「お話朝会」から興味を広げる
本校では月に1度、「お話朝会」がある。先生方が交代で全校児童に向かって話をする朝会である。話すテーマは自由で、その月の担当の先生に任せられている。
あるベテランの先生は、今までに撮影した写真をもとにトンボ研究の話を行った。その話の後は、子どもたちも校庭でトンボを捕まえる度に「先生、このトンボ、何の種類?」と尋ねてくるようになった。また、若手の先生は学生時代から習っている剣道の話。凛々しい剣道着姿で登場した時点で、子どもたちは一気に注目し、剣道に対する関心も高まった。
このように先生方の個性が垣間見られる朝会である。
12月は養護教諭の先生の番であった。趣味である登山の話である。実際に登山時に使っているリュックサックを背負い、登山用の杖をもって入ってきた瞬間に子どもたちから「あっ、山登りのお話だ」という声がする。次のようなお話だった。
・自分が今まで登った山々のこと。日本一高い富士山にも登った
・何時間もかけて苦労をして登る。その分、頂上から見る景色は最高
・山にはふだん見られないきれいない花々も咲いている。それも山登りの楽しみの一つ
自分の登山体験の一つ一つが子どもたちにとって未知のことであり、「登山の魅力」を一気に伝えた話であった。子どもたちも、テレビ等で登山の様子が映ったら、この時の話を浮かべるに違いない。
実はこのお話朝会は子どもたちだけではなく職員室でも話題になる。「私も鳥海山に登った」「大雪山もすばらしい山だったよ」と、放課後には先生方の思い出話でコミュニケーションも深まる。その点で、お話朝会は教師にとっても価値あるものになっているのである。
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