2009.07.23

野麦峠

私たちの世代で「野麦峠」と言えば、映画や小説を思い出す人が多いであろう。悲惨な製糸工女の物語である。
大学時代に「ああ野麦峠 新緑篇」を映画で見た。試写会で応募したのが当選して、山本薩夫監督が堂々と挨拶をした場に立ち会えた。映画にかける思い、この映画を作った誇りを感じたものだった。

さて、この製糸工女の話は社会科の教科書にも出てくる。「厳しい労働を強いられた」といった感じである。
今月の「社会科教育」に、金沢大学の村井先生が野麦峠のフィールドワーク記を書かれていた。その中に、300人も元工女からの聞き取りの話がのっている。
・「食事がまずい」「賃金が安かった」・・・0%
・「労働が苦しかった」・・・3%
・「(働きに)行ってよかった」・・・90%
この結果を見ると、女工哀史ではなく女工天国であるということを紹介している。

これは一つの歴史の先入観をひっくり返すものである。
少しの自分の経験から固定的な先入観がないだろうか。また、自分はそういう見方になってしまうような授業をしてこなかったか。そういうことを考えさせる原稿であった。

そして、自分がかつてこの野麦峠の資料を使った授業を学校公開授業で行ったことを思い出した。もう15年も前のことだが、その時の授業が鮮やかに蘇ってきた。授業自体は未熟さから失敗だったが、その頃から「社会的なものの見方」にこだわっていたこと、自分なりの教材研究を志していたことは後の自分の基礎にはなったのだと思う。

| | Comments (2)

2007.10.11

教材開発への熱意

昨日は理科部会の授業研究会で、センターの研修主事さんが来校された。
授業についての助言はもちろんだが、それ以外で実に学ぶことが多かった。

一番なのは、教材研究の楽しさである。昨日の授業の単元が「大地のつくり」ということで、それに関係するいろいろな種類の石や、購入した化石、さらには最近のインターネット情報までおみやげとして持ってきていただいた。さらに熱く教材研究の話をされていた。
理科は自分にとっては、教材開発の分野ではないものの、その話の内容と共に教材開発する熱意にも感心した。そういえば、このごろ教材開発をしていないのでは?原稿も書いていないのでは・・・?
担任外でもこういうことはできるはずだし、新たな提案もできるはず。改めてそう思った。
今年はセンター協力校ということで、多くの学びがあるが、こういう面でもいい学びをしていると思う。

もう一つなるほどということがあった。「研究会ではICT活用が話題になりませんね」という話である。これは本校がICT活用をしていないという話ではない。研究授業ではよく活用されている。でも、日常的に活用されているので、あえて研究会のメインの話になることはない。(これとは別に効果的なICT活用については、ICTプロジェクト部会で研究されている。)これまた考えさせる話であった。

| | Comments (2)

2007.08.27

違いを調べる楽しさ

徳島に行ったおりに、村井先生に「教材の小ネタに」ということで、「日本一低い山・弁天山」を案内していただいた。「あれ、日本一小さいのは大阪の天保山(今年1月に「登山」した時に確かめていた)では・・」と思いつつ、弁天山に行くと、確かに「日本一低い山」という看板がある。
「まあ、あとで調べよう」ということで、しっかりと「登山」をした。6mあまりの山である。近くのラーメン屋さんで、登山証明書を発行しているという。

家に帰ってきてから、さっそく調べる。結局役だったのはウィキペディアだった。それによると、人工の山で日本一低いのが天保山、自然の山で一番低いのが弁天山ということだった。どちらも確かに「日本一」なわけである。
一つ勉強になった。

地理ではこのような例がけっこうある。たとえば、「池と湖の違い」「海はどこから川になるのか」といったことだ。ネットの出現によって、このような疑問は本当に調べやすくなった。情報の信頼性は確かめなければいけないが、教材開発が楽しみな者にとっては、便利なツールであることは間違いない。

| | Comments (2)

2007.02.10

「雪合戦」を教材に

昨日の雪プロジェクト研究会、飛び込み授業の話である。
自分の場合は6年生の社会で授業をすることにしていた。テーマは「世界の国々と雪」ということでお願いをしていた。お願いをした時点では、どのような教材でするのか見通しが立っているわけではなかった。ただ、3学期の社会の学習内容と関連づけるには、このようなテーマがいいだろうと考えたわけである。

しかしながら、切り口を決めるのは難航した。「外国と雪」といった関連文献を読んでもいい題材がなかなか見つからない。これはインターネットでも同様だった。いざとなれば、「雪と共に生きる外国の人々の生活」にすればいいかな・・・と思っていた。
そこで今度は「カナダ 雪」といったように「国名 雪」で検索を始めた。そうしたらフィンランドで雪合戦の国際大会が開催されているというサイトが見つかった。しかも「Yukigassen」というように日本語が現地語になっている。
これでピンと来た。今度は雪合戦をキーワードにあれこれ調べる。
すると興味深い事実が浮かび上がってきた。

・雪合戦にも本格的なルールがあり、関連専用グッズもあること
・日本での国際大会には今まで40カ国以上が参加してきたこと
・フィンランドにも国際大会があること
・フィンランドで広まるきっかけは、北海道の壮瞥町との交流から
・関係者はオリンピック種目にしたいという意志をもっていること

外国でも雪合戦が広まっているそのきっかけは、北海道の一つの小さな町からだったという点がドラマチックだった。フィンランドも壮瞥町にも共通するのは、「雪を生かしたまちづくり」という視点。よし、「雪合戦」を切り口に、最後は「雪を生かす」というまとめにしようと考えた。
ここまで来れば、あとは授業の構成を考えるだけだ。

授業については昨日のブログに書いた通りだが、この教材開発の過程は実に楽しかった。自分の知識が広がる喜び、そしてオリジナルの授業を創ることができる嬉しさである。今回は15分だったが、45分の展開になるとまた違ってくる。そのバージョンのプランも考えたいと思う。
このような教材開発ができたのも、「研究会で飛び込み授業を」という要請があったからである。このような機会はやはり有難いのである。

北海道壮瞥町の雪合戦に関わる資料はこちら。また、雪合戦国際大会はこちら

| | Comments (8)

2006.10.19

私の教材開発物語

小学MMに掲載された「私の教材開発物語」最終回である。題は「5年半を振り返る」。

■ 今回が最終回

 今回でこの連載を最終回とすることにした。
 スタートしたのが2001年の3月。5年半も連載させていただいた。
 連載をして1年が経過した時に、編集長の蔵満さんから「佐藤さんが中止を申し出るまで連載を続けて構いません」と言われ、2年、3年と続き、いつの間にか5年半となった。
 この間に、勤務校が変わり、さらに自分の実践の対象も教材開発関係よりも情報教育の方が増えてきた。そこで、一区切りとして今回で終えることにした。

■ すべてがメモリアル実践に

 この5年半の間、様々な教材開発ができた。チリ地震津波の教材化、イワガキを育てる人々の教材化、日本一のりんご・日本一のみかんの交流等、多くの実践がすぐに浮かんでくる。その時の教材開発でお世話になった皆さん、そして子どもたちの反応も記憶にしっかりと残っている。「この学級では、この実践をしたなあ」というのが、すぐに思い浮かぶ。その点では、教材開発した実践がすべてメモリアル実践になっている。
 特に、2001年の「コマーシャル制作に挑戦!」、2004年の「ザビエルは日本を変えたか」は、全国ネットでの番組(NHK教育)となった。一生忘れられないことである。

■ 有田先生からの一言

1回目のマガジンのテーマが「やはり、有田先生から始めます」というものだった。有田和正先生(東北福祉大学教授、教材・授業開発研究所代表)の授業を参観して衝撃を受け,それ以降自分が教材開発に取り組むようになったという内容だった。教師になって3年目の出来事だった。
 それ以来ずっと,その時に見た有田学級が目標だった。今から2年前、その有田先生に佐藤学級の授業を見ていただいた。長年の自分の夢が叶った瞬間だった。自分なりに教材開発をして臨んだ韓国の授業だった。指導案の通り流れてホッとしていた。
 ところが、有田先生の講評は、「いい授業でした。でも川のようにスッーと流れていますね。もっとこだわりを持っていい」「教材研究にもこだわりを」というものだった。「子どもたちが簡単に理解するのがいい授業ではなく、『なぜなの』と思ったり、追究したりするのがいい授業なのだ。そのためには、教師の教材研究が深くなければいけない」と解釈をした。自分の教材開発はまだまだだ・・・改めてそう思った。

■ 再スタート

 今回の連載終了は自分にとってはゴールではない。あくまでも一区切りである。まだまだ自分の教材開発は続く。その点では、今日が再スタートの日でもあると言える。

 また執筆の機会があったら、皆様にお会いしたいと思います。ありがとうございます。

| | Comments (2)

2006.09.06

解体新書にチャレンジ!

今年発刊された『社会科の授業ミニネタ&コツ101』(学事出版)の中にある自分のネタを行った。6年生担任になった時にしかできないものなので、今回が3回目。子どもたちもノッテきて楽しんだ。

学級通信 プロジェクトZ 第82号より

 社会は江戸時代を学習しています。昨日学習したのは「解体新書」。教科書で翻訳の苦労の話を読んで、「大変だったんだなあ・・・」と子どもたちは感じ取りました。
 でも、それだけではどうも実感がわかないようです。そこで、突然「これから『解体新書体験』をします!」と私が宣言しました 方法は次の通りです。

①グループごとに体の一部の説明を考えさせる。1グループ一つの部位である。教師がグループごとに指定してもいいし、最初に部位を子どもたちに提示をしてグループごとに選ばせてもよい。
②部位には「目」「耳」といった機能がわかりやすいものだけではなく、「のど」「まゆげ」「ほお」といった説明しにくいものも含める。
③グループで出てきた説明を全体で発表させる。
④『説明はくわしいほどわかりやすい』と言うと、子どもたちは長い説明を必死に考える。

 グループごとに話し合う様子は傑作でした。「うん、それいい!」「エー、どうして「まゆげ」を選んだのよ~」といったつぶやきが聞こえてきました。
 できた班からさっそく黒板に書き込みをしました。実際に子どもたちが書いたのは次の通りです。

■目・・・物を見ることができる。真ん中の黒い部分で見る。さらに、目は上下左右に動かすことができる左右の一部。
■耳・・・人の声を聞き取るもの。また、音楽などの音を聞き取るもの。中にもこまく等があり、聞き取ることができる。
■のど・・食べ物をのみこんで体に入る時の通り道。空気を吸った時に、肺に行く時の道。
■まゆげ・うす黒く太く長いおまけのジリジリした毛。人をハンサムにする毛。
■ほお・・表情が出やすいもの(赤くなったりする)。顔の中で面積が広い部分。
■鼻・・・顔の中心にある。口とつながっている。おもに空気を吸ったり、においをかいだりする。(酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す)

 一番子どもたちは拍手が大きかったのは「まゆげチーム」です。ユーモアが抜群ということでした。子どもたちは次のような感想を持ちました。

・杉田玄白はこんなに難しいのを3年半もやって、すごいと思いました。
・解体新書を作るのはけっこう難しいと思いました。昔の人はすごいと思います。
・参考になるものがないととても大変だし、どういう意味なのかもわからないと思いました。

 楽しみながらもちゃんと「解体新書作り」の苦労を感じ取ることができた授業になりました。

| | Comments (2)

2006.09.01

お菓子の教材化

たまには息抜きでお土産の話を。
研修会や会議等で遠出した時にはお土産を買う。しかし,じっくりと見ている時間はなかなかない。駅で目についたものをパッと買うことが多い。先週,大阪から帰る時に「赤福」が目についた。有田和正先生が教材化したものだ。

全国的には有名だが,東北人にとっては,あまりなじみがない。私も有田先生が話をするまでは知らなかった。さっそく購入して我が家で食べたのだが,大好評だった。やはり名物だ。
ホームページを見てみると,メイン教材にはならないもののミニ教材にはなりそうだ。ちょうど江戸時代の学習で次の時間にお伊勢参りの話も扱う。すっかり「地域のよさ・日本のよさ」の話題が薄くなっているので,このようなミニ教材を増やしていければ・・・と思う。

ちなみに我が奥州市には同じく300年以上続くお菓子として岩谷堂羊羹がある。同時に話題にしてみようと思う。

| | Comments (0)

2006.08.22

環境教育だが多くのねらい

本校は今年「エコ改修」の指定校になっている。
校内にも「エコ・プロジェクト部会」ができ,何かしらの環境教育実践をすることになっている。6年生は2学期にしようと決めていたが,環境問題の1つをテーマにすることにした。

書籍やインターネットだけで追究させることも可能だが,せっかくの指定校である。関連団体との関わりを持って授業をしようと思っている。今日,何度もメールで情報交換させていただいたが,その過程で「いわてエネルギー環境ネットワーク」という組織があることも知った。先達もいるし,専門家もいる。

かつて「ゲストティーチャーとの授業」をどう作るか,けっこう凝った時があった。その時の経験が生かせそうだ。さらには,ぜひともプレゼン等の情報教育も行っていきたいと思っている。
学習は環境教育。でもその背後には多くのねらいを持った学習になりそうだ。

| | Comments (0)

2006.07.04

子どもと一緒に学ぶ

今日は校外学習だった。
旧水沢市は「偉人のまち」が代名詞。特に高野長英(幕末の蘭学者)、斎藤実(戦前の総理大臣、2・26事件で暗殺)、後藤新平(初代東京市長・台湾の近代化に貢献)が「3偉人」として誇りとしてきた。

本校ではその3偉人の足跡をたどり、合わせて自分なりの学びを考えていくために、「先人に学ぶ」という総合的な学習の時間を設けている。その一環の学習である。

3偉人にはそれぞれ記念館がある。歩いて行ける範囲にあることは本校にとって有難いことだ。3施設をグループ別にまわる。
同時に自分も3偉人について学ぶ。それぞれの業績等についてはある程度教師自身が調べているし(当然のことだが)、記念館にもかなりの回数で来ている。それでも、その都度来るたびに新たな発見や自分なりの思いを感じることがある。

今回斎藤実が総理大臣になった年齢に改めて驚いた。何と73歳。平均寿命が短かった70年以上も前の話だ。30代で海軍大臣になってから40年もの間、国の政治の中枢にいたことになる。これには驚いた。何かことをするのにも「もう遅い」というのはないのではないか。そんな気がした。
後藤新平記念館に行き、後藤新平の会が発足されたことを知る。100年近く前の人物が現在も影響を及ぼしている。これぐらい偉大な人物だとは。自分の仕事が後世の時代の学びになる・・・そんな仕事を目指すべきだと改めて感じた(とてつもない目標だけど)。

その他にも細かな発見が数多くあった。子どもたちと一緒に自分も学んだ校外学習である。

| | Comments (0)

2006.07.02

私の教材開発仕事術

 メールマガジン「教材・授業開発研究所ニュース」の3号の掲載された原稿です。これは有田和正先生主宰の教材・授業開発研究所のメルマガです。発刊されたばかりです。ぜひご登録ください。3号には有田先生も「教材研究の仕方」をご執筆されています。登録やバックナンバーはこちらから

 有田和正先生の影響で教材開発を進んで行うようになって十数年。「本で調べる」「可能であれば現地取材、できない時には電話取材で」が教材開発の基本である。さらに自分なりの仕事術も最近は加えている。以下、紹介する。

1 きっかけとしてのインターネット
  一次情報を知るという点ではインターネットは本当に便利である。キーワードを打ち込むだけで関連情報、図書、キーマン等が見つかる。以前「青い目の人形」を教材開発していた時に、身近なところにあることをインターネットで見つけたことがあった。地域関係の教材開発の時にも必ずチェックしている。

2 いつでもどこでもデジカメ
 デジカメの便利さは言うまでもない。外出した時に「これはおもしろい。授業の教材となる。」と思うことが時々ある。その時の記録用に持ち歩き、気軽に写真を撮るようにしている。そのまま教材用写真として提示することもしばしばである。

3 地域巡りは自転車で
 学区のことや市のこと、そしてそのよさを子どもたちに知ってほしいと思っている。そのためには教師自身が知ることがまず一番である。時間があれば可能な限り地域を巡っている。それも自転車で。「小回りがきく」「あちこちを見ながら移動できる」「駐車に困らない」ということを考えたら、自転車がいい。

4 旅行は新たな教材開発のチャンス
 その土地の産業や〇〇記念館などは、授業にそのまま使える資料が入手できることが多い。もちろんインターネットでも調べることができるが、現地を見て閃くこと、取材から学ぶことはその何倍も教材開発がしやすい。昨年度は北海道と沖縄に行き、5年生の社会の学習で役立てることができた。もっとも家族旅行の場合にはほどほどにしないと家族にあきれられるが・・・。

5 あちこちの情報から発想を得る
 新聞やテレビ、ミニコミ誌等も貴重な情報源だ。最近はテレビで「わりばしが値上げ。中国からの輸入が減っていることが理由」という番組を見た。環境教育の一つの教材になりそうである。このようなヒントはあちこちに転がっているものだと感じる。

6 いつくものネタを「温めておく」
 現在6年生の担任である。学習する単元について何かしら工夫した教材開発を心がけるのは当然である。同時に思いつくまま、気の向いたまま他学年のものも調べている。それらのネタを温めておくことにより、そのネタの視点が自分の中に意識化される。そうすると不思議なもので関連情報が集まってくる。これは、その学年を受け持った時の自分のためばかりではない。他の先生方にも提供できるネタを・・・と考えている。

| | Comments (4)

より以前の記事一覧