かつての勤務校が工場に
9年前に県北の小さな学校に赴任した。
前任校から200km近く離れた、児童数32名の学校だった。前任校が800名を超えていたので、その違いには最初は戸惑った。管理職になったということもあったからかもしれない。
しかし、赴任してみて、自然環境の豊かさ、地域の人々の温かさ、そして子どもたちの素直さ・勤勉さが日々感じられた。学校の裏には牧場があり、近くを通るたびにその匂いが癒しになった。
校舎も小さかったが、実におしゃれだった。ガラスをふんだんに取り入れて、ホールには鮮やかな光が差し込んでいた。職員室は壁がわずかで、子どもたちがよく見えた。
4年前に統合で閉校になり、その式に参列した時には、多くの方々が閉校を惜しんだ。地域が教育振興運動が盛んだっただけにそのシンボルがなくなるから…ということもあっただろう。
その学校のニュースを久しぶりに聞いた。「野菜工場に生まれ変わる」というものである。こちら。
最初は野菜工場か…。もっと別の使い道はなかったのかな…とも思ったが、中心地から15kmも離れた山間部の施設だ。体育館は使われるであろうが、校舎部分は活用されにくかったのであろう。
確かに本市でも統合した学校はいくつもあるが、鍵がかけられてそのままというのがほとんどだ。このように工場として活用されるのであるが、逆に入るチャンスもありそうだ。壊されるということもないであろう。
その点では、校舎にとっては幸せなのであろう。
そして、自分にとっても校舎が残っている限り、あの3年間の思い出も鮮明に甦ってきそうな気がする。
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