何のために歴史を学ぶのか?(H22)
平成22年の原稿です。
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今年度、5・6年(複式学級)の社会科の歴史学習を何時間か担当する機会があった。最初の授業の時に、子どもたちの印象に残る授業を行おうと考えた。
教室に入ると、子どもたちが教科書や資料集をすでに夢中になって見ていた。新しい学習内容なので興味津々なのであろう。
すぐに何人かを指名し、「何を見ていましたか?」と聞いた。子どもたちは「大仏です」「聖徳太子です」「ザビエルです」と答える。
すかさず、子どもたちの興味をさらに高めるクイズを出した。「聖徳太子が手に細長い板をもっています。『しゃく』というものですが、これは何のために使われたものでしょうか」。こういう問題は3択で答えを選ばせる。意外な答えが案外正解(「裏に儀式で読む台詞が書かれていた」と言われている)で、学習が苦手な子が当たることがあるからだ。今回も然り。正解の子は大喜びである。
しばし、こんな感じで盛り上がった後、重要な問いを投げかけた。
「みんなは、教科書から色々なことを学びましたね。では、何のために歴史を学ぶのでしょうか。」
歴史を学ぶことの価値を自覚させるための問いである。
最初は「歴史の知識が増える」といったことしか出てこなかった。「本当に知識を増やすだけかな?」とさらに聞いたら、「日本のことを日本人である自分たちが知るため」「歴史を学んで今の時代に役立てるため」という発言が出てきた。これには他の子からも「なるほど」という共感の声が聞こえてきた。確かに核心をついた回答である。
この時間で子どもたちは歴史のおもしろさを感じ取り、学ぶ意義を考えることができた。私自身も歴史を教える楽しさと価値を改めて実感したのである。
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