【HP移行原稿】ふるさとの人から学ぼう2
★ 岩田さんから話を聞く計画を立てよう
4時間目。調べてわかったことを発表する。それぞれの発表から、子供たちの津波に関する情報が蓄積されていく。
一番子供たちが興味を示したのが、「エピソードについて」である。数多くのドラマに子供たちは共感したのである。
A男が、「助け合った様子を想像すると『すごいな』と思う。実際に話を聞いてみたい。」と感想で言った。
『みんなもそう思う?』「うん、聞きたい、聞きたい!」
自然に「ゲストティーチャーを呼びたい」という要望が出てきた。
ゲストティーチャーには、子供たちが参考にした冊子にエピソードを書かれていた岩田アイさんを招くことにした。
招くのはいいが、問題はゲストティーチャーからどうお話を引き出すかである。次のように投げかけた。
テレビでトーク番組というのがあります。ゲストから、司会者がいろいろなお話を聞くというものです(「ああ、わかる」という声)。今回は班ごとにトーク番組形式でやってみましょう。
事前にすべきことがいくつもある。次のように子供たちと確認をする。
・役割分担(司会、質問者、カメラマン、記録等)をする
・話題の中心テーマと質問を考える
・ゲストを迎える机配置を考える
・リハーサルをする……等
この方法は効果的であった。テレビ番組にあるのでイメージ化できている。また、一回調べ学習をしているので班の中心テーマや質問がすぐに浮かぶ。だから、リハーサルも活発なものとなった。
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★岩田さんから学ぼう
■当日の形
1 岩田さんの紹介・代表あいさつ・授業についての説明(5分)
2 Aグループ・トークタイム「岩田さんと津波」(10分)
3 Bグループ・トークタイム「チリ地震津波の様子」(10分)
4 Cグループ・トークタイム「津波後のエピソード」(10分)
5 自分たちの「学び」の発表(8分)
6 感謝の言葉(2分)
■各グループの様子
Aグループは「岩田さんと津波」がメインテーマである。出会ったばかりで子供たちも緊張気味である。岩田さんを中心に5人の子が囲む形でトークタイムがスタート。他の子供たちは「会場視聴者」という形で、自分の席でメモをとる。 さっそく子供たちは次々と質問して行く。
・岩田さんの出身は?
・小さいころ、どんな子供だったか?
・小さいころ、津波についてどんな話をされてきたか?
・大人になってから、どんな仕事についたか?
このグループは「岩田さんはどんな方なのか」ということも知りたいという希望もあった。津波とは関係のない質問も多く出てくる。「みなさんと同じで、小さいころは元気に遊ぶ子でした。今とちがってお手玉や竹馬といったものですが…。」
ゲストティーチャーの小さい頃のエピソードを聞くうちに、子供たちの親近感もわいてくる。アドリブの質問や笑いも出てくる。
トーク番組形式のよさで、リラックスをした出会いとなった。
■B・Cグループの様子
B、Cグループのテーマは、「チリ地震津波の様子」「津波後のエピソード」である。子供たちが調べ学習を行い、まとめている内容である。さらに、子供たちは質問事項をグループで吟味をしている。『自分たちが調べたことをもとにした質問をしなさい。それがわかるような聞き方にしなさい。』と私も事前に指示をした。
Q「本(地元自治会発行記念誌)に、信じられないような奇跡もおこり、流されていた人も助かったということが書かれていました。どんなことだったのですか。」
A『学校のわきに家が流されていきました。家の屋根にいた4人が、学校の2階の窓ガラスめがけて飛び移ったのですよ。その後、すぐに家は崩れて流れていきました。4人は助かりました。見ていた私たちも大歓声です。人間というのはいざという時に大きな力を出すんですね。』
Q「地域の中学生・高校生に修理を手伝ってもらったり、全国の人から配給されたりして、どんなことを思ったのですか。」
A『本当に助かりました。今の高浜があるのは、この皆さんのおかげだと思っています。そして、いつか自分たちも恩返しをしなければという気持ちでいっぱいでした。』
調べたことをさらに詳しく引き出す質問、冊子には書かれていない気持ちを引き出す質問、知らなかった事実を引き出す質問等、価値のある質問が続いた。
岩田さんも子供の質問に触発され、「そうね……」「そう、そう……」とたくさんの内容を話してくださった。「皆さんから、たくさんのことを思い出させてもらいました」と最後に述べたほどである。
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