3年ぶりの「担任冥利」(H21)
平成21年の原稿です。
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教え子の活躍は実に嬉しいものである。
先月、前任校の子どもたちが進学した中学校の運動会を参観した。小学校時代に自分が担任した子たちが、3年生のリーダーとして活躍している運動会である。明るく人なつっこい子たちだった。子どもたち同士のトラブルもあったが、みんなで話し合って解決したものだった。
そのプログラムを見て驚いた。紅軍・黄軍・青軍の3つのチームの代表が、全員担任した子たちだったからだ。「リーダーとして奮闘している陣地での様子も見なければ」と思った。
明るく上手にリードしているA君。スポーツマンらしく気合いを入れるB君。しっかりと頭の中で考えて 指示を出すC君。三者三様の個性で、それぞれのチームをまとめていた。
むろん3人だけではない。かつて担任した子たちが必死に走り、応援する姿を見て、小学校時代の多くのエピソードが次々と浮かんで来た。その子たちがこんなに立派に成長している・・・それだけでも嬉しかった。
圧巻だったのは、閉会式だ。結果発表後、代表が壇上で一言言う。優勝チームと2位チームの代表は、感謝の気持ちを込めた明るいメッセージだった。満足感あふれる内容だった。
ただ、「最下位の3位の代表は何を言ったらいいか難しいだろうな」と想像した。最初に「みんな、こんな結果ですみません」・・・その後の言葉が出てこない。同じチームから「がんばれ!」と励ましの声。勇気づけられ、「たった一つの賞だけど、この賞にはみんなのがんばりが入っています」と言葉を選んで話していた。何とも感動的なシーンで、私の涙腺もゆるんだ。
そして3人が壇上でがっちりと握手。元担任として「担任冥利」に尽きる瞬間だった。
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