2017.02.19

素材は同じでも…

愛される学校づくり研究会での模擬授業を終えた。
過去2回、フォーラムで模擬授業を行っているが、今回も楽しく授業をすることができた。

今回取り上げたのは「昔の道具」。素材自体は先日の一関社研と同様であるし、さらにさかのぼれば1年前の筑波大学附属小での内容にも似ている。
しかし、3つとも自分にとってはねらいが違うし、当然構成も違ってくる。先日の一関社研は単元の導入場面であるし、今回は1時間のみの特設単元。
同じ素材でも料理のしかたによってこんなに授業も変わってくるのか…ということを発見した日だった。

昨日も書いが、このフォーラムは思い出も学びも本当に多い。
今回の午前のプログラムも学校経営を考える点でとてもエキサイティングだった。
会員の一人としてこれからも学び続けたいと思う。

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2017.02.15

データのヒントから

授業のために教材開発の事前調べを行っていた。
もともとはこちらのデータ
愛知県で模擬授業をするので、地元の教材もおもしろいかも…と考えていてあれこれ探していたら、愛知県が花きの産出額が日本一ということを知った。どうしても工業が盛んというイメージがあっただけに、これは意外だった。
しかも、日本で生産量が多い菊が愛知県では多く育てられているということも知り、「電照菊」のことをあれこれ調べて興味深い教材ということもわかった。

結果的に複数候補の一つだったということもあり、この電照菊を模擬授業では扱わないこととなったが、このような教材開発過程の楽しさを味わうことができた。自分で調べ、学ぶことの楽しさである。

このような教材開発を月に1回すると年間10本以上になる。まだまだ自分も可能ではないかと思った。

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2016.10.10

国の面積の比較ができるサイト

メールで知ったこちらのサイト。

左上に部分に国名を入れると、その国をドラッグして移動できるようになる。
国の面積が他と比較できるようになる。
世界地図は子どもたちからすれば、実際の広さと思いがちだが、メルカトル図法では面積が視覚的に正しく表せていない。でも、このサイトがあれば、日本がヨーロッパではどれぐらいの広さか理解しやすい。
(オーストラリアをヨーロッパに移動させると、その広さに驚く。)

こちらにはこのサイトを使った比較が掲載されている。
世界地図のワンポイント資料として活用できそうだ。

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2016.08.07

私の教材開発物語第33回

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第33回

    りんごとみかんの交流学習ABC その2

■ 動機付けは

 交流学習の場合、動機付けが一つのポイントとなる。子どもたちから「交流したい」「伝えたい」という思いをいかに引き出すかということである。
 今回は導入の授業(5年・社会)を次のように行った。

1 地域で有名なくだものを発表させる(一番は隣市の江刺りんご)
2 「江刺りんご」について知っていることを発表する(食べたことはあるが知っていることは少ない)
3 どの程度日本で有名なのか考える(最高で「3番ぐらい」、ほとんど10番以下)
4 「日本一の江刺りんご」のホームページ(以下HP)を紹介する(子どもたちは驚く。「味が日本一」と聞いて「そういうことか・・・」)
5 江刺りんご出荷の値段を知る(ご祝儀相場の一個7000円に驚く)
6 なぜ江刺のりんご作りが盛んになったのか、味がいいのか考える(土壌、気候、りんご農家の工夫、技術等と予想→HPで簡単に確かめる)
7 これからの学習の見通しを知る(「江刺りんごを追究する」→「追究したことをビデオにまとめる」→「他の小学校に見てもらう(交流する)」
8 江刺りんごの何を追究したいか考える(「どのような土や気候が合っていたのか」「働いている人の工夫や苦労」「おいしさの秘密」等10個出る)

 ここまでで子どもたちはHP等の資料から、「江刺りんごはかなり有名なんだ」ということを改めて知った。同時に今後の学習の強烈な動機付けになった。この点が今回の交流学習のポイントである。自分たちに追究したい明確な課題がなければ「誰かに学んだことを伝えたい」という気持ちは起こらない。

 さて、交流相手校を決める時のこと。教師間では決まっているのだが、子どもたちはもちろん知らない。そこで次のように持っていった。
「ビデオを見せる相手だけど、「日本一のりんご」に匹敵する「日本一の〇〇(果物)」の市町村の小学校がいいよね。りんごと言ったら、みんなは何か思い浮かぶ?」
 子どもたちからは、すぐに「みかん」という反応が出てくる。
「『日本一のみかん』をキーワードにインターネットで検索してみようね。(実際に検索して、画面をスクリーンに示す。)『三ケ日みかん』が出てきたね。地図帳で確認してみよう。静岡県にあるね。」
 ここで、子どもたちから「(中川小学校のある)細江町のすぐ近くだよ」という声が出てきた。おこめの交流の時に印をつけていたのである。
「じゃあ、中川小学校に『みかんでも交流しましょう』と声をかけましょう。」と言うと歓声があがった。「これから楽しい学習が始まる」・・・そんなことを考えたのだろう。

■ 実物の威力

 この動機付けの時に大きな役割を果したのが実物である。
 実は子どもたちは導入の時間に江刺りんごも三ケ日みかんも食べたのである。「江刺りんごの味が日本一」というのを知った時点で、「やっぱり実際に食べなくちゃね」ということでさっそく子どもたちと試食。「おいしい」という声が自然に出てくる。また、「三ケ日みかん」とホームページで検索した時点で、「実はここにあります」とこれまた試食。「本当に甘い」「やっぱりおいしい」というつぶやきが次々と出てきた。この試食が「交流したい」という意欲を高めたのは間違いない。実物の威力である。

 なお、交流が始まった時点で改めてお互いに、「江刺りんご」「三ケ日みかん」を交換した。もちろん子どもたちは大喜び。ある子は日記に次のように書いてきた。
「学校で三ケ日みかんを食べた時、実はなーんだ、ふつうのみかんじゃんとしか思わなかった。しかし、家で前からあったみかんと食べ比べてみるとふつうのみかんは最初甘くて、あとは味がうすいんだけど、三ケ日みかんを食
べてみると、ふつうのみかんよりはるかに甘く、甘い味があとまでずっと続きました。うまい、うまい。あっという間に二つのみかんを食べてしまいました。ははあ~、おそれいりました。」

■ ビデオ作りでお互い刺激し合う関係に

 今回の交流学習では、交流校どうしが「刺激し合う関係になる」ということを目指した。交流そのものだけを目的にするのなら、「お互いに仲良くなりましょう」で終わる可能性がある。今回は学習のテーマが決まっている。お互いがそのテーマに向けて学習をしていくのなら、相手は仲良しだけではなく学習の競い相手ともなる。
 そこで、学習をより焦点化するためにビデオ作りでは次のような打ち合わせを、中川小学校の先生とメールで行った。

・ビデオ作りでは6つの同じテーマを決める。お互いに6班があるので、一つの班が一つのテーマを2~3分程度のビデオにする。
・ビデオを作る過程でその経過を報告し合う。
・ビデオができたら交換し、お互いの作品から学ぶ。

 6つのテーマは子どもたちから出たものをもとに、「選果場」「種類と味(栄養と料理)」「歴史」「売るための工夫」「りんご農家と技術」「土地や気候」にした。これらのテーマについて、まずくわしく調べる。調べた内容をもとに、どのような内容・工夫でビデオにするか話し合い、実際のビデオ制作を行った。
 その過程でお互いに電子掲示板で情報の交流を行った。たとえば、キャッチコピー(例:「選果場で大活躍!光センサーって何?」「工夫は何?すばらしい歴史だ、わい化の木」)や制作状況を班の代表が伝えた。たとえば、ある班は次のように発信している。

・今日りんごCM作りの計画を立てました。シナリオ作りは大変だったけど、いいCMにするので楽しみにしていてください。ぼくたちは、実際に食べてそのりんごの蜜を見せます。演技をするのが楽しみです。

 この情報を交流相手校の同じテーマの班の子どもたちが見る。「学級」と「学級」の交流だったのが、「班」と「班」とのつながりになり、ぐっと身近になる。そして、お互いに「よし、自分たちもがんばろう」という気になる。まさに「刺激し合う関係」である。

■ 「はじめての共同学習」は重宝なツール

 お互いの情報交換で利用した電子掲示板は、前回も紹介をした「はじめての共同学習」である。掲示板の他に、チャット、アンケート、クイズ、予定表等、交流学習初心者には十分な機能である。
 今回の交流では掲示板のみの使用であったが、実に重宝であった。たとえば、ビデオ作りの過程の情報交換の他に、実際にビデオを送ってから班ごとに「自分たちの班の見どころ」を掲示板に書き込む。それはそのまま、ビデオを見る際の視点になった。また、画像を添付できるのでみかん・りんごの実物交流の時には、みかんをいただいて喜びいっぱいの画像を送ることができた。

 実は授業だけではない。私自身にとっても重宝だった。子どもたちの書き込んだ内容は、そのまま担任に自動的にメールで送られてくる仕組みになっている。その文章で子どもたちの学びを評価したり、学級通信にコピーして二次活用をしたりした。子どもたちも学級通信に掲載された自分の文章を読んで喜び、交流学習のことが話題になった家庭がいくつもあった。

■ 子どもたちの記憶に残る学習になっていくように

 中川小学校送られたビデオを見て感想を書き込む授業を、校内で参観した先生がいた。その先生から翌日手紙をいただいた。
 授業を見ながら、自分自身が20年以上前に経験した小学校2年生の時の交流学習を思い出したというのである。その頃は2年生でも社会科があり、農村部だった自分たちの地域の生活を調べ模造紙にまとめ、同じ岩手県内の沿岸部の小学校に送った。沿岸の小学校から同じように海の生活についてまとめたものが届いて、とても喜んだという内容であった。

 この手紙を読んで、交流学習の凄さを感じた。20年以上前の、しかも小学校2年生の時の学習をしっかりと覚えているのである。子どもたちが大人になっても記憶に残っている学習は、そんなにない。その貴重な学習に交流学習はなり得るのだと感じた。
 今回のりんごとみかんの交流学習のことも、子どもたちはずっと覚えているに違いないと手紙を読んでふと思った。

■ 教師自身が一番楽しんだ

 今回の交流学習で子どもたちは、最終的に「りんごとみかん」の共通性について考えることができた。それぞれの地域の気候の特色に応じて果物を作っていること、農家の人々の苦労や喜びは果物の種類が違っていても同じであること等について深く学ぶことができた。
 これらは、自分の地域の特色であるりんごについて調べただけでは、見えない部分である。みかんという違う地域の違う果物についての情報をくわしく得たからできたことである。その点では、「交流学習だからこそできた学び」である。

 そして、今回の交流学習で、子どもたちの意欲的かつ真剣な学習ぶりや掲示板を通しての喜ぶ様子を見て、毎日新鮮な気持ちで楽しく授業を進めることができた。
 最終的に交流学習を一番楽しんだのは私かもしれない。

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2016.08.06

私の教材開発物語第32回

【HP移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第32回(2003年)

    りんごとみかんの交流学習ABC その1
 
■ 「りんごとみかん」で本格的にスタートした交流学習

 交流校のみかん作りについてのビデオを興味津々で見る子どもたち。見ている中で自分の伝えたいことが出てくる。さっそくパソコンルームで交流学習用の掲示板に書き込む。その掲示板を見てみると、相手校からもりんご作りビデオへのコメントがある。自分たちのビデオに対するコメントに、子どもたちの顔も笑顔になる
 先日の交流学習の授業の一コマである。

 今月から私の学級(5年生)は、静岡県の細江町立中川小学校5年生と交流学習を行っている。テーマはりんごとみかんであるということである。どちらも有名な産地がすぐそばにある。水沢市の隣には「江刺りんご」が、細江町の隣には「三ケ日みかん」がある。インターネットで「日本一のりんご」「日本一のみかん」で検索すると、どちらも宣伝として関連ホームページに書かれている。
 私は今まで、本格的な交流学習の経験はほとんどない。他地域の学校と手紙や作品の交流をしたことはあるが、それはとても「交流」と言えるものではない。単なる「交換」に過ぎない。今回の交流学習は(といっても2週間の取り組みであるが)、初めての経験なだけにその魅力をストレートに感じることができた。
 今回はその交流学習の前段部分についての紹介である。

■ まずは教師同士がつながる・交流する

 今回の交流学習で大切だったのは、交流相手である中川小学校の5年生の担任と知り合いであったということである。学校放送教育番組「おこめ」のプロジェクトでご一緒させていただき、4校で共同学習に取り組んでいる。
 教師同士が連絡を密にとれる環境ができていることが、交流学習の前提である。10年近く前、広島県の小学校と子どもたちの作品を交流したことがあった。子どもたちのやりとりだけで、担任はその作品をまとめる発送係。ほんの数回で交流学習(というより作品交換イベント)は終わってしまった。そこには学習の目的意識も見通しもなかった。教師同士が打ち合わせをしていないのだから当然である。

 先方の先生とは交流学習を始める前に実際にお会いして打ち合わせを行った。お互いの学校の環境やスケジュールを確認しながら、できること・できないことを考える。それだけではなく、研究者・交流学習の実践者を交えたメーリングリストで交流学習の展開の方法について意見交流をさせていただいた。「何をテーマにするか」「動機づけをどのようにするか」「交流ツールは何にするか」等、交流学習のスタートの前に今回の学習の骨子ができた。(むろんこのメーリングリストでは実践中も意見交流をしていただいた。)

 この教師同士の交流を通じて、私自身は「このメーリングリスト自体が一つの学校みたいだな」と思った。同学年の二つの学級の担任が今後の学習について打ち合わせをする。それについて周囲の経験者がアドバイスをする。通常の学校であれば職員室で行われるが、それがネット上に移ったような感じである。
 ここでの学びは自分の視野を広げるのに貴重であった。

■ 目的が明らかになり刺激しあえてこそ、交流も意義がある

 何をテーマにするかが交流学習のポイントの一つになると思う。今回はその点では明確であった。社会の学習の一つとして、「りんごとみかん」をテーマにお互いに調べたことを交流し合い、そこから新しい学びをするというものである。
 このようなテーマが明確になってのメリットは、交流校同士の子どもたちが「刺激し合える関係になる」という点である。交流そのものを目的にするのなら、「お互いに仲良くなりましょう」で終わる可能性がある。
 テーマを決め、お互いがそのテーマに向けて学習をしていくのなら、相手は仲良しだけではなく、学習の競い相手ともなる。
 現に今回のみかん・りんごビデオ作りの過程では、子どもたちから「いいビデオを作ります。中川小学校の皆さんもビデオ作りをがんばってください」「ぜひ見てください。」と言った書き込みが出されていた。
 同じ学年、同じ学習に取り組むということで子どもたちも相手校を意識していることがよくわかる。

■ やはり便利・ITツール

 交流のための方法は様々ある。物や作品の交流はもちろん、テレビ会議、ビデオレター、ネット掲示板等。どれも効果的に活用できる方法である。
 今回、よく活用したのは「はじめての共同学習」というサイトである。

 このサイトの掲示板に子どもたちに書き込みをさせて交流するのである。物を交換したときのお礼、学習の進行状況、お互いのビデオレターの感想と時間を見つけては書き込みをした。相手にすぐに自分たちの思いや考えを伝えることができるという点で便利なツールである。

 この掲示板には画像が添付できるのであるが、相手校の写真を見て私の学級の子どもたちが驚いていた。「なんで12月なのに半袖でいるんだ・・?」。
 見た日は雪が降っていた日。送られてきたりんごを食べる写真には、半袖でいる子が半分ぐらい。改めて、静岡と岩手の気候の違いを実感したようであった。

 この「はじめての共同学習」では、その他にもクイズやアンケートの機能がある。たくさんある機能のほんの一部しか使っていないが、活用のしがいのあるサイトであることは間違いない。

 このサイトの活用や具体的な交流学習の様子については次回で。

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2016.07.31

私の教材開発物語第31回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第31回(2003年)

   コンビニエンスストアは「便利な」教材

■ 地域によって教材開発がしにくい5年生の社会

 現在5年生の担任である。社会科の教科書を見ると、農業・水産業・自動車工業・情報関連産業等が掲載されている。いわば現実にある産業が対象となっている。
 当然、実際に見学をしたり、その仕事に携わっている人に話を聞いたりすることが大切と考える。本校はその点では恵まれている。水沢は古くから米作りが盛んな土地である。隣町に関東自動車工業の岩手工場があり、トヨタの車を作っている。また小さいながらもケーブルテレビ局がある。水産業以外の学習では見学も直接話を聞くこともできたのである。
 しかし、三陸海岸沿いにあった前任校は違っていた。水産業はもちろん大丈夫だが、他の学習では教材開発をしながら、もっといろいろな産業があったらなあ・・・と思ったものである。

■ コンビニエンスストアは教材開発にとっても「便利」

 その点では、現在学習をしているコンビニエンスストア(「情報を役立てる人々」)は、とてもいい教材である。

・コンビニエンスストアは全国津々浦々に存在する。子どもたちも何度も使った経験がある。
・教師自身が取材しやすい。オリジナルの資料・ビデオを提示できる。
・学区にあるのなら見学もすぐに可能である。ゲストティーチャーとして教室に店長さんを招くこともできる。

 他の単元ではこのように簡単にはいかない。以前、同僚から、「社会科の先生は大変だね。授業の前にあちこち行って資料を集め、時間をかけて見学に行って・・・。」と言われたことがあった。私自身はそのことが楽しみなのであるが、多くの教師にとっては社会科の教材開発が「大変だ」と感じていることがわかる。その点コンビニエンスストアはすぐに教材開発できる。まさに「便利な」教材である。

■ 授業前の教材研究

 単元に入る前に、子どもたちがよく利用するコンビニエンスストアにさっそく取材に行く。教科書の内容にあるのは、「バーコードで商品を管理している」ことと「気象情報を商品の仕入れに生かしている」ことの二つが中心である。
このうちバーコードは見当がつくが、気象情報の利用については見たことがなかった。
 店長さんにお話すると、すぐに事務室に案内してもらう。パソコンの画面から気象情報が目に入ってきた。その気象情報は実に細かいものだった。

・3時間ごとの天候・降水確率・気温予測がある。
・それらの3時間ごとの予測が2日後まで行われている。
・風速・湿度・不快指数が1週間分予測されている。
・「体感」という項目があり、「快適」「暖かい」というような内容で表示されている。

 最近のテレビの気象情報もかなり細かいところまで出されているが、ここまで詳しくはない。しかもこれはご当地のみのピンポイント情報である。「やはり寒い日には温かい飲み物・食べ物を多く入れますし、暖かい日にはその逆です。実際にこの気象情報は役立ちますよ。」という話にうなずくことばかりだった。

 その他にも、バーコードの話、イベント情報から弁当を増やす話、コンピュータによるチケット予約の話等、授業のヒントになる話をいくつも聞くことができた。「やはり取材は楽しい」と感じた。
 さて、今回の授業のためにぜひ欲しいものがあった。「もの(資料)」と「ひと」である。活用している様子をビデオに撮らせてもらっただけではなく、実際の気象情報をプリントアウトしたものをいただくことができた。さらに、実
際の授業にも店長さんがゲストティーチャーとして来校していただけることになった。

■ 気象情報を読み取る

 実際のコンビニエンスストアの授業。気象情報を扱うのは単元の3時間目。課題は「コンビニエンスストアでは買った気象情報をどのように役立てているのだろうか」というものである。
 さっそく、いただいた気象情報の資料を子どもたちに提示する。5年生にとってはやや難しいものであるが、題や項目を指で確認したあとに子どもたちに「この気象情報でわかることを書きなさい。また自分の解釈も付け加えなさい。」と指示をする。

・3時間ごとの天気がわかる。便利である。
・最高気温と最低気温がわかる。飲み物を出す時に役立てていると思う。
・風速があるけど、あまり仕事に関係ないのではないか。
・不快指数がある。でも何のことか分からない。
・降水確率を見て、傘が売れると考えていると思う。

 様々な発表が出てきたが、個別な情報に目ばかり行っており、コンビニエンスストアの気象情報の特色が絞りきれない。そこで、次の発問を行った。「テレビの気象情報との違いは、ずばり何ですか?」
 この発問によって子どもたちは改めてコンビニエンスストアの気象情報の特色について考えた。

・自分たちが住んでいるところの気象情報がわかる。
・商品の売れ行きに関係する情報が多い。
・インターネット上にあるのでいつでも見られる。情報が欲しい時に手に入る。

 一つの発問により、子どもたちの見方も広まったのである。

■ 店長さん、制服で登場

 この時間、店長さんをゲストティーチャーとして招いていた。目的は二つである。

・子どもたちが「気象情報をどのように役立てているのか」という課題について、考えたことが正しいかどうか答えていただく。
・気象情報の他に情報を活用している例を紹介していただく。

 ふだんゲストティーチャーを招いた時には、質問をメインに授業を組み立てるのであるが、このような目的であれば時間は短い。ほんの7,8分である。しかもその中で授業に関わる重要な話を聞くならば、「教師の聞き取り」という形がベストである。
 この時のゲストティーチャーの登場は一工夫をした。研究授業だったので、子どもたちの周囲には教師がたくさん参観をしていた。子どもたちはゲストティーチャーの存在も知らない。課題に対して子どもたちの考えが一通り出た後で、「この考えが正しいかどうかは誰に聞くのが一番だろう?」と聞いたら、当然「コンビニエンスストアの人!」という答えが返ってくる。
 そこで「実は教室に来ています!」と言って、その場でコンビニエンスストアの制服を着ていただいた。すぐに子どもたちから、「オー!」という声があがった。
 さっそく教師がインタビュー。

「気象情報を商品の仕入れに役立てているということを子どもたちが考えましたが、本当ですか。」
「はい、そうです。毎日こまめにチェックをして役立てています。」
「どのように役立てているのですか。」
「ちょうど今は秋なので、飲み物や食べ物は温かいものや冷たいものの両方が売れます。その日の気温に応じて考えています。」
「たとえば、どんな商品ですか?」

 このようなテンポでやり取りが進む。今回のようにゲストティーチャーへのインタビューするよさは、「目的に合った話をしていただけること」「ゲストティーチャー自身も何を話したらいいか安心して話せる」ことにある。短い時間
であったが、子どもたちに印象に残る話をしていただいた。

■ 「教材開発をしたい」という気になれば・・・

「今まで事前に自分で取材に行くことはあまりありませんでした。でも、今回の先生の授業を参観してやってみようという気になりました。」
 この授業を参観した他校の若い先生の感想である。
 事前の教材開発は時間がかかるし、面倒な点も多い。しかし、子どもたちの学びが大きくなるのも確かである。今回のコンビニエンスストアのような場合には、取材もしやすい。そのような例は各学年に何時間かあると思う。その例を紹介していくのも自分の役目かなとふと思った。

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2016.07.30

私の教材開発物語第29回・第30回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第29回(2003年)

  「家庭でも音楽でも地域のよさ・日本のよさを伝える」
 
■ 子どもたちに「誇り」を持たせる

 いろいろな学習をする中で、子どもたちに「家族のよさ・地域のよさ・日本のよさ」を感じ取らせることが大切だと考えている。それらを知ることにより、「家族っていいな」「自分たちの地域や国にはこんなすばらしいことがあるん
だ」といった「誇り」を持つであろう。
 国際化の波が教育界にも押し寄せている。総合的な学習で国際理解教育も盛んである。こういう時代だからこそ、「自分の家族のよさ」「自分の地域のよさ」「自分の国のよさ」を堂々と語ることができる子供たちに育ってほしいと願う。
 そこで私は「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」というホームページを開いている。社会科や総合の実践が多いのであるが、いろいろな教科にこのテーマは通用するものだと感じている。今回は家庭科と音楽の紹介である。

■ 例1 家庭科5年「家族から『家庭での仕事のこつ』を学ぶ」

 5年生最初の単元は「仕事、任せて大作戦」であった。家庭での仕事について考え、実際に自分ができる仕事について実践してみるというものである。日常でお手伝いをしている子がほとんどであったが、そのお手伝い以外に1週間、家の仕事を行うというものである。「玄関そうじ」「食事作り」「洗濯物の後片付け」等、子どもたちは自分の興味のあるテーマを選んだ。
 自分が選んだ仕事については、ふだんしているわけではないので、当然わからないところが出てくる。そこで、次のように指示をした。
 家族から「家庭での仕事のこつ」を聞きなさい。それをあとで「5年生・家族の仕事百科」にまとめます。
 家庭での仕事については、やはり母親や祖母はプロである。子どもたちは1週間、家の人から学んだことをもとに実践をした。そして、今まで気付かなかった「家庭での仕事のこつ」を各自がつかんだ。
 それを表に一人一人まとめた。全員分を閉じると、「5年生・家族の仕事百科」の完成である。読んでみるとなかなかおもしろい。
 お家の人へのお礼の意味もあって、授業参観の冒頭の時間を使い、その「仕事のこつ20秒スピーチ」を行った。
 子どもたちの一人一人の仕事での奮闘ぶりや実際に道具を持ってきてこつを紹介する度に、大きくうなずいたり、思わず拍手をしたりする家の人もいた。
いい場面であった。
 単元終了での感想では、「お母さんから、仕事のこつを学んでもの知りになることができ、よかった」といったことが多く出てきた。
 家庭での仕事はやはり「家庭での仕事のプロに」に聞くのは一番、ということを子どもたちは実感した。

■ 例2 家庭科5年「おせち料理の意味は?」

 日本の伝統行事の中でも「おせち料理」は、子どもたちになじみの深いものである。
 しかし、その料理自体の知識はあまり家庭で話されることがないという。そこで、2学期最後の家庭科の最初の時間を使い、「おせち料理の意味は?」という学習をした。(15分ほど)

1 おせち料理にはどんなものが入っていますか
 (黒豆、伊勢海老、田作り、かまぼこ・・・等いろいろと出てくる。「あまり食べないといった」声も聞こえる。)

2 実は一つ一つの料理にはいろいろな願いがこめられています。
・黒豆の「まめ」には、まめに「  」という思いがあります。「 」には何が入るでしょうか。(すぐに「働く」という言葉が出てくる。)そうですね。
健康に働けることは今も昔も大切なことです。さらに関東地方では、「しわがよるま長生きできるように」ということで、黒豆をしわがよるまで煮込む地域もあるそうです。
・数の子も縁起がよいとされています。何かに恵まれるからです(子どもという反応)。それだけではなく、「よいことに数々恵まれる」とも言われています。
・栗きんとんも縁起のよいものです。漢字では、「栗金団」と書きます。「金」がたまるとされています。
・ かまぼこは、どのような点が縁起いいのでしょうか(色、紅白という反応)。赤色は難しいことは退ける、白は清らかなことを表しています。

3 おせち料理はこのように一つ一つ願いが込められているのです。感想を発表しましょう。

★子供たちの感想
・私が知らなかったお正月のことがわかってうれしいです。子宝に恵まれるように、私はお正月に数の子を食べようと思いました。
・正月は今まで何となくやってきたけど、こうして学習してみると由来がたくさんあることがわかりました。
・大掃除は何となくめんどうくさいと思っていたけれど、必要があったことがわかりました。
・ぼくはおせち料理をあまり食べないから今度は食べるようにしたいです。

 感想からもわかるように、子どもたちは改めて「おせち料理」に関する意味を知ることができた。
 このように伝統行事やならわしで衣食住に関わることはけっこう多い。「お月見」「七五三の晴れ着」もそうである。それに関わる学習を月に一回ぐらい10分程度で行う。子どもたちは今まで知らなかったことが多いので、喜んで話を聞く。私自身もこのようなことを伝えていくことの大切さを感じる。

■ 例3 音楽・「滝廉太郎の曲を味わおう」

 音楽でも日本の曲のよさを味わうことができる。5年生で行った授業を紹介する。
(学級通信「カルチェ・ラタン」67号・平成15年9月12日発行より)

 昨日、音楽で滝廉太郎の曲を学習しました。「荒城の月」「花」といった大人にとってはなじみ深い曲です。ところが、子供たちにとっては、「タキレンタロウ?誰?」「音楽室に写真があるよ」といった程度のとらえでした。
 そこで、「何とか滝廉太郎のよさを味わわせたい」と考え、次のように授業をしました。
 最初に、滝廉太郎について私が調べたことを子どもたちに伝えました。

・日本の音楽史上有名な音楽家であり、その曲が100年以上伝えられていること・その証拠に滝廉太郎記念館が二つあること
・教科書にあるものだけではなく、他にも有名な曲を作っていること

 この事実の紹介によって、子供たちは「日本ではかなり有名な人」と理解しました。
 さて、かんじんの曲です。「荒城の月」「箱根八里」「花」と、一曲、一曲じっくりと聞かせました。「荒城の月」「箱根八里」はほとんどの子どもたちにとって初めの曲でしたが、「花」の前奏が流れた時には「ああ、知っている」「お姉ちゃんが歌っていた」という声も出てきました。
 「一言で言うと、どんな感じがしますか。」と聞くと、子どもたちから次のような反応が返ってきました。

■「荒城の月」・・・悲しい感じがする、男の声と女の声が合っている、さびしい感じがする
■「箱根八里」・・・はずんでいる、力強い、男の人のいろいろなパートがまじりあっている、がんばって山に行くぞという感じ
■「花」・・・・・・美しい、流れるようだ

 滝廉太郎が、実にいろいろなタイプの曲を作っていることがわかります。子どもたちも「ちがった雰囲気の曲を次々と作っているなんてすごいなあ」と感じたようです。
 ちなみに、「3つの曲の中でどれが一番好きですか」と聞くと、見事に3つとも同じくらいの割合で手が挙がりました。
 この授業で、子どもたちの滝廉太郎についての見方は深まりました。次のような感想がそれを物語っています。
・きれいな歌を作る人だなあと思った。それに、いろいろな曲を作るなんてすごいです。
・すばらしい人なんだなあと思いました。滝廉太郎さんはいい歌を作っているなと思いました。ほかの曲も聞いてみたいです。
 おまけで「お正月(もう、いくつ寝ると~の曲です)」も聞かせました。これも滝廉太郎の作曲です。
 今後何からかの機会に滝廉太郎に接することがあると思います。今回の授業のことを、その時に少しでも思い出せば嬉しいと思います。

■ 「家庭・地域・日本」のよさを伝えることのメリット

 「家族のよさ・地域のよさ・日本のよさ」を伝える視点を持つことによって家庭科の場合であれば次のようなメリットがあると感じている。

・家族を含め、その道の専門家から直接学ぶことができるので、子供たちの学習意欲が高まる。同時に、人から学ぶことは生き方が学ぶことにつながる。
・家族・地域の一員としての自覚や誇りが高まる。
・学習する対象が身近なことが多く、今までの生活経験の中で得た知識が活用できる。

 そのような教材開発をするためには、まず教師自身が「家族のよさ・地域のよさ・日本のよさ」を学ぶことが大切と考える。そして、教師自身が「おもしろい」「感動した」というものは、子供たちもやはり興味を持つ。そのような
内容をたくさん蓄えることの必要性を感じる。

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連載 私の教材開発物語 第30回

    メディアをミックスさせる
  ~NHK学校放送番組「おこめ」をメインに~
 
■ NHK教育の学校放送番組

 皆さんはNHK教育の学校放送番組を、どれぐらい授業で視聴させているだろうか。また、学校放送番組にどのようなイメージを持っているだろうか。

 数年前まで、「学習のまとめとして見せるもの」「実際に見学に行けないものを見せるもの」といったように学習の補完的な形でしか私自身見せたことがなかった。
 それが変わったのは、NHK学校放送番組「体験!メディアのABC」の番組協力員になってからである。この番組は、小学校高学年を対象としたメディアリテラシー学習のためのものである。教科の番組の補完物ではない。
番組そのものが学習のメインになる。そして、番組をもとに授業を構成するようになった。
 今年は同じくNHKの「おこめ」のプロジェクトチームに入っている。

■ おこめ学習と学校放送番組「おこめ」

 そもそも「おこめ」をテーマにするメリットは何か。次のようなことが考えられる。
・本校の子どもたちは米を主食としており、全員に関わり合いがあり興味が持ちやすいこと
・5年生の社会科の学習で稲作農家の事例を学び、教科と関連づけた学習ができること(現在5年生担任)
・「健康」「国際理解」「環境」等総合的な学習の現代的な課題のテーマに結び付けやすいこと
・実際に稲を育てる過程でゲストティーチャーから学ぶことが多いこと
 これらのメリットから、幅広い学習が展開可能ということがわかる。
 そしてさらにこのおこめ学習を充実させるものがNHK学校放送番組の「おこめ」である。「おこめ」は小学校高学年向けの総合的な学習の時間を対象とした番組である。内容は、お米の育て方だけではなく「祭り」「世界のこめ作り」等、幅広いものとなっている。番組自体も思わず見入ってしまう映像、問題提起の部分等を取り入れ、子どもたちの興味・関心を高めるような内容になっている。
 私の学級では番組を定期的に視聴している。同時に学習の展開に応じて、部分的にホームページ上で視聴をしている。

■ テレビ・クリップ・掲示板

 そのNHK「おこめ」のホームページにはいくつかの特徴的な機能がある。

★テレビ→番組そのものをホームページ上で見ることができる。今までは一斉にしか見ることができなかったが、このデジタル教材により、子どもたちが興味のある部分・調査に必要な部分を個別的に視聴できるようになった。個別的な調べ学習の時に役立つ。

★クリップ→1~3分の動画がたくさん入った映像百科事典である。子どもたちが個々の課題を追究する時に視覚的に学ぶことができる。そのコンテンツも200本以上あり、子どもたちの課題に対応できるものになっている。

★けいじばん→子どもたちが番組の感想を交換したり、クラスの取り組みを発表したりするために用意されたものである。つまり、番組をきっかけにした交流学習をこの掲示板を使って行うことができる。

 他にもホームページには機能があるが、本校5年生が主として活用をしているのがこの3つである。個別的な課題追究の時には、「テレビ」「クリップ」を繰り返し活用している。また、同じおこめ学習をしている他県の3校とは掲
示板を活用して交流をしている。

■ メディアをミックスさせる

 様々なデジタル教材があるということは、それらをミックスさせた取り組みが可能だということである。
 番組の第4回は「農薬を使わないこめ作り」、第5回は「農薬なしではやっていけない!」である。対立する内容であり、農薬反対派と農薬賛成派のそれぞれの立場からの番組である。子どもたちにどちらの番組も視聴させ、「あなたは農薬を使うことに賛成ですか?反対ですか?」と投げかけた。そして討論をすることを告げ、子どもたちにクリップ教材で理論補強をするように促した。興味づけと調べ学習の相乗効果で討論は深まった。

□農薬賛成派
・適度な農薬を使っておいしいお米を作ればいい。
・雑草とか虫が苗を悪くしてしまうから農薬を使ったほうがいい。
・使う量や時期に気をつければよいと思う。
・無農薬だと病気がふえてしまうし、農薬を使えば何とかなるから。
・そうしなければお米も食べられないし、農家の人もお金がなくてくらしていけなくなるから。
□農薬反対派
・研究を多くすれば、無農薬のお米もどんどんできると思う。
・人の健康に害がある場合がでるかもしれないから。
・安全でいい米がほしいから。
・世話がたいへんでも、農薬を使って稲に害があったら意味がない。
・無農薬でがんばっている人もいるので、農薬を使わない方がいい。

 「番組視聴」→「クリップ教材」→「実際の討論」というように複数の教材をミックスさせることにより、一つの教材にはできない複合効果が生まれたのである。

■ 教師もインターネットを活用して情報交換

 現在4校で交流学習を行っている。と言っても子ども同士に任せているわけではない。教師同士が連絡を密に取り合い、何らかの仕掛けをしておくことが必要である。そこで4校の担任を中心としたメーリングリストを作って情報交換をしている。交流のしかたについて意見を交換をしたり、教師の目から見た子どもたちの様子を気軽に話し合ったりと有意義な情報交換になっている。
 教師同士が日常的に交流をしていると、年3回のプロジェクト会議で会った時にも気軽に話ができる。まさにメーリングリスト効果である。
 また、掲示板の子どもたち一人一人の書き込みが担任に自動的に送られてくる機能がある。教師がホームページ上の子どもたちの書き込みを記録する手間が省ける。同時にそれらを整理することによって、子どもたち一人一人の学びの記録が簡単にできる。それらを継続することにより、一人一人の変容を見取ることができる。
 このように、教師がインターネットをうまく活用することは、子どもたちによりよい教育効果をもたらすことになる。

■ 稲刈り後は・・・

 メインの「おこめ」の番組やホームページを中心に述べてきた。
 かんじんのお米作りももちろん行っている。5月にバケツ稲に植え、定期的に調べ活動を行い、一週間前に稲刈りを行った。学習の過程で専門家をゲストティーチャーに招き、ワークショップと質問を中心とした授業を行った。そのような実体験があったからこそ、様々なメディアの学習も生きてきたのだと思う。
 今後は、後期の活動に向けて4校交流を活発にすることを目指している。有機栽培、農業の祭り等のテーマを現在共同で学習を進めている。最終的には共同で学習したことを各学校のホームページにまとめて発表する予定である。

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2016.07.24

私の教材開発物語第27回・第28回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第27回(2003年)

「国旗を知り、国旗を作ろう」

■ アメリカ合衆国の小学校の風景

 1993年、アメリカ合衆国の小学校で1ヶ月、研修をする機会があった。北西部にあるオレゴン州ポートランド市の小学校である。小学校の授業参観しながら、時には私自身も授業を行った。

 その時のことで印象的に残っていることの一つに「国旗」がある。
 どの学級も、教室前方の黒板の上に星条旗が掲げられているのである。ふだんは特に意識をすることがない。それぐらい当たり前の風景のようである。
 学級によっては、「では何か歌おうか。まずは国歌を。」と担任の先生が言って国歌を突然歌ったり(それも誇らしげに)、朝毎日、胸に手をあて国旗に向かって「誓いの言葉」を言ったりしていた。
 「この点は違うなあ」「『国旗の理解』が日常的にされているんだなあ」と感じたものであった。

■ 国旗について知ろう

 その時から7年。総合的な学習で国際理解の学習をするようになった。その時に、アメリカ合衆国でのこの一風景がきっかけとなって「国旗の授業」をしたことがあった。対象は4年生である。授業の様子を学級通信で紹介をする。

-------------------------以下学級通信より-------------------------

 いろいろな国旗の由来を知ることは、自国の国旗の理解にとっても大切と思います。いわば国旗への関心を高める授業です。
 1月下旬に英語指導助手の先生が教室を訪れる予定です。このことをきっかけとして、子どもたちの英会話に対する興味が高まりました。せっかくの機会なので、子どもたちの外国に対する関心をさらに高めたいと思い、国旗の授業を計画しました。
 ちょうど、地図帳の一番後ろにいろいろな国旗が掲載されています。それをもとに授業をしました。

 マドゥさん(英語指導助手)の国、アメリカ合衆国を探しなさい。(すぐに見つける) 次にアメリカ合衆国の国旗を探しなさい。どんな旗ですか。
 「星がある」「赤い線が入っている」と子供たちはすぐに答えます。子どもたちにが見たことのある国旗です。
 「星はいくつありますか」と聞くと、一生懸命に数えます。「50だ」「そうそう」と言う声も聞こえます。
 「なぜ、星の数は50なのでしょう。」
 「県!」「惜しい」「州だ」と答えが出てきました。
 「50の星は今の50州を示しています。赤色の線は「勇気」を、白色は「清らかさ」を表しています。」

 こんな感じで、「国の位置の確認」「国旗の確認」「国旗に示されている意味を考える」というパターンで、次々といろいろな国の学習をしていきます。

 アメリカ合衆国の次は、アルゼンチンです。
 「水色は何を表しているでしょうか?」と聞くと、「青空」と出てきました。正解です。
 今度は、カナダとスリランカの国旗について聞きました。
 「カナダの真ん中にある模様は何でしょう」
 「ひいらぎかな?」
 「これは、『さとうかえで』という葉です。木から甘い液が出てきて、飲むことができます。どうしてこのような模様にしたのでしょう。」
 「カナダにその木が多いから。」
 「そうです。カナダでは、国を開拓した当時、その液を吸って飢えをしのいで国を作ったという言い伝えがあるからです。」
 スリランカの動物はいろいろと出てきました。「犬」「シーサー」「こま犬」「ライオン」等々。これは、国ができた当時の王が「獅子王」と呼ばれたことにちなんでいます。

 これらの例の他にも、ヨーロッパには十字架にちなんだ国旗が多いこと(これは子どもたちがキリスト教に関係あるとすぐにわかりました)、西アジアでは星が多いこと(砂漠の地方が多く太陽が地獄のような存在)、オーストラリ
アとニュージーランドがイギリスと関係が深いために、イギリスの国旗の一部が使われていること等、いろいろな国旗の由来について学びました。

 そして、子どもたちに聞きました。
 それぞれの国旗の色や模様には何があると言えますか。
 「いろいろな意味がある」「わけがある」「歴史がある」・・・といった反応が子どもたちから出てきました。その後書かせた感想からも次のように「新しいものを学んだ」ということが多く出てきました。
・いろいろな国旗に意味があるんだなと思った。もっとほかに国旗を調べてみたいと思った。
・私は、国旗にも意味があることを知りました。色には正義や勇気という意味がある。すごいなあと思った。
・国旗にもいろいろと意味があるんだなあと思いました。自分で国旗を作ってみたいと思いました。国旗に大切なものを入れていいなあと思った。
                       (以上、学級通信より)

■ 国王になって国旗を作ってみよう

 この授業での感想の特徴は、「もっと調べたい」「その国に行きたい」「国旗を作りたい」と学習意欲が大きい点であった。
 そこで、翌日次のように言った。

「国旗のことを君たちは勉強しました。
 次は君たちが国王です。(「オー」という声。) 君たちの国旗をつくりましょう。作り方は次の通りです。
 1 どこかの国旗をモデルにする
 2 模様や色の意味を考える
 3 国の名前もつける」
 4 B5判の大きさの画用紙にクレヨンで色をぬる」

 子供たちは喜んで取り組んだ。メルヘンチックなものあり、本物の国旗にしていいようなものあり、子どもらしいもの(でも、ちゃんと意味がある)ありとなかなかの力作がそろった。

 一人一人発表をした後、さっそく教室に掲示する。といっても壁に掲示をするのではない。ひもに一つ一つの作品をつけ、運動会の万国旗のように教室の端から端へとつるした。教室の風景が一気に国際色が豊かなものになった。その後教室を訪れた英語指導助手の先生が教室に入るなり、「ワンダフル!」と言ったことが印象的であった。

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連載 私の教材開発物語 第28回

「子ども向け料理番組を作ろう」

■ メディアの「送り手」になる意義

 ここ数年、高学年を担任した時には総合的な学習で「ビデオ番組作り」を行っている。この学習に取り組む意義は大きい。
 一番は、子どもたちがメディアの「送り手」の立場になるということである。送り手になって初めて見えてくるものがある。たとえば、番組の構成・カメラの構図・キャッチコピーといったものである。メディアの見方が深まるのであ
る。
 そして子どもたちが燃える。本当に番組作りのために全力投球をするのである。
 私自身、2年前に「宮古の自慢CMを作ろう」(以下のサイト参照)の学習で痛感した。

 しかしながら問題点もある。それは「時間がかかる」ということである。本格的に行おうとすると10時間以上はかかる。総合的な学習で計画されていたり、時間が確保されていたりすれば別だが、教科の中では難しいであろう。
 さて、私が所属する「授業づくりネットワーク」で発行している雑誌の11月号で「メディアリテラシー教育特集(子ども向け番組を扱う授業)」を企画していることを知った。条件の中に短い時間で手軽にできることとある。

 「これはチャンス」と思った。今までの自分の実践は長い時間をかけたものであった。「ビデオ番組作り」のよさを広めるためには、「手軽にできる」実践を行うのも大切である。さっそく実践希望の立候補をした。

■ 手軽に行うための条件

 子どもたちが取り組むテーマは「子ども向け料理番組を作ろう」というものである。次のようなプランを立てた。

□1時間目・番組「ひとりでできるもん」を分析すると共に、番組作りを自分たちが行うことを知る。
□2~3時間目・自分たちの意図を考え、「野菜サラダ」の番組を構成する。
□4~5時間目・番組作りをする
□6時間目・作品発表会および交流会を行い、学びを振り返る

 手軽に行うためにはいくつか条件がある。今回は次のようにした。
・料理は子どもたちが家庭科で作った経験のある野菜サラダとする。
・3つの班で一つの番組を作ることとする。一つの班が1~2分程度。 (学級は36人の6班編成・二つの番組ができる。)
・番組で使う道具は改めて作らない。学校にあるものや持っているものを使う。
・カメラ撮影の基本は三脚で、アップは原則として使わない。(初心者でも上手に撮影するために)
・順番通り録画をする完全パッケージ方式で、編集は行わない。テロップ、音楽等も入れない。
・ビデオ撮影の役割分担も必要最小限のものとする。

■ 1時間目・作りたい!料理番組

 授業の様子を紹介する。
 最初に「料理番組で知っているものは何ですか?」と聞く。「どっちの料理ショー」「3分クッキング」「ひとりでできるもん」等、どんどん出てくる。
 一つの番組を子どもたちが発表するごとに「そうだ、そうだ」「うんうん」と反応も豊かである。
 「たくさん出ましたね。今日はそのうち、まず『3分クッキング』を見せます。」
 この「3分クッキング」はメインではない。次のための伏線である。
 「では次に『ひとりでできるもん(NHK教育)』を見ましょう。」事前に「3分クッキング」を見ているだけに、子どもたちは「比較」の視点で自然と見る。

 「『ひとりでできるもん』を見て、気づいたこと、思ったことを発表しなさい。」と言うと、次のようなものが出てきた。
・楽しい
・キャラクターが出てきている
・子どもたちが喜ぶように歌や踊りがある
・3分クッキングが大人向けなら、こっちは子ども向け
・作り方が子どもたちにもわかりやすいようになっている
 子どもたちは、「ひとりでできるもん」が子ども、それも幼稚園~小学校低学年をターゲットとしていることに気づいた。

 ここで、子どもたちに自作ビデオを見せる。そこには、本校の1年生担任の5年生への「お願い」が写っていた。「1年生に野菜嫌いな子がいる。ぜひ好きになるような料理番組を作ってほしい」というものである。
 これで今回の単元の目的が明確化した。「1年生のために料理番組を作る」「イメージは『ひとりでできるもん』」。子どもたちも「1年生にもわかりやすい番組をがんばって作りたい」「番組作りは初めてなのでとても楽しみ」と
いう感想を持った。
 この後、班ごとに撮影する場面を選ぶ。Aチーム「作る前の場面」「作っている場面」「食べる場面」を3つの班が行う。Bチームも同様である。

■ 2~3時間目・計画段階で壁にぶつかる

 撮影の計画を立て練習をする時間である。
 次の流れで行う。

・シナリオの「大まかな流れ」を決める
・「自分たちの工夫」を一つ決める
・役割分担(ディレクター、カメラマン、アシスタント、出演者)をする
・シナリオを作る
・練習や試しの撮影をする

 このうち「大まかな流れ」から「シナリオ作り」まではスムーズに行った。「工夫はキャラクターを使う。そのキャラクターがおなかをすかして倒れそう。何か食べたいと言うシーン。」といった感じである。

 しかしいざ練習と試しの撮影となると子どもたちは壁にぶつかった。
 まず、「構成」の問題である。3つのチームが一つのお話を作る。本来であれば、全体の流れがあるはずである。しかし今回は「短時間で」という制約があるので、全体の流れは私自身多少ちぐはぐでもいいと思っていた。むしろその方が振り返りの時に「構成」の素材になると考えたのである。
 ところが「食べる場面」の班が「前の2班の話に合わせないと変」と言ってきた。
 子どもたちから「構成」を問題にしてきたのである。これは受けざるを得ない。
 また試しの撮影では、「声がよく聞こえない」「キャラクターが画面の中で小さく写ってしまう」「人物がはみ出して撮影されている」といった技術的なミスが出てきた。子どもたちも簡単に考えていた撮影の難しさを改めて感じた。

■ 4~5時間目・いざ撮影

 子どもたちがぶつかった壁。授業時間はもうとれないので、休み時間や家でシナリオを再構成したり、ビデオ撮影の練習を行ったりして本番を迎えた。
 大まかな流れは次の通りである。(Aチームの例)

1 食べる前(1班)
 おなかが減っているキャラクターが倒れる・校庭で撮影
2 作る(2班)
 トマトとブロッコリーのサラダを歌・踊りつきで作る
3 食べる(3班)
 キャラクターと子どもが食べて元気になる

 ここでも子どもたちはトラブルにぶつかる。「逆光のために人物が暗く写ってしまう」「野菜を切っているシーンをずっと撮影をしているため、時間がかかってしまう」「野菜サラダのアップがうまくいかない」・・・等。
 しかし、それぞれ、「場所を変えたらいい」「途中でカットしよう」「ここはカメラを三脚からはずして近づいて撮影しよう」というように、自分たちで話し合いをして解決をしていった。
 このように子どもたちは「効果的な撮影方法」を体験から学んだ。それは同時に「メディアの見方」も学んだことにもなったのである。
 私が嬉しかったのは、子どもたちの意欲とたくましさである。失敗をしても子どもたちが納得いくまで撮り直しをする。ふだん小さな声のディレクター役の子が、「5・4・3・・・」と大声で指示をする。子どもたちの新たな一面を見た思いであった。
 この撮影当日の授業は、日本テレビの方や千葉大学の学生さん方が参観されたのであるが、「子どもたちがはじめての番組づくりにもかかわらず、実際に撮影を体験しながら成長していく、テレビの裏側に気付いていく姿をはっきりと感じました。」という感想をいただいた。

■ 子どもたちの学び

 子どもたちは今回の番組作りで何を学んだのか。感想を紹介する。
・番組作りは「かんたん」と思っていたけどむずかしかったです。
・何度も失敗したけど、自分たちで話し合って成功したのがよかったです。
・何回も練習したかいがありました。それにめずらしい体験ができた総合でした。1年生が野菜好きになればいいなと思います。
 このような感想が大部分であるが、中にはメディアリテラシー的な見方が深まった感想もあった。

・今まで何げなくテレビを見ていたけど、工夫をしていることがわかった。
・今度からテレビを見る時には撮影のしかたを少し考えて見てみたいと思いま
 した。

 このような感想の積み重ねが子どもたちのメディアの見方を育てることであろう。
 今週子どもたちは実際に1年生に番組を見せる。これもまた貴重な体験になることであろう。

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2016.07.23

私の教材開発物語第25回・26回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第25回(2003年)

    「都道府県名はどのように教える?」

■ とある数字

 今年度は5年生担任となった。
 新年度の準備をしている春休みに、地図関連の小冊子が送られてきた。「何か面白い情報があるかな」とパラパラめくると、ある数字が目に飛び込んできた。
・4年生・・・13.6県
・5年生・・・20.0県
・6年生・・・19.2県
 これはある教科書会社が行った県名認知度の調査での「平均県名獲得数」である。調査の方法は簡単である。日本の白地図の各都道府県に1~47の番号をふり、都道府県名を書き込むものである。サンプル数は約12,000人である。
 この数字を「これしか覚えていないのか」と思う人もいるだろうし、「予想以上に高い」と思う人もいるだろう。私もがぜん興味を示した。そして、新しく担任する5年生にも行ってみようと考えた。(それにしても6年生が5年生より低いのはおもしろい。地図帳の使用頻度が違うからというのも理由の一つであろう。)

■ 「全然できなくてショックでした」

 同じような方法で、5年生になって2回目の社会の授業で調査を行った。北から順に書いていった子どもたちであったが、ものの3分もしないうちに鉛筆が止まってしまう子が続出した。どんどん書き進めていく子はごくわずか。
 5年生の最初であるから、実質的には4年生での結果と考えてよい。我が学級は全国平均より低かった。北海道、岩手、沖縄はほとんどの子があっていたが、その他は東北各地と東京、千葉等の正解者が多かっただけである。中国地方・四国地方・九州地方はほぼ全滅。
 この結果は、私自身より子どもたちがショックを受けたみたいで、「ぜんぜんわかりませんでした。もっと県のことについて調べたい」「かけなくてくやしかった。今度はもっと覚えておきたい」という感想が続出した。
 無目的に都道府県名を詰め込み方式で覚えさせる必要はないと思うが、「都道府県名を覚ええなくてもよい」と考えている人はいないであろう。6年生の歴史学習、そして中学校の社会科学習においても、都道府県名や特徴を覚えておいた方が学習効率がいいのは当然である。「今年度は本格的に都道府県名を覚えるために、新たに教材開発をしていこう」と決意をした。
 なお、私自身は大人の県名認知度も調べるとおもしろいと思う。日本人全体の素養がどれくらいなのか、興味のあるところである。

■ すぐにしたこと

 思ったら即実行である。
 まず教室の壁に日本地図を貼った。同時に世界地図も貼り、地球儀も持ち込んだ。貼っておくだけで子どもたちは興味を示す。地図帳は毎日持参。機会があるごとに調べさせるようにする。朝の会では大きなニュースを伝え、その場所を日本地図で教えるようにした。
 また、調査で行ったのと同じプリントを大量に印刷をした。月に一回程度、定期的に調査を行い、子どもたちに自分の伸びぐあいを自覚させるようにした。
 日常生活の中で都道府県地図が当たり前になってくると、子どもたちも家庭学習の中で、地図の学習をする子が増えてきた。子どもたちの興味が少しずつ広がってきているのがわかった。

■ ゲームで覚える

 学習ゲームの一つとして、次のようなゲームも行いたいと考えている。

【都道府県3クエスチョンズゲーム】

□ゲームのやり方
 (1) 教師が画用紙に答えとなる都道府県名を事前に書いておく。
 (2) 子供たちが答えの都道府県に関わる質問を3つする。
 (3) 教師が質問に一つずつ答え、それを手がかりに子供はその都道府県を予  想して発表する。
 (4) 教師が答えを発表する。(以上を3問~5問程度繰り返す)

□ゲームの実際(以前5年生を担任した時の記録)
『では一問目です。質問をどうぞ』
「それは何地方にありますか」
『中部地方です』
 子供たちの目が一斉に中部地方に集中する。これで9つに絞られる。
「その県は、大きいですか。小さいですか」
『大きいです』
 この質問で、今度は県の面積や形に注目する。「新潟かな」「長野かな」といったつぶやきも聞こえる。そして最後の質問。
「何で有名ですか」
『りんごです』
「わかった!」という声も出れば、すぐに細かい県の地図からりんごの絵記号を探す子もいる。
『答えはどこですか』
 多数挙手する。一人の子を指名する。
「長野県です」(大多数が「同じです!」)
『正解はこれです!』
と言って、あらかじめ「長野県」と書いておいた画用紙を黒板に貼り付ける。
「ワー!」という歓声が子供たちからあがった。

 このゲームのよさは都道府県名を地方や地形、特徴と関連づけて覚えることができる点にある。やり方を覚えればペアでもできる。休み時間に行う子もいたほどである。また、都道府県だけではなく、世界各国3クエスチョンズゲームとしてもできる。

■ 低学年のうちから地図に慣れていれば・・・

 認知度の低かった我が学級において、唯一40都道府県を越えた子がいた。その秘訣を聞いてみたら、「幼稚園の頃にクリスマスプレゼントでサンタさんからもらった地図の本が好きで、1・2年生でもよく読んでいたから」とのこ
とであった。その地図の本がどのようなものかは知らないものの、きっと日本の都道府県名が書いていたのは確かであろう。
 そして、4年生になり正式に地図帳を使うことによって、知識が確かなものとなったのではないかと推測される。そう考えると、低学年で日本の都道府県に興味を持たせることがいかに大切かということがわかる。自分が低学年の担任になったら、朝の会で何らかの実践をしてみたいと思う。

 ※付記:この時の子どもたちは6年生までに都道府県を多くの子たちがしっかりと覚えて進学した。中学校の社会の先生にはのちに「佐藤先生の学級だった子どもたちは、地理も歴史も知識を身に付けていたので指導が楽だった」と言われた。

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連載 私の教材開発物語 第26回

「教材開発を楽しむ」

 最近、自分の教材開発(主として社会や総合)の方法について簡単にまとめる機会があった。特別な方法があるわけではない。ただ私自身が楽しんでいるのは事実である。その方法の一端を紹介する。

■ 教材開発の方法あれこれ

 教材開発を進んで行うようになって十数年。「本で調べる」「可能であれば現地取材、できない時には電話で」が教材開発の基本である。これは今も変わらない。これに最近はいろいろな方法や道具が加わってきた。

1 きっかけとしてのインターネット
 一次情報を知るという点ではインターネットは本当に便利である。キーワードを打ち込むだけで関連情報、図書、キーマン等が見つかる。以前、農業関係で国際貢献をした日本人を扱った授業を社会で行いたいと考えた。キーワードで検索をする。該当する人物にたどり着いた。インターネット出現前ならできなかったことである。今は地域情報のホームページも多いので、地域関係の教材開発の時にも必ずチェックしている。

2 いつでもどこでもデジカメ
 デジカメの便利さは言うまでもない。保存、削除が簡単にできるのはもちろん、テレビにつなげての写真提示も容易である。外出した時に「これはおもしろい。授業の教材となる。」と思うことが時々ある。その時の記録用に持ち歩き、気軽に写真を撮るようにしている。

3 地域巡りは自転車で
 学区のことや市のこと、そしてそのよさを子どもたちに知ってほしいと思っている。そのためには教師自身が知ることがまず一番である。時間があれば可能な限り地域を巡っている。それも自転車で。「小回りがきく」「あちこちを見ながら移動できる」「駐車に困らない」ということを考えたら、自転車がいい。 場合によっては対象の関係者に気軽に声をかけるもできる。もちろん、この時にもデジカメ持参である。

4 旅行は新たな教材開発のチャンス
 その土地の産業や〇〇記念館などは、授業にそのまま使える資料が入手できることが多い。もちろんインターネットでも調べることができるが、現地を見て閃くこと、取材から学ぶことはその何倍も教材開発がしやすい。もっとも家族旅行の場合にはほどほどにしないと家族にあきれられるが・・・。

5 あちこちの情報から発想を得る
 新聞やテレビはもちろん、ミニコミ誌も貴重な情報源だ。市広報に「新八景募集」の記事があった。それからヒントを得て「高浜八景を作ろう」という単元を構成したことがあった。また、テレビで「100年前の未来予測」という特集ニュースが入っていた。これをヒントに「100年後の未来予測・22世紀の世界は?」を子どもたちに授業をした。ちょうどこれが20世紀最後の授業となった。どのように教材化するかという発想のヒントはあちこちに転がっているものだ
と感じる。

■ いつくものネタを「温めておく」

 現在5年生の担任である。次に学習する単元について、何かしら工夫した教材開発を心がけるのは当然である。
 同時に思いつくまま、気の向いたままランダムにいろいろなことを調べているのも確かである。「気になるもの」「ヒントになるもの」があったら、その記事・資料・写真等を即保存する。もちろん5年生以外のものも積極的に収集する。私の場合には事務用袋に入れて学年ごとにまとめておいている。
 保存する時には、その時の閃きをメモ書きして一緒に入れておく。後で見た時にこのメモが役立つ。
 いくつものネタを温めておくことにより、そのネタの視点が自分の中に意識化される。そうすると不思議なもので、関連情報が集まってくる。他学年の情報を集めるのは、その学年を受け持った時の自分のためばかりではない。他の先生方にも提供できるネタを・・・と考えている。

■ ゲストティーチャーから自分も学ぶ

 教材開発の目的はもちろん「よりよい授業のため」である。同時に、自分の一番の楽しみとして「いろいろなことを学ぶことができる」ということがある。特にゲストティーチャーを招く時の打ち合わせは、「プロから独占的に学ぶことができる贅沢な時間」である。
 水産研究所に行き、太平洋側では珍しいイワガキ養殖の様子を見せていただく。地域の伝統的な祭り「日高火防祭」の昔のお話を聞いたり、倉庫にある道具を見せていただいたりする。茶の湯体験を子どもたちにさせようとお願いに行き、まず自分だけがじっくりと体験をさせてもらう。地元のコネクタ工場で生産力アップの秘密を知り、学校現場での仕事でも応用できるヒントを得る。・・・このような経験を年に10回以上はしている。ふだん異業種の方々との接触がなかなかできない私にとっては、実に貴重なそして贅沢な学びの場である。これも教材開発の大きな魅力である。

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2016.07.17

私の教材開発物語第23回・24回

【ホームページ移行のためのリバイバル掲載です】

連載 私の教材開発物語 第23回(2003年)

「地図帳活用技能を伸ばすために」

■ 地図帳技能をよく見てみると・・・

 本メールマガジン1013回(2002年11月17日)に「地図帳は〇〇」という題で、地図帳活用について書いた。4年生の子どもたちに、地図帳の有用性について感じ取らせる授業についてレポートしたものである。
 それから3ヶ月。教科書の内容も「県の様子」に入り、地図帳を学習で活用する機会も増えた。4月には新品だった地図帳が、活用回数に比例して汚れていき、履歴の印もどんどん増えていった。もちろん喜ばしいことである。(以前、6年生を担任した時にあまりにも新しい地図帳を子どもたちが持っていて驚いたことがあった。当然、地図活用の力も低かった。)
 しかし、そのような子どもたちでもこちらが歯がゆくなることがあった。
・地名を索引で探すものの時間がかかる
・市と町と村の区別がつかない
・高速道路・新幹線・JR線・国道の区別がつかない
・四方位が瞬時に言えない・・・・等
 むろん自分の指導の結果である。「地図帳に触れる時間が長ければ長いほど活用の力はつく」と思っているものの、それだけでは不足である。「意図的な指導を繰り返し行う」という文言を加えなければいけないと感じた。

■ トピック的な指導後も意図的な指導を繰り返す

 地図記号については、地図帳を初めて使う時にトピック的に一通り教えた。たとえば、市と町と村の違いはもちろん、市の人口別の記号の違い、都道府県庁所在地の記号も教えている。
しかし、何度も使ってこそ子どもたちは覚えていく。たとえば、釜石を探させた後、「『釜石』は市ですか、町ですか、村ですか」と問う。さらにその後、町の記号や村の記号、市の人口別の記号を確認するというように、「意図的に記号を覚えさせる」という指導が必要なのである。
 何度も何度も繰り返すうちに子どもたちの反応が早くなってくる。子どもたちも自信を持つ。それは地図帳への興味につながる。今まで見えなかったものが見えてくるからである。
 現状の授業時間を考えれば、「地図帳の指導」というトピック的に扱う授業の時数は限られている。いかに日常の授業で教師が意図的に指導していくかがポイントとなると思う。

■ 活用が継続する仕組みを作る

 そのような意図的な指導も継続性がなければ意味がない。
 私自身の今までの経験から、最初は意気込んで続けるものの、そのうちその指導が途切れてしまうという失敗が何度もあった。また、他教科で子どもたちに地名を引かせたい時に社会科の授業がその日になく、調べることができないということもあった。
 そこで3学期から朝の会で次のような取り組みをしている。

・教師が新聞やテレビ(ビデオ録画)を使いニュースを紹介する
・同時にそのニュースの地名を必ず地図帳で調べさせる
・関連した地図に関わるクイズ(「記号」や「その県や国に関すること」等何でも)を行う

 時間にして3分ほど。「子どもたちが新聞を読むにようになってほしい」「ニュースに興味を示してほしい」という願いもあるが、一番は「地図帳で調べることが当たり前になってほしい」ということである。
 そのために地図帳は机の脇にかけてある袋に入れている。社会科の授業があってもなくても、すぐに取り出すことができる。その袋には国語辞典を1学期から入れており、国語の授業だけではなくいろいろな学習で頻繁に使ってきた。それと同様に、子どもたちにとっては地図帳も「調べる」ものから「引く」ものに変わったようである。

■ 地図活用の定番授業「岩手県一周旅行日記」

 私が4年生を担任した時に行っている実践に「岩手県一周旅行日記」(もちろん地図帳上だが)がある。次のような指示で行う。(ワークシートを活用)

1 今日は旅行をします。地図の旅行です。岩手県一周旅行です。その旅行日記を書 きましょう。書き方は、日記です。出発地はみんなの住んでいる水沢です。まず地図を見て、「水沢から北へ〇km、〇〇市につきました。
 ここでは〇〇が見えます。」というように書きます。方角、距離、特色を書きます。最初にここまで書いてみましょう。(最初に書いたものを発表させる)

2 では続きを書きます。見えたものだけではなく、聞こえる音、匂いもぜひ書いてください。絵にしてもいいです。(何人か発表させる。他の子どもたちは地図帳を見ながら聞く。)

3 何か所か行きましたね。ここで食事にしましょう。メニューは君たちが作ります。「岩手県スペシャルランチ」です。岩手県の特産品で作ります。「前沢牛のステーキ」というように特産地がわかるように書きます。絵にしてみましょう。

4 あと5分ぐらいで水沢に戻ります。1ヶ所だけどこかに寄って帰りましょう。そして、最後に旅行の感想を書いておわりです。

 今まで子どもたちが身につけた地図活用技能がフル回転される設定となっている。今年度の実施予定は3月上旬。それまで子どもたちの力を最大限伸ばしたいと考えている。

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連載 私の教材開発物語 第24回

「8年越しの『実践』」

■ 8年越しの「実践」

 3月。今年も別れの季節となった。今年はよく担任した8年前の卒業生との別れを思い出す。というのも一つの「実践」が終わったからである。
 教師になってから10年目(1995年)。2度目の6年生担任として卒業させることになった。卒業前の特別イベントとして、「お世話になった家の人への感謝状」「卒業記念短歌・俳句」「学級通信『思い出シリーズ』」等を行った。その中でこの年初めて行ったものに、「20才の自分への手紙」があった。
 当時書いたレポートからどんな活動か紹介をする。

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 自分の未来に思いをはせる・・・・それはロマンあふれることである。そして、自分が思いをはせた時のことを、未来の自分が知ることは興味のあることである。
 その方法の一つとしてタイムカプセルがある。ただ、「〇才になったらあけよう」といっても、その手間は大きなものがある。
 もっと気軽に自分の小学校の時の思いが伝わる方法はないかと考えた。それが、「20才の自分への手紙」である。そのころ子どもたちは青春真っ只中である。きっと、「小学校の自分ってこんなことを書いていたんだ」と懐かしがるに違いない。
 国語の時間を利用して、手紙を書かせた。

20才の私へ
 こんにちは。私は過去からきた12才のあなたです。今日は、3月16日。
 あと3日で卒業式というところです。
 あなた(私)は今、何をしていますか。「自分の店がほしい」という夢はかなっているかしら。今は、どこで暮らしているの?車は何にのっているの?
 まあ(この手紙を書いているこの年から)8年後には、分かることだけど。

 子どもたちが封筒に自分あての住所を書き、教師が保存する。そして切手を貼り、8年後に発送するだけである。ただ、これだけのことであるが子どもたちは大喜びであった。封筒の中には、思い出の写真やプロミスリングを入れるものもいた。
 私自身も発送が楽しみである。

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 この発送を行ったのが今年度だったのである。

■ 担任の思い

 卒業をすれば子どもたちは学校から巣立つ。小学校のことなど、中学校や高校の記憶に比べれば薄いのが普通である。同級会も自分の経験からも中学・高校が圧倒的だ。
 しかし、自分が一人前になった時にふと小学校時代を振り返る一瞬があってもいいのではないかと考えたのが、そもそものきっかけである。
 この手紙の保管場所は我が部屋。輪ゴムで束ねられた手紙を見るたびに、もうすぐ発送だなと感じていた。また、その後担任した子供たちに「20歳の自分への手紙」を書かせるたびに、あの子たちの発送まであと〇年だなあと思ったものである。

■ 発送、そして・・・

 さて、いざ発送。その子たちが卒業した市ではお盆に成人式がある(帰省に合わせて)ということで、夏休み中に送った。子どもたちの手紙に、私の近況と連絡先を書いた手紙を同封した。住所が変わった子どもたちもいたが、調べに調べて何とか全員分とどけることができた。
 発送翌日、すぐに数人から反応があった。全てメールである。

★手紙届きました!HPも拝見しました。お元気そうでなによりです。日曜にYさんと遊んだ時、この手紙の話をしてたんですよ!私は今、〇〇の〇〇科に通ってます。就職が厳しくて大変です!この不景気ホントどうにかしてほしいです。15日の成人式、みんなどれほど変わっているのか楽しみです。では、これからもお仕事がんばって下さい!手紙ありがとうございました。

 学級会で活発に発言をしていた子からである。時々手紙を送ってくれていた筆まめな子であった。メールも一番であった。

★先生、お久しぶりです。小学校を卒業してから、早いもので八年も経ったんですね。今、私は専門学校に入学し、現在2年生です。先生から届いた手紙を読んで、少しだけ小学校の時のことを思い出し、少しセンチになりました。先生の怒った顔、笑った顔、泣いた顔、印象に残ってます。また、卒業式の日の泣いてた顔、今でも忘れません。また、いろいろとあばれて度々先生怒らせていましたね。

 やんちゃだった子からである。心配なところもあったが立派に成長している近況に嬉しさがいっぱいになった。

★「8年前からの自分からの手紙」は、この夏一番の衝撃でした。先生から手紙が届いた時、初めは困惑しました。なんで8年前の先生から?と思ったのです。いや、封筒の裏に12歳の僕と先生の名前が書いたあったことが、一番僕の頭を悩ませました。封を切り、中身を見ると、僕は顔が紅潮するのを自覚しました。先生からの手紙を読んで懐かしさと嬉しさがこみ上げ、自分からの手紙を読んで年月の経過を思い知ったのです。恥ずかしながら、先生の言葉どおり、小学校6年の時に書いた手紙をすっかり忘れていたのです。

 このように「忘れていた」という子も何人かいた。逆にそういう子は予想外の喜びだったようである。子どもたちからの返信が気軽にどんどん届いたのは、やはりインターネット社会からかなと感じた。手紙だとこのようにはいかないかもしれない。
 もっとも、数日してから今度は何通かの手紙が届いた。メールとは違い、これは格別の味があった。小学校の筆跡と似た文字、そして心がこもった文章はやはり手紙のよさだと改めて感じた。
 いずれ、うれしい声・声・声であった。親御さんからも メールをいただいた。
 反応は期待していなかったといえば嘘になるが、なくても構わないと思っていたのは事実である。そんな中次々と来たメールや手紙の有難さ。格別の嬉しさであった。

■ 教え子に励まされた自分

 メールや手紙には小学校時代の行事のこと、授業のこと、私自身からかけられた言葉等、いろいろなことが書かれていた。
 それらは言ってみれば「私の仕事の評価」とも言えるものであった。もちろん、担任時代にも子どもたちから授業の評価等はしてもらったものの、今回は成長した教え子から見た評価である。子ども時代とはまた違った参考になるコメントが、そこにはあった。
 そして、それらはこれからの自分の仕事に大きな支えとなっている。そういう意味では、子どもたちの「20才の自分への手紙」の返信は、「教師である自分への教え子からのプレゼント」なのだと感じた。これから数回、同じよう
な「20才の手紙」の発送がある。今回と同じように「小さなドラマ」があるのではないかと、ちょっぴり期待している。

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