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August 2017

2017.08.31

8月終了。

例年講師役でいくつかの登壇がある夏。今年も熊本をはじめ,地元岩手を含めて5回登壇し,充実した夏となった。

○講師役で学びを深める

 先月末から始まった講師役は貴重だった。昨年度と同じ地での講師役が3ケ所。新しい地が2ケ所。今回は今までの自分の内容をベースにした。ただし,全く同じでは意味がないので,新しい内容も必ず組み入れた。その点で、自分の幅も広がった。さらに、参加者の感想から自分が励まされる思いをした。「自分の使命にはこんなこともあった」ということを痛感した。

○夏休みも通常業務を進める

 長期休業中の執務といえども全く暦通り。講師役(これは休暇を取得している)や出張以外毎日出勤し、次への仕事を少しずつ進めていたことで2学期の始まりは落ち着いて始められている。

○小さな原稿もいくつか

 講師関係の合間をぬっての小さな原稿をいくつか執筆。登壇のプレゼン作りと並行してがんばった方であろう。9月以降も原稿はいくつかあるし,本の校正も始まるであろう。がんばらないと。

〇研究を充実させる

 今月は自分の研究についても多くの文献を読んだ月だった。自分に必要なのは,基礎力を高めること。そのために文献読みは不可欠。「そうだったのか」と知ることも多く,今までの自分の不勉強さを改めて感じた。

○2学期には…

 2学期が始まり2週間近くたった。夏休み中に比べて、当たり前だが一気に仕事が押し寄せてきている感じである。9月はすべきことを決めている。この勢いを続けることができるとよいと思っている。

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2017.08.28

やはり「子どもは風の子」(H21)

 平成21年の原稿です。

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 暖冬と言われた今年でも本校の子どもたちは雪があることの幸せを満喫した。学校の裏に牧場があり、そこが臨時の「ミニスキー場」になる。むろんリフトなどないから、自力で登って滑り降りる。1年生の子どもたちもだいぶ上達し、本番のスキー教室ではかなり上手に滑ることができた。

 こんな調子であるから、休み時間も子どもたちは元気に雪遊びをする・・・と思っていたら、これが違っていた。
というのも、冬休みに校庭が簡単に入れないくらいの雪で埋まるのである。一番多い時には、鉄棒まであと10cmというところまで迫っていた。雪が深すぎて子どもたちは遊びにくいのである。

 そこで、「何とか冬でも元気に活動させたい」と保健の担当者が考えた。出てきた企画は、保健委員会主催の「雪像作り」であった。
 5人ぐらいのチームを作り、雪像コンテストをするのだ。製作は休み時間のみである。果たしてどうなるか・・・と思ったら、これが大ヒットだった。

 休み時間、子どもたちは勢いよく校庭に出る。雪を踏み固めたり、スコップで運んだりする。けっこうな重労働だ。滑り台を作っているチームは作業の途中で楽しそうに遊んでいる。それも結構。
 わずか20分ぐらいの製作活動でも汗だくになる。子どもたちは、かまくら、巨大ケーキ、お城、かまくら等の製作に一生懸命に取り組んだ。発表会は大変盛り上がった。
 むろん「冬でも外で活動する」というねらいも達成できた。

 今回の取り組みで感じたのは、やはり「子どもは風の子」だということだ。子どもたちが外で活動する工夫を仕掛けることの大切さを感じた。
 今年の大成功で来年もこの活動は続くであろう。今度の冬が楽しみである。

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2017.08.27

休み時間後で落ち着かない時に、どのように授業するか?

Q:休み時間の後の授業では子どもたちが落ち着きません。
 どのようにしたらいいでしょうか。

A:休み時間で楽しく思いっきり遊んだ後、すぐに学習に切り替えられない子もいます。
 教室に入ってくるのが遅れたり、入ってもざわざわしていたりしていると、「遅い!いつまで遊んでいるんだ!」「静かにしなさい!もう授業は始まっているのです!」と注意したくなるでしょう。

 その気持ちをグッと我慢をして、その時間の開始と同時に授業に入りましょう。
 ただし、落ち着かない子どもたちを一気に惹きつける工夫が必要です。
 子どもたちが興味をもつ資料を提示したり、学習ゲームをしたりして集中させます。
 フラッシュカードや音読のように「声に出す活動」は、休み時間後の方が元気な声が出る場合も多いものです。
 このように、工夫した導入で教師のペースに引き込んでいくことがポイントです。

 「今日の授業はそういう工夫ができない」という場合には、「目も口も閉じましょう」と指示をして黙想させてみるのも1つの方法です。
 ざわざわしていた学級がシーンと静かになったところで、「さあ、始めるよ」と言って笑顔で授業を開始します。

 また、当たり前のことですが、教師自身が授業の始めを守らなくてはいけません。
 チャイムが鳴ってから職員室から出ていくようでは、授業の始まりには間に合いません。
 「先生はいつも始まりには来ていない」と思われると、子どもたちも「ちょっとぐらい遅れても大丈夫」と考えます。
 教師の行動がそういう子を作っているのです。
 隙を作ってはいけません。

 もちろん時間通りに授業を終えることも大切です。
 休み時間に食い込むと集中力も落ちます。
 そして何よりも子どもたちは時間に正確な教師を好みます。

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2017.08.21

まさに地域の文化活動だった(H21)

平成21年に書いた原稿です。

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 「教育振興運動」は岩手独自のものである。学校、家庭、住民等が総ぐるみで、地域の教育課題の解決に自主的に取り組む運動である。本地区でも昭和40年代から読書活動を地域で行ってきた。

 その伝統は受け継がれ、今も各地区の子ども会で親による読み聞かせが行われている。ただ以前ほどの取り組みはしていない。時代の変化もあるだろう。

 そこで、12月の教育振興会地区懇談会で、「かつての地域での読書活動について語っていただこう」という趣旨でゲストを迎えてフリートークを行った。
 ゲストは60代の女性が3人。30代の時に地域の読書活動の中心的存在だった方々である。驚いたのは、30年前の地域の読書会の実践である。
 定期的に公民館に子どもたちを集め、読み聞かせをした後に話し合いをする。当時の読書文集にもそのやりとりが具体的に掲載されている。教師がやっていたのではなく、それを地域の父母が熱心に取り組んでいたのだ。それだけではない。親子読書に大人同士の読書会まで実践されていた。
  読書活動にかける一人一人の熱い思いが、その読書文集にほとばしっていた。
「様々な読書会で、本当にたくさんのことを学んだ」
「読書は私の一生の財産になった」
とゲストは話していた。

 「子どものために」と始まった活動が、いつの間にか自分たちの学びになっている。
 まさに地域の文化活動の理想例がここにあったのである。
 今もその伝統が脈々と続いているのは、その実践した皆さんがきちんと地域に素地を作ってくださったおかげだとわかった。同時に教頭として、この伝統を継承していくことの大切さを自覚した。

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2017.08.20

打ち合わせの連絡事項を学級の指導に生かすには?

Q:朝の打ち合わせでは指導・連絡事項が多く、それを子どもたちに伝えたり、指導したりするだけで時間がかかります。
  また、朝から注意が多くなると学級の雰囲気も暗くなります。
  どのようにしたらいいでしょうか。

A:確かに、「今日の昼休みに広報委員会は児童会室に集合させてください」「落とし物に記名がありません。書かせてください」といった連絡事項や指導事項が打ち合わせでは多いですね。
 「伝えるだけで精一杯」という日もあるでしょう。
 ここで大事なのは、それらを「担任の立場」で考えることです。
 
 まず、連絡事項は確実にメモして伝えましょう。
 そのために、「該当者」「時間」「連絡内容」はしっかりと記録します。
 特に子どもたちの集合や使用禁止等の連絡は、子どもたちが「聞いていません」ということにならないようにします。
 付箋紙に書いて口頭で伝え、さらにその付箋紙を学級内の連絡ボード(出入り口に設置すると効果的)に貼っておくと、子どもたちが確認する時に便利です。

 指導が必要な事項については、軽重を考えます。
 緊急ではなく簡単な話で済みそうなものは、給食の時間等にまとめて話すのも1つの方法です。
 「これは重要」と思ったものは、指導のしかたを工夫します。
 「体育館の使用割当を守らず一年生にボールがぶつかって泣いた→一年生になって教師が演技。
 気持ちを考えさせる」というように、打ち合わせの時に閃いたら即メモをします。
 単に注意だけではなく具体的な指導をすることが大切です。
 ただし、時間がかかりますから朝の会等では一つに絞ります。
 
 なお、私は打ち合わせでメモをした用紙は持ち歩くようにしています。
 確認ができるし、思いついたことを追加で書き込みこともできます。
 また解決事項は線で消します。
 リストが消されていくことで達成感を味わうことができます。

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2017.08.17

夏休み終了!

今日で夏休みが終了。
岩手の夏休みは遅く始まり、早く終わる。
今年も一気に駆け抜けた夏休みだった。
8/11~15は主に在宅で仕事をしたが,それ以外は休みなく走り続けた感じ。
これは自分にとっては最適なペース。いったん休んでしまうと、充電ではなく「放電」になりダラダラ…というパターンもかつてはあった。

この夏休みは、自分の仕事の上から大きく3つに分かれた。

○第1週
 夏季休業最初に不可欠な事務仕事や水泳記録会。週末には4度目の熊本教師塾。一気に過ぎていく。

○第2週。2つの講師役を行った。週末はゼミ合宿に参加させていただいた。すべてよき出会いとなった。

○第3週。地味な通常業務。これはこれで大切なこと。11~15日までは在宅がメイン(職場には短時間で2度行く)。これからの研究について考えたり,多くの文献読み。

そして、昨日と今日は登校のための準備。明日は子どもたちも登校。新たな気持ちで取り組みを再開しよう。

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2017.08.14

学校を愛する皆さんに感謝(H20)

平成20年当時の勤務校についての原稿です。

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 勤務校の地域の皆さんは学校に対して大変協力的であり、感謝することもしばしばである。先月もそのことを強く感じた出来事があった。

 地域の老人クラブ、子どもたちの祖父母が子どもたちと一緒に草取りをする「勤労奉仕作業」という行事が、本校にはある。地域のお年寄りの皆さんが「おらが町の学校のために」と、花壇等の学校周辺の草取り作業を行う。暑い日に二時間あまりの作業。決して楽ではない。
「皆さん大丈夫かな・・・。無理されなければいいが・・・」と思っていた。
 ところが実際に作業が始まると全くの杞憂だった。

・作業の一時間も前に学校に来て、「私は時間があるから」と言って、早めに草取りを始めたおばあさん。
・子どもたちと会話をしながら、「毎日陸上練習をがんばっているなんてすごいね」とに励ましの言葉をかけていたおばあさん。
・にこにこしながら、遠くの場所に何度も一輪車で草を捨てに行くおじいさん。
・退院して体調も十分ではないのに、「作業はできなくても、励ますことはできる」と学校に来てくださった老人クラブの会長さん。
 
 本当にお一人お一人が「学校のためなら」と一生懸命に草取りをしてくださった。しかも、草取りの手際も抜群である。担当の先生が、「『草取りオリンピック』の金メダルです!」と話したほどである。

 終了後は、校舎内のホールで子どもたちがお菓子とお茶を振る舞う。さらに、担任の先生のアイデアで、急遽リコーダー演奏と歌を行った。お年寄りの皆さんも熱心に聴いてくださった。特に「ふるさと」の演奏の時には「兎追いし・・・」と思わず口ずさむ方もいた。
 その姿を見て、「皆さん、本当に学校と子どもたちを愛しているんだなあ。本当にいい地域だ。」とつくづく思った。このような地域の中で育つ子どもたちは幸せである。

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2017.08.13

「朝の会」の運営のこつは?

Q:「朝の会」がいつも決まり切った内容でワンパターンになりがちです。
どのようにしたらいいでしょうか。

A:基本的に朝の会には次の3つの機能があります。

①管理的機能・・・出欠・健康観察・提出物確認・事務連絡等
②指導的機能・・・挨拶・歌・1分間スピーチ・話し合い等
③自主活動的機能・・・係の連絡及び活動・ミニイベント・自主提案等

 ベースになるのは管理的機能です。
 子どもたちの健康観察は重要ですし、連絡事項をおろそかにはできません。
 その上で指導的機能と自主活動的機能を、学級の実態と教師の願いをもとに充実させることが大事です。
 私はそれぞれの機能にキーワードをもって取り組みました。

 管理的機能のキーワードは「一工夫かつ効率的に」です。
 たとえば、出欠確認や健康観察で、単に名前を呼ぶだけではなく、「いい返事!」というように全員に一言かけるだけでも子どもとの距離が縮まります。
 毎日は無理でも週に1回行うだけでも違うものです。
 また、家庭学習やハンカチ調べの点検活動は実態に合った目標を決め、期間限定にしてて行うと、マンネリになりません。

 指導的機能のキーワードは「一点集中で伸ばす」ということです。
 たとえば、「読書好きになってほしい」というのであれば、「本の紹介」をプログラムに入れ数人が紹介します。
 話す力を伸ばした時には、「1分間スピーチ」を交代でさせます。
 他にも群読・歌・ことわざ紹介等が考えられます。
 ポイントは、教師が事前のサポートをすることです。任せっきりでは効果も薄くなります。

 自主的活動機能では「係活動の活性化」がキーワードです。
 2~3分でできるゲーム係やクイズ係によるミニイベントや、実際に各係が話し合う時間にしてもいいです。
 新しい提案が出てくるものです。

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2017.08.12

「社会科教育」9月号

明治図書「社会科教育」9月号に「「10の視点」で授業が変わる!新しい公民授業モデル 小学校 〈グローバル化する世界と日本の役割〉国際協調の考え方を育成する」の原稿が掲載されました。こちらです。

この原稿は正直なところ苦しみました。「新しい授業モデル」を提案するためには,先行文献にあたり,思考する作業が必要でしたが,限られた時間の中で厳しかったことを思い出します。

何とか形にして出しましたが,原稿を書くことや講師役の準備も以前ほど時間がかけられなくなってきたことをひしひしと感じています。

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2017.08.11

「山の日」にちなんで

 「山の日」について書いた原稿です。

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 山の日の趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことです。
 八月十一日という日にちに特別な由来があるわけではありません。
当初は盆休みと連続させやすい利点があるとしてお盆前の八月十二日を祝日とする案でしたが、その日はかつて大きな飛行機事故があった日だったので、その前日の八月十一日となりました。

 ただ、全国各地には「ぎふ山の日」(岐阜県)や「えひめ山の日」(愛媛県)というように独自の「山の日」があります。それらは、「八」や「一一」の数字にちなんだ月や日を使っていることが多いです。それは「八」が山の形に見えるため、「一一」は木が立ち並ぶ様子に見えるからです。
その点では八月十一日も全く縁のない日とは言えません。

 さて、日本の面積で山の占める割合は七割ぐらいです。世界の平均森林率が約三〇パーセントですから、日本は世界の中でも森林大国と言えます。
  山の数は二万五千分の一の地形図に載っているものは一万六千以上もあります。みんなの住んでいるところから見える山もきっとあることでしょう。

 一番高い山はご存じ富士山です。標高三七七六メートルです。日本には三千メートルを越える山々が二一あります。夏を中心に多くの登山者が頂上を目指します。日本の登山人口(年一回以上登山した人口)は二〇一二年には八六〇万人で、最近では女性や中高年に人気があります。

  では、一番低い山はどれぐらいあるのでしょうか。二万五千分の一の地形図に名前と高さが載っているものの中では、何と三メートルの日和山(宮城県仙台市)があります。これなら皆さんでもすぐに登山ができますね。

 日本では昔から人々が山と共に生きてきました。山は里山とよばれ、薪や山菜をとったり、土を利用したりして、手入れをされてきました。また、「山崩れといった災害を防ぐ」「水をたくわえ、生き物のすみかになる」「木材を生み出す」「空気をきれいにする」というように森林の果たす役割は大きいものなのです。

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2017.08.10

学び続けるのは若手もベテランも同じ

岩手の夏休みは短い。本校は23日間である。
お盆以外は毎日出勤か講師役,研修で出かけていたので,学期中と同じであっという間に過ぎていく。
その講師役もこの夏は5ケ所。これは例年並みであり,増えたら校務に差し支えるのでちょうどよい回数とここ数年思っている。すでに4ケ所が終わり,あとはお盆あけに一つである。

さて,講座の合間に休み時間が10分~15分ぐらいがある。
担当者からは「控室へ」とご案内されるのであるが,基本的に会場や教室にそのままいるようにしている。次の準備もあるからだが,参加者との会話等を大切にしたいと思っているからである。
これは自分が若手だった時に,講師の先生にご挨拶や質問等を時々していて大変有難かったことが記憶にあるからだ。

今回も例によって休み時間に待機していると,20代の先生からご挨拶を受けた。社会科の研究授業があるということで,学びにきたとのこと。続いて私と同世代ぐらいと思われるベテランの先生から講座で紹介した本のことを質問された。購入して学びたいとのこと。

短い時間にお二人に対応して,自分の役割を改めて考えた。若手だけではなく,ベテランも学び続けている。講師役の時にはその皆さんの意欲に応えるような内容・構成をしっかりと準備しないといけないのである。自分としては毎回そのつもりで準備しているが,今回改めて思った。

そういえば2年前に県外の研修会で講師を務めた時に,最前列に年配の先生がおり,熱心に受講されていた。担当者にお聞きしたら,その年に定年退職予定という方だった。残り数ケ月でも学びを止めたら,それは子どもたちのためにならない。そういう意志をもった先生だったと思う。自分も同じでありたい。

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2017.08.07

小中併設のよさ・地域のよさを感じた運動会(H20)

 ファイルを整理していたら,管理職になって書き始めた原稿が見つかった。エッセーではあるが,記録にしておきたいと考え,定期的に紹介していく。平成20年の原稿から。

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 今年度から教頭職を拝命し、異動となった。緑豊かな地にある小中併設の全校四十四名の小規模校である。その併設校のよさを、五月十七日の運動会でさっそく感じることができた。

 本校では、メインの応援合戦を「スペシャル」と称して、本格的な劇と歌等のパフォーマンスを入れて全員で行う。紅組、白組の二組対抗で、一つの団は二十二人。一学年2~3人だ。中学生一人一人はまさに貴重である。リーダーとして内容を企画し、小学生の全員に合った場面を考え、指導する。小道具作りにも時間を割く。むろん、小学生も真剣だ。練習も半端ではない。 
 だから、本番での七分の「スペシャル」はとても見ごたえがあった。そして、このスペシャルを創る過程に思いを馳せた。多くの苦労をしたであろう。

 運動会終了後の子どもたちだけのミーティングでは、中学校三年生のメッセージに思わず泣き出す小学生の子たちもいた。胴上げされるリーダーの誇らしげな表情。見ていた私も子どもたちの熱き思いに感動した。
小学生だけではこのような運動会はできない。中学生のすばらしいリードがあり、目指すべき理想像があったからこそできた運動会だと感じた。小中併設の学校にしかできないことだ。

 また、地域が強力な学校のサポーターであるということも改めて実感した。早朝からの巨大パネルの取り付けやテント設営のためにお父さん方が集まる。皆顔なじみでチームワークがよく、どんどん仕事を進めていく。祖父母や地域の皆さんも張り切って運動会を見に来て、大きな拍手をしたり、大笑いをしたり・・・・にぎやかな観客がいれば運動会も盛り上がる。

 十年前も、二十年前も、三十年前もきっと同じような風景だったのであろう。地域のよさがそのまま受け継がれていると感心した。

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2017.08.06

「朝の教室」で心掛けることは?

 過去のファイルを整理していて,これは公開して残しておきたいな…というものが見つかった。40代半ばで書いたもの。まだ単著もそれほど発刊していない頃だ。今は別の考えもあるが,当時としては自分なりに全力で書いたもの。定期的に毎週日曜日に連載していきたいと思う。

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Q:出勤後にすぐに教室に向かうのですが、子どもたちとの雑談や注意で終わってしまいます。
  もっと有意義な「朝の教室」にしたいと思っています。どのようにしたらいいでしょうか。

A:教室にすぐに向かうことは担任がその日の最初にすべき仕事です。
  その点で大切なことを毎日していますね。

 まずは明るく挨拶で教室に入りましょう。
 「先生の挨拶で元気になる」と言われれば本物です。
 子どもたちとの雑談はコミュニケーションを深めることになりますから大いにしましょう。
 ただし、「個別に声をかける子」を意図的に決めておいて、「宿題、ばっちりだね。美里さん」というようによさを認める場にもしたいものです。時間に余裕のある朝の教室だからできることです。

 また、個別の対応を重視しましょう。
 朝、みんな元気に登校するとは限りません。どうしても積極的に近寄ってくる子に目が行きがちですが、一人淋しそうにしている子にこそ目を注ぎます。
 そのためには教室にいる子全員を見ることが大切です。
 特にも、子どもが何らかのサインを出している時には配慮します。
 たとえば、熱もないのに「先生、保健室に行ってもいいですか?」と訴えてきた時は、「元気がないね。困っていることはない?」と1対1で話を聞きます。
 「そう。じゃあ、保健室へ」といった事務的な対応は避けたいものです。

 朝の教室環境の様子を見るのも大切です。
 机上やロッカーが乱雑な時には、どのように指導したらいいのか考えます。
 大事なのは「叱るネタ」として見るのではなく、その背景にあるものを推測することです。
 注意が必要な場合には一工夫します。
 たとえば、朝の会で「朝、ロッカーが泣いていました。どうしてだと思う?」と問いかけるのもいいです。

 始業前の「朝の教室」には、このように指導に役立つ視点が多くあるのです。

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2017.08.03

初めての講演を思い出した

社会科教育についての講演を今まで数多く拝聴した。
一番多かったのは有田和正先生のご講演であろう。おそらく40回以上は学んでいる。
1回目が教師になって2年目の講演だった。その時の講演を思い出すような内容がこちらのブログに書かれていた。
以下引用。

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  今日の授業のねらいを達成するためには、Aくんのやる気を刺激してみようとか、B子ちゃんにわからせたらこの授業は成功だなどと、特定の一人を選んで、その子の意欲を引き出し、理解を深めるよう授業を行うのです。
  教材を発掘するときにも、ある特定の子どもを思い浮かべて「あの子を熱中させるのに、このネタは適切だろうか」などと考える。
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  もっとも大きな成果が望めるのは、やはり意欲が薄い、ノリが悪いといった子どもをターゲットにして「この子の心をつかむにはどうしたらいいだろう」と、工夫する場合のようです。
 それは失敗するリスクも大きいのですが、うまくいったときの全体への波及効果は最大となり、教師の技量向上にも通じていくからです。
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 あの時の講演もそうだった。学級の中に学習になかなか興味を示さない子がいる。「お店の工夫」の学習で,何とかその子に興味をもたせたい…そのために考えたのが,「試食」の宿題だった。
 お店で「試食」をするのなら,子どもたちは喜ぶ。その子ももちろん喜んで取り組んだ。そして,その試食を窓口に,「どうしてお店では,ただで食べさせてくれるのだろう」「他にお店での販売の工夫は何か」というように追究し始めたのだった…そのような内容だったと思う。
 そのユニークな取り組みに「このような学習方法もあるんだ!」と新鮮な驚きを感じたものだった。

 数えてみたらあの講演から31年が過ぎた。今考えると先の方法はユニバーサルデザインの考えに通じることに気付いた。改めてその先見性に驚くばかりである。そして,若い時に有田先生のお話を何度も聞くことができた幸せを感じるのである。

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2017.08.02

講師役で学ぶ

昨日と今日は連続して講師役だった。校内研究会と県外教育研究所での研修。
どちらも30人弱を対象とした社会科。考えてみたら,この夏の講師役の内容は全て社会科。
有難いことである。

講師役であるが,結構学ぶことも多い。
たとえば,昨日はその学校の研究会の雰囲気のすばらしさを感じた。模擬授業で豊かに反応したり,同僚の受け答えに感嘆の声が自然にあがる。あのような雰囲気なら,研究会自体がふだんから価値のあるものになっているであろう。
今日の研究所では,希望者の研修だけあって,参加した先生方の課題意識が明確だった。日常の授業改善はもちろん,2学期に控えている研究授業のヒントを探している先生もいた。それだけにワークショップの授業プラン作りでは,悩みながらも知恵を出し合っていた。その質の高さにも学ばせていただいた。
また,研究所併設の教育博物館も見どころがあった。かつての社会科教科書を見て,今の教科書の資料の豊富さを改めて感じた。

充実した2日間だった。

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2017.08.01

「風景を繋げる」

JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」に,沢木耕太郎さんが連載をしている。
毎回,毎回,身近な出来事を上質な文章で描いている。思わず毎回引き込まれる。
今回は「風景を繋げる」というタイトルだった。

今月号は秋田の話だった。高校時代に夜行列車で秋田に向かったが,今後悔しているのは,旅の移動に夜行の乗り物を使っているということ。そのことを次のように書いている。

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あるとき,それはずいぶんもったいないことだったな思うようになった。その風景とは,一期一会,もう二度と巡り合えないかもしれなかったからだ。

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この気持ちに共感する。若い頃には自分が未来あちこちに行けるものだと,漠然と思っていた。しかし,日々の仕事や雑事に時間を割くと,そういう機会はなかなかないとわかった。そして,自分の人生の残り時間も意識している…今がそのような感じである。

沢木さんも思い立って,高校時代に夜行で移動した風景を改めてローカル線で移動した。それは「ありきたり」のものだったが,その中でもハッとさせられる瞬間があったという。自分の中で途切れていた風景が「繋がった」とも書いていた。

このようなエッセーを読むと,自分も秋田のローカル線の風景を改めて見たくなる。もう40年近く前に通っていた,奥羽本線の通学電車の風景だ。今一番見たい風景かもしれない。

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