【HP移行原稿】学校公開研究推進Q&A1
平成10年度~13年度まで在任した宮古市立高浜小学校では、ずっと研究主任を担当していた。一番の大きな行
事は平成11年度の市指定の学校公開であった。
国語の説明文を対象としたものであった。その時に、研究紀要、指導案の他に学校公開用の資料集を発行した。これは「Q&A」形式で研究紀要で書ききれなかった部分をまとめたものである。
その中に「研究推進」について書いたものがいくつかあった。当時のままここに掲載をする。
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★Q1 研究推進のために心がけたことは何ですか
★Aのポイント 1 まずは実践ありきという姿勢
2 研究目的と研究方法の明確化
3 充実した授業研究会
1 まずは実践ーここから研究は進んでいく
「まずは授業実践」-これが本校研究推進の中心的な姿勢です。お互いの授業を磨き合うことによって、授業の指導技能が高まります。それによって子供たちもよりよい方向に変わります。そして、それが結果的に研究を推進することになります。
そのことが共通理解できたら、実践交流のためのシステム作りが必要です。本校では研究指定を受けた平成10年度から、「研究授業の回数を増やす」「音読交流会・視写交流会・ノート交流会を設定する」というように、具体的に実践交流をシステム化してきました。
実践は何も成功ばかりではありませんでした。いや、むしろ最初の段階では、指導案とずれた失敗の方が多かった気がします。しかし、そのような予想外の展開も「なぜ失敗したか」を追究することにより、研究の深まりを促しました。
「まずは実践」という共通姿勢があれば、研究は深まるものだと感じました。
2 研究目的と研究方法を明確化する
研究目的と研究方法の明確化も研究推進に不可欠です。
現在の研究主題で始めた頃は、「見通しと一人学びが研究の柱なのだが、具体的に何をどうすべきかわからない」という点がありました。
それらの解明として、子供たちに力をつけることが研究の主たる目的になりました。そして、平成11年度に公開授業研究会を行うことは、研究への意識を強くする役割を果たしました。
そして、この間に次のような研究サイクルが作られていきました。研究方法の確立です。
①指導案立案(必要に応じて研究部が援助)
→②事前研究会
→③研究授業
→④全体研究会
→⑤研究通信等によるまとめ
→⑥研究成果の日常化(随時、研究部から情報提示)
3 充実した研究会にするために
「今日の研究会は勉強になった」・・・そんな授業研究会にするためにささやかながら工夫をしました。
授業記録の即時印刷(事実に基づいた授業研究)、参観カードの導入(話し合いを深めるために)等です。充実した研究会は、教師の研究意欲の高揚につながります。
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★ Q2「学校の研究システムの特徴は何ですか?」
★Aのポイント 1 公開まで一人2回の研究授業
2 事前研で説明文の全教材文の理解を深める
3 ミニ冊子を手がかりに共通理解
1 今年度、公開まで一人2回の研究授業
「実践をくぐりぬけた理論を」という点を大切にしている本校にとって、研究授業はその象徴みたいなものです。平成11年度は公開までの半年の間に一人2回の研究授業を行いました。
といっても、現実的に研究日を短期間にひんぱんに設けるわけにはいきません。そこで、次のようなシステムで一人2回の研究授業を行いました。
A 全体研(一人一回) B 部分研(一人一回)
・事前研究会を全員で行う ・事前研究会はなし
・指導案は本校の様式に基づいて ・指導案は「本時の指導」のみ
・全員参観 ・参観は自由(部分参観も可)
・講師を招聘 ・講師はなし
・放課後に研究会 ・研究会はなし(参観カードで代用)
・教材は教科書1学期単元 ・教材は自由
全体研はどの学校でも行われているものと思われます。事前に指導案検討会を行い、講師を招いての研究会です。となると、本当の特徴といえるのはBの部分研でしょう。ご覧の通り、「ゆるやかな研究授業」です。
しかし、実際に部分研を行ってみると、ゆるやかであるがゆえに弾力的な運営ができました。たとえば、次のような形で行うことができました。
■例1 全体研の次時を行う。ただし、助言者から課題として出た部分を指導案に意図的に挿入して行う。これにより、全体研の課題点の検証をすぐに行うことができる。
■例2 2時間1サイクルの授業といったように、チャレンジ的な研究授業もできる。
■例3 他社の教科書教材を意図的に選択して活用することにより、教師のねらいに沿った授業を行うことが可能である。
部分研の参観は自由ということでしたが、結果的に大部分の先生方は(部分的にでも)参観しました。
この部分研というシステムは、他教科での授業でも応用ができます。身軽な研究授業としておすすめです。
2 事前研究会のメリットあれこれ
昨年度の高浜小学校も一人、2~3回の説明文の研究授業をしました。そして、その研究授業のための事前研究会も行いました。合計12回です。時間は1時間以内、研究授業の前の週に行うことがほとんどでした。正直な話、全体研究会の他に事前研究会を行うことは、日程的に大変でした。
しかし、その大変さ以上にメリットの方が多かったのです。
事前研究会の目的の第一は、指導案検討です。その検討の過程で次のようなメリットを得ることができます。
(1) 教材分析力の向上
指導案は教材分析の反映といえます。学習課題、重要語句の扱い、学習内容の軽重のつけ方等教材分析の深さによって変わってきます。それを学び合うことによって、個々の教材分析力が向上しました。
(2) 学年ごとの系統性の理解
全学年の1・2学期の全説明文を扱うので、指導内容、語句の扱いといった学年ごとの系統性を理解することができました。
(3) 次年度への蓄積
全学年の説明文を検討することは、翌年にどの学年になっても前年度の知識を生かすことができます。また、他学年の検討についても同様です。検討会の成果が蓄積されるわけです。このようなメリットを考えれば、日程的に大変だった事前研究会も大きな成果をもたらしたと言えます。
3 ミニ冊子発行で研究の共通理解
研究冊子といえば、公開時に発行する研究紀要や年度末に発行する「研究のまとめ」が一般的です。
本校では研究指定を受けた平成10年の6月と9月にミニ冊子を発行しました。
6月発行のものは「研究の手引き」(A判24ページ)、9月発行のものは「説明文学習ヒント集」(A4判20ページ)です。
どちらも研究部が校内研究をよりよく充実したものにできるようにと作成したものです。これらのミニ冊子は、研究会の時に「共通理解しておくこと」として度々活用されました。
そして年度末には、これらの冊子に授業記録、成果と課題等を加えた「研究のまとめ」(A4判111ページ)を発行しました。この冊子は今年度の研究会で常に持参して、活用されています。
これらのことから、実際の研究会で活用される冊子が重要だと考えます。本校の研究にとって年度途中に発行したミニ冊子は、そういう点で意義ありました。
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