振りを交えたり、「ありがとうございました」という時に、電話を耳にしながら礼をしてしまったりというくせがあります。そのくせを見ぬいているわけです。(結構、そういう人は多いと思いますが・・・)
「人の心は言葉だけでは伝わらない時がある。電話をしながら礼をしていると、本当の心が伝わるものなのですよ。本当だよ。」
「ふ~ん。」
 言ったあとでハッとしました。子供たちに言った手前、常にインターホンを片手に礼をしなければいけなくなってしまったことに・・・。

■「先生、ネクタイが・・・」
 よく見ているといえば、私の服装もそのターゲットです。
 特に女の子は鋭いです。男の子の場合は、まあどうでもいいやという感じです。(これは私も男の子でしたからよくわかります。)
 何か言われることが多いのは、公開や授業参観のように、授業開始をじっと待っている時です。
 県国語教育研究大会の時には、授業が始まる数分前に、「先生、今日のネクタイ、いつもと違うね~」なんて話しかけられました。(何、毎日きちんと変えているのに!)すでに、後ろに参観者が待っていて、こちらも緊張状態にいるというのにです。
 服装だけではありません。床屋に行けば、「先生、髪きった」、時計やワープロを新しいものにすると、「先生、変えたね・・・」。なかなか目ざといものです。

■「指示の仕方がそっくり」
 「子供は親の言うことはきかなくても、することは真似するものだ。」
ということを以前聞いたことがあります。私も親になってみて、この言葉は実感しています。
 さて、学級担任と子供との関係も似た面があります。教師の授業での話し言葉が、子供たちの言葉遣いに大きな影響を与えます。
 特に感じたのが、社会科の子供たちの発表の時です。子供たちは、発表後に質問や意見を聞きます。その時には子供たちに進行を任せているわけです。
 ある子の指示の仕方。
 「はい、次!」「しっかり聞いていなさい!」
 私の方は「ドキッ」です。何のことはない。私の指示の仕方にそっくりだからです。
 教師の姿をよく見ているものです。

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6年生としての行動に思わず「すばらしい!」ということを発見する場合があります。

学級通信 ロマン・シューレ 第101号  9月14日

    大人もうなってしまうこの気遣い

★その1 電話連絡の中から
 今週の日曜日、青少年郷土芸能発表会が行われました。我が6年生のうち35名が放課後に6回練習をして、この会に備えました。
 演目は「組甚句」です。昨年度の6年生から引き継がれたものを披露する機会に恵まれたわけです。会場は、藤原の郷の予定でした。
 ところが前日の雨で、その日の朝に体育文化会館に変更となりました。
 我々担任は会場変更の電話連絡です。その中の一人の受け答え。
「はい、わかりました。」
 ふつうだったらこれで終わります。でも、この場合にはさらに続きました。
「他の誰かに連絡しましょうか?」
 私の手伝いまでしてくれると言うのです。この心遣い。「すばらしい!」とその瞬間、心の中で思いました。

★その2 インターホンごしに
 職員室と教室を結ぶインターホンがあります。
 学校は実に広いです。職員室と教室を往復するまに、2分以上かかってしまいます。
そこで、緊急の簡単な連絡のためにインターホンを活用する場合があります。
 ある時に、私から教室にかけました。
「はい、6年1組です。」
 ふつうだったら、これで終わります。さらに言葉が続きます。
「私は〇〇〇〇です。正寿先生は、今おられません。用件をお聞きします。」
 ここまでくると「お見事!」と言いたくなります。これだと他の先生が伝える場合でも、誰に伝えたかがわかります。また、敬語が自然に出ているところにも感心します。

★その3 休み時間の前に
 昼休み時間といえども、委員会活動があったり、諸活動があったりします。1時5分に給食が終了するわけですが、時には「1時5分集合」という連絡もあります。子供たちは、給食終了時にそうじのために机と椅子を後ろに運びます。集合時刻を優先するとそれに間に合わない時もあります。
「〇〇くん、〇〇に行くから机を運んでおいててください。頼むね。」
「はい、いってらっしゃい。」
 こんな関係が自然にできる人たちがいます。いい関係だなあと思います。

 子供の頃にあれこれ小賢しくなる必要はないと思います。
 でも、年相応に身につけてほしいマナーはあると思います。小学校6年生。どの程度のマナーがふさわしいのでしょうか。悩むところです。
 ただ、「人の心を傷つけない」「相手を思いやる」といった点については、一人一人が行動に表すことは十分にできると思います。問題はその表現の仕方です。これは具体的な場面で教えていくべきことだと思います。
 そのために、いくつかの例を出しました。私の見えないところで、いろいろな行動をしていると思います。子供たちのやさしさをのぞくことができます。

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地域の人のご好意で実現した「茶の湯体験」。心落ち着くひとときを体験できて最高でした。

学級通信 カルチェ・ラタン 第33号 6月25日

室町文化体験・茶の湯を習う 1

■高浜小学校に転勤して、校舎をぐるっと回った時に、多目的ホールの横に畳の部屋があることに気付きました。しかも床の間つきです。
 それを見て、「いつかこの部屋で日本文化に触れる学習をしたいな」と思いました。幸い、我がクラスのSさんのおばあさんがお茶を教えている先生だということを聞きました。
 これは貴重な機会です。ぜひ、子供たちに室町文化の一つである「茶の湯体験ができる」と考えて、昨日行うことができました。

■茶の湯は、若干の子が習い事でしたことがあるものの、多くの子にとっては初めての経験です。私自身も初めての経験です。
 だから、子供たちも私もとても楽しみにしていました。朝の会の発表でも、「茶の湯をするのが初めてなので、とても楽しみです」「正座がつらそうです」「お菓子が楽しみです」といったように、茶の湯に関わる発表が続きました。

■始める前に、日本間に茶の湯の道具等のセットをしました。先生が掛け軸を持ってきてくださいました。
  「心静茶味香」と書かれています。この掛け軸の字をみただけでも、どんな気持ちでお茶を味わったらいいかわかるような気がしました。

■いよいよ始まりです。先生から、お菓子のいただき方、お茶のいただき方をを教えていただいて、一人一人いただきました。子供たちの中で、Sさん、Tさんが実際にお茶を入れてくださいました。
 私が「なるほど・・・」と思ったことがあります。
 それは、いただく前に、お隣の人に「お先に、いただきます」と一声かけるというところです。これは「気配り」の文化とでも言うのでしょうか。日本の伝統文化のよさでもあると思います。
 一言で言えば、お茶をいただいた後に、「ありがとうございました。結構なお味でした。」と私が言った後に、男の子たちも同様に言いました。これには、先生もにっこりです。

■「気配り」という点は、もっともっとありました。たとえば、畳の縁を踏まないところ。お菓子を食べた後に、紙の角ではしを拭くところ。
 これらは、茶の湯だけの世界ではなく、日本の生活の中に根付いたよさでもあるんだなあとつくづく感じました。体験して、初めてわかったことです。

■終わった後で、その場で簡単な感想を聞きました。
  「おもったよりお茶が苦くなかったです。」(うす口だたようです。)
  「お菓子がとてもおいしかったです。」(その通りでした。)
  「足がとてもしびれました。」(私も立つ時はふらつきました。)
  子供たちにとってみれば、室町文化、日本の伝統文化というよりは、まずは体験したこと自体が価値あることだったのでしょう。
 これから、テレビや本等で茶の湯が出てきたときには、今までと反応が違うと思います。興味を持って見ることでしょうね。

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 大きな行事は子供たちにとって節目となります。

学級通信 カルチェ・ラタン 第72号 10月20日

    学習発表会 余話

 学習発表会が終わりました。たくさんの皆様にご覧いただきました。ありがとうございました。子供たちも全力を尽くして発表をしたと思います。

■6年生としての自覚
 6年生になってから、いくつかの大きな行事がありました。運動会、修学旅行、水泳・陸上記録会等々。
 一つ一つの行事を節目として子供たちは成長をしてきたと思います。
 今回も同様です。担任の私としても「学習発表会を通して一回り大きくなってほしい」と願っていました。今回、子供たちの自覚を高めるのに役立ったのが教室の黒板です。総練習や本番当日、一人一人が朝教室に入った時に「自分のめあて」を書きました。たとえば、本番当日のめあては次のようなものが出てきました。
 ★ 自分の仕事を責任をもってする
 ★ 緊張してもがんばる
 ★ 何事にも全力で行う
 ★ とにかくがんばる
 これらの言葉は一人一人の自覚を高めることになりました。子供たちへの満足感にもつながったと思います。

■みなさんと作り上げた発表
 さて、「子供たちの発表」でしたが、実質は「皆さんと作り上げた発表」と言えます。
 たとえば4~6年生での劇では、「祖父母の方への聞き取り調査」をもとにしています。もちろん、衣装面でもご協力をいただきました。
 また、全校音読では、学年委員さんを中心としてギャラリーの暗幕の開け閉めを手際よく行っていただきました。
 全てのことに改めて感謝いたします。本当にありがとうございました。そういう意味で皆さんのご協力でできた発表と言うことができます。

■その機転に感動!
 練習期間が長いですから、いろいろなことがおきます。
 その中の一つのエピソード。
 本番当日の朝練習のこと。Y君が体調が悪く、全校音読の途中で座ってしまいました。最後にY君だけが言うセリフがあります。「どうしようか・・・。私がかわりに言うしかないかな。」と思っていたら、K君が機転をきかして、Y君のセリフをすばやく言ってくれました。
 K君の位置からはY君は見えません。Y君のセリフが出てこないのを「おかしい」と思い、その様子を見て瞬時に言わなければと思ったそうです。しかも、友達のセリフを全部暗記していなければできないことです。さらに、言う勇気も必要です。
 朝練習の後、学級のみんなにもこのことを話しました。この出来事で、「本番は全員成功するだろう!」と確信しました。
 本番の全校音読では、体調不良気味だったY君も最後のセリフまでがんばりました。自分の責任を果たそうとしたその姿勢にも拍手です。

 いずれ一人一人のよさが輝いた発表会でした。

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  陸上記録会で選手宣誓の大役を出すことになった。せっかくの機会だから学級のみんなで考えることにした。

6年学級通信  カルチェ・ラタン  第56号  9月11日

    全員で考える選手宣誓

 来週の土曜日の陸上記録会に向けて、子供たちの陸上練習も熱が入ってきました。今週は、月曜日、木曜日と陸上競技場で記録を測りました。「去年より2秒伸びた!」「今日は最高記録!」といった嬉しい声も聞こえてきました。

 さて、今回の陸上記録会では、実際の種目とは別に大きな出来事があります。それは「選手宣誓」が我が小学校の割り当てになっているということです。
 一人ではなく、全員一斉に「宣誓!」とやったら、とてもいいだろうな・・・と担任である私は夢想していましたが、現実的には無理です。でも、陸上リーダーであるK君、Eさんで行うことは可能となりました。

 さて、問題は宣誓の文言です。
 せっかくの機会だから、学級全員で選手宣誓で使われる言葉を考えようと思いました。
 最初に、「陸上記録会で思い浮かべることは何ですか?」と子供たちに聞いたら、「人間」「よろこび」「感動」「走る」「応援」「練習」といった言葉が出てきました。その数、38種類!
 そして、「この中で、宣誓にふさわしい言葉を各自3つ選びなさい。」と言いました。
 次の4つを選びました。

   「全力」  「一生懸命」
   「頑張る」 「ベスト」

 この4つの言葉は、今の子供たちの陸上練習を表している言葉でもあるなあと感じました。
 陸上記録会の日、これらの言葉が盛り込まれた選手宣誓が行われます。
 きっと、みんなの心に残る選手宣誓となることでしょう。

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2016.04.08

著者セントラル

明治図書からは3/17、アマゾンからは3/31に「ゼロから学べる小学校社会科授業づくり」と「朝の会・帰りの会&授業でそのまま使える! 子どもたちに伝えたいお話75選」が発売されました。

評価してくださるいくつかの声をいただいております。有難いことです。

この1~3月は先の2つの本に加えて、副校長本も発刊しました。今までの自分の単著や編著もあわせて18冊となりました。これにかなりの数の共著や部分執筆の本があります。

久しぶりにアマゾンの「著者セントラル」を整理しました。こちらで今までの著書が一覧できます。よき縁をいただいたと思っています。

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2016.04.07

お花見は桜と共に

この一週間ほどは,フェイスブックのタイムランには桜の写真がたくさん流れた。
こちら岩手はまだまだだが,そのうち迎えるであろう。
心に残る季節である。その小話。

1 お花見する人々、日本人
 春。日本のあちこちで桜が満開になります。
 ニュースでも、「公園では、今桜の花が満開です。その桜の下では、お花見のお客さんでいっぱいです」と、楽しそうにお酒を飲んだり、団子を食べたりする風景が写し出されます。皆さんも、お花見をしながらおいしい団子を食べたこともあると思います。
 このようなお花見は外国ではあまり見られません。日本ならではのものです。しかも、「花」といえば数多くの種類があるのに、お花見といえばまずは「桜」です。
 いつころからお花見をするようになったのでしょう。

2 江戸時代のお花見
 お花見のはじまりは今から千年以上前と言われています。貴族の間で桜を観賞するのがすでに行事になっていました。
一般の人々に広まったのは江戸時代です。特に江戸(今の東京)には上野をはじめとする桜の名所がいくつもあり、ガイドブックまでできたほどです。その時には、金持ちも貧乏な人もそれぞれ仲間を作って、お弁当を持って出かけました。桜の下では、飲めや歌えやの大騒ぎ。「茶番」と呼ばれる劇をする人たちもいました。こうなると、ほとんど今の花見と同じですね。
 江戸時代の花見は、生活するのが大変な中であって、人々にとって大きな楽しみでした。 たとえ、貧しい中でも、かまぼこのつもりの大根、卵焼きのつもりのたくあん、そしてお酒のかわりは番茶で・・・というように楽しんでいました。

3 桜の木を大切にする
 お花見に欠かせない桜は、自然に咲いているわけではありません。美しい桜を保存していくために、活動している人々もいます。
 「日本さくらの会」では、「さくら百万本植樹・愛護運動」を行っています。さくらを保存するだけではなく、桜を育てる運動を日本人の心を育む運動に高めていこうとするものです。
 確かに、このようにお花見の歴史や桜の大切さを知ることによって、「日本のよき楽しみ」を続けていきたいという気持ちになります。そんなことを思いながら、皆さんも今年のお花見を楽しんでみたらどうでしょう。

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2016.04.06

社会科の本

このブログのテーマを昨年「社会科教育を考える」に変えた。
自分のこれからの方向性を絞ったものにしていくためだ。だから、社会科教育関連の記事を増やしていきたいと思っている。

幸いなことに本校は校内研究会で社会科も研究している。(4教科プラス特別支援の研究)。そういう意味では、社会科教育に触れる機会の多い校内研(これは前任校も同様であった)ということで、幸いである。

自分が読んだ本の情報もこまめに発信していければと思う。
この春に読んだ社会科本は次の2冊。

〇「授業を劇的に変える21の基本技術」(間森誉司著 フォーラム・A)

経験豊かな豊富な実践をもとに、効果的な提示、思考を深める発問、ゲストティーチャーといった読者の「知りたい」に応える深い内容である。しかも、一項目を4ページに3コマ漫画、授業の流れ、解説、応用とわかりやすく書いている。教室で何度も開いてみたい本である。

〇「アクティブ・ラーニングでつくる 新しい社会科授業」(北俊夫・向山行雄著 学芸みらい社)

社会科の重鎮のお二人から見たアクティブ・ラーニングが何かを知りたくて購入。各学年ごとの小単元ごとに具体的な実践例が掲載されており、イメージがつかみやすい。

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2016.04.05

懐かしい思いが次々と…

新しい学校に赴任して4日が過ぎた。
土日がはさまったので、実質的には2日間の出勤だが、かつての勤務校でもあるので、懐かしいという思いが次々と出てきた。

まずは初日の校舎まわりでのこと。
かつて自分が過ごした教室がいくつかあった。当時のテレビ、ロッカー、ランドセル掛け、配膳台は今も変わらない。自分が現任校で担任をしたのは、2002年から2006年まで。もう10年近く前なのであるが、当時の子どもたち、当時の実践のあれこれを思い出した。
体育館に行くと、陸上や水泳の校内最高記録の掲示が残されていた。当時の子どもたちも何人か書かれていた。一人一人の顔が思い浮かぶ。

今日は職員室にある書類やICT機器を見て回った。担任時代に自分がプロジェクトで提供してもらったビデオカメラが残っていたり、整備した実物投影機があったり…と自分の足跡を思い出すことができた。
ちなみにビデオカメラでは「水沢の自慢CM」を撮影し、地元ケーブルテレビがその様子を30分ほどの番組にしてくださった。

このような懐かしい思いにはなったものの、現任校では当時とは職が違う。仕事内容ももちろん異なる。さらに、この8年間で変わった点の方が多い。当時の同僚ももちろんいない。
そういう点では、「新しい学校」に赴任したのと何ら変わらない。
新たな気持ちでがんばっていこうと思う。

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2016.04.04

社会科授業開き情報

今年はどのような授業開きをしようか…と考えている人もいると思います。
こういう時には、特集で授業開きに特化している雑誌が役立ちます。

社会科教育」誌の4月号の特集は、「アクティブ・ラーニング時代の授業開き」です。私も「私がしている社会科授業開きの準備」という原稿を書かせていただきました。

また、私自身は次のような授業開きをしてきました。
教諭時代最後のものは次のような感じでした。

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ようやく専科の社会科授業がスタートした。
貴重な授業時間だ。
1時間1時間を工夫して臨もうと思っている。
今日は授業開きということで、プリントを準備して最初に説明した。
続いて、フラッシュ型教材で時代名暗記に挑戦。
そして、6年生でいつもしている「地球の歴史と人類の歴史」。
地球の歴史を46メートルに見立て、人類の誕生がどこか当てるものである。
今日も最後の5cmという答えに驚いていた。

また、専科ファイルを作り、授業の計画・資料・子どもたちのノート、簡単な記録を1時間ごとに作ることにした。今日は授業後10分ぐらいで作成。これなら全時間記録化は可能だろう。
子どもたちに配布した資料は次の通り。

■社会科学習の心構え

1 歴史や社会を見る力・考える力を伸ばしましょう

 何のために歴史を学ぶのでしょうか。
 何のために社会を学ぶのでしょうか。
 それはその「見方」「考え方」を学ぶためです。
 それが1時間の中でできたら、いい学習ができたと言えます。

2 資料を読み取る力、発表する力を伸ばしましょう

 6年生の社会は資料を使った学習が中心になります。
 そのためには資料を読み取る力を伸ばしましょう。
 具体的な読み取り方法を教えます。
 それに基づいて行えば大丈夫です。
 また読み取ったことは、必ず発表しましょう。
 同じく読み取っても、
発表するとしないでは、天と地ほどの差があります。

3 ノートは「学習のあしあと」にしましょう
 
 学習したこと、自分の考えがわかるノートにしましょう。
 そのためには、板書以外も自分でどんどん書くことです。
自分の考えはもちろん、友だちの考えも書きましょう。
時々点検したり、集めたりします。
 
4 知識を増やしましょう

 社会科では知識も大切です。
 テストは知識がなければ解けないものもあります。
 また知識を身につけることは中学校でも大いに役立ちます。
 ゲームやクイズなど、工夫しますからお楽しみに!

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初の専科ということへの意気込みが伝わってきます。この学校にこの4月からまた赴任しています。

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2016.04.03

5年生学級通信 その2

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

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4月に学級のキャッチフレーズを決めています。(学級目標とはニュアンスがちょっと違います。)「子供たちがいつまでも覚えている」ことがキーコンセプトです。


学級通信 夢工房・21 第7号  4月14日

合言葉は 「はばたけ 夢のつばさ 未来にむかって」

★ 子供たちがすぐに言えるキャッチフレーズ
 毎年、毎年子供たちの手による「学級のキャッチフレーズ」を作っています。キャッチフレーズを合言葉にして、いろいろな活動の起点にしたいからです。
 4年生の時のキャッチフレーズは、「輝け太陽!プラズマレインボーロード!」でした。
(たいへん長いのですが、「輝け」にも、「太陽」にも、「レインボー」にもそれぞれ意味がありました。)
 さて、そのキャッチフレーズを作る時にはポイントがあります。
■子供たちの願いが込められている言葉を使うこと
■子供たちがすぐに言えるようなキャッチフレーズにすること
 私は、このキャッチフレーズを決める授業が大好きです。新しい学年でロマンのある言葉、夢のある表現が出てくるからです。
 今回もその通りでした。

★ まずは、「願いの込められている」言葉から
 最初に子供たちに、キャッチフレーズに使いたい言葉を発表させました。
 次のように、実に多くの言葉が出てきました。
■ドルフィン(「賢い動物」「大きく跳ぶ」といったところから)
■夢(明るい未来の象徴)
■鬼(力強いから)
■2001・21世紀(新しい時代になる)
■つばさ(どんどん飛んでいく)
■青空(広い、広いもの)
■のびやか(自分の好きな言葉だから) 等
 かっこの中にあるように、その言葉に込めた自分の願いも言わせました。出た言葉の数、22種類です。

★ キャッチフレーズにする
 言葉を出しただけでは、まだキャッチフレーズではありません。ここから言葉を絞り込んで、キャッチフレーズにしていきます。
 22種類の言葉のうち、子供たちが特に共感するものを3つ選びました。
「夢」「はばたけ」「つばさ」です。そして、この三つの言葉を入れたキャッチフレーズを考えさせました。
 いくつかの案の中で、選ばれたのが、

 はばたけ 夢のつばさ 未来にむかって

なのです。大きく、大きく伸びていく子供たちにピッタリのキャッチフレーズです。私も気に入りました。

★ さっそく関連活動
 キャッチフレーズも、活用されなければ意味がありません。まずは、学級のシンボルとなる掲示物を作りました。イメージは「鳥」ということで一人一人が好きな鳥を絵にして、22のつばさができました。(参観日にご覧ください。)
 これからさらに、学級歌、旗作りと活動は広がっていくことでしょう。楽しみです。

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 学級の独自の歌はやはり楽しいものです。この歌を学級会で歌うたびに子供たちはニコニコでした。私もです。歌詞が嬉しいものでしたから。

学級通信 夢工房・21 第98号 9月20日

  学級の歌に取り組んでいます

 子供たちが盛り上がる授業というのがあります。きょうはそのお話です。
 先週の学級活動で、「学級の歌」を作ることに決まりました。
 昨日の音楽の時間を使って、さっそく歌作りに取り組みました。大きくは2つのグループに分かれました。「かえ歌グループ」「オリジナルグループ」です。だから、学級の歌は2曲ということになります。
 かえ歌グループは「森のくまさん」を選びました。今流行の「オハロック」をはじめとして6~7曲候補があがっていたのですが、「みんなが知っている」「替え歌をつけやすい」という理由で選ばれたようです。

 その曲選びでずいぶん時間がかかったのに、歌詞はあっという間に10分ぐらいでできました。
 そのコツは、歌いながら誰か適当な言葉を言うと、「それがいい!」といってどんどん決めていくからです。1フレーズ作る度に、ワッと盛り上がって歓声があがります。「ピッタリ!」「合っている!」という声が飛び交っています。
 最後には、「歌詞の中に先生も入れよう」ということで、入れさせてもらいました。というわけで、次のような歌詞の完成です。

♪ 5年生の歌 その1 「森のくまさん」のメロディで ♪

1 高小(高小)  5年生(5年生)
  はばたけ(はばたけ) 夢のつばさ(夢のつばさ)
  未来に向かって それゆけ5年生

2 高小(高小)  5年生(5年生)
  美男子(美男子) 美少女(美少女)
  そして先生も なかなかいけてるよ

 これからは、この歌が学級会や応援の場等で響くことでしょう。
 さて、もう一つのオリジナルグループ。これは、曲作りから始まるので難しいです。ですが、半分はできたようです。
 あとは休み時間を使いながらということになりました。こちらも完成が楽しみです。完成したら紹介をします。

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 子供たちの成長ぶり、やはり嬉しいものです。教師になってよかったと思う瞬間です。

学級通信 夢工房・21 第127号 10月31日

    爽やかな風

 金曜日は、学級集会係企画の「ミニミニ集会」です。学級みんなで遊ぶので、私は実にいい休み時間だと思っています。
 先週もそうでした。
 給食時間に、係の子が言います。
「今日の集会では、このごろサッカーでみんな楽しんでいるので、サッカーをします。」
 多くの子供たちは、声には出さないけど、「わかった」という様子です。
 しかし、今日は反対の声が出てきました。

「体育でサッカーばかりしているので、今日は別のががいいです。」(注:なるほど、こ れは確かにそうだ。)
「たとえば何ですか」(注:この切り返しも見事。)
「たとえば、ドッジボールとかです」(注:ドッジボールもいいアイデアだ。みんなもこれでいいと言うかもしれない。)
「もっとはっきりと言った方がわかりやすいです。『とか』ではなくて・・・」(注:ん~、国語の学習のようになってきたなあ。鋭いぞ。)

 私が黙って見ていると、次々と手があがります。「賛成!」「反論!」という声も聞こえます。給食時間なのに、まるで討論会、ミニ学級会になってしまいました。

 意見がいくつか出た後、集会係が次のように言ってようやく決まりました。
「今日は、話し合う時間がありません。だからサッカーでお願いします。」(注:この「お願いします」がみんなを納得させるポイント!よくぞ言ってくれた。)
 これにてとりあえず一件落着。むろん、「ドッジボール」という希望はきっとこの次のミニ集会に生かされると思います。

 さて、この後、少し不安になりました。「反対した人たちはもしかして参加しないのでは・・」 ところが、ところが・・・。天気のよい秋風の下、反対した人も一緒に楽しんでいました。男女混合で2チームを作って、ちゃんとサッカーのゲームをしていました。
 男子がドリブルしているボールを女子がとったり、得点シーンでは思わず「ヤッタ―!」と大騒ぎをしたり・・・。皆いい顔で遊んでいます。本当に楽しそうです。

 「話し合いでは自分の意見を主張する、でも決まったことに従う」

というルールがみんなの心の中にちゃんと存在していました。そのことを感じた時、本当に嬉しかったです。
 おりしも、涼しい秋風がサッカーでかいた心地よい汗を乾かしてくれます。
 私の心にも心地よい風が吹いていました。

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 ちょっとしたことから子供たちの知的好奇心を高めることは、実に楽しいことと思っています。

学級通信 夢工房・21 第149号 12月5日

   さらに知的に・・・

 勉強というのは、何も授業中に教科書を使って・・・ということばかりではありません。今日は、日常の中から子供たちが賢くなっている話題です。

■地名を覚えよう
 全校朝会で、6年生のHさんが沖縄の多良間村との交流事業で、多良間島に行くと校長先生が話されました。
 このような話題があると、私は「しめた」と思います。その話題をきっかけに地理的な知識が深まるからです。

 さっそく教室に戻ってから、「沖縄の多良間島を見つけなさい」と言いました。すぐに子供たちは索引で調べ始めます。ところが残念ながら索引にはついていません。仕方なく、沖縄が出ている範囲で探します。
 翔大くんと翔くんが最初に見つけました。沖縄の南も南、台湾まであと百数十キロというところがにありました。(きっと文化も違うのでしょうね。)
 さっそく丸で囲んでおきます。そうすることによって、「以前何かを調べた」という証拠になります。印がつけばつくほど、地図帳を使っていたということになります。

 合わせて、宮古市の姉妹都市の「黒石市」も調べさせました。黒石市と宮古市が姉妹都市であるということは、ほとんどの子供たちはわかりませんでした。もちろん、黒石市が青森にあるということもです。
 地図帳には黒石市の所に大きなりんごのマーク。「きっと、りんごの産地なんだ」と子供たちも思いをめぐらしていた。
 一つの話題から、ちょっとした時間で知識が広がります。

■難解漢字にチャレンジ

 学級レクで教室で会食した時に気づかれたかもしれませんが、教室の黒板に毎朝、いくつかの「難解漢字」が書かれています。朝の会で簡単に取り上げる程度なのですが、読むことができない漢字が出てきた時には、子供たちも黒板の前で「これは何だ?」と首をひねっている姿が見られます。
 一種の「難解漢字チャレンジコーナー」みたいです。
 これはK君が一人勉強ノ―トに書いた難しい漢字がきっかけでした。昨日はたとえば次のような漢字が出ました。

・蝉・・・せみ  ・蛍・・・ほたる  ・飛鳥・・・あすか  ・吟・・・ぎん  ・獏・・・ばく

 これらは私もわかるのですが、T君が出した「こうのとり」(注:漢字に変換できません)の問題は「ん?」と思ってしまいました。
 最初、「鶴」という漢字の間違いだろうと本人に尋ねたら、「いや、ちゃんと辞典にのっています」とのこと。「ほう」と思ってのぞいてみたら、確かにありました。
 子供たちも勉強になりますが、私もちょっと知的になりました。

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「〇年生で〇〇をしてくれませんか」という依頼がくる時がある。そんな時には「面倒」と思わず、「いい指導のチャンス」と思っている。

学級通信 夢工房21 第49号 6月15日

   あいさつ文を考える

 昨日は6年生の修学旅行の報告がありました。
 作文だけではなく、ビデオで実際の見学先(平泉・仙台・松島等)を紹介してくれました。「来年は自分たちの番」ということで、子どもたちは興味深げに見ていました。
 さて、この報告会の時に「5年生から」という簡単なあいさつがありました。
 代表一名でいいのですが、せっかくの機会です。国語の時間にあいさつ文の学習を取り入れました。
 最初に次のように言いました。

 6年生が修学旅行から帰ってきました。
 君たちが5年生の代表として迎えることになりました。そんな時にどのようなメッセージを6年生におくりますか。ノートに書きなさい。

 子供たちは思い思いに書きます。
 この時点では、子供たちの書く内容は様々です。そのうちのいくつかを発表させました。次のようにです。

 例・6年生のみなさん、おかえりなさい。修学旅行は楽しかったですか。その楽しい思い出をわたしたちに聞かせてください。

 このようなものが6つです。それらの中から、このような時のあいさつ文としてふさわしいものを考えました。次のような内容を入れたらいいという結論になりました。

 ■旅行のねぎらいのあいさつ
 ■問いかけの文(例・楽しかったですか?)とそれに対する予想の答え
 ■自分の思ったこと
 ■6年生の留守の間のこと
 ■まとめ(話を聞かせてくださいといった内容のお願い)

 この後、再度書き足しました。下記のようなあいさつ文となりました。

 6年生のみなさん、おかえりなさい。修学旅行は楽しかったですか。たぶん、楽しかったでしょう。
 6年生のみなさんは、小学校生活最後なので、いい思い出になったと思います。
 5年生は、6年生に頼まれた仕事をちゃんとしました。
 これから思い出を教えてください。よろしくお願いします。

 あいさつ文の習得も一つの技能です。高学年として、これからあいさつする機会も多いと思います。今回はあいさつ文を考えるいい機会になりました。

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2016.04.02

5年生学級通信 その1

【HP移行に際してのリバイバル掲載です】

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謎解き風の子供たちとの出会い。そんな遊び心、大好きです。

5年 学級通信  カルチェ・ラタン 第1号  4月7日

       出会い その1

    5年生スタートの日
 5年生・・・いいひびきだ
 クラスがかわる
 友だちもかわる
 教室もかわる
 そして・・・先生もかわる
 君たちが今一番知りたいこと・・・・
 それは担任の先生がだれかということ
 1時間後、その答えは出る
           君たちの担任「ミスターX(エックス)」より

 出会いの日はいつも緊張するものです。子供はもちろん、教師もです。
 「どんな子供たちと出会うのだろうか」という期待と共に、「自分が担任と発表された時、子供たちはどんな反応を示すだろうか?」という若干の不安もあるからです。
 今回は5年ぶりの高学年の担任。出会いを工夫しようと考えました。
 一つは担任が誰か謎解きのようにしておくこと。
 もう一つは、「担任方針演説」です。
 さて、冒頭の文。これは、前日教室の黒板に私が書いていたものです。
 子供たちは、西昇降口で、自分の学級を知ります。そして教室に入ります。気になるのは、担任の先生は誰かということです。ふと、黒板を見ると文が書いています。
「『ミスターX』って誰だろうな・・・」と感じてくれたらしめたものです。
「XってN先生でしょうって聞いたら、『ウーム』って言っていたよ。だから、N先生だよ」
という会話が廊下を通りがかった時に、聞こえてきました。
 まずは作戦成功です。
 さて、紹介式のあとの始業式。
 校長先生が1年生から順番に発表します。私は、じっと5年1組の子たちの反応を見ていました。さすがに前学年で担任だったM先生(1年担任)、I先生(2年担任)、W先生(3年担任)の時には列がゆれて、(あっ、違う先生になるんだ・・・)という心境が伺えます。
 4年生の発表が終わると、残る時間も限られます。
「果たして、誰になるのかな・・・」
といった表情です。
 いよいよ5年生の担任の発表です。
「佐藤正寿先生です。」と言われて、元気よく「はい!」。子供たちの前に立ちました。
 じっと子供たちの目を見ました。
 第一印象。「わりと落ち着いている」。
 子供たちが私のことをよく知らないから、どんな顔をしていいか戸惑っていたからかも知れません。
 担任の謎解きは終わりました。次は、「担任方針演説」です。

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 学級通信のセレクションをして「こういうこともしていたんだ!」という発見もあります。これは教師になって3年目のことです。通信名は「三年」を意識しています。

学級通信  石の上  第5号  4月10日

    「物を大切にすること」とは・・・

 いつも4月初めになると思うことがあります。
 それは、子どもたちの教科書が本当に「きれいだ」ということです。
 まだ、ほとんど使われていないから当然です。
 これが、2ヶ月、3ヶ月たつとだいぶ汚れてきます。
 特に国語や算数はよく使われるので、表紙が折れ曲がったり、角の部分がきたなくなったりしています。
 それは、それで「よく使われた」証明で、愛着のわくこともあるでしょう。
 しかし、私からすれば、やはり長期間、ていねいに扱ってほしいと考えます。
 昨年、一人の男の子の算数の教科書がボロボロになっていました。そういうのを見ると、やはり「物を大切にする心」を養いたいと考えるわけです。
 でも、口で「物を大切にしなさい」と言っても、子どもたちにとってはピンと来ない場合もあるようです。
 実際に、具体的な物で指導することが効果的なようです。
 そこで、昨日、

  物を大切にする心を養うためのブックカバー作り

を行いました。(※1)
 ブックカバーといっても簡単なものです。
 上質の紙を全員に渡し、下の図(略)のようにすると、ものの十分もしないうちに真新しいブックカバーの完成です。
 もっともこれだけでは味もそっけもありません。
 そこで、表紙に明朝体の大文字で教科名を書くように指示しました。(※2)
 子どもたちは喜んでていねいに字を書いていました。
 チャイムが鳴っても、ずっと書き続けていたほどです。
 やはり自分だけの「ブックカバー」だと大切にする気が起きるのでしょう。
 子どもたちには、次のように言って、カバー作りを終えました。

 ブックカバーは、汚すためにあるのです。カバーがボロボロになったら、また新しいカバーを作りなさい。それが「物を大切にすること」です。

※1 ブックカバーを作りをする前に、すでに教科書にカバーをしている人が4人いました。
  このうち一人は、これから作ろうとしていたカバーを自分ですでに作っていました。
※2 早く書き終わった子どもたちは、自分の気に入ったイラストを楽しそうに書いていました。

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 教育実習生を受け持つことは、子供たちにとっては大きなプレゼントです。若い息吹から何を子供たちは感じ取ります。だから教育実習生の存在は有り難いと思っています。担任の負担は増えますが、この通信はそれを逆手にとった実践記です。

学級通信 カルチェ・ラタン 第32号 5月26日

      特別係、動き出す

 教育実習生を迎えるにあたって、私は一つ考えました。「この機会に子供たちに何かしらの力をつけたい」と。
 そこで、H先生(実習生)の教育実習生の期間に、ふだんの係活動とは別に、「特別係活動」を企画しました。
 話し合いをしたのは、先週の火曜日です。そして、子供たちの希望から次のような特別の係が生まれました。

 ■教え係・・・H先生に学校のことは何でも教える。
 ■集会係・・・歓迎の会、お別れ会等の企画・運営をする。
 ■遊び係・・・H先生を交えてみんなで遊ぶ。
 ■新聞係・・・H先生のことを記事にして新聞を作る。
 ■写真係・・・そのものズバリ、写真をとる。

 写真係では、最初に「みんなから少しずつ集金する」という案も出ましたが、私の負担としました(インスタントカメラ)。子供たちにカメラ・・・というのはなじまないと考えられる方もおられるかもしれません。しかし、低学年の生活科では積極的に活用している学校もあります
 さて、昨日、これらの係活動が実質的にスタートです。まずは、改めてH先生を歓迎する会が持たれました。

  ようこそ5年1組へいらっしゃいました。  
  みんな、先生がくるのを楽しみにしていました。
  私たちのクラスは、明るく楽しい元気なクラスです。
  1ヶ月間、いっしょに勉強したり、遊んだりして、いい思い出をつくりたいです。

 このようなSさんの歓迎の言葉から始まりました。
 そして、子供たちの自己紹介、H先生の紹介が続きます。
 やがて質問コーナーになりました。最初は、「どんなことを聞こうか」と考えていた子たちも、S君の「好きなスポーツは何ですか」から、口が滑らかになってきました。(この答えはサッカーでした。)
 続いて、「好きな食べ物は?」「マーボ豆腐です。」
 「好きなテレビ番組は?」「ウゴウゴルーガです。」
 その次に、Rさんの鋭い質問。

 「どうして先生になろうと思ったのですか」(採用試験の面接みたいです。)
 「小学校の時に『熱中時代』というテレビがあって、それを見て、ずっと先生っていいなあ と思っていました。」

 心の中で、私はクスクス笑っていました。
 というのもH先生の「小学校」という部分を「高校生」に変えると私のことになるからです。
 ♪♪♪「ぼくの先生は~(フィーバー) 嵐を巻き起こす~(フィーバー)」♪♪♪
 というメロディーがふと浮かんで来ました。H先生も、我がクラスに嵐を巻き起こすぐらいのファイトでいることでしょう。

 動き出したのは集会係だけではありません。
 写真係はさっそく歓迎会の様子をパチリと写真にとりました。
 教え係も、給食の時のこと、そうじ区域のこと、学校の案内と大忙しです。新聞係は、すでに記事を書き始めましたし、遊び係も遊びの計画を立てています。
 子供たちの特別係、楽しみです。

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  人との別れは感動的です。

学級通信 カルチェ・ラタン 第47号 6月21日

   さようなら、H先生

 H先生の教育実習が終わりました。
 先週の金曜日は、館山の大いちょうの広場に行って、子どもたちからの手作りのプレゼントを渡したり、一緒に歌ったりして、別れを惜しみました。そのあと教室に戻ってきてから、全体の前で実習の感想を話してくれました。
 土曜日は、最後の日ということで、一人一人が書いた作文を子どもたちが手渡しました。その時に、H先生から一人ずつメッセージが送られました。
 どちらも感動的な場面でした。H先生自身が実習日誌に「感動した。泣きそうになって、子どもたちの顔を見ることができなかった。」と書いているぐらいです。それは、子どもたちにとっても同様だったと思います。
 4週間、一緒に学級に過ごしたH先生。授業も一生懸命にしてくれたH先生。朝マラソンや休み時間、一緒に活動してくれたH先生。思い出はつきないと思います。

 子どもたちのお別れの手紙には、楽しかった思い出がふんだんに書かれていました。サッカーの授業が楽しかったこと、音楽の「夢の中」の歌を覚えておもしろかったこと、時には怒られたりしたこと等です。
 どれも今となっては、「思い出」になってしまいました。
 でも、子どもたちとH先生とのつながりは、これで終わりではないでしょう。きっと子どもたちはH先生に手紙を書くと思います。そして、H先生もすぐに返事をくれることでしょう。(私自身もそうでした。)
 子どもたちが6年生になり、この学級が卒業するまで、その関係が続くことを願っています。

 さて、この実習期間中、大活躍をしたのが新聞係(女子班)です。
 この4週間に5号も新聞を発行しました。その中身も、今までの学級新聞のパターンを破った画期的なものでした。
 まず何よりも読みやすい。これは、イラストと活字の組み合わせのセンスがいいからです。
 そして、中身が充実している。私は、子どもたちの新聞から、H先生が6年生の時に児童会長だったことを知りました。そこから、その時の苦労話も聞くことができました。
 さらに、学級文化も高まりました。いつのまにか、5号の新聞を通じて、学級のマスコットキャラクターが決まりました。ブック君とパスタちゃんです。これから広まっていくと思います。
 この新聞係の活動ぶりは、これからの係活動のよい見本となることでしょう。

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 教師3年目の時、「授業が上手くなる」というのが最大のテーマでした(今も変わり
ませんが・・・・)。そのための私的なことも通信に書いていました。

学級通信 石の上  第51号  6月20日

    教師修業の秘密兵器

 私的なことを書きます。
 今月に入り、車を買い換えました。前の車が車検切れのためです。新しい車は1300の4ドアセダン、車名は広告になるので書きません。もちろん中古車です。
 この車には、前の車になかったものがあります。カセットがついています。まあ、ついているのが普通なのですが、前の車にはついておらず、それを不便とも感じませんでした。
 初めの頃は音楽を聴いていましたが、テープの本数が少ないためあきてしまいました。
 そこで、ひらめいたのが「自分の授業を録音して、聞いてみよう」という考えです。
どんな目的で聞くのかといえば、一言で言うと、

  教師としての自分の話し方が子供達にどう聞こえるか知る

ためです。
 私自身は、子供達に伝わるように話をしていても、子供達からすれば頭に響いていないかもしれないのです。また、話し方だけでなく、私の指示の仕方や発問の仕方がどうあるか聞きたいとも考えるわけです。
 「自分の話した言葉を自分の耳で聞くことができるようじゃないといけない」と言われたことがありましたが、新採用になって3年目の私にとっては、授業をこなすだけで精一杯で、とてもそのような余裕はありません。ですから、カセットの協力を得なければいけないのです。
 さて、自分で我が授業を聞いた感想を率直に述べます。
 
 1 発音が明瞭ではない時がある。もごもごして、テープでは聞き取れない音がある。
 2 一般的に話し方は丁寧であるが、子供が自分の考え通り動かない時、乱暴な言葉づかいが出ることがある。たとえば、強い口調で「早く写しなさい!」
 3 指示が長かったり、言い直しをしたりで、子供達が混乱することがある。

 1については、口のあけ方を直さなければいけないと感じました。
 テープを聞いたあと、どんな場合でも「はきはき」した発言をするように心がけています。
 2については、私の心掛けしだいと考えています。(といっても、心だけでできれば、すでによくなっているのですが・・・)
 3については反省ばかりです。短い指示というのは大原則なのですが、授業では意外に生かされていないと感じました。大いなる反省材料です。
 このようにして、また4、5回録音して、聞いただけ(通勤途中)ですが、自分にとって「教師修業」をする上で大切なことがいろいろと発見できます。
 自分なりの秘密兵器(紹介すると秘密ではないのですが)として、役立てたいと思います。

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 2ヶ月もの長期出張。教師になって「授業ができない」初めての経験でした。
 復帰してから、毎日がとても新鮮でした。

学級通信 カルチェ・ラタン  第92号 11月24日

    再び、よろしく

 2ヶ月ぶりに見る小学校の風景はすっかり変わっていました。
 皆様に激励会を開いていただき、アメリカへ旅立った頃はまだまだ暑く、半袖で過ごしていました。校庭の樹木も緑がいっぱいでした。
 それが、紅葉の時期もすでに過ぎ、初雪が舞った中を小学校に戻ってきました。
やはり2ヶ月という月日の長さを感じました。

 でも、それは一瞬のこと。
 11月22日。月曜日。
 全校朝会で子どもたちの前で立って、5年1組の子どもたちの変わりない顔を見て、まずホッとしました。そして、チャイムの音を聞いて、「ああ、本当に日本の学校に戻ってきたんだなあ」と安心しました。(アメリカの小学校には、全校朝会もチャイムもありませんでした。)
 そして何よりも、子どもたちに対して授業ができることが大きな喜びでした。アメリカでは数時間授業をしましたが、それ以外はほとんど参観です。最初は、「参観も気楽でいいな」と思っていましたが、そのうち授業ができないことが苦痛になってきました。教師にとって、授業をする時間を奪われるということが、これほどつらいものなのかということを実感しました。

 1時間目。
 さっそく、この2ヶ月間のことを聞きました。子供たちは、いろいろと話してくれました。
 9月のマラソン大会で女子ががんばって学年2位になったこと。
 陸上記録会で一生懸命に応援をして、圧倒的な強さで上位を占めたこと。
 文化祭の直前、図工と習字を毎日のようにして作品を仕上げたこと。
 市内音楽会で、緊張しながらもベストを尽くせたこと。
 そして、一昨日岩谷堂箪笥の見学にいってきて、高価な箪笥をじかに見てきたこと・・・。
 考えてみれば、2学期のほとんどの行事が過ぎてしまっているわけです。再度この2ヶ月間という長さを実感しました。

 そして、この忙しい時期を私に代わって担任してくださったK先生、教科の指導をしてくださった3人の先生方に感謝の気持ちでいっぱいでした。
 特にK先生には、アメリカにまで子どもたちの手紙を送っていただきました。あの手紙にどれだけ励まされたことかわかりません。
 そのお返しというわけではありませんが、この2ヶ月間の感謝の気持ちを国語の時間に書かせました。思い出がいっぱいあるので、子どもたちもどんどん原稿用紙を埋めていきました。
 帰りの会に、K先生に教室に来て頂き、委員長から「お世話になりました。ありがとうございました。」とその手紙が渡されました。
 K先生は、この2ヶ月間の子供たちのいい面を話してくださいまいした。
 しかも急な辞令で、K先生は別の小学校の教頭先生になられます。今日が離任式でした。
この小学校最後の授業を5年1組でしてくださったことになります。
 私からも改めて感謝したいと思います。

 さて、私にとっては改めて5年1組の担任としてのスタートです。
 2学期は残り1ヶ月あまり。今までと同様に皆様のご協力をお願いいたします。

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2016.04.01

授業深堀りセミナー

愛知での「授業深堀りセミナー」は平成28年度も続きます。

私は、6月18日の玉置崇先生と共に登壇します。
社会科の模擬授業です。
平成28年度の一回目の模擬授業・飛び込み授業がこれになります。

その後のディスカッションはエキサイティングになることを保障します。
そんなセミナーです。

申込みも始まっています。こちらから。

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