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August 2016

2016.08.31

8月が終わった

8月終了。

例年講師役でいくつかの登壇がある夏。今年も愛知、東京(2度)、兵庫、そして地元岩手と充実した夏となった。

○講師役で学びを深める

 先月末から始まった講師役は貴重だった。今月は7回。うち昨年度と同じ地での講師役が5ケ所。当然内容を変えなければいけない。また別の講師役も新しいテーマ。その点で、自分の幅も広がった。さらに、参加者の感想から自分が励まされる思いをした。「自分の使命にはこんなこともあった」ということを痛感した。

○夏休みも通常業務を進める

 長期休業中の執務といえども全く暦通り。講師役(これは休暇を取得している)や出張以外毎日出勤し、次への仕事を少しずつ進めていたことで2学期の始まりは落ち着いて始められている。

○小さな原稿もいくつか

 講師関係の合間をぬっての、連載原稿、本の校正、小さな原稿をいくつか…というように登壇の資料作りと並行してがんばった方であろう。9月からも本格指導しなければいけないものがあり、ますますのがんばりが必要であろう。

〇ストップしたままのもの

 修士論文や書籍の原稿は、締切が先なだけにどうしても後回しになってしまう。今月はまさにそれ。
 これについては、これから必死にがんばらなければいけない。

○2学期には…

 2学期が始まり2週間たった。夏休み中に比べて、当たり前だが一気に仕事が押し寄せてきている感じである。9月はすべきことを決めている。この勢いを続けることができるとよいと思っている。

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2016.08.30

【HP移行原稿】発見!わたし、ぼく流ヘルシー野菜炒め2

★ 調べたことにチャレンジ

■3時間目

■ねらい・調べ活動の発表や試しの活動を通して、野菜いために関わる基礎的な知識と技能を身につけることができる。

■事前に、前時で書いた資料の発表者を決めておく。各項目一人。
 本時で準備しておくものは、フライパン6つ(班ごと)、さいばし、キャベツ1玉(事前に切っておいた)、油(サラダ油とごま油)、試食用皿とはし(各自が用意)

■指示・今日の課題を読みましょう。
     ・どのような工夫をすればヘルシー野菜いためになるのだろうか。

■説明・今日は5つの内容のうち、「カロチンとビタミン」「炒め道具の使い方」「野菜の種類」について発表してもらいます。最初に「カロチンとビタミン」、どうぞ。
    ・カロチンとビタミンの発表。
     内容はビタミンやカロチンは炒める時間が長いほど吸収が悪くなることを
     グラフで示したもの。

■指示・付け加え、質問、感想をどうぞ。
    ・「カロチン」「ビタミン」の言葉の説明やその効果の付け加えが出る。
    ・カロチンとビタミンについて言葉は聞いていたけど、初めて内容がわかったといった感想が出る。

■指示・次に「炒め道具の使い方」について、どうぞ。(発表後)付け加え、質問、感想をどうぞ。
    ・発表は、フライパンの使い方、油の種類、熱してから油を入れること等について。「どうして熱してから油を入れるのか」「油は入れなかったらどうなるか」といった疑問が出てくる。のちほど試すことを伝える。

■指示・最後に「野菜の種類」についてどうぞ。(発表後)付け加え、質問、感想をどうぞ。    
     ・どんな野菜にどんなビタミンがあるか、そのビタミンがどんな働きをするのか発表。教科書で淡色野菜と緑黄色野菜の種類を写真で確認。

■説明・それでは実際にフライパンを使ってみましょう。注意点を確認します。(教科書をもとに)。では、班ごとに一人ずつ使ってみましょう。
     ・班ごとに一人一人シュミレーション。実際に加熱や野菜は入れずに真似のみ。「熱くなったら油を入れる」といったように注意事項を口に出しながら行う。

■指示・それでは、さっき疑問に出たものの試しの活動をします。
      ① 熱しないで油を入れた時と熱してから油を入れた時の違い
      ② ごま油とサラダ油の違い
     どちらもモヤシを炒めて試してみます。〇〇さん、炒めるのをお願いします。(経験のある子を指名する。)他の人はノートに違いを観察しなさい。
     ・4つ場所でモヤシを炒め始める。火力、野菜を入れるタイミング等は教師が指示する。他の子は観察する。味付けは塩、コショウで。教師が行う。できたら、試食をして味覚を確かめる。

■発問・気付いたこと、思ったことを発表しましょう。
   ★①について
     ・熱しないで炒めたキャベツは色がそのままで生のようだった。
     ・熱しないとかきまぜるのが大変
     ・熱したの方はすぐに小さくなった。→水分がへったこと
   ★②について
     ・ごま油はいい香がした。
     ・どちらも見た目はいい感じがした。
     ・油があるとカロチンはにげないと思った。
    (いろいろな発表が出て、そのつど必要な説明をする。)

■発問・ヘルシー野菜炒めにするためには、一言でいえば何をすべきですか。
    ・カロチンがよく吸収できるようにする。
    ・フライパンを熱してから炒める。
    ・ビタミンやカロチンが豊富な野菜を選ぶ・・・等

■説明・熱してから炒めた方が素早く栄養の面でもいい炒め方ができます。また油も工夫することによって、いろいろな炒め方ができます。

■指示・今日の授業の感想を書きなさい。
     ・今日は、いろいろなことを学んだ。たとえば、熱したフライパンで炒めると、水分がとび小さくなるということです。それと、炒めるよさは、見た目がよくなり、香りもOKとなることがわかった。
     ・野菜を炒めると、一口で言えば、ヘルシーになる。フライパンを熱してから炒めるとヘルシーになる。それに味もよくなる。

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★ 調べたことにチャレンジ(県大会授業)

■ 4時間目

■ねらい・調べ活動の発表や試しの活動を通して、野菜炒めをするよさを感じ取り、自分流の調理に見通しを持つことができる。

■事前に準備するものは、次の試し作りに必要な道具である。
  1 強火の時もやし炒めと弱火の時のもやし炒め
  2 ニンジンとキャベツを同時に炒めたものと、最初にニンジンを入れ次にキャベツを炒めるもの
  3 キャベツ炒めで塩とコショウの薄味

■指示・課題を読みましょう。
     ・どのような工夫をすればヘルシー野菜いためになるのだろうか。

■指示・今日の学習の最後には、わたし、ぼく流で自分が行いたい工夫に見通しを持つことができればよいと思っています。最初に1時間目に出た野菜炒めについての疑問を発表しなさい。
     ・どんなふうに順番に炒めたらいいのか。
     ・炒める時に火の強さは関係あるのだろうか。

■解説・今日は、そのような疑問について勉強していきます。

■発問・最初にどのような発表でしますか。
     ・調べた事の発表です。

■発問・その時に大切なことは何ですか。
     ・付け加えや質問を多く出すことです。

■発問・その後は何をするのですか。
     ・チャレンジタイムです。

■指示・それではさっそく発表してもらいます。必要なことはプリントにメモをしなさい。では、「炒め方」についてどうぞ。
     2時間目で作成していた発表用画用紙をもとに一人の子が発表。内容は次のようなものである。
      ・ニンジンとキャベツの野菜いために必要な量
      ・切る大きさをそろえておくこと
      ・作る順番(強火を強調)

■発問・付け加え、質問はありませんか。
     ・「なぜニンジンを先にいためるのか」「強火でなければいけない理由は」といった本時の内容に関わるものが出てくる

■指示・次に味付けの工夫について発表してもらいます。どうぞ。
     ・塩分控えめがいい内容を発表。その理由も付け加える。
     ・具体的に「一日に必要な塩分はどれくらいか」といった質問が出る。他にもオイスターソースがおいしいといった付け加えが出る。

■指示・では野菜炒めで今のような工夫をするとどう変わるでしょうか。実際に試してみましょう。次の3つで試し作りをします。
     1 強火と弱火のモヤシ炒め
     2 ニンジンとキャベツの同時炒めと、ニンジン先キャベツ後炒め
     3 うすい味付けキャベツ炒め
     です。お願いしていた皆さん(それぞれ代表で炒めてくれる人を事前に依頼し、材料を切ってもらっていた)、お願いします。他のみんなは観察します。
    ・実際に観察する。気付いたことを子供たちはどんどんメモをしていく。
     野菜炒めができた時点で試食をして、食感を確かめた。15分ぐらいで活動は終了。

■指示・わかったこと・思ったことを発表しましょう。
  ★1 強火と弱火のモヤシ炒め
    ・弱火は時間がかかって、かたかった  ・弱火はカロチンが吸収できなくなると思った ・強火の方がだんぜんおいしい  ・色がちがう ・弱火は生っぽい
    ・弱火のもやしはまずい
  ★2 ニンジンキャベツの同時炒めと、ニンジン先キャベツ後炒め
    ・同時に炒めたニンジンは固く、別々だとやわらかかった ・別々にやった方がおいしかった  ・同時だとキャベツがこげてしまう ・同時に入れてはいけないことがわかった
  ★3 うすい味付けキャベツ炒め
    ・ちょっと甘い感じがした  ・炒めたら小さくなることがわかった  ・うす味もなかなかいいと思った。

■発問・強火や別々に炒める、うすい味付けといったそれぞれの工夫は、何を考えていると言えますか
    ・栄養  ・健康  ・ヘルシー

■指示・今日学んだことと、工夫したいことを発表しなさい。
   ・わたしは、友だちの発表を聞いて、ヘルシーな炒め方は強火で、そして調味料は少ない方がよいことがわかりました。なので今度から、なるべく塩分控えめにしようと思いました。
   ・いためる時に別々にするといいことを初めて知りました。

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2016.08.29

【HP移行原稿】発見!わたし、ぼく流ヘルシー野菜炒め1

★ どうなっているかな?我が家の野菜料理

★課外(単元に入る1週間ほど前)

■ねらい・本単元につながる事前調査を子供たち自身が行うようにする。

■指示1・これから野菜いための学習を家庭科ではします。その野菜の食事を君たちが1週間調べます。ただし夕食だけです。ワークシートに毎日次の3つを書きなさい。
    1 夕食のメニュー
    2 食べた野菜の種類
    3 思ったこと
     最後の日に「1週間の調査で思ったこと、気付いたこと」を書きなさい。
 
 先の項目を記したワークシートを配布する。子供たちは1週間、「我が家の夕食調べ」を1週間つづける。

■子供たちが思ったこと、気付いたこと(一人一人の疑問や思い)
 ・夕食に野菜が多く入っていて、家族の体のことを考えていると思った。
 ・毎日、いろいろな栄養がとれていると思った。
 ・野菜にどんな栄養があるのかなと思った。
 ・野菜を食べるとどんな効果があるのかな。
 ・ニンジンがたくさん出てきたのはなぜか。
 ・同じ野菜でもいろいろな料理ができるんだと思った。

★ 1時間目

■ねらい・野菜についての一人一人の疑問や思いをもとに、ヘルシー野菜いためについて自分が調べたい課題を決めることができる。  

■指示1・1週間の夕食の野菜調べで思ったこと、気付いたことを発表しなさい。
      ・課外の例で出した一人一人の思いを発表させる。
      ・ただ単に発表させるだけではなく、「どうしてそう思ったの?」「もう少しくわしく説明して」といった補助発問をして子供たちの発表を深める。

■説明1・みんな野菜についていろいろと考えました。今回野菜料理の中でも野菜炒めに挑戦します。それも「ヘルシー野菜いため」です。
■発問1・「ヘルシー」とはどういう意味ですか。
      ・体にいい ・健康にいい

■指示2・ヘルシー野菜いために学習したいこと、疑問に思うことを書きなさい。(5分間・ワークシートに記入)

■指示3・発表しなさい。
      ・いためておいしい野菜は何か。
      ・野菜の栄養はどんなものに入っているか。
      ・いためる時に、油はどれぐらい入れるのか。
      ・野菜を切る時に、どのような大きさにするのか。
      ・何火でいためるのか。  
      ・フライパンはどうやって使うのか。
      ・カロチンとは何か。ビタミンが多い野菜は何か・・・・等数多くの発表。

■説明2・みんなの考えは次の5つに分かれます。
      1・カロチンとビタミンについて
      2・いため道具の使い方
      3・野菜の種類
      4・いため方の工夫
      5・健康によくて好みを考えた味付け

■指示4・みんなが発表したものをこの5つに分けましょう。

■説明3・みんなが考えた疑問について一つ1種類選びます。それを次の時間まで、自分で調べます。

■指示5・調べたいテーマを一つ決めなさい。
       ・発表させる。1~5について調べやすいように、次のようにまとめる。
       1 野菜をいためた時にカロチンとビタミンはどうなるか。
       2 フライパンの使い方はどうしたらいいのか。
       3 どんな野菜にどんな栄養が入っているのか。
       4 炒める時に、火の加減、切る大きさ、2種類以上の順序はどうするのか。その他においしくする工夫は。
       5 健康によい味付けはどんなのがいいのか。

■発問2・どのような方法で調べることができますか。
      ・家の人に聞く  ・試してみる  ・本で調べる ・教科書を見る  ・必要な子には教師が準備した本を貸し出す。(コピー)

■指示6・それでは次の時間までメモをしてきましょう。

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■2時間目
ねらい・自分のテーマについて、調べてきたことをもとに画用紙にまとめることができる。

発問・自分のテーマについて調べてきた人?
    ・22人中19人が挙手。残り3人は資料なし、家の人に聞くことができなかった等の理由でできず。(教師の資料を提供する)

発問・みんなが調べてきたことを画用紙にまとめます。(画用紙は9つ切り)。わかりやすくまとめるには、どんな点に注意したらいいですか。
    ・マジックで目立つように書く。
    ・①、②というように区切って書く。
    ・図を書いて、分かりやすくする。
    ・見出しを入れて、パッと何のことかわかりやすくする。
    ・思ったことも書く。

指示・書き方についてはその通りです。でも大事な事が抜けています。
    それは「どうすればヘルシーになるか」ということです。そのことを考えて画用紙にまとめなさい。
    ・以降35分。画用紙に自分なりにまとめる。
     教師は個別指導をしながら、時々よい工夫は全体にわかるように言う。
     早く終わった子には、板書しているチェック項目と照らし合わせて、付け加
     えをさせる。
    ・授業時間内に終えた子が18名、残り4人は都合のいい時間で行い、次時までに完成させた。

★子供たちの書いたテーマ例
  1 カロチンとビタミン  「カロチンとビタミンのへり方」
  2 いため道具の使い方「フライパンの使い方」
  3 野菜の種類      「野菜の栄養」
  4 いため方の工夫   「自分流ヘルシー野菜いため」「誰でも食べれる野菜いため」
  5 ヘルシー味付け   「我が家の味付け」「おいしい味付け」「健康にいい味付け」

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2016.08.28

夏の登壇終了

一昨日、26日は兵庫県のたつの市・太子町の教育工学研究会の夏のセミナーに登壇。
90人近くの自主的に参加された先生方の前でお話をさせていただいた。
その研究会を育てた先生方は、何年も前からの研究仲間。「熱い思い」が人を動かすことを感じた。

昨日は2ケ月に1度の定例の学習会。こちらは年に1度ほど模擬授業をしている。
今回、選挙権に関わる模擬授業を行った。十数分の間に「知る・わかる・考える」を組み入れた。反省点もある授業ではあったが、自分の考えは提案できた。

この2つで、この夏の登壇も終了。今回は夏休み直後から、夏休み終了後も3本と、自分にとっては長期間の登壇であった。その分、連続で…というわけではなかったので、準備が例年ほど慌ただしくはならなかった。(2学期開始後は厳しかったが)

毎年思うのであるが、さまざまなセミナーでお話をして、いろいろな先生方と懇親会で交流をする。そこで得られるエネルギーは大きいものだと実感する。

この夏も多くのエネルギーをいただきました。ありがとうございました。

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2016.08.27

10月と12月の登壇案内

10月29日のsoyaサークルと12月3日の山の麓の会の登壇案内が公開されました。
どちらも3度目のこととなります。熱心な聞き手の皆さんと今年もお会いできることを嬉しく思っています。

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〇10月29日(土) 佐藤正寿先生に学ぶ社会科授業のユニバーサルデザイン(大阪)

9時30分 受付開始

9時50分~10時50分 実践報告3本 川口「4年安全なくらし」 西山「4年大阪府」 他1本
11時~12時 実践報告について佐藤先生より講評
13時~14時 「社会科授業のユニバーサルデザイン」
14時15分~15時15分 「社会科授業の基礎技術~模擬授業から~」
15時30分~16時30分 「今社会科教師に求められていること」

申込みはこちらから。


〇12月3日(土) 第11回 学級力向上セミナー 姫路〈社会科編)

9:30〜 9:35 はじめの言葉
9:35〜10:05 宗実直樹 授業「3・4年児童対象(予定)」
10:05〜10:20 休憩
10:20〜11:50 佐藤正寿 授業「3・4年児童対象(予定)」
11:00〜12:10 授業説明&討議会
13:10〜13:50 昼の会(山の麓より)
14:00〜15:00 佐藤正寿「全員がわかる・できる社会科授業」
15:10〜16:10 佐藤正寿「アクティブな社会科授業はこうつくる」
16:15〜16:40 QAシェア 
16:40〜16:45 おわりの言葉 

申込みはこちらから。

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2016.08.26

HP移行原稿「発見!家庭での仕事のコツ」

★発見!家庭での仕事のコツ

 5年生の教科書で最初の単元は、「わたしと家庭生活」である。
 その中で家庭での仕事を実践する時間がある。より意欲的に仕事に取り組み、多くのことに気付いたほしいと考え、「発見!家庭での仕事のコツ」として、小単元を設定した。(2時間+課外)

★1時間目・・・家庭で仕事をするよさについて考える

☆発問1 家で手伝いをしている人?(ほとんど挙手)どんなお手伝いをしていますか。

・アイロンがけ ・洗濯 ・お料理 ・食事の後片付け  ・風呂そうじ 等どんどん出てくる。珍しいお手伝いについては詳しく聞く。

☆発問2 みんなのお手伝いは3種類のグループに分かれます。衣食住です。(衣食住を簡単に説明) 「アイロンがけ」はどれですか。(全てについて聞く。)

☆指示1 それぞれのお手伝いで「こつ」があったら発表しましょう。

・買い物では賞味期限をみて長持ちするものを選ぶ。
・食器洗いでは最初に水につけておく。
・食器を重ねるときには大きいものを下にしく。
・ダンボールはスーパーでももらえる。
・アイロンは残りが少ない時には電源を切る・・・・・等

 一つ一つの「こつ」に子供たちは感心したり、「同じ」とつぶやいたり・・・。時には質問も出る。

☆発問3 お手伝いをするよさは何ですか。

・家の仕事が片付く。
・気持ちがよくなる。
・こつを覚えて賢くなる。
・家の人に感謝されてうれしい・・・等
 
☆指示 お手伝いはすばらしいですね。これから1週間、皆さんも取り組んでみましょう。ただし今度は「仕事」としてです。自分が今お手伝いしているもの以外のものを考えなさい。毎日するものです。そして、コツを発見しなさい。

 最初の友達の手伝いの板書も見ながら、子供たちは自分の仕事を決めていった。「洗濯ものたたみ」「お料理」「玄関そうじ」と自分のお手伝いとは違うジャンルを選ぶ子供たちが多かった。

★課外・・・家庭での仕事を1週間続ける

・子供たちは家庭学習ノートに毎日「家庭での仕事日記」を書く。その時に、発見したコツを可能な限り付け加えさせた。

★発見!家庭での仕事のコツ2

★2時間目・・・発見!家庭の仕事のコツ

☆指示1 1週間の家庭での仕事で見つけたコツを発表しなさい。

 数人の子に発表させる。

☆指示2 これから君たちの発見したコツをプリントにまとめます。図も書いて分かりやすくまとめなさい。

B5版の大きさのプリントにまとめる。個別にまわりながら、自分の思いもかくように伝える。
以下は子供たちの文例。

■ せんたくたたみのコツ
 ようふくのたたみ方のコツは、まず一番大切なのが正座です。正座をして背中を伸ばすと自然にきれいにたたみたいという気持ちになります。
 たたみ方は人それぞれでいいのですが、しわができないように服を伸ばしながらたたむのがコツです。
 わたしは、最後にありがとうと言われて気持ちがよかったです。これからもやれる時にはやりたいです。

■ 風呂そうじのコツ
 みなさん、風呂そうじのコツを知っていますか。
 そのコツは簡単です。スポンジを丸く円をかくようにすればいいのです。
 洗面器を使うときは、風呂の中に洗面器を入れて残り水を使えば節約になります。とても簡単です。
 これからは風呂そうじの時にまねをしてください。

■ 玄関そうじのコツ
 みなさん、玄関そうじのコツを知っていますか。
 まず一つ目のコツはすみからはきだすようにゴミをはらいます。
 もう一つのコツははくまえに、霧吹きで水を床にかけることです。
 ぼくは風でゴミがとばされないようにするのが大変でした。これからほかのそうじのコツを考えたいです。

 書くスピードに差があるので、早く終わった子供どうしで回し読みをする。
 最後にグループ内で発表させ、感想を述べ合う。数人の子を全体の前で発表させ終わりである。
 一人一人の「家庭での仕事のコツ」は教師が聞いていてもおもしろいものであった。何とかして全員分、発表させる場を設けるべきである。それも可能な限り、実演や実物を用いるのがよい。
 私は数日後の学級参観日に時間を設定した。22名が一人30秒程度で発表する。子供たちの奮闘ぶりに思わず家の人も拍手である。いい場面であった。
 なお、コツが発見できない子には家の人に積極的にコツを聞くことを教えた方がよい。それも家族とのつながりを深める大切なことと考える。

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2016.08.25

HP移行原稿「発見!わたし、ぼく流野菜クッキング」4

★ 自分流で試し作り(6・7時間目)

 「わたし、ぼく流」の方向性がだいぶ見えてきた子供たち。今度は、試し作りの時間である。
 これは、本番の調理活動の前に、試行錯誤ができる時間である。たとえば、「炒め物もしたいし、オリジナルドレッシングも作りたい」という子がいれば、その両方を試してみて、「よし、本番のレシピはこっちでいこう」と決定づける時間なのである。
 対象となる活動は大きくは次の3つである。

1 生野菜サラダをオリジナルドレッシングで
2 野菜を炒める
3 野菜をゆでる
(使う野菜は、キュウリ、ニンジン、キャベツ、トマト等で)

 このうちオリジナルドレッシング作りは、必須内容ということで、全員が取り組むことにした。それが終われば、あとは炒める活動でも、ゆでる活動でも、はたまたオリジナルドレッシング作りを続けても構わない。いずれ、自分のしたい活動にチャレンジである。
 家庭生活でも取り組んだ子がない子が結構多く、失敗の子も珍しくなかった。
 たとえば、ドレッシング作りでは、第一声が「しょっぱい。塩の入れ過ぎだ。」「味がない。」といった具合である。野菜炒めでも、油を入れすぎた子、炒めすぎて焦げた子、太くニンジンを切りすぎて固いままで炒め終わった子と様々でした。
 しかし、今回は「失敗も勉強のうち」。成功すればそれでよしであるが、失敗は失敗で学ぶところも多い。実際に失敗した子供たちは、次のように学びを書いている。

・「野菜の切り方が大きすぎて、ゆでるのに時間がかかってしまった。本番ではうすく切りたい。」
・「今回は油を入れすぎてしまいました。この次は量を減らしたいです。」
・「学んだことは、調味料の入れ加減で味が変わるということです。次の時間にじょうずに入れておいしくしたいです。」
・「たまねぎにドレッシングをかけるとおいしくなることを学びました。次の時間はコショウを多くかけすぎないようにしたいです。」

 これらの経験が次の本番の調理活動で生きてくるのである。


★ 本番!わたし、ぼく流食べ方(8~10時間目)

 いよいよ「わたし、ぼく流野菜の食べ方」の本番である。
 最初はレシピ作りである。それまでの学習活動を生かし、画用紙に作成する。私からの条件は次の二つである。

・自分らしさがわかるように書く
・ネーミングを工夫する

 1時間、じっくりかけてオリジナルレシピは完成である。
 「生で(オリジナルドレッシングで)」「炒めて」「ゆでて」の区分で言えば、「生で」が5割、「炒めて」が4割、「ゆでる」が1割程度の割合である。ネーミングも「中山家の味・キャベツいため」「かなえ流スペシャルキュウリの生」と
いうようにこだわった。
 他にも、次のようなものが出てきた。

■佳美流キュウリドレッシング  ■中国の味・キュウリ中華風ドレッシング ■私流・せんぎりあんどあじつけ ■和弘流キュウリドレッシングとなりの家風 ■とみた流コショウたっぷり玉ねぎ炒め

 レシピ集を見るだけで食欲が出てきそうである。
 一通りレシピ集が出来たら、その発表をする。発表を聞きながら「おいしそう」といった声が自然に出てくる。発表した子の誇らしげな顔。
 それはそうである。自分が今まで試して研究した自信作なのだから。

 そして、いよいよ調理実習。試しの調理を事前にしているので、子供たちに任せて大丈夫である。
 ある子の様子を見て、「そんなにコショウを入れるの!」と私が驚いたら、「ぼく流です。コショウたっぷりなんです!」と逆に言われてしまう。それぐらい子供たちは、自分の調理に自信を持った。
 「ジュー」という炒める音。「プーン」と匂う香り。共に食欲をそそる。20分ほどで完成である。
 食べながら子供たちに感想を発表してもらった。

・前に作ったキャベツいためより、とてもおいしかったです。コショウと塩の入れ具合で味が決まることがわかりました。
・前は油を入れすぎたけど、今日は成功してよかったです。

 「わたし、ぼく流野菜の食べ方」は大成功であった。自然とお互いの交換会が始まる。「おいしい!」「ちょっとしょっぱいかな」「いいの、これがわたし流だから」・・・ささいな会話の中にも、「わたし、ぼく流が見えてくる調理実習となった。

★ まとめ 「こだわり」のある活動を

 初めての調理実習で、子供たちが意欲的に活動をしたのは、「わたし、ぼく流」という「こだわり」があったからである。
 そのこだわりを達成するためには、強烈な動機づけ、興味あることの調査活動、実験観察的な活動、試行錯誤の時間の保証、個別的な支援等が必要である。
それらを今回は単元の中に組み入れて実践したつもりである。
 教え込むよりも手間ひまはかかるが、その分一人一人のよさは見える。
 この「わたし、ぼく流」は、これからの調理実習単元で可能である。今後も継続していきたいと考えている。

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2016.08.24

HP移行原稿「発見!わたし、ぼく流野菜クッキング」3

★ 知恵を身につけ見通しを持つ(4・5時間目)

 この時間では基本的な野菜の調理に関わる内容を学習する。具体的には、「洗い方」「切り方」「ドレッシングの作り方」「ゆで方」「炒め方」である。
 通常であれば、教師が教えて子供たちが実技をして・・・という感じであるが、今回は子供たちがあらかじめ調べ活動をしている。それらの発表を通して、子供たちの調理活動をより深いものにするわけである。
 たとえば次のような形で行った。

■大根の切り方(A君の発表から)
「大根にはいろいろな切り方があります。今日はぼくが大根を持ってきました。こ れが【輪切り】です(実演)。おでんなどで見かけます。これがいちょう切りです(実演)。(以下略) 付け加えはありませんか。」
「たんざく切りというのもあります。」

■キャベツの炒め方(B君の発表から)
「キャベツの炒め方をお母さんから聞いて、試してみました。はじめにキャベツを2cmずつ切ります。次に炒めます。2分ぐらい炒めます。ぼくがやって大変だったのは、キャベツが焦げないようにすることです(以下略)。付け加え、ありませんか。」
「わたしが調べたことは、火が少し通るぐらいの時間で手際よく炒めるということです。あまり炒めると、野菜の栄養がなくなるからです。」
「質問です。混ぜる時になぜキャベツは最後なのですか。」
「キャベツは他のものより薄いからです。」

 このような形で、子供たちの発表だけでも野菜に関わる知恵をある程度は身につけることができた。
 むろん、それらの発表だけでは学習として不足である。授業のねらいに即して、教師が教える分は必要である。切り方、洗い方といった技能の他に、次の点を観察することにした。

 炒めたり、ゆでたりすると野菜はどのように変化するのだろうか。

 ここで大切なのは試し作りの実験活動である。
 代表の子に炒めたり、ゆでたり、生のドレッシングを作らせる。
 その他の子たちは、その変化の様子を観察するわけである。


  生ドレッシング      ゆでるコーナー     炒めるコーナー
  コーナー
   ・フレンチドレッ     ・ニンジンとほう     ・キャベツの野菜
    シング          れんそうをゆ       いため
   ・ごまドレッシング    でる

 この3つに分かれて合計5人の子が調理をする。それぞれ経験のある子供たちである。もちろん、教師も全面的に協力をする。たとえば炒め物をする子には、そばについて「強火にして」「塩を入れて」というようにである。いくら経験があるといってもまだきちんと教科書では学習をしていないので仕方のないところである。
 さっそく観察をする子どもたち。見るだけではなく、においをかいだり、試食もしてみる。その中で、子供たちは次のような発見をしていった。

・ニンジンは好きではないけど、ゆでたら味が変わっておいしかった。
・ニンジンはゆでたら甘い感じがした。
・炒めたら、キャベツの量が減った。
・炒めているうちに、いいにおいがしてきて、食べたらコショウの味がきいていてお
 いしかった。

 炒める、ゆでる、ドレッシングにつけるといった活動は一言で言えば、何のためにすると言えますか。

と聞くと、「おいしくするため」「見た目をよくするため」「食べやすくするため」といった反応が返ってきた。
 この「発表・実技・観察」の活動を通して、子供たちは調理することの意味を理解した。それは、「わたし、ぼく流の野菜の食べ方」への興味を大いに高めるものとなった。
 事実、授業の最後に「『わたし、ぼく流』でしたい調理は何ですか」と聞くと、「ドレッシングを作ってきゅうりを食べたい」「キャベツの炒め物に挑戦したい」と明確な意思を発表していた。

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2016.08.23

HP移行原稿「発見!わたし、ぼく流野菜クッキング」2

★ 取りたて野菜、最高!(1・2時間目)


 最初の調理実習の単元。
 野菜を扱うことは決まっている。何か子供たちにとって印象的な野菜との出会いができないかと考えた。
 そこで、仕組んだのが「取りたて野菜との出会い」である。
 幸い、子供たちの中で野菜を作っている家が数件ある。事前に持ってきてもらうように学級通信で依頼する。もちろん、該当する子供たちにも伝える。

 いざ当日。とりたてのキャベツ、パセリ、タマネギ等が教室に持ち込まれた。「もし、誰も持ち込まなかったら・・・」と考えて私の方でも念のために、八百屋さんから前日にいくつかの野菜を購入していたが、それは杞憂であった。
 タマネギは土がついたままである。パセリのにおいをかいでみると新鮮なにおいが広がる。
 さっそく子供たちに聞く。

  取りたて野菜を見て、思ったこと、気付いたことを発表しなさい。

 もちろん、子供たちには自由に触らせたり、匂いをかいだりさせた。中には「食べてみたい」という子もいたので、パセリをパクリ。「いい味!」と思わずひとり言が出てくる。
 さて、子供たちから出てきた気付きは次のようなものであった。

・キャベツがみずみずしい。
・パセリのにおいがとてもいい。
・トマトを押してみるとやわらかい。
・スーパーのよりおいしそう。
・新鮮なものは土のにおいが強い
・色がとてもこいし、光っている。
・はだざわりがいい。

 このように子供たちは、取りたて野菜との出会いに驚いていた。
 続いて子供たちに次のように言う。

  これからこれらの野菜を使って、「わたし、ぼく流の野菜の食べ方」を学習します。どんなことを学習したいですか。

 単元の導入であるから、学習の見とおしを持たせるために行った発問である。次のようなものが出てきた。

・このやさいの切り方はどうするのか。
・野菜にはどんな栄養があるのか。
・ゆで方や生で食べるにはどうするのか。
・包丁の使い方はどうするのか。
・野菜のどこを食べたらいいのか。

 数多く出てきたが、学習のねらいを加味して、次の6点に一言でまとめた。

 1 野菜の洗い方
 2 野菜の切り方
 3 ドレッシングでおいしく食べる方法
 4 野菜のゆで方
 5 野菜の炒め方
 6 野菜の中にある栄養について

 これらについて、最初は君たちが調べます。どうやって調べたらいいですか。

 「本で調べる」「家の人に聞く」「自分で試してみる」という3つの方法が出てきた。

 それらを画用紙にまとめて発表します。自分で6つのうちから一つ選んで調べましょう。ただし、野菜は自分で決めてください。

 学級通信で家庭にも調べ活動へのお願いをした。次の家庭科までの4日間、子供たちなりの調べ活動に入った。
 なお授業では発問に即したワークシートを使用した。


★ 調べたことをまとめる(3時間目)

  導入で野菜のことに興味を持った子供たち。自分の課題について家庭学習で調べてきた。(ワークシートへの書き込み)
 家の人に聞く子あり、実際に家でキャベツの炒め物をした子ありと、学習に対する意欲満々である。
 特徴的なのは、家の人からの調査の段階ですでに図で一緒に説明をしたり、矢印等で分かりやすくかいている子が多いという点である。それらはそのまま、画用紙にまとめることができる。
 それらの調べたことをどう広げるか。子供たちに次のように指示した。

  調べたことを画用紙にまとめます。他の人に伝えるものです。
  分かりやすくまとめなさい。見やすくするためには、どんな工夫をしたら いいですか。

・マジックを使ってみやすい文字に書く。
・図やイラストを入れる。
・箇条書きにする。
・見出しをつける。

といった視点が出てきた。「その他、自分でできる工夫はどんどんしていいです。」と言って、作業に入らせた。
 およそ35分間、子供たちは黙々と作業に取り組んだ。家で調べたり、実技をしてきた子たちは、すぐに書き始めてた。調べきれなかった子も数人いたので、その子たちには図書館から参考図書を紹介して、書かせた。
 また、作業の途中でよく工夫をしている子供たちのことを、「おっ、〇〇さんは見出しをはこで囲んで見やすいね。」「図に矢印をつけているからわかりやすね」というように全体に聞こえるように紹介をした。

 ちなみに、子供たちが取り組んだ一人一人テーマの一部を紹介する。

 ■ニンジンのゆで方  ■キャベツのいため方  ■きゅうりの生の食べ方  ■野菜のどこが食べられるか  ■たまねぎの料理する前 ■だいこんのいろいろな切り方 ■ほうちょうの使い方

 子供たちが書いたこれらの資料は次時の実技や観察のもとになるものである。

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2016.08.22

HP移行原稿「発見!わたし、ぼく流野菜クッキング」1

★ 家庭科発見シリーズ

  教師生活16年目にして、初めて家庭科を研究することとなった。平成12年11月1日に行われる岩手県家庭科教育研究大会宮古大会の授業者になったからである。
 いざ研究をはじめてみるとこれが実におもしろい。子供たちと一緒に家庭科のいろいろを「発見」することになった。その延長で、一回目の研究授業で、「発見!わたし、ぼく流野菜の食べ方」という単元で行った。以来、家庭科の授業は、「発見シリーズ」となった。
 このサイトはその発見記である。(授業は全て5年生対象)

★ 「わたし、ぼく流」がポイントの調理実習

 ・とみた流コショウたっぷり玉ねぎいため
 ・中沢家の味・キャベツのいため方
 ・吉川流スペシャルフレンチドレッシング

 聞いたことのないレシピ名の登場である。
 これらは、今回、5年生になっての初めての調理実習で、子供たちが名付けた「わたし、ぼく流の野菜レシピ」である。
 一人一人が自分流にこだわって野菜の調理実習をすることができた。それを象徴するレシピのネーミングである。

 通常、最初の調理実習といえば教えることが多い。たとえば、野菜サラダの場合、まず作り方を教え、それに必要な包丁の使い方といった調理技能を教え、そして実習というパターンである。これはこれで悪くない。
 調理実習そのものに子供たちは大いに興味を示しているから、子供たちは大喜びで取り組む。ほとんどの子が「調理実習大好き」「家庭科大好き」と答える。

 しかし、その意欲が全員同一調理ではもったいない。もっともっと個性的な調理の追究活動に活用したいと考えたのが今回の実践である。
 そのポイントは次の点である。

  「わたし、ぼく流」野菜の食べ方

 一人一人が自分で野菜の素材を選び、それについて自分なりに調べ活動をして、試し作りを重ね、最終的には「わたし、ぼく流」野菜の食べ方を発見するというものである。
 今回の指導にあたって私が留意したのは次の5点である。

 1 導入段階で新鮮な野菜との出会いで興味づけを図り、子供たちの思いを耕す。
 2 自分の課題を発表させる過程で、基礎的な技能や知識の習得を図る。
 3 試しの調理の後に「わたし、ぼく流」を追究させる
 4 調理活動を通じて、野菜の調理のよさを感じ取らせる
 5 指導と評価を一体化させ、子供のよさを伸ばす

 これらについて具体的な授業場面の即して、紹介したい。

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2016.08.21

有田和正継承セミナー

今年の夏は8回の講師依頼を受けている。昨日の有田和正継承セミナーもその一つである。

これはその名の通り、一昨年お亡くなりになった有田先生の実践を伝え広めることを目的としている。
兵庫の古川先生と一緒に行うよき機会である。

今回私は話したのが、「教室づくり」と「教材開発」。
このうち教室づくりについては話すのは初めてだった。そのためにいくつかの文献を読み、まとめて臨んだ。

〇おたよりノート
〇紳士録
〇「プロ」(○○魔)を育てる
〇登録制係活動
〇「今月の詩」
〇発言のアイウエオ・・・・等々

有田先生といえば、どうしても教材開発や授業の名人といった面がクローズアップされるが、学級づくりでも多くの実践群を後世のために残されたことを実感した。
「これらを伝えていくのは自分たち」…今回改めてそのことを感じたセミナーだった。

※一番参考になったのは「楽しい教室づくり」である。

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2016.08.20

HP移行原稿「発見!パッケージの秘密」

 この内容は平成13年2月15日の初等教育研修会(筑波大学附属小)で発表したレポートの一部です。

1 消費者教育における家庭科情報リテラシーの必要性

 今後、情報化社会はより一層進行し、家庭科に関わる情報も今以上に増えてくるであろう。その中でも、特に消費活動に関する情報は、子供たちにとって身近なものである。
 事実、子供たちは日常生活の中で、お菓子、衣料品、玩具類等様々な消費活動をおこなっている。また、そのような消費活動を促進するテレビコマーシャル、雑誌等での宣伝も盛んである。
 そんな状況の中で、子供たちに必要なのは「情報リテラシー(情報を読み解く力)」である。情報を、自分なりの見方で適切に生活の中に取り入れ、判断をし、消費活動の意志決定をすることが大切と考える。

2 実践例「発見!パッケージの秘密」

 現在購入する商品のほとんどが、パッケージされている。そのパッケージには、実に多くの情報が含まれている。ところが、子供たちが実際に商品を購入する際に、そのパッケージをよく見るという子の割合は低い(我が学級で3割ほど)。
 そこで、商品のパッケージの情報に着目させる授業を行った。

 教室にズラリと並んだ商品のパッケージ。お菓子の袋、カレー粉の箱、空き缶等々。子供たちが家庭から持ってきたものである。
 それらを最初に紹介をする。「あっ、それ食べたことがある」「へえ~、そんなも物もあるんだ」と子供たちは興味深そうにパッケージを見つめる。
 そこで、子供たちに聞く。

 いろいろな商品のパッケージを見て、わかったこと、思ったことを書き、発表しなさい。

 さっそく、実際にパッケージを手にして分析する子供たち。次のようなことに気付いた。

■わかったこと、気付いたこと
・中に入っているものが書いてある  ・保存方法がある  ・注意書き(してはいけないこと)が書いてある  ・作り方がくわしく書いてある  ・一口メモもある  ・メーカーがわかる ・栄養やカロリーがわかる  ・賞味期限が書かれている  ・量がわかる  ・原料がわかる  ・どこの国から来たものかわかる  ・おまけのプレゼントを書いている  ・お客さま相談室の番号が書いてある  ・ホームページや会社の住所が書かれている  ・調理例がある・・・・等

■思ったこと
・栄養のことが書かれているのは、食べる人のことを考えているんだと思った。
・消費期限が書かれているのは大事なことと思った。
・実際にものの写真があると、その中身がよくわかる。
・いいことをたくさん書くと買ってもらえる可能性が高いのでは。

 たくさん出たところで、子供たちに「これらの情報がもしパッケージになかったら、どんなことが困りますか」と聞く。
 「商品の苦情が言えない」「作り方がわからなくて困る」「いつまで大丈夫な食べ物か分からない」等、これまた多くの反応が出てくる。パッケージの有用性について、少しずつ子供たちは感じとってきた。

 では、それらのパッケージの工夫には、どんなよさがあると言えますか。

 改めてパッケージの情報を得ることのよさを問う発問である。子供たちからは、次のような反応が出てきた。

・作り方が書かれていると初めて買う人にとっても大丈夫だ。
・注意点があると危険がない。
・買うときに安心する。(賞味期限等)
・自分が商品を買うときの目安になる。
・会社名や電話番号があれば、品質保証している・・・等

 このように子供たちの視野は広がった。
 しかし、パッケージの情報にも「買わせるため」の誇大宣伝の例もある。そこで、子供たちに「パッケージを見て買ったけど、失敗した点はありませんでしたか。」と聞き、例を出させた。よさと同時にこのような視点も必要であろう。
 最後に、「あなただったらパッケージを見て、これからどんなことに気をつけて商品を購入しますか」と問い、自分なりにまとめさせて授業を終えた。
 子供たちは、この授業で次のような感想を持った。

・はじめてよくパッケージを見ました。いろいろな事がわかりました。栄養もわかるし、どこで作られたかもわかるから、パッケージはいろいろと便利だと思いました。
・パッケージがあるといろんなことが分かって、役に立つことがわかりました。今度から、カロリーや作り方をちゃんと見て、おいしく食べたいと思います。
・いつもあまり気にかけていなかったパッケージも意外にとても大切だったと改めて思いました。これからはよく読みます。
・パッケージというのは、私が考えているよりも重要な役割があることがわかった。特に、保存方法や会社名などの意味がわかった。

 感想からわかるように、子供たちのパッケージに対する視野が広がる授業となった。

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2016.08.19

HP移行原稿「発見!テレビコマーシャルの工夫と影響」

★ 発見!テレビコマーシャルの工夫と影響(2000年)

 この授業は5年生社会の情報の学習の中で、テレビCMの工夫と自分たちに与える影響を考えさせたものである。
 事前の準備・・・子供たちへの事前アンケート(どのテレビCMが印象に残りますか?)とCMランキングベスト5の作成。1位のCMを録画しておく。

■ 授業

■説明・君たちのテレビコマーシャルランキング発表です。
     第5位「NTTドコモ・アイは私を救う」
     第4位「ピレパラアース」
     第3位「めんたつ」
     第2位「ポッキー」  (それぞれのCMの台詞や歌が自然に出てくる)
     そして第1位が「ジョージア」のコマーシャルです。

■発問・ジョージアを選んだ人はどんな点が印象に残ったのですか。

・歌がいい  ・やっていることがおもしろい  ・続けて作っている
 等の反応が出る。ここは簡単にすます。

■発問・では、これから「ジョージア」のコマーシャルで工夫している点をビデオで見ます。工夫で気付いたこと、わかったこと、思ったことをノートに書きなさい。時間は5分です。

・ジョージアのコマーシャル(フランス語を習うもの)を3回繰り返す。子供たちがノートに書いたあと発表。

・短い時間でいろいろな場面を出している。
・楽しい歌があって、覚えやすい。
・有名な芸能人を使っているので、おもしろい。
・楽しいというイメージにさせてくれる。
・最初は何のコマーシャルかと思うが最後にコーヒーを出している。
・短い時間でパッとわかる。
・音楽がコマーシャルを明るくしている。
・お金がどれくらいかかっているか知りたい。(きっと多い)
・コマーシャルを作るのに、時間がかかっていると思う。
・よくこんなに楽しいものを考えると思う。きっとテレビニュースと同じように会議をしているのだろう。

■発問・テレビコマーシャルはお金がそんなにかかるのですか。(子供たち、「はい」と反応)。その理由は何ですか。

・有名な人を使うとその分、お金を払わなければいけない。
・テレビ番組と同じでちゃんと会議をしてから作るから。
・小道具といったものも作らなければいけない。
・メークさん、美術さんといったいろいろな係も必要。・・・等
(教科書や資料集でテレビ番組の作り方を参考にさせた)

■発問・そのようにお金がかかるのなら、商品が売れても得はしないのではないでしょうか。何のためにテレビコマーシャルを作るのですか。

・いや、それでもコマーシャルをした以上に売れるから損はしない。
・資料集にあるようにテレビは一番みんなが情報を得るものだから、コマーシャルを作る。
・テレビは大量に情報を伝えるので、その商品を知ってもらえるから得。
・テレビコマーシャルはおもしろいので、はやりになる。すると商品も売れる。
・自分もコマーシャルを見て買ってしまう。そういう人は多いと思う。
・新聞よりもテレビの方が見やすい。・・・等
・コマーシャルのある民放で一番多いのは娯楽番組。それを自分たちもよく見ている。するとコマーシャルをよく見ることになるので、買う量も増える。 (一部、教科書や資料集を参考にした発言が出た。)

■説明・これはみんなにも聞いた方がいいですね。テレビコマーシャルを見て、商品を買ったことがある人?(全員が挙手。実際に買ったものを次々に答えさせる。)このようにみんなも影響を受けています。コマーシャルを作る方も「ターゲット」と言って、買ってくれる人を絞り込みます。君たちも実はターゲットになっている場合もあります。(その例もやりとりする。)

■発問・テレビコマーシャルは人々にとってどんなものと言えますか。ノートに書きなさい。(発表)

・テレビコマーシャルは人々にとって情報を出してくれるものである。
・テレビコマーシャルは役立つ情報を見せるものだ。
・テレビコマーシャルはえさのようなもの。人々は魚のようにえさを食べ、会社はもうける。
・テレビコマーシャルはお得な情報を得るもので、自分たちも買っている。・・・等。

■指示・今日の授業のまとめを書きなさい。

★今までコマーシャルはおもしろいテレビを見ているときにはじゃまだなと思っていたけど、けっこう面白いし、いろいろな情報を出していることがわかった。
★生活の中でコマーシャルのことを気にしていなかったが、多くのお金をかけていることがわかったし、自分たちもたくさんそのものを買っていることがわかった。
★テレビコマーシャルは見ている人のために歌を作ったり、有名人を使っている。そして自分もその影響を受けている。もしかしたらなくてはならないものかもしれない。

 テレビコマーシャルは自分が使っている社会の教科書の中にはない。しかし、指導要領の中にある「通信の国民生活に与える影響の例」としてはかなり大きいものであろう。特に子供たちにとっては身近なものである。
 それだけに、この通信の学習ではテレビコマーシャルをもとにした実践が多く出ることを期待する。
 なお、この実践をするにあたり、事前に子供たちには「テレビ日記」を書かせている。

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2016.08.18

HP移行原稿「学校の自慢CMを作ろう」

★学校の自慢CMを作ろう 1時間目 単元オリエンテーション
 (4年1組学級通信「トゥモロウ」NO.72より 2002・11・8)

 総合的な学習の時間(Zタイム)では、新しい内容に取り組みます。
 今回は、「学校の自慢CMを作ろう」というものです。昨日がその1時間目でした。
「水沢小学校の自慢は何か考えてくること」を宿題に出していました。一生懸命に考えて、家庭学習ノートに書いてきた子も5人いました。
 最初に考えてきたことを発表させました。子どもたちからは次のようなものが出てきました。

 ・おいしい給食  ・いろいろな賞をもらっている人がいる  ・図書館に本がたくさんある ・桜の木がきれい  ・校舎が広い  ・岩手県一古い校歌  ・Zタイムが楽しい ・900人近くいる子ども  ・先生方  ・いろいろな行事  ・あいさつ  ・立生館 ・いろいろな人がいるところ  ・みんなやさしい  ・楽しい学校・・・等

 実に多くの自慢が出てきました。一つ一つの自慢について、「これはどういうこと?」と詳しく聞くと、みんながなるほどと思う理由が返ってきました。すべてみんなが納得のいく自慢です。
 次に子供たちに聞きました。

  これらの自慢は、水沢小学校以外のみんなが知っている人々、たとえば家族や親戚、近所の人には伝わっているでしょうか?

 「伝わっている」と答えた人は3人だけ。それ以外は皆「伝わっていない」ということでした。
 伝わっていない理由を聞くと、「改まってそのようなことを話さない」ということでした。
 「でも、これらの自慢は、みんなぜひ伝えたいものだよね」と確認すると、うなずきます。そこで、「では、これからのZタイムでは学校の自慢CMを作っていきましょう。」と告げました。子どもたちは、「CM」という言葉に喜びました。(知っているCMをあげさせたら、次々に楽しいものが出てきました。)

 ただ、作るCMのイメージがどのようなものか共通理解をしておく必要があります。そこで、完成品のイメージを伝えました。

  ・ビデオカメラによる動画ではなく、デジカメの写真数枚で構成する。
  ・解説等の音声をつける
  ・場合によっては音響効果もつける

 ビデオの方がCMとしてはより効果的なのですが、4年生の段階として撮影のいろいろを指導するのは困難点が多いです。その点、デジカメであれば操作は簡単です。現在、日直の子が学校の様子をデジカメで撮影をして、帰りの会で「デジカメスピーチ(撮った写真をテレビに写してスピーチを行う)」をしています。それほど、子どもたちにとっては身近です。
 次回はテーマ決め。どのようなテーマを選ぶのか楽しみです。


★学校の自慢CMを作ろう 2時間目 学校ウオークで自慢のヒントを見つける(略)

★学校の自慢CMを作ろう 3時間目 テーマが決定
(4年1組学級通信「トゥモロウ」NO.73より 2002・11・13)

 子どもたちは、自分たちで自慢について考えたものの、やはり実際に学校の中を歩き回ることが大事ということで、1時間校舎内のあちこちを見学しました。
 ふだん何げなく見ている風景でも、「学校の自慢」という視点で歩くとまた別です。いろいろなことが次々と目に入ってきます。一番多い班で16個もの自慢のものが見つかりました。次のようなものです。

 ・巨大レリーフ「子どもの群像」 ・今までの校長先生方  ・木村栄博士の銅像
 ・いろいろな賞状やトロフィー ・「立生」 ・三偉人  ・交通安全運動  ・うば杉のシンボル
 ・春の自慢の桜の木  ・校訓  ・校歌  ・楽しい給食・・・等

 他の班も「日時計」「タイムカプセル」といったようなふだん意識しないものを見つけていました。

 さて、これですぐにテーマを班ごとに決定というわけではありません。
 決める時の基準が必要です。そこで、子どもたちに「『自慢』というのは、この場合にはどのようなものですか?」と聞きました。
 「めずらしいもの」「歴史のあるもの」等の発表がありましたが、みんなが納得したのが、「他の学校にはない水沢小学校だけのもの」という答えです。確かに、この基準ならば、「学校の自慢CMを作ろう」という学習にぴったりです。

 さっそく、この基準に沿って子どもたちは考えます。ところが、もう一つ問題がありました。それは、「調べる資料が不足しているものは難しい」ということです。
 これをもとに各班で話し合い、決まったものは次のテーマです。

 ■1班→「めずらしい給食」  ■2班→「三偉人」  ■3班→「うば杉」  ■4班→「タイムカプセル」  ■5班→「水小のマーク」  ■6班→「トロフィーと賞状」
 
 伝統的なものあり、今の学校の自慢ありというようにバラエティなものになったと思います。
 「うば杉」「三偉人」「学校のマーク」などは、子どもたち自身は学習をしていいて、知っていることなのですが、「さらに深めた内容を伝える」ということでCMを作ります。「めずらしい給食」と「トロフィーと賞状」は今の水沢小学校にいる人にインタビューが可能です。「タイムカプセル」を選んだ4班は勇気のある選択です。私自身、中庭にあるタイムカプセルのことは、よく知りません。子どもたちと一緒に追究していくことになりそうです。
 子どもたちもやる気いっぱい。これからの展開が楽しみです。

★学校の自慢CMを作ろう 4時間目 学校自慢調査隊
 (4年1組学級通信「トゥモロウ」NO.74より 2002・11・14)

 またまた総合的な学習「学校の自慢CMを作ろう」の話題です。
 各グループのテーマは決まりました。しかし、これですぐにCM作りを行うということにはなりません。そのテーマについてもっと深く知ることが必要です。そうしなければ、自分たちがCMで何を伝えたいのか明確にならないからです。
 そこで、「学校自慢調査隊」の発足です。
 まず、グループごとに「調べたいこと」を考えさせました。ここは、子どもたちにとってテーマについての疑問が次々と出てきました。たとえば、「タイムカプセル」をテーマにした4班は、次のような内容を調べたいと考えました。

 ・「タイムカプセル」はどういう意味なのか。
 ・タイムカプセルをどんな気持ちで立てたのか。
 ・タイムカプセルの塔を作った費用はどれくらいか。
 ・タイムカプセルの中に入っているものを、その年代のことを考えて想像してみる。
 ・タイムカプセルはどうして、あの場所に埋めたのか・・・等

 これらの調べたいことは、調べ始めるとますます増えていくと思われます。ただ、子どもたちには一つ不安があります。「調べたい内容について調べ切れるか」ということです。たとえば上の例でいえば、「タイムカプセルを実際に埋めた卒業年度の人にインタビューをしたい」と考えているものの、実際にその人に会えるかどうかという点が不安なところです。(そのための作戦も考えていますし、もし見つからない場合のCMの作り方ももちろん考えています。)
 また、「インターネットで調べれば何とかなる」と思っている子どももいますが、このような「地域限定の情報」はなかなかないものです。そのような点では、基本的な資料はやはり「本」ということになると思います。
 というわけで、最終的には次のような方法で調べることにしました。

■1班 テーマ「めずらしい給食」
 ・給食の栄養士さん、調理師さんにたくさんインタービューをします。そのつながりから資料を探します。
■2班 テーマ「三偉人」
 ・「本で調べる」「記念館に聞く」「他学年にアンケートをとって調べる」という3本立てです。
■3班 テーマ「うば杉」
 ・まず本で探します。次に「うば杉」について知っている先生方にインタビューをします。
■4班 テーマ「タイムカプセル」
 ・先に書いたようにインタビューとカプセルの埋めている場所の観察が主です。
■5班 テーマ「水小のマーク」
 ・本のマークの由来等を調べます。さらに校長先生にお話を聞きます(以前にも聞いたことがあったので)。校舎内にあるマークも探します。
■6班 テーマ「トロフィーと賞状」
 ・トロフィーや賞状について「一番古いもの」「大きさ」を見て調べます。さらに実際に賞をもらった6年生にもインタビューをする。

 次はいよいよ調査隊がスタートをします。

★学校の自慢CMを作ろう 5~7時間目 テーマについて調べる

★学校の自慢CMを作ろう 8時間目 決定!キャッチコピー
(4年1組学級通信「トゥモロウ」NO.78より 2002・11・25)

 総合的な学習「学校の自慢CMを作ろう」のお話です。
 どの班も自分たちが決めたテーマについて調べました。調べ方もいろいろです。「水沢小学校百年史」を見たり、インターネットで水沢小学校のホームページを見たり、実物をじっくりと観察をしたり、自分の家にある資料を持ってきて考えたり・・・・というようにです。
 「人」から学んだ班もあります。校長先生をはじめ、給食の栄養士さん、斎藤實記念館の方等、実に多くのことを子どもたちは調べました。

 次は「キャッチコピー」の段階です。
 最初に「キャッチコピー」の意味の確認です。今回は、「調べる対象の特徴を表したもの」です。作る方法はNHK教育番組「体験!メディアのABC」を活用して、次のような方法をとりました。

 ① テーマについて調べたこと、思ったことをカードにどんどん書く。
 ② 気に入ったものを数枚選ぶ。
 ③ 数枚組み合わせてキャッチコピーにする。
 
 たとえば、給食グループは次のようなものをカードに書いていました。

  ・世界で一つの給食  ・ゆめがある  ・アレンジ  ・選べる  ・ほかの学校では食べられない  ・いろいろな食べ物  ・具だくさん  ・ごうか  ・すごい  ・すばらしい  ・工夫がある  ・えいせい面に気をつけている  ・健康になる給食  ・安全・・・等

 この中から数枚選び、それをキーワードにしてキャッチコピーを考えます。子どもたちは選んでからが一苦労。キーワードを逆さにしたり、「もうちょっといいのがないかな・・・」と考えたりしていました。開始して1時間でキャッチコピーは完成しました。次の通りです。

■1班 テーマ「めずらしい給食」
 ゆめがある世界で一つの給食

■2班 テーマ「三偉人」
 とってもえらい三偉人 やっぱりすごいぞ三偉人

■3班 テーマ「うば杉」
 歴史がある大きな水小のシンボル「うば杉」

■4班 テーマ「タイムカプセル」
 気持ちのこもった世界に一つの宝物

■5班 テーマ「水小のマーク」
 希望キラキラ水小マーク

■6班 テーマ「トロフィーと賞状」
 協力・がんばりでつかんだ栄光

 このキャッチコピーはそのままCMの基本となる考えになります。
 次の時間は具体的なCMの計画を立てます。子どもたちも「早く作りたい」と乗り気です。

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2016.08.17

HP移行原稿「合成写真」

★NHK教育テレビ「体験メディアABC」を活用した
   メディア・リテラシーの授業「合成写真」 1・2時間目(2001年)


 この授業は「体験メディアのABC」というNHKの番組を使って行ったメディアリテラシーの記録である。本校が、実践協力校に選ばれたことが縁である。
 授業に関わっては千葉大学の藤川大祐氏から助言をいただいた。改めて感謝をする次第である。

■単元名 「作ろう!合成写真」(全4時間)
■単元の目標
・合成写真を作る体験を通して、合成写真は作成者の意図を反映したメディアであることを理解することができる。

★授業記録(1時間目)

1 「体験メディアABC」(合成写真)視聴と感想発表

 子供たちの反応に手応えがあった。興味をもって番組を見ていた。(笑いあり、感嘆の声あり)
 例示の写真が、「合成写真」とわかった時には「作るの?」「やってみたい」という声が続出であった。北条時宗の合成映像の例の時には驚きの声が出た。
 見終わった後、子供たちの感想を発表させる。

・合成写真を作っているなんて、すごいと思いました。思ったより簡単に作れるだなあ。ドラマで使っているなんて知りませんでした。
・合成はすばらしいと思いました。なぜかというと、困っている人も助けるからです。
・合成写真はおもしろいことがわかりました。でも、それをだますことに使っている人がいることもわかりました。
・家にある身近なものを使って、合成写真が作れるなんて初めて知りました。
・最初合成写真は、どうやって作っているのかと思ったら、意外と簡単に作れるのをはじめて知りました。作ってみたいです。
・一番驚いたのは、コンピュータで合成写真ができることです。あと、よくテレビでみるリアルなのは、合成のもあることがわかりました。私も合成写真を作ってみたいと思いました。

 「合成写真」に圧倒的に興味を抱く感想であった。

2 テレビの合成映像の発表

「みんがテレビや写真などで見たことがある合成のものを発表しなさい。」と聞く。

・マトリックス  ・タイタニック ・ドラマで車とまわりの景色が別 ・CMで一人の人が何人にもなってでてくる

といったものが出てきた。

3 合成写真のよさと困る点を発表

「よい点は何ですか」「困る点は何ですか」と聞く。
■よい点  ・楽しむことができる  ・できない写真もできる  ・リアルな写真になる
■困る点  ・悪いことに使われることがある(人をだます)

4 合成方法の確認と製作計画

・3種類を確認。このうちできそうなのは、ノリとはさみを使う方法と確認。そのあと、一人一人が合成写真を作る計画をたてる。

・クモの巣にひっかかっている自分
・海の上を自分が歩いている
・ゴジラの横に自分がいる
・モー娘のメンバーに自分がなっている
・口を開いたぼくから、炎が出ている
・東京タワーの上に立っている

といったように発想をしていた。

5 感想発表

 「おもしろい」「次の時間が楽しみ」といったものばかりであった。

**************************************************************
★授業を終えて
 まずもって子供たちの反応に、嬉しい手応えを感じた。しかも、こちらが準備をしたのは、録画ビデオとワークシートだけである。このような授業の場合、資料の準備で大変なのであるが、価値のある番組ということで、子供たちにとってもインパクトが強かった。
 ただ、実際に今度合成写真を作る時に、自分の写真はいいとしても、背景の写真をどうやって入手するかが課題と感じた。教師が準備するのはわりと簡単にできそうだが、子供たちの力で準備するのが難しい。(本校は図書館の本も少なく、インターネットの接続もしていないので。)

★授業記録(2時間目)

1 「体験メディアABC」の出演者(あかねちゃん)が作成した合成写真をもとに話し合う
  「合成写真のよさは何ですか。」
  ・楽しませることができる ・現実ではない世界が作れる ・簡単にとりたい写真ができる(例・海外に行った写真) ・夢をかなえる
  →合成写真はこのように作り手の意図が表されたものであることを確認

2 作成計画を立てる
  ・作り方の確認(はさみとのりの方法)
  ・テーマを決め絵コンテに表す
   →図書館の本や自分の持っている写真をもとに考える

3 自分の写真をとる
  「体験メディアABC」の出演者(あかねちゃん)と同様にコンテに基づいたポーズで写真をとる(一人3枚ずつ)

 □子供たちが作ろうとしている合成写真例
  ・ミニモニのメンバーになっている自分
  ・松井選手を球場で応援している自分
  ・危険な崖で落ちそうになっている自分
  ・モアイ像を見ている自分
  ・溶岩に飲み込まれそうになっている自分

★NHK教育テレビ「体験メディアABC」を活用した
   メディア・リテラシーの授業「合成写真」 3・4時間目

■3~4時間目 (2時間連続)
□本時のねらい
・ 自分の計画に沿って合成写真を作り、その写真をもとにした簡単な話を作り、発表することができる。
・ 合成写真のよさを感じ取ると共に、合成写真が作成者の意図を反映したメディアであることを理解することができる。

□本時の活動
 1 本時の学習活動の確認をする
   ・合成写真を作ること(「体験メディアABC」を再度部分的に視聴し、合成の構成を考えさせる)
   ・タイトルをつけること
   ・写真をもとに簡単な話を作ること(その場面に「なりきった」もの)
   ・最終的には発表会をすること

 2 計画に基づいて合成写真作りをする
   ・タイトル、話まで終わったら発表の練習をさせる。

 3 発表会をする
   ・全員行いたいが時間不足の場合には早い子にする。他は、朝の会等で行う。
   ・友だちの作品に対する簡単な感想も発表させる。

 4 合成写真のよさと製作意図について話し合う
   ・合成写真を作った感想を発表させる。→感想から「よさ」を束ねる。
   ・製作者の意図が合成写真には表現されていることを、子供の作品例から理解させる。(時間があれば、「体験メディアABC」の北条時宗のシーンを視聴させ、製作意図を考えさせる。)
   ・テレビ番組の合成写真はどうあればよいかについても考えさせる。

 5 授業の感想を発表する

★「合成映像CMの秘密をさぐろう!」

 この授業は、「合成写真」の続きとして、「合成映像」について考えさせるために行ったものである

★授業のねらい  CMの分析を通して、合成映像他の効果について考え、CMに対する見方を深めることができる。

★本時の展開

1 子供たちに人気CMについて発表を聞く
 ・CM人気アンケート結果を発表する。合わせて、合成映像が使われているCMについて確認をする。
 ・そのCMについて、CM観察日記を書いている子の日記を紹介する。

2 二つのCMについて、分析をする
 ・合成映像だけではなく、その他の工夫について考えさせる。

★1本目のCM
  人気NO.1のドリンク剤のCM。小さい人がいて、サラリーマンの人と会話をするもの。シリーズ物となっている。
「思ったこと、気付いたことは何ですか。」
・どうしてあんなに小さくなるのか      ・どうやったら小さくなるのか不思議 
・なんで普通の人と小さい人を組み合わせているのだろう ・人を小さくするのはいい工夫
・だれが見ても合成映像ということがわかる ・みんなが見たくなるように工夫している
・商品の「〇〇〇〇・ドリンク」というのがおもしろい。

★2本目のCM
 同じくドリンク剤のCM。独特の音楽で有名サッカー選手が炎がついているボールをけるもの。
「思ったこと、気付いたことは何ですか。」
・なぜボールが燃えているのか       ・曲がとてもおもしろい
・コマーシャルの商品と関係がない    ・おりみたいなものをボールで破るのがおもしろい
・サッカーをなぜしているのか       ・ける人がマッチョでかっこいい

3 CMで合成映像等の工夫を使う効果について考える
 ・その商品のイメージについても考えさせたい。
 「合成映像だからできることは何ですか」
 「それはどんな効果がありますか」
 「これらはどんな感じの商品だと思いましたか」といった発問で深める。
 ちなみに、どちらも同じ種類の商品。なのに、こんなにCMのイメージが違う。そのことを子供たちは興味を持って発言していた。


4 CM制作者の意図について考える
 ・何のためにそのような効果を狙っているのか考えさせる。
 ・自分たちもターゲットにされていることも理解させたい。
「何のためにこんなコマーシャルを作っているのでしょうか」
・おもしろくて、みんなに噂されてできるだけ、多くの商品を買ってもらうため。
・みんなに注目してもらうため
・商品を広めるため  ・流行をつくるため

5 授業の感想を発表する
・合成映像は、私たちがひきつけられつい注目してしまうものばかりだなあと思いました。それに私たちを楽しませてくれる事も分かりました。
・合成映像は、商品を買ってもらうために作っていることがわかった。そしておもしろい。
・合成映像は不可能を可能にする。(商品購買対象として)ぼくたちをねらっていることもわかった。
・合成映像は商品がうれるようにという願いが込められいるんだなあと思ったし、同じのみものでもかっこいいし、おもしろいしいろいろ個性があるんだなあと思いました。

★二つの同じ商品で、合成映像の違い、イメージの違いを追究させるのは価値があるということを感じた授業であった。

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2016.08.16

ブログは不定期更新となります

このブログを訪問してくださり、ありがとうございます。

2004年の5月から始めたブログですが、2005年からほぼ毎日更新となりました。
その後、数日間休んだことが2回ほどありましたが、それを除くと11年以上毎日更新をしてきました。
ここ数年、このブログの在り方をどうしようかと考えてきました。
「実践」がなかなかできない中、社会科教育をメインとしたいという考えからブログタイトルを変えたり、今まの原稿をリバイバルという形で掲載したりして、毎日更新は続けてきました。

しかし、現在様々なメディア発信がされる中(自分もフェイスブックで発信をしています)、このまま続けてもマンネリ化が進むのではないかと考え、本体ホームページ(こちらは2000年から)がプロバイダーさんの都合により閉鎖されることになるのにあわせて、こちらのブログも9月を区切りに「不定期更新」とすることにしました。
(過去にも一度同じお知らせをしたのですが、結局数年間毎日更新となりました。)

これはブログを止めるということではなく、「更新回数を減らす」ということです。それが月何回になるかはわかりませんが、社会科教育関係の学び、エッセー、書籍やセミナー等の「お知らせ」をメインとして続けていきたいと思います。
また、しばらくは本体HPの原稿を掲載し続ける予定です。

よろしくお願いいたします。

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2016.08.15

社会科教育連載原稿

今年は社会科教育誌で、「スペシャリスト直伝!アクティブな社会科授業づくりの基礎基本 」を連載しています。社会科におけるアクティブ・ラーニングを自分なりに考え、発信していく年です。

9月号では、「学びを深める新たな学習問題を」というテーマで書かせていただきました。導入だけではなく、単元通して学習問題について考えるよい機会にもなりました。

なお、今月号の特集は「社会的な見方・考え方深める視点と授業づくり」です。自分のテーマの一つであるので、学ぶところが多いです。

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2016.08.14

HP移行原稿「室町文化」「ネグロス島」「ユニセフ」

★室町文化茶の湯体験(6年)

 日本の伝統文化を伝えることを大切と考えてはいるものの、学校では教える時間が限られている。
 そんな中でも、歴史での室町文化の体験は有り難い機会である。今の日本の生活様式に関わりのある部分が数多い。身近なところに教えてくださる先生はかならずいるはずである。あとは教師がちょっとした努力をするかどうか。
 私は茶の湯体験を6年生の子どもたちと一緒に行った。子供たちが学んだのはもちろんであるが、教師である私自身もいい体験をさせてもらった。その様子を学級通信から紹介をする。

学級通信 カルチェ・ラタン 第33号 6月25日

室町文化体験・茶の湯を習う 1

■ 高浜小学校に転勤して、校舎をぐるっと回った時に、多目的ホールの横に 畳の部屋があることに気付きました。しかも床の間つきです。
  それを見て、「いつかこの部屋で日本文化に触れる学習をしたいな」と思いました。幸い、我がクラスのSさんのおばあさんがお茶を教えている先生だということを聞きました。
  これは貴重な機会です。ぜひ、子供たちに室町文化の一つである「茶の湯体験ができる」と考えて、昨日行うことができました。

■ 茶の湯は、若干の子が習い事でしたことがあるものの、多くの子にとっては初めての経験です。私自身も初めての経験です。
  だから、子供たちも私もとても楽しみにしていました。朝の会の発表でも、「茶の湯をするのが初めてなので、とても楽しみです」「正座がつらそうです」「お菓子が楽しみです」といったように、茶の湯に関わる発表が続きました。

■ 始める前に、日本間に茶の湯の道具等のセットをしました。先生が掛け軸を持ってきてくださいました。
  「心静茶味香」と書かれています。この掛け軸の字をみただけでも、どんな気持ちでお茶を味わったらいいかわかるような気がしました。

■ いよいよ始まりです。先生から、お菓子のいただき方、お茶のいただき方をを教えていただいて、一人一人いただきました。子供たちの中で、Sさん、Tさんが実際にお茶を入れてくださいました。
  私が「なるほど・・・」と思ったことがあります。
  それは、いただく前に、お隣の人に「お先に、いただきます」と一声かけるというところです。これは「気配り」の文化とでも言うのでしょうか。日本の伝統文化のよさでもあると思います。
  一言で言えば、お茶をいただいた後に、「ありがとうございました。結構なお味でした。」と私が言った後に、男の子たちも同様に言いました。これには、先生もにっこりです。

■ 「気配り」という点は、もっともっとありました。たとえば、畳の縁を踏まないところ。お菓子を食べた後に、紙の角ではしを拭くところ。
  これらは、茶の湯だけの世界ではなく、日本の生活の中に根付いたよさでもあるんだなあとつくづく感じました。体験して、初めてわかったことです。

■ 終わった後で、その場で簡単な感想を聞きました。
  「おもったよりお茶が苦くなかったです。」(うす口だたようです。)
  「お菓子がとてもおいしかったです。」(その通りでした。)
  「足がとてもしびれました。」(私も立つ時はふらつきました。)
  子供たちにとってみれば、室町文化、日本の伝統文化というよりは、まずは体験したこと自体が価値あることだったのでしょう。
  これから、テレビや本等で茶の湯が出てきたときには、今までと反応が違うと思います。興味を持って見ることでしょうね。

 この時間に学んだ日本文化のよさ

■「茶の湯」という文化
■掛け軸の持つ意味
■気配りの言葉かけ、しぐさ

 改めてすばらしい体験をさせてもらったと感じた。

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★ネグロス島で活躍した日本人 ~古川外男氏~(6年)

 古川氏は、1971年にフィリピンのネグロス島に一家で自費で移る。慢性的な貧困の島に棚田を作り、二期作・三期作に成功する。さらに技術面を教えるだけではなく、フィリピン式と日本式を融合させた栽培管理システムを作る。
 苦難を乗り越え、国際協力への高い志を果たした古川氏。彼の生き方は、私は同じ日本人としての誇りを感じる。「国際協力のためにこんな先人がいたのだ」という思いである。

★授業の様子

1 フィリピン・ネグロス島の位置を確認。島と人々の様子を示した写真提示。
   →「自然が豊か。いい所。」という感想を子供たちは持った。

2 ネグロス島の説明。「砂糖の島」「慢性的な貧困」
   →1で出てきた子供たちの見方が変化する。
  発問 このような貧困の解決にはどんな方法がありますか。
    「お金・物を送る」「ボランティア」「その国に行って技術指導」

3 古川外男氏が一家でネグロス島に行った事実の紹介。
  資料を用いて紹介をする。
  発問 なぜ行こうと思ったのですか。

4 古川氏の農業での国際協力の説明。「棚田作り」「三期作」「安定した生産体制」。十三年間住み、地元の後継者にバトンタッチ。今も住民から慕われている。

  インターネットの写真を次々と見せる。
 発問 古川さんはネグロス島でどんな仕事をしたと言えますか。
  「人々を助けた」「一から村を作った」「島の未来を作った」

5 ネグロス島を去ったあとの古川氏の説明。インドネシア、フィジー等で指導。今、フィジーに古川外男記念日本語学校がある。
 →子供たちから、驚きの声がした。

★授業の感想
・世の中にはこんなすごい人がいるんだと思った。ぼくも自分にできることをしたい。
・このような外国の歴史に残る日本人がいることを初めて知った。

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★ ユニセフから世界を知る(6年・1998年の実践)

 世界のいろいろな子供たちのことを知ることによって、自分の生活を見直します。それは自分が有難い環境で育っていることの自覚にもなります。

■授業

 最初に「1日の40000人」板書する。
 「何の数字ですか」と聞く。前時の続きということで、「何からの貧困に関する数字」というのは子供たちはわかっている。
 しかし、見当がつかない。それでも、「一日に死ぬ子供の数?」という声が出てきた。「本当にそうだったら多すぎると思いませんか?」と切り返す。子供たちは、「うん、そうだ」と頷く。
 「でも、その通り。これは一日で世界で死ぬ子供の数なのです。宮古市で言うと7割の人が一日に死ぬことになります。」
 これには子供たちも驚きである。何せ一日にこれぐらい死ぬのである。さらに、日本の人口以上の1億3千万の子が家のない生活を送っていることも伝えた。
 「そのような人に対して手助けをしている団体があります。何ですか。」と聞いた。
 これはすぐに「ユニセフ」「ユネスコ」と出てきた。すぐにユニセフのマーク(このホームページを参照)を黒板に貼った。
 子供が抱っこされている地球が表現されていることを確認してから、子供たちに聞いた。

 「この大人は子供にどう話しかけているのでしょうか」
 ・がんばってほしい  ・生きていてよかったね  ・幸せに生きようね
 ・ごめんね  ・幸せになるんだよ

 子供たちは親の気持ちになって考えていた。
 ここで、ユニセフについて簡単に解説をする。

  「世界の子供のために」というのがユニセフのキャッチフレーズです。そのために全世界で活動をしています。特にアジア・アフリカの国でユニセフの活動は盛んです。実は日本も30年ぐらい前までユニセフから助けられていました。ミルクやお医者さんの治療用機械などを援助してもらいました。

 この後に、ポスター等でユニセフの活動を紹介した。子供たちはユニセフの活動の大まかな点を理解した。しかし、それだけでは「自分と関係ない」という意識になりがちである。そこで子供たちに次のように言った。
 
 これからビデオを見せます。「世界子供白書」というものです。この中に君たちと同じくらいの年のアジアの子供たちが出てきます。どんなことを思い、どんな生活をしているか考えながら見ましょう。

 ビデオはユニセフの運動をしている地元のスーパーから借りたものである。(発行元は記録していない。)次のような内容であった。

■10代前半の子供たちが、一日12時間働いて得られるお金はわずか55円。もちろん学校へは行けない。(インド)
■「学校に行きたい。知識や技能を身に付けるんだ。」と明るく語るバングラデシュの小学生。ふだんは貧困のため、就学できない。
■そのような子供たちに対してユニセフの具体的な援助・・・等々

 「自分たちと同世代の子供達」ということで、子供たちのビデオを見る目は真剣であった。ビデオが終わった時に「ウーン」という声が出たほどである。そして、改めて自分たちの置かれている環境を見つめ直した。

 「では、みんなにできることは何ですか」と聞いたら、すぐに「募金」とでてきた。
 「そうです。たとえば、君たちの100円で次のようなことができるのです。」と言って、下のような例を示した。

栄養障害による失明を防ぐビタミンAカプセル    11人分
肺炎やかぜの薬(抗生物質)     4びん
学校で教育を行うためのチョーク    55本
 この事実は子供たちにとってインパクトが強かった。なかには、「この学習は今まで1番説得力があった」と言う子もいたほどであった。

■感想
・今まで100円をじゃんじゃん使っていたけど、100円でビタミンざいが買えるなんて知らなかった。100円の使い道を変えようと思った。
・アジアの中で貧しい人たちは、小さくても働いていて大変だと思いました。私だったら、その中では生きられないないなあと思いました。

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2016.08.13

1週間後です「第5回有田和正継承セミナー」

第5回有田和正継承セミナーが一週間後に迫りました。
少しずつ準備を進めていて感じるのは、やはり有田和正先生の偉大さです。
それは社会科のみならず、私が講座を受け持つ学級経営でも同様です。
どれだけ多くのことを若手時代に学んだか…同時代に生きることができた幸せを感じます。
今回のセミナー、増席したのでまだ余裕があります。
申込みはこちらから。

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授業の名人」の一人であり、「教育界の巨星」と言われた有田和正先生が2014年5月にお亡くなりになりました。多くの教師が有田先生に学び、その背中を追ってきたことと思います。
今回は、有田実践・有田哲学の継承を目的とし、有田先生に長年学び続けてきた古川先生、佐藤先生からご講演をいただきます。有田先生と親交の深かった2名の先生からお話を聞ける貴重な機会です。有田先生との秘話なども聞けるかもしれません。
有田先生について大いに語り、先生の遺志を皆様で継承していきましょう。たくさんのご参加、お待ちしております。

【日時】 平成28年8月20日(土)11:00〜16:30

【会場】 教育同人社

【参加費】 一般3000円/学生2000円

【参加人数】 先着30名
【日程】
10:45〜11:00 受付
11:00〜11:15 開会行事
11:15〜12:00 第1講座 古川光弘先生「自由じゃないと教育は進化しない!有田社会科は 自由である」
12:00〜13:00 休憩
13:00~13:45 第2講座 佐藤正寿先生「有田先生の楽しい教室づくり」
13:55〜14:40 第3講座 古川光弘先生「有田検定~有田和正語録から学ぶ教師修業」
14:50〜15:35 第4講座 佐藤正寿先生「教師力を高める~有田先生の教材開発から学ぶ~」

15:35〜15:40 休憩&シェアタイム
15:40~16:25 対談型Q&A
16:25~16:30  閉会行事

【懇親会】
17:30より
会場近くにて
会費4000円程度

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2016.08.12

HP移行原稿「漁業サミットを開こう」「伝統工芸品は日本の誇り」

★漁業サミットを開こう(5年)

 水産業の学習のまとめとして「漁業サミット」を開いた。同時期に話題になっていた「九州・沖縄サミット」にひっかけたものです。その様子を学級通信3号の中から抜粋します。

■5年学級通信  夢工房・21  第66号より

 社会では漁業の学習のまとめに入っています。
 今回は、次のようにして、まとめをすることにしました。

  宮古の漁業について提案しよう。そして、漁業サミットを開こう。

 サミットという言葉を子供たちは「聞いたことがある」とのこと。やはり、「九州・沖縄サミット」という言葉がマスコミから流れてくるので、自然と耳に入るのでしょう。
 さて、どんな内容の提案にするか。最初は子供たちと話し合って、次の5種類に絞りました。

・宮古の漁業で、働く人をどのように増やしたらよいか。
・宮古のいろいろな商品をどのようにして広めたらいいのか。
・宮古の港町をどのようにしたらいいのか。
・宮古の環境を守って、魚を育てるにはどのようにしたらいいのか。
・宮古のイワガキの養殖をどのようにして広めたらいいのか。

 どれも興味のあるテーマです。それぞれのテーマで希望するものを選ばせて、アイデアの出し合いをさせました。

5年学級通信  夢工房・21 第69、70号  7月16、17日発行

    漁業サミット実況中継

 みなさん、こんばんは。こちらはサミットの会場になっている5年生教室です。
 間もなくここでサミットが開催されます。今回のテーマは、「宮古の漁業をいかに盛んにするか」です。5グループが提案をいたします。今、どのグループも発表の練習をしています。どのグループも「自分たちの発表を強くアピールしよう」とがんばっているようです。
 さあ、いよいよサミットの開催です。今回は、次のような次第です。

  1 はじめのことば
  2 基調提案
  3 意見交流
  4 議長から
  5 サミット宣言採択
  6 おわりのことば

 では、基調報告の部分を簡単にレポートしましょう。今回の提案はメンバーが現実的にできそうなものを一生懸命に考えたものです。

■「こんな港町にしよう」
・人が来る港町にするために、イベントをもっと開催する。
・光を海底に送る施設を作ろう。
・海中ステーションを作ろう。
・・・・・このグループの目玉は、科学技術の粋を集めたものを宮古港に集中させようとするものです。確かに第一次産業も技術の力で大きく変わることでしょう。それに対応した発表でした。

■いろいろな商品を売れるようにしよう
・商品を本、ビデオにして売る。
・インターネットにして流す。
・魚クッキー、魚ジュース、魚型携帯電話など魚にちなんだ商品を開発する。
・・・・・すでにいろいろな水産商品がありますが、「本、ビデオで売る」というアイデアが出てきました。商品を広めるためには、戦略が必要ですから、これは効果が出るかもしれません。

■「働く人を増やすにはこんな方法で」
・宮古の漁業に関するホームページを開く
・アルバイトをどんどん募集する
・宣伝を増やす。
・・・・宮古でも水産業に携わっている人がどんどん減っています。ホームページで全国から募集すれば、志のある人が来て働くことも考えられますね。現実的なアイデアです。

■「増やそう!おいしいイワガキ」
・東京に行って売る。
・インターネットでイワガキの情報を流す
・他にもいろいろと宣伝をする
・・・・・いいものは高くても売れるということを考えると、東京で売るのは価値があると思います。岩手にはそういう生産物が多くありますね。イワガキもそうなればいいですね。

■「魚彩王国・宮古市の魚を救え」
・グリーンマーク集めの運動をしよう
・宮古市のみんなからポスターを募集する
・少ない魚を増やすようにする。
 「森は海の恋人」の畠山さんに触発されて、山に苗木を植えることを提案していました。しかもグリーンマーク運動からスタートです。確かにこれならみんなでできそうです。
このサミットの手順は次の通りであった。

1 「サミット」という形の学習の目的(提案する)と方法について説明する。
2 提案すべき内容を出し合い、5つのテーマに絞る。
3 自分が行いたいテーマを決め、グループを決める。
4 提案内容を吟味する。(数多くアイデアを出し、3つに絞る)
5 提案内容を画用紙等に表現する。
6 途中で交流会を設けるものとして発表の練習をする。
7 漁業サミットを開く
  →この中でお互いのよさを認め、「サミット宣言」をまとめる。
8 感想を書く。

 提案を考え時に留意したのは単なる「夢物語」に終わらせてしまわないことである。あくまでも現実の宮古に即したものにすること。これがポイントである。
 子供たちは現実の宮古の漁業について真剣に考えることができた。

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■ 伝統工芸品は日本の誇り

 美しい日本の伝統工芸品。それらを改めて「日本のよさ」「日本の誇り」として実感させる授業。
 単元の最後のまとめので行う。

★1 (教科書や資料集で全国の伝統工芸品一覧を用いて)日本にはみんな学習した伝統工芸品の他にどんな種類のものがありますか。書きなさい。

      ・たんす  ・ふで  ・すずり  ・おわん  ・せんす  ・着物  ・仏だん
      ・刃物  ・人形 等 30種類以上出る。
      特徴のあるもの、珍しいものは資料で確認をする。

★2 全国にある伝統工芸品を見て、思ったこと、感じたことを発表しなさい。

    ・こんなにたくさんあるとは思わなかった。
    ・全国にあるので驚いた。
    ・自分たちの生活の中でいろいろあるものだと思った。

★3 全国の伝統工芸品がそれぞれ続いている理由は何でしょうか。
    
    ・日本人が残したいと願っている。
    ・日常生活に必要だから。
    ・すばらしいものだから、受け継がれている。
    ・日本のシンボルとなるように皆思っているから。
    ・技術がきちんと受け継がれているから。
    ・材料がずっととれるから。

★4 伝統工芸品がある生活で、いい点は何ですか。

   ・日本のことや作った人のことがわかる。
   ・昔の日本に暮らしている気分になる。
   ・高いものなので使い心地がいい。
   ・安心して使うことができる。
   ・こわれにくい。

★5 外国の人に「日本の伝統工芸品をお土産にするとしたら何がいいですか。」と聞かれました。君たちだったら、どこの何をおすすめしますか。理由も入れて紹介文を書きなさい。

  ・(例)わたしは、福岡県の博多人形をおすすめします。博多人形は、昔からの日本のふくの着物を着ています。着物は日本のシンボルですし、とても落ち着いていて、作った人の心がとてもよく伝わってきます。その人がどんな願いをこめて作ったのか、日本人のことがとてもよくわかりますよ。

 この授業のポイントは「日本全国に伝統工芸品が伝わっていること」「その理由」「伝統工芸品のある生活のよさ」を考えさせる点にある。最後の紹介文の課題を最初に提示して、その観点を考えて最後にまとめる展開も考えられる。

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2016.08.11

HP移行原稿「鞭牛和尚資料館を作ろう」「津波のことを伝えよう」

★ 鞭牛和尚資料館を作ろう(4年)

1 資料館作成で意欲化を図る
 社会科での「先人の開発」の学習。ここでは、郷土の先人の地域の開発に功のあった人物を追究していくものである。
 今回は、江戸時代に閉伊街道(今の国道106号線)を切り開いた鞭牛和尚を取り上げることにした。
 ただ、鞭牛和尚のことを資料から学ぶだけではおもしろくない。何とかして子供たちに興味を持たせたいと考えて、次のようにした。
 実際に多目的ホールを資料館にして、他学年の人に見てもらうことにした。このような意識があるとないでは、子供たちの気持ちもずいぶんと違う。

2 資料館のイメージの確認
 まずは「資料館」のイメージを確認した。「資料館にはどんなものがあるか」ということである。
 子供たちがすぐに思いついたのは、地元の「水産科学館」。他に行ったことがあるものとしては、「宮澤賢治記念館」が出てきた。私も自分が取材した新里村の「新里村民俗資料館」をビデオで紹介をした。ここには、実際に鞭牛和尚が使った道作りのための道具等も展示されており、子供たちにとって興味を示すものばかりだった。
 それらのイメージから資料館の内容を考えさせた。

3 資料館作り途中経過
 資料館作りに入る前に、当然子供たちは鞭牛和尚についてかなり学習を深めている。ある程度の知識や共感がなれけば、何を内容としていいかわからないからである。ここでは、それらを略す。
 さて、子供たちを5つのグループに分けた。鞭牛和尚に関わるキーワードから、次のようにした。

1 道作りグループ・・・道を作るときの苦労を紙芝居にまとめる
2 道ができた後のグループ・・・できた後の人々の生活の変化を紙芝居に。
3 道具グループ・・・・使った道具を再現して、劇化する。
4 石碑・像グループ・・・鞭牛にまつわる石碑等を画用紙に再現し解説する。
5 道がないころのくらしグループ・・・悲惨な生活ぶりを本にまとめる。


4 オープン前に厳しい交流会
 資料館オープンの前に子供たちに、各グループの交流会を、次のように言って、行った。

  今度の資料館での発表は、今までの発表とは違います。他の学年に見せるものです。「より分かりやすく伝える」発表にしてほしいと思います。そのために、他のチームの発表への要望をどんどん言いましょう。それが、「分かりやすく伝える」ために大切なことです。

 実際に交流会では、一つの班が終わるごとに次々と要望が出てきた。
・声が小さいので、もっと堂々と言った方がいい。
・簡単すぎる発表なので、もっと付け加えをした方がよい。
・これは間違いなので直してほしい。
といった具合である。
 この交流会で本番は見違えるような発表になった。

5 資料館オープン
 当日は休み時間のオープンとなった。(全校に見せるため)
 5年以外の学年70人のうち、半分ぐらいの子供たちが見学にいた。
 1~3年生の子供たちには一生懸命に学んだことを説明する。5・6年生の先輩方からはアドバイスをもらったり、自分たちが知らない鞭牛和尚のことを教えてもらった。
 「資料館にする」ということで、子供たちはより鞭牛和尚のことを深く学ぶことができたのである。

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★津波のことを伝えよう(4年)

1 災害の中での人間の尊さ
 昭和35年のチリ地震津波。この歴史は本地域にとって忘れられない。
 一瞬のうちに財産はもとより、時には生命さえも奪う津波。
 そのチリ地震津波によって本地域も壊滅的な被害を受けた。小学校校舎もブランコやすべり台校庭の遊具は流され、丸太が教室の壁を突き破り、机や椅子も荒れ放題という有様であった。
 この津波の歴史は、人々の努力によって語り継がれてきた。その恐ろしさ、悲惨さについてである。

 今回4年生の総合的な学習の一つとして津波を扱った。単に津波の恐ろしさだけではなく、津波が起こるメカニズム、自分たちにできる津波対策、チリ地震津波の時に助け合ったという人間の尊さ等に範囲を広げて学習をした。最後には「津波のことを伝えていく」活動を通して、まとめた。
 この中で私が一番重視したのが、津波被害の中での助け合いである。
 現代と違い、情報量もなくボランティアもシステム化していなった時代に助けあった人々。そうした人々の励ましによって、高浜は津波からの復興に立ちあがる。これはまさに「人間の誇り」「地域の誇り」である。

2 岩田アイさんへの聞き取り
 チリ地震津波の被害にあった岩田アイさん(学区在住)に、学習の一環として聞き取りを行った。
 事前に子供たちには、次のように言った。

  チリ地震津波の被害の様子はいろいろな記録に残っています。でも助け合った様子はあまり記録に残っていません。岩田さんにその点をたくさん質問してください。

 さっそく岩田さんに助け合いの様子を聞く。

 Q「中学生や高校生は、どんなふうに助けてくれたのですか」
 A「5~6人で一軒の家をそうじしてくれました。かべをふいたり、衣類を洗ったりしてくれました。」
 Q「どんな気持ちでしたか。」
 A「子供たちががんばるのを見て、私たちもがんばらなければと思いました。」
 Q「神父さんにも助けてもらったと作文に書いていましたが、どんな感じだったのですか。」
 A「神父さんはスイスから来た方で、スイスから多くの衣類を送ってくれました。その時代に岩手の片田舎に外国の物が届いたことに驚きました。」

 直接人から学ぶことはインパクトが強い。子供たちも次のような感想を持った。
・大ぜいの人々を助けてくれたしんぷさんや中学生の人の話にかんげきした。私も心のやさしい人になりたいです。
・いろいろな人に助けられて、その助けた人に会ってみたいと思いました。

3 見える日本人のよさ
 岩田さんの話には私も感動した。人間はここまで助け合えるんだということが深く感銘を受けた。
 この話を聞いた直後、偶然にテレビで関東大震災の時の様子を写したテレビ番組を見た。そこに映ったのは、大震災の直後にもかかわらず、パニックにならずに整然と並んで援助物資を受け取る大正時代の人々だった。その姿に、フィルムを回していた外国人も驚いたという。
 私たち日本人には、本質的のそのようなよさが伝わっているのかもしれない。

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2016.08.10

HP移行原稿「高浜のまちづくり」「岩手のよさ発見」

★提案・高浜のまちづくり(4年)

1 ねらい
 「まちづくり」という視点で改めて自分たちのふるさとを見直し、よりよいまちづくりをするというのがこの単元のねらいである。ふるさとの一員として自覚が増す点、対象が身近なので調べ活動が具体的にできる点がこの学習のよさである。(社会で・全8時間)

2 留意点
 ■まちづくりの視点の明確化
  まちづくりを空想的な夢物語風にしては意味がない。あくまでも現実の高浜というまちに立脚したものとする。
 ■提案のための情報蓄積
  まちづくりのための具体的な情報を子供たちに蓄積させることが大事である。そうしてこそ、初めて子供たちからもアイデアが出てくる。
 ■よりよい発信方法の吟味
  提案内容に即した方法を考えさせる。よりよい発信方法が効果を生む。

3 学習の実際
 ■まちづくりに至るまで
  単元の導入で、写真やビデオから「まちづくり」という概念を教える。
  「君たちの住む高浜でも、こうなったらいいと思うことはありませんか」と聞くと、すぐに「公園にもっと遊具があればいい」「車の音が大きいので静かなまちになるといい」といった反応が出てきた。そして、「みんなもすてきな高浜のまちづくりを提案しましょう」と最終的な目標を示す。
 ■まずは調査
  まずは実地調査である。
  今まで意識しなかった学区も「まちづくり」という視点でみると、いろいろと不便な点が見えてくる。「ここは歩きにくい」「ここは夜になると暗くて不便」といった発見をしていった。
  また、身近なまちづくりの工夫の情報を蓄積することが大切である。宮古駅前の中心地に行き、目の不自由な人のための設備、デザイン化された街灯等を見学してきた。
 特に、車椅子体験・アイマスク体験をした直後だったので、人にやさしいまちづくりに子供たちは興味を示した。
 ■いよいよ提案
  そしていよいよ「まちづくり」の提案である。子供たちから出たアイデアは次の5つである。
  ・安全なまちづくり
  ・美しいまちづくり
  ・便利なまちづくり
  ・楽しいまちづくり
  ・人にやさしいまちづくり
  それぞれの計画に応じて、「ここの歩道は段差をなくす」「バス停のほかにも、あちこちに休むためのベンチを置く」といったアイデアをそれぞれのグループで10個以上出した。
  発信方法も、カードにアイデアのイラストを書いて自作の画用紙地図に貼ったグループ、画用紙に木々や街灯の実物模型を作って、立体的になるようにしたグループと工夫が見られた。
  発表会が盛り上がったのは言うまでもない。「友だちのアイデアを見て、自分たちの住む高浜が本当にすてきなまちになるといいと思いました。」という感想からわかるように、子供たちのふるさとに対する意識は高まったのである。

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★岩手のよさ発見!(4年)

 4年生の社会科で岩手県の様子を学習をする。「岩手県という地域のよさ」を学ぶの恰好の教材である。
 次のような手順で学習を行った。

  1 岩手県で有名なものを自分たちで出し合う。
  2 家の人に聞いたり、自分で調べて有名なものをさらに出し合う。
  3 それぞれがどの市町村に関わりがかるか確認をする。
  4 自分が興味をもった市町村を決める。
  5 市町村へパンフレット請求の手紙を書いたり、本で調べたりする。
  6 その市町村のよさを新聞にまとめる。
  7 その新聞を発表し、岩手県の各市町村のよさを理解する。

 この中で子供たちが一番学んだことは、5の各市町村への資料請求だった。
 まずもって、資料請求の手紙を書いたことなどないと言う子がほとんどだった。
 そこで、手紙の簡単な様式を教え、それを自分なりに変えて書くことにした。たとえば次のようにである。

  〇〇村役場の皆さんへ
  ぼくは、宮古市立高浜小学校の4年生です。
  社会で岩手県のいろいろな市町村のことを勉強することになりました。ぼくは、〇〇村をえらびました。わけは、〇〇が有名だからです。
 そこで、村のパンフレットがあったら送ってください。どうぞよろしくお願いします。
                                     〇〇  〇〇

 経験のない子供たちにとっては、これも一苦労だった。むろん教師である私の手紙も同封をした。
 インターネットであれば手軽に各市町村のホームページを調べることができる。しかし、残念ながらこの学習の時点では、接続されていなかった。
 が、このことが子供たちの力をつける点、意欲を喚起する点では幸いであった。
 早いところでは3日後、最終的には10日間ですべての市町村からパンフレットが届いた。それもカラフルだったり、手紙が添えられていたり、絵葉書があったり・・・と子供たちが感動するものばかりであった。
 さっそく子供たちに次のように投げかけた。

  この資料を使って、その市町村のいい点をPRする新聞を作りましょう

 子供たちは当然やる気満々である。
 模造紙半分ぐらいに子供たちは新聞を作成した。大人向けのパンフレットだけにわからない言葉もある。その点は辞書で調べて、何とかクリアー。実際にいただいたパンフレットを切り貼りして、カラフル〇〇村新聞の出来あがりである。
 それぞれ新聞の発表をして、各市町村のよさについて理解することができたのである。

 それと同時に、各市町村の担当の方々のご好意も実感することができた。これは、手紙だったからできたことである。ホームページを見るのだったら、味わえなかったことである。礼状も国語の時間を利用して出した。これもほとんどの子が初めてで、実にいい学習ができたと思っている。

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2016.08.09

HP移行原稿「宮古の民話を伝えよう」

2000年8月に自分の実践を記録化しようとHPを立ち上げた。
2004年の5月にこのブログをはじめたので4年近く、HPに記録化したことになる。
プロバイダーから連絡があり、そのHPも9月末をもって閉鎖となる。

4年間のみといえどもせっかく毎日1本以上は記録化してきたので、土日を中心に記録を転載してきた。しかし、このペースだと9月末日までに、残したい記録を全て保存できないことに気づいた。
そこで、土日はもちろん、平日も自分の実践記録として一部掲載していく。また、土日の分は予約投稿をして、9月末日が過ぎても更新ができるようにしておこうと考えた。皆さま、よろしくお願いいたします。

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★ 宮古の民話を伝えよう(4年)

 国語で「吉四六」という昔話の学習がある。その学習の発展として、地域に伝わる民話を扱うことにした。ふるさと学習の一環である。
 最初に子供たちだけの手で調べさせようとした。しかし、お家の人に聞いても学校の図書館で調べてもなかなか見つからなかった。私自身インターネットで調べても、岩手県のものはあるが宮古のものはなかった。
 結局、「調べさせる」にではなく、私が市立図書館から借りた本を読み聞かせることにした。

★扱った民話
 「赤前は、まだ昼前」(江戸時代に赤前にクジラがきた時のエピソード)
 「乞食坊主とサケ川」(津軽石川の名前の由来となった話)
  『陸中海岸の民話・今野静一著)より』

 この話を読みきかせたら、子供たちは「おもしろい」「初めて知った」と大いに興味を示した。
 さっそく子供たちに次のように投げかけた。

  今度は君たちが語り部となって、この民話を工夫して伝えていくようにし ましょう。班ごとに方法を考えて練習しましょう。

 準備と練習に2時間をかけて発表会である。発表会の様子について、学級通信から紹介をする。

■宮古の民話発表会(学級通信「トゥモロウ」64号より)

■ぼくたちの町にいっぱい民話があるなんて、初めて知りました。ぼくたちの町がわかってすごいと思いました。
■自分がすんでいるところの民話ができて、民話のことがよくわかりました。
■民話の勉強をして、昔のことや津軽石とかまだ名前もついていなころのことがいろいろとわかりました。こういう風に自分たちのすんでいたところの勉強ができて楽しかったです。

 これは土曜日に行った「宮古の民話発表会」の子供たちの感想です。
 自分たちのふるさと宮古に伝わる民話。それを自分たちなりに発表して、このような感想を持ちました。自分たちのふるさとに愛着を持ったことがわかると思います。

 私自身も宮古の民話は初めてです。読んでいて、なかなかおもしろい話と感じました。
 さて、子供たちの民話発表会は、この民話をいろいろな方法で自分たちなりに工夫して発表するというものです。班ごとの発表でした。

★1班
 「乞食坊主とサケ川」をペープサ―ト劇で行いました。事前にシナリオを書く場合には、思いっきりカットしてと話していたのですが、その通りこの班は大胆にカットしました。だから、すっきりとした劇になりました。

★2班
 「赤前は昼前」を劇で行いました。選んだ民話も方法も一つの班だけで、みんなの注目をあびていました。劇では、クジラをまねていたところが大受けでした。(以下、中略)

 感想に見られるように子供たちは、宮古の民話に興味を持ったようです。いろいろな学習で郷土宮古に関心をもっともっと持つようになればいいなあと思っています。

 この発表会で子供たちの民話に対する興味は高まったし、さらに郷土の民話の理解にもつながった。
 発表は学級内だけでしたが、より目的意識を持たせるには「〇年生に宮古の民話を伝えよう」というようにすれば、よかったと思う。場合によっては全校の集会で行ってもよかったであろう。

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2016.08.08

東北青年塾10周年記念集会

「東北青年塾10周年記念集会」が開催されます。
2007年の発足に関わった者の一人として応援しています。
私自身は先約があり、不参加となりますが、東北青年塾は自分の東北での原点です。これからも応援を続けます。
以下、具体的な内容です。HPはこちら

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今回で東北青年塾は第52回を迎えると共に、満10周年を迎えます。
 10周年を記念する集会は東北青年塾らしく塾生のアウトプットとして様々な講座を持ちます。
 今回のテーマは「学び続けて10年!今,語ろう,私たちの学級作り」です。東北青年塾10周年記念集会として、塾生自らが日々の実践の中で子ども達と確かな手応えがを感じた「授業成立の基礎技術」を実践発表や講座等でご紹介します。東北各県のベテラン教師から若手教師まで個性豊かな塾生面々が皆さんをお待ちしています。

 当日はお友達や同僚の先生、教育実習生の大学生を誘って気軽にお越しください。明日からの学級経営や学習指導に役立つヒントを是非持ち帰っていただきたいと思います。

※東北青年塾について 
 2007年9月8日、第1回東北青年塾はこの地仙台で開催されました。当時の設立の目的には以下の文章が書かれてありました。

「子どもとのコミュニケーションがうまくいっていない気がする」「授業になると休み時間で見られるような明るい表情が消えて子どもたちは沈んだ表情になる」「授業中のよどんだ空気をどうにかしたい」そんなことを感じたことはありませんか。一人で考え込むよりも同じような悩みを抱えている人たちが共に集まり学び合うことで、明日の授業を考えることができるのではないかと思います。学校に行くことが楽しくなるのではないかと思います。
そんな考えのもと、東北地域に住む若手(だと思っている)教員、講師、教員志望の学生と一緒に「授業成立の基礎技術」の集積、開発、習得を行う「東北青年塾」を立ち上げました。

 
【日時】9月17日(土) 9:30~17:00
【場所】仙台市戦災復興記念館
   (仙台市青葉区大町二丁目12番1号 )
【参加費】500円
【定員】30名
【申込】こちら→https://ssl.kokucheese.com/event/entry/418144/
【タイムスケジュール】
9:30 開会
9:35~10:45 講座1 テーマ「自主性を育む取り組み」
 発表① 塾生発表    
 発表② 鈴木優太(宮城)
 対談者 髙橋 章(山形)
<休憩 10分>
10:55~11:40 潤さんプレゼンツ「よくあるこの場面,あなたならどうする?」
 対談③ 中嶋卓郎(宮城)・鈴木優太(宮城)・國井あつ子(宮城)・和賀健(宮城)
 ファシリテーター 佐々木潤(宮城)
<昼食・休憩>
13:00~14:10 講座2 テーマ「協同する力を育む取り組み」 
 発表④ 塾生発表    
 発表⑤ 阿部隆幸(新潟)
 対談者 岩渕恭子(宮城)
<休憩 10分>
14:20~15:20 講座3 テーマ「自治を作る話し合い活動」
 講座⑥ 中嶋卓郎(宮城) 
 講座⑦ 武田直樹(宮城) 
 対談(鼎談)⑧
 対談者 増川秀一(山形)
<休憩 10分>
15:30~16:30 オムニバス講座「私が続けていること」
 発表⑨+質疑応答 堀多佳子(宮城)
 発表⑩+質疑応答 菊池真人(岩手)
 発表⑪+質疑応答 實森公喜(宮城)
 発表⑫+質疑応答 西塔枝里(山形)
 発表⑬+質疑応答 友永明子(宮城)

16:30~16:55 本日の振り返り⑭ 
 ファシリテーター 青年塾生

17:00 閉会

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2016.08.07

私の教材開発物語第33回

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第33回

    りんごとみかんの交流学習ABC その2

■ 動機付けは

 交流学習の場合、動機付けが一つのポイントとなる。子どもたちから「交流したい」「伝えたい」という思いをいかに引き出すかということである。
 今回は導入の授業(5年・社会)を次のように行った。

1 地域で有名なくだものを発表させる(一番は隣市の江刺りんご)
2 「江刺りんご」について知っていることを発表する(食べたことはあるが知っていることは少ない)
3 どの程度日本で有名なのか考える(最高で「3番ぐらい」、ほとんど10番以下)
4 「日本一の江刺りんご」のホームページ(以下HP)を紹介する(子どもたちは驚く。「味が日本一」と聞いて「そういうことか・・・」)
5 江刺りんご出荷の値段を知る(ご祝儀相場の一個7000円に驚く)
6 なぜ江刺のりんご作りが盛んになったのか、味がいいのか考える(土壌、気候、りんご農家の工夫、技術等と予想→HPで簡単に確かめる)
7 これからの学習の見通しを知る(「江刺りんごを追究する」→「追究したことをビデオにまとめる」→「他の小学校に見てもらう(交流する)」
8 江刺りんごの何を追究したいか考える(「どのような土や気候が合っていたのか」「働いている人の工夫や苦労」「おいしさの秘密」等10個出る)

 ここまでで子どもたちはHP等の資料から、「江刺りんごはかなり有名なんだ」ということを改めて知った。同時に今後の学習の強烈な動機付けになった。この点が今回の交流学習のポイントである。自分たちに追究したい明確な課題がなければ「誰かに学んだことを伝えたい」という気持ちは起こらない。

 さて、交流相手校を決める時のこと。教師間では決まっているのだが、子どもたちはもちろん知らない。そこで次のように持っていった。
「ビデオを見せる相手だけど、「日本一のりんご」に匹敵する「日本一の〇〇(果物)」の市町村の小学校がいいよね。りんごと言ったら、みんなは何か思い浮かぶ?」
 子どもたちからは、すぐに「みかん」という反応が出てくる。
「『日本一のみかん』をキーワードにインターネットで検索してみようね。(実際に検索して、画面をスクリーンに示す。)『三ケ日みかん』が出てきたね。地図帳で確認してみよう。静岡県にあるね。」
 ここで、子どもたちから「(中川小学校のある)細江町のすぐ近くだよ」という声が出てきた。おこめの交流の時に印をつけていたのである。
「じゃあ、中川小学校に『みかんでも交流しましょう』と声をかけましょう。」と言うと歓声があがった。「これから楽しい学習が始まる」・・・そんなことを考えたのだろう。

■ 実物の威力

 この動機付けの時に大きな役割を果したのが実物である。
 実は子どもたちは導入の時間に江刺りんごも三ケ日みかんも食べたのである。「江刺りんごの味が日本一」というのを知った時点で、「やっぱり実際に食べなくちゃね」ということでさっそく子どもたちと試食。「おいしい」という声が自然に出てくる。また、「三ケ日みかん」とホームページで検索した時点で、「実はここにあります」とこれまた試食。「本当に甘い」「やっぱりおいしい」というつぶやきが次々と出てきた。この試食が「交流したい」という意欲を高めたのは間違いない。実物の威力である。

 なお、交流が始まった時点で改めてお互いに、「江刺りんご」「三ケ日みかん」を交換した。もちろん子どもたちは大喜び。ある子は日記に次のように書いてきた。
「学校で三ケ日みかんを食べた時、実はなーんだ、ふつうのみかんじゃんとしか思わなかった。しかし、家で前からあったみかんと食べ比べてみるとふつうのみかんは最初甘くて、あとは味がうすいんだけど、三ケ日みかんを食
べてみると、ふつうのみかんよりはるかに甘く、甘い味があとまでずっと続きました。うまい、うまい。あっという間に二つのみかんを食べてしまいました。ははあ~、おそれいりました。」

■ ビデオ作りでお互い刺激し合う関係に

 今回の交流学習では、交流校どうしが「刺激し合う関係になる」ということを目指した。交流そのものだけを目的にするのなら、「お互いに仲良くなりましょう」で終わる可能性がある。今回は学習のテーマが決まっている。お互いがそのテーマに向けて学習をしていくのなら、相手は仲良しだけではなく学習の競い相手ともなる。
 そこで、学習をより焦点化するためにビデオ作りでは次のような打ち合わせを、中川小学校の先生とメールで行った。

・ビデオ作りでは6つの同じテーマを決める。お互いに6班があるので、一つの班が一つのテーマを2~3分程度のビデオにする。
・ビデオを作る過程でその経過を報告し合う。
・ビデオができたら交換し、お互いの作品から学ぶ。

 6つのテーマは子どもたちから出たものをもとに、「選果場」「種類と味(栄養と料理)」「歴史」「売るための工夫」「りんご農家と技術」「土地や気候」にした。これらのテーマについて、まずくわしく調べる。調べた内容をもとに、どのような内容・工夫でビデオにするか話し合い、実際のビデオ制作を行った。
 その過程でお互いに電子掲示板で情報の交流を行った。たとえば、キャッチコピー(例:「選果場で大活躍!光センサーって何?」「工夫は何?すばらしい歴史だ、わい化の木」)や制作状況を班の代表が伝えた。たとえば、ある班は次のように発信している。

・今日りんごCM作りの計画を立てました。シナリオ作りは大変だったけど、いいCMにするので楽しみにしていてください。ぼくたちは、実際に食べてそのりんごの蜜を見せます。演技をするのが楽しみです。

 この情報を交流相手校の同じテーマの班の子どもたちが見る。「学級」と「学級」の交流だったのが、「班」と「班」とのつながりになり、ぐっと身近になる。そして、お互いに「よし、自分たちもがんばろう」という気になる。まさに「刺激し合う関係」である。

■ 「はじめての共同学習」は重宝なツール

 お互いの情報交換で利用した電子掲示板は、前回も紹介をした「はじめての共同学習」である。掲示板の他に、チャット、アンケート、クイズ、予定表等、交流学習初心者には十分な機能である。
 今回の交流では掲示板のみの使用であったが、実に重宝であった。たとえば、ビデオ作りの過程の情報交換の他に、実際にビデオを送ってから班ごとに「自分たちの班の見どころ」を掲示板に書き込む。それはそのまま、ビデオを見る際の視点になった。また、画像を添付できるのでみかん・りんごの実物交流の時には、みかんをいただいて喜びいっぱいの画像を送ることができた。

 実は授業だけではない。私自身にとっても重宝だった。子どもたちの書き込んだ内容は、そのまま担任に自動的にメールで送られてくる仕組みになっている。その文章で子どもたちの学びを評価したり、学級通信にコピーして二次活用をしたりした。子どもたちも学級通信に掲載された自分の文章を読んで喜び、交流学習のことが話題になった家庭がいくつもあった。

■ 子どもたちの記憶に残る学習になっていくように

 中川小学校送られたビデオを見て感想を書き込む授業を、校内で参観した先生がいた。その先生から翌日手紙をいただいた。
 授業を見ながら、自分自身が20年以上前に経験した小学校2年生の時の交流学習を思い出したというのである。その頃は2年生でも社会科があり、農村部だった自分たちの地域の生活を調べ模造紙にまとめ、同じ岩手県内の沿岸部の小学校に送った。沿岸の小学校から同じように海の生活についてまとめたものが届いて、とても喜んだという内容であった。

 この手紙を読んで、交流学習の凄さを感じた。20年以上前の、しかも小学校2年生の時の学習をしっかりと覚えているのである。子どもたちが大人になっても記憶に残っている学習は、そんなにない。その貴重な学習に交流学習はなり得るのだと感じた。
 今回のりんごとみかんの交流学習のことも、子どもたちはずっと覚えているに違いないと手紙を読んでふと思った。

■ 教師自身が一番楽しんだ

 今回の交流学習で子どもたちは、最終的に「りんごとみかん」の共通性について考えることができた。それぞれの地域の気候の特色に応じて果物を作っていること、農家の人々の苦労や喜びは果物の種類が違っていても同じであること等について深く学ぶことができた。
 これらは、自分の地域の特色であるりんごについて調べただけでは、見えない部分である。みかんという違う地域の違う果物についての情報をくわしく得たからできたことである。その点では、「交流学習だからこそできた学び」である。

 そして、今回の交流学習で、子どもたちの意欲的かつ真剣な学習ぶりや掲示板を通しての喜ぶ様子を見て、毎日新鮮な気持ちで楽しく授業を進めることができた。
 最終的に交流学習を一番楽しんだのは私かもしれない。

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2016.08.06

私の教材開発物語第32回

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第32回(2003年)

    りんごとみかんの交流学習ABC その1
 
■ 「りんごとみかん」で本格的にスタートした交流学習

 交流校のみかん作りについてのビデオを興味津々で見る子どもたち。見ている中で自分の伝えたいことが出てくる。さっそくパソコンルームで交流学習用の掲示板に書き込む。その掲示板を見てみると、相手校からもりんご作りビデオへのコメントがある。自分たちのビデオに対するコメントに、子どもたちの顔も笑顔になる
 先日の交流学習の授業の一コマである。

 今月から私の学級(5年生)は、静岡県の細江町立中川小学校5年生と交流学習を行っている。テーマはりんごとみかんであるということである。どちらも有名な産地がすぐそばにある。水沢市の隣には「江刺りんご」が、細江町の隣には「三ケ日みかん」がある。インターネットで「日本一のりんご」「日本一のみかん」で検索すると、どちらも宣伝として関連ホームページに書かれている。
 私は今まで、本格的な交流学習の経験はほとんどない。他地域の学校と手紙や作品の交流をしたことはあるが、それはとても「交流」と言えるものではない。単なる「交換」に過ぎない。今回の交流学習は(といっても2週間の取り組みであるが)、初めての経験なだけにその魅力をストレートに感じることができた。
 今回はその交流学習の前段部分についての紹介である。

■ まずは教師同士がつながる・交流する

 今回の交流学習で大切だったのは、交流相手である中川小学校の5年生の担任と知り合いであったということである。学校放送教育番組「おこめ」のプロジェクトでご一緒させていただき、4校で共同学習に取り組んでいる。
 教師同士が連絡を密にとれる環境ができていることが、交流学習の前提である。10年近く前、広島県の小学校と子どもたちの作品を交流したことがあった。子どもたちのやりとりだけで、担任はその作品をまとめる発送係。ほんの数回で交流学習(というより作品交換イベント)は終わってしまった。そこには学習の目的意識も見通しもなかった。教師同士が打ち合わせをしていないのだから当然である。

 先方の先生とは交流学習を始める前に実際にお会いして打ち合わせを行った。お互いの学校の環境やスケジュールを確認しながら、できること・できないことを考える。それだけではなく、研究者・交流学習の実践者を交えたメーリングリストで交流学習の展開の方法について意見交流をさせていただいた。「何をテーマにするか」「動機づけをどのようにするか」「交流ツールは何にするか」等、交流学習のスタートの前に今回の学習の骨子ができた。(むろんこのメーリングリストでは実践中も意見交流をしていただいた。)

 この教師同士の交流を通じて、私自身は「このメーリングリスト自体が一つの学校みたいだな」と思った。同学年の二つの学級の担任が今後の学習について打ち合わせをする。それについて周囲の経験者がアドバイスをする。通常の学校であれば職員室で行われるが、それがネット上に移ったような感じである。
 ここでの学びは自分の視野を広げるのに貴重であった。

■ 目的が明らかになり刺激しあえてこそ、交流も意義がある

 何をテーマにするかが交流学習のポイントの一つになると思う。今回はその点では明確であった。社会の学習の一つとして、「りんごとみかん」をテーマにお互いに調べたことを交流し合い、そこから新しい学びをするというものである。
 このようなテーマが明確になってのメリットは、交流校同士の子どもたちが「刺激し合える関係になる」という点である。交流そのものを目的にするのなら、「お互いに仲良くなりましょう」で終わる可能性がある。
 テーマを決め、お互いがそのテーマに向けて学習をしていくのなら、相手は仲良しだけではなく、学習の競い相手ともなる。
 現に今回のみかん・りんごビデオ作りの過程では、子どもたちから「いいビデオを作ります。中川小学校の皆さんもビデオ作りをがんばってください」「ぜひ見てください。」と言った書き込みが出されていた。
 同じ学年、同じ学習に取り組むということで子どもたちも相手校を意識していることがよくわかる。

■ やはり便利・ITツール

 交流のための方法は様々ある。物や作品の交流はもちろん、テレビ会議、ビデオレター、ネット掲示板等。どれも効果的に活用できる方法である。
 今回、よく活用したのは「はじめての共同学習」というサイトである。

 このサイトの掲示板に子どもたちに書き込みをさせて交流するのである。物を交換したときのお礼、学習の進行状況、お互いのビデオレターの感想と時間を見つけては書き込みをした。相手にすぐに自分たちの思いや考えを伝えることができるという点で便利なツールである。

 この掲示板には画像が添付できるのであるが、相手校の写真を見て私の学級の子どもたちが驚いていた。「なんで12月なのに半袖でいるんだ・・?」。
 見た日は雪が降っていた日。送られてきたりんごを食べる写真には、半袖でいる子が半分ぐらい。改めて、静岡と岩手の気候の違いを実感したようであった。

 この「はじめての共同学習」では、その他にもクイズやアンケートの機能がある。たくさんある機能のほんの一部しか使っていないが、活用のしがいのあるサイトであることは間違いない。

 このサイトの活用や具体的な交流学習の様子については次回で。

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2016.08.05

授業深掘りセミナーの授業分析

6月に行われた授業深掘りセミナーでの「森林を守る人々」の授業について、大西先生が分析してくださいました。
こちらです。
いつものことですが、私自身が意図しているところを見抜き、的確に言語化してくださるところに脱帽です。
まさに授業者が得する批評です。
たとえば、一つの発問について、次のように書いています。

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続いて、「どのようなことが起きているか、どんなことを思ったか」を話し合わせます。この問いの組み合わせは面白いと思います。「どのようなことが起きているか」はシカの捕獲数が増えていることを根拠に考え(予想)させる発問です。一方、「どんなことを思ったか」は、気持ちを問うものです。根拠を必要としないものなので、答えやすい発問です。しかし、「どうしてそう思ったの?」とその理由を問えば必ず資料と何らかの関係のある言葉が出くるはずです。この発問を付け加えることで、資料をなかなか読み取れない子どもも参加しやすくなりますし、理由に焦点化して考えを深めていくこともできます。何気ない発問に見えますが、奥深さを感じました。全員を参加させることを意識しているからの発問のように思いました。

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確かに私の意図の通りですが、私自身このように明確に表現できません。その点で、本当に有難い批評です。

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2016.08.04

10年前を思い出した

今年度は市の教育研究会で道徳部会に所属している。
かつては社会部会オンリーだったが、管理職としてこちらに来てからは、図工(これは県大会があったため)、国語(これも県大会があったため)、特別支援(これは全国大会があったため)というように、5年続けて大会絡みで所属先を選んでいた(というより自動的に決定。)
今年は大会関係はないので、「久しぶりに道徳を学ぼう」と考えて、道徳部会に入った。11名の小規模部会だ。それ故に会長となった。

これは自分にとっては有難いこと。それというのも事務局と一緒に企画ができるからである。特に2回目は一日研修であるから、工夫のしがいもある。
その2回目が昨日だった。講師として県の道徳教育研究会の事務局の方を講師として招いた。10年前地元の社会科教育研究会で一緒に企画を進めていた先生だ。
すばらしい内容、そして工夫された演習であった。参加された皆さんも満足度が高く、「ぜひまた」と話すほどだった。

思い出せば、10年前の企画も有田先生を招いて佐藤学級の公開授業をしたり、模擬授業3連発をしたり、さらに最後は有田先生に飛び込み授業もしていただいた。
私自身が事務局をしてもよかったが、彼がしっかりとしていたので全て任せることができた。こういう時は、参加者も多い。そんな10年前を思い出した。

ちなみに今の社会研究会の事務局も同様だ。私からバトンタッチして2年目。今日が夏のセミナーだった。
私も講師役で登壇したが、何よりも実践発表が2本あったのが嬉しい。
今日は32名の参加。反応も前向きでまさに「ホーム」のセミナーとなった。
こういう地道な取り組みが社会科への取り組みの裾野を広くするのだと思う。

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2016.08.03

フィールドワーク

春日井市の研修会には前日のフィールドワークがあった。
小牧城は昨年度、一昨年度も話題になっていたのにもかかわらず、近くですら行ったことがなかったが、今回さっそく行かせていただいた。高さは八十数メートル。歩いても10分ほどだ。
いざお城に行ってみると四方が平野ではっきりと見える。
信長が見た風景に思いを馳せた。

イチローの記念館に行ったら、小学校時代の陸上大会100mの賞状があった。
町で3位。記録も驚くほどでもなかった。
そういえば日ハム大谷選手も、担任した子たちと同じ陸上記録会に出ていたと思うが、「すごい」というような記憶はなし。
二人とも中学校・高校でがんばったのだろうと思うし、ある意味で小学生の励みにもなりそうなエピソードだ。

フィールドワークで行ったまちはやはり親近感がグッと涌く。今回も同様だった。

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2016.08.02

春日井市4度目の夏

縁があり、愛知県春日井市で4度目の登壇をさせていただくことになった。

今までは半日研修ばかりだったが、4回目ということで今回は子どもたち対象の飛び込み授業をさせていただいた。模擬授業と違い、子どもたち対象の飛び込み授業は、それなりに時間もかかる。かつて有田先生に飛び込み授業をした時に言われた言葉を思い出した。
今回は出校日に合わせて、6年生の子どもたちが対象。いつものパターンなので、担任が授業を終えた次の時間。1学期の最後の授業は単元の最後の時間なので、必然的に単元の1時間目となった。

考えてみたら、自分が担任時代に単元の1時間目の授業を行ったことは1度しかない。しかもそれは教員になって2年目のことだ。ある程度社会科で提案をするようになってからは、1度もない。そういう意味で、昨年の徳島、秋田に続いて3度目の単元導入の時間。
今回も自分なりに、工夫をしたつもりだ。1回1回経るたびに自分の蓄積になっていることを感じる。
午後は授業づくりと学び続けることについてプレゼン。聞き手上手な皆さんのおかげで4回目もいい夏になった。

すぐに移動して空港から飛行機で18:30には花巻についているはずだったが、何と突然の雷雨に欠航。
それほど飛行機に乗っているわけではないのに、欠航にあたってしまうとは…。名古屋空港から名古屋駅に送っていただき(途中渋滞もありヒヤヒヤ)、何とか最終の新幹線で帰ることができた。昨年は熊本往復でひやひやしたが、こういうトラブルは年に1度はあるものだと実感した。

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2016.08.01

7月終了

7月終了である。今月も本当にあっという間の1ケ月。

〇帰宅がますます…

転勤してから3ケ月がたつので、そろそろ帰宅時刻も一定時間に固定化しているはず…と願っていたが、逆にこの1ケ月はふだんの帰宅時刻よりさらに遅くなった。学期末の事務処理、生徒指導関係のことが大きい。本当に毎日があっという間。時間の貴重さを感じた1ケ月だった。

〇原稿と講師役

そんな中で、本の原稿は一時ストップ。講師役が本格化するので、そのために時間を割く。熊本教師塾きらりと、春日井市教員研修会。3年目と4年目。今までと同じネタは少ししか使えず、まさに自分に学びが反映する場となる。そのために時間をかなり費やす。費やしたものは結果的に自分のものとなった。

〇大学院ゼミ

6月に続いて大学院ゼミがあった。インターバルが短いものの、これがあるから研究も進むのが正直なところ。修士論文までまだまだと思っていたが、実は8月に入ると締切まで半年となる。悠長なことは言ってられない。今まで以上のがんばりが必要である。

〇体力・体調

あれこれ取り組んでいるので、体調管理にはかなり留意している。一番は睡眠時間の確保。しかし、このごろは、早すぎる時間に目が覚めてそのまま…ということもある。また、体力の衰えは日々感じるところ。これからよりよく生きるためにこの体力・体調問題は本格的に考えなければいけない。

〇インプットできず…

体力・体調だけではない。インプットの不調も反省事項。これ以上自分の時間が増えるとは思われない。それを前提にインプットしないと…。

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