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2016.04.02

5年生学級通信 その1

【HP移行に際してのリバイバル掲載です】

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謎解き風の子供たちとの出会い。そんな遊び心、大好きです。

5年 学級通信  カルチェ・ラタン 第1号  4月7日

       出会い その1

    5年生スタートの日
 5年生・・・いいひびきだ
 クラスがかわる
 友だちもかわる
 教室もかわる
 そして・・・先生もかわる
 君たちが今一番知りたいこと・・・・
 それは担任の先生がだれかということ
 1時間後、その答えは出る
           君たちの担任「ミスターX(エックス)」より

 出会いの日はいつも緊張するものです。子供はもちろん、教師もです。
 「どんな子供たちと出会うのだろうか」という期待と共に、「自分が担任と発表された時、子供たちはどんな反応を示すだろうか?」という若干の不安もあるからです。
 今回は5年ぶりの高学年の担任。出会いを工夫しようと考えました。
 一つは担任が誰か謎解きのようにしておくこと。
 もう一つは、「担任方針演説」です。
 さて、冒頭の文。これは、前日教室の黒板に私が書いていたものです。
 子供たちは、西昇降口で、自分の学級を知ります。そして教室に入ります。気になるのは、担任の先生は誰かということです。ふと、黒板を見ると文が書いています。
「『ミスターX』って誰だろうな・・・」と感じてくれたらしめたものです。
「XってN先生でしょうって聞いたら、『ウーム』って言っていたよ。だから、N先生だよ」
という会話が廊下を通りがかった時に、聞こえてきました。
 まずは作戦成功です。
 さて、紹介式のあとの始業式。
 校長先生が1年生から順番に発表します。私は、じっと5年1組の子たちの反応を見ていました。さすがに前学年で担任だったM先生(1年担任)、I先生(2年担任)、W先生(3年担任)の時には列がゆれて、(あっ、違う先生になるんだ・・・)という心境が伺えます。
 4年生の発表が終わると、残る時間も限られます。
「果たして、誰になるのかな・・・」
といった表情です。
 いよいよ5年生の担任の発表です。
「佐藤正寿先生です。」と言われて、元気よく「はい!」。子供たちの前に立ちました。
 じっと子供たちの目を見ました。
 第一印象。「わりと落ち着いている」。
 子供たちが私のことをよく知らないから、どんな顔をしていいか戸惑っていたからかも知れません。
 担任の謎解きは終わりました。次は、「担任方針演説」です。

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 学級通信のセレクションをして「こういうこともしていたんだ!」という発見もあります。これは教師になって3年目のことです。通信名は「三年」を意識しています。

学級通信  石の上  第5号  4月10日

    「物を大切にすること」とは・・・

 いつも4月初めになると思うことがあります。
 それは、子どもたちの教科書が本当に「きれいだ」ということです。
 まだ、ほとんど使われていないから当然です。
 これが、2ヶ月、3ヶ月たつとだいぶ汚れてきます。
 特に国語や算数はよく使われるので、表紙が折れ曲がったり、角の部分がきたなくなったりしています。
 それは、それで「よく使われた」証明で、愛着のわくこともあるでしょう。
 しかし、私からすれば、やはり長期間、ていねいに扱ってほしいと考えます。
 昨年、一人の男の子の算数の教科書がボロボロになっていました。そういうのを見ると、やはり「物を大切にする心」を養いたいと考えるわけです。
 でも、口で「物を大切にしなさい」と言っても、子どもたちにとってはピンと来ない場合もあるようです。
 実際に、具体的な物で指導することが効果的なようです。
 そこで、昨日、

  物を大切にする心を養うためのブックカバー作り

を行いました。(※1)
 ブックカバーといっても簡単なものです。
 上質の紙を全員に渡し、下の図(略)のようにすると、ものの十分もしないうちに真新しいブックカバーの完成です。
 もっともこれだけでは味もそっけもありません。
 そこで、表紙に明朝体の大文字で教科名を書くように指示しました。(※2)
 子どもたちは喜んでていねいに字を書いていました。
 チャイムが鳴っても、ずっと書き続けていたほどです。
 やはり自分だけの「ブックカバー」だと大切にする気が起きるのでしょう。
 子どもたちには、次のように言って、カバー作りを終えました。

 ブックカバーは、汚すためにあるのです。カバーがボロボロになったら、また新しいカバーを作りなさい。それが「物を大切にすること」です。

※1 ブックカバーを作りをする前に、すでに教科書にカバーをしている人が4人いました。
  このうち一人は、これから作ろうとしていたカバーを自分ですでに作っていました。
※2 早く書き終わった子どもたちは、自分の気に入ったイラストを楽しそうに書いていました。

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 教育実習生を受け持つことは、子供たちにとっては大きなプレゼントです。若い息吹から何を子供たちは感じ取ります。だから教育実習生の存在は有り難いと思っています。担任の負担は増えますが、この通信はそれを逆手にとった実践記です。

学級通信 カルチェ・ラタン 第32号 5月26日

      特別係、動き出す

 教育実習生を迎えるにあたって、私は一つ考えました。「この機会に子供たちに何かしらの力をつけたい」と。
 そこで、H先生(実習生)の教育実習生の期間に、ふだんの係活動とは別に、「特別係活動」を企画しました。
 話し合いをしたのは、先週の火曜日です。そして、子供たちの希望から次のような特別の係が生まれました。

 ■教え係・・・H先生に学校のことは何でも教える。
 ■集会係・・・歓迎の会、お別れ会等の企画・運営をする。
 ■遊び係・・・H先生を交えてみんなで遊ぶ。
 ■新聞係・・・H先生のことを記事にして新聞を作る。
 ■写真係・・・そのものズバリ、写真をとる。

 写真係では、最初に「みんなから少しずつ集金する」という案も出ましたが、私の負担としました(インスタントカメラ)。子供たちにカメラ・・・というのはなじまないと考えられる方もおられるかもしれません。しかし、低学年の生活科では積極的に活用している学校もあります
 さて、昨日、これらの係活動が実質的にスタートです。まずは、改めてH先生を歓迎する会が持たれました。

  ようこそ5年1組へいらっしゃいました。  
  みんな、先生がくるのを楽しみにしていました。
  私たちのクラスは、明るく楽しい元気なクラスです。
  1ヶ月間、いっしょに勉強したり、遊んだりして、いい思い出をつくりたいです。

 このようなSさんの歓迎の言葉から始まりました。
 そして、子供たちの自己紹介、H先生の紹介が続きます。
 やがて質問コーナーになりました。最初は、「どんなことを聞こうか」と考えていた子たちも、S君の「好きなスポーツは何ですか」から、口が滑らかになってきました。(この答えはサッカーでした。)
 続いて、「好きな食べ物は?」「マーボ豆腐です。」
 「好きなテレビ番組は?」「ウゴウゴルーガです。」
 その次に、Rさんの鋭い質問。

 「どうして先生になろうと思ったのですか」(採用試験の面接みたいです。)
 「小学校の時に『熱中時代』というテレビがあって、それを見て、ずっと先生っていいなあ と思っていました。」

 心の中で、私はクスクス笑っていました。
 というのもH先生の「小学校」という部分を「高校生」に変えると私のことになるからです。
 ♪♪♪「ぼくの先生は~(フィーバー) 嵐を巻き起こす~(フィーバー)」♪♪♪
 というメロディーがふと浮かんで来ました。H先生も、我がクラスに嵐を巻き起こすぐらいのファイトでいることでしょう。

 動き出したのは集会係だけではありません。
 写真係はさっそく歓迎会の様子をパチリと写真にとりました。
 教え係も、給食の時のこと、そうじ区域のこと、学校の案内と大忙しです。新聞係は、すでに記事を書き始めましたし、遊び係も遊びの計画を立てています。
 子供たちの特別係、楽しみです。

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  人との別れは感動的です。

学級通信 カルチェ・ラタン 第47号 6月21日

   さようなら、H先生

 H先生の教育実習が終わりました。
 先週の金曜日は、館山の大いちょうの広場に行って、子どもたちからの手作りのプレゼントを渡したり、一緒に歌ったりして、別れを惜しみました。そのあと教室に戻ってきてから、全体の前で実習の感想を話してくれました。
 土曜日は、最後の日ということで、一人一人が書いた作文を子どもたちが手渡しました。その時に、H先生から一人ずつメッセージが送られました。
 どちらも感動的な場面でした。H先生自身が実習日誌に「感動した。泣きそうになって、子どもたちの顔を見ることができなかった。」と書いているぐらいです。それは、子どもたちにとっても同様だったと思います。
 4週間、一緒に学級に過ごしたH先生。授業も一生懸命にしてくれたH先生。朝マラソンや休み時間、一緒に活動してくれたH先生。思い出はつきないと思います。

 子どもたちのお別れの手紙には、楽しかった思い出がふんだんに書かれていました。サッカーの授業が楽しかったこと、音楽の「夢の中」の歌を覚えておもしろかったこと、時には怒られたりしたこと等です。
 どれも今となっては、「思い出」になってしまいました。
 でも、子どもたちとH先生とのつながりは、これで終わりではないでしょう。きっと子どもたちはH先生に手紙を書くと思います。そして、H先生もすぐに返事をくれることでしょう。(私自身もそうでした。)
 子どもたちが6年生になり、この学級が卒業するまで、その関係が続くことを願っています。

 さて、この実習期間中、大活躍をしたのが新聞係(女子班)です。
 この4週間に5号も新聞を発行しました。その中身も、今までの学級新聞のパターンを破った画期的なものでした。
 まず何よりも読みやすい。これは、イラストと活字の組み合わせのセンスがいいからです。
 そして、中身が充実している。私は、子どもたちの新聞から、H先生が6年生の時に児童会長だったことを知りました。そこから、その時の苦労話も聞くことができました。
 さらに、学級文化も高まりました。いつのまにか、5号の新聞を通じて、学級のマスコットキャラクターが決まりました。ブック君とパスタちゃんです。これから広まっていくと思います。
 この新聞係の活動ぶりは、これからの係活動のよい見本となることでしょう。

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 教師3年目の時、「授業が上手くなる」というのが最大のテーマでした(今も変わり
ませんが・・・・)。そのための私的なことも通信に書いていました。

学級通信 石の上  第51号  6月20日

    教師修業の秘密兵器

 私的なことを書きます。
 今月に入り、車を買い換えました。前の車が車検切れのためです。新しい車は1300の4ドアセダン、車名は広告になるので書きません。もちろん中古車です。
 この車には、前の車になかったものがあります。カセットがついています。まあ、ついているのが普通なのですが、前の車にはついておらず、それを不便とも感じませんでした。
 初めの頃は音楽を聴いていましたが、テープの本数が少ないためあきてしまいました。
 そこで、ひらめいたのが「自分の授業を録音して、聞いてみよう」という考えです。
どんな目的で聞くのかといえば、一言で言うと、

  教師としての自分の話し方が子供達にどう聞こえるか知る

ためです。
 私自身は、子供達に伝わるように話をしていても、子供達からすれば頭に響いていないかもしれないのです。また、話し方だけでなく、私の指示の仕方や発問の仕方がどうあるか聞きたいとも考えるわけです。
 「自分の話した言葉を自分の耳で聞くことができるようじゃないといけない」と言われたことがありましたが、新採用になって3年目の私にとっては、授業をこなすだけで精一杯で、とてもそのような余裕はありません。ですから、カセットの協力を得なければいけないのです。
 さて、自分で我が授業を聞いた感想を率直に述べます。
 
 1 発音が明瞭ではない時がある。もごもごして、テープでは聞き取れない音がある。
 2 一般的に話し方は丁寧であるが、子供が自分の考え通り動かない時、乱暴な言葉づかいが出ることがある。たとえば、強い口調で「早く写しなさい!」
 3 指示が長かったり、言い直しをしたりで、子供達が混乱することがある。

 1については、口のあけ方を直さなければいけないと感じました。
 テープを聞いたあと、どんな場合でも「はきはき」した発言をするように心がけています。
 2については、私の心掛けしだいと考えています。(といっても、心だけでできれば、すでによくなっているのですが・・・)
 3については反省ばかりです。短い指示というのは大原則なのですが、授業では意外に生かされていないと感じました。大いなる反省材料です。
 このようにして、また4、5回録音して、聞いただけ(通勤途中)ですが、自分にとって「教師修業」をする上で大切なことがいろいろと発見できます。
 自分なりの秘密兵器(紹介すると秘密ではないのですが)として、役立てたいと思います。

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 2ヶ月もの長期出張。教師になって「授業ができない」初めての経験でした。
 復帰してから、毎日がとても新鮮でした。

学級通信 カルチェ・ラタン  第92号 11月24日

    再び、よろしく

 2ヶ月ぶりに見る小学校の風景はすっかり変わっていました。
 皆様に激励会を開いていただき、アメリカへ旅立った頃はまだまだ暑く、半袖で過ごしていました。校庭の樹木も緑がいっぱいでした。
 それが、紅葉の時期もすでに過ぎ、初雪が舞った中を小学校に戻ってきました。
やはり2ヶ月という月日の長さを感じました。

 でも、それは一瞬のこと。
 11月22日。月曜日。
 全校朝会で子どもたちの前で立って、5年1組の子どもたちの変わりない顔を見て、まずホッとしました。そして、チャイムの音を聞いて、「ああ、本当に日本の学校に戻ってきたんだなあ」と安心しました。(アメリカの小学校には、全校朝会もチャイムもありませんでした。)
 そして何よりも、子どもたちに対して授業ができることが大きな喜びでした。アメリカでは数時間授業をしましたが、それ以外はほとんど参観です。最初は、「参観も気楽でいいな」と思っていましたが、そのうち授業ができないことが苦痛になってきました。教師にとって、授業をする時間を奪われるということが、これほどつらいものなのかということを実感しました。

 1時間目。
 さっそく、この2ヶ月間のことを聞きました。子供たちは、いろいろと話してくれました。
 9月のマラソン大会で女子ががんばって学年2位になったこと。
 陸上記録会で一生懸命に応援をして、圧倒的な強さで上位を占めたこと。
 文化祭の直前、図工と習字を毎日のようにして作品を仕上げたこと。
 市内音楽会で、緊張しながらもベストを尽くせたこと。
 そして、一昨日岩谷堂箪笥の見学にいってきて、高価な箪笥をじかに見てきたこと・・・。
 考えてみれば、2学期のほとんどの行事が過ぎてしまっているわけです。再度この2ヶ月間という長さを実感しました。

 そして、この忙しい時期を私に代わって担任してくださったK先生、教科の指導をしてくださった3人の先生方に感謝の気持ちでいっぱいでした。
 特にK先生には、アメリカにまで子どもたちの手紙を送っていただきました。あの手紙にどれだけ励まされたことかわかりません。
 そのお返しというわけではありませんが、この2ヶ月間の感謝の気持ちを国語の時間に書かせました。思い出がいっぱいあるので、子どもたちもどんどん原稿用紙を埋めていきました。
 帰りの会に、K先生に教室に来て頂き、委員長から「お世話になりました。ありがとうございました。」とその手紙が渡されました。
 K先生は、この2ヶ月間の子供たちのいい面を話してくださいまいした。
 しかも急な辞令で、K先生は別の小学校の教頭先生になられます。今日が離任式でした。
この小学校最後の授業を5年1組でしてくださったことになります。
 私からも改めて感謝したいと思います。

 さて、私にとっては改めて5年1組の担任としてのスタートです。
 2学期は残り1ヶ月あまり。今までと同様に皆様のご協力をお願いいたします。

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