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2016.07.31

私の教材開発物語第31回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第31回(2003年)

   コンビニエンスストアは「便利な」教材

■ 地域によって教材開発がしにくい5年生の社会

 現在5年生の担任である。社会科の教科書を見ると、農業・水産業・自動車工業・情報関連産業等が掲載されている。いわば現実にある産業が対象となっている。
 当然、実際に見学をしたり、その仕事に携わっている人に話を聞いたりすることが大切と考える。本校はその点では恵まれている。水沢は古くから米作りが盛んな土地である。隣町に関東自動車工業の岩手工場があり、トヨタの車を作っている。また小さいながらもケーブルテレビ局がある。水産業以外の学習では見学も直接話を聞くこともできたのである。
 しかし、三陸海岸沿いにあった前任校は違っていた。水産業はもちろん大丈夫だが、他の学習では教材開発をしながら、もっといろいろな産業があったらなあ・・・と思ったものである。

■ コンビニエンスストアは教材開発にとっても「便利」

 その点では、現在学習をしているコンビニエンスストア(「情報を役立てる人々」)は、とてもいい教材である。

・コンビニエンスストアは全国津々浦々に存在する。子どもたちも何度も使った経験がある。
・教師自身が取材しやすい。オリジナルの資料・ビデオを提示できる。
・学区にあるのなら見学もすぐに可能である。ゲストティーチャーとして教室に店長さんを招くこともできる。

 他の単元ではこのように簡単にはいかない。以前、同僚から、「社会科の先生は大変だね。授業の前にあちこち行って資料を集め、時間をかけて見学に行って・・・。」と言われたことがあった。私自身はそのことが楽しみなのであるが、多くの教師にとっては社会科の教材開発が「大変だ」と感じていることがわかる。その点コンビニエンスストアはすぐに教材開発できる。まさに「便利な」教材である。

■ 授業前の教材研究

 単元に入る前に、子どもたちがよく利用するコンビニエンスストアにさっそく取材に行く。教科書の内容にあるのは、「バーコードで商品を管理している」ことと「気象情報を商品の仕入れに生かしている」ことの二つが中心である。
このうちバーコードは見当がつくが、気象情報の利用については見たことがなかった。
 店長さんにお話すると、すぐに事務室に案内してもらう。パソコンの画面から気象情報が目に入ってきた。その気象情報は実に細かいものだった。

・3時間ごとの天候・降水確率・気温予測がある。
・それらの3時間ごとの予測が2日後まで行われている。
・風速・湿度・不快指数が1週間分予測されている。
・「体感」という項目があり、「快適」「暖かい」というような内容で表示されている。

 最近のテレビの気象情報もかなり細かいところまで出されているが、ここまで詳しくはない。しかもこれはご当地のみのピンポイント情報である。「やはり寒い日には温かい飲み物・食べ物を多く入れますし、暖かい日にはその逆です。実際にこの気象情報は役立ちますよ。」という話にうなずくことばかりだった。

 その他にも、バーコードの話、イベント情報から弁当を増やす話、コンピュータによるチケット予約の話等、授業のヒントになる話をいくつも聞くことができた。「やはり取材は楽しい」と感じた。
 さて、今回の授業のためにぜひ欲しいものがあった。「もの(資料)」と「ひと」である。活用している様子をビデオに撮らせてもらっただけではなく、実際の気象情報をプリントアウトしたものをいただくことができた。さらに、実
際の授業にも店長さんがゲストティーチャーとして来校していただけることになった。

■ 気象情報を読み取る

 実際のコンビニエンスストアの授業。気象情報を扱うのは単元の3時間目。課題は「コンビニエンスストアでは買った気象情報をどのように役立てているのだろうか」というものである。
 さっそく、いただいた気象情報の資料を子どもたちに提示する。5年生にとってはやや難しいものであるが、題や項目を指で確認したあとに子どもたちに「この気象情報でわかることを書きなさい。また自分の解釈も付け加えなさい。」と指示をする。

・3時間ごとの天気がわかる。便利である。
・最高気温と最低気温がわかる。飲み物を出す時に役立てていると思う。
・風速があるけど、あまり仕事に関係ないのではないか。
・不快指数がある。でも何のことか分からない。
・降水確率を見て、傘が売れると考えていると思う。

 様々な発表が出てきたが、個別な情報に目ばかり行っており、コンビニエンスストアの気象情報の特色が絞りきれない。そこで、次の発問を行った。「テレビの気象情報との違いは、ずばり何ですか?」
 この発問によって子どもたちは改めてコンビニエンスストアの気象情報の特色について考えた。

・自分たちが住んでいるところの気象情報がわかる。
・商品の売れ行きに関係する情報が多い。
・インターネット上にあるのでいつでも見られる。情報が欲しい時に手に入る。

 一つの発問により、子どもたちの見方も広まったのである。

■ 店長さん、制服で登場

 この時間、店長さんをゲストティーチャーとして招いていた。目的は二つである。

・子どもたちが「気象情報をどのように役立てているのか」という課題について、考えたことが正しいかどうか答えていただく。
・気象情報の他に情報を活用している例を紹介していただく。

 ふだんゲストティーチャーを招いた時には、質問をメインに授業を組み立てるのであるが、このような目的であれば時間は短い。ほんの7,8分である。しかもその中で授業に関わる重要な話を聞くならば、「教師の聞き取り」という形がベストである。
 この時のゲストティーチャーの登場は一工夫をした。研究授業だったので、子どもたちの周囲には教師がたくさん参観をしていた。子どもたちはゲストティーチャーの存在も知らない。課題に対して子どもたちの考えが一通り出た後で、「この考えが正しいかどうかは誰に聞くのが一番だろう?」と聞いたら、当然「コンビニエンスストアの人!」という答えが返ってくる。
 そこで「実は教室に来ています!」と言って、その場でコンビニエンスストアの制服を着ていただいた。すぐに子どもたちから、「オー!」という声があがった。
 さっそく教師がインタビュー。

「気象情報を商品の仕入れに役立てているということを子どもたちが考えましたが、本当ですか。」
「はい、そうです。毎日こまめにチェックをして役立てています。」
「どのように役立てているのですか。」
「ちょうど今は秋なので、飲み物や食べ物は温かいものや冷たいものの両方が売れます。その日の気温に応じて考えています。」
「たとえば、どんな商品ですか?」

 このようなテンポでやり取りが進む。今回のようにゲストティーチャーへのインタビューするよさは、「目的に合った話をしていただけること」「ゲストティーチャー自身も何を話したらいいか安心して話せる」ことにある。短い時間
であったが、子どもたちに印象に残る話をしていただいた。

■ 「教材開発をしたい」という気になれば・・・

「今まで事前に自分で取材に行くことはあまりありませんでした。でも、今回の先生の授業を参観してやってみようという気になりました。」
 この授業を参観した他校の若い先生の感想である。
 事前の教材開発は時間がかかるし、面倒な点も多い。しかし、子どもたちの学びが大きくなるのも確かである。今回のコンビニエンスストアのような場合には、取材もしやすい。そのような例は各学年に何時間かあると思う。その例を紹介していくのも自分の役目かなとふと思った。

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2016.07.30

私の教材開発物語第29回・第30回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第29回(2003年)

  「家庭でも音楽でも地域のよさ・日本のよさを伝える」
 
■ 子どもたちに「誇り」を持たせる

 いろいろな学習をする中で、子どもたちに「家族のよさ・地域のよさ・日本のよさ」を感じ取らせることが大切だと考えている。それらを知ることにより、「家族っていいな」「自分たちの地域や国にはこんなすばらしいことがあるん
だ」といった「誇り」を持つであろう。
 国際化の波が教育界にも押し寄せている。総合的な学習で国際理解教育も盛んである。こういう時代だからこそ、「自分の家族のよさ」「自分の地域のよさ」「自分の国のよさ」を堂々と語ることができる子供たちに育ってほしいと願う。
 そこで私は「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」というホームページを開いている。社会科や総合の実践が多いのであるが、いろいろな教科にこのテーマは通用するものだと感じている。今回は家庭科と音楽の紹介である。

■ 例1 家庭科5年「家族から『家庭での仕事のこつ』を学ぶ」

 5年生最初の単元は「仕事、任せて大作戦」であった。家庭での仕事について考え、実際に自分ができる仕事について実践してみるというものである。日常でお手伝いをしている子がほとんどであったが、そのお手伝い以外に1週間、家の仕事を行うというものである。「玄関そうじ」「食事作り」「洗濯物の後片付け」等、子どもたちは自分の興味のあるテーマを選んだ。
 自分が選んだ仕事については、ふだんしているわけではないので、当然わからないところが出てくる。そこで、次のように指示をした。
 家族から「家庭での仕事のこつ」を聞きなさい。それをあとで「5年生・家族の仕事百科」にまとめます。
 家庭での仕事については、やはり母親や祖母はプロである。子どもたちは1週間、家の人から学んだことをもとに実践をした。そして、今まで気付かなかった「家庭での仕事のこつ」を各自がつかんだ。
 それを表に一人一人まとめた。全員分を閉じると、「5年生・家族の仕事百科」の完成である。読んでみるとなかなかおもしろい。
 お家の人へのお礼の意味もあって、授業参観の冒頭の時間を使い、その「仕事のこつ20秒スピーチ」を行った。
 子どもたちの一人一人の仕事での奮闘ぶりや実際に道具を持ってきてこつを紹介する度に、大きくうなずいたり、思わず拍手をしたりする家の人もいた。
いい場面であった。
 単元終了での感想では、「お母さんから、仕事のこつを学んでもの知りになることができ、よかった」といったことが多く出てきた。
 家庭での仕事はやはり「家庭での仕事のプロに」に聞くのは一番、ということを子どもたちは実感した。

■ 例2 家庭科5年「おせち料理の意味は?」

 日本の伝統行事の中でも「おせち料理」は、子どもたちになじみの深いものである。
 しかし、その料理自体の知識はあまり家庭で話されることがないという。そこで、2学期最後の家庭科の最初の時間を使い、「おせち料理の意味は?」という学習をした。(15分ほど)

1 おせち料理にはどんなものが入っていますか
 (黒豆、伊勢海老、田作り、かまぼこ・・・等いろいろと出てくる。「あまり食べないといった」声も聞こえる。)

2 実は一つ一つの料理にはいろいろな願いがこめられています。
・黒豆の「まめ」には、まめに「  」という思いがあります。「 」には何が入るでしょうか。(すぐに「働く」という言葉が出てくる。)そうですね。
健康に働けることは今も昔も大切なことです。さらに関東地方では、「しわがよるま長生きできるように」ということで、黒豆をしわがよるまで煮込む地域もあるそうです。
・数の子も縁起がよいとされています。何かに恵まれるからです(子どもという反応)。それだけではなく、「よいことに数々恵まれる」とも言われています。
・栗きんとんも縁起のよいものです。漢字では、「栗金団」と書きます。「金」がたまるとされています。
・ かまぼこは、どのような点が縁起いいのでしょうか(色、紅白という反応)。赤色は難しいことは退ける、白は清らかなことを表しています。

3 おせち料理はこのように一つ一つ願いが込められているのです。感想を発表しましょう。

★子供たちの感想
・私が知らなかったお正月のことがわかってうれしいです。子宝に恵まれるように、私はお正月に数の子を食べようと思いました。
・正月は今まで何となくやってきたけど、こうして学習してみると由来がたくさんあることがわかりました。
・大掃除は何となくめんどうくさいと思っていたけれど、必要があったことがわかりました。
・ぼくはおせち料理をあまり食べないから今度は食べるようにしたいです。

 感想からもわかるように、子どもたちは改めて「おせち料理」に関する意味を知ることができた。
 このように伝統行事やならわしで衣食住に関わることはけっこう多い。「お月見」「七五三の晴れ着」もそうである。それに関わる学習を月に一回ぐらい10分程度で行う。子どもたちは今まで知らなかったことが多いので、喜んで話を聞く。私自身もこのようなことを伝えていくことの大切さを感じる。

■ 例3 音楽・「滝廉太郎の曲を味わおう」

 音楽でも日本の曲のよさを味わうことができる。5年生で行った授業を紹介する。
(学級通信「カルチェ・ラタン」67号・平成15年9月12日発行より)

 昨日、音楽で滝廉太郎の曲を学習しました。「荒城の月」「花」といった大人にとってはなじみ深い曲です。ところが、子供たちにとっては、「タキレンタロウ?誰?」「音楽室に写真があるよ」といった程度のとらえでした。
 そこで、「何とか滝廉太郎のよさを味わわせたい」と考え、次のように授業をしました。
 最初に、滝廉太郎について私が調べたことを子どもたちに伝えました。

・日本の音楽史上有名な音楽家であり、その曲が100年以上伝えられていること・その証拠に滝廉太郎記念館が二つあること
・教科書にあるものだけではなく、他にも有名な曲を作っていること

 この事実の紹介によって、子供たちは「日本ではかなり有名な人」と理解しました。
 さて、かんじんの曲です。「荒城の月」「箱根八里」「花」と、一曲、一曲じっくりと聞かせました。「荒城の月」「箱根八里」はほとんどの子どもたちにとって初めの曲でしたが、「花」の前奏が流れた時には「ああ、知っている」「お姉ちゃんが歌っていた」という声も出てきました。
 「一言で言うと、どんな感じがしますか。」と聞くと、子どもたちから次のような反応が返ってきました。

■「荒城の月」・・・悲しい感じがする、男の声と女の声が合っている、さびしい感じがする
■「箱根八里」・・・はずんでいる、力強い、男の人のいろいろなパートがまじりあっている、がんばって山に行くぞという感じ
■「花」・・・・・・美しい、流れるようだ

 滝廉太郎が、実にいろいろなタイプの曲を作っていることがわかります。子どもたちも「ちがった雰囲気の曲を次々と作っているなんてすごいなあ」と感じたようです。
 ちなみに、「3つの曲の中でどれが一番好きですか」と聞くと、見事に3つとも同じくらいの割合で手が挙がりました。
 この授業で、子どもたちの滝廉太郎についての見方は深まりました。次のような感想がそれを物語っています。
・きれいな歌を作る人だなあと思った。それに、いろいろな曲を作るなんてすごいです。
・すばらしい人なんだなあと思いました。滝廉太郎さんはいい歌を作っているなと思いました。ほかの曲も聞いてみたいです。
 おまけで「お正月(もう、いくつ寝ると~の曲です)」も聞かせました。これも滝廉太郎の作曲です。
 今後何からかの機会に滝廉太郎に接することがあると思います。今回の授業のことを、その時に少しでも思い出せば嬉しいと思います。

■ 「家庭・地域・日本」のよさを伝えることのメリット

 「家族のよさ・地域のよさ・日本のよさ」を伝える視点を持つことによって家庭科の場合であれば次のようなメリットがあると感じている。

・家族を含め、その道の専門家から直接学ぶことができるので、子供たちの学習意欲が高まる。同時に、人から学ぶことは生き方が学ぶことにつながる。
・家族・地域の一員としての自覚や誇りが高まる。
・学習する対象が身近なことが多く、今までの生活経験の中で得た知識が活用できる。

 そのような教材開発をするためには、まず教師自身が「家族のよさ・地域のよさ・日本のよさ」を学ぶことが大切と考える。そして、教師自身が「おもしろい」「感動した」というものは、子供たちもやはり興味を持つ。そのような
内容をたくさん蓄えることの必要性を感じる。

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連載 私の教材開発物語 第30回

    メディアをミックスさせる
  ~NHK学校放送番組「おこめ」をメインに~
 
■ NHK教育の学校放送番組

 皆さんはNHK教育の学校放送番組を、どれぐらい授業で視聴させているだろうか。また、学校放送番組にどのようなイメージを持っているだろうか。

 数年前まで、「学習のまとめとして見せるもの」「実際に見学に行けないものを見せるもの」といったように学習の補完的な形でしか私自身見せたことがなかった。
 それが変わったのは、NHK学校放送番組「体験!メディアのABC」の番組協力員になってからである。この番組は、小学校高学年を対象としたメディアリテラシー学習のためのものである。教科の番組の補完物ではない。
番組そのものが学習のメインになる。そして、番組をもとに授業を構成するようになった。
 今年は同じくNHKの「おこめ」のプロジェクトチームに入っている。

■ おこめ学習と学校放送番組「おこめ」

 そもそも「おこめ」をテーマにするメリットは何か。次のようなことが考えられる。
・本校の子どもたちは米を主食としており、全員に関わり合いがあり興味が持ちやすいこと
・5年生の社会科の学習で稲作農家の事例を学び、教科と関連づけた学習ができること(現在5年生担任)
・「健康」「国際理解」「環境」等総合的な学習の現代的な課題のテーマに結び付けやすいこと
・実際に稲を育てる過程でゲストティーチャーから学ぶことが多いこと
 これらのメリットから、幅広い学習が展開可能ということがわかる。
 そしてさらにこのおこめ学習を充実させるものがNHK学校放送番組の「おこめ」である。「おこめ」は小学校高学年向けの総合的な学習の時間を対象とした番組である。内容は、お米の育て方だけではなく「祭り」「世界のこめ作り」等、幅広いものとなっている。番組自体も思わず見入ってしまう映像、問題提起の部分等を取り入れ、子どもたちの興味・関心を高めるような内容になっている。
 私の学級では番組を定期的に視聴している。同時に学習の展開に応じて、部分的にホームページ上で視聴をしている。

■ テレビ・クリップ・掲示板

 そのNHK「おこめ」のホームページにはいくつかの特徴的な機能がある。

★テレビ→番組そのものをホームページ上で見ることができる。今までは一斉にしか見ることができなかったが、このデジタル教材により、子どもたちが興味のある部分・調査に必要な部分を個別的に視聴できるようになった。個別的な調べ学習の時に役立つ。

★クリップ→1~3分の動画がたくさん入った映像百科事典である。子どもたちが個々の課題を追究する時に視覚的に学ぶことができる。そのコンテンツも200本以上あり、子どもたちの課題に対応できるものになっている。

★けいじばん→子どもたちが番組の感想を交換したり、クラスの取り組みを発表したりするために用意されたものである。つまり、番組をきっかけにした交流学習をこの掲示板を使って行うことができる。

 他にもホームページには機能があるが、本校5年生が主として活用をしているのがこの3つである。個別的な課題追究の時には、「テレビ」「クリップ」を繰り返し活用している。また、同じおこめ学習をしている他県の3校とは掲
示板を活用して交流をしている。

■ メディアをミックスさせる

 様々なデジタル教材があるということは、それらをミックスさせた取り組みが可能だということである。
 番組の第4回は「農薬を使わないこめ作り」、第5回は「農薬なしではやっていけない!」である。対立する内容であり、農薬反対派と農薬賛成派のそれぞれの立場からの番組である。子どもたちにどちらの番組も視聴させ、「あなたは農薬を使うことに賛成ですか?反対ですか?」と投げかけた。そして討論をすることを告げ、子どもたちにクリップ教材で理論補強をするように促した。興味づけと調べ学習の相乗効果で討論は深まった。

□農薬賛成派
・適度な農薬を使っておいしいお米を作ればいい。
・雑草とか虫が苗を悪くしてしまうから農薬を使ったほうがいい。
・使う量や時期に気をつければよいと思う。
・無農薬だと病気がふえてしまうし、農薬を使えば何とかなるから。
・そうしなければお米も食べられないし、農家の人もお金がなくてくらしていけなくなるから。
□農薬反対派
・研究を多くすれば、無農薬のお米もどんどんできると思う。
・人の健康に害がある場合がでるかもしれないから。
・安全でいい米がほしいから。
・世話がたいへんでも、農薬を使って稲に害があったら意味がない。
・無農薬でがんばっている人もいるので、農薬を使わない方がいい。

 「番組視聴」→「クリップ教材」→「実際の討論」というように複数の教材をミックスさせることにより、一つの教材にはできない複合効果が生まれたのである。

■ 教師もインターネットを活用して情報交換

 現在4校で交流学習を行っている。と言っても子ども同士に任せているわけではない。教師同士が連絡を密に取り合い、何らかの仕掛けをしておくことが必要である。そこで4校の担任を中心としたメーリングリストを作って情報交換をしている。交流のしかたについて意見を交換をしたり、教師の目から見た子どもたちの様子を気軽に話し合ったりと有意義な情報交換になっている。
 教師同士が日常的に交流をしていると、年3回のプロジェクト会議で会った時にも気軽に話ができる。まさにメーリングリスト効果である。
 また、掲示板の子どもたち一人一人の書き込みが担任に自動的に送られてくる機能がある。教師がホームページ上の子どもたちの書き込みを記録する手間が省ける。同時にそれらを整理することによって、子どもたち一人一人の学びの記録が簡単にできる。それらを継続することにより、一人一人の変容を見取ることができる。
 このように、教師がインターネットをうまく活用することは、子どもたちによりよい教育効果をもたらすことになる。

■ 稲刈り後は・・・

 メインの「おこめ」の番組やホームページを中心に述べてきた。
 かんじんのお米作りももちろん行っている。5月にバケツ稲に植え、定期的に調べ活動を行い、一週間前に稲刈りを行った。学習の過程で専門家をゲストティーチャーに招き、ワークショップと質問を中心とした授業を行った。そのような実体験があったからこそ、様々なメディアの学習も生きてきたのだと思う。
 今後は、後期の活動に向けて4校交流を活発にすることを目指している。有機栽培、農業の祭り等のテーマを現在共同で学習を進めている。最終的には共同で学習したことを各学校のホームページにまとめて発表する予定である。

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2016.07.29

「副校長」の話

先日テレビで放送されたこちらの話題。
確かに副校長職にこういう面があるのは事実であろう。
職務が多いのもわかる。

しかし、それでも魅力的な面も多くある。かつて副校長に関わって次のような文章を書いた。

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 かつて,6年生の子どもから卒業する際に,「副校長先生はいつも明るかったです。まるで『太陽』のようでした」と色紙に書かれたことがありました。

 時々その学級に補欠授業に入って一緒に笑ったことや,職員室の対応の時に励ましたことが印象に残っていたのでしょう。

 この子のメッセージから気付いたことがありました。
「副校長・教頭は職員室を照らし続ける太陽のような存在。明るくし続けることが大切」ということです。
 管理職になるまでは,どちらかといえば太陽の光を浴びる存在だったかもしれません。
しかし,管理職になるということは先生方を笑顔で励まし,その活躍に光を注ぐ存在になるということです。そして,そのことを喜べるようでありたいものです。

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この思いは今も変わらない。これが副校長の一番の魅力である。

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2016.07.28

副校長本、電子書籍版発刊

もう発売されて6ケ月を経た「実務が必ずうまくいく 副校長・教頭の仕事術 55の心得」(明治図書)の電子書籍版が昨日発売されました。
こちらです。

購読対象が限られているのでは…という不安もありましたが、明治図書さんのランキングにも入っていますし、購入された管理職以外の先生方からも、「視点を学んだ」という声をいただいております。
また、管理職向けの冊子の宣伝広告にも掲載されたこともありました。有難いことです。

書籍の更新情報が入ってくると、今まで自分が取り組んだことも振り返ることができます。同時に一歩前に…という思いもあります。夏休み、書籍への取り組みもがんばらないと…。

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2016.07.27

つぶやきより

フェイスブックのつぶやきです。

・平日の疲れがなかなかとれない体になっている。それでも休日になって遠出をして学ぶのは、それで逆に元気になるからだ。この1ケ月、毎週のように同じ経験をしている。周囲は「疲れませんか?」と言うが全く逆。今日もいい学びをさせていただいた。それにしても短くコメントをまとめるのは難しいーと今日も感じた。

・6/18に愛知県で登壇した授業深堀セミナーのことを、玉置研究室の学生さんたちが研究室HPにアップしました。学生時代からこのような研修会に参加するだけではなく、発信活動も行う…これからが本当に楽しみです。採用試験もがんばることと思います。応援しています。

・今年度2回目の大学院ゼミ。論文もこの2週間、力を入れたので光明が少し見えてきた感じ。少し早めに終わったので、大学図書館へ。こちらは昨年から通算すると5回目。この集中できる環境はいつもすばらしいと感じている。疲れた時の外観の庭園にも癒される。

・ゼミの帰り、一本早い新幹線で帰られそうなので、新宿から大宮まで新宿湘南ラインにぎりぎり初乗車。でも、「小金井行」となっていて「小金井市に行くの??」と一瞬不安になった。昔、東京学芸大に入った友達を訪ねて行ったことがあったから、間違えた?と思った。栃木県にある駅とわかってホッとしたが、「初」の人には何とも紛らわしい小金井行だった。

・この頃、かつて担任した保護者や子どもと会うことが多い。今回は、2校目で1・2年を担任した親子と。もう25年前。まだ若かった自分が教えられた保護者だった。暑い中での運動会終了後、学級で「今日は暑くて大変だったね。みんなも疲れたでしょう。もう運動会はいいね」と何気なく話した。クタクタになった時の実感だ。それをその子が「先生は運動会はもういいと言っていたよ」と母に話したらしく、週明けの月曜日に「運動会ご苦労様でした。」と様々感想が書かれていて、最後に「娘によると先生が運動会はもういいと話していたことが少し残念でしたが…」と記されていた。まさに余計なひと言による失敗。事情を説明し、「そういう意味だったのですね」と好意的にとってくださって事なきを得たが、教師が話す言葉の大切さを感じた。一つの学びであった。

・明日の講師役のため、飛行機移動。昨年とは違い、少し早い便に乗ったら瀬戸内海の島々がはっきりと見えた。愛媛の細長い佐田岬半島もはっきりと。風力発電の様子もわかった。そこから九州はあっという間。生きた地理学習だった。子どもたちに「旅には地図帳を」と担任時代は言っていたのに、今回もってこなかったことが心残り。

・熊本教師塾きらりでの講師役終了。今回は熊本地震後ということで、岩手の復興教育についても話をさせていただいた。それにしても、毎回感じることであるが、塾生(+一般参加の先生方)の熱心な学びぶりには感心する。遠い地でも続けて行きたいと思う一番の理由である。

・九州新幹線では英語だけではなく、ハングル語・中国語のアナウンスもあるんだなー。韓国・中国が近いことを感じる。

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2016.07.26

地図帳を見たかった

熊本行の飛行機の話。
教師塾きらりの講師役のため、東京からの飛行機移動。昨年度、一昨年度は夜のフライトだったので、四国上空・九州上空時には何も見えなかった。今年は、終業式で午前授業で少し早い便に乗ることができた。
そうしたら、四国上空から瀬戸内海の島々がはっきりと見えた。地図帳で見ていた愛媛の細長い佐田岬半島もはっきりと。そこには上空からでも風力発電の様子もわかった。半島の端から九州はあっという間。まさに生きた地理学習だった。
子どもたちに「旅には地図帳を」と担任時代は言っていたのに、今回もってこなかったことが心残りであった。

熊本上空では雄大な阿蘇山が見えた。もう7時過ぎだったが、まだまだ明るく「西に来たんだな」と体感した。そして目に飛び込んできたのが、「青い屋根」の家々。一瞬「どうしてこんなに青い?」と思ったが、すぐにそれがブルーシートだと気づいた。上空からもはっきりとわかる熊本地震の影響。翌日の復興教育を伝えることの意義を改めて感じた。

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2016.07.25

今年も教師塾「きらり」に登壇

過去2年に続き、今年も熊本市教育センター主催の教師塾「きらり」に登壇させていただいた。
昨年度から依頼はされており、喜んで引き受けていたが、4月の地震もあり、「今年は運営は難しいかもしれない」と思っていた。そうしたら担当者の先生から、6月に「予定通り行います」という元気なお声のお電話をいただいた。自分にできることがあれば…と思い、今年発刊の著書も5冊ほど持参した。

厳しい状況の中でも教師塾(4~10年目までの教師対象)を希望した先生方が今年も集った。自分も準備した模擬授業・授業づくりの講話・教師修業の講話をさせていただいた。今回は熊本地震後ということで、岩手の復興教育についても話をさせていただいた。

毎回感じることであるが、塾生(+一般参加の先生方)の熱心な学びぶりには感心する。遠い地でも続けて行きたいと思う一番の理由である。今回学ばれた先生方は10年後、20年後の教育を支えて存在となる。自分にできることはまだまだある。そんなことを今回も感じた教師塾きらりであった

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2016.07.24

私の教材開発物語第27回・第28回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第27回(2003年)

「国旗を知り、国旗を作ろう」

■ アメリカ合衆国の小学校の風景

 1993年、アメリカ合衆国の小学校で1ヶ月、研修をする機会があった。北西部にあるオレゴン州ポートランド市の小学校である。小学校の授業参観しながら、時には私自身も授業を行った。

 その時のことで印象的に残っていることの一つに「国旗」がある。
 どの学級も、教室前方の黒板の上に星条旗が掲げられているのである。ふだんは特に意識をすることがない。それぐらい当たり前の風景のようである。
 学級によっては、「では何か歌おうか。まずは国歌を。」と担任の先生が言って国歌を突然歌ったり(それも誇らしげに)、朝毎日、胸に手をあて国旗に向かって「誓いの言葉」を言ったりしていた。
 「この点は違うなあ」「『国旗の理解』が日常的にされているんだなあ」と感じたものであった。

■ 国旗について知ろう

 その時から7年。総合的な学習で国際理解の学習をするようになった。その時に、アメリカ合衆国でのこの一風景がきっかけとなって「国旗の授業」をしたことがあった。対象は4年生である。授業の様子を学級通信で紹介をする。

-------------------------以下学級通信より-------------------------

 いろいろな国旗の由来を知ることは、自国の国旗の理解にとっても大切と思います。いわば国旗への関心を高める授業です。
 1月下旬に英語指導助手の先生が教室を訪れる予定です。このことをきっかけとして、子どもたちの英会話に対する興味が高まりました。せっかくの機会なので、子どもたちの外国に対する関心をさらに高めたいと思い、国旗の授業を計画しました。
 ちょうど、地図帳の一番後ろにいろいろな国旗が掲載されています。それをもとに授業をしました。

 マドゥさん(英語指導助手)の国、アメリカ合衆国を探しなさい。(すぐに見つける) 次にアメリカ合衆国の国旗を探しなさい。どんな旗ですか。
 「星がある」「赤い線が入っている」と子供たちはすぐに答えます。子どもたちにが見たことのある国旗です。
 「星はいくつありますか」と聞くと、一生懸命に数えます。「50だ」「そうそう」と言う声も聞こえます。
 「なぜ、星の数は50なのでしょう。」
 「県!」「惜しい」「州だ」と答えが出てきました。
 「50の星は今の50州を示しています。赤色の線は「勇気」を、白色は「清らかさ」を表しています。」

 こんな感じで、「国の位置の確認」「国旗の確認」「国旗に示されている意味を考える」というパターンで、次々といろいろな国の学習をしていきます。

 アメリカ合衆国の次は、アルゼンチンです。
 「水色は何を表しているでしょうか?」と聞くと、「青空」と出てきました。正解です。
 今度は、カナダとスリランカの国旗について聞きました。
 「カナダの真ん中にある模様は何でしょう」
 「ひいらぎかな?」
 「これは、『さとうかえで』という葉です。木から甘い液が出てきて、飲むことができます。どうしてこのような模様にしたのでしょう。」
 「カナダにその木が多いから。」
 「そうです。カナダでは、国を開拓した当時、その液を吸って飢えをしのいで国を作ったという言い伝えがあるからです。」
 スリランカの動物はいろいろと出てきました。「犬」「シーサー」「こま犬」「ライオン」等々。これは、国ができた当時の王が「獅子王」と呼ばれたことにちなんでいます。

 これらの例の他にも、ヨーロッパには十字架にちなんだ国旗が多いこと(これは子どもたちがキリスト教に関係あるとすぐにわかりました)、西アジアでは星が多いこと(砂漠の地方が多く太陽が地獄のような存在)、オーストラリ
アとニュージーランドがイギリスと関係が深いために、イギリスの国旗の一部が使われていること等、いろいろな国旗の由来について学びました。

 そして、子どもたちに聞きました。
 それぞれの国旗の色や模様には何があると言えますか。
 「いろいろな意味がある」「わけがある」「歴史がある」・・・といった反応が子どもたちから出てきました。その後書かせた感想からも次のように「新しいものを学んだ」ということが多く出てきました。
・いろいろな国旗に意味があるんだなと思った。もっとほかに国旗を調べてみたいと思った。
・私は、国旗にも意味があることを知りました。色には正義や勇気という意味がある。すごいなあと思った。
・国旗にもいろいろと意味があるんだなあと思いました。自分で国旗を作ってみたいと思いました。国旗に大切なものを入れていいなあと思った。
                       (以上、学級通信より)

■ 国王になって国旗を作ってみよう

 この授業での感想の特徴は、「もっと調べたい」「その国に行きたい」「国旗を作りたい」と学習意欲が大きい点であった。
 そこで、翌日次のように言った。

「国旗のことを君たちは勉強しました。
 次は君たちが国王です。(「オー」という声。) 君たちの国旗をつくりましょう。作り方は次の通りです。
 1 どこかの国旗をモデルにする
 2 模様や色の意味を考える
 3 国の名前もつける」
 4 B5判の大きさの画用紙にクレヨンで色をぬる」

 子供たちは喜んで取り組んだ。メルヘンチックなものあり、本物の国旗にしていいようなものあり、子どもらしいもの(でも、ちゃんと意味がある)ありとなかなかの力作がそろった。

 一人一人発表をした後、さっそく教室に掲示する。といっても壁に掲示をするのではない。ひもに一つ一つの作品をつけ、運動会の万国旗のように教室の端から端へとつるした。教室の風景が一気に国際色が豊かなものになった。その後教室を訪れた英語指導助手の先生が教室に入るなり、「ワンダフル!」と言ったことが印象的であった。

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連載 私の教材開発物語 第28回

「子ども向け料理番組を作ろう」

■ メディアの「送り手」になる意義

 ここ数年、高学年を担任した時には総合的な学習で「ビデオ番組作り」を行っている。この学習に取り組む意義は大きい。
 一番は、子どもたちがメディアの「送り手」の立場になるということである。送り手になって初めて見えてくるものがある。たとえば、番組の構成・カメラの構図・キャッチコピーといったものである。メディアの見方が深まるのであ
る。
 そして子どもたちが燃える。本当に番組作りのために全力投球をするのである。
 私自身、2年前に「宮古の自慢CMを作ろう」(以下のサイト参照)の学習で痛感した。

 しかしながら問題点もある。それは「時間がかかる」ということである。本格的に行おうとすると10時間以上はかかる。総合的な学習で計画されていたり、時間が確保されていたりすれば別だが、教科の中では難しいであろう。
 さて、私が所属する「授業づくりネットワーク」で発行している雑誌の11月号で「メディアリテラシー教育特集(子ども向け番組を扱う授業)」を企画していることを知った。条件の中に短い時間で手軽にできることとある。

 「これはチャンス」と思った。今までの自分の実践は長い時間をかけたものであった。「ビデオ番組作り」のよさを広めるためには、「手軽にできる」実践を行うのも大切である。さっそく実践希望の立候補をした。

■ 手軽に行うための条件

 子どもたちが取り組むテーマは「子ども向け料理番組を作ろう」というものである。次のようなプランを立てた。

□1時間目・番組「ひとりでできるもん」を分析すると共に、番組作りを自分たちが行うことを知る。
□2~3時間目・自分たちの意図を考え、「野菜サラダ」の番組を構成する。
□4~5時間目・番組作りをする
□6時間目・作品発表会および交流会を行い、学びを振り返る

 手軽に行うためにはいくつか条件がある。今回は次のようにした。
・料理は子どもたちが家庭科で作った経験のある野菜サラダとする。
・3つの班で一つの番組を作ることとする。一つの班が1~2分程度。 (学級は36人の6班編成・二つの番組ができる。)
・番組で使う道具は改めて作らない。学校にあるものや持っているものを使う。
・カメラ撮影の基本は三脚で、アップは原則として使わない。(初心者でも上手に撮影するために)
・順番通り録画をする完全パッケージ方式で、編集は行わない。テロップ、音楽等も入れない。
・ビデオ撮影の役割分担も必要最小限のものとする。

■ 1時間目・作りたい!料理番組

 授業の様子を紹介する。
 最初に「料理番組で知っているものは何ですか?」と聞く。「どっちの料理ショー」「3分クッキング」「ひとりでできるもん」等、どんどん出てくる。
 一つの番組を子どもたちが発表するごとに「そうだ、そうだ」「うんうん」と反応も豊かである。
 「たくさん出ましたね。今日はそのうち、まず『3分クッキング』を見せます。」
 この「3分クッキング」はメインではない。次のための伏線である。
 「では次に『ひとりでできるもん(NHK教育)』を見ましょう。」事前に「3分クッキング」を見ているだけに、子どもたちは「比較」の視点で自然と見る。

 「『ひとりでできるもん』を見て、気づいたこと、思ったことを発表しなさい。」と言うと、次のようなものが出てきた。
・楽しい
・キャラクターが出てきている
・子どもたちが喜ぶように歌や踊りがある
・3分クッキングが大人向けなら、こっちは子ども向け
・作り方が子どもたちにもわかりやすいようになっている
 子どもたちは、「ひとりでできるもん」が子ども、それも幼稚園~小学校低学年をターゲットとしていることに気づいた。

 ここで、子どもたちに自作ビデオを見せる。そこには、本校の1年生担任の5年生への「お願い」が写っていた。「1年生に野菜嫌いな子がいる。ぜひ好きになるような料理番組を作ってほしい」というものである。
 これで今回の単元の目的が明確化した。「1年生のために料理番組を作る」「イメージは『ひとりでできるもん』」。子どもたちも「1年生にもわかりやすい番組をがんばって作りたい」「番組作りは初めてなのでとても楽しみ」と
いう感想を持った。
 この後、班ごとに撮影する場面を選ぶ。Aチーム「作る前の場面」「作っている場面」「食べる場面」を3つの班が行う。Bチームも同様である。

■ 2~3時間目・計画段階で壁にぶつかる

 撮影の計画を立て練習をする時間である。
 次の流れで行う。

・シナリオの「大まかな流れ」を決める
・「自分たちの工夫」を一つ決める
・役割分担(ディレクター、カメラマン、アシスタント、出演者)をする
・シナリオを作る
・練習や試しの撮影をする

 このうち「大まかな流れ」から「シナリオ作り」まではスムーズに行った。「工夫はキャラクターを使う。そのキャラクターがおなかをすかして倒れそう。何か食べたいと言うシーン。」といった感じである。

 しかしいざ練習と試しの撮影となると子どもたちは壁にぶつかった。
 まず、「構成」の問題である。3つのチームが一つのお話を作る。本来であれば、全体の流れがあるはずである。しかし今回は「短時間で」という制約があるので、全体の流れは私自身多少ちぐはぐでもいいと思っていた。むしろその方が振り返りの時に「構成」の素材になると考えたのである。
 ところが「食べる場面」の班が「前の2班の話に合わせないと変」と言ってきた。
 子どもたちから「構成」を問題にしてきたのである。これは受けざるを得ない。
 また試しの撮影では、「声がよく聞こえない」「キャラクターが画面の中で小さく写ってしまう」「人物がはみ出して撮影されている」といった技術的なミスが出てきた。子どもたちも簡単に考えていた撮影の難しさを改めて感じた。

■ 4~5時間目・いざ撮影

 子どもたちがぶつかった壁。授業時間はもうとれないので、休み時間や家でシナリオを再構成したり、ビデオ撮影の練習を行ったりして本番を迎えた。
 大まかな流れは次の通りである。(Aチームの例)

1 食べる前(1班)
 おなかが減っているキャラクターが倒れる・校庭で撮影
2 作る(2班)
 トマトとブロッコリーのサラダを歌・踊りつきで作る
3 食べる(3班)
 キャラクターと子どもが食べて元気になる

 ここでも子どもたちはトラブルにぶつかる。「逆光のために人物が暗く写ってしまう」「野菜を切っているシーンをずっと撮影をしているため、時間がかかってしまう」「野菜サラダのアップがうまくいかない」・・・等。
 しかし、それぞれ、「場所を変えたらいい」「途中でカットしよう」「ここはカメラを三脚からはずして近づいて撮影しよう」というように、自分たちで話し合いをして解決をしていった。
 このように子どもたちは「効果的な撮影方法」を体験から学んだ。それは同時に「メディアの見方」も学んだことにもなったのである。
 私が嬉しかったのは、子どもたちの意欲とたくましさである。失敗をしても子どもたちが納得いくまで撮り直しをする。ふだん小さな声のディレクター役の子が、「5・4・3・・・」と大声で指示をする。子どもたちの新たな一面を見た思いであった。
 この撮影当日の授業は、日本テレビの方や千葉大学の学生さん方が参観されたのであるが、「子どもたちがはじめての番組づくりにもかかわらず、実際に撮影を体験しながら成長していく、テレビの裏側に気付いていく姿をはっきりと感じました。」という感想をいただいた。

■ 子どもたちの学び

 子どもたちは今回の番組作りで何を学んだのか。感想を紹介する。
・番組作りは「かんたん」と思っていたけどむずかしかったです。
・何度も失敗したけど、自分たちで話し合って成功したのがよかったです。
・何回も練習したかいがありました。それにめずらしい体験ができた総合でした。1年生が野菜好きになればいいなと思います。
 このような感想が大部分であるが、中にはメディアリテラシー的な見方が深まった感想もあった。

・今まで何げなくテレビを見ていたけど、工夫をしていることがわかった。
・今度からテレビを見る時には撮影のしかたを少し考えて見てみたいと思いま
 した。

 このような感想の積み重ねが子どもたちのメディアの見方を育てることであろう。
 今週子どもたちは実際に1年生に番組を見せる。これもまた貴重な体験になることであろう。

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2016.07.23

私の教材開発物語第25回・26回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第25回(2003年)

    「都道府県名はどのように教える?」

■ とある数字

 今年度は5年生担任となった。
 新年度の準備をしている春休みに、地図関連の小冊子が送られてきた。「何か面白い情報があるかな」とパラパラめくると、ある数字が目に飛び込んできた。
・4年生・・・13.6県
・5年生・・・20.0県
・6年生・・・19.2県
 これはある教科書会社が行った県名認知度の調査での「平均県名獲得数」である。調査の方法は簡単である。日本の白地図の各都道府県に1~47の番号をふり、都道府県名を書き込むものである。サンプル数は約12,000人である。
 この数字を「これしか覚えていないのか」と思う人もいるだろうし、「予想以上に高い」と思う人もいるだろう。私もがぜん興味を示した。そして、新しく担任する5年生にも行ってみようと考えた。(それにしても6年生が5年生より低いのはおもしろい。地図帳の使用頻度が違うからというのも理由の一つであろう。)

■ 「全然できなくてショックでした」

 同じような方法で、5年生になって2回目の社会の授業で調査を行った。北から順に書いていった子どもたちであったが、ものの3分もしないうちに鉛筆が止まってしまう子が続出した。どんどん書き進めていく子はごくわずか。
 5年生の最初であるから、実質的には4年生での結果と考えてよい。我が学級は全国平均より低かった。北海道、岩手、沖縄はほとんどの子があっていたが、その他は東北各地と東京、千葉等の正解者が多かっただけである。中国地方・四国地方・九州地方はほぼ全滅。
 この結果は、私自身より子どもたちがショックを受けたみたいで、「ぜんぜんわかりませんでした。もっと県のことについて調べたい」「かけなくてくやしかった。今度はもっと覚えておきたい」という感想が続出した。
 無目的に都道府県名を詰め込み方式で覚えさせる必要はないと思うが、「都道府県名を覚ええなくてもよい」と考えている人はいないであろう。6年生の歴史学習、そして中学校の社会科学習においても、都道府県名や特徴を覚えておいた方が学習効率がいいのは当然である。「今年度は本格的に都道府県名を覚えるために、新たに教材開発をしていこう」と決意をした。
 なお、私自身は大人の県名認知度も調べるとおもしろいと思う。日本人全体の素養がどれくらいなのか、興味のあるところである。

■ すぐにしたこと

 思ったら即実行である。
 まず教室の壁に日本地図を貼った。同時に世界地図も貼り、地球儀も持ち込んだ。貼っておくだけで子どもたちは興味を示す。地図帳は毎日持参。機会があるごとに調べさせるようにする。朝の会では大きなニュースを伝え、その場所を日本地図で教えるようにした。
 また、調査で行ったのと同じプリントを大量に印刷をした。月に一回程度、定期的に調査を行い、子どもたちに自分の伸びぐあいを自覚させるようにした。
 日常生活の中で都道府県地図が当たり前になってくると、子どもたちも家庭学習の中で、地図の学習をする子が増えてきた。子どもたちの興味が少しずつ広がってきているのがわかった。

■ ゲームで覚える

 学習ゲームの一つとして、次のようなゲームも行いたいと考えている。

【都道府県3クエスチョンズゲーム】

□ゲームのやり方
 (1) 教師が画用紙に答えとなる都道府県名を事前に書いておく。
 (2) 子供たちが答えの都道府県に関わる質問を3つする。
 (3) 教師が質問に一つずつ答え、それを手がかりに子供はその都道府県を予  想して発表する。
 (4) 教師が答えを発表する。(以上を3問~5問程度繰り返す)

□ゲームの実際(以前5年生を担任した時の記録)
『では一問目です。質問をどうぞ』
「それは何地方にありますか」
『中部地方です』
 子供たちの目が一斉に中部地方に集中する。これで9つに絞られる。
「その県は、大きいですか。小さいですか」
『大きいです』
 この質問で、今度は県の面積や形に注目する。「新潟かな」「長野かな」といったつぶやきも聞こえる。そして最後の質問。
「何で有名ですか」
『りんごです』
「わかった!」という声も出れば、すぐに細かい県の地図からりんごの絵記号を探す子もいる。
『答えはどこですか』
 多数挙手する。一人の子を指名する。
「長野県です」(大多数が「同じです!」)
『正解はこれです!』
と言って、あらかじめ「長野県」と書いておいた画用紙を黒板に貼り付ける。
「ワー!」という歓声が子供たちからあがった。

 このゲームのよさは都道府県名を地方や地形、特徴と関連づけて覚えることができる点にある。やり方を覚えればペアでもできる。休み時間に行う子もいたほどである。また、都道府県だけではなく、世界各国3クエスチョンズゲームとしてもできる。

■ 低学年のうちから地図に慣れていれば・・・

 認知度の低かった我が学級において、唯一40都道府県を越えた子がいた。その秘訣を聞いてみたら、「幼稚園の頃にクリスマスプレゼントでサンタさんからもらった地図の本が好きで、1・2年生でもよく読んでいたから」とのこ
とであった。その地図の本がどのようなものかは知らないものの、きっと日本の都道府県名が書いていたのは確かであろう。
 そして、4年生になり正式に地図帳を使うことによって、知識が確かなものとなったのではないかと推測される。そう考えると、低学年で日本の都道府県に興味を持たせることがいかに大切かということがわかる。自分が低学年の担任になったら、朝の会で何らかの実践をしてみたいと思う。

 ※付記:この時の子どもたちは6年生までに都道府県を多くの子たちがしっかりと覚えて進学した。中学校の社会の先生にはのちに「佐藤先生の学級だった子どもたちは、地理も歴史も知識を身に付けていたので指導が楽だった」と言われた。

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連載 私の教材開発物語 第26回

「教材開発を楽しむ」

 最近、自分の教材開発(主として社会や総合)の方法について簡単にまとめる機会があった。特別な方法があるわけではない。ただ私自身が楽しんでいるのは事実である。その方法の一端を紹介する。

■ 教材開発の方法あれこれ

 教材開発を進んで行うようになって十数年。「本で調べる」「可能であれば現地取材、できない時には電話で」が教材開発の基本である。これは今も変わらない。これに最近はいろいろな方法や道具が加わってきた。

1 きっかけとしてのインターネット
 一次情報を知るという点ではインターネットは本当に便利である。キーワードを打ち込むだけで関連情報、図書、キーマン等が見つかる。以前、農業関係で国際貢献をした日本人を扱った授業を社会で行いたいと考えた。キーワードで検索をする。該当する人物にたどり着いた。インターネット出現前ならできなかったことである。今は地域情報のホームページも多いので、地域関係の教材開発の時にも必ずチェックしている。

2 いつでもどこでもデジカメ
 デジカメの便利さは言うまでもない。保存、削除が簡単にできるのはもちろん、テレビにつなげての写真提示も容易である。外出した時に「これはおもしろい。授業の教材となる。」と思うことが時々ある。その時の記録用に持ち歩き、気軽に写真を撮るようにしている。

3 地域巡りは自転車で
 学区のことや市のこと、そしてそのよさを子どもたちに知ってほしいと思っている。そのためには教師自身が知ることがまず一番である。時間があれば可能な限り地域を巡っている。それも自転車で。「小回りがきく」「あちこちを見ながら移動できる」「駐車に困らない」ということを考えたら、自転車がいい。 場合によっては対象の関係者に気軽に声をかけるもできる。もちろん、この時にもデジカメ持参である。

4 旅行は新たな教材開発のチャンス
 その土地の産業や〇〇記念館などは、授業にそのまま使える資料が入手できることが多い。もちろんインターネットでも調べることができるが、現地を見て閃くこと、取材から学ぶことはその何倍も教材開発がしやすい。もっとも家族旅行の場合にはほどほどにしないと家族にあきれられるが・・・。

5 あちこちの情報から発想を得る
 新聞やテレビはもちろん、ミニコミ誌も貴重な情報源だ。市広報に「新八景募集」の記事があった。それからヒントを得て「高浜八景を作ろう」という単元を構成したことがあった。また、テレビで「100年前の未来予測」という特集ニュースが入っていた。これをヒントに「100年後の未来予測・22世紀の世界は?」を子どもたちに授業をした。ちょうどこれが20世紀最後の授業となった。どのように教材化するかという発想のヒントはあちこちに転がっているものだ
と感じる。

■ いつくものネタを「温めておく」

 現在5年生の担任である。次に学習する単元について、何かしら工夫した教材開発を心がけるのは当然である。
 同時に思いつくまま、気の向いたままランダムにいろいろなことを調べているのも確かである。「気になるもの」「ヒントになるもの」があったら、その記事・資料・写真等を即保存する。もちろん5年生以外のものも積極的に収集する。私の場合には事務用袋に入れて学年ごとにまとめておいている。
 保存する時には、その時の閃きをメモ書きして一緒に入れておく。後で見た時にこのメモが役立つ。
 いくつものネタを温めておくことにより、そのネタの視点が自分の中に意識化される。そうすると不思議なもので、関連情報が集まってくる。他学年の情報を集めるのは、その学年を受け持った時の自分のためばかりではない。他の先生方にも提供できるネタを・・・と考えている。

■ ゲストティーチャーから自分も学ぶ

 教材開発の目的はもちろん「よりよい授業のため」である。同時に、自分の一番の楽しみとして「いろいろなことを学ぶことができる」ということがある。特にゲストティーチャーを招く時の打ち合わせは、「プロから独占的に学ぶことができる贅沢な時間」である。
 水産研究所に行き、太平洋側では珍しいイワガキ養殖の様子を見せていただく。地域の伝統的な祭り「日高火防祭」の昔のお話を聞いたり、倉庫にある道具を見せていただいたりする。茶の湯体験を子どもたちにさせようとお願いに行き、まず自分だけがじっくりと体験をさせてもらう。地元のコネクタ工場で生産力アップの秘密を知り、学校現場での仕事でも応用できるヒントを得る。・・・このような経験を年に10回以上はしている。ふだん異業種の方々との接触がなかなかできない私にとっては、実に貴重なそして贅沢な学びの場である。これも教材開発の大きな魅力である。

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2016.07.22

「夏」が始まる

岩手は遅い夏休みの入り。今日が終業式だった。
12時過ぎに、子どもたちの「さようなら!」の元気な声が響いてくる。終業式の日の特有の解放感である。
教師もその点ではある意味似ている。
もちろん通常の勤務日なのであるが、学期中とはやはり気持ちの面では異なる。

さて、今年も「夏」が始まる。今年も様々な講師の機会をいただいた。本当に有難いことである。
職務上、限られた回数で、しかも遠くてもすぐに戻ると・・・・と考えているが、それでも受け入れてくださるので感謝である。
そのスタートが明日の「熊本教師塾きらり」である。今日の午後はその移動日。1年ぶりの熊本である。
その他にも、愛知、東京(2回)、兵庫に行かせていただく。県内も2ケ所で登壇。さらには、自校でも依頼されている。あちこちに行く楽しみは多くの出会いがあることであり、楽しみである。

そして、何よりも例年と異なるのは通信制大学院での修士論文の取り組みを充実させなければいけないということである。暑い、そして熱い夏になりそうである。

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2016.07.21

学級イベントで学級を育てる


 学級イベントは子どもにとって魅力的な活動である。
お楽しみ会やスポーツ集会で熱中する。いつの間にか、子ども同士がイベントで助け合い、仲良しになる。学級全体も仲の良い集団になっていく。そういう経験を何度もした。
 全国では夏休みに入った学校が多いようであるが、岩手は夏休みが短く、スタートも今週末か来週はじめというところ。つまり今週が学期末ということになる。
 本校は明日が終業式。今日は「まとめの会」のイベントを行う学級もあり、盛り上がっている声が職員室まで聞こえてきた。学級イベントは子どもを育てる…初任校時代から考えていたことである。
 それについての原稿。

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 「授業の成立や学級経営で精一杯で、学級イベントなんてとても手が及ばない。」と考えているのなら、それは間違いである。学級イベントで子どもを育てて、よりよい学級経営の一部にするのである。

 さて、学級イベントの対象は広い。鬼ごっこ、けん玉といった遊び的な活動もあれば、百人一首、料理、スポーツといった学習的な活動もある。
ゲームやクイズといった活動や「節分」「まとめの会」といった学級内イベントもある。
 学級イベントを学級経営を充実させる1つの活動として取り組むのなら、まずは教師自身が興味があるものや得意なものからスタートするとよい。
教師自身がその活動自体を楽しむことが、学級イベントを成功させる要素の一つになる。

 学級での諸問題を逆手にとって、学級イベント化するという方法もある。
 以前、3年生を担任した時に、「給食時間、うるさかったり、下品な話をしたりする人がいる」という話題が出た。
そこで、私から「レストラン給食をしよう」という提案をした。教室を「レストラン」のような雰囲気にして給食を食べようとするものだ。アイデアは子どもから募った。
 今まで自分が行ったレストランのイメージから、「テーブルに花をかざる」「テーブルクロースをしく」「BGMを流す」「かべの模様(掲示)を変える」「好きな人と一緒に食べる」といったアイデアが出てきた。
 実際のレストラン給食の日。教室の雰囲気はがらりと変わった。机にはお花。壁には「3の1レストランにようこそ」という看板に、輪飾り。テーブルクロースを持ってくるのができなかった班はナプキンで代用した。BGMは子供たちに人気のアニメソング。ただし、音は小さめである。
 「ふだんより楽しい」「落ち着いて食べられる」と子供たちも感想を述べていた。
決して大がかりではない。毎日の給食をちょっと違った形にするイベントであったが、子どもたちにとってとても楽しい時間になった。
 給食時のマナーがアップしたことは言うまでもない。こんな形のイベントもおもしろい。

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2016.07.20

修正箇所が出てくる

こちらの書籍が重版になるということで、「何が修正したいところがあったら」と連絡を受けていた。
こういう書籍の場合、発刊された時と事情が変わって(たとえば世界遺産の数が増えた時)、修正しなければいけない時が出てくる。

ただ、今回は3ケ月前に発刊された本なので、修正箇所はほとんどないであろう…と思いながらチェックしていった。確かに先のように年月を経て出てきた修正箇所はなし。

しかし、今回は読んでいて、「間違いではないが別表現にした方がいいかな」というところが数か所あり、修正をお願いした。何度も校正した時には感じなかった部分である。

やはりこれは執筆した当時から時間も経過し、新鮮な視点で見ることができたからであろう。ふだんの原稿は締切ぎりぎりとなってしまい、見直しても新鮮な目で…というようにはならない。「原稿を寝かせる」ことの大切さを感じた。

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2016.07.19

研究へのエネルギー

昨日と同じように大学での図書館での一コマ。
社会科教育関係の書籍を閲覧していて、分厚い書籍が目に入ってきた。
著者名を見ると自分の大学生時代、「社会科教育研究」を受講していた時の先生である中村哲先生のものだった。
自分自身は現在は社会科を専門としているが、大学生時代(もう35年前だ…)は教育学専攻だった。
『社会科授業実践に関する体系枠の構築』(風間書房)というその書籍は850ページを超える。しかも1ページ1ページは文字がぎっしりの学術書。まさに超大作の研究物。

さっそく借り出して参考になりそうな部分を読み始めた。
その内容は自分の頭では簡単に理解できなかったが、「研究に対するエネルギー」は書籍から伝わってきた。「これだけの研究物にまとめるのに何年かかったのだろう…」「私たちに指導をしてくださった頃に加えて、十数年の成果物なのだろう…」と想像した。

正直、なかなか大学院関係の研究にエネルギーを物理的に割くことができないでいるが、そんなことは言ってられない。そんなエネルギーをいただいたこの本との出会いだった。

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2016.07.18

集中できる環境

一昨日の16日は今年度2回目のゼミだった。
前回から1ケ月ちょっとしか経ていないが、修士論文に関してこの期間で前進したこと、学んだことを報告した。
さらに新しい助言をいただき、今度は10月となった。
これから3ケ月がとても重要であり、心して取り組みたいと思う。
働きながら…というのは大変だと覚悟はしていたが、本当にその通りであり、自分自身を強く律していかないとあっという間に時間が過ぎてしまう。そう感じている。

さて、今回はゼミの前後に時間があったので、大学内の図書館に入って文献探しと少し勉学。
それなりの学費を納めているので、せっかくということで利用させてもらった。
まさに集中のためのすばらしい環境だ。

・落ち着いた空間
・周囲は真剣に学ぶ人々
・個別の机には衝立があり、周囲が気にならない
・疲れた時には窓から見える庭園が目に入ってくる…

近くにあったら、毎日でも寄りたいぐらいである。
そういえば、本当に大学生だったころは、やはり毎日のように大学の図書館に通っていたものだった。
それはそれで充実していた。
今もそういう環境で学べることは、やはり幸せである。

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2016.07.17

私の教材開発物語第23回・24回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第23回(2003年)

「地図帳活用技能を伸ばすために」

■ 地図帳技能をよく見てみると・・・

 本メールマガジン1013回(2002年11月17日)に「地図帳は〇〇」という題で、地図帳活用について書いた。4年生の子どもたちに、地図帳の有用性について感じ取らせる授業についてレポートしたものである。
 それから3ヶ月。教科書の内容も「県の様子」に入り、地図帳を学習で活用する機会も増えた。4月には新品だった地図帳が、活用回数に比例して汚れていき、履歴の印もどんどん増えていった。もちろん喜ばしいことである。(以前、6年生を担任した時にあまりにも新しい地図帳を子どもたちが持っていて驚いたことがあった。当然、地図活用の力も低かった。)
 しかし、そのような子どもたちでもこちらが歯がゆくなることがあった。
・地名を索引で探すものの時間がかかる
・市と町と村の区別がつかない
・高速道路・新幹線・JR線・国道の区別がつかない
・四方位が瞬時に言えない・・・・等
 むろん自分の指導の結果である。「地図帳に触れる時間が長ければ長いほど活用の力はつく」と思っているものの、それだけでは不足である。「意図的な指導を繰り返し行う」という文言を加えなければいけないと感じた。

■ トピック的な指導後も意図的な指導を繰り返す

 地図記号については、地図帳を初めて使う時にトピック的に一通り教えた。たとえば、市と町と村の違いはもちろん、市の人口別の記号の違い、都道府県庁所在地の記号も教えている。
しかし、何度も使ってこそ子どもたちは覚えていく。たとえば、釜石を探させた後、「『釜石』は市ですか、町ですか、村ですか」と問う。さらにその後、町の記号や村の記号、市の人口別の記号を確認するというように、「意図的に記号を覚えさせる」という指導が必要なのである。
 何度も何度も繰り返すうちに子どもたちの反応が早くなってくる。子どもたちも自信を持つ。それは地図帳への興味につながる。今まで見えなかったものが見えてくるからである。
 現状の授業時間を考えれば、「地図帳の指導」というトピック的に扱う授業の時数は限られている。いかに日常の授業で教師が意図的に指導していくかがポイントとなると思う。

■ 活用が継続する仕組みを作る

 そのような意図的な指導も継続性がなければ意味がない。
 私自身の今までの経験から、最初は意気込んで続けるものの、そのうちその指導が途切れてしまうという失敗が何度もあった。また、他教科で子どもたちに地名を引かせたい時に社会科の授業がその日になく、調べることができないということもあった。
 そこで3学期から朝の会で次のような取り組みをしている。

・教師が新聞やテレビ(ビデオ録画)を使いニュースを紹介する
・同時にそのニュースの地名を必ず地図帳で調べさせる
・関連した地図に関わるクイズ(「記号」や「その県や国に関すること」等何でも)を行う

 時間にして3分ほど。「子どもたちが新聞を読むにようになってほしい」「ニュースに興味を示してほしい」という願いもあるが、一番は「地図帳で調べることが当たり前になってほしい」ということである。
 そのために地図帳は机の脇にかけてある袋に入れている。社会科の授業があってもなくても、すぐに取り出すことができる。その袋には国語辞典を1学期から入れており、国語の授業だけではなくいろいろな学習で頻繁に使ってきた。それと同様に、子どもたちにとっては地図帳も「調べる」ものから「引く」ものに変わったようである。

■ 地図活用の定番授業「岩手県一周旅行日記」

 私が4年生を担任した時に行っている実践に「岩手県一周旅行日記」(もちろん地図帳上だが)がある。次のような指示で行う。(ワークシートを活用)

1 今日は旅行をします。地図の旅行です。岩手県一周旅行です。その旅行日記を書 きましょう。書き方は、日記です。出発地はみんなの住んでいる水沢です。まず地図を見て、「水沢から北へ〇km、〇〇市につきました。
 ここでは〇〇が見えます。」というように書きます。方角、距離、特色を書きます。最初にここまで書いてみましょう。(最初に書いたものを発表させる)

2 では続きを書きます。見えたものだけではなく、聞こえる音、匂いもぜひ書いてください。絵にしてもいいです。(何人か発表させる。他の子どもたちは地図帳を見ながら聞く。)

3 何か所か行きましたね。ここで食事にしましょう。メニューは君たちが作ります。「岩手県スペシャルランチ」です。岩手県の特産品で作ります。「前沢牛のステーキ」というように特産地がわかるように書きます。絵にしてみましょう。

4 あと5分ぐらいで水沢に戻ります。1ヶ所だけどこかに寄って帰りましょう。そして、最後に旅行の感想を書いておわりです。

 今まで子どもたちが身につけた地図活用技能がフル回転される設定となっている。今年度の実施予定は3月上旬。それまで子どもたちの力を最大限伸ばしたいと考えている。

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連載 私の教材開発物語 第24回

「8年越しの『実践』」

■ 8年越しの「実践」

 3月。今年も別れの季節となった。今年はよく担任した8年前の卒業生との別れを思い出す。というのも一つの「実践」が終わったからである。
 教師になってから10年目(1995年)。2度目の6年生担任として卒業させることになった。卒業前の特別イベントとして、「お世話になった家の人への感謝状」「卒業記念短歌・俳句」「学級通信『思い出シリーズ』」等を行った。その中でこの年初めて行ったものに、「20才の自分への手紙」があった。
 当時書いたレポートからどんな活動か紹介をする。

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 自分の未来に思いをはせる・・・・それはロマンあふれることである。そして、自分が思いをはせた時のことを、未来の自分が知ることは興味のあることである。
 その方法の一つとしてタイムカプセルがある。ただ、「〇才になったらあけよう」といっても、その手間は大きなものがある。
 もっと気軽に自分の小学校の時の思いが伝わる方法はないかと考えた。それが、「20才の自分への手紙」である。そのころ子どもたちは青春真っ只中である。きっと、「小学校の自分ってこんなことを書いていたんだ」と懐かしがるに違いない。
 国語の時間を利用して、手紙を書かせた。

20才の私へ
 こんにちは。私は過去からきた12才のあなたです。今日は、3月16日。
 あと3日で卒業式というところです。
 あなた(私)は今、何をしていますか。「自分の店がほしい」という夢はかなっているかしら。今は、どこで暮らしているの?車は何にのっているの?
 まあ(この手紙を書いているこの年から)8年後には、分かることだけど。

 子どもたちが封筒に自分あての住所を書き、教師が保存する。そして切手を貼り、8年後に発送するだけである。ただ、これだけのことであるが子どもたちは大喜びであった。封筒の中には、思い出の写真やプロミスリングを入れるものもいた。
 私自身も発送が楽しみである。

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 この発送を行ったのが今年度だったのである。

■ 担任の思い

 卒業をすれば子どもたちは学校から巣立つ。小学校のことなど、中学校や高校の記憶に比べれば薄いのが普通である。同級会も自分の経験からも中学・高校が圧倒的だ。
 しかし、自分が一人前になった時にふと小学校時代を振り返る一瞬があってもいいのではないかと考えたのが、そもそものきっかけである。
 この手紙の保管場所は我が部屋。輪ゴムで束ねられた手紙を見るたびに、もうすぐ発送だなと感じていた。また、その後担任した子供たちに「20歳の自分への手紙」を書かせるたびに、あの子たちの発送まであと〇年だなあと思ったものである。

■ 発送、そして・・・

 さて、いざ発送。その子たちが卒業した市ではお盆に成人式がある(帰省に合わせて)ということで、夏休み中に送った。子どもたちの手紙に、私の近況と連絡先を書いた手紙を同封した。住所が変わった子どもたちもいたが、調べに調べて何とか全員分とどけることができた。
 発送翌日、すぐに数人から反応があった。全てメールである。

★手紙届きました!HPも拝見しました。お元気そうでなによりです。日曜にYさんと遊んだ時、この手紙の話をしてたんですよ!私は今、〇〇の〇〇科に通ってます。就職が厳しくて大変です!この不景気ホントどうにかしてほしいです。15日の成人式、みんなどれほど変わっているのか楽しみです。では、これからもお仕事がんばって下さい!手紙ありがとうございました。

 学級会で活発に発言をしていた子からである。時々手紙を送ってくれていた筆まめな子であった。メールも一番であった。

★先生、お久しぶりです。小学校を卒業してから、早いもので八年も経ったんですね。今、私は専門学校に入学し、現在2年生です。先生から届いた手紙を読んで、少しだけ小学校の時のことを思い出し、少しセンチになりました。先生の怒った顔、笑った顔、泣いた顔、印象に残ってます。また、卒業式の日の泣いてた顔、今でも忘れません。また、いろいろとあばれて度々先生怒らせていましたね。

 やんちゃだった子からである。心配なところもあったが立派に成長している近況に嬉しさがいっぱいになった。

★「8年前からの自分からの手紙」は、この夏一番の衝撃でした。先生から手紙が届いた時、初めは困惑しました。なんで8年前の先生から?と思ったのです。いや、封筒の裏に12歳の僕と先生の名前が書いたあったことが、一番僕の頭を悩ませました。封を切り、中身を見ると、僕は顔が紅潮するのを自覚しました。先生からの手紙を読んで懐かしさと嬉しさがこみ上げ、自分からの手紙を読んで年月の経過を思い知ったのです。恥ずかしながら、先生の言葉どおり、小学校6年の時に書いた手紙をすっかり忘れていたのです。

 このように「忘れていた」という子も何人かいた。逆にそういう子は予想外の喜びだったようである。子どもたちからの返信が気軽にどんどん届いたのは、やはりインターネット社会からかなと感じた。手紙だとこのようにはいかないかもしれない。
 もっとも、数日してから今度は何通かの手紙が届いた。メールとは違い、これは格別の味があった。小学校の筆跡と似た文字、そして心がこもった文章はやはり手紙のよさだと改めて感じた。
 いずれ、うれしい声・声・声であった。親御さんからも メールをいただいた。
 反応は期待していなかったといえば嘘になるが、なくても構わないと思っていたのは事実である。そんな中次々と来たメールや手紙の有難さ。格別の嬉しさであった。

■ 教え子に励まされた自分

 メールや手紙には小学校時代の行事のこと、授業のこと、私自身からかけられた言葉等、いろいろなことが書かれていた。
 それらは言ってみれば「私の仕事の評価」とも言えるものであった。もちろん、担任時代にも子どもたちから授業の評価等はしてもらったものの、今回は成長した教え子から見た評価である。子ども時代とはまた違った参考になるコメントが、そこにはあった。
 そして、それらはこれからの自分の仕事に大きな支えとなっている。そういう意味では、子どもたちの「20才の自分への手紙」の返信は、「教師である自分への教え子からのプレゼント」なのだと感じた。これから数回、同じよう
な「20才の手紙」の発送がある。今回と同じように「小さなドラマ」があるのではないかと、ちょっぴり期待している。

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2016.07.16

私の教材開発物語第21回・22回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第21回(2002年)

「わたしたちのテレビ白書」

■ 教科の中でメディアリテラシー学習ができないか

 私の実践の柱の一つにメディアリテラシー学習がある。
 2年前、前任校で「発見!プロ野球を楽しく見る方法」に取り組んだのがきっかけであった。学年1クラスいうこともあり、したいテーマを見つけてわりと自由に実践をしてきた。
 ところが、今年転勤となった今の小学校は学年4クラス。総合的な学習は合同が原則。その内容も年間計画に定められている。転勤したてということもあり、自由に「メディアリテラシー学習を」というわけにはいかない。
 しかし、何も総合的な学習だけがメディアリテラシー学習の対象ではない。教科の学習の中でも、何らかの形でメディアリテラシー学習はできるはずである。たとえば5年生社会の通信に関わる学習では、具体的に放送局を見学したり、自分たちで番組作りをしたりすることにより、メディアリテラシーの視点を深めることができる。
 その視点で担任している4年生の各教科の学習内容を見てみる。
 国語の教科書(光村図書)の中に「生活を見つめて」という単元がある。調べたことを報告する学習である。教科書の例は「読書生活」である。「これを『テレビ生活』に置き換えたらどうだろう?」というメディアリテラシー学習のヒ
ントが浮かんだ。
 教科のねらいを達成しつつ、対象をテレビにすることによりテレビというメディアに対する見方を深めることも同時にできると考えたのである。「調べたことを報告する」のであるから、テーマも「わたしたちのテレビ白書」と設定
をした。

■ 実践「わたしたちのテレビ白書」(小学校4年生)

 単元の大まかな流れは、次の通りである。(合計8時間)

1 テーマ決め・アンケート用紙作成(1時間)
2 アンケート実施(1時間)
3 アンケート用紙集計・分析(2時間)
4 報告文作成(2時間)
5 発表・振り返り(2時間)

 ポイントは具体的にテレビについて何を調べるのかという点である。最初の時間。子どもたちに「テレビについてだったら何でもいいです。君たちが疑問に思っていること、調べてみたいことを決めなさい。」と投げかけた。
 子ども達が次のようなものをテーマとして選んだ。

・4年1組のみんなが好きなCM
・好きなキャラクターとタレント
・テレビのことで家の人に言われること
・テレビのいい点・悪い点
・家にはテレビが何台あるか
・好きなテレビゲーム
・家の中で誰がテレビのチャンネルの中心か
・好きなテレビ番組

 「好きな〇〇」が多いであろうと予想をしていたら、意外と幅広いテーマとなったと感じた。たとえば、「テレビのことで家の人に言われること」や「テレビのいい点・悪い点」などはおもしろい内容である。きっと子どもたちが自分のテレビ生活を考えるきっかけになるだろうと感じた。
 一つのテーマについては希望したものを4~5人が担当をする。アンケートを作成し、書いてもらい回収をする。集めたアンケートを読みながら「あっ、そうか」「予想と全然違う」と楽しそうに取り組んでいた。時にはアンケート
を書いてもらった人に聞き取りも行った。
 そして集計、分析をして教科書の例を参考にしながら報告文にまとめていった。

■ 子どもたちのテレビ生活が見える白書に

 それぞれのグループの報告は子どもたちにとっても私にとっても興味深いものが多かった。
 たとえば、「家にはテレビが何台あるか」。学級34人のうち一台と答えた子は5人のみ。2台・3台が一番多かったが、4台以上が10人もいた。「一台で不便ではないのですか?」と調べた子どもたちが聞いたら、「家族がだん
らんできる」「番組のうばいあいもあるけど、一つの番組についていろいろと話ができるからいい」ということであった。一台と答えた子どもたちは不便よりもメリットの方を感じているわけである。
 また、「テレビのよい点・悪い点」を調べたグループの「いい点ベスト3」は、「いろいろな情報が入る」「楽しめる・おもしろい」「分からないことが分かる」であった。大人からすれば当たり前のような結果であるが、子どもたちにとっては、「このようなことを初めて考えた」という感想もあり、「テレビとは何か」ということを子どもたちに意識させる結果となった。

■ 子どもたちが「わたしたちのテレビ白書」から感じたこと

 報告会後、子どもたちにこの単元で意図していた国語のねらいとは別に、「テレビについて思ったことは何ですか?」と聞いた。子どもたちのテレビに対する視点がどう深まったかをみるためである。
 子どもたちからは次のような感想が出てきた。

・テレビは,みんなにとって欠かせないというものだということが分かりました。お母さんが注意するのも分かるけど、ニュースを見ることもあるので、やはり大切です。それにつかれて家に帰ってきて、みんなで楽しくテレビを見ると、つかれもふっとぶ時間になると思いました。
・テレビはすごいものだと思いました。ニュース、アニメ、ドラマといろいろと見られます。わたしも調べてよかったし、みんなの発表もいろいろと比べられておもしろかったです。
・白書を自分たちで作るたびに「へえ~」と思ったり、発表を聞いて「すごいな~」と思ったりして、いろいろなことが分かり、とてもいい勉強になりました。
・テレビにはいいところも悪いところもあることがわかりました。このような細かい情報がえられてよかったです。
・テレビ一つでこんなにいろいろと発表ができるなんてびっくりしました。この先もテレビのことを研究したいと思いました。
・この白書の結果がわかって、みんながテレビを見ることが変わればいいなと思いました。

 身近であるがゆえに、なかなかその存在について考えることがなかったテレビ。今回の「わたしたちのテレビ白書」でじっくりとテレビについて考え、視点を深めることができた。このために何も特別に単元を行ったわけではない。一つの教科の中で工夫をすれば、その教科のねらいを達成させるだけではなくメディアリテラシーの視点も深めることができるのである。
 この冬休み(岩手は長い)には改めて教科の学習内容を洗い出し、教科の中でできるメディアリテラシー学習を体系化しようと考えている。

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連載 私の教材開発物語 第22回

            「学習ゲームの魅力、再発見」
  
■ 「学習ゲーム」の講座を持つことに

 岩手は冬休みが長い。私の小学校は来週20日が始業式である。
 冬休み期間中に県内ではいろいろな研修が行われる。その一つ、「県学校レクリエーション指導者養成講習会」で講座の講師をすることになった。今まで全く関わりのない県学校レクリエーション協会からの依頼である。昨年度発行した本「思考力を鍛える小学校社会科学習ゲーム」(上條晴夫・阿部隆幸編著学事出版)が縁らしい。(この本作りのコンセプトは、本メールマガジン797号に執筆。授業でのおまけのような学習ゲームではなく、授業の中核に位置付けられる学習ゲームという点が既成の概念と異なる。)

 しかし、本年度転勤をしてからは学習ゲームになかなか取り組むことができなかった。その点で講師を受けることに迷いも少しはあったが、基本的に「頼まれた仕事は断らない」と決めているので、「よろしくお願いします」と返事をした。
 くわしく聞いてみると、「講座でレクリエーションの技術は 身につけられる。しかし、『レクリエーションはおもしろいが、肝心の授業はつまらない』と子どもたちに言われたのでは意味がない。そこで 授業づくりに関わりのあ
る『学習ゲーム』でお話をお願いしたい。」ということ。依頼の趣旨はわかった。

■ 文献研究、そして改めて学級で実践

 学習ゲームの講座を行うのは初めてである。そこで、改めて今まで自分が参考にした基本的な文献を読み直す。
 様々な文献の中で一番役立ったのは上條晴夫氏の『「勉強嫌い」をなくす学習ゲーム入門』(学事出版)である。この本の章立て自体が 学習ゲーム入門講座そのものと思われるくらいである。具体的には、「いま、なぜ『学習ゲーム』か」という問題提起あり、「学習ゲーム開発とその実践」という具体的な実践事例あり、そして「学習ゲームの授業運営法」という章で締めくくっている。「自分が講座を受け持つ」という視点で読み、改めてこの本の凄さを感じた。

 また、この本の中にあるゲームと今まで自分が開発したゲームを改めて学級で実践してみた。学級担任が講座を行うメリットは、やはり自分の学級に実践をかけることができる点である。そして、ゲーム終了後は子どもたちに5段階評価をしてもらった。おもしろいことに教師が「このゲームはなかなかいい」と思っていても子どもたちからは不評だったり、またその逆もあったりで「試してみることはやはり価値がある」と改めて感じた。

 文献研究と学級での実践から、講座ではやはり「学習ゲームの模擬授業」をメインにしようと考えた。実際に体験してみることが、学習ゲームの一番の理解につながると思ったからである。「導入ゲーム」「バラエティゲーム(笑いを引き出すゲーム)」「思考力を鍛えるゲーム」の3種類のゲームを柱にしてその前後に概論、運営法の話を行う計画にした。

■ いざ講座

 先の準備期間は1ヶ月ほど。いざ講座である。持ち時間は100分。レクリエーションの研修ということで、参加者は20代・30代の若い教師が中心である。しかもほとんどが希望しての参加なので、私の講座の前のレクでは大いに盛り上がっていた。
 これは自分にとって有難かった。聴衆が意欲的でしかもある程度リラックスしている。学習ゲームを行うには好都合の条件である。

 その影響もあってか、予想以上に模擬授業は好評であった。特に先の上條氏の著書の中に書かれている「他己紹介ゲーム」の模擬授業は、「ぜひ学級で実践してみたい」という声が続出した。
 このゲームは質問をしたことをもとに隣の人を紹介するものである。次のように行う。

1 二人一組になる。
2 質問者はたとえば次の質問からスタートする。「テレビは好きですか?」
 その後は答えの理由を深く聞いていく。
3 質問時間は二分。
4 質問内容を材料に、ある型に沿って 「他己紹介スピーチ(一分)」を行う。

 スピーチの型の紹介やいくつかの留意点を加えていざ質問開始。見知らぬ同士でも「質問」という形であれば、どんどん話が進んでいく。身振り手振りを交えて自分のことを説明する回答者。それをうなずいたり、大笑いしたりしながら聞く質問者。真剣な学習であるが、なぜか和やかで大盛り上がり。代表者のスピーチにも「ほー!」「うまい!」という声が聴衆から自然に出てきた。
 このような学習ゲームを3種類5本行った。大笑いする場あり、真剣に考える場ありと私にとってはあっという間の100分であった。

■ 校内研でも講座を開く

 「県のレク協会の研修に講師で行くのなら、ぜひ校内でも・・・」と依頼をされ、冬休み中の校内研でも講座を開くこととなった。
 先の講座と違い平均年齢はやや高いし、希望をして校内研に参加をしているわけではないので、意欲面で心配をしていた。しかも、持ち時間は県レクの半分ということでかけ足の講座となる。しかし、それらの心配は無用であった。次のような感想がそのことを物語っている。

★今日紹介していただいた学習ゲームは心をほぐし、自然な形で自分をさらけだす(表現する)ことができるものだと感じました。学級づくりにたいへん有効だと思いました。
★「楽しい」ということはとても大切なことだと改めて分かりました。「学習ゲームで何かの力を育てる」ということは、目からウロコでした。
★やはり体験的な研修は実になるなあと思います。理論だけではなく、実際にやってみることで研修の充実度が変わってくることを実感できました。大人でもこんなに楽しいのですから、子どもならなおさらですよね。

 一人一人の感想を読むと、実にいろいろな学びがあることがわかった。授業での学習だけではなく、学級づくりにも役立つ。それだけではなく自分の内面を知ることもできる。さらに研修システムの一つとしても魅力的・・・。まさに学習ゲームの可能性の広さを感じた。

 今回は新たに教材開発を行ったわけではなかった。しかし、「学習ゲームの楽しさ」「学習ゲームの知的な魅力」を再度実感することができた。転勤をして学習ゲームの教材開発に遠ざかっていたが、改めて挑戦してみようと思っている。

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2016.07.15

連合チームという道

全国各地で高校野球の地方予選が真っ盛りである。
自分も小さいころから高校野球には興味をもっている。高校時代は進学校ながら、野球部も強い県立高校にいたので、なおさらだった。(先日の参議院選挙で秋田で当選した元巨人の石井浩郎選手がいたころだった。)
我が子が地元の高校に入った時には、その高校を応援するようになった。

そんな中、今年は岩手で「五校連合チーム」が話題になった。人数が少ない野球部のチーム同士が連合チームを作り、参加するというものである。少子化の影響で岩手では、高校生が減っている。学年2クラスだけという高校も聞く。そういうところでは、野球部員を確保するのも容易ではないであろう。
先の連合チームは前沢(4人)、宮古水産(2人)、沼宮内(3人)、大迫(3人)、雫石(2人)の五校。2~4人ではチームどころか、ふだんの練習もままならないのでは…と想像する。しかも、広い岩手ではこの五校は150kmぐらい離れている。
そのような中での連合チームの出場。結果はコールド負けの初戦敗退。それでも大会に出られたことの喜び、他校の選手と友情ができた喜びは大きかったであろう。

高校だけではなく、中学校では吹奏楽の連合もある。少子化が進む中で、このような連合は多くなってくるであろうし、それをプラスにする考え方も大切だろうと記事を読みながら感じた。

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2016.07.14

「社会科教育」誌連載

今年は社会科教育誌で、「スペシャリスト直伝!アクティブな社会科授業づくりの基礎基本 」を連載しています。社会科におけるアクティブ・ラーニングを自分なりに考え、発信していく年です。

8月号では、「評価を焦点化する」というテーマで書かせていただきました。自分自身、評価の部分についての論稿は多くはないので、考えをまとめるよい機会にもなりました。
アマゾンはこちらです。

なお、今月号の特集は「資質・能力を保証するカリキュラム・マネジメント」です。実践家よりも研究者の皆さんの論文が多いです。じっくりと読みたいと思います。

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2016.07.13

「子どもたちに伝えたいお話75選」重版に

今年3月に発刊した「朝の会・帰りの会&授業でそのまま使える! 子どもたちに伝えたいお話75選」が重版となりました。

さまざまな方が購入してくださった結果です。ありがとうございます。

今日は偶然にも管理職向けの小冊子の広告ページに出ていました。
なぜ、この本が?と思ったら、「校長講話にピッタリ」と書かれていました。
学級担任ではなく、管理職のこのような活用方法もあるんだなと逆に教えられました。

1項目2~3分で子どもたちに伝えることができます。
お手にとっていだければ幸いです。

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2016.07.12

家の道具の移り変わり

社会科教育という視点で見ていくと、様々なことが学習内容と関連づいていることに気づく。

我が家でガスレンジを交換した。
家を建ててからずっと長持ちをしていたものだったが、さすがに長年の使用には耐えられなくなり、このごろは不調気味。
新しいものに変えることになった。

新しいレンジには、いくつかの機能がついていた。現在の家電の進化からすれば、驚くべきものではない。温度設定や自動で火力調節をすることは今であれば当たり前であろう。

ただ、3年生での「くらしの移り変り」の視点からすると、このような「自動化」は一つのキーワードとなるであろう。人間がすることを代行するだけではなく、道具自らが「考える」ようになった…家電自体も数十年で変化している。

今年の1月に全国UD研で、この道具の移り変りを扱った時にも感じたことである。教材化の視点はどこにでもあると今日も感じている。

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2016.07.11

主権者教育

昨日の参議院選挙では、「18歳から選挙権」ということが大いに話題になった。
確かに70年ぶりの選挙権拡大は、歴史的なものだったであろう。

この変化については私も昨年度から注目し、主権者教育を授業で具現化したいと考えていた。
その一つを昨年12月の授業深堀りセミナーの模擬授業で示すことができた。(当時の記録はこちらのブログで)

選挙は終わったが、主権者教育は今後も続けていくことが重要と考える。
広く考えたら、主権者教育は選挙に関わる教育だけではないであろう。
そう考えると社会科教育のフィールドは広いとつくづく思う。


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2016.07.10

私の教材開発物語第19回・20回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第19回(2002年)

私の定番授業「発見!テレビCMの秘密」

■ 私にとっての定番授業

ここ数年、私は4年生以上の学年を担任している。学年が違っても毎年実践をしている授業がいくつかある。「発見!テレビCMの秘密」もその一つである。
 テレビCMは子供たちにとって身近な存在である。子供たちはそこから買いたい商品の情報を得たり、キャッチコピーの影響を受けたりしている。そこで、テレビCMになぜ引き寄せられるのか、その分析をさせたいと考えたのが、この実践のきっかけである。私にとっては、年間何回が実践をしているメディアリテラシー教育の一つである。

■ テレビ好きの子が生きる

 この実践を毎年行うのは授業そのものが楽しいからであるが、その他にも大きな理由がある。この学習で生き生きとする子が必ず出てくるからである。
 実践の布石として、10日ぐらい前に子どもたちに「テレビ日記」をつける提案を行う。

 君たちが毎日見ているテレビについて思ったこと、気付いたことを日記に書きます。テレビ番組でもいいし、コマーシャルでもいいです。長くても短くても構いません。期間は1週間です。

 これは強制ではなくあくまでも任意である。しかし、ふだんとは違うパターンの家庭学習に多くの子どもたちは興味を示し、次のような日記を書いてくる。(5年生の例)

☆CMを見ていると、何かの募集と視聴率を上げる宣伝と物を買ってほしいの3つに分かれると考えました。時間は15秒と30秒です。短い時間で楽しくするようにCMは作っていると思います。天気情報で、短い時間でわかりやすく図が書いてあり、言う人が「あ~さむそう」とかひとり言をいったり、洗濯情報が書いてあったりしました。見ていると楽しくなってきて、工夫をしているなと思いました。

☆今日、いろいろなCMを見て、一番すごいなあと思ったのは洗剤のCMです。人が天使のかっこうで、小さくなっていておもしろかったです。あれはどうやって小さくしているのかなと思いました。

 日記の中には子供たちが発見した番組やCMの工夫、疑問点が詰まっている。これらはそのまま授業での学習の視点にもなるものである。実際に授業でも子どもたちの日記の一部を活用することができた。
 また、このテレビ日記はふだん作文を苦手とする子でも、長く書く子がいたというのが特徴であった。テレビ好きの子である。ここぞとばかりに自分の思ったことや考えを書き連ねていた。その作文を見本として帰りの会で紹介をする。するとそれを励みにまた日記を書くという繰り返しである。そのような子は実際のCM分析の授業でも、テレビ日記をもとに積極的に発言をする。まさにこの学習だからこそ、生き生きとした取り組みができるのである。

■私自身もワクワク、教材開発

 教師自身も当然教材開発を行う。
 最初に考えるのが、どのCMを扱うかということである。当然、子供たちが興味を示すものを授業で扱いたい。そのためには、事前に子供たちの声やCMの見方を知りたい。先のテレビ日記が参考になる。しかしテレビ日記で子供たちのよく見ているテレビCMはわかるが、決め手に欠く。
 そこで、私はいつも子どもたちに「好きなCMベスト5とその理由」のアンケートをとる。その時の上位のCMを実際の授業の中で使う。
 扱うCMが決まれば、まず私自身が分析する。何度も何度も見て、実に多くの工夫がCMの中にあることがわかる。同時に、そのCMをキーワードに、インターネットで検索をする。その裏情報を知ることができる。また、CM関係の本も読み、授業に役立てる。
 このような情報を探っていくうちに私自身がワクワクする。教材開発の楽しさである。

■実際の授業~CM分析編~

 実際の授業を紹介をする。5年生の社会科「通信」の分野の一つとして行ったものである。
 最初に「みんなの好きなCMベスト5」を発表する。一つ一つを言うたびに子供たちから「うん、うん」「大好き!」といった反応が出てきた。あわせて好きな理由を簡単に発表させる。人気CMなだけに、子供たちは一気に興味を
示し、どんどん発言をする。一位の缶コーヒー(「明日があるさ」の曲でおなじみ)のCMの時には歓声があがるほどであった。そこで子供たちに言う。

「これから一位のCMを見ます。工夫をしている点や思ったことを発表しなさい。」

 ビデオは3回繰り返して見せた。その後5分間、気づいたことをノートに書かせる。子どもたちからは、次々と分析した結果が出てくる。

・有名な芸能人を使っているので、おもしろい。
・楽しいというイメージにさせてくれる。
・最初は何のコマーシャルかと思うが最後にコーヒーを出している。
・短い時間でパッとわかる。
・音楽がコマーシャルを明るくしている。
・お金がどれくらいかかっているか知りたい。(きっと多い)
・コマーシャルを作るのに、時間がかかっていると思う・・・・等。

 子どもたちの発表は次々と続く。新しい見方が出てくると、「なるほど」という声が自然に出てくる。子どもたちにとっては自分のCMの見方が広がる時間である。教師は子どもたちから出た視点を束ねていく。

■分析にプラスをする

 私自身は、メディアリテラシー教育の一つとして考えれば、このようにCM分析を行い子どもたちのCMを見る視点が広がれば、それでいいのではないかと考える。
 しかし、「発展」という視点からすれば、何かしらの「プラス」を加えたい。
 この場合には、5年社会の通信分野の学習の一つとして行ったので、テレビCMの経済的な面、CMを作る側のターゲットという面について深めたいと考えた。
 そこで、子供たちから出てきた疑問「お金」と「時間」について、資料を提示する。資料から、わずか15秒のテレビCMに多くの費用がかかっていることと、多くの人が制作に携わっていることを理解させる。子供たちからも「こ
のCMでは有名人が多いので、ギャラも高い」「このCMでの小道具にもお金がかかると思う」と実際のCMに即した発言が出てきた。
 ここで、子供たちをゆさぶる発問。

「そのようにお金がかかるのなら、商品が売れても得はしないのではないでしょうか。何のためにテレビコマーシャルを作るのですか。」

・いや、それでもコマーシャルをした以上に売れるから損はしない。
・資料集にあるようにテレビは一番みんなが情報を得るものだから、コマーシ ャルを作る。
・テレビは大量に情報を伝えるので、その商品を知ってもらえるから得。
・テレビコマーシャルはおもしろいので、はやりになる。すると商品も売れる。
・自分もコマーシャルを見て買ってしまう。そういう人は多いと思う。
・新聞よりもテレビの方が見やすい。
・コマーシャルのある民放で一番多いのは娯楽番組。それを自分たちもよく見ている。するとコマーシャルをよく見ることになるので、買う量も増える・・・・等。

 その意見を述べる過程で、テレビCMの経済的な側面と自分たちの生活への関わりを考えることができた。私からは、企業側の意図について次のように説明をした。

 テレビコマーシャルを見て、商品を買ったことがある人?(全員が挙手。実際に買ったものを次々に答えさせる。)このようにみんなも影響を受けています。コマーシャルを作る方も「ターゲット」と言って、買ってくれる人を絞り込みます。君たちも実はターゲットになっている場合もあります。(その例も示す。)

 そして最後の発問。「テレビCMは人々にとってどんなものと言えますか。」
 一人の子の発表。

「テレビコマーシャルは釣りのようなものである。釣る人が会社、餌はテレビCM。ぼくたちが魚。うまく釣られることもある。」

 テレビCMの一面を突いたこの表現に、子供たちは大爆笑であった。

■ テレビCMは幅広い活用が可能な素材

 分析をさせた後の「プラス」には、先の例の他にもいろいろ考えられる。私が今まで行ってきたのは次のようなものである。

1 合成映像の効果について(総合・情報教育の一つとして)
 ドリンク剤のテレビCMを分析して、合成映像の効果を考えたもの。
 子供たちは、二つのCMを比較することにより、同じ種類のCMでも送り手の意図によってイメージが違うことがわかる。

2 ビデオ撮影・編集の素材として(総合)
 子供たちがビデオを活用して発表する時に、効果的な撮影や編集の例としてテレビCMを使った。短いショット、効果的な音声の工夫等を分析し、自分たちの発表のビデオに応用することができる。

3 キャッチコピーの素材として(国語)
 テレビCMのキャッチコピーは魅力的なものが多い。その例として提示できる。

 このようにテレビCMの教材化は幅広く可能である。教材のヒントを期待して今日も私はテレビCMを楽しんでいる。

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連載 私の教材開発物語 第20回

    「地図帳は〇〇」
 
■ 「まるでドラえもんのポケットのよう」

 私が5年生を担任している時の社会科の時間。ある子が次のように言った。
「先生、地図帳はまるでドラえもんのポケットのようだね。」
 農業と水産業の学習をしている時に、一冊の地図帳がいろいろなことに活用できることをこのように表現したものである。「同感!」とその瞬間に呟いてしまった。
 地図帳の活用方法は実に幅広い。社会科の学習で地図・統計資料等で使うことはもちろん、総合的な学習における環境教育や国際理解教育でも、場合によっては他教科でも活用することができる。また、休み時間に地図帳を広げている子やペアで地名探しに熱中する子もいる。これは何かの目的のために使うのではなく、見ること自体が楽しみになっている例である。私自身も小学校の一時期、暇さえあれば地図帳を見ていたものであった。

■ 「地図帳そのもの」を対象とした授業

 先日、地図帳製作に関わる方を学年(4年生4学級)でゲストティーチャーとして招いた。他の3学級では、ゲストティーチャーの方が主として話をする形の授業を行った。私の学級ではせっかくの機会であるから、「地図帳その
もの」を対象とする授業を行うことにした。ゲストティーチャーには、子どもたちの地図帳に関する質問に答えていただくことにした。
 それまでは授業の中の一部として地図帳を使うということはあったものの、「地図帳そのもの」を対象として授業を行うということは今までなかった。いろいろな地図帳の機能を子どもたちに感じ取らせたい。そして授業の最後
には、「地図帳って便利だ」「地図帳はこんなことにも使えるんだ」「もっと地図帳を使ってみたいなあ」といった感想が子どもたちから出てくればいい。そう考えた。

■ 授業「地図帳は〇〇」(4年生対象)

1 都道府県3クエスチョンズゲームを行う。(都道府県図を見ながら)
 (1) 教師が画用紙に答えとなる都道府県名を事前に書いておく。
 (2) 子供たちが答えの都道府県に関わる質問を3つする。
 (3) 教師が質問に一つずつ答え、それを手がかりに子供はその都道府県を予想して発表する。
 (4) 教師が答えを発表する。(以上を3問繰り返す)全問正解者に大きな拍手をする。

 このゲームは、楽しみながら、都道府県名およびその位置、形、特色等を覚
えることができるものである。

2 地図帳の有用性を感じる利用法を教える。

 「地図帳では特産物を絵記号で知ることができる」
 「地図帳では距離や交通手段を知ることができる」
 「地図帳では各地の気温を知ることができる」
 「地図帳では索引を使って見知らぬ土地を見つけることができる」
 「地図帳では日本一・世界一高い山や広い湖などがわかる」等の様々な活用法を具体例に基づいて、地図帳の便利さ、すばらしさを実感させる時間である。一つ一つの方法について次のように設問をして、子どもたちが地図帳を見ながら解決していこうという形をとった。
 たとえば、特産物では、次のような設問である。

★アメリカ合衆国の人が私たちの水沢小学校を見学に来ました。帰る時に「岩手県のおみやげは何がいいですか」と聞かれました。あなただったら、何を出しますか。

 子どもたちは岩手県の地図の絵記号を必死で見る。「やっぱり南部鉄器かな」「りんごもおいしいよ」「『浄法寺ぬり』というのもあるんだ」と特産品の絵記号を見つけては、「はい、はい!」と挙手をする。
 距離を測る時には、「同じ岩手県の宮古市の方が隣の県の仙台市より遠いんだ」と分かったり、同じ頃の沖縄の平均気温が24度知って驚いたり(本校はその日は最高気温10度)と子どもたちの地図帳への関心はぐっと広がった。

 最後に子どもたちに、聞く。
「『地図帳は〇〇』。〇〇にあてはまる言葉を発表しなさい。」
・地図帳は便利
・地図帳はすごい事典
・地図帳はいろいろなことを知る本
・地図帳はみんなの味方
・地図帳はおばあちゃんの知恵袋・・・等、地図帳の有用性に関するものが次々と出てきた。

3 地図帳に関わる疑問についてゲストティーチャーの方に答えていただく。(略)

4 授業の感想の発表。

・今まで地図帳のことがよくわからなかったけど、よく分かりました。気温や名産品のことを書いているのがすごいと思いました。
・今日はいろいろなことがわかってよかったです。特に地図帳は、とても書くことがむずかしいのに、わかりやすい地図帳を作ろうとしているのがわかりました。それにしても地図帳は本当に便利だと思いました。

■ どの学年でも、どんな時でも気軽な地図帳利用を

 小学校社会の学習内容から言えば、「3年で市」「4年で県」「5年で国土」「6年で世界」という地図利用が多いと思われる。しかし、子どもたち個人のレベルでは、興味を持つ分野でどんどん地図帳利用を促進して、知の世界を広げさせる方がよい。たとえば4年生でも、世界各国に関わる地図の見方や教えることにより、子どもたちは世界にも興味を持つ。
 この地図帳利用の授業のあと、社会科の授業始めに継続的に5分ほどの「地図帳発見タイム」を設けている。少しずつではあるが、地図帳を開く回数が増えているのは確かである。今日も、休み時間に「3クエスチョンゲーム」をする声が響いている。

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2016.07.09

私の教材開発物語第17回・18回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第17回(2002年)

「アテルイ」 ブームに乗ったフィールドワーク
  
■ 夏休み、フィールドワークのチャンス

 間もなく夏休み。教材開発を楽しみにしている者にとっては大好きな季節である。
 通常であれば、私は3つのパターンで夏休みのフィールドワークを行う。

1 夏季の研修大会で訪れた地でのフィールドワーク
 私がここ数年連続で参加している授業づくりネットワークの夏大会が、今年(2002年)は北海道で行われる。私の住む岩手からでも、北海道はやはり遠い地であり、未知の部分が多い。どこを訪れようか今から楽しみにしている。

2 家族旅行を利用してのフィールドワーク
 毎年家族旅行をしている。行く先々が全て私にとってはフィールドワークみたいなものである。「何も旅行で仕事をしなくても」と思われるかもしれないが、自分の意識の中では「フィールドワーク=仕事」という意識はない。むし
ろ趣味みたいなものである。調べれば調べるほど、楽しい。今年は日光・那須行きを計画中である。

3 市の教育研究会のフィールドワーク
 これは公的団体のフィールドワークである。今年転勤をした水沢市の社会科教育研究会で事務局を引き受けた。誰も希望をしないので、「よければ私がします」と言ってなったものである。今までの勤務していた市の社会科部会でも長いこと事務局を引き受けてきた。メリットは事業計画を思い通り立てることができる点である。フィールドワークもその一つである。
 公的団体であれば、個人では見せてもらいにくいような所も見せてもらえる。また、講師の依頼もしやすくなる。
 今回のフィールドワークの話はこの市教育研究会のフィールドワークである。

■ 「アテルイ」ブーム

 市教育研究会の事務局を引き受けて、夏休みのフィールドワークの計画を立てる時に、すぐに思いついたのが「アテルイ」のことである。

 7世紀に入り、律令国家建設を目指す朝廷が、東北のエミシ(私の住む水沢市に当時住んでいた人々)征伐を開始する。8世紀後半になると、朝廷はエミシの本格的な攻略を試みるが、これに立ち向かったのがエミシのリーダーである阿弖流為(アテルイ)なのである。
 『続日本紀』などの正史によるとアテルイは、802年に征夷大将軍・坂上田村麻呂に降伏するまで3度にわたって朝廷軍と交戦している。この中でアテルイの名を高めたのは、一回目の戦いである。朝廷軍5万人に対して、アテルイらはわずか千数百人。それでいながら巧みな陽動作戦で朝廷軍は大打撃を受ける。そこで、2回目の戦い、3回目の戦いとなるわけである。
 結局最後には坂上田村麻呂率いる朝廷軍に降伏し、都で処刑される。その年が802年、つまり今からちょうど1200年前である。

 そこで、今、私の住む水沢市では「アテルイ没後1200年」事業がいくつか計画されている。博物館がアテルイの企画を次々と出したり、学習会やコンサートが行われたりする予定である。
 この動きは、一地方都市水沢市だけではない。秋田の劇団「わらび座」が、「ミュージカル・アテルイ」を全国公演で行うし、また、長編アニメ「アテルイ」も製作され、間もなく上映される。さらに8月には、新橋演舞場で市川染五郎主演「アテルイ」が公演される。
 これは一つのブームである。

■ なぜ、今アテルイか?

 なぜ地方の一指導者、それも1200年も前の人物が脚光を浴びるのか。
 一つは「町おこし」があるだろう。アテルイによって水沢市の知名度が上がれば、市にとってはメリットが大きい。
 しかしそれ以上に、自分たちの住む地域から出た「英雄」のことを後世に伝えたいという思いが人々にあるのではないか。圧倒的に不利な状況で朝廷軍を破ったところに歴史のロマンを確かに感じる。
 私自身も水沢で育つ子供たちには、「自分たちの住んでいる地域では、千年以上も前にこのような戦いがあった。そこで敗れはしたが、アテルイのことは誇りに思っている。」と言えるようになってほしいと思う。
 そのような人物がどの市町村にもいるであろう。
 幸い、水沢市には戦いの跡の碑、アテルイの本陣となった山、田村麻呂にゆかりのある神社等、フィールドワークに相応しい場所がいくつもある。歴史に詳しい市埋蔵文化センターの所長さんに講師をしてもらいながら、フィールドワークを行うことにしている。
 なぜブームなのか。どんな足跡がこの水沢にあるのか。その点を今回のフィールドワークで確かめたいと思う。
 そして、2学期には担任している4年生の子供たちに特別授業を行いたいと考えている。

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連載 私の教材開発物語 第18回

        キーワードは「町づくり学習」
  
■ 素材が豊富だ!

 4月。現任校に転勤して、すぐに総合的な学習のチーフとなった。
 さっそく年間計画を見る。学区を中心とした地域を対象とした単元が、どの学年もずらりと並ぶ。「水沢ネィチャーランド」「日高火防祭博士になろう」「乙女川探検隊」「先人から学ぼう」・・学区の住人でもある私には、「魅力的な素材を集めたなあ」と初めて見た時に感心をした。地域の祭りも、地域の川も、そして水沢市の特色である先人(後藤新平、高野長英、斉藤実など)も素材として一級品である。きっと子供たちも生き生きとして取り組むだろう。そして、このような素材が豊富な学区に転勤してきたことを幸せに思った。

■ 「点」を「線」にする必要性

 1学期、自分が担任をする4年生で総合の実践を行う。同時に他の学年の実践の様子も知る。それぞれの学年が地域に出掛け、対象から学んでいる。
 しかし、本校の総合的な学習に不足なものがあると感じた。
 それは、「各学年を貫くキーワード」である。
 「地域」はあくまでも素材であり、対象である。各学年に通じるキーワードがない現状では、それぞれよい学習をしていても、それらが「点」になってしまうおそれがある。
 各学年でバラバラの活動になり、学校としての子供を育てる道筋が見えないのである。何とかキーワードを見つけ、各学年の学習を「線」にして関連づけたい。そう考えた。それも骨太のキーワードである。
 しかしながら、1学期中はそのキーワードが見つからなかった。

■ 「町づくり」をキーワードに

 そんな中、出会ったキーワードが「町づくり学習」である。これは寺本潔氏が提唱しているものである。町づくりに関する著書もいくつか出ている。(寺本氏は「まちづくり」ではなく、あえて「町づくり」という用
語にしている。ここでもそれに倣う。)
 考えてみれば、1学期の総合の実践は全て町づくりと関わっている。日高火防祭の実行委員の方は「この町の伝統のあるお祭りを後世に引き継ぐのが自分の役目」と話されていたし、乙女川に関わる皆さんも 「よりよい町にするため」と話されていた。
 先人の記念館の関係者も、商店街を活性化しようとしている人々も最終的には水沢がよりよい町になることを願っている。
 さっそく2学期の各学年の年間計画にも目を通す。5年生の「ハッピーボランティア大作戦」であれば、自分たちができるボランティアで町づくりの一端を担うことができるであろう。6年生の「世界に目を向けて」であればドイツ
の姉妹都市の様子を詳しく調べ、交流に一役買うこともできるかもしれない。
どの単元でも「町づくり」をキーワードにすることは可能である。

■ 総合だけではない

 考えてみれば、この「町づくり」というキーワード、総合だけではなくいろいろな教科にも通じるものがある。
 地域を対象とすることが多い生活科はもちろん、中学年社会科は地域の学習が多い。(私の担任する4年生では次の時間に「町の昔調べ」を行う予定である。)図工で地域の風景を写生することもあるし、理科では地域の自然に触れる。特別活動で地域の太鼓や踊りを学習することもある。いろいろな学習が「町」と関わっているし、さらに実に多くの「町の人々」も総合を含めたそれらの学習に関わっている。

■ 「町づくり」をキーワードにする意味

 本校で行っている地域に関わる学習活動は、多くの学校でも行われているものであろう。
 それを「町づくり」というキーワードで括ると、様々なよさが出てくると考えている。たとえば次のようなことである。

・子供たちの学習のゴールの道筋が明確になる。単に調べて終わりではなく、
自分たちなりの町づくりへの提案が出てくる。
・各学年の学習に町づくりを核として関連性を持たせることができる。
・町づくりに関わる地域の人々に直接会う機会が増える。
・子供たちが地域により愛着を持ち、「町はふるさと」という意識が高まる。

 これから実践の段階であるが、先のようなことを期待している。
 先進校に学びながらのこれからの実践、私自身が楽しみにしている。具体的な実践については今度報告したい。

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2016.07.08

「ソトイコ」

「ソトイコ!」夏3号が発刊されました。こちら

「ソトイコ!」はWebに「子どもたちのたくましさを育む親子のための運動と遊びの情報サービスです」と書かれているように、親子向けの冊子です。希望すれば学校に児童数分が配付されるしくみです。(申込みは次号分からです。)

今回は特集の「自由研究」に少し関わらせていただきました。

フェイスブックで紹介したところ、次々に反応がありました。インパクトのある冊子であり、おススメです。

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2016.07.07

「お茶を出す」こと

 時々参考にするこちらのサイトに「保護者のクレームに上手に対応するための具体的なテクニックとは」というテーマの文章が掲載されていた。小野田正利先生のものである。
 その中で思い出したのが「お茶を出す」話。
 文章には次のように書かれている。

 苦情を言いに来た保護者を、ちゃんと人間として扱っているかの指標は「お茶を出す」ことにある。後になって「あの学校は茶すら出さなかった」と言われることがある。
 お茶を飲まないかもしれません。でも出す。しばらくすると茶わんにスーと相手の手が伸びる。それを見て「あっ、少し落ち着いてきたかな?」と、自分が感じることの大切さがある。
 ある私立学校では保護者が来校したら、すぐには話を始めずに、まずは応接室に通す。うどんを一杯持っていき「担当の者が後で参りますので、まずはお召し上がりください」と言って差し出す。食べて相手に落ち着いてもらう必要があるということだ。

 小野田先生のご講演は4年前に仙台市でお聞きした。その時に、お茶を出す話もうどんを出す話も出てきた。
 会場に笑いが響いたことを覚えている。
 「お茶を出す」という行為自体の後ろに、来客者に対して大切に対応するという心が表れていると思う。対応について考えさせる文章である。

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2016.07.06

世界農業遺産

まだまだ知らないことはあるものだ。
「世界農業遺産」。
旅先のポスターで知った。

農林水産省の説明より
世界農業遺産(※1)は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた伝統的な農林水産業と、それに関わって育まれた文化、ランドスケープ(※2)、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムを国連食糧農業機関(FAO)が認定する仕組です。
世界では15ヵ国36地域、日本では8地域が認定されています。

特色ある農業地域を学びたいと言う場合には、参考になるサイトである。
今まで知らなかったのは、東北地方に該当する場所がなかったからだろうか。
しかもこちらのパンフレットは子どもたちの興味をひくのに十分である。

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2016.07.05

「〇〇あるある」

ネットで「岩手あるある」という地元本らしきものを見付けた。雑学ネタ本だが、「確かに言えてる」というものが多くある。アマゾンには次のような例が紹介されている。

●沿岸部では8月でも長袖が欠かせない!
●胆沢、軽米など……県民でも読めない地名が多い
●お正月はおせちじゃなくて大量のお餅を食べる
●「だっけ」の使い方が他県とは違う
●岩手県版のあまちゃんのポスターは慎み深い岩手県人の県民性をあらわしている

岩手は広く、県北、沿岸、そして県南では本当に文化が違う。これは3ケ所を転勤して、実際に住んでいた経験から実感できる。(さらに盛岡を中心とした中央部にも独自の文化がある。)
その点では同じ岩手県人が読んでも「そういう文化があるのかー」と実感できる本。そして、4年生の社会の小ネタになりそうな書籍である。

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2016.07.04

「時間ドロボー」の話

明治図書サイトでの連載はいくつか楽しみにしていものがある。
大前先生のものもそうである。
今回から、時間術の連載が始まった。1回目は、「知らないうちに、「時間ドロボー」になっていませんか?」である。こちら。

授業時間をのばさないこと、会議での発言時間に配慮すること等が書かれている。特に自分と同じと感じたのが、「会議に遅れる人は、どの職場にもいます。私が会議のトップなら、会議に遅れた人を待つことは絶対にありません。時間内にきちんと集まっている人がいるのですから、定刻に始めるべきです。遅れてきた人を待つと、全員の時間を奪うことになります。」という部分。
自分も同じようにしているし、現任校では時間内に集まり、始めるという文化が浸透していることを嬉しく思う。

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2016.07.03

私の教材開発物語第15回・16回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第15回

初めてのインターネット学習

■ おすすめ書籍「インターネットで総合学習」全5巻

 今春(2002年)、「インターネットで総合学習 すぐに役立つ実践アイデア集」全5巻(あかね書房)が発刊された。
これは、インターネットを活用した総合学習の進め方をわかりやすく解説した本である。国際理解や環境、福祉など、総合学習の主要テーマ別に授業アイデアを豊富に掲載されており、子供たちの学習の手引き書としてすぐに活用できるものである。もちろん、教師自身の総合の授業プランの構想でも役立つ。
 学校図書館にぜひ常備しておきたいシリーズである。

 昨年度、私はこの本の執筆に携わった。それまで、インターネットを活用した授業をそれほど意識していなかった私にとっては、実践および執筆を通じて多くのことを学ばせてもらった。(ちなみに、本メールマガジンの編集長・蔵満逸司氏もこの本の執筆者である。)

■ 不便な環境を逆手にとる

 この本の執筆依頼を受けた時点で私の勤務校(前任校・宮古市立高浜小学校)には、「パソコンルーム」はなかった。しかも、インターネットに接続しているのは1台限り。パソコン自体も他に2台しかない。「インターネットで総合学習」をするには不便な環境であった。(子供たちも本格的なインターネット学習は経験していない。)
 しかし、時代が進んでいるのに「不便な環境だから」と言って、逃げているわけにはいかない。執筆依頼を機会に、何とか、この環境の中でもできるインターネット学習ができないかと考えた。
 考えることができたのは次の2点である。

1 「ホームページの検索」よりも「ホームページの見方」に重点を置いたインターネット学習をする
2 「パソコンルーム」ではないメリットを生かす

 子供たちにとっては、本格的にインターネットを活用する学習は初めてである。そこで、検索の方法を教え、実際に検索させるとなると本校のパソコン環境からすると非効率的である。そこで、あらかじめ調べるホームページとサイトを限定して、ホームページの見方を学ばせる方が子供たちにとっては実りがある。それならば学校のパソコンの他に職員の個人パソコンも活用できる。
 また、一般的なパソコンルームは「パソコンのみ」に集中するには便利であるが、子供たちが他の道具(百科事典、国語辞典等)を用いて調べたり、画用紙に書いたりする時には不便である。
 パソコンを調べる道具の一つと考えれば、他の調べる道具がある図書室でインターネット学習をするのが一番である。わからない言葉をすぐに調べることができる。書く活動のときにも広いスペースがあり便利である。これは、逆にパソコンルームではないメリットではないかと考えた。そこで、図書室でインターネットの学習を進めることにした。

■ 単元「調べよう、伝えよう!私たち、ボランティア・  ネット調査隊」

 今回取り組んだのは、次のような学習である。

1 単元名 「調べよう、伝えよう!私たち、ボランティア・ネット調査隊」(5年生対象・全12時間)

2 ねらい
 この単元は、「ボランティア」についてインターネットで調べることを目的としている。
 「ボランティア」については、子供たちは断片的な知識があるもの具体的、系統的な知識については少ない。
 そこで、様々なボランティアについて子供たち自らがインターネットを活用して、調べ活動をするのが本単元のねらいである。幸い、ネット上には数多くのボランティアに関わるホームページが存在する。その中でもハンディを持つ人に関わるボランティア活動のホームページを、本単元では有効に活用させてボランティアに関わる学びを深めさせたい。

3 学習の流れ
(1)今までの経験から、ハンディを持つ人に関わるボランティアに関する興味を持つ(1時間)
(2)ボランティアについてのホームページを閲覧し、興味を深める(1時間)
(3)「ボランティア・ネット調査隊」を発足させ、グループで調べたい課題を決める。(1時間)
 ★点字ブロック探偵団
 ★共用品探偵団
 ★パラリンピック探偵団
 ★盲導犬探偵団
(4)自分たちの課題をホームページで調べ、工夫してまとめる(4時間)
(5)調べた内容を発表し、交流しあう。(1時間)
(6)自分たちにできるハンディキャップに関わるボランティアを実行する計画を立て、実行する。(3時間)
(7)今回の学習で学んだことを考える(1時間)

■ 実際の授業

 この単元では、主として2回にわたりホームページを活用している。

 1回目は全員一斉にいろいろなホームページを閲覧する。手話、共用品、パラリンピック、盲導犬に関するホームページである。教師が事前に選んでおいたサイトを次々と見せる。これによって、子供たちはボランティアについての興味を高め、また知識も広げることができた。

 そして2回目がメインの調べ学習である。先の4つの課題を、ホームページで調べる。事前にサイトを指定しておいたことにより、教師自身も指導の見通しを持つことができる。
 しかし、それだけではホームページを活用した調べ学習は不十分である。この時には、次の3つの作戦を考えた。

1 事前に調べる視点の確認を行う
2 調べた内容についてキーワードを作らせる
3 ただ単に調べたことをまとめるだけではなく、ホームページの情報から「発表のための工夫点」を考えさせる

 1の視点の確認とは、たとえば、点字ブロック探偵団であれば、「点字ブロックはどれくらい役立つか」「点字ブロックを広めるためのボランティアにはどんなものがあるか」といったことである。
 この視点の確認は重要であった。一つのホームページにも多くのサイトがある。この視点に応じて、必要な情報を子供たちは取捨選択をすることができた。
 キーワードにまとめさせるのは、課題を解決するための方向性を絞り込ませることができた。
 そして、「発表のための工夫点」では次のようなものが出てきた。

★点字ブロック探偵団→実際に町で点字ブロックを調べる。
★共用品探偵団→共用品を集め実物を提示。不便さを劇にする。
★パラリンピック探偵団→選手と同じように100mを走ってみる(目隠しで)。
★盲導犬探偵団→盲導犬を知っている人に電話やメールで尋ねる。

 これらはホームページの情報から、子供たちが触発され考えたものである。

 また、図書室での調べ学習は実に効果的であった。
 ホームページを見る時に、難解語句が出てくる場合がある。図書室であれば、関連図書や事典ですぐに調べることができる。また、パソコン画面を見ながら画用紙に書くスペースも十分にある。「逆手にとった効果あり」という感じであった。

■ どのような環境であっても

この学習で、最終的には子供たちは、自分たちにできるボランティアを行うことができた。
 子供たちにとって初めてのインターネット学習は、価値があったと思う。
 同時に、インターネット環境が不便であっても、工夫することによって子供たちにとって意味がある学習が可能である。そう感じた。

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連載 私の教材開発物語 第16回

「やはり見学させたい!地域の工場」


■ まさに「百聞は一見に如かず」

 「おはようございます!」と工場で働いている人たちが子供たちに声をかける。あわてて、「おはようございます」と挨拶を返す子供たち。いろいろな社会科見学に行くが、こんなにあいさつをされたのは私自身初めてである。
 見学担当の方に聞いたら、「よりよい職場」「働きがいのある職場」にするために、あいさつを励行されているということ。「QCサークルによる提案活動」「モラールの向上活動」も盛んだという説明を受けた。
 実際に製品を作る機械を見る。コネクタは小さな部品であるが、その製品作りのために大型の機械がどんどん動いている。
「こんなに大きな機械でできているんだ!」と子供たち。
 そうかと思えば、人が細かい部品の検査をしている。不良品の割合の低さに子供たちは驚いていた。地元宮古の工場見学の一コマ。まさに「百聞は一見に如かず」。
 必死にメモをする子供たちの姿がそこにあった。

■ どんな部品工場を選ぶか

 前任校の宮古市立高浜小学校の5年生を担任していた時のことである。
 社会の教科書の工業産業は自動車工場の例が出されている。
 岩手にも自動車工場はあるが、宮古からバスで片道3時間もかかる。自動車の部品工場にしても似たようなものだ。
 今はインターネットで「バーチャル工場見学」というサイトもある。それを使って学習を進めようかとも考えた。しかしながら、やはり本物を見せたい。本物でなければわからないこともあるはずだ。
 では、地元宮古にはどんな工場があるのか。宮古は三陸海岸の漁業の町である。水産業に関わる工場なら多いが、工業関係は少ない。同僚に聞いても「いいものがないので、工場見学をしていない」とのこと。(私自身は宮古に住んで3年目。)他の学校の社会科教師に聞いても、どうもピンと来ない。それどころか、この不況で倒産が相次いでいるとのことであった。
 ここで頼りになるのは、インターネット検索である。地元宮古のことであっても、浅い情報ならインターネットで調べた方が多くのものを集めることができる。その中で見つけたのが「東北ヒロセ電機」である。ゲーム機や携帯電話のコネクタを中心に作る工場である。
 この工場名をキーワードに検索をする。「業績好調」の新聞記事。親会社のヒロセ電機のホームページに掲載されている従業員の声。どちらも「宮古の工場」とは思われなかった。「これだ!」と思わず、パソコンの前で呟いた。

■ 事前のフィールドワーク

 すぐに連絡をとり、工場を見学させてもらう。すぐに目につく看板「目指せ、世界一の工場」。担当の方からいろいろな話を聞かせてもらう。

□業績好調で、どんどん働く人が増えていること。
□部品はいったん横浜に送られ、海外にも輸出されているということ。
□働きがいのある会社にするために、仕事後のクラブ活動が盛んなこと。
□自分たちの技術が世の中のためになっているという誇りを持っているという
 こと。
□宮古は首都圏から遠い(600km離れている)が、逆にそれが競合相手の
 いない結果となり、労働力確保につながっているということ。

 「宮古にも、このような工場があったのだ」という思いであった。この私が感じた思いを、子供たちにも伝えたい。きっと子供たちも共感するはずだ。そう考えた。
 実際に見せてもらった製品を借り、自分の教材開発までの素材をフル活用して授業を組み立てた。

■ 実際の授業

☆1時間目(見学の事前学習)の主な発問・指示

1 今は「不況」と言われています。どういう意味ですか。
2 「東北ヒロセ電機」は宮古市赤前にある工場です。(「業績好調」という新聞記事を示して)気づいたことを発表しましょう。
3 東北ヒロセ電機にはスローガンがあります。「目指せ、(  )一の工場」です。「何一」だと思いますか。
4 何を作っているのか説明をします。(工場から借りてきたコネクタの実物を見せる。)
5 このような小さなものを作る時に難しいと思うのは何ですか。
6 これらのコネクタの部品はどこに送られていると思いますか。
7 不況でもこのような工場が宮古にあります。次の時間に見学をします。聞きたいことを書きなさい。
 「目指せ、世界一の工場」というスローガン、時代の先端を行く携帯電話の部品、海外に輸出という事実に子供たちは一気に興味を示した。

☆2~3時間目(見学学習)

 冒頭に書いたように、子供たちは工場の様子を目の当たりにして、数多くの発見をしていた。

☆4時間目(事後学習)の主な発問・指示

1 工場見学で、君たちが見つけた東北ヒロセ電機が元気な秘密を発表しなさい。
2 わざわざ宮古に工場を作った理由は何だと思いますか。
3 このような工場が宮古にあることをどう思いますか。

 最後の発問で子供たちは、「この近くに、こんな優秀な工場があると思わなかった。すごい。」「まだ、県内一ではないけど、やがて県内一になって、スローガン通り世界一になってほしい。」という感想を持った。

■ 教師の役目

 日本のもの作りの技術のすばらしさは世界的に有名である。
 ぜひ日本一」「都道府県一」という技術を持つ工場を、子供たちに見学をさせたい。本物にしかない事実に圧倒されるはずである。
 しかし、実際には時間的・物理的な制約上それは難しい場合が多いであろう。ただ、どの地域でも、すばらしい工夫や努力をしている工場があるはずである。
それを探し出すのが教師の役目であろう。その対象を見つけ、フィールドワークをする過程で、その工場を対象としたオリジナルな授業プランは決まっていく。
 事実を学んだ子供たちは、「自分たちのまちにもこのような工場があるのだ」という共感を持つようになるのである。

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2016.07.02

私の教材開発物語第13回・14回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第13回

   ゲストティーチャーのよさを引き出す 
      
■ 森林資源育成に従事する人から学ぶ

 今年度(2001年)、5年生を担任して、社会科で実に多くの方々から学んだ。農業、漁業を営んでいる学区の方、市内の部品工場の方、そして放送局の記者。教科書や資料からは得られない生きた社会科の学習ができ、そのつど子供たちは大きな学びをしたものであった。
 3学期の社会は森林資源の働きが主な学習である。当然、ここでも森林資源育成に従事する人から学ぼうと考えた。

 ところが、この学習は1・2学期のパターンとは異なる。農業にしても工場にしても、実際に見学に行くことができた。働いている様子を実際に見て、学びを深めることができたわけである。
 しかし、今回は森林が対象ということで、冬の時期の見学は無理である。そうであれば、教室にゲストティーチャーとして来ていただくのが一番よい。

 そうと決まれば、まずは人材探しである。同僚の先生方に聞くが、今まではそういう方はお呼びしていないとのこと。
 「森林のことなら営林署だな」と見当をつけて電話帳を探すが該当するものは見つからない。即、インターネットで探す。「宮古 森林」を入力すると「三陸北部森林管理署」のHPが出てきた。
 読んでみると、「営林署」という名称は現在はなく、「森林管理署」というように組織が改変されているとのことであった。しかも、他校に「森林出前教室」で訪問しているということも掲載されており、「これならゲストティーチャーとして呼べそうだ」と感じた。
 さっそく交渉。OKの返事をいただく。

■ 質問をメインにする授業

 さて、このように、「お話を聞く」というゲストティーチャーを招いた授業の場合、どのようなパターンの授業になるだろうか。2つの例を紹介する。

【パターン1】 授業のほとんどがゲストティーチャーのお話が中心となるパターン。たとえば45分のうち35分がお話、残りが質問コーナーという具合である。ゲストティーチャーの専門的な話が十分に聞くことができるというよさがある反面、難しい話や講義調になってしまう場合もある。

【パターン2】 あくまでも教師の授業がメインで、その中の一部にゲストティーチャーが登場するパターン。授業者の意図があるのでゲストティーチャーの話す時間は少ない。

 私の場合はかつては1のパターンがほとんどであった。
 しかし、今では違うパターンである。「お話を聞く」という場合には、次のようにしている。

【パターン3】 1 ゲストティーチャーが10~15分程度の話をする。
2 子供たちが20分~25分程度の質問をする。
3 残りの時間でゲストティーチャーと教師がまとめの話をする。

 いわば「質問がメイン」の授業である。
 これは雑誌「授業づくりネットワーク」(学事出版)2000年8月号で上條晴夫氏が、「『質問する技術』を教えたい!」で提案されていたことであった。
 実際に試してみるとパターン1に比べ、いくつものよさがあることに気づいた。

・まず、子供たちの学習内容が深まる。知りたいことを学ぶことができる。そのためには、事前に質問内容を吟味するという作業が必要になる。
・ゲストティーチャーの個性が伝わってくる。質問に対して答える時には、ゲストティーチャーの人間性が垣間見られることが多い。
・子供たちとゲストティーチャーとの心の交流が深まる。
・子供たちが主体的に興味を持って参加できる。

 この中で一番のよさは「ゲストティーチャーの個性や思いが伝わる」ということと感じている。これだけでも「人から学ぶ」という価値がある。

■ 実際の授業

 三陸北部森林管理署の方をお招きしての授業。事前に打ち合わせをしてから、来校していただいた。署長さんがじきじきに来られた。
 署長さんは、ゲストティーチャーとして学校で教えるのは初めてということであった。(HPに掲載されている森林出前教室は前署長の時のこと)
 最初、15分間、日本と宮古の森林事情について話してもらう。
 「宮古市重茂にある大ケヤキは『森の巨人たち100選』に選ばれた」「皆さんにお願いしたこと」といった話に子供たちは興味を示す。自分たちの知らない事実だからである。
 そしてメインの質問タイム。
 子供たちが事前に考えていた質問、そしてその日のお話から考えた質問が次々と出てくる。子供たちの質問に、はじめは硬かった署長さんの表情も和らいでくる。同時、口調も滑らかになってくる。「質問効果」と言ってもよいかもしれない。

 一番個性が出たのは、次の質問のときであった。
Q 「木を育てる『一番の喜び』って何ですか」
A 「そうですね・・・。自分が若いころ(署長さんは50代)、山に植樹ををしました。『どんどん育ってくれよ』という思いで植えたものです。
  その場所には、仕事の関係でしばらく行ったことがなかったのですが、数年前、たまたま行く機会がありました。そうしたら、自分が植えた木が大きく育っていました。その山を見た時に、素直に感動しましたね。『この仕事をしていてよかった』とつくづく思いました。」
 この話から、署長さんが誇りを持って木を育てていることを私も子供たちも感じ取ったのであった。
 これは講義調のゲストティーチャーとの授業では生まれないものであろう。

■ ゲストティーチャーも感動

 授業終了後、校長室にゲストティーチャーを招いた。
 学校長に署長さんが、開口一番、「いやあ、今日は私が感動しました」。子供たちの質問に、今まで自分が携わってきた森林の仕事をいろいろと思い出したということである。
 「初めて学校で教えるということで不安だったのですが、子供たちに励まされたようなものです」とも話された。
 社交辞令はあるにせよ、このように言われると、ゲストティーチャーを招いた甲斐があったと感じる。もちろん、子供たちの学びが大きかったことは言うまでもない。
 その意味で、質問をメインにした授業は、ゲストティーチャーのよさを引き出すものと言える。

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連載 私の教材開発物語 第14回

新任地での教材発掘、スタート

■ 新任地、恒例の休日学区フィールドワーク

 この4月、転勤となった。(2002年)
 3月まで勤めていた宮古市は岩手県沿岸の中ほどにある。今度勤務する水沢市は県南部。その距離およそ130km。引っ越しは車で2時間半。改めて岩手の広さを感じる。
 転勤をして、いつも楽しみにしていることがある。それは、転勤してすぐの休日のフィールドワークだ。
 以前、水沢市の隣の江刺市に勤務をしていたので、水沢市についてはある程度知識はある。しかし、それが小学校区となるとまた別だ。
 今年度は4年生担任。しかも学校の総合的な学習の部長となった。そのため、このフィールドワークは「新たな教材開発のため」という意味合いもある。
単なる観光客気分で見歩くのと、「社会や総合で活用できるものはないか」と意識してフィールドワークをするのではおのずとその視点が変わってくる。見えなかったものが見えてくるのである。
 というわけで、自転車を走らせた。

■ 「先人の街」

 水沢市を表すキャッチコピーはいくつかあるが、市民がよく口にするのは「先人の街」ということである。特に、高野長英(幕末の思想家)・後藤新平(政治家)・斎藤實(政治家・首相)の3人は水沢が輩出した3先人と呼ばれている。
 この3人の肖像画が我が校の体育館に飾られているほどである。
 学区にはいくつかの先人の記念館がある。さっそく後藤新平記念館を訪れる。
 後藤新平の業績は実に幅広い。逓信大臣兼初代鉄道院総裁、東京放送局(NHKの前身)初代総裁、日本ボーイスカウトの初代総長、台湾総督府民政長官、そして東京市長として「大風呂敷」の異名をとった。広い視野に立った政治家であったが、当時(明治後半から大正)はその先見性ゆえに理解されないこともあった。しかし、後世では高い評価を受けている。
 そのような後藤新平の記念館であるが、水沢市が観光地ではないため、お客さんは決して多くはない。そのためか館長さん自ら「どうぞ。こちらが収蔵品コーナーです。」とおもてなしをしてくれた。パネル、手紙、使ったものから後藤新平の人柄と業績を偲ぶ。肉声を聞くことができるコーナーでは、彼の政治に対する信念を感じることができた。
 館内来訪者の記帳を見ると岩手のみならず、宮城、青森といった県外の方も多い。また、市内の他地区の小学生の字もある。きっと総合の学習や自由研究で来たのであろう。
 この後藤新平記念館だけではなく、「斎藤實記念館」「先人記念館」も訪れる。
 これほどの先達がいるのである。「先人から学ぶ」という学習がすぐに浮かぶ。

■ 「歴史」が随所にある

 水沢にはかつて城があった。その名残で、学区にはいくつかの武家屋敷が残されている。その中の一つ、学校の近くの内田家に入る。見学は無料であるから、子供たちと気軽に訪れることができそうだ。江戸時代にタイムスリップした気分である。
 遠くからは太鼓を練習する音が聞こえてくる。4月29日に行われる日高火防祭の練習であろう。豪華絢爛といった表現がぴったりのはやし屋台が祭りのメインである。この祭りは長い歴史を持つ。子供たちの中にも、今まで屋台で太鼓をたたいた子がいるに違いない。
 「祭り」という学習を通して地域の歴史を知るのもいいなと思う。

■ 「まちづくり」の工夫

 学区にはJR水沢駅前の商店街もある。
 どこの地域でも同じであろうが、今は郊外に大型店がどんどん進出して、駐車場が少ない駅前商店街は苦戦を強いられている。よく見てみると、シャッターがおりている店もいくつかある。
 しかしながら、随所に工夫も数多く見られる。鋳物を使った街灯や車止め(水沢は南部鉄器の街でもある)、ポケットパークやモニュメント、そしてカラー歩道。何とか商店街を活気に満ちたものにしようとしているのがわかる。
 4年生の社会の学習は「くらしとまちづくり」が中心である。このような素材が学区にはあるのだ。この素材をどう料理をしていくか、楽しみだ。

■ フィールドワークは教材開発の意欲を高める

 フィールドワークをすること、およそ3時間。実に多くの教材開発の素材があることを改めて感じた。
 後藤新平や日高火防祭については、インターネット上にも数多くの情報が存在する。それで知識を得ることはできる。
 しかし可能であれば、実際にフィールドワークをする方がもちろんよい。何よりも教材開発の意欲がわいてくる。
 この日に回ったのは学区の一部でしかない。きっとまだまだ埋もれて素材があるだろう。休日のフィールドワークはこれからも続きそうである。

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2016.07.01

6月終了

早いものだ。今年も半年が終わる。

○6月は運動会のような行事はないので、自分の校務に時間を割くことがわりとできる…と思っていたが、あれこれ対応だけではなく、地区懇談会・夜の研修会・会議があり、毎日があっという間に過ぎる。出勤日の半分以上が先の夜の会議等に費やされた。それはそれで自分の力が何かしらの役割をはたしていることなので、いいことなのであろう。ただ、4・5月以上に帰りが遅くなったので、自分の仕事術は常に見直さなければいけない。

○今月から登壇役もスタート。例年年度末から5月ごろまでは校務優先と自然になっており、依頼もほとんどない。今年度も同様であった。今月から来年2月までは月数回の登壇役も大切な学びの場となる。今月は久しぶりの模擬授業と教育センターでのユニバーサルデザイン。今までも登壇したが、改良を加えての提案ができた。

○執筆活動にも月の半ばまで力を入れた。連載、単行本の執筆。単行本は3分の1まで辿りついた。。まだまだ今自分が依頼されているものからすれば終わりは見えないが、自分が書くことによって、何かしらの貢献ができるのでは…と思っている。

○学校も研究が本格的に動き出した。各学級での授業から学んでいる。前任校は今年度公開研究会の年でその学校を去るのは残念なことだったが、幸いなことに本校は来年度公開を控えている。その前年ということで、質的な向上も図られている。毎年のように研究に(さらに社会に)縁があるということは幸いである。自分なりにこれも貢献していこう。

○通信制大学院はゼミがあり、このためにかなりの準備を費やした。まだまだ修士論文への取り組みは甘い。自分の都合で学びを遅らせることはできない。さらに8月には例年通りの講師役が控えている。今月下旬には夏休みに入る。熱い夏休みにしていきたい。

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