2009.07.23

野麦峠

私たちの世代で「野麦峠」と言えば、映画や小説を思い出す人が多いであろう。悲惨な製糸工女の物語である。
大学時代に「ああ野麦峠 新緑篇」を映画で見た。試写会で応募したのが当選して、山本薩夫監督が堂々と挨拶をした場に立ち会えた。映画にかける思い、この映画を作った誇りを感じたものだった。

さて、この製糸工女の話は社会科の教科書にも出てくる。「厳しい労働を強いられた」といった感じである。
今月の「社会科教育」に、金沢大学の村井先生が野麦峠のフィールドワーク記を書かれていた。その中に、300人も元工女からの聞き取りの話がのっている。
・「食事がまずい」「賃金が安かった」・・・0%
・「労働が苦しかった」・・・3%
・「(働きに)行ってよかった」・・・90%
この結果を見ると、女工哀史ではなく女工天国であるということを紹介している。

これは一つの歴史の先入観をひっくり返すものである。
少しの自分の経験から固定的な先入観がないだろうか。また、自分はそういう見方になってしまうような授業をしてこなかったか。そういうことを考えさせる原稿であった。

そして、自分がかつてこの野麦峠の資料を使った授業を学校公開授業で行ったことを思い出した。もう15年も前のことだが、その時の授業が鮮やかに蘇ってきた。授業自体は未熟さから失敗だったが、その頃から「社会的なものの見方」にこだわっていたこと、自分なりの教材研究を志していたことは後の自分の基礎にはなったのだと思う。

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2007.10.11

教材開発への熱意

昨日は理科部会の授業研究会で、センターの研修主事さんが来校された。
授業についての助言はもちろんだが、それ以外で実に学ぶことが多かった。

一番なのは、教材研究の楽しさである。昨日の授業の単元が「大地のつくり」ということで、それに関係するいろいろな種類の石や、購入した化石、さらには最近のインターネット情報までおみやげとして持ってきていただいた。さらに熱く教材研究の話をされていた。
理科は自分にとっては、教材開発の分野ではないものの、その話の内容と共に教材開発する熱意にも感心した。そういえば、このごろ教材開発をしていないのでは?原稿も書いていないのでは・・・?
担任外でもこういうことはできるはずだし、新たな提案もできるはず。改めてそう思った。
今年はセンター協力校ということで、多くの学びがあるが、こういう面でもいい学びをしていると思う。

もう一つなるほどということがあった。「研究会ではICT活用が話題になりませんね」という話である。これは本校がICT活用をしていないという話ではない。研究授業ではよく活用されている。でも、日常的に活用されているので、あえて研究会のメインの話になることはない。(これとは別に効果的なICT活用については、ICTプロジェクト部会で研究されている。)これまた考えさせる話であった。

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2007.08.27

違いを調べる楽しさ

徳島に行ったおりに、村井先生に「教材の小ネタに」ということで、「日本一低い山・弁天山」を案内していただいた。「あれ、日本一小さいのは大阪の天保山(今年1月に「登山」した時に確かめていた)では・・」と思いつつ、弁天山に行くと、確かに「日本一低い山」という看板がある。
「まあ、あとで調べよう」ということで、しっかりと「登山」をした。6mあまりの山である。近くのラーメン屋さんで、登山証明書を発行しているという。

家に帰ってきてから、さっそく調べる。結局役だったのはウィキペディアだった。それによると、人工の山で日本一低いのが天保山、自然の山で一番低いのが弁天山ということだった。どちらも確かに「日本一」なわけである。
一つ勉強になった。

地理ではこのような例がけっこうある。たとえば、「池と湖の違い」「海はどこから川になるのか」といったことだ。ネットの出現によって、このような疑問は本当に調べやすくなった。情報の信頼性は確かめなければいけないが、教材開発が楽しみな者にとっては、便利なツールであることは間違いない。

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2007.02.10

「雪合戦」を教材に

昨日の雪プロジェクト研究会、飛び込み授業の話である。
自分の場合は6年生の社会で授業をすることにしていた。テーマは「世界の国々と雪」ということでお願いをしていた。お願いをした時点では、どのような教材でするのか見通しが立っているわけではなかった。ただ、3学期の社会の学習内容と関連づけるには、このようなテーマがいいだろうと考えたわけである。

しかしながら、切り口を決めるのは難航した。「外国と雪」といった関連文献を読んでもいい題材がなかなか見つからない。これはインターネットでも同様だった。いざとなれば、「雪と共に生きる外国の人々の生活」にすればいいかな・・・と思っていた。
そこで今度は「カナダ 雪」といったように「国名 雪」で検索を始めた。そうしたらフィンランドで雪合戦の国際大会が開催されているというサイトが見つかった。しかも「Yukigassen」というように日本語が現地語になっている。
これでピンと来た。今度は雪合戦をキーワードにあれこれ調べる。
すると興味深い事実が浮かび上がってきた。

・雪合戦にも本格的なルールがあり、関連専用グッズもあること
・日本での国際大会には今まで40カ国以上が参加してきたこと
・フィンランドにも国際大会があること
・フィンランドで広まるきっかけは、北海道の壮瞥町との交流から
・関係者はオリンピック種目にしたいという意志をもっていること

外国でも雪合戦が広まっているそのきっかけは、北海道の一つの小さな町からだったという点がドラマチックだった。フィンランドも壮瞥町にも共通するのは、「雪を生かしたまちづくり」という視点。よし、「雪合戦」を切り口に、最後は「雪を生かす」というまとめにしようと考えた。
ここまで来れば、あとは授業の構成を考えるだけだ。

授業については昨日のブログに書いた通りだが、この教材開発の過程は実に楽しかった。自分の知識が広がる喜び、そしてオリジナルの授業を創ることができる嬉しさである。今回は15分だったが、45分の展開になるとまた違ってくる。そのバージョンのプランも考えたいと思う。
このような教材開発ができたのも、「研究会で飛び込み授業を」という要請があったからである。このような機会はやはり有難いのである。

北海道壮瞥町の雪合戦に関わる資料はこちら。また、雪合戦国際大会はこちら

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2006.10.19

私の教材開発物語

小学MMに掲載された「私の教材開発物語」最終回である。題は「5年半を振り返る」。

■ 今回が最終回

 今回でこの連載を最終回とすることにした。
 スタートしたのが2001年の3月。5年半も連載させていただいた。
 連載をして1年が経過した時に、編集長の蔵満さんから「佐藤さんが中止を申し出るまで連載を続けて構いません」と言われ、2年、3年と続き、いつの間にか5年半となった。
 この間に、勤務校が変わり、さらに自分の実践の対象も教材開発関係よりも情報教育の方が増えてきた。そこで、一区切りとして今回で終えることにした。

■ すべてがメモリアル実践に

 この5年半の間、様々な教材開発ができた。チリ地震津波の教材化、イワガキを育てる人々の教材化、日本一のりんご・日本一のみかんの交流等、多くの実践がすぐに浮かんでくる。その時の教材開発でお世話になった皆さん、そして子どもたちの反応も記憶にしっかりと残っている。「この学級では、この実践をしたなあ」というのが、すぐに思い浮かぶ。その点では、教材開発した実践がすべてメモリアル実践になっている。
 特に、2001年の「コマーシャル制作に挑戦!」、2004年の「ザビエルは日本を変えたか」は、全国ネットでの番組(NHK教育)となった。一生忘れられないことである。

■ 有田先生からの一言

1回目のマガジンのテーマが「やはり、有田先生から始めます」というものだった。有田和正先生(東北福祉大学教授、教材・授業開発研究所代表)の授業を参観して衝撃を受け,それ以降自分が教材開発に取り組むようになったという内容だった。教師になって3年目の出来事だった。
 それ以来ずっと,その時に見た有田学級が目標だった。今から2年前、その有田先生に佐藤学級の授業を見ていただいた。長年の自分の夢が叶った瞬間だった。自分なりに教材開発をして臨んだ韓国の授業だった。指導案の通り流れてホッとしていた。
 ところが、有田先生の講評は、「いい授業でした。でも川のようにスッーと流れていますね。もっとこだわりを持っていい」「教材研究にもこだわりを」というものだった。「子どもたちが簡単に理解するのがいい授業ではなく、『なぜなの』と思ったり、追究したりするのがいい授業なのだ。そのためには、教師の教材研究が深くなければいけない」と解釈をした。自分の教材開発はまだまだだ・・・改めてそう思った。

■ 再スタート

 今回の連載終了は自分にとってはゴールではない。あくまでも一区切りである。まだまだ自分の教材開発は続く。その点では、今日が再スタートの日でもあると言える。

 また執筆の機会があったら、皆様にお会いしたいと思います。ありがとうございます。

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2006.09.06

解体新書にチャレンジ!

今年発刊された『社会科の授業ミニネタ&コツ101』(学事出版)の中にある自分のネタを行った。6年生担任になった時にしかできないものなので、今回が3回目。子どもたちもノッテきて楽しんだ。

学級通信 プロジェクトZ 第82号より

 社会は江戸時代を学習しています。昨日学習したのは「解体新書」。教科書で翻訳の苦労の話を読んで、「大変だったんだなあ・・・」と子どもたちは感じ取りました。
 でも、それだけではどうも実感がわかないようです。そこで、突然「これから『解体新書体験』をします!」と私が宣言しました 方法は次の通りです。

①グループごとに体の一部の説明を考えさせる。1グループ一つの部位である。教師がグループごとに指定してもいいし、最初に部位を子どもたちに提示をしてグループごとに選ばせてもよい。
②部位には「目」「耳」といった機能がわかりやすいものだけではなく、「のど」「まゆげ」「ほお」といった説明しにくいものも含める。
③グループで出てきた説明を全体で発表させる。
④『説明はくわしいほどわかりやすい』と言うと、子どもたちは長い説明を必死に考える。

 グループごとに話し合う様子は傑作でした。「うん、それいい!」「エー、どうして「まゆげ」を選んだのよ~」といったつぶやきが聞こえてきました。
 できた班からさっそく黒板に書き込みをしました。実際に子どもたちが書いたのは次の通りです。

■目・・・物を見ることができる。真ん中の黒い部分で見る。さらに、目は上下左右に動かすことができる左右の一部。
■耳・・・人の声を聞き取るもの。また、音楽などの音を聞き取るもの。中にもこまく等があり、聞き取ることができる。
■のど・・食べ物をのみこんで体に入る時の通り道。空気を吸った時に、肺に行く時の道。
■まゆげ・うす黒く太く長いおまけのジリジリした毛。人をハンサムにする毛。
■ほお・・表情が出やすいもの(赤くなったりする)。顔の中で面積が広い部分。
■鼻・・・顔の中心にある。口とつながっている。おもに空気を吸ったり、においをかいだりする。(酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す)

 一番子どもたちは拍手が大きかったのは「まゆげチーム」です。ユーモアが抜群ということでした。子どもたちは次のような感想を持ちました。

・杉田玄白はこんなに難しいのを3年半もやって、すごいと思いました。
・解体新書を作るのはけっこう難しいと思いました。昔の人はすごいと思います。
・参考になるものがないととても大変だし、どういう意味なのかもわからないと思いました。

 楽しみながらもちゃんと「解体新書作り」の苦労を感じ取ることができた授業になりました。

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2006.09.01

お菓子の教材化

たまには息抜きでお土産の話を。
研修会や会議等で遠出した時にはお土産を買う。しかし,じっくりと見ている時間はなかなかない。駅で目についたものをパッと買うことが多い。先週,大阪から帰る時に「赤福」が目についた。有田和正先生が教材化したものだ。

全国的には有名だが,東北人にとっては,あまりなじみがない。私も有田先生が話をするまでは知らなかった。さっそく購入して我が家で食べたのだが,大好評だった。やはり名物だ。
ホームページを見てみると,メイン教材にはならないもののミニ教材にはなりそうだ。ちょうど江戸時代の学習で次の時間にお伊勢参りの話も扱う。すっかり「地域のよさ・日本のよさ」の話題が薄くなっているので,このようなミニ教材を増やしていければ・・・と思う。

ちなみに我が奥州市には同じく300年以上続くお菓子として岩谷堂羊羹がある。同時に話題にしてみようと思う。

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2006.08.22

環境教育だが多くのねらい

本校は今年「エコ改修」の指定校になっている。
校内にも「エコ・プロジェクト部会」ができ,何かしらの環境教育実践をすることになっている。6年生は2学期にしようと決めていたが,環境問題の1つをテーマにすることにした。

書籍やインターネットだけで追究させることも可能だが,せっかくの指定校である。関連団体との関わりを持って授業をしようと思っている。今日,何度もメールで情報交換させていただいたが,その過程で「いわてエネルギー環境ネットワーク」という組織があることも知った。先達もいるし,専門家もいる。

かつて「ゲストティーチャーとの授業」をどう作るか,けっこう凝った時があった。その時の経験が生かせそうだ。さらには,ぜひともプレゼン等の情報教育も行っていきたいと思っている。
学習は環境教育。でもその背後には多くのねらいを持った学習になりそうだ。

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2006.07.04

子どもと一緒に学ぶ

今日は校外学習だった。
旧水沢市は「偉人のまち」が代名詞。特に高野長英(幕末の蘭学者)、斎藤実(戦前の総理大臣、2・26事件で暗殺)、後藤新平(初代東京市長・台湾の近代化に貢献)が「3偉人」として誇りとしてきた。

本校ではその3偉人の足跡をたどり、合わせて自分なりの学びを考えていくために、「先人に学ぶ」という総合的な学習の時間を設けている。その一環の学習である。

3偉人にはそれぞれ記念館がある。歩いて行ける範囲にあることは本校にとって有難いことだ。3施設をグループ別にまわる。
同時に自分も3偉人について学ぶ。それぞれの業績等についてはある程度教師自身が調べているし(当然のことだが)、記念館にもかなりの回数で来ている。それでも、その都度来るたびに新たな発見や自分なりの思いを感じることがある。

今回斎藤実が総理大臣になった年齢に改めて驚いた。何と73歳。平均寿命が短かった70年以上も前の話だ。30代で海軍大臣になってから40年もの間、国の政治の中枢にいたことになる。これには驚いた。何かことをするのにも「もう遅い」というのはないのではないか。そんな気がした。
後藤新平記念館に行き、後藤新平の会が発足されたことを知る。100年近く前の人物が現在も影響を及ぼしている。これぐらい偉大な人物だとは。自分の仕事が後世の時代の学びになる・・・そんな仕事を目指すべきだと改めて感じた(とてつもない目標だけど)。

その他にも細かな発見が数多くあった。子どもたちと一緒に自分も学んだ校外学習である。

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2006.07.02

私の教材開発仕事術

 メールマガジン「教材・授業開発研究所ニュース」の3号の掲載された原稿です。これは有田和正先生主宰の教材・授業開発研究所のメルマガです。発刊されたばかりです。ぜひご登録ください。3号には有田先生も「教材研究の仕方」をご執筆されています。登録やバックナンバーはこちらから

 有田和正先生の影響で教材開発を進んで行うようになって十数年。「本で調べる」「可能であれば現地取材、できない時には電話取材で」が教材開発の基本である。さらに自分なりの仕事術も最近は加えている。以下、紹介する。

1 きっかけとしてのインターネット
  一次情報を知るという点ではインターネットは本当に便利である。キーワードを打ち込むだけで関連情報、図書、キーマン等が見つかる。以前「青い目の人形」を教材開発していた時に、身近なところにあることをインターネットで見つけたことがあった。地域関係の教材開発の時にも必ずチェックしている。

2 いつでもどこでもデジカメ
 デジカメの便利さは言うまでもない。外出した時に「これはおもしろい。授業の教材となる。」と思うことが時々ある。その時の記録用に持ち歩き、気軽に写真を撮るようにしている。そのまま教材用写真として提示することもしばしばである。

3 地域巡りは自転車で
 学区のことや市のこと、そしてそのよさを子どもたちに知ってほしいと思っている。そのためには教師自身が知ることがまず一番である。時間があれば可能な限り地域を巡っている。それも自転車で。「小回りがきく」「あちこちを見ながら移動できる」「駐車に困らない」ということを考えたら、自転車がいい。

4 旅行は新たな教材開発のチャンス
 その土地の産業や〇〇記念館などは、授業にそのまま使える資料が入手できることが多い。もちろんインターネットでも調べることができるが、現地を見て閃くこと、取材から学ぶことはその何倍も教材開発がしやすい。昨年度は北海道と沖縄に行き、5年生の社会の学習で役立てることができた。もっとも家族旅行の場合にはほどほどにしないと家族にあきれられるが・・・。

5 あちこちの情報から発想を得る
 新聞やテレビ、ミニコミ誌等も貴重な情報源だ。最近はテレビで「わりばしが値上げ。中国からの輸入が減っていることが理由」という番組を見た。環境教育の一つの教材になりそうである。このようなヒントはあちこちに転がっているものだと感じる。

6 いつくものネタを「温めておく」
 現在6年生の担任である。学習する単元について何かしら工夫した教材開発を心がけるのは当然である。同時に思いつくまま、気の向いたまま他学年のものも調べている。それらのネタを温めておくことにより、そのネタの視点が自分の中に意識化される。そうすると不思議なもので関連情報が集まってくる。これは、その学年を受け持った時の自分のためばかりではない。他の先生方にも提供できるネタを・・・と考えている。

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2006.06.24

ITを活用した教材提示

メールマガジン小学 連載 私の教材開発物語(第58回)の原稿です。

■ 教材提示の変化

 今月12日に研究授業を行った。6年生の社会、鎌倉時代の導入である。使った資料は教科書にある「武士の館」の想像図だ。プロジェクタでスクリーンに拡大投影をする。子どもたちがその図について思ったこと、気付いたことをどんどん発表をする。時にはマーカーで必要なことをスクリーンに書き込む。
 教科書と同じ図が黒板のスクリーンにあることによって、聞き手の理解度も高まる。IT活用のよさだ。
 この内容で研究授業を行うのは2度目だ。私は10年以上前に行われた研究授業を思い出した。武士の館の図を何度も拡大コピーをする。十数枚を今度は貼り合わせて大きな一枚の絵にして、子どもたちに提示したものだった。準備にかなりの時間をかけたことを思い出す。それが今回の研究授業では、絵をスキャナでパソコンに取り込むだけ。あっという間だった。時代の変化である。
 
 今回はこのようなIT活用の教材提示の話である。
 
■ ITだからできる教材提示

 私は機器に強い方ではない。パソコンにしても、ちょっと難しいことになるとお手上げで、よく同僚に聞いている。
 そのような私でも、先のようなIT活用は日常的に行っている。簡単に提示したい場合には実物投影機+プロジェクタを活用している。先のように教科書を映すことが多いが、子どもたちのノートや作品もよく映す。また、玉どめといった教師の実演や算数での子どもたちの操作活動も簡単に映すことができる。
 もっともこれは私の教室に実物投影機とプロジェクタが備え付けになっており、活用を思いついた時点で即実行できる強みがあるからだが。

■ 画像検索で適切な教材を見つける

 インターネットの登場により、教材開発の方法も変わってきた。一次情報は簡単にインターネットで調べられるようになってきた。むろん、インターネットのみでは不十分なこともあり、新たな教材開発の時には可能な限り、関連文献を書籍で探したり、現地で調べたりしている。
 ただ、「これはインターネットならではだ」と感じたことがあった。本市には「角塚古墳」という日本で最北端の前方後円墳がある。子どもたちにその様子を示そうと写真で撮影をしたが、横からの撮影だと「ちょっとした小高い土
地」にしか見えない。
 そこでGoogle等の画像検索サイト(キーワードを入力すると関連する画像を探すことができる)を利用することにした。「角塚古墳」と入力したら、空中から見た古墳の画像が出てきた。形もばっちりとわかる画像である。これなどはITの強みである。
 この画像検索はこのように写真教材を提示する時に有効である。交通安全ポスターの参考作品を探す時にも私は活用している。

■ デジカメで教材ができる

 デジカメで撮影をした画像は簡単に教材にできる。指導内容に合わせた素材はもちろん、学習活動中の子どもたちを写したもの(合唱の様子や器械運動)、子どもたちが撮影したもの(理科実験の様子や調理実習の作品、町探検の写真)も貴重な教材になる。
これらは「保存できないもの」である。そしてそれらは、教材として拡大提示させることによってその後の学習を深化させることができる。たとえば、合唱の様子を見て歌い方を考えたり、理科実験の様子について画像をもとに話し合ったりする。自分たちに関わる資料だけにその効果も大きい。

■ 一部を隠す

 教材を提示する時に「一部を隠す」ということは、子どもたちの思考を活性化させる。
 たとえば、チョウの写真を、足の部分を隠してプロジェクタで拡大提示する。いくつかの答えが出てくる。改めて正しい答えに子どもたちは注目をする。たとえば、教科書の顕微鏡の部品名を虫食いのような形で提示する。知識を定着させるために有効である。
 これらは画像を簡単に編集するだけでできる。簡単なIT教材作りである。

■ 効果があるから使う

 先に述べたように私は機器に強い方ではない。しかし、今まで述べたIT活用や教材作りには積極的だ。授業で大きな効果があるのがわかるからである。 
 ただ留意していることがある。それは「『はじめにIT活用ありき』ではない」ということである。基本的な授業の流れがあり、その中でIT教材提示が効果的だと考えられた時に使うのである。当然のことながら、そこでは活用目
的が明確である。逆に言えば活用する必要がないという時には用いない。いわば、「効果的な活用はするが、不要な時にはこだわらない」ということが基本的なスタンスなのである。

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2006.06.06

もっと教材開発

NHK「クローズアップ現代」を見た。おもしろいテーマの時は見ている。といってもゴールデンタイムなので、家族とのチャンネル争いがあるが。

今日は「割り箸に異変あり」というテーマだった。日本人は一人あたり年間200本も割り箸を消費しているという。それが急速に値上げされているという。割り箸の97%は中国の生産。今、中国は経済成長や森林保護で、輸出が難しくなりはじめているとのこっと。さりとて日本での生産も、林業そのものの衰退で難しいという内容だ。

これは環境学習の一つの教材になると感じた。そもそも自分が本体のホームページを作ろうとしたきっかけは教材開発した実践を公開することにある。特にその中でも「地域のよさ・日本のよさ」にこだわっていこうというので、ホームページ名もそうしている。

最近は肝心の教材開発自体が少ない。ましてや実践もだ。このような内容を思いついた時に記録していこうと思う。それによって今年の教材開発も充実してくるであろう。

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2006.05.20

連載原稿

小学メールマガジンの連載「私の教材開発物語」の原稿である。

著書紹介:「社会科の授業ミニネタ&コツ101」

■ この春、発刊!
 この春、私が編集した本が発刊された。
 『社会科の授業ミニネタ&コツ101』(上條晴夫監修・佐藤正寿編著・学事出版)である。
「社会はなかなか教え方がわからない」
「課題を出して、それを教科書や資料集で子どもたちが調べて発表させるというワンパターンの授業ばかり」
「おもしろい教材開発をしたいけど、簡単にできない」
 このような悩みの解決に大きな助っ人となるのが本書である。教師であれば誰でもすぐに実践できるミニネタを101本集めた。一目見て「実践してみたい」と思うようなミニネタ揃いである。
 目次に101のネタが書かれている。

・地図記号作文を読み取ろう(地図記号の暗号作文を読み解くネタ)
・簡単アンケート資料作成(子どもたちにアンケートをし、資料で使うネタ)
・〇〇県特産定食を作ろう(地図帳の絵記号から、オリジナル定食を作るネタ)
・ケータイ新機種開発コンテスト(未来のケータイを開発するネタ)
・みんなで作ろう「解体新書」(自分たちで体の一部分を説明するネタ)
・お気に入り人物を選ぼう(歴史人物で時代ごとに好きな人を発表するネタ)

 この目次だけ見ても、本書のミニネタの活動がイメージできると思う。先のネタは、私の学級で子どもたちが興味を持って取り組んだものである。

■この本でのミニネタの特色

 この本におけるミニネタの特色として、次の3つがあげられる。

1 何と言っても楽しい
一般的に社会科が、「好きな教科ランキング」で上位にあることは少ない。子どもたちに人気がない。そこには「授業での楽しさ」が不足しているのではないかと考える。「工夫された活動を体験する楽しさ」「知識を広げる楽しさ」
「友だちと考えをコミュニケーションする楽しさ」等々。基本的にミニネタには子どもたちが「楽しい」と感じる活動が組み込まれている。楽しさが増すことによって、子どもの学習意欲は高まる。
実際にミニネタを使った授業では、「楽しい!先生、もう1回」といったような声がよく聞かれる。ミニネタの効果である。

2 バラエティな活動ができる
ミニネタをいくつも知っていれば、様々な場面で多くの活動に取り組ませることができる。たとえば、次のように。
・まとめでキャッチコピーを作る
・未来の自動車を新しい発想で提案する
・クイズを作って出題したり、答えたりする
・ミニロールプレイをして歴史人物になり切る
・コンテスト形式でアイデアを競う・・・等々
 このような活動のバラエティさがミニネタの特色である。そして、バラエティであることによって、子どもたちの学習技能も幅広く育つというメリットがある。

3 「活動のミニネタ」は応用がきく
 ここに紹介されているものの多くは「活動中心」のミニネタである。「教材のミニネタ」は1回の学習でその役目を終えてしまうことがあるが、活動中心の場合には応用がきく。先のロールプレイやコンテスト形式は多くの単元でも実践が可能である。

 その点でこの本は繰り返し活用できる本だと思われる。

■ メーリングリストをフル活用

 この本ではメーリングリストをフル活用して作業が行われた。たとえば、次のようにである。

・ライター(中心メンバーが3人、他に20人)がメーリングリストでミニネタ案を出す。
・出されたミニネタ案を編者とライターが検討し、執筆するネタを絞る。
・執筆段階で疑問点や必要な情報の交換を、メーリングリストを通して行う。
・執筆した原稿をメーリングリストに提出する。
・原稿に対して編者を中心にコメントを行い、必要に応じて修正をして、再度提出する。


 この本の場合、最初から執筆項目が決まっていたのではない。各自から出された案をもとに決める。その場合、メーリングリストは大変便利である。たとえば、あまり執筆経験のないライターでも、先に発信している人の分を見
て、参考にできる。これは、各自がバラバラで執筆した場合にはできないことである。また、疑問点や情報交換もスピーディーに行われた。

この本の製作過程で、「発信したメールが全員で共有化できる」というメーリングリストのメリットを最大限生かすことができたと思っている。

 今年度、私は6年生担任。さっそくこの本を活用して授業を行っている。
 なお、国語、算数、理科の「ミニネタ&コツ101」の本も同時発売されている。算数はこのメールマガジンの編集長である蔵満逸司氏が編著者である。
 これもお勧めの一冊である。

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2006.04.06

中学校社会科教科書

小学校より一日早く、中学校は今日が始業式。
中3の娘が新しい教科書を持ってきた。興味のある国語と社会を拝借する。

中3の社会は公民である。公民の教科書を見るのは本当に久々だ。
実際に見て、「ずいぶん変わったなあ」と思った。まず掲載されている写真が今のテーマが多いと感じた。党首討論の写真、横田夫妻の写真、HIV訴訟での川田氏の写真等。現代社会と教科書が密接になった感じだ。
さらに取り上げ方も面白い。たとえば最初の学習は「キャッチコピーで見る社会」で、「オー、モーレツ」(40歳以下は知らないだろうな)といったコピーと写真が紹介をされている。
そして最後には日本国憲法が掲載されている。
かつての教科書と違い、「資料集的な要素を持った教科書」になっているのだ。
そこにある資料はそのまま小学校では活用できないが、教材開発のヒントにはなる。そう感じた。

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2006.03.01

模擬授業で学ぶ(下)

小学MMの原稿より。昨日の続きである。

■IT活用のイメージを広げる模擬授業

文科省主催「ICT利活用促進セミナー」は、全国の各都道府県で2月以降に行われているものである。
セミナーのきっかけは文部科学大臣小坂氏の「教育の情報化の推進のための緊急メッセージ」である。
 国が策定した「教育の情報化」の目標の達成は困難な現状である。そして、このような計画でセミナーが開催されることになった。

 この中の模擬授業を30分間、行うのである。IT活用の研修会は参加者の実態を考えて内容を決めなければいけないが、今回の参加者は小学校・中学校・高校・養護学校の先生方および指導主事等の行政関係者である。経験も初心者から情報教育に詳しい人まで様々ということであった。
 そこで、様々なIT活用場面を提示することにした。幅広い参加者ということで3教科を2場面ずつ、つまり6種類のIT活用を扱うことにした。一つの場面は4分ぐらいだが、これも模擬授業だからできることだ。内容は次の通りである。

1 社会・プロジェクタで大写しした写真を読み取る。
2 社会・プロジェクタで大写しした資料(グラフ)の一部を編集して(隠して)、話し合いをして読み取る。
3 体育・デジタルコンテンツで側転のテクニカルポイントを話し合う。
4 体育・実際に側転をしてもらい、それをデジカメの動画撮影で振り返る。
5 算数・パワーポイントで作ったフラッシュ暗算に挑戦する。
6 算数・面積を求める問題の考え方を実物投影機で操作活動を拡大提示する。

 会場では実際に実物投影機やデジカメ等を参加者に使って発表をしてもらった。IT活用の具体的なイメージを持つことができたと思われる。私からは、1教科終了ごとに他の活用例について、写真を使ってプレゼンをした。参加者がうなずきながらスクリーンを見つめる姿が印象的だった。

■ 2つの模擬授業で得をした

 この2つの模擬授業で得をしたのは実は自分自身である。次のようなメリットがあった。

1 模擬授業の準備のために自分の実践を見直した。
 →自分の実践の「強み」を改めて自覚した。
2 準備のために他の実践例を研究した。
 →関連情報を知ることによって自分の不足面を自覚できた。
3 模擬授業のために新たに教材を作ってみた。
 →自分のレパートリーが広がった。
4 模擬授業のよさを感じることができた。
 →研修会でもっと取り入れようという意欲を持つことができた。

 これらは今まで模擬授業を行っている人にとっては当然のことであろう。自分もこのようなメリットがありそうだということはわかっていたが、この1カ月の2回の模擬授業でしっかりと自覚することができた。今後も機会があった
ら模擬授業に積極的にチャレンジしていきたいと思う。

※2月20日。周辺市町村と合併をして、私の住んでいる水沢市は人口13万人の奥州市になった。特色ある地域との合併なので、新たな教材開発が楽しみである。

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2006.02.28

模擬授業で学ぶ(上)

小学MMに連載している原稿である。上と下に分けて紹介をする。

■ 2つの模擬授業

 この1カ月間に教師対象の模擬授業を2回行った。
1回目は1月27日。宮城県登米市立北方小学校に招かれてのミニ講演で社会の模擬授業を行った。2回目は2月14日。文科省主催「ICT利活用促進セミナー」岩手会場でIT活用についての模擬授業を行った。
 日頃、発表や話をする機会は時々ある。しかし、模擬授業については校内以外ではしたことはなかった。その点で自分にとっては貴重な体験となった。

■ 発問の組み立てを意識した模擬授業

 登米市立北方小学校には「授業づくり研修会」で招かれた。北方小学校の職員はもちろん、近隣の学校の先生方も来校された。国語の研究授業の後、研究会(助言)、その後ミニ講演会という段取りである。
 当日の授業の様子は北方小学校研究主任・皆川寛氏のブログに詳しい様子が書かれている

 講演のテーマは「学力向上に効く授業づくり~ノート指導を生かして~」である。内容は次の3本立て。

1 私の授業づくり
2 模擬授業(社会)
3 ノート指導のコツ

 模擬授業を途中に組み入れたのは1の授業づくりの組み立て例を、実際の模擬授業で感じてほしかったからだ。しかも、1と3の内容は参観者がずっと聞き手の立場となる。そこに模擬授業が入れば、雰囲気も変わると考えてだ。
 自分が計画した模擬授業の時間は10分。内容は小学校5年生の社会科。ポイントは「教科書資料の発問の組み立て」である。10分程度の模擬授業の場合にはこのように何らかのテーマを絞っておくとよい。

 実際に模擬授業で使う資料は、環境の単元にある植林活動をする漁師さんたちの写真である。山に大漁旗が広がっているユニークなものだ。子どもたちだけではなく、教師も興味がわく写真である。
 その写真を最初プロジェクタでスクリーンに大写しし、次の4つの発問を行った。

・何が見えますか。(基本情報の確認)
・わかること、思ったことを書きなさい。(情報を作り、広げる)
・誰が、何をしているのでしょうか。(情報を学習内容に絞り込む)
・なぜ漁師なのに、山に木を植えているのでしょうか。(中心発問)

 それまで授業づくりの話でやや固かった雰囲気が模擬授業によって、変わった。参加者は子どもの立場での参加。実際に発問に対する答えを書いていただいた。ユニークな答えに思わず笑いも出て、4つの発問による模擬授業は終わった。
 終了後、私から模擬授業のミニ解説を行った。先の発問のかっこの部分である。「情報蓄積」という視点から見れば、一つ一つの発問が違うことがわかる。
 ただ単に模擬授業を行うだけではなく、このような解説をつけることにより、参加者は授業理解の一助になると感じた。(つづく)

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2006.01.23

雪をプラスのエネルギーに

小学メールマガジンの連載「私の教材開発物語」に執筆したものである。昨年、雑誌に雪エネルギーについて書いたが、内容を変えてメールマガジンに改めて執筆をした。

■ 雪国の人にとっての雪

 今年は連日のように大雪のことがニュースになる。
 確かに今年は尋常ではない。私の住む岩手でも年末年始とよく雪が降り、雪かきに追われた。冬休みの間は子どもたちに被害はなかったが、これから雪で狭くなった登下校での安全が心配である。
 このような状況は、まさに「雪害」である。

■ 雪をエネルギーにする

 それに対して「利雪」という言葉がある。雪を利用して産業や生活に役立てることだ。
 昨年の8月にその利雪施設を見学する機会があった。北海道赤井川村の雪氷室貯蔵施設(HIMUROS)である。
 概略を説明する。
 この農業倉庫では雪を冷熱源としている。赤井川村は冬にかなりの量の雪が降る。それを生かしたものである。その倉庫の中に入ると、雪氷庫に雪の塊があった。かなりの高さである。5~6mぐらいはあるだろう。聞けば春先の雪を300t以上も貯蔵しているという。そこから出る冷気で夏でも5度以下に保たれていた。施設を作るための初期費用は高価なものの、日々のコストは電気に比べたら格安(およそ6分の1ぐらい)というメリットがある。
 この環境の中でトマト、ブロッコリー、メロン等が貯蔵され、鮮度が保たれたまま出荷ができるようになったということであった。
 この見学で一番強く感じたのは人間の知恵である。雪国の人にとって、冬は大変な季節に違いない。今年のような大雪の年などは、まさに命がけで作業をしなければいけないこともあるだろう。もちろん、雪が降るからできることもある。スキーなどのスポーツはその典型であるだろう。
 その雪のエネルギーを産業に役立てる。その知恵に感心したのである。同時に、「これはぜひ授業をしたい」と考えた。

■ 授業「雪は大切なエネルギー」(小学校5年生対象・2時間)

★1時間目・・・雪のエネルギーに驚く
1 貯蔵施設と保管されているトマトの写真(取材の時に撮影をしたもの)を示し、夏の低温貯蔵の写真であること を説明する。
2 何を使って冷やしているのか予想させ、話し合わせる。
3 答えが雪エネルギーであることを教え、施設の様子を、図を使って説明をする。
4 このような雪エネルギーを使った施設が他にもある(住宅冷房、実験室等)を伝える。
5 感想を発表させる。

 ここでおもしろかったのは2の予想である。子どもたちは圧倒的に「倉庫自体が巨大な冷蔵庫になっている」と考えた。「違うしくみで冷やしています」と答えたら、子どもたちから様々な意見が出てきた。

「ずっと扇風機を回していると思います」
「でも、扇風機だけならそんなに低温にはならないと思います」
「北海道の写真だから、きっと雪を使っているのではないかと思います」
「えっ、夏に雪は解けるから無理です」
「寒い時期から低温にしておけば雪は解けないと思う」
「写真には金網がある。そこに雪を置いて空気が冷えて倉庫を冷やしていると思う」
「温度を考えたら雪しかない」

 このように話し合いの流れで雪派が多数を占めてきた。しかし、一部の子はまだ半信半疑である。「そんなに雪の力はすごいのか」という疑問である。
 ここで実際に「雪・氷室システム」という仕組みを説明する。「雪も電気と同じようにエネルギーになること」「春先に入れた雪でずっと秋まで低温が保たれること」「このような倉庫だけではなく、家庭の冷房にも使われているこ
と」等を話したら、子どもたちは感心をしていた。

★2時間目・・・雪エネルギーを使うよさを考えた
1 雪氷室貯蔵施設で雪エネルギーを使うよさについて考える。
2 雪氷室貯蔵施設は経済的な負担な大きいという事実を示し、ゆさぶる。
3 「費用がかかっても、このような施設を作るのはなぜか」と問い、雪エネルギーを使うよさについて再度深める。
4 感想を発表させる。

 子どもたちは今までの様々な学習で環境を守っていくことの大切さを学んでいる。この「雪エネルギーを使うよさ」についても、「自然を生かす」「電気をあまり使わないので環境にやさしい」というように気づいていった。
 しかし、このような「よさ」だけに触れて学習を終わりにしてしまうのは、現実的ではない。新たに施設を作るには多くの費用がかかる。また、その後の運営コストが安くても、最終的にかかるトータルコストは雪冷房の方が少し割高になるというデータもある。
 このような資料を示すと、子どもたちには「では、なぜ雪エネルギーを使う施設を作るのだろう」という疑問を持つ子も出てくる。
 そこで改めて「費用がかかっても、このような施設を作るのはなぜか」と聞いた。
 子どもたちからは「やはり環境のためになる」「雪エネルギーでできたという野菜でPRになる」といった考え方が子どもたちから出てきた。確かに、運営側では雪エネルギーによるPR効果もメリットと考えているようである。こ
れもまた社会の一面である。
 これらに、「利雪による地域の活性化」という視点を教師から付け加えた。

■ 「雪たんけん館」にアクセスを

 北海道の「雪プロジェクト」の研修会に参加したことが、この見学のきっかけであった。この「雪プロジェクト」では、「雪たんけん館」というホームページを開設している。

 子どもたちが雪について調べる時に役立つのはもちろんだが、教師が教材用として活用したい写真も揃っている。ぜひアクセスしてほしい。
 3学期最初の社会の単元で沖縄と北海道のくらしについて学習をする(5年生)。もちろん、この「雪たんけん館」のホームページをフルに活用するつもりである。

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2005.12.24

著書紹介

 連載している小学MMに自著のことを書いた。その原稿である。

連載 私の教材開発物語 第54回

著書紹介:この冬発刊!お勧めの2冊

佐藤 正寿(岩手県水沢市立水沢小学校)

■ 編著と共著の発刊

 この冬、私が関わった2冊の本が発刊された。

 1冊は『IT活用の授業ミニネタ&コツ101』(上條晴夫・佐藤正寿編著・学事出版)である。IT授業初心者の先生方のための本である。
 普通の先生が簡単にできて、子どもが授業にのってくるITを活用したミニネタが満載の本。次のWebの目次を見れば「これならやってみたい」と思うであろう。
☆『IT活用の授業ミニネタ&コツ101』の学事出版のHP

 愛知県の小牧市IT活用委員会からは、「会員にぜひ配布をしたい」ということでまとめて30冊の注文があった。小学校はもちろん、中学校でもIT活用のテキストになるような本だと自負している。

 もう一冊は『できる教師のデジタル仕事術』(堀田龍也・玉置崇・石原一彦・佐藤正寿著・時事通信社)である。

 この本は教師の仕事術をテーマにした本である。一般社会のビジネス書は数多く発刊されている。しかし、「教師の仕事術」というのは各自が自分なりの術を持っているのに、本になることは少ない。そこにスポットを当てた内容である。
 4人のライターはそれぞれ立場が異なる。堀田氏は研究者、玉置氏は管理職(校長)、石原氏はIT達人、私は授業屋の立場から執筆している。その仕事術の項目も魅力的だ。「情報を集める仕事術」「人と会う仕事術」「学級事務をスピードアップする仕事術」「授業の質を上げる仕事術」といった日々直面する仕事術がテーマである。さらに、「無意味は会議での仕事術」「スランプに陥ったときの仕事術」というように「そんな時、確かにある!」という例もある。
 これまた見逃せない1冊である。

■ 初の編著でメーリングリストをフル活用

 今まで単著を2冊出しているが、『IT活用の授業ミニネタ&コツ101』は私にとって初めての編著である。
 この本ではメーリングリストをフル活用して作業が行われた。たとえば、次のようにである。

・ライター(小学校教師を中心に13人)はメーリングリストでミニネタ案を出す。
・出されたミニネタ案を編者が検討して決められた数に絞る。
・執筆段階で疑問点や必要な情報の交換を、メーリングリストを通して行う。

 この本の場合、最初から執筆項目が決まっていたのではない。各自から出された案をもとに決める。その場合、メーリングリストは大変便利である。たとえば、あまり執筆経験のないライターでも、先に発信している人の分を見
て、「このようなネタでいいのか」と参考にできる。また、あるライターが数多くネタの案をメーリングリストに発信すれば、それが刺激になって他のライターもがんばって発信するということもあった。もちろん、疑問点や情報交換
もスピーディーに行われた。
 この本の製作過程で、「発信したメールが全員で共有化できる」というメーリングリストのメリットを最大限生かすことができたと思っている。

 ただし、一度編集会議を持った。これはこれで必要なことであった。本の趣旨は文書で提案していたものの、各自によってイメージが異なる。また書き方も各自によって解釈が異なる。その点で、実際に顔を合わせてディスカッションをするということは必要不可欠なことだと感じた。

 なお、メーリングリストは本が発刊された今は、本のPR作戦の場であるとともにさらなるIT活用交流の場となっている。

■ 自分の仕事術を振り返る

 『できる教師のデジタル仕事術』は自分の仕事術を振り返るいい機会になった。もともと「仕事術」に興味があったということもあり、この本の執筆は実に楽しいものであった。
 実際に発刊して10日あまり。読者からの感想も続々届いている。その中で共感が一番多いのは「その場主義」ということである。たとえば、ノート点検では次のように書いている。

 たとえば、ノート点検はその場で持ってこさせてすぐに見る。持ってこさせれば、子どもたちに「上手なノートだね」「よくこんなに書いたね」と声もかけられる。これが後で返却となれば、放課後に見ることとなるし、返却のため
の時間も費やす。もちろん、じっくりと評価したり、コメントを必ず書いたりという場合には別だが。不思議なもので教師が「その場主義」となると子どもたちも同じような行動をするようになる。
『できる教師のデジタル仕事術』より

 これは子どもの指導だけではなく、事務的な仕事でも同様だ。机上に提出物があったら、すぐに取り掛かる。原稿依頼があったら、依頼要項を読み、すぐに思いついたことをメモする。それが頭の中に残り、関連情報に接した時にひらめくものである。先日も6年生の子が「卒業文集への一言をお願いいたします」と小さな紙を持ってきた。その子たちが他の先生に依頼している時に、その場で書き上げた。後回しにすると、集める子どもたちも再度集めに来なければいけないし、自分も紙を探したり書く内容を再考する時間がかかったりする。
同じ内容を書くのなら断然「その場主義」がいいのである。

 本著はこのような仕事術が盛りだくさんである。「デジタル仕事術」と題名にあるが、デジタルをとっても十分に参考になる。ぜひ手にとって見ていただきたい本である。

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 このメルマガの編集者である蔵満逸司氏は次のように「デジタル仕事術」の感想を述べている。有難い感想である。

『 『できる教師のデジタル仕事術』、面白いです。実は、同じだなあと思うところが多々あり、不思議な気もしながら読んでいます。その場主義も大賛成です。後の名文よりその場の短文と思い、ノートや連絡帳などなるべくその場で返しています。メールでも同じです。後で・・・と思って書いていない返事やお礼の手紙・メール・・・反省です。
 とにかく読んでみてください。ひょっとしたら、時間の使い方が大きく変わるチャンスかもしれませんよ。』

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2005.12.13

師走ネタ

通知表で学級通信ネタにも困りそうなこの時期に、私には定番のネタがある。「ぼく、私の3大ニュース」である。ネタ集めは一人一人に、それぞれの今年の3大ニュースを書いてもらう。
「学級通信に掲載するので、みんなに読まれたくないものは書かないこと」
「学校のものを二つ以上にすること」
「5年生になった4月以降のものにすること」
といった条件をつける。しばし考える子もいるが、5分ぐらいすれば全員書いて出し終える。自分がそれをパソコンにして学級通信にするのが15~20分程度。それが3号分。全員が登場するし、子どもたちに関わる出来事がわかるので、私は定番として活用している。

この通信はもちろん「今年の十大ニュース」という新聞記事からのヒントで作ったものである。

そういえば「今年の漢字」は「愛」だとか。このネタをヒントに子どもたちに「あなたの今年の一年を漢字で表すと・・・」というネタの授業もよくする。「動(よく動くまわった)」「食(どんどん食べられるようになった)」というように子どもたちは考えつく。中には「太(体重が・・・・)」と思わず笑ってしまうものもある。これは最初に述べたように「今年の漢字」がヒントだ。

このような師走ネタ。ヒントはテレビや新聞。生かせるネタがけっこうあるものだ。

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2005.12.02

水沢自慢のキャッチコピー

 総合的な学習「水沢の自慢番組を作ろう」の授業である。水沢テレビから一つの番組として取材させていただきたいという連絡が来た。自分の実践が映像記録として残るのは本当に有り難いことだ。

学級通信 ファンタジア 134号より

 自慢番組を作る時に一番大切なのは「伝えたいことは何なのか」を明確にすることです。それを明確する方法の一つとして「キャッチコピーを作る」という方法があります。
 NHK教育テレビに「体験!メディアのABC」という番組がありました。これはメディアに関わる学習をするための番組で、その中にキャッチコピーの回があり、これを活用してキャッチコピー作りをすることにしました。
 方法は次の通りです。

① 取材や調査した中でキーワードになる言葉を抜き出す。
② その中から2~3個ぐらい、伝えたい内容にふさわしいキーワードを選ぶ。
③ それらを組み合わせて効果的なキャッチコピーにする。

 方法が分かれば子どもたちは意欲的に活動に取り組みます。取材や調査をしたので、どんどんとキーワードをカードに書き込んでいきました。「『歴史』はいいよ。長い歴史があるから」といった会話をしながら、子どもたちは重要なキーワードを選んでいました。
 ただ難しかったのが選んだ後のキーワードをつなげる場面です。ただ単に言葉を合わせただけではインパクトは強くなりません。様々な並べ方を試したり、他の重要な言葉を入れたりして、20分ほどでキャッチコピーは完成しました。画用紙に書いての発表です。
 紹介をしましょう。

★ 後藤屋チーム 季節を感じる手作りの味

★ 武家屋敷チーム 歴史がいろいろ、武家屋敷

★ 日高神社チーム 樹齢900年、文化がある神社!

★ 文化財・及川家チーム 謎がたくさん!及川家の深い歴史!

★ 青い目の人形チーム 戦争を乗り越えた青い目の人形

 それぞれのチームが「自分たちが伝えたいこと」を的確に表すことができたと思います。
 次の段階はいよいよシナリオ作りです。子どもたちは熱中して取り組んでいます。ただし、ビデオ作品になるまではちょっとした「壁」があるようです。それを乗り越えるのもいい勉強だと思っています。

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2005.11.20

情報テキストの開発2

小学MMの原稿。昨日の続きである。

■ 中心題材はコンビニエンスストア

 テキストの中心事例として5年生でコラム的に掲載されているコンビニエンスストアを選んだ。「POSシステムは情報社会のしくみの特徴をよく表していること」「コンビニエンスストアは児童にとって身近な存在であり使った経験も多いこと」「見学が可能であり学習活動としても取り組みやすいこと」がその理由である。
 社会科の教科書での単元展開は、典型的な一つの事例を深める内容になっている。テキストで1単元を深く追究させるのなら、同様の形式で構成すべきと考えた。ただし情報社会について理解を深めるには、コンビニエンスストアの一つの事例だけでは不足である。他の事例や情報社会の特徴(よさと問題点)も内容として挿入した。

 これらの学習内容をもとに目標を設定した。単元の目標の他に「関心・意欲・態度」「思考・判断」「知識・理解」の3項目の下位目標を決めた。

【単元の目標】:情報社会においてコンピュータの情報がどのように活用されているか理解し、そのよさと問題点について考えることができる。
【下位目標】
[関心・意欲・態度]
・情報社会における情報のしくみに興味を持つ。
[思考・判断]
・情報社会でのコンピュータによる情報のしくみと働きについて考えることができる。
[知識・理解]
・コンビニエンスストアではコンピュータの情報を効果的に活用し仕事に役立てていることを理解できる。
・情報社会でのコンピュータ活用の例を知り、その便利さと問題点を理解できる。

■ テキスト作りの留意点

 内容を決め、目標が決まってようやくテキスト作りである。
 次のような点に留意をして作成した。

・学習に効果的な写真や資料を対象施設に直接取材をして収集する。不足分はWebで検索し準備をする。
・基本的なテキストのスタイルは社会科教科書(今回は教育出版5年生)に準ずる。
・写真や図から児童が課題を持ち、それを話し合いや参考資料で解決するという問題解決型で1時間を構成する。
・コンビニエンスストアは事例に過ぎない。児童の思考を情報社会のしくみの内容に一般化できるように記述する。

 このように作成したテキストであるが、現在プロジェクトで製本途中である。残念ながらここでは具体的な内容をお伝えすることはできないが、テキストとして公開された時にぜひお手にとっていただければと思う。情報について学ぶ関わる画期的な単元開発が行われたテキストである。

 このテキストを用いて授業をした時、子どもたちからは「情報社会のことを今まであまりよくわからなかったが、よくわかった」という支持を得ることができた。テキストの有効性についても確かめられた。その点では、開発したか
いがあったと思ったものである。

 この「逆向きの設計」の手順は他の単元開発の時にも有効であった。他にも「情報社会とわたしたちのくらし」「チラシ広告の工夫と利用」という2つにテキストを開発している。
 このように、今後の私の教材開発に「情報社会に関わるテキスト開発」というジャンルが入って来た。これはこれで楽しみである。

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2005.11.19

情報テキストの開発

小学MM連載 「私の教材開発物語」 第53回より

■ 学会での初の発表

 私が今年叶えたい夢の一つに「学会の発表」があった。その夢が今月12日に実現をした。
 第31回全日本教育工学研究協議会全国大会で発表したからである。

 教師として研究大会での発表や公開授業は数多く行ってきた。しかし、学会での発表は未経験だった。
 学会での発表となると、一般的な研究会での発表とは違った要素がいくつか入ってくる。まず論文を書くということ。当然そこには、研究の価値・先行研究との違い・検証の方法の明確さといった学術的・研究的な要素が必要となる。単なる「実践報告」とは大きく違うわけである。
 また発表も限られた時間で自分の言いたいことをどう伝えるか、工夫しなければいけない。よく見られるような「レジュメの順番に沿って・・・」という形式では、聞き手にはなかなかアピールしない。その点も初めての経験で実に大きな学びがあった。
 今回はその情報テキスト開発の物語である。

■ 情報テキストの開発の必要性

 今回私が発表した論文名は「情報社会のしくみを学ぶ情報テキストの開発」というものである。
 昨年末から「情報テキストプロジェクト」というものに関わらせていただいている。プロジェクトの主宰は堀田龍也氏。メディア教育開発センターの助教授である。堀田氏のご指導のもと、情報テキストの開発を行ってきた。
 情報化が進む社会で児童に情報社会のしくみを教え、その見方を深めることは重要であると考えている。現代の情報社会について一定の理解や見方を身につけることがもととなって、今後の情報社会の創造に参画する態度が育つと思われるからである。しかし、小学校の教科書において情報社会のしくみについて記述をしている例は、国語と社会を中心に断片的にしか過ぎない。先行実践にしても、広くその情報社会のしくみのよさや問題点までは考えさせてはいない。
 そこで、児童に情報社会のしくみについての理解と見方を深めるために情報テキストの開発を試みたわけである。
 テキストという形式は「指導内容がイメージできる」「どの教師も活用できる」いうよさがある。それは児童にとっての学習しやすさに通じ、ひいては普及するための大事な要素と考える。
 これが情報テキスト開発の発端である。

■ 「逆向きの設計」が開発ポイント

 今回テキスト開発の研究を次のような形にした。

1 現行の社会科教科書より情報社会に関わる内容をリストアップする。
2 リストアップした内容をもとに、学習内容・対象学年を決める。
3 学習目標を決定する。
4 学習目標・学習内容からテキストを作成する。
5 テキストの内容に基づき、指導書を作成する。
6 テキストを活用した授業を行い、その効果を検証する。

 従来、テキストを作成する時には目標を決定してから学習内容を考えるという方法が一般的である。番号で言えば、3→1→2の順番になるであろう。しかし、今回は目標より先に学習内容を決めている。いわば「逆向きの設計」である。これが今回の開発の大きなポイントである。
 テキストの開発自体も研究に成果であるが、同時に「開発手順を明確にする」ということも論文の重要な柱である。
 では、この逆向きの設計によるよさは何か。次のような点があげられる。

・目標に学習内容が制約されたり、規定されたりすることはない。幅広い素材から内容を選択することができる。
・そこで教科書から関連内容をリストアップし、それらをベースにして学習内容や題材を決めることはきわめて妥当な指導内容になる。

 これらは魅力的なテキストを作る点で重要と思われる。
(つづく)

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2005.10.20

ものの見方や考え方を育てる社会科2

昨日の続きです。

■ 公開授業で意図した「第2課題による見方や考え方を深める指導」

 4時間目までの「調べ活動から未来の自動車プラン作る」という実践でも、子どもたちの見方や考え方についてある程度育てることができる。しかし、多くの実践はそれらを発表させ、まとめて終わりということが多い。
 私は「子どもたちを調べたものをもとに、もっと見方や考え方を深めることはできないか」と考えた。今回たどり着いたのが「第2課題」という方法である。

 通常であれば、1単位時間の学習課題は一つであろう。それを「社会的な見方や考え方を深めること」を意図とした第2課題を意図的に設定する。今回は、「『安全』『福祉』『環境(リサイクル含)』のそれぞれの視点は大切だが、この中で現在優先させるものは何か」というものである。
 この第2課題については、本校の部会でだいぶ検討したところである。部会での実践から、他にも次のようなものが実践例としてあげられる。

・北海道と沖縄の米作りで共通する点は何ですか。(5年)
・水沢に昔から伝わる3つの祭りに共通することは何ですか。(4年)
・青い目の人形は何のシンボルと言えますか。(6年)
・えりもに緑を蘇らせた例から言えることは何ですか。(5年)

 これらをじっくり検討させることにより、子どもたちは自分の見方や考え方を確実に深めていった。その点で第2課題という方法は有効である。(むろん、「中心発問」という言い方でも構わない。)

■ 実際の公開授業で

 実際の公開授業。子どもたちが調べた「未来の自動車プラン」について発表する。

・「より安全を重視するためにエアバックが全面に装着された自動車」
・「シートベルトをつけないと発進しない自動車」
・「ハンディのある人も健常者も共に使える自動車」
・「電気・ソーラー合体自動車」
・「100%完全リサイクル自動車」

 このような案が、子どもたちから出てくる。もちろん、それらは「問題点から出ている願い」「現在の取り組み」を踏まえたうえでの発表である。
 子どもたちは自分たちが調べた1分野についてはくわしく調べ活動を行っているが、他の分野は教科書の概略程度の知識である。そこでこの発表会だけでも子どもたちの知識を深めるのに十分だった。
 それらをキーワードでまとめていく。
 「安全・安心」「人にやさしい」「環境にやさしい」という3つの方向性でまとめられた。
 それらは、一つ一つ大事だ、必要だと確認したうえで子どもたちに第2課題を提示した。「あなただったら、どれを優先させますか」。子どもたちは一瞬「えっ!」とゆさぶられた感じだった。これは参観者も同様だったようで、どれか必死になって考えられたようだった。

・今死亡事故が毎日のようにある。だから「安全・安心」を優先すべき。
・お年寄りがこれから増える。「人にやさしい自動車」をふやすべき。
・地球環境が悪くなったら意味がない。「環境にやさしい」を優先すべき。

 このような意見を子どもたちが次々と出していく。
 ここでは答えを一つに絞るわけではない。お互いの意見の中から、子どもたちが今までの見方・考え方から少しでも深まればそれでよい。だからオープンエンドで授業を終えた。
 時間的な制約や子どもたちの資料不足で、この話し合いがお互いに関連づかない点が課題として残ったが、第2課題で見方・考え方が深まったのは確かである。

 子どもたちの中には見方・考え方を深める学習は難しいと感じている子もいる。発表も全員で・・・というわけにはいかない。しかし、ある子が「発表はできなかったけど、みんなの発表を聞いてたくさん考えることができておもし
ろかった」と感想に書いていた。
 これが学級で学習するよさ、集団で学習するよさだと感じた。発表しなくても聞いているだけでも考えを深めるのである。

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2005.10.19

ものの見方や考え方を育てる社会科1

小学校MM「私の教材開発物語」より

■ 特色は「社会的なものの見方や考え方を育てる」

 10月12日(木)に本校の学校公開研究会が行われた。
 国語・社会・算数・理科の4部会があり、私は社会部会の所属をしている。岩手県では校内研究の対象の多くが国語と算数である。数年前は、発足時ということがあって総合的な学習の時間が多かったが、学力低下の声を反映して現在は国語と算数の研究が多い。
 いずれにしても、近年社会科を校内研究の対象とする学校は稀であり、授業後の分科会では社会科好きの教師の熱心な話し合いが行われた。

 本校社会科部会のテーマは「自ら問いを解決し、社会的なものの見方や考え方を育てる学習指導」である。
 ここで言う「自ら問いを解決する」ということは、社会科の場合、ただ単に問いの答えを見つけるという意味ではない。「今までの学習活動を通して得た知識や概念、学習技能を活用して、問いを自ら見つけ、それを追究し解決する」という一連の学習活動を指している。子どもたちはその過程で、社会的事象に対する知識や考えを得る。

 しかし、問題解決的な学習で得た考えは、時として表面的である。そこで意図的に子どもたちの思考を深める場を設定し、社会的事象に対する自分なりの目を育てることが大切と考える。これが「社会的なものの見方や考え方を育てる」ということである。
 
本校の研究はこの「社会的なものの見方や考え方を育てる」という部分が一番の特色である。ただ単に学習内容を理解する社会科ではないのである。

■ 公開授業「未来の自動車プラン」

 私自身が公開した授業は「未来の自動車プラン」(5年・社会)というものである。
 これは「工業生産を支える人々」の中の一つの学習である。「自動車工場のしくみ」「自動車工場で働く人々」「関連工場」「自動車の運輸」等について学習したあとに、「これからの自動車」について学ぶ箇所が教科書(教育出版)にある。
 「安全に対する取り組み」「リサイクルに対する取り組み」といったことである。
 それらはあくまでも現実の取り組まれていることである。それをベースに次のような指導計画を立てた。

□1時間目
・課題を把握する。「未来の自動車プランを立てよう」
・現在どのような自動車の開発が取り組まれているか、教科書から概略を学ぶ。
・自分が調べてみたい分野を決める。(教科書に掲載している「安全」「福祉」「環境」「リサイクル」の分野から一つ選ぶ)

□2~4時間目
・希望分野ごとにグループを決める。→「安全」2グループ、「福祉」1グループ、「環境」2グループ、「リサイクル」2グループ
・調べる視点を確認する。次の4つ。
→「問題点」「人々の願い」「現在の取り組み」「未来の自動車プラン」
・各グループで資料集、本、事典、インターネット等で調べる。
・グループごとに3枚の画用紙に「箇条書き」と「図・絵・表」でまとめる。
・同じグループで発表しあい、次時での全体発表での代表グループを決める。

□5時間目(公開授業)
・課題を確認する。「未来の自動車プランを発表しあい、これからの自動車作りについて考えよう」
・代表4グループが発表する。他グループは付け加えをする。
・各分野の主張をキーワードでまとめる。
・第2課題「どれも大事だが、この中で優先するものはどれか」を検討する。
・自分なりの考えをまとめる。

(明日に続く)

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2005.09.21

デジタルコンテンツを使った食育授業2

■ 生きたコンテンツとゲストティーチャー

 実際の授業。デジタルコンテンツのよさが随所で生きた。

・最初のアニメ。内容は「好きなものの話し合いで肉ばかり食べている子がいる。その子はどこが悪いと開き直っている。なぜ同じものばかり食べちゃいけないの?」というものである。子どもたちが興味を持って見ている。ユー
モアもあるアニメに、多くのお客さんに緊張していた子どもたちも笑顔になった。「同じように好きなものを話し合いなさい」という指示にもすぐに子どもたちは取り組んだ。アニメでイメージができていたからであろう。

・栄養素の調べ活動。ここでは「同じものばかり食べるとどうなるか」ということを調べることが一番の目的である。その点を一つのコンテンツを使って個々で調べる。適切な内容が子ども向けに書かれているだけに、子どもたち
は読み取って自分なりの感想をノートに書いていた。検索等でむだな時間を費やさず(栄養のサイトは大人向けのものがほとんど)、効果的に調べることができた。

・ゲームでは、一つのメニューの栄養素のバランスが示される。教師は偏った食事をあえて提示する。子どもたちからは「エー」「それじゃダメだよ」という声。トータルの栄養素は完全に偏った結果が出てきた。ゲームも使い方に
よっては例示の資料となるのである。

 また、子どもたちが考えた食事プランについての栄養士のコメントには感心した。栄養素を考えたら一見理想的と見える子どもたちのプランにも、組み合わせの問題があったり、「旬のものを使うとさらによい」といった新たな視点があったりと私自身も聞いていて納得するコメントばかりだった。それは参観者も同様であり、栄養士の話に子どもたちの後ろで参観者が大きくうなずくのが授業をしながらよくわかった。

■ 子どもたちの変容

 子どもたちはどのような感想を持ったのか。最後の時間の感想を紹介する。

★今日は食事プランを自分で作ってみて、栄養に気をつかってみたけど、栄養士の先生のアドバイスを聞いて、これから自分の食生活でもちゃんとバランスを考えて、いろいろなものを食べてみようと思いました。このプランをもとにして、家でもこのメニューを作ってみようと思いました。

★学んだことは自分の好きなものだけ食べてしまうと、バランス良く食べられないので、嫌いなものも食べなければいけないんだと思いました。これからも食事プラン作りのようにきちんと栄養を考えて食べたいです。

★自分で栄養素がとれていると思っても栄養士の先生に聞いてみると、栄養素が少し足りないと言われていました。食事プランを作ってみて楽しかったです。選ぶのに悩んでこれにしました。給食も残さず食べるようにしたいです。

★今日は自分では栄養をとっているといってもかんぺきには選ばれていないことがわかりました。食事をとるときには、ちゃんとバランスがいい食事をとることが大切だと思いました。組み合わせをよくして食べたいです。

★食事プラン作りをして栄養のバランスがいい食事を作るのはとてもむずかしいことだと学びました。これからはなるべく栄養のバランスがいい食事を食べようと思いました。あと出されたものは残さないようにしようと思いました。

 4時間という限られた時間ではあったが、目標を子どもたちはほぼ達成できたと思う。この感想からも分かるが、その後の給食に対する興味も指導前と比べて高まった。その点では価値のある学習ができたと言える。
 むろん、この授業で改善すべき点はいくつもあるだろう。たとえば、「一つのコンテンツだけではなく、違う方法・違う資料も活用する方がより正確な情報を得る点ではよい」「給食の献立で食事プランを立てるのではなく、やはり食材中心に考えるべき」といったことだ。その点は今後の検討課題としたい。

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2005.09.20

デジタルコンテンツを使った食育授業1

小学MMに食育授業のことを書いた。授業した時点で書いたこととだぶっている部分もあるが、掲載をする。今回はその1である。

■ 食育プロジェクト授業

 前回食育プロジェクトの話を書いた。
 「子どもたちにバランスのとれた食事の重要性や、食事を楽しむことの大切さを知ってもらうこと」を目的に、マクドナルド、NHKエデュケーショナル、企業教育研究会がウェブサイト「食育の時間」を作った。このサイトを活用した授業をプロジェクト校5校が行うものである。
 トップバッターは本校である。
 9月5日~6日にかけて合計4時間、総合的な学習として授業を行った。当日はマクドナルド社、NHKエデュケーショナル、企業教育研究会から十数名、テレビ局や新聞社のマスコミも8社、そして本校の先生方も参観と多くのお客さんの前で授業をすることとなった。

■ 今回の授業で重視したこと

 食育授業の必要性については言うまでもないであろう。「機会があれば授業をしたい」と考えている教師も多いと思われる。しかし、なかなかできない教師も多いのではないか。というのも、授業ですぐに活用できる資料やプランが少ないからである。
 しかし今回はよりどころとなる資料(デジタル・コンテンツ)がある。あとは、自分の授業プランをどうするかだ。
 まず、自分の中で次の点を重視して行おうと考えた。

1 デジタルコンテンツ「食育の時間」の特性を生かした内容にする。
2 理解だけではなく、子どもたちが学びを発信する活動を組み入れる。
3 栄養士をゲストティーチャーに招いて、プロとして話していただく。

 「食育の時間」のコンテンツ(今回は「好きなものだけ食べちゃいけないの?」というサイトを扱う)は工夫されている。子どもたちが楽しめるアニメ、栄養素についてのくわしい説明、栄養素に関わるゲーム等、子どもたちにとって興味をひく内容である。ただ、それらも活用方法を間違うと生きたコンテンツにはならない。そこで次のようにした。

・アニメーションは興味づけだけではなく、学習の仕方のモデルとして扱う。
・ゲームも実際にさせるのは課外にして、献立プランの悪い例の提示用として活用する。
・栄養素での調べ活動はコンピュータルームで個々で行わせる。その他は一斉授業の中での提示とする。

 私自身がポイントと考えたのは、デジタルコンテンツを主として一斉授業の中で活用するということである。調べ活動以外は普通教室の中でプロジェクターを使ってコンテンツを提示する。これが学習形態としては一番やりやすい。

 子どもたちの発信活動としては「バランスのとれた食事プラン作り(一食分)」を考えた。しかし問題点があった。それは子どもたちが食材についての知識が乏しいし、料理経験も少ないということである。栄養素についても家庭
科では学習していない。その中での食事プラン作りは困難である。
 しかし、何かしらの学びを発信させたい。というのも発信活動に取り組む過程で子どもたちは学び(今回であれば栄養素)を深めるからである。そこで、自分たちが食べたことのある給食の献立から選ぶという形をとった。これなら子どもたちも食事プラン作りができる。しかも、それについて栄養士からコメントももらうことにした。単に発信す
るだけではなく、プロの具体的な評価により学びはより深まると考えた。

■ 今回の授業プラン(4時間分)

□テーマ「好きなものだけ食べちゃいけないの?」

□1時間目
目標:自分の食生活に興味を持ち、同じ食事をとり続ける弊害について理解することができる。
1 食育サイトのアニメを視聴する。
2 自分たちの好きな食事を話し合う。
3 本時の課題を把握する。「同じものばかり食べていて困る点は何か。」
4 同じものばかり食べていて、困る点について予想する。
5 同じ食事をする弊害について知る。→「7つの栄養素」を活用して調べる。
6 学んだことをまとめる。

□2時間目
目標:バランスのとれた食事には栄養素が重要な役割を果たしていることを理解することができる。
1 本時の課題を把握する。「バランスのとれた食事に大切なものは何か」
2 栄養素について知っていることを発表する。
3 「バランスのとれた食事例」として給食について調べる。
 →その日の給食の写真を提示し、食材の栄養素を確かめる。
4 給食の献立を作る時に何を大切にしているか考える。
 →献立を作っている栄養士の話を聞く。
5 学んだことをまとめる。

□3~4時間目
目標:今まで学習したことをもとにバランスのとれた食事プランを考えることができる。
1 ゲームで一つ一つの食事には栄養成分に特色があることを確認する。
2 課題をつかむ。「バランスのとれた食事プランを作ろう」
3 個人で給食の献立をヒントに1回分の食事プランを作る。
4 食事プランを班内で発表をする。
5 友達の食事プランを見て、バランスのとれた食事で大切なことを考える。
 →班の代表が発表し、栄養士からのコメントをもらう。
6 学んだことをまとめる。

(以下2に続く)

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2005.08.24

雪エネルギーの授業2

昨日に続き、雪エネルギーの授業である。夏休みの作品展示作業後の30分で行った授業である。

1 雪氷室貯蔵施設で貯蔵しているものについて考えさせる。
  →住宅の雪冷房にも触れる。
2 雪エネルギーを使うよさを考えさせる。
  →電気の節約、自然を生かす、環境にやさしい、新鮮さを保てる、雪を効果的に利用すること、野菜が長持ちしてもうける
3 経済的なデータを示しゆさぶる。
  →雪氷室貯蔵施設は経済的負担が大きいという事実
4 「お金がかかっても、このような施設を作るのはなぜでしょう」
  →「それ以上にメリットがある」「環境を守るのが優先」等の答えがどんどんと出てくる。子どもたちになかった「利雪」という視点も加える。
5 まとめ、感想。

 3でいったんゆさぶった分、4の考えは深まった。一連の授業をしてみて、子どもたちの思考の根拠となる資料を準備し考えさせればよかったと反省。子どもたちの感想を紹介する。

・雪には困る面もあるけど、いい点に利用をすればみんなに役立つと思った。
・このような雪エネルギーがどんどん広まればいいと思った。
・雪エネルギーが環境にやさしいことが分かりました。私は雪エネルギーは使えないけど、私も電気の節約を心がけたい。

 岩手でも雪エネルギーを利用した施設がある。これはいつか紹介をしよう。 

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2005.08.23

雪エネルギーの授業1

今月9日の北海道雪プロ合宿の時に事前に雪氷室貯蔵施設を見学した。
この雪エネルギーを目の当たりにして、教材化しようと思った。冬の北海道のくらしの中で触れてもいいのだが、今回は農業にからめて行うと思った。すでに1学期に学習は終えているが、2学期最初の社会で1学期の学習の発展として行うことにした。

授業の詳細はのちほど原稿化しようと思うので略す。主な学習の流れを記す。なお、写真はその見学の時に撮影したものである。

1 貯蔵施設とトマトの写真とを見せ、簡単に説明をする。
2 夏に低温貯蔵している写真であることを告げ、何で冷やしているのか予想させる。
  →圧倒的に巨大冷蔵庫という答え。「違います」
3 何で冷やしているのか、深く考えさせる。
  →氷、雪、水、ドライアイス、巨大クーラーなど様々な答えが出てくる。
4 どれが正しいのか話し合わせる。
  →ヒントとして施設で使われている金網とファンの写真を示す。
5 答えは雪であることを教え、こちらのサイトの図を使って説明をする。
6 まとめと感想発表。

 今回は施設の面だけの授業である。実際の雪貯蔵のメリット・デメリット、環境との関わり等は明日行う。
 それにしても4の話し合いはおもしろかった。自分たちの持っている知識をフル活用して予想していた。話し合っているうちに、雪が一番多くなってきたことも子どもたちがよく考えた結果だった。

・雪エネルギーを思いついた人は地球のために自然の力を使って野菜を冷やしていた。なんてすごいことだ。
・初めて雪エネルギーのことを知りました。3月に北海道に雪がまだあることを知って驚きました。
・雪を使っているとは知りませんでした。雪の性質はすごいんだなと思いました。

 子どもたちの感想である。未知のことを知る喜びを感じた授業であった。

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2005.07.22

プロジェクトの話

小学MM 「私の教材開発物語」 第50回より

■ 食育プロジェクト

 今月の17日(日)に東京で「食育プロジェクト」の会議に参加してきた。
 このプロジェクトは、「子どもたちにバランスのとれた食事の重要性や、食事を楽しむことの大切さを知ってもらうこと」を目的としたものである。マクドナルド、NHKエデュケーショナル、企業教育研究会が協力をして、実践校5
校が授業を行う。
 ウェブサイト「食育の時間」が実践のよりどころであり、このサイトを実践校5校が活用した授業を行う。本校もその中に入っており、プロジェクト参加となったわけである。
 ちなみに本メルマガ編集長の蔵満逸司氏もプロジェクトメンバーであり、この「教材開発物語」の原稿を書き始めてから4年目にお会いすることができた。
プロジェクトが引き合わせてくれた出会い。これは非常に嬉しいことであった。

 このプロジェクトについては7月12日にマクドナルド社が記者会見を行っ
ている。
 これからの展開に身の引き締まる思いである。

■ 企業との連携を深める

 今は、昔と異なり学校教育に企業が関わってくる時代だと考える。
 企業自体も利潤追求だけではなく、「社会貢献」を多くの会社が基本的な事業として行っている。そのうちの選択肢の一つとして学校教育が選ばれているのは、未来の社会を作っていく子どもたちが対象という点で自然なことと思う。
 その社会貢献の形は企業によって様々である。今回のプロジェクトのようにウェブ上のコンテンツや配布資料を作る例もあるだろうし、助成金という形で支援するものもある。
 私たちの地区では年々学校予算が削られている。その中でこのような企業とタイアップして、子どもたちの教育のためによりよい環境が作られるのなら、企業と連携を深めていくのなら、それは結構なことと思う。
 私自身、情報教育との関わりで数年前から連携をしている。そして、子ども
たちにとってそれは有り難いことであった。

■ プロジェクトのメリット

 プロジェクト参加の目的はあくまでも、そのプロジェクトの任務を遂行する点にある。ただ、そのプロセスで学ぶこと・得るものは実に多い。たとえば次のようなことだ。

・リーダーの会議運営の仕方を学ぶ
・他の人の仕事の仕方を学ぶ
・書籍やウェブの情報を得られる
・人とのネットワークができる
・ものの見方・考え方が深まる
・そして何といっても「刺激」を得られる

 これは「聞くだけの研修会」に参加することの比ではない。プロジェクトであれば当然提案の機会もあり、その分の準備にもかなりの時間を割く。その過程ですでに様々なことを学ぶことができる。そういう意味でもプロジェクトに
参加させていただいていることを、本当に有難く思う。

■ 食育プロジェクトで留意したいこと

 今回の食育プロジェクトでは実際に9月に自分が、コンテンツを使った授業を行う。
 一回目の会議で、その授業の見通しについて話し合いをした。私自身が留意しなければいけないのは次の点と考えている。

1 ウェブのコンテンツの効果的な活用
2 子どもたちの学びの発信活動をさせる

 ウェブのコンテンツは、「食育のテーマについての子どもたちの興味づけ」「学習内容の説明」「ゲーム」等で構成されている。子どもたちが各自で自学ができるようになっている。
 しかし、あえて授業で行うのであるから、コンテンツを教師がどのような位置づけと方法で活用するかがポイントになる。単なる「理解のためのコンテンツ提示」にはしないようにしたい。
 さらに子どもたちには学んだことを発信するような活動を組み入れて、学びを深めさせたいと考えている。

 いずれ食育については自分自身も初めて取り組む内容である。このコンテンツ活用を含めた教材開発をこの夏休みの宿題の一つとして行うつもりである。

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2005.06.20

私の教材開発物語49回

小学MMに連載している「私の教材開発物語」に著書の紹介を書きました。今回の著書発行の思いを伝えます。

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著書紹介「ぐんぐん伸びる 学力のつくノート指導のコツ」

■ 2冊目の著書発刊

 今月、2冊目の著書を発刊しました。「ぐんぐん伸びる 学力のつくノート指導のコツ」(佐藤正寿著 家本芳郎監修 ひまわり社)というものです。
 昨年4月,自分の夢であった単著「授業のアイデア 授業を楽しむコツ703・4年」(佐藤正寿著 家本芳郎監修 ひまわり社)を発刊しました。発刊後,「教室に置いて辞典のように引いて読みたい本」「愛読書になりました」
といった反響がありました。

 改めて単著を出すことの嬉しさを感じました。同時に「書けるものならさらに2冊目も出したい」と考えました。ノート指導実践を積み重ねていたので,それをテーマに執筆を開始しました。そして,今月,2冊目が誕生です。

■ 「ノートをどうにかしたい」から始まった

 教師になりたての頃は「丁寧に書こう」「工夫しよう」と呼びかけるだけで具体的な指導はしていませんでした。当然、子どもたちもノートをどのように工夫したらいいかわからず、結局は自己流のノート指導から変化しませんでした。
 だんだん「子どもたちのノートをどうにかしたいなあ」と思うようになりました。

 そこで,「これではいけない」と、教育実践の文献等から少しずつ具体的な指導方法を学び、取り組み始めました。子どもたちのノートが少しずつ変化をしてきました。たとえば、文図で矢印の意味や使い方を教えれば、子どもたちは次の時間にも使うようになりました。「結論から書くと立場がわかりやすい」ということ教えたら、指示をしなくても討論の時のまとめなどは自分の結論から書くようになりました。
「ノート指導では、具体的に教えた分、子どもたちには力がつく」ということを知りました。

■ ほめる機会,コミュニケーションの機会

 ノート技能が伸びれば子どもたちをほめる機会も増えます。ふだんなかなか発表をしないものの、ノートに上手にまとめることができるという子が学級には必ずいるものです。その子たちを励まし、ノートを「見本です」と全体の前
で示すことにより、子どもたちも自信を持ちました。
ノート指導が子どもたちを育てる種にもなったわけです。

 それだけではありません。ノート指導は教師と子どもたちとのコミュニケーションを深めます。たとえば家庭学習のノートには子どもたちへのメッセージを赤ペンで書きます。返却された時に、子どもたちは真っ先に教師のコメントを見てうなずいたり、考えたりします。また、子どもたちがノートを持ってくる時に「いいね」「がんばったね」と声をかけることにより、お互いに笑顔になります。
 いわばノートを媒介として教師と子どもとの結びつきが深まるのです。これは私の学級経営の大きな柱となりました。

 子どもたちも、ノート技能を身につけることによって、書くことを楽しむようになりました。
「前はノートに書くのがめんどうだったけど、今は簡単にまとめることができるようになってうれしい」「自分のキャラクターを入れて書くと、自分でもノートが楽しくなる」
 このような声を聞くことは実践者にとっては何よりの励ましになりました。

■ 保護者にとっては学校の様子を知る重要なもの

 保護者にとっては、学校の様子を知るものの一つが子どもたちのノートです。授業参観の回数は限られています。となれば、子どもたちのノートが授業の様子を知る手がかりになります。子どもたちのノートから、授業の様子が浮かんでくるのなら保護者も教師を信頼することでしょう。ノートは授業を写す鏡と言っていいと思います。

 そうであれば,なおさらノート指導は重要だと考えます。ノート指導で信頼度が違うのであれば,きちんとその指導力を教師は身につけ,よりよい実践をすべきと思います。

■ 主な内容

 本書はこのような考えで取り組んだノート指導の中から、すぐに役立つものを中心に44項目について書いたものです。一つ一つが日々実践をしていることです。主な内容は次の通りです。

○ ここからスタート!ノート指導
 1 準備をする 2 学年初めの指導のコツ 3 1ヶ月でノートを変える
○ 基礎技術を身につけるコツ
 1 まずは板書が見本 2 言葉にこだわる 3 1時間の授業をノートす
る 4 この子にはこんな指導を 5 ノートが変わる言葉
○ こんなアイデアはどう?
 1 アイデアいろいろ 2 世界に一冊の愛着ノート
○ 教師の支援とノート
 1 赤ペンでノートが変わる 2 その場主義のノート点検
 3 交流で技能を高める

 右ページにイラストや具体的なノートを示したりすることよって、イメージ
が焼き付くようにしました。
ぜひご一読ください。

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2005.06.02

子どもと密接に関わった教材

今日の出張で社会科の授業を2コマ参観した。
参観しながら,忘れていた視点を思い出した。「子どもと密接に関わった教材」ということである。
たとえば今日の水産業の学習では,地元の県で生産しているかまぼこを題材にしていた。CMもあって子どもたちも口にしたことがきっとあるに違いない。その原料が100%外国からの輸入であるという事実。子どもたちは興味を持って考えていた。

かつて有田先生から,「この教材なら,あの子とあの子が食らいついてくるだろう」というねらいを持って教材開発をしているという話を聞いたことがあった。その子を熱中させる教材である。今,自分の教材開発の方向にはこの視点は少ない。その面では一つ学んだ公開授業だった。

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2005.06.01

地元CATVの教材

今日はジャストシステムの「Justsysytem&School」誌の取材授業であった。
いわゆる「メディアとのつきあい方学習」がテーマ。
その2コマのうち一つの教材が地元ケーブルテレビのニュース映像だった。それを使って編集の学習を行った。

実はこの編集の授業,3月に6年生の子どもたちを対象に似たプランでしている。その時は全国ネットのニュースから素材を探し出したのだが,反応は今一つ。新学年でもう一度実践しようと思っていた。
今回は最初からディレクターさんに「どんなニュースがありますか」と聞いていた。出てきたのが合併で決まる新市の名称に関わるニュース。確かに賛成・反対が明確だ。これはいいと直感をした。
実際の授業。子どもたちの食いつきは抜群だった。新市の名称についての討論授業もできるぐらいの勢いだった。
改めて,メディアに関わる授業での地元マスコミの大切さを感じた。教材開発は身近なところでも十分にできるのだ。

さらに今回大きかったのはゲストティーチャーであるディレクターさんの存在。実際の地元ニュースに携わっているだけに説得力のある話を聞くことができた。これまた大きな収穫であった。

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2005.05.25

北海道と沖縄県の米作りのアンケート

「北海道と沖縄の米作り」の学習について,子どもたちに振り返りの簡単なアンケートをとった。そのことについての結果を学級通信に掲載した。「ついた力」は子どもたちにとってむずかしい質問だったようだ。

学級通信 ファンタジア 第29号より

先週の金曜日の研究授業について簡単なアンケートをとりました。大きくは,次の2つです。

★「北海道と沖縄の米作り」の学習でついた力は何ですか。
★「北海道と沖縄の米作り」の学習で楽しかった点,むずかしかった点などの感想。

 このようなアンケートをすることは教師にとっては子どもたちの考え方を知る上でとても役立ちます。「そうか,こんなことを考えていたのか」「この点が難しかったんだなあ」と授業を見直すことができます。
同時に子どもたちにとっては,自分の学習を振り返ることになります。そして「自分には調べる力がついたんだ」と自覚することにより,自信もつきます。
 では,さっそく紹介しましょう。

★「北海道と沖縄の米作り」の学習でついた力は何ですか。

・発表や発表の文を書く力がつきました。北海道の発表グループが発表している時に聞きながらメモができるようになりました。
・資料を読み取る力が特につきました。
・みんなの前で発表する力やいっぱい発表する力がつきました。
・資料を読んでその中から必要なことを書き加える&読み取る力がつきました。
・資料を読み取る力が特につきました。なぜかと言うと資料を見て書くことがいままではとてもすくなかったからです。
・まとめる力がつきました。ちゃんと表現できました。
・一人で北海道のお米について書いたということは,一人でお米のことについて書けるようになった。
・シートに表現する力がついたと思います。資料を早く読み取れるようになりました。

 今まで経験したことがない学習方法もありましたが,それをがんばってやり通したことによって力が確実についたことがわかります。

★「北海道と沖縄の米作り」の学習で楽しかった点,むずかしかった点などの感想。

・資料作りのために調べたり,シートを作ったりすることが楽しかったです。
・資料を見て,いろいろと岩手とちがうところがあって「へえー」と思いました。
・北海道の人も沖縄の人も大変なことはあるけど,それを乗り越えるのに感心しました。
・楽しかったのは勉強がわかったこと。むずかしかった点はない!
・しゃべる原稿を作るのがむずかしかったです。
・沖縄の米作りで2期作があってビックリしました。シートに書く時はちょっとむずかしかったなあ~。
・書き込んだり,読み取ったりするところがむずかしかったし,どうすればみんなが見る発表ができるか,むずかしかったです。

 表現する内容はむずかしかったようですね。これからがんばる点です。

 課題はあっても子どもたちがいい学びをしたのは確かでした。

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2005.05.24

北海道と沖縄県の米作り その2

小学校MM 連載「私の教材開発物語 48回」より

■ 発展単元「北海道と沖縄県の米作り」調べ活動編

 具体的な授業の様子を記す。最初の2時間は調べ活動である。次のように行った。

1 北海道と沖縄県のどちらを調べたいか決める。(ほぼ半分ずつに分かれる)
2 6人前後のグループを作る。(教師が決める)
3 調べ活動をする。
(1) 北海道は北海道の沖縄県は沖縄県の基礎的な一次資料を教師が配布する。
  これで米作りの概要をつかむ。
 (2) 基礎資料をもとに個々人で調べたい米作りに関わるテーマを決める。
 (3) 図書館の本やインターネット等の二次資料でそのテーマについて調べ,ノートにまとめる。
4 発表の準備をする
 (1) テーマについて,一人一人が発表用シート(A4用紙・1枚)にキーワードを記す。
 (2) 同時に発表用の原稿を書く。

 この調べる段階での特徴は次の3つである。
・グループで調べ活動をするよさを生かす
・資料を一次と二次に分ける
・全員が発表用シートを作成する

 グループで調べ活動をするよさは資料を共同で使える,教え合いができるということである。同じ対象を調べる人が多いわけであるから,人数に対する図書資料は少ない。グループで,共同で調べることにより,ある程度その問題点は解消する。また,グループ活動をすることによってわからない点や進行状況を教え合うことができる。

 また子どもたちには最初に一次資料を印刷し配布した。子ども用の学習参考書の資料である。そこには,都道府県別のデータが一覧され,簡単な解説が書かれている。いきなり,「テーマを決めて自分で資料を探して調べなさい」という方法もあるが,それは全員がテーマを選ぶ視点と資料を探せる学習技能を持っている時である。そうでない場合には,補助的な資料は必要と考える。
 この資料によって子どもたちは,「米作りの1年」「気候と歴史」「品種」「大
変な点」「北海道の水田の多いところ」「沖縄の米作りの特徴」といったテー
マを持った。

 そして調べ活動後には一人一人が発表用シートを書く。これはA4にマジックで気軽に書くことができるものである。「簡単に書ける分,効率的になるが,そのような用紙だと小さくて見えないのでは」と思われるかもしれない。
この用紙は全体の前で発表する時には,パソコンに取り込み,プロジェクターを使って拡大して投影する。子どもたちには画用紙等に大きく書くより,はっきりした発表シートとして提示できる。ITのよさの活用である。

■ 発展単元「北海道と沖縄県の米作り」発表編

 子どもたちが調べた内容は,次のように発表させた。

1 同じグループ(北海道3グループ,沖縄県3グループ)で最初に発表し合う。よりくわしい内容で書かれていたグループが代表となる。
2 代表グループの一つずつが全体で発表する。発表後,同じグループの中で付け加えをする。
3 相手グループから質問や感想を受ける。

 代表グループの発表+同グループからの付け加えによって,子どもたちの調べたことのほとんどは発表できる。また相手グループの発表を聞くことによって,最終的には自分の調べたものと聞いたもの(つまり,北海道と沖縄県の両方の米作り)について知識を得ることができる。
 子どもたちの調べた主な内容は次の通りである。

□北海道の米作りグループ
・寒い気候のため,農業にはきびしい条件である。
・米の収穫量は全国でトップレベル。
・明治時代から外国から技術を取り入れた。
・Aランキングの「きらら397」が多く作付けされている。
・ビニルハウスでの苗作りといったように工夫をしている。
□沖縄県の米作りグループ
・暖かい気候であるが,台風や害虫の発生が多いため収穫量も多くない。
・岩手と同じように「ひとめぼれ」の生産が多い。
・二期作も行われている。
・二期作の場合には3月に田植えをスタートする。

 子どもたちは,北海道と沖縄県のそれぞれの米作りの特色とその違いを理解することができた。

■ 発展単元「北海道と沖縄県の米作り」話し合い編
 
 発表をしただけでは,子どもたちの社会的なものの見方・考え方は深まらない。そこで次のような発問を行う。
「北海道と沖縄県の米作りで同じ点は何でしょうか」
 子どもたちは一瞬「えっ?」といった表情である。それはそうだ。気候が違うから米作りも違うと今理解したばかりだ。
 しばしの沈黙が続く。このような沈黙が私は好きだ。子どもたちが一生懸命に思考活動をしているのが,伝わってくるからだ。
 やがて一人の子が発言する。

「北海道は寒いです。沖縄は暖かくて害虫が発生しやすいです。どちらも米作りにはきびしい条件です」
「付け加えて,きびしい条件でも一生懸命に米作りをしています」
「そうそう,どちらも努力をしています」
「条件に合わせて工夫をしています」
 
 どの子どもたちも,「自分たちの地域の気候や条件がどうであっても,努力や工夫をして米作りをしている」という共通点に気づいていった。沈黙の時の子どもたちの表情が「なるほど」と変化をしてくるのがわかった。

 このようにして終わった今年度初めての社会の発展的な学習。昨年度(6年生)は「水墨画に挑戦!」「ザビエルは日本を変えたか」等の発展的な学習ができたが,今年度はどのような実践ができるか楽しみである。

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2005.05.23

北海道と沖縄県の米作り その1

小学校メールマガジン連載 「私の教材開発物語」 第48回より

■ 発展的な学習

 社会科の教科書(5年・教育出版)を見ると「発展的な学習」がいつか紹介をされている。「世界でつくられている穀物を調べよう」「新しいエネルギー資源を見直そう」「物づくりに情熱をかけた人たちに学ぼう」といった内容である。
 このような内容を見るだけで,教材開発を生きがいにしている私はとてもわくわくしてくる。「教科書にある内容で行うのもいいが,やはり自分で考えて行うのもいいなあ」と思う。
 5年生の最初の単元「農業のさかんな地域をたずねて」の米作りに関わる学習が一通り終わった。そこで,発展的な学習として何かしらの実践をしようと考えた。
「お米についての興味関心を高めるために,世界の米と米料理を調べるのはどうだろうか」
「農薬について興味を示す子が結構いたから,農薬使用賛成と反対の立場で討論をしてみようか」
というようなアイデアが浮かぶ。

■ 各地の都道府県を対象とする

 社会科の場合に発展的な学習を粗く2つに分ければ,「内容を広げるパターン」と「内容を深めるパターン」に分かれる。先のアイデア例で言えば,世界の米と米料理は広げるパターンで,農薬の討論は深めるパターンである。
 今回は深めるパターンで行こうと考えた。一つの社会事象をみんなで話し合いながら追究することの面白さを最初の単元で感じてほしかったからである。
発展的な学習の時間は3時間。自分は日本各地の米作りをテーマにすることにした。これは,単元の最初の時間に何人かの子たちが,「岩手の米作りはどのようになっているのか」「他の都道府県の米作りの様子は」「米作りは全国各地でちがうのか」といった問いを出しており,それらのことが頭にあったからである。
教科書の例は新潟県である。岩手の米作りも新潟に似ているということで,子どもたちに,「新潟県と岩手県以外で,米作りを調べたい都道府県はどこですか?」と聞いた。
すると子どもたちから出てきたもので圧倒的に多いのは北海道と沖縄県であった。理由を聞くと,次のようなものが出てきた。
・日本で一番寒い地方でどのような工夫が行われているか。
・雪が多いのに米作りで不便なことはないのか調べたい。
・沖縄は暖かいのに米の収穫量が少ないのはなぜか。
・暖かさを利用した工夫があるのではないか。
 他にも「東京都(東京では米作りが行われているのか)」「香川県(面積が狭い県で工夫があるのではないか)」があげられた。

■ どのようにして「深める」構成にするか

 「北海道と沖縄県の米作りへの興味が高い」という実態から,調べる対象をこの2つだけに絞ることにした。
子どもたちの希望したものをそのまま調べるという方法ももちろんある。しかし,資料面の確保や個人での活動の大変さを考えると限られた時間では困難が伴う。その点,対象を絞ることによって,グループ化ができ,そこでの学び合いのよさが生かせる。
さらに一番のポイントは,北海道と沖縄県の米作りを学級全員で比較・検討できるメリットが大きいということである。米作りでは違う点の方が多いのだが,「自分たちの地域の気候や条件がどうであっても,努力や工夫をして米作りをしている」という共通点に最後は気づかせることができる。これこそ,今年のテーマである「社会的なものの見方や考え方を育てる」ことにつながると感じた。
これこそ発展的な学習で深める内容である。(つづく)

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2005.04.18

今年度の教材開発

小学メールマガジン、連載「私の教材開発物語」 第47回より

■ 今年は5年生担任

 新年度、5年生の担任になった。「自分の行いたい実践をするのなら、高学年がいい」と思っていただけに、希望が叶い嬉しい。
 子どもたちと出会ってから一週間あまり。学年で4学級あり、子どもたちもクラス替えで新しい友達と出会った。この一週間はルールの確認、組織作り等、新しい学級の基礎固めに集中をしていた。その中で、「佐藤学級のルールブック作り」「スマイルカード」といった今年の実践がスタートしている。
  ただ、教材開発した実践についてはまだ着手していない。そこで、今回は今年度の教材開発での方向性を伝えたい。自分のメインの実践教科である社会の場合である。

■ 「社会的なものの見方・考え方を育てる」という視点で

 社会科の学習において自分が重視しているのが「社会的なものの見方や考え方を育てる」という視点である。
 昨年度、このメールマガジンに紹介した例で言えば、次のようなものがある。
・水墨画を実際に体験することによって、『四季山水図』の見方が変わったことを自覚する
・ザビエルを、大名や民衆等の様々な立場からロールプレイをすることにより、複眼的な歴史的な思考を学ぶ
 見方や考え方を深める学習をすることによって、子どもたちも社会科を学習することの楽しさを知る。今年もそのような教材開発をしたいと思う。最初は農業についての学習である。農薬を使わない米作りと農薬を使った米作りの二つの立場を同時に追究させることによって、単一ではない複眼的な思考を学ぶことができるのではないかと思っている。

■ 情報化社会に対応した教材開発を

 今年度から新しい教科書を使う。一通り読んで気づいたのが、情報化社会に対応する部分が多くなっているということである。たとえば次の通りである。
(教科書は教育出版)
・インターネットで農業の情報交換
・インターネットショッピング
・インターネットでのモラル
・携帯電話で商品を購入できる自動販売機
・デジタルテレビ放送
 これらの例だけではなく、「ビデオレターを作る」「ホームページで発信する」「Eメールで情報を得る」といった学習活動例も紹介されている。
 将来、子どもたちは今以上の情報化社会の中で生きていく。情報の受け手と送り手の両方の立場に立つことによって、学習活動も深まる。その点で多様な形の教材開発ができるのではないかと思っている。

■ 今までの財産を生かす

 「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」がメインテーマである自分のホームページを開設してから、5年生を担任するのは3度目である。今までの実践の財産があり、それらをまた活用できることは嬉しいことである。
 たとえば、宮古市の新たな育てる漁業のパイオニア「イワガキを育てる」。環境の学習での「えりも岬に緑を蘇らせた人々。
 このような内容をもう一度実践できることが楽しみである。
 さらに、実践をしてはいないものの「これは教材になるのでは」と思って収集していたものもいくつかある。「もの作りにかけた技術者」「美しい風景・棚田」はいつか授業をしてみたいと思っていたら、今回教科書に写真やコラムが掲載されていた。きちっと教材化するチャンスである。

■ 方向性を決めておくことのメリット

 自分が行いたい教材開発について述べた。
今まで、一通り5年生の社会科教科書を何回か読み、「これはこの教材が使えるな」といった感触を持った。また、先に述べたように自分の中での教材開発での視点も決めた。
 このように方向性を決めることはきわめて重要である。関連情報がどんどんと見えてくるからである。たとえば、日々入ってくる情報で森林に関するものがあれば、「3学期の環境の学習で活用できるかも」と思い、注目をする。もしかしたら、価値ある教材に発展するかもしれない。それも一通り方向性を決めておいているからこその情報である。
 実際にどのような実践ができるか。それはこれからの連載で紹介していきたいと思う。

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2005.03.18

教材開発の成果は?

小学メールマガジンの連載原稿です

■ 子どもたちの卒業

 2年間担任を続けた子どもたちが卒業する。この2年間は、学校の研究が社会を担当させてもらったこともあり、自分の教材開発では「追い風」の状態であった。このメールマガジンでも、「りんごとみかんの交流学習」「えりも岬
に緑を呼べ」「水墨画の授業」「ザビエル」「青い目の人形」等、いくつか紹介させていただいた。
 私にとってはどれも印象深い実践ばかりであった。事前の教材開発も楽しかったし、もちろん授業も楽しんだ。ありがたい2年間であった。

■ ホームページのテーマの原点

 さて、私にとっては成果があったと思われるが、かんじんの子どもたちはどう思っているのだろうか。ふとそういうことを考えた。
 というのも、先週朝日新聞の取材を受けた時に自分のホームページの原点を思い出したからである。
 「先生が『地域のよさ・日本のよさ』をホームページのテーマにしたきっかけは何ですか?」と聞かれた。新聞記者さんであるから、事前に私のホームページは時間をかけて読んできている。実践の話は多く書かれているが、なぜ
このようなテーマにしたのか知りたいということだった。確かにそのことは書いていない。
 そこで私は話をした。

・12年前に教員研修でアメリカ合衆国ポートランド市に行き、1カ月ほどホームスティをしたこと
・その時に、ホストファミリーの友人らと話をした時に日本の話題になり、有名なものをあれこれ紹介した
・しかし、日本人の特性、海外に誇れるもの・人、仏教の考えについて質問された時に答えに窮してしまったこと
・その時に「自分は日本人。でも日本のことをよく知らなかった。自国のことを語れないなんて・・・」と思ったこと
・自分が教育に携わっているので、自分の経験から子どもたちには「自分の生まれた地域や日本について、自分の言葉で語れるようになってほしい」という願いを持ったということ

 このようなことを話した。
 この2年間、教材開発したものの多くは「地域のよさ・日本のよさ」という私のホームページにつながっている。そして子どもたちには、学びについて具体的に自分の言葉で話せるようになってほしいのだ。それが一番の成果だと思
っている。
 (なお、この取材での話は4月3日と10日の朝日新聞教育欄の「せんせい」というコラムに掲載される予定である。)

■ 子どもたちにとって成果は?

 では子どもたちにはどのような成果があったのか。
 それらをについて考える印象深い出来事が、卒業前に二つあった。

 一つは最後の授業参観前のスピーチである。参観日では「6年間の思い出スピーチ」を行った。自分が6年間で思い出に残ったことをそのままスピーチするものである。
 ほとんどの子がその題材を修学旅行・文化祭・陸上記録会等の行事,クラブ,委員会に求めていた。通常はそうであろう。インパクトが強いのだから。
 そのような中,「社会の授業」というテーマでスピーチをした子が何人かいた。
うち一人の子は「わたしが6年間で一番心に残ったのは,6年の社会の授業でした」で始まり、具体例としてNHK「わくわく授業」で放送されたザビエルの授業のことをあげていた。
 「私は,今までそれぞれ違う見方で考えたことがなかったけど,劇をして,立場が違うだけでこんなに考えが違うことがわかりました」と話していた。
 ちなみにこの子は社会科での発言は少ない。それでも,このように「社会の授業」が一番の思い出だと言っていたことが本当に嬉しかった。
 そして、「ザビエルが日本に来た時にはいろいろな考えがあった。具体的に言えばそれは・・・・」と授業のことを思い出しながら、自分の言葉で言えるだろうなあと感じた。

 もう一つは「子どもたちが選ぶアンコール授業」についてである。
 卒業前に子どもたちが「自分たちがもう一度受けたい授業」を話し合った。その上位のうちのいくつかが、社会科の教材開発実践だったのである。「水墨画」「ザビエル」「テレビCMの分析」等であり、特に「水墨画」はもう一度描いてみたいと感じたようである。
 この水墨画はただ単に描くという体験だけではなく、雪舟の「四季山水図」の分析やデジタルコンテンツでの視聴等でくわしく学習をした。子どもたちも自分の口で「水墨画は・・・」と語れるであろう。

 この二つのエピソードから、印象に残った実践は子どもたちの記憶の中に強烈に残ると感じた。そして、子どもたちはそのエピソードについてある程度の説明ができるのではないかと思っている。それがこの2年間の成果と考えたい。そのような新しい教材開発をまた新しい学年で展開したい。

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2005.02.25

韓国の授業2

小学MMの原稿の続きです。

■ 授業「日本とつながりの深い国 韓国」

 1時間の韓国の授業。次のような流れで行った。

1 本時のめあてと視点の確認 「韓国はどのような国なのだろうか」
2 韓国について,子どもたちのプレゼン(1チーム)
3 韓国の文化・習慣・歴史・日本との関わりについて知る
4 日本と韓国のこれからで大切なことは何か考える
5 学習のまとめをする。

 ここで中心になるのは3と4である。
 3では児童用図書の中にあった一枚の写真を提示した。韓国の一般家庭の食事風景である。この写真を深く読み取っていくと、「韓国」という国の文化や習慣,生活ぶりが見えてくる。最初,子どもたちに「気づいたことを発表しなさい」と指示をする。

・皿を置いたまま食べている  ・茶碗が金属製
・はしとスプーンを同時に使っている  ・日本人と似ている
・レストランのように焼き肉を焼いている ・膝を立てて食べている等

 パッと見た感じでは日本と同じように見えた食事風景もよく見ると違いがたくさんある。特に「片膝を立てる」姿勢は日本との違いをずばり表しているものであり,子どもたちは興味を持った。
 その他にも「韓国では冬でも部屋ではこのように薄着です。なぜか」と問いかけた。子どもたちは床に注目した。そこでオンドル(朝鮮の床暖房)のしくみを紹介した。一枚の写真から広く読み取ることができた。

4では「日本と韓国のこれからで大切なことは何か」と聞いた。社会の学習で知識を得るだけではなく、未来の社会についても考えてほしいという願いからの発問である。「交流」「平和」「文化の体験」等が出てきた。
 それらをもとに一人一人が下のようにまとめて学習を終えた。

・韓国は独特の文化を持つ国である。食事の時、おわんを持たないことや女性はひざを立ててすわったりする。文化交流ではそのようなことを理解しあうことが大切だ。
・日本と韓国でこれから大切にすべきことは、お互いの文化を理解しながら深めていくことである。昔は争っていたから、これからは平和を大切にしていくことが大切である。

■ 「スッーと流れている。もっとこだわりを」

 授業の参観者はおよそ80名。普通教室では入りきらないので,教室が二つ分ある視聴覚室に机を移動して行った。違った環境でも子どもたちはいつも通りの期待通りの反応だったし,指導案通り学習は流れた。
 さて,授業終了後,有田先生からのご講評。「すばらしい子どもたちですね」と前置きした後,次のように言われた。
 「でも川のようにスッーと流れていますね。もっとこだわりを持っていい」
 子どもたちが教師の提示する資料を必死に読み取っているのだが,「どうして膝を立てる習慣があるのか」「なぜ皿を置いたまま食べているのか」といった子どもたちの疑問が授業中に出てきてもよいということだった。
確かに,私の授業は1時間にあれこれ詰め過ぎて,はやいスピードで展開するパターンが多い。それでいいと思っていたが,逆にそれは「こだわりの少ない子を育ててしまっている」ということに気づいた。
 もう一つ,「教材研究にもこだわりを」というご指摘をいただいた。たとえば,韓国だったら,オンドル一つで韓国の自然,生活,エネルギー,食事等を深めることができるという話を聞いた(このことは有田先生が著書に書かれている)。
今回の扱い方は自分の場合,まさに浅く広くだった。
 重要なご指摘をいただいて,自分としては感激の思いだった。これからの自分の授業での進むべき道を教えてくださったのだから,本当に有難かった。

 研修会終了後,校長室で有田先生にサインをお願いした。ご著書に「授業は布石の連続」と書いていただいた。これも自分にはあまりなかった視点だ。この意味をかみしめ,新たな教材開発をがんばらねばと感じた。

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2005.02.24

韓国の授業1

小学メールマガジンに掲載された原稿である。


■ あこがれの有田和正先生の前で授業

 このメールマガジンの連載を始めたのが4年前である。その時の題が「やはり、有田先生から始めます」というものだった。有田和正先生(教材・授業開発研究所代表)の授業を参観して衝撃を受け,それ以降自分が教材開発に取り組むようになったという内容だった。教師になって3年目の出来事だった。
 それ以来17年間,その時に見た有田学級が目標だった。教師の発問に自分の知識をフルに持ち出し,一生懸命に追究する子どもたち。そのようにはまだまだ育てられていない。
 しかし,今年度地区の社会科教育研究会で有田先生を招いて研究会を行おうということになった。提案授業者は私。あこがれの有田先生の前で授業をすることになったのである。しかも授業のコメントを話してくださる。これほど有難い研究授業はないと感じた。

■ なぜ韓国か

 授業する単元は6年生「日本とつながりの深い国々」である。
 学習指導要領によれば、この単元は子どもたちが一つの国を選んで調べることになっている。教科書(教育出版)もそのような展開になっており、調べ発表する場面は私も同様に展開をしている。子どもたちは、中国・アメリカ合衆国・韓国・タイ・イタリア・オーストラリアの6か国のうちから一つを選んで調べた。
教科書の展開であれば、子どもたちの調べ学習と発表が学習の中心となる。しかし、それだけでは学習として物足りない、むしろ子どもたちの発表に教師が意図的に資料を提示したり、その国について深く考えさせたりする場がほしいと考えた。
 私自身は社会科授業のおもしろさはここにあると思っている。単に他から知識を得るだけではなく、資料から自分たちで話し合って見方や考え方を学ぶというものである。これが集団で学ぶよさである。言いかえれば「社会的なものの見方や考え方を学ぶ」というものだ。
 では,提案授業の題材としてなぜ韓国を選んだのか。
 教科書には韓国は例として取り上げられていない。しかしながら、現在の日本にとって韓国は「近くて最も親しい国」と思われるからである。単なる韓流ブームということだけではない。日本に来る観光客が一番多いのはここ数年韓国である。日本から韓国への観光客も増加の一途だ。かつては「近くて遠い国」だった韓国が本当に隣人になっている。
 しかしながら、その韓国のことを子どもたちはよく知らない。イメージは「キムチ」「ぺ・ヨンジュン」といったものである。そこで、1時間だけであるが韓国を取り上げ、子どもたちの浅い韓国観を深めたいというのが私の意図であった。

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2005.02.10

世界の国旗

 「世界の国々」の学習の発展で国旗の授業を行った。ワークテスト後の25分で行う。学級通信に書いたまま紹介をする。

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 世界の国々の学習,特別編です。国旗についての授業をしました。教科書にも書かれているものです。
 まずはアメリカ合衆国の国旗を示して聞きました。「50の星は,昨日の道徳で学習したように今の50州を示しています。では,赤色と白色の線は何を表していると思いますか。」
 子どもたちはもちろんわかりません。これはズバリ答えを教えました。
「赤色の線は勇気を、白色は清らかさを表しています。」

 こんな感じで、「国旗の確認」「国旗に示されている意味を考える」というパターンで、次々といろいろな国の学習をしていました。
 今度は、カナダとスリランカの国旗について聞きました。
「カナダの真ん中にある模様は何でしょう」
「ひいらぎ?」
「これは、『さとうかえで』という葉です。木から甘い液が出てきて、飲むことができます。どうしてこのような模様にしたのでしょう。」
「カナダにその木が多いから。」
「そうです。カナダでは、国を開拓した当時、その液を吸って飢えをしのいで国を作ったからです。」

 スリランカの動物はいろいろと出てきました。「虎」「シーサー」「らくだ」「ライオン」等々。これは、国ができた当時の王が「獅子王」と呼ばれたことにちなんでいます。

 これらの例の他にも、ヨーロッパには十字架にちなんだ国旗が多いこと(これは子どもたちがキリスト教に関係あるとすぐにわかりました)、オーストラリアとニュージーランドがイギリスと関係が深いために、イギリスの国旗の一部が使われていること等、いろいろな国旗の由来について学びました。
 最後に日本の国旗についても「日章旗と言われている」「中の赤い丸の直径は縦の長さの5分の3と決められている」といったことを説明しました。
 そして、子どもたちに聞きました。

 それぞれの国旗の色や模様には何があると言えますか。
 
 「象徴になっている」「特色がある」「歴史がある」・・・といった反応が子どもたちから出てきました。その後書かせた感想からも次のように「新しいものを学んだ」ということが多く出てきました。

・日本の国旗にも,長さや形が決まっていたのでびっくりしました。
・今日は国旗のことを知って,すごく意外なことがたくさんあって驚きました。もっとくわしく知りたいです。
・国旗には国の特徴などが表れていることを初めて知って,あんなに深い意味があるなんて驚きました。

 今回は発展的な学習です。子どもたちにとって学びが多い学習でした。

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 活用した国旗のサイトはこちら。かつてはコンビニで時間とお金をかけてカラーコピーしたものだった。今日はものの10分ほどでプレゼンソフトであっという間に教材ができた。便利さを実感。

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2005.01.26

自分に足りない部分

 ここ数日社研の授業構想に悩んでいる。理由は切り口の決め手を書くからである。昨日読んだ文献の中に有田先生の「おんどるの授業」があった。おんどるを切り口にして、韓国の気候、生活、エネルギー、農作物というように発展的に学習を展開していくのである。実に魅力的だ。むろん当時の学習内容と今の内容は違う。方法についても昨日書いたように学習指導要領解説書に基づけば、「一つのものを切り口にして提示された課題を調べていく」という形は難しい。

 この有田先生の実践に魅力を感じる理由は、教師自身が教材開発している内容をストレートに子どもたちに提示し、子どもたちが張り切って調べているからだ。きっと調べた内容が話し合いで高まり合い、教師の出した課題を子どもたちが乗り越えていく授業になったのだろう。この「本格的に追究し、教師の考えを乗り越えようとする子どもを育てる」というところが自分に足りない部分と改めて思う。

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2005.01.24

教科書を教材研究する2

■ 韓国の教科書より

 2月に地区の社会科教育研究会で研究授業を行うことになっている。韓国を対象に行うことにした。いくつか理由はある。
・韓流ブームであり、子どもたちの興味が高いこと
・歴史的なつながりがあり、(上)の教科書にも資料がいくつも掲載されていること
・似た文化を持ちながら、違う点も多いこと
・歴史的なつながりが深い分、韓国から日本を見れば・・・といった複眼的な視点を育てられること・・・等

 さっそく参考文献を探しに市立図書館へ行った。その中で「韓国の教科書を読む」(斎藤里美編・明石書店)に興味を持った。小6と中3の教科書の一部が掲載されている。
 他国の教科書は今まで読んだことはなかった。算数は日本の小6とほぼ同じだし、社会は班ごとに歴史を調べた結果を掲載している。これも日本によくあるパターンだ。
 そんな中、明らかに日本と違うのは道徳だ。たとえば小6で次のようなものが題材になっている。

・どのような国が暮らしやすいよい国なのか
・私が望む国
・暮らしやすいよい国づくり
・私たちの民族、私たちの文化

 明らかに「国」「国民」を意識する内容だ。しかもそれらを具体的に話し合うような学習の流れになっている。国について話し合うのが当たり前になっているのだろう。
 私は「自分の地域や国のことを自分の口で語れる。同時に自分の望む地域や国についても語れる」・・・・そんなふうに子どもたちを育てたいと思う。「地域のよさ・日本のよさを伝える授業」というホームページを開いているの
もそのためである。韓国の教科書のような流れで教材化もできるのだと感じた。他国の教科書を読んだからこそわかったことである。

■ 来年度の教科書を読む

 来年度の社会科の教科書をこの冬休みはじっくりと読んだ。昨年夏の展示会の時にも目は通しているが、時間的な制約もありゆっくりと読むことはできなかった。今回は3~6年の教科書を通して読むことができたこと、違う会社の
教科書に目を通すことができて新たに見えてきたものがあった。
 特に、自分にとって新鮮だったのは次の2点だ。

・学び方をより重視する内容になっている。
・情報化社会の記述が増えてきている。

 たとえば、違う地域の学習をする時に電子メールを活用したり、テレビ会議を行ったり、学んだことをプレゼンテーションしたりする例が出ている。しかも記述も具体的だ。テレビ会議の場合だったら、「流れを絵コンテにしてお
く」「終わったらお礼を言う」というように書かれている。テレビ会議のことが書かれていても、方法がわからなければ実践は難しい。子どもたちがより実践できるようにという配慮であろう。
 また、地上デジタル放送、各産業でのコンピュータ活用、インターネットショップ、著作権等の情報化社会の実例紹介がかなり増えた。そこでのモラルも具体的に記述されている。社会科における情報教育の比重が高まってきているのである。
 この視点から新しい実践の組み立てを考えている。

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2005.01.23

教科書を教材研究する1

「小学校MM」連載 私の教材開発物語第44回より

 機会があってここ1カ月で何種類かの「教科書」を読んだ。現在使われている小学校教科書ではない。中学校の教科書や外国の教科書、そして来年度以降使われる教科書だ。ふだん使っている教科書にはない視点を数多く学んだ。その中からいくつか紹介する。

■ 中学校の地理の教科書から

 長女は中1である。地理の教科書(東京書籍)を見て、「小学校でも活用できるネタが多い!」と驚いてしまった。
 たとえば、「日本地図を見て旅行計画を立てる」というページがある。自分も4年生の担任している時に、「岩手県の地図旅行をしよう」という実践を行っている。場面設定でおもしろかったのが、「外国人旅行者に日本をわかって
もらおう」というページだ。
・サウジアラビアでくらす人が、梅雨の時期に日本を訪れ、一週間降り続いた雨を見て帰国してしまった。
・中国の古都・洛陽から訪れた人が、京都と奈良だけを訪ねて帰ってしまった。
 このような短い滞在をした人に「誤解や思いこみを出す可能性があるから、情報不足を補うために電子メールを出しましょう」という内容だ。「日本の特色を伝えましょう」という課題を出すより、間違いなく子どもたちはのってくる。

 資料や教材でも「今、使いたい」と思うようなものもあった。たとえば「韓国で使われている地図」。ここでは北朝鮮と韓国が分かれていない。二つの国を一つにして「大韓民国」と表記している。また「日本海」は「東海」と表されている。6年生の3学期には社会で「世界の国々」を学習する。そう表記している理由を考えさせるとおもしろそうだ。
 また、「ロックンロール県庁所在地」(作詞作曲:森高千里)も紹介されている。一昨年には「ミニモニ。」がカバーした曲だ。暗記すれば全都道府県名と都道府県庁所在地を覚えられる。我がクラスでまだ47都道府県全部を言え
る子は少ない。この歌で習得率アップもいいなと思った。(つづく)

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2005.01.19

自然と教材開発の話が・・・

2月2日の胆沢地区社会科教育研究会の事務連絡で有田和正先生にお電話をした。この社研では私が提案授業を行い、その後有田先生の授業コメント・講演(模擬授業付き)・Q&Aと続く。
地区ではなかなかこのようなイベントがないので、申し込みがどんどん来ている。70人の定員をすでにオーバー。さらにまだ申し込みは来るだろう。

さて今回の電話はあくまでも事務連絡のためであったが、お話をしているうちに「岩手の教材開発」の話になった。大船渡の地名の意味や三陸海岸のこと等、岩手県人の私が知らない話がどんどん出てくる。しかも実に楽しそうだ。「教材開発は私の生き甲斐だ」と本に書かれていたことを思い出した。

自分も「教材開発しています」と言うことがあるが、有田先生のように自然に教材開発の話は出てこない。そのようになってこそ本物なのだと思うが、まだまだである。

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2005.01.16

他国の教科書を読む

2月2日の地区社研で提案授業を行う。
「世界の国々」を行うことは決めていたが、具体的なものは全く決めておらず。「冬休み中にゆっくりと充電をして教材研究しよう」と思っていたが、「充電」どころか「放電」状態(笑)でなかなか方向性を探しあぐねてきた。
冬休みの終わりになってようやく本腰を入れている次第である。今日、ようやく対象を決める。「韓国」を中心に行うことにした。いくつか理由はある。

・韓流ブームであり、子どもたちの興味が高いこと
・歴史的なつながりがあり、(上)の教科書にも資料がいくつも掲載されていること
・似た文化ながら、違う点も多いこと
・歴史的なつながりが深い分、韓国から日本を見れば・・・といった複眼的な視点を育てられること・・・等

さっそく参考文献を探しに市立図書館へ。その中で「韓国の教科書を読む」(斎藤里美編・明石書店)に興味を持った。小6と中3の教科書の一部が掲載されている。
他国の教科書は今まで読んだことはなかった。算数は日本の小6とほぼ同じだし、社会は班ごとに歴史を調べた結果を掲載している。これも日本によくあるパターンだ。
そんな中、明らかに日本と違うのは道徳だ。
小6で次のようなものが題材になっている。

・どのような国が暮らしやすいよい国なのか
・私が望む国
・暮らしやすいよい国づくり
・私たちの民族、私たちの文化

明らかに「国」「国民」を意識する内容だ。しかもそれらを具体的に話し合うような学習の流れになっている。国について話し合うのが当たり前になっているのだろう。6年の道徳の副読本にも「愛国心」の内容のものはあるが、本文から間接的に感じ取るだけだ。
ここで、かつて読んだ「新ゴーマニズム宣言」の1シーンを思い出した。韓国の若者と日本の男性アイドルが話をしている。国のことをしっかりと考えて話す韓国の若者。それに対してアイドルは何を言ったらいいのかわからず、困惑しているというものだ。
このような教育をすれば、先のシーンのような風景は当然であろう。
「自分の国のことを自分の口で語れる。同時に自分の望む国についても語れる」・・・・そんなふうに子どもたちを育てたいと思う。
そのためには教科書の内容が重要だと感じた。これも他国の教科書を読んだからこそわかったことである。

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2005.01.14

社会科教科書を見る時

プロジェクトに関わって1カ月ほど前から、来年度の教科書を見る機会が増えている。昨日と今日も何度か見た。
今までは教科書を見てもあまり見えてこなかったが、次の見方をしているうちに「なかなか奥が深い」と感じてきた。

・一つの視点で集中的に見る。(今回は現実社会に見られる情報やメディアについて)
・3年~6年まで通して見る。

特に全学年を通して見るということは特に重要だ。小学校社会の中でこの学年がどういう位置づけなのかがわかってくるし、今回の自分が見た視点では違う学年でダブりがないこともわかった。
ただ時間的に今回見ることができたのは一社のみ。確か社会科の教科書会社は5つ以上はあったと記憶している。違う会社のものを通してみれば新しい発見がきっとあるに違いない。
「教科書を視点を持って全学年読む」・・・・これは一つの教材開発につながる。

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2005.01.11

絵本から版画題材の教材開発

今日は図工セミナー。どの教科でも教材開発はある。
講師の先生が題材として扱ったのが酒井駒子さんの絵だった。絵本作家という。あまり絵本を読まない私は知らない。1枚を紹介していたが、事務局としてちょっとした時間に検索をすると、ここに主な作品があった
たしかに今日の一版多色刷りにふさわしい絵だ。柔らかな雰囲気。色も複雑ではない。限られた時間で行うのにはぴったりだ。

講師の先生に休憩時間に紹介をすると「印刷してほしい」ということでさっそくプリントアウト。次の講座の最初で紹介された。(こういうところでもインターネットは役だった。自己満足。)

図工の絵だから題材を図工関係に求めているのかと思ったら今回は絵本。この教材開発のアンテナは講師の先生ならではと思った。もちろん、何の視点もなしに絵本を見ていても閃かなかったであろう。「版画で活用できる」「子どもたちに教えたい」といった問題意識があってこそ、情報が入ってくる。先週見たわくわく授業で、大村はまさんの教材開発の源となった書物を見た。個人の所有としては莫大なものだった。これに問題意識があったからこそ、「神様」といわれるような授業の達人になったのであろう。
幅広い読書と強い問題意識。この二つがあってこそ教材開発がどんどんできていくと改めて感じた。

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2004.12.21

青い目の人形を追う2

■ 授業「青い目の人形」

1 青い目の人形について写真を見せ、感想を話し合う。課題を設定する。

 最初に全国の青い目の人形の写真4枚を子どもたちに見せる。興味深げに見る子どもたち。感想や気づいたことを聞く。

・青い目の人形だ
・これはアメリカから贈られたものだ
・髪の毛が金髪

 教科書に出ていることもあり、子どもたちは青い目の人形ということにすぐに気づいた。でも、「どのような運命をたどった人形か」ということはわかっていない。そこで「青い目の人形について知り、考えたことや伝えたいことをまとめよう」という課題を設定した。そして学習の流れを確認する。

2 友達のプレゼンや資料から青い目の人形について知る

 今回は次の2段階で詳しく調べることにしていた。

(1)あらかじめ調べた友達のプレゼンを聞き、概要を学ぶ
(2)教師の資料によりくわしく学ぶ

 最初に友達のプレゼンから「青い目が贈られた理由」「その後の運命」「岩手にも贈られた青い目の人形」等について学びました。これについては、子どもたちがインターネットや聞き取りから調べた通りである。これによって子どもたちは青い目の人形の概要について知った。

 次は私の出番である。学習を深めるために新たな資料を提示する。「青い目の人形 憎きその敵」という見出しの当時の新聞をプリントにして配布した。当時の新聞を読み取り、感想を聞く。
「贈られたものを戦争だからといって焼くことはない」
「人形は悲惨な運命だ。このようなことをしてはならない」
といった発言が続いた。今の考えからすれば当然のことである。

 ただ、当時の立場にも立たせたいと考え、「もし、君たちが当時の小学生だったらどういう行動をとりますか」と聞いた。そうなるとさすがに「自分も同じ行動をとらざるをえない」という子がほとんどであった。
 この後、人形を命がけで守った人々の紹介をした。

 そして中心となる発問をする。
「青い目の人形は何のシンボルですか」
「・戦争をなくすため ・平和を訴える  ・戦争反対  ・人類平等 ・平和を取り戻すもの ・過去の戦争の歴史」
といったことが出てきた。
 青い目の人形が単なる人形ではないことを子どもたちは考えた。

3 考えたこと、伝えたいことをまとめる

 子どもたちからは、次のようなまとめが出てきた。

・青い目の人形は、日本とアメリカの友好のために贈られたのだが、戦争に時にほとんど焼き捨てられてしまった。青い目の人形は平和を取り戻すために大切な人形だからこれからは大切にしてほしいと思った。
・青い目の人形は「平和を」という考えでアメリカのギューリック博士から贈られたが、戦争が始まりやかれたり、串刺しにされたりした。気持ちを裏切ってこんな事はしてはいけないと思った。
・青い目の人形はたくさんの歴史があり、願いが込められている。青い目の人形は平和のシンボルでもあるので、これからは大切にしていくべきだと思う。
・青い目の人形は戦争でたくさん焼かれてしまったが、残りの数少ない人形達が戦争のない平和な世界をのぞんで博物館などで大切に保存されている。かわいそうに思って保存していた人達がすごいと思った。

■ 後日談

 子どもたちのまとめからわかるように、青い目の人形を通じて一人一人が戦争と平和について考えたことがわかる。その点で価値ある学習ができた。
 プレゼン発表をした子たちは、一生懸命に青い目の人形を追った結果、学区内の幼稚園の保存されていることを突き止めた。これはインターネットには出ていない情報であった。実際に見学に行き、改めて感動を共有することができ
た。

 また、同じ頃に行われていた国語の短歌の学習で「青い目の人形」というテーマを設定した時には次のような作品ができた。

・戦争で焼き捨てられた人形は平和を願う宝物だよ
・歴史ある青いひとみの人形は戦争なくす平和の証
・人形は平和を願うシンボルだみんなの願いつまっている
・小さい目青い目そしてきれいな目その目で平和を訴えている

 授業自体は1時間だったが、子どもたちにとっては記憶に残る授業になったようである。

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2004.12.20

青い目の人形を追う1

小学MM連載 「私の教材開発物語」 第43回

「青い目の人形を追う」より

■ 教科書に出ている「青い目の人形」

 11月に研究授業を行った。題材は青い目の人形。本地区で使用されている教科書(小学校6年・教育出版)にも数行ではあるが取り上げられているものである。

 さて、この青い目の人形はどのような運命をたどった人形なのか。
 1927年、アメリカのギューリック博士が、約1万3千体もの青い目の人形を国内から集めることを呼びかけ、日本に贈られてきたものである。最初は「友好の使節」と言われ、日本でも大歓迎された。人形は全国の小学校や幼稚
園に贈られ、行事の時等には飾られた。
 しかし戦争が始まると「敵国人形」ということで、壊されたり、焼かれたりした。それでも、「焼くのはかわいそう」とあちこちに隠したり、保存したりして現在全国で300体残っている。
 
 私が初任校(江刺市立愛宕小学校)にはこの人形が愛宕小学校に保存されており、当時から機会があるごとに子どもたちにも紹介されていた。以来6年生担任になった時には、この青い目の人形の授業を行うようにしている。

■ 教師の教材研究

 授業にかける前にまずは教師の教材開発である。現任校には青い目の人形は現存していない。そこで初任校の愛宕小学校に行く。
 人形は大切に校長室に飾られていた。貴重品で持ち出し禁止ということで、写真を撮影する。また人形のパスポートの実物が添えられており、さっそくコピーする。このパスポートは当時の人形に「交流大使の役目を果たしてほし
い」と人々が願いをこめていたことを表していると感じた。その他の関連する文献資料も借りる。
 青い目の人形が学校にあった時代のことや守った時のことを直接知っている人がいたら話を聞きたかったが、ご高齢ということで難しかった。地域教材の場合には可能な限りゲストティーチャーをお願いしてきたが、今回は数km離
れた隣市ということもあり断念する。

 数年前の教材研究なら、この時点で終わりである。ところが今はインターネットがある。さっそく「青い目の人形」で検索すると次々と授業に活用できるサイトが見つかった。写真も活用できるし、人形を守ったエピソードもあった。
「これなら身近に青い目の人形がなくても、授業を組み立てることができるなあ」と改めてインターネットの便利さを感じた。

■ 子どもたちがプレゼン

 今回のこの青い目の人形を扱う時間は1時間のみである。となると子どもたちが聞き取りやインターネットで調べる時間はほとんどない。(授業後に自主的な調べ活動として深く追究することはできるが。)

 そこで、「先行調べ学習」を行うことにした。特定の子どもたち(2~4名)が学習するテーマを、休み時間や放課後等に他の人に先駆けて調べる。その結果を学習の中でプレゼンをするのである。

 今回は2人の女の子が行うことになった。2週間前から準備を始め、地域の方への聞き取り、インターネットでの調べ活動を行って、プレゼンテーションソフトにまとめた。青い目の人形についての基本的な情報はこのプレゼンによ
って提示することにした。(つづく)

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2004.12.10

2年生の「水小郵便局」

2年生が生活科の学習で「水小郵便局」を今開いている。全校を巻き込んだ実践で実にダイナミック。生活科発足当時の実践がおそらく10年以上継続して続けられているのだろう。(もう今は生活科の実践はレポート等でもなかなか見ることがなくなっている・・・)

学級通信にそのよさを少し書いた。紹介する。

 休み時間、何人かの子どもたちが一生懸命にはがきを書いています。また別の子たちは、はがきを購入してきて、「たくさん買ってきたよ」と言っています。
 ともに水小郵便局に関する様子です。今2年生が生活科の学習で一生懸命に取り組んでいるものです。
 この学習のいい点がいくつもあります。次のようなものです。

・2年生の学習だが全校を巻き込んでいる
・3年生以上の子どもたちは「自分もがんばってやった」という経験があ り、協力したいという気持ちが働く。
・ふだんは話をしている相手でも手紙を出すことによって、気持ちを伝えることができる。
・逆にふだんお世話になっている相手(特に教師)に、感謝の気持ちを伝えることができる。
・葉書の交換はベルマークを持ってくること。一石二鳥である。

 私自身も子どもたちからはがきをもらいます。さらに、自分たちの弟、妹からもらった子もいます。「返事、どうしよう・・・」と言いながら嬉しそうな顔をしています。
 このような心の交流ができる水小郵便局。今年も楽しみました。

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2004.11.18

青い目の人形2

学級通信 6年1組物語 第116号

   青い目の人形 2

 2 友達のプレゼンや資料から青い目の人形について知る

 この青い目の人形は教科書にわずかに掲載されているだけです。子どもたちは、調べようにも手立てがありません。
 そこで今回は次の2段階で詳しく調べることにしていました。
① あらかじめ調べた友達のプレゼンを聞き、概要を学ぶ
② 教師の資料によりくわしく学ぶ
 最初に友達のプレゼンから「青い目が贈られた理由」「その後の運命」「水沢小にも贈られた青い目の人形」等について学びました。これは、パソコンからスクリーンに写真と文字で写す形のものです。
 概要がわかったら、私が提示した資料で深めます。私からは「青い目の人形 憎きその敵」という見出しの当時の新聞をプリントにして配布しました。当時の新聞を読み取り、感想を聞きました。
・「贈られたものを戦争だからといって焼くことはない」
・「人形は悲惨な運命だ。このようなことをしてはならない」
といった発言が続きました。今の考えからすれば当然のことです。
 ただ、当時の立場にも立たせたいと考え、「もし君たちが当時の小学生だったらどういう行動をとりますか」と聞きました。そうなるとさすがに「自分も同じ行動をとらざるをえない」という子がほとんどでした。
 この後、人形を命がけで守った人々の紹介をしました。
 そして中心となる発問です。「青い目の人形は何のシンボルですか」

・戦争をなくすため ・平和を訴える  ・戦争反対  ・人類平等 ・平和を取り戻すもの ・過去の戦争の歴史

 青い目の人形が単なる人形ではないことを子どもたちは考えました。

3 考えたこと、伝えたいことをまとめる

 子どもたちからは、次のようなまとめが出てきました。

・青い目の人形は、日本とアメリカの友好のために贈られたのだが、戦争に時にほとんど焼き捨てられてしまった。青い目の人形は平和を取り戻すために大切な人形だからこれからは大切にしてほしいと思った。
・青い目の人形は「平和を」という考えでアメリカのギューリック博士から贈られたが、戦争が始まりやかれたり、串刺しにされたりした。気持ちを裏切ってこんな事はしてはいけないと思った。
・青い目の人形はたくさんの歴史があり、願いが込められている。青い目の人形は平和のシンボルでもあるので、これからは大切にしていくべきだと思う。
・青い目の人形は戦争でたくさん焼かれてしまったが、残りの数少ない人形達が戦争のない平和な世界をのぞんで博物館などで大切に保存されている。かわいそうに思って保存していた人達がすごいと思った。

 一人一人が十分に「戦争と平和」について考えたことがわかります。その点で価値ある学習ができたと思います。

※国語で短歌の学習をしましたので短歌にもしてみました。
・戦争で焼き捨てられた人形は平和を願う宝物だよ
・歴史ある青いひとみの人形は戦争なくす平和の証
・人形は平和を願うシンボルだみんなの願いつまっている
・小さい目青い目そしてきれいな目その目で平和を訴えている

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2004.11.17

「青い目の人形」 1

昨日行った研究授業、「青い目の人形」の授業記録である。といっても誰かが正確な記録をとっていたわけではないので、学級通信をそのまま転載し、記録に代える。

学級通信 6年1組物語 第115号

青い目の人形 1

昨日は研究授業でした。他の学級は午前授業。「6年1組は16日は特別に5時間目まであります」と以前子どもたちに告げた時には「エー」という声でした。当然ですね。
あわてて「昼休みは校庭、パソコンルームが独占できます。使い放題です。さらに1時間多く勉強するから、家庭学習もなし」と話して子どもたちも納得しました。(というより、とっても喜んでいました。確かに学級の友達と1時間も自由に校庭を占領できることはこんな日以外はありません。パソコンルームに行った子たちも同様でした。)

研究授業で行った教科は社会です。題材は青い目の人形です。これは教科書にも取り上げられているものです。
どのような運命をたどった人形かといえば、アメリカのギューリック博士が、約1万3千体もの青い目の人形を国内から集めることを呼びかけ、1927年日本に贈られてきたものです。
最初は「友好の使節」と言われ、日本でも大歓迎されました。人形は全国の小学校や幼稚園に贈られ、水沢小学校にもあったようです。
しかし戦争が始まると「敵国人形」ということで、こわされたり、焼かれたりしました。それでも、「焼くのはかわいそう」とあちこちに隠したり、保存したりして現在全国で300体残っています。

写真の人形は江刺の愛宕小学校に保存されているものです。私の初任校であり、当時から機会があるごとに子どもたちにも紹介されていました。
この存在が今回の授業のヒントになりました。事前に愛宕小学校に行き、写真を撮らせてもらったり、資料を借りたりして授業の準備をしました。インターネット上で「青い目の人形」というキーワードで検索をすると、ここでも様々な青い目の人形に関わる話がわかると感じました。

さてさっそく授業のことについて紹介をします。

1 青い目の人形について写真を見せ、感想を話し合う。課題を設定する。

最初に全国の青い目の人形の写真4枚を子どもたちに見せました。興味深げに見る子どもたち。感想や気づいたことを聞きました。
・青い目の人形だ
・これはアメリカから贈られたものだ
・髪の毛が金髪
教科書に出ていること(子どもたちの半分は予習をしていてすでに読んでいました)もあり、子どもたちは青い目の人形ということにすぐに気づきました。
でも、「どのような運命をたどった人形か」ということはわかりません。
そこで 青い目の人形について知り、考えたことや伝えたいことをまとめようという課題を設定しました。そして学習の進め方について確認をしました。
続きは次号で。

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2004.11.07

やはり楽しい教材開発

教材開発に関わる話を二つ。

一つ目は伝統芸能について。
新幹線に乗った時には必ず車内誌「トランウ゛ェール」に目を通す。JR東日本の冊子でお目当ては特集。対象の地域の魅力がビジュアルに書かれている。ちなみに持ち帰り自由。
昨日見たのは岡本太郎が撮影した秋田、岩手、青森の写真だった。北東北の魅力にとりつかれた時期があったようだ。これは初めて知った。なまはげ、鹿踊り、鬼剣舞・・・すべて自分にとっては伝統芸能として見聞きしていたもので珍しいわけではない。しかし、それが逆に教材開発的な視点を見えにくくしていたのかもしれない。間違いなく「地域のよさ」である。何らかの形で教材化ができそうだ。

二つ目は子どもたちが追究して発見したものについて。
社会の発展として「青い目の人形」を扱おうと思っている。昭和の初めに1万2千体、アメリカから送られたが、戦時中に焼かれたり捨てられたりして、現存するのは3百体というものだ。16日の市教研の研究授業で行う予定だ。初任校に偶然青い目の人形が残っており、実践してみようと思った。先週おじゃまして実際に見たり、いろいろと教えていただいたりした。
この青い目の人形、訳あって数人の子たちに追究活動を先行させている。そうしたら、学区内の水沢幼稚園に現存されていることを子どもたちが突き止め、来週見学できる運びとなった。私自身には「この地区では初任校にしかない」という固定観念があったから、マークしていなかった。子どもたちに拍手!
これで学習活動もよりリアルになる。嬉しい発見だった。

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2004.10.21

様々な立場から歴史を見る その1

小学MM連載原稿「私の教材開発物語」第41回より

■ NHK「わくわく授業」の取材

 NHK教育テレビに「わくわく授業」という番組がある。
毎週木曜日の22:25~22:50の放送である。この番組では主として小学校と中学校の全国各地の授業を取材し、その様子を紹介している。授業そのものが放送の中心になるのはもちろんだが、どのようにして授業作りが行われているのか、教え方の工夫は何かといった解説もあり、授業作りの参考になる。有田和正先生の飛び込み授業の回では、「我が家でこのような一流の授業を見られるなんて・・・」という思いであった。
 さて、その「わくわく授業」の取材班が私の教室にも入った。7月中旬である。題材はザビエルである。

■ ザビエルを通して何を学ぶか

 今回扱うザビエルについての記述は教科書では簡単なものだ。資料集もごくわずか。
 では、なぜ取り上げたか。それは自分自身の歴史授業のメインテーマとの関連がある。
 私は常日頃「歴史的なものの見方・考え方が深まる授業」を行いたいと思っている。子どもたちが歴史の事実を知り、そこから自分なりの歴史的な見方・考え方を身につけてほしいと考えている。この「私の教材開発物語」39回で
紹介した「水墨画に挑戦しよう」も水墨画の見方を深めるという実践であった。
 今回扱うザビエルもこのような授業に適切な素材である。というのもザビエルが日本で布教活動をする時には様々な立場から様々な反応があったからである。たとえば、仏教を信仰する僧は反対したし、貿易目的で布教に賛成した大名もいた。民衆でも信じる者もいれば、疑う者もいた。「キリスト教が日本に伝わった」と言っても、立場が異なれば様々なスタンスがあるのは当然である。
ザビエルを通して、「立場が異なれば、考え方も違う」というものの歴史的な見方を学ぶチャンスであると考えた。

■ ロールプレイで意欲化を図る

 授業の意図は決まったら次は方法である。どのようにして学ぶか。
 今回はロールプレイを授業の中心に持ってくることにした。子どもたちをいくつかの立場に分ける。グループごとに、その立場を調べ、ロールプレイでザビエルの布教に関わる場面を表現するというものである。
 歴史授業でのロールプレイは今まで数回行ったことがあった。しかし、どれも1時間の授業中に考えたことを表現させるというもので数時間にわたるものはなかった。本格的なものは今回が初挑戦である。
 むろん先行実践の研究は不可欠である。文献を読んでいくうちに、ロールプレイの実践には次のよさがあると思われた。

・「ロールプレイのための調べ活動」というように調べる目的がはっきりしている。目的を意識した調べ活動となる。
・調べた後、「どの点をロールプレイで表現するか」という話し合いが必要となる。この活動によって歴史に対する子どもたちなりの解釈が生まれる。
・ロールプレイを学級全員の前で行うことにより、調べた内容が効果的に他者に伝わる。

 このようなよさを引き出す学習構成にしようと考えた。むろんロールプレイ後には、教師が歴史的なものの見方・考え方を深める学習活動を行うようにする。

■ 単元「ザビエルは日本をどう変えたのか」の流れ

 最終的には次のような単元の流れになった。

□1時間目
ねらい:ザビエルについて興味を持ち、学習についての見通しを持つ。
1 キリスト教について知っていることを発表する。
2 教科書と資料集からザビエルについて調べる
3 戦国時代の人々はザビエルの教えを受け入れられたかどうか予想する。
4 イメージマップを書く。
5 これからの学習の見通しを持つ。(立場ごとにグループを作り、ロールプレイを行うことを知る)
6 感想発表

□2・3時間目
ねらい:調べた内容から史実に基づいたシナリオを作る
1 本時のねらいと学習方法の確認(調べたことをもとにシナリオを作ろう)
2 活動を行う
3 シナリオが完成したら役割分担をする。(時間があったら練習をする)

□4時間目
ねらい:ロールプレイの練習をして修正をする。
1 本時のねらいの確認をする。(ロールプレイの練習をしよう)
2 注意点を確認する。
3 練習をする

□5・6時間目
ねらい:ロールプレイを通してザビエルに関わる様々な立場の見方を学び、歴史的なものの見方を深める。また、単元を通しての学びを振り返る。
1 本時のねらいを確認する。(ロールプレイをして『ザビエルは日本をどう変えたか』考えよう)
2 自分たちのチームのPR点を発表する。
3 ロールプレイをチームごとに行う。
  「ザビエル」「大名の立場」「民衆の立場」「僧の立場」「ザビエルが持ち込んだもの」「ザビエルが去った後の布教」
4 ロールプレイから中心課題「ザビエルは日本をどう変えたか」を考える
5 学んだことを考える
6 イメージマップを書く。

 実際の授業の様子は次号で。なお、この授業は11月11日(木)の「わくわく授業」で放送されます。

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2004.07.24

見方・考え方が深まる発展的な学習を 2

■ いざ体験・・・「不思議な『力』がかくされている」

 実際の水墨画体験。場所は広い方がいいと考え2教室分がある視聴覚室で行った。もちろん、室町文化に浸るわけですから、子どもたちは正座である。
 用意するのは習字道具、一人2枚のプラスチックの皿、試し紙、ペットボトルに水を入れる。B4版の画用紙に描かせた。子どもたちに事前に次の点を指示した。

・雪舟の「四季山水図」をお手本にすること
・「四季山水図」にあるのは山、岩、木、家、人といったものである。それらの風景画を描くこと
・濃淡については水の加減でできる

 正座して落ち着いてさっそくスタート。前の時間に水墨画と禅宗との関わりを学んでいただけに、子どもたちも集中して描いていた。
 音という音はほとんど聞こえない。子どもたちはどんどんと画用紙を墨の絵で埋めていく。
 子どもたちにとって難しいのはやはり濃淡である。試し紙を渡して、一回墨を試す子が多かったが、なかなか淡い色が出ず苦労していた。
 それでも30分ぐらいしたら、次々と作品ができてくる。初めての体験だが、上手である。中には濃淡を本格的に使い分けて、「上手」「雪舟みたい」と言われている作品もあったほどである。
 終了後に感想を書かせる。ほとんどの子が「難しかった」「雪舟はすごい」「またやってみたい」と感想を述べていた。この体験は子どもたちにとって強烈だったらしい。「静かな空間で正座し、心を落ち着かせて取り組む」ことが魅力ある時間になった。ある子は日記に次のように書いている。

 今日は本当にいい体験をしたと思いました。
 「いつかまたやってみたい!」・・・そう思っていてもなかなかやることができなくて、ずーっとやらないことが多く、今回の水墨画もそんな感じになるかもしれません。だから、一生の思い出にし、またかいた絵も大切にしまっておきたいです。
 (今日は)雪舟になりきったと思います。心を落ち着かせることができる水墨画には、何かそのようなことを起こす不思議な「力」がかくされているのなあと思いました。
 先生、いい体験をありがとうございました!

■ 体験後深まった「水墨画の見方」

 体験だけでも子どもたちは価値のある学習をできた。さらに、その体験活動を効果的に生かそうと考えた。「水墨画の体験から水墨画の見方を深め、そのすばらしさを感じ取り、伝えたいことをまとめる」ことがねらいである。次のような流れで授業を行った。

1 本時の課題の確認(水墨画で学んだことと伝えたいことをまとめよう)
2 水墨画体験の感想の発表
3 もう一度雪舟の「四季山水図」を見て、体験により見方が変わったことを自覚する。
4 雪舟の生き方について理解を深める。
5 「学んだことと伝えたいこと」をまとめる。

 この中で感心したのが3の水墨画の見方である。「四季山水図」を改めて見て、1回目は気づかなかった次のような見方ができていた。

 ・雪舟は実に細かいところまでかいている ・立体的だ
 ・かげもきれいにぬっている ・石や岩もうすくぬっている 
 ・濃さで遠近もわかる  ・家の中のところまで細かくかいている

 これらは実際に体験をしたから見えてきた部分である。模写をするためには、作品をくわしく見なければいけない。雪舟の作品のすばらしさをその過程で子どもたちは感じることができたのである。
 これに加えて、子どもたちに「四季山水図」の実際の長さを教えた。子どもたちは掛け軸程度の大きさと思っていたようだったが、実際には16m分あるのだ。廊下で16m分、巻尺をのばす。何と2教室分にもなる。
 その作品16m分をパソコンで見せた。(NHK「にんげん日本史」のクリップ教材)次々と変化していく四季の様子。教科書で示された水墨画はそのほんの一部である。その迫力に子どもたちからは、「すごい!」「芸術だ!」と
いう声が自然に出てきた。
 最終的には次のように「学んだことと伝えたいこと」をまとめた。

(例1)水墨画はとても集中しなければ書けない。実際にやろうとしてもむずかしい。水墨画で有名なのは雪舟である。雪舟は中国にわたり、いろいろなことを学んだ。雪舟のかいた四季山水図は16mもあり、よほど集中しないとか
けない。
 水墨画という大事な文化をぼくたちが守り続けることが大切だ。

(例2)水墨画は一度かくと見方が変わるし、心を静めることもできるのである。水墨画が今も伝わっているのは、水墨画は他の絵とちがうようなことを味わえるからだ。雪舟は中国まで行って水墨画のよさを知ったのである。水墨
画のよさを知り、これからも受け継がれてほしいと感じた。

■ 学期に1単元は、発展的な学習を

 私は、「歴史を学ぶ目的の一つは、自分の国の歴史について語れるようになること、日本のよさについて語れるようになること」と考えている。
 今回の「水墨画に挑戦しよう!」の学習で子どもたちは、水墨画の知識やよさを語れるようになったと考える。これは体験学習の「ビフォー・アフター」が充実した結果だと思う。
 ただ、このような学習は時間的には厳しい。ただ、子どもたちの意欲的な学習ぶりから、学期に1単元は発展的な学習を行いたいものだと感じた。

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2004.07.23

見方・考え方が深まる発展的な学習を 1

■ 社会科での発展的な学習

 6年生の社会科の発展的な学習は魅力的である。
 本校で使っている教育出版の教科書には、「家康・秀吉・信長の共同記者会見を開こう」「人物事典を作ろう」「世界の文化に挑戦しよう」といったように、日常での学習と違う活動が紹介されている。
 これらは、「よりくわしく調べる活動」「体験を目的とする活動」「工夫した表現活動」の3つに大別される。この中で、子どもたちが一番興味を示すと思われるのが「体験を目的とする活動」であろう。未知の体験への魅力はやはり大きい。

■ ポイントは「活動のビフォー・アフター」

 ただ魅力的だからと言って「発展的な学習は、体験させればそれでいい」というものでもない。
 かつて「大仏作りに挑戦」という学習をしたことがあった。奈良の大仏の大きさと同じ大きさで目、鼻、口、手のひらを画用紙や模造紙で作るのである。
できた顔を壁に掲示しみんなで万歳。手のひらにも何人乗れるが試してみた。子どもたちは大喜びで取り組んだ。
 ところが、次の時間に奈良の大仏について深く追究する段階では子どもたちは大仏作りほどの意欲は示さず、苦労した記憶がある。単元全体の中での体験活動の位置づけが明確でなかったから、このような結果になったのである。
 それ以来、歴史学習で体験活動を学習に組み入れる時には、活動の前後(ビフォー・アフター)がポイントと心得ている。

 今回行う体験活動は「水墨画に挑戦しよう!」というものである。
 教科書では「室町文化に挑戦しよう」となっているが、生け花・茶の湯は経費や準備の手間がかかる。その点、水墨画は習字道具と画用紙があれば本格的とはいかないものの、体験自体なら簡単にできる。
 ポイントとなる「ビフォー」は水墨画体験への興味づけを、「アフター」は、体験後に変わったものの見方・考え方を深めるということをねらいとした。
 時間は水墨画体験が60分。事前も事後も1単位時間(45分)ずつの指導である。

■ 授業「水墨画に挑戦しよう!」

 「水墨画に挑戦しよう!」の最初の時間は、水墨画についての知識を深めることと「かきたい!」という意欲を持つのがねらいである。
 最初に「水墨画について知っていること、書かれていることを発表しなさい」と指示した。子どもたちは予備知識がほとんどない。そこで、教科書と資料集から探させた。

・絵の具を使わず、墨をといて描いた絵である。
・雪舟が画家として活躍した  
・中国から伝わった
・応仁の乱のころにはやった
・「四季山水図」といった作品がある等

 これらに加えて、雪舟の子どもの頃のエピソード(お寺で、柱にしばられて涙でねずみを描いた)を知り、子どもたちは雪舟という人物にも興味を持った。
 ある程度基礎知識が身についた後、子どもたちに教科書にある四季山水図(雪舟作)を見せる。拡大カラーコピーをしたものである。
 第一印象を聞く。

・細かい  ・すごい  ・難しい  ・人の心が表れている
・立体的  ・その時代の様子がわかる・・・等

 さらに、「何がかかれていますか」「季節はいつですか」といった発問で、四季山水図について理解を深めた。
 最後に「なぜ室町時代に、このような水墨画がはやったと思いますか?」と聞く。さすがにこれは難しく、子どもたちの反応も芳しくない。水墨画が禅宗の影響を受け、「心を静めて集中する効果」もあることを伝えると、子どもたちはその視点に新鮮さを感じていた。
 まとめとして、「水墨画の特徴についてまとめなさい」と指示した。

(例)「水墨画は墨だけを使い、風景をかいた絵であり、中国から伝わった。心をしずめる特徴を持ち、集中して描くことができる。水墨画は大切な文化である。」

 まとめを発表させた後、「君たちも水墨画をしてみたいですか?」と聞くと、「うん!」「やってみたい!」「おもしろそう!」と好感触。水墨画の基礎的な内容の検討が子どもたちの興味を高めたのである。

(つづく)

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2004.07.22

わくわく授業最終日

 学級通信「6年1組物語」61号より
 
 昨日がわくわく授業の取材最終日でした。メインの日です。
 子どもたちの学習は次の二つです。

 ・歴史に基づいたロールプレイをする
 ・ロールプレイからわかったことをまとめ、歴史の見方を深める

 ロールプレイ(役割演技)の準備もOKです。
 実際のロールプレイでは前号のようにそれぞれ特色を出して発表することができました。
 歴史に基づきながらも、言い回しを工夫していたり、時には笑わせる内容を組み入れたりしてわかりやすい歴史を再現してくれました。子どもたちにとっては「歴史の追体験」とでも言うのでしょうか。

 他の班のロールプレイによって子どもたちは、「ザビエルが来た時のいろいろな人の立場」というのがわかりました。たとえば、「民衆は迷っていたが信者はどんどん増えていった」「僧は絶対反対し、ザビエルたちを憎んだ」「大名の中には貿易目的で信者になるものもいた」というようにです。
 これらは、単に調べるだけでは印象に残りませんが、ロールプレイによって演じられると実によく立場がわかります。

 その後子どもたちに「ザビエルは日本をどう変えたのでしょう」と聞くと、次のような答えが返ってきました。

・日本を幸せにした ・すみやすい国にした  ・便利にした
・いろいろな考えが残る世の中にした ・新しい文化をもたらした・・等

 子どもたちは、これらについて具体的に発表しました。
「いろいろな立場から考える」「新しい視点で考える」ということを子どもたちはこの学習を通じて学びました。そして、「戦いばかりだった」という戦国時代のイメージも変わりました。
 学習の最後に1時間目に書かせたイメージマップを再度書かせました。子どもたち1時間目とは比べものにならないほど、どんどん書いていきました。書いた分だけ子どもたちの学びが大きかったと言えます。

 4日間にわたったNHKの取材。授業をする側からすれば、あれこれ考えてあっという間でした。子どもたちも何度も壁にぶつかり、それを乗り越えました。授業終了後は満足した笑顔(上の写真のように)でした。
 放送は10月ということなのでまたお知らせします。

★ ロケ裏話 ⑤ 「同じネクタイ」
 わくわく授業の取材日はずっと同じネクタイでした。というのも初日にディレクターさんから、「編集で、後の日の授業が前にくる場合もあるので、同じネクタイにしてください」と言われたからです。つまり同じ服装で・・・ということです。(スラックスも同様です。ワイシャツは白だったので、複数あり事なきを得ましたが)
 「でも職場で毎日同じネクタイというのも・・・」ということで、翌日からは朝は別のネクタイ。授業直前に取材用のネクタイに変え、終了後また戻すという日々でした。子どもたちの前で変えますから、興味深げに私が結ぶのを見ていたのが印象的でした。

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2004.07.20

わくわく授業 3日目

 わくわく授業の3時間目です。
 昨日は、明日の発表に備えて「シナリオの修正」と「ロールプレイの練習」の時間です。各チームの様子をお伝えします。

■1班・民衆グループ
 シナリオで民衆がキリスト教を受け入れたかどうかの結論を悩んでいました。資料集から、キリスト教の信者のグラフを見つけて、ナレーションに挿入しました。演技は達者で迫力があります。

■2班・僧グループ
 キリスト教を受け入れない僧のロールプレイをします。キリスト教に対する反発をどう表現するかを吟味していました。なかなか反発する演技というのは難しいものです。分かりやすい立場という点がいいです。

■3班・ザビエルグループ
 ザビエルがキリスト教の日本布教の様子をロールプレイをします。ザビエルの法衣にこだわって準備をしました。(学校の暗幕を利用しています)
なかなかいい雰囲気です。

■4班・大名グループ
 キリスト教の許可を言い渡す大名の様子を演じます。大名の目的の一つ
として「南蛮貿易」があります。その点を強調するために何度もシナリオを書き直しました。苦労が報われる内容です。

■5班・持ち込んだものグループ
 ザビエルが持ち込んだと言われているものは「タバコ」「メガネ」「コショウ」といろいろあります。それらを実物を用いて演技する点がポイントです。印象深い演技となりそうです。

■6班・ザビエル後グループ
 ザビエルは日本を去った後、すぐに亡くなります。その後はどうなったのかということを演じます。いかに教えが広まったかということを具体的なエピソードで語ります。小道具も熱心に作りました。

 実際に練習をしてみての子どもたちの感想です。

・今日ロールプレイの練習をして、だんぶうまくなったので良かったです。私はナレーターで言うことが多いので、がんばりたいです。明日が本番なのでまちがいのないように大きな声を出してみんなにちゃんと伝わるようにがんばりたいです。
・私は最初「ロールプレイ」なんてかんたんだ!と思っていたけど、やってみると、感情をこめたり、演技したりするのが難しくて、内容の伝えたいことを3分以内にやるのが難しいなあと思いました。

 本番の様子は次号でお伝えします。

★ ロケ裏話 ④ 「サウナ風呂です」
 昨日は蒸し暑い日でした。梅雨特有の「じとっ~」とする暑さです。
 NHKスタッフの皆さんは、3日間の休みをとってから昨日岩手に来ました。私が「いやー、今日は暑くて・・・」と言ったら、「いや、岩手はいいです。東京はサウナ風呂ですよ。」とのこと。
 確かに昨日の都心では39度まで気温が上がったとか。ちょっと想像できません。その点ではスタッフにとっては「岩手は涼しい」のでしょうね。気候の違いを感じました。

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わくわく授業2時間目

(「学級通信 6年1組物語」 59号より
 なお佐藤正寿の日記にも取材授業の様子を書いています)

 わくわく授業の2時間目です。
 前日まで子どもたちは「キリストが受け入れられたかどうか、いろんな立場でロールプレイ(役割演技)をすればいい」と話し合いました。
 それを受けて実際にロールプレイのシナリオ作りの時間です。おおよそ次のような流れです。

1 本時のねらいと学習方法の確認
  調べたことをもとにシナリオを作ろう
 ・作り方
  ①調べる
  ②タイトル・役割分担を決める
  ③ロールプレイのシナリオを作る
2 シナリオを書く
 ・どのチームも苦戦をしていましたが完成しました。
3 実際のロールプレイの準備をする
 ・小道具が必要な班は作り始める

 シナリオを作るといっても歴史上のロールプレイです。大切なことは「歴史上の事実に基づいている」ということです。勝手に空想的な内容を演ずるのではないので、その点ではちゃんとした調べ学習が必要です。
 同時にセリフを考えることも必要です。この点では参考文献の中に歴史

マンガがあり、それらがずいぶん参考になったようでした。
 ただ、子どもたちからすれば難しかったようです。たとえば民衆の立場にたった班では「ザビエルのキリスト教に賛成の人もいたし、反対の人もいた」という結論になりました。それをシナリオにするわけです。これはけっこうたいへんです。
 それでも2時間かけで子どもたちは何とかシナリオを作りました。子どもたちの声です。

・最初は(シナリオ)が難しいんじゃないかと思っていたけど、まとめていくうちに分かることがたくさんでてきて、やってみておもしろかったです。
・農民の気持ちを反対と賛成の意見でまとめていくのが大変でした。シナリオ作りがこんなに大変とは思いませんでした。みんなで力を合わせ、戦国時代の農民の気持ちになってシナリオを作ったのでよかったです。
・なかなか意見がまとまらなくて、困った点もあったけど、ぶじシナリオを作ることができて良かったです。本番が楽しみです。

 20日がこのロールプレイのシナリオ修正日。そして練習。そして、明日21日が発表とその内容を深める学習です。どのような展開になっていくのか楽しみです。

★ ロケ裏話 ③ 「いい表情」
 初日の取材授業が終わってから、収録した授業を見せてもらいました。今回はカメラが2台入っていて、1台は教師がメイン、もう1台は子どもたちを中心に撮影をしています。後者の映像を見て新鮮でした。というのもの、実に子どもたちの表情がいいからです。(これは「ふだんが悪い」という意味ではもちろんありません。念のため。)
 やはりプロのカメラマンです。子どもたちの表情を見逃さないのです。ディレクターさんも「よく先生方から『ふだん見せない表情だ』と番組を見て言われます」と話していました。まさに私も同感です。

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2004.07.15

わくわく授業1時間目

学級通信 6年1組物語 第58号より

 いよいよ「わくわく授業」のスタートです。
 今回行うのは「ザビエル」です。キリスト教を日本に布教させた人物です。教科書にも資料集にも掲載されている人物の一人です。このザビエルについて6時間、子どもたちは追究をします。
 昨日は「ザビエルについて知る」「これからの学習に見通しを持つ」ということです。おおよその流れは次の通りです。

1 キリスト教について知っていることを発表する。
 ・イエスキリストが始めた ・聖書 ・日本ではザビエルが広めた・・・
  
2 ザビエルの絵をみて思ったこと、わかることを話し合う
 ・十字架を持っている ・持っているのは心? ・マントを着ている・・・

3 教科書と資料集からザビエルについて調べる
 ・日本に3年間いた ・キリスト教を広めた ・九州地方から広めた・・・

4 戦国時代の人々はザビエルの教えを受け入れられたかどうか予想する。
 ・受け入れた派・・・戦国時代は不安。だから頼りにした・・・
 ・受け入れられない派・・・日本には仏教がある・・・

5 これからの学習の見通しを持つ。
  上の討論の結論が出ないので、これからの学習で追究することにする。ただし、立場によって違うので、次の6つの立場と内容で追究することにする
 「ザビエルの立場」「大名の立場」「僧の立場」「民衆の立場」「ザビエルが持ち込んだもの」「ザビエルが去った後の布教」
→これらについて調べ、ロールプレイ(役割演技)で発表する

6 今日の学習のイメージマップ作りと感想発表

 一つ一つの学習で子どもたちからは、いい反応が出てきました。
 3の中で、「ザビエルが持ち込んだと言われているものに時計やメガネがあります」と私がクイズ形式で紹介すると子どもたちは盛んに感心をしていました。さらに4の受け入れられたかどうかという討論では、自分の率直な考えが出てきました。
 もちろんこれからの学習は、これらの流れの延長線上にありますから、子どもたちのやる気がいっぱいです。最後の感想では次のようなことを述べていました。これからの学習への期待が大きいです。

・キリスト教が受け入れられたかが、すごく気になりました。今度、どうなるか楽しみです。
・ザビエルが日本人と出会って、日本がすばらしいと思ったのがびっくりしました。もっとザビエルについて調べたいです。
・ザビエルは和の心がわかる人だと思いました。これからの授業でもっとザビエルを理解したいです。
・まだよくザビエルのことがわからないので、調べてロールプレイをやりたいです。

★ ロケ裏話 ② 「NG続き・・・」
 わくわく授業の中で教師へのインタビュー場面があります。ふだんだったら気軽に言うのですが、カメラが目の前にあるとやはり違います。喋っていて「これはマズイなあ・・」と思いながら続けていると、やはりつまずいてしまいます。いわゆる「NG」です。昨日のインタビューではさっそくNG。それも連続で。なかなかうまくいかないものです。

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2004.07.05

水墨画に挑戦しよう3

水墨画の学習の最後の時間です。

■学級通信「6年1組物語」51号より

 2日に研究授業が行われました。社会科で水墨画の学習です。授業のおおよその流れは次の通りです。

1 本時の課題の確認
  水墨画で学んだことと伝えたいことをまとめよう
2 水墨画体験の感想の発表
3 もう一度雪舟の「四季山水図」を見て、体験により見方が変わったことを自覚する。
4 雪舟の生き方について理解を深める。
5 「学んだことと伝えたいこと」をまとめる。

 水墨画体験で学んだことをもとに、さらに水墨画の見方を深め、室町文化のすばらしさを改めて感じ取らせるという授業です。
 この中で感心したのが子どもたちの水墨画の見方です。雪舟の作品について、次のような見方ができていました。

 ・雪舟は実に細かいところまでかいている ・立体的だ
 ・かげもきれいにぬっている ・石や岩もうすくぬっている 
 ・濃さで遠近もわかる  ・家の中のところまで細かくかいている

 いずれも一回目では見えていなかった部分です。
 その後、子どもたちに「四季山水図」の実際の長さを教えました。子どもたちは数十センチメートルと思っていたようでしたが、実際には何と16メートル!2教室分の長さです。
 全部の山水図を一気にパソコンで見せました。その迫力に子どもたちからは、「すごい!」「芸術だ!」という声が自然に出てきました。
 最終的には次のように「学んだことと伝えたいこと」をまとめました。

 水墨画はとても集中しなければ書けない。実際にやろうとしてもむずかしい。水墨画で有名なのは雪舟である。雪舟は中国にわたり、いろいろなことを学んだ。雪舟のかいた四季山水図は16mもあり、よほど集中しないとかけない。 水墨画という大事な文化をぼくたちが守り続けることが大切だ。

 水墨画は一度かくと見方が変わるし、心を静めることもできるのである。水墨画が今も伝わっているのは、水墨画は他の絵とちがうようなことを味わえるからだ。雪舟は中国まで行って水墨画のよさを知ったのである。水墨画のよさを知り、これからも受け継がれてほしいと感じた。

 この水墨画の学習は子どもたちにとって、実に価値がある学習になったようです。

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2004.07.04

水墨画に挑戦しよう2

1に続いて2である。

■学級通信「6年1組物語」49号より

 昨日の水墨画についての話し合いの後、今日はいよいよ実際の水墨画体験です。場所は広い方がいいと考え視聴覚室で行いました。もちろん、室町文化に浸るわけですから、子どもたちは正座です。
 実際に使うのは習字道具です。画用紙に描かせました。
 子どもたちに事前に次の点を指示しました。

・雪舟の「四季山水図」をお手本にすること
・「四季山水図」にあるのは山、岩、木、家、人といったものである。それらの風景画を描くこと
・濃淡については水の加減でできる。

 正座して落ち着いてさっそくスタートです。前の時間に水墨画と禅宗との関わりを学んでいただけに、子どもたちも集中して描いていました。
 音という音はほとんど聞こえません。子どもたちはどんどんと画用紙を墨の絵で埋めていきます。
 子どもたちにとって難しいのはやはり濃淡のようです。試し紙を渡して、一回墨を試す子が多かったのですが、なかなか淡い色が出ず苦労していました。
 それでも30分ぐらいしたら、次々と作品ができてきました。
 初めての体験のわりには皆、上手です。中には濃淡を本格的に使い分けて、「上手」「雪舟みたい」と言われている作品もありました。
 さて、初めての水墨画体験。子どもたちはどのような感想を持ったでしょうか。A君の感想を紹介します。

 今日は水墨画をやって本当に心が静まりました。
 水墨画は短時間でできるし、おもしろいのでまたやりたいと思いました。雪舟はよくこんな難しいものを描いたと思いました。山など難しいものばかりでうまくうまくかけませんでした。
 この水墨画はおもしろかったのでまたやりたいです。

 ほとんどの子が同様に「難しかった」「雪舟はすごい」「またやってみたい」と感想を述べていました。いい体験になりました。

 水墨画の学習はこれで終わりではありません。金曜日、再度「四季山水図」で学習を深めます。一度水墨画体験をしているので見方がどのように変わっているか楽しみです。

☆付記
 この日の日記に10人近くの子どもたちが水墨画体験のことを書いてきた。ふだん日記を書く子は2.3名である。それぐらい印象に残った体験であったらしい。その中の一つ。

 今日は本当にいい体験をしたと思いました。
 「いつかまたやってみたい!」・・・そう思っていてもなかなかやることができなくて、ずーっとやらないことが多く、今回の水墨画もそんな感じになるかもしれません。だから、一生の思い出にし、またかいた絵も大切にしまっておきたいです。
 雪舟になりきったと思います。心を落ち着かせることができる水墨画には、何かそのようなことを起こす不思議な「力」がかくされているのかなあと思いました。
 先生、いい体験をありがとうございました!

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2004.07.03

水墨画に挑戦しよう1

社会の学習で「水墨画に挑戦しよう」という学習を行った。発展的な内容である。
学級通信より記録を紹介する。

■学級通信「6年1組物語」48号より

 これは教科書に掲載されている水墨画(雪舟・四季山水図)です。今日からの社会科は特別に水墨画の世界を3時間にわたって学ぶことにしています。
 最初は水墨画そのものについての理解です。

 水墨画について知っていること、書かれていることを発表しなさい。

・絵の具を使わず、墨をといて描いた絵である。
・雪舟が画家として活躍した  ・雪舟は中国で水墨画を学んだ
・風景を描いている  ・中国から伝わった
・応仁の乱のころにはやった  ・墨の濃さで描いている
・「山水長巻」といった作品がある等

 これだけでも水墨画についてだいぶ詳しく理解できます。さらに資料集にある雪舟の子どものころのエピソード(お寺で、柱にしばられて涙でねずみを描いた)を知って、雪舟という人物にも興味を持ったようでした。

 続いて「四季山水図」をじっくりと見させました。第一印象が大事です。

 見た印象をずばり一言で言いなさい。

・細かい  ・すごい  ・難しい  ・人の心が表れている
・立体的  ・その時代の様子がわかる・・・等

 子どもたちは作品のすばらしさを感じ取ることができました。
 さらにいくつか発問をして、山水図について理解を深めました。
ここで「なぜ水墨画がはやったのか?」と聞いたら、さすがにこれは難しかったようです。水墨画は禅宗の影響を受け、「心を静めて集中する効果」もあることを伝えました。子どもたちはこの視点に新鮮さを感じていました。(同じ室町文化の「茶の湯」にも通じます。)

 まとめとして、「水墨画の特徴についてまとめなさい」と指示しました。

 水墨画は墨だけを使い、風景をかいた絵であり、中国から伝わった。心をしずめる特徴を持ち、集中して描くことができる。水墨画は大切な文化である。

 まとめで子どもたちの書いたもので一番多かったものは、「水墨画を一度はしてみるべきだ」というものです。子どもたちも実際に体験してみたいのです。
 ということで、次の時間は実際に水墨画体験をすることにしています。今までの水彩画とは違った感じの絵になると思います。どのような絵になるか楽しみです。


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2004.06.19

NHK学校放送番組のホームページがおもしろい 

小学MMの連載を転載する。

連載 私の教材開発物語 第38回

   NHK学校放送番組のホームページがおもしろい 

             佐藤 正寿(岩手県・水沢市立水沢小学校)

■ NHK教育の学校放送番組

 皆さんにまずお聞きしたい。NHK教育の学校放送番組についてである。
・学校放送番組を皆さんはいくら知っていますか。
・学校放送番組をどれぐらい授業で視聴させていますか。
・学校放送番組にどのようなイメージを持っていますか。
 私の場合、周囲の教師よりは活用頻度は多い方であった。しかし、その活用
方法は「学習のまとめとして見せるもの」「実際に見学に行けないものを見せる
もの」といったように学習の補完的な形が中心であった。自習時間に、学習し
ている単元と関係ない内容の番組を見せる場合もあった。(これはこれで助かっ
たが)
 この意識は、自分がNHK学校放送番組の番組協力員になってから変わった。
2001年は「体験!メディアのABC」の、2003年は「おこめ」の番組
協力員になった。今年は6年社会「にんげん日本史」理科「3つのとびら」の
プロジェクトチームに入っている。

■ 番組「にんげん日本史」とホームページの豊富なコンテンツ

 まずは番組そのものから紹介をしよう。ここでは頻繁に利用している「にん
げん日本史」を例とする。
 この番組は毎回一人の人物を取り上げ、その人物に関するエピソードを中心
に話が流れている。6月の放送では第5回が雪舟、第6回では織田信長が主人
公である。いっこく堂が出演し、腹話術でクイズ等を組み入れながら話を進め
ている。金曜日の11時15分~30分の放送である。
 しかし、その時刻まで待つ必要はない。今はデジタル化の時代。「にんげん日
本史」のホームページで、番組そのものを見ることができるのである。

★「にんげん日本史」HP http://www.nhk.or.jp/nihonshi/ja/frame.html
 
 今までは一斉にしか見ることができなかったが、このデジタル教材により、
子どもたちが興味のある部分・調査に必要な部分を個別的に視聴できるように
なったのである。
 しかもホームページのコンテンツは豊富である。私がよく活用しているもの
を紹介する。

★クリップ教材・・・1~3分の動画がたくさん入った映像百科事典である。「雪
舟」の回では、「水墨画(雪舟の『四季山水図』)」「書院造り」「狂言」とい
ったようなクリップ教材が用意されている。もちろん説明も一緒である。動画の
視覚的効果は言うまでもない。しかも子ども向けで短い点も授業活用にはぴった
りである。

★先生のページ・・・番組を活用した指導案とワークシートが特色である。番
組を授業の中でどのように位置づけるか、どのような授業展開が番組利用にふ
さわしいのかがわかる。
 また、この「先生のページ」とは別に番組の掲示板がある。ここではプロジ
ェクトチームのメンバーが中心になって、番組活用の新たな方法について意見
交流をしている。新しい指導案検討も行われている。掲示板は誰でも見ること
ができるが、書き込みには登録が必要である。

★役立ちリンク集・・・テーマの人物に関係のあるリンク集。検索の手間が省
けるし、良質なサイトを選んでいる。

 このように番組の他にホームページには実に多様なコンテンツが準備されて
いる。まさに「一大教材」のようである。これらを活用しない手はない。

■ 活用あれこれ

 ではこれらの「一大教材」をどのように活用していったらいいのか。私自身
活用し始めてまだ1ヶ月半程度であるが、次のように活用することができた。

★人物を取り上げる学習では番組をメインに
 今まで学習した中では聖武天皇と藤原道長がこの例にあたる。番組自体が導
入・展開・まとめというようになっているので、2つか3つに分割をして子ど
もたちに考えさせたり、調べたりする場面を作っている。ただ、15分間の番
組なのであらかじめ60分の授業展開として設定する。

★クリップ教材を導入で提示し興味を高める
 動画クリップの迫力ある映像は子どもたちの興味を大いに高める。そこで、
導入段階で子どもたちに見せて、感想や疑問を話し合わせる。たとえば、「巨大
な王の墓・古墳」の動画を見せ、「なぜこのような古墳を作ったのか」という課
題を導き出す。「大仏はこんなに大きい」を見せ、「どのようして作ったのか」
という課題に意識づけさせるといった具合である。

★発展学習としてリンク集を活用する
 子どもたちに発展学習をさせる場合がある。このような時に便利なのがリン
ク集である。「貴族の生活大発見」をテーマにした子たちは、リンク集の中にあ
った「いつきのみや歴史体験館」http://www2.mint.or.jp/~itukino/taiken.html
のホームページから深く調べ学習をしていた。時間が限られている場合、この
リンク集は発展学習の大きな味方となる。

★まとめにクリップ教材を使う
 「吉野ヶ里の人々はどのような生活をしていたのか」という課題を調べた後
に、その調べた内容のまとめとしてクリップ教材「吉野ヶ里のくらし」を使っ
た。調べたことが正しいか確かめられただけではなく、映像として印象に残っ
た。

 このような番組・クリップ教材・リンク集の活用で気をつけていることは、
「明確な目的をもった活用」ということである。良質なコンテンツでも活用目
的があいまいだと、そのよさは十分に発揮されない。目的意識が希薄なまま番
組を見せたかつての私がそうだった。その分、意図が明確であれば番組やホー
ムページ内のコンテンツは授業での大きな助っ人になる。

■ 他の番組にも注目

 このようなコンテンツは「にんげん日本史」だけではない。理科の「3つの
とびら」でも豊富な内容が収められている。特に理科の場合には、発展的な教
材は参考になる。また、他学年のホームページも充実している。
 また、今年度から「学校放送番組を教師がどのように活用したらいいか」と
いうことを教える番組も始まった。「学校デジタル羅針盤」である。

★「学校デジタル羅針盤」HP http://www.nhk.or.jp/rashinban/

 実際に番組を活用している全国の教師の実践例が紹介されており、授業作り
に大いに役立つ。
 また学校放送番組ではないものの、「わくわく授業」では全国のユニークな授
業例が紹介をされている。

★「わくわく授業」HP http://www.nhk.or.jp/wakuwaku/

 今、NHK学校放送番組のホームページがおもしろい。

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2004.05.22

資料から古代史の戦争を考える

■ 古代を想像する知的な楽しみ

 日本における戦争は弥生時代に始まったとされている。現在担任している6年生で使っている教科書(教育出版)にも、弥生時代の学習で、戦争を推測させる遺跡や出土品の資料や戦った旨の記述がある。
 ただ、それらはあくまでも「推測」である。今後新たな発見によって真実が変わる可能性もある。(事実、縄文時代末に戦争があったという説もある。)
 そして同時にこのことは、歴史学習を進めていく場合の重要なヒントとなる。
 それは、「子どもたちが資料から真実を推測していく活動を学習に組み入れるとよい」ということである。
 「今日はみんなが考古学者になって、大昔の生活について推理してみよう」と投げかければ、子どもたちものってくる。いわば「古代を想像する知的な楽しみ」を授業の中で味わわせるのである。
むろん、学習活動として単に想像にとどまらせず、その説の正誤について調べることは大切である。同時に戦争の理由を考えさせて、「歴史的なものの見方」を育てたいと考えた。

■ 授業「遺跡から戦争の跡をさがせ」

 吉野ヶ里遺跡には、戦争の始まりを考える素材がいくつもある。
・頭のない人骨
・打ち込まれたやじり
・遺跡の周りにめぐらされた壕
・見張りのための物見櫓・・・等
 これらの写真や想像図は教科書や資料集にも掲載されている。
 これらの資料をベースに次の3段階で授業を構成する。
1 出土品の写真や想像図から、当時の戦争の様子を考える。
2 その説が正しいかどうか文書資料で調べる。
3 戦争の理由を考え、自分なりの考えを持つ。

■ 古代の戦争を想像する

最初に子どもたちに次のように指示する。

「弥生時代から戦争が始まったと言われています。その証拠を写真や図から見つけなさい。戦いの様子でわかる場合には、自分の想像も加えなさい」

 子どもたちからは次のようなものが出てきた。
・銅剣を使って攻撃をした。その頃は、おそらく強力な武器だった。
・人骨に矢がささったあとがある。弓矢を使っていたと思われる。
・首から上のない人骨が発見された。戦いではリーダーの頭をとっていったのではないか。
・物見やぐらがある。ここに登り、敵が来るのを見張っていた。
・壕を作っていた。敵が襲ってきても相手に攻め込まれないようにしていた。
・柵を村の周りに張っていた。敵に備えていた。

 一通り子どもたちの考えが出たところで、それらが正しいかどうか確かめる。子どもたちは、さっそく教科書や資料集・百科事典等の文書資料にあたり、自分たちの説が正しいかどうか調べ発表した。その過程を通じて子どもたちは、その頃の戦争についてイメージ化することができた。

■ 戦争の理由を考え、自分なりの考えを持つ

 次に「縄文時代になかった戦いが、弥生時代になってなぜ行われるようになったのでしょう」と問い、戦争の理由を考えさせる。
 この発問により、子どもたちは縄文時代と弥生時代を今までの知識をもとに比較して考える。

・くにを広くするために、川や土地をもっと必要としたから。
・川を自分たちのものにすると米作りがしやすくなるから。
・自分たちの生活をもっと豊かにしたいから。
・憎しみがあった。
・身分の争いもあったのではないか・・・等。

 縄文時代との対比で考えると、子どもたちが考えたように「お米作り」がその一番の理由である。より豊かな安定した生活のためには、耕地を広げたり水を確保したりする必要性がある。
 この発表過程である子が、「大昔の戦争も同じだ・・・」とつぶやいた。詳しく聞くと、「本で読んだ20世紀の戦争の理由と似ているから」ということである。これは子どもたちの視野を広げる大切な視点となった。
 また、教師からも次のエピソードを伝える。
吉野ヶ里の集落は、弥生時代の終わりには内部に環濠をもつ集落中心部が二か所存在し、いずれにも城柵や設けられ、厳重な防御がされるようになった。いわば「要塞」のようなものである。
 この話から本格的な戦略的な戦いがあったことを子どもたちは感じ取った。
 最後に子どもたちに今日の学習で思ったことを書かせた。

・昔の人々も今の人々も豊かになろうとして争っています。そんなことをするなら、協力して国を高めあっていった方がいいと思います。
・弥生時代から戦争をしていることがわかってびっくりしました。人間は同じ理由で戦争を繰り返しているんだなあと思いました。物見やぐらなども作っていて、弥生時代の人はすごいなあと思います。でもやはり協力することが大切
だと思いました。
・今も昔も戦争の理由は変わらないなんて、今もすごい争いが行われているのではないかなあと思いました。平和な暮らしになっていけばいいなあと思いました。

 資料から歴史の事実を推測し、歴史に対する自分なりの考えを持つ・・・このことが歴史学習に対する興味を高めると感じた授業であった。

MM『日刊・小学教師用ニュースマガジン』連載 私の教材開発物語 第37回より

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2004.05.02

 えりも岬に春を呼べ(5年・社会)

■ 「プロジェクトX・えりも岬に春を呼べ」

 NHK「プロジェクトX」を授業に活用したという教師は珍しくないと思う。題材そのものが魅力的なものが多いし、映像も教材としての価値がある。「えりも岬に春を呼べ」もその一つである。
 内容は北海道えりも岬の砂漠と化した大地に、ゼロから木を植え、森を作る物語である。半世紀にわたって繰り広げられた、世界でも例のない壮大な砂漠緑化プロジェクト。さまざまな困難とぶつかりながらも、漁師たちとその家族
は、少しずつ砂漠を森に変えていく。そして、森が広がるにつれ、海は豊かさを取り戻していく。
 この番組を最初に見た時に、5年生社会の森林の学習で、「人の力で緑を取り戻した例」としてぜひ取り上げたいと思った。それぐらいこの番組に共感したのである。

■ 罠に陥らないために

 このような番組を取り上げる場合、自分自身の中で注意をしていることがある。それは「教師の思い入れが強すぎて、子どもたちの学習と離れた一方的な教え込みになってしまう」ということである。自分が得た感動を子どもたちに
も伝えたい。しかし子どもたちに投げかけるものの、教師ほどは共感している様子がない・・・このパターンがそうである。私は何度もこの罠に陥った。
 なぜか。それは授業の組み立てそのものに問題があった。番組で共感する部分が多くたくさん伝えようとする。いきおい、番組を長い時間見せることになる。ところが、小学生を対象としていない番組であるから子どもたちにはわか
りにくい部分も多い。当然子どもたちは理解できない。
 これはゲストティーチャーを教室に招いた場合も同様である。教師が授業をどう組み立てるかという部分を無視して、「番組の垂れ流し」「ゲストティーチャーへの丸投げ」をしたら、子どもたちの学習は効果のないものになってし
まうのである。

■ 授業の組み立て

 そこで今回の授業では次の点を基本として授業の組み立てを考えた。

・番組は主役ではなく、あくまでも脇役としての使い方をする。ただし「名脇役」である。子どもたちにインパクトを与える部分で2ヶ所、理解補助の部分で1ヶ所。合計視聴時間は4分にとどめる。
・北海道森林管理局ホームページに効果的な写真・グラフがあるので、それをもとに「えりも砂漠の様子」「取り組んだ結果」について考えさせる。
・「えりも岬の例から言えることは何か」という発問をし、授業のねらいに迫っていく。

 授業全体は次のような流れとなった。

★「えりも岬に緑を呼べ」(内容に合うように番組名とは違ったタイトルにした)
1 2枚の写真を見比べてえりも岬の緑化の変化について知る
  ・「えりも砂漠」と「緑化された土地」を比較させる。
2 第一課題をつかむ
  「えりも岬ではどのようにして緑を増やしたのか」
3 えりも岬の緑化運動への取り組みを知る
  ・強い風による苦労(番組ビデオ)・海草を取り入れる工夫(番組ビデオ)
  ・実際に取り組んだ人々の声
4 取り組んだ結果、どのようになったか考える
  ・緑化面積と水産物の水揚高のグラフから現在の様子を読み取らせる
  ・番組ビデオで変化を紹介する
5 第二課題をつかむ
  「えりも岬の例から言えることは何か」
  ・社会的なものの見方を深めさせたい。
6 課題についてまとめる
  例「えりも岬では人の手で環境をよみがえらせた。環境を守り育てていくのは自分たち人間である。」
7 自己評価を行い、感想を発表する

■ 番組のよさを感じ、資料から考えた

 実際の授業の様子で特徴的な部分を記す。

・最初にホームページのえりも砂漠の様子をプレゼン・ソフトで子どもたちに提示をした。「どこの様子でしょう?」と聞くと、「アフリカ」「外国の砂漠」という声が出てくる。「これは日本の様子です」と言うと、皆驚いていた。
 もう一枚緑化された写真を提示し、「これはこの砂漠が変化した様子です」と言うと、さらに驚いていた。インパクトのある写真で、子どもたちは、「どうやって緑を増やしたのだろう」という本時の課題をすぐに意識化することがで
きた。

・これは教科書にも資料集にもない内容である。課題をつかんでも、それを調べることは無理である。教師が資料を使ってどんどん教えるべきことである。そのような教師主導のスタイルの授業があってもよい。ここで子どもたちがイ
メージにしくい部分で番組を活用した。「想像を絶する強風→立っていても人が吹き飛ばされそうにしているシーン」、「ゴタと呼ぶ雑海藻を敷き詰める方法で緑を増やす→実際にゴタを敷き詰めているシーン」というように。この部分で映像は説明よりも何倍も明快だった。

・取り組んだ結果については、グラフを読み取らせることによって子どもたちは理解をした。同じグラフでも多様な見方ができるグラフである。友達のグラフの見方から、様々なことを子どもたちは学んだ。集団で学ぶよさである。

・グラフで「緑が増えた」という読み取りはしたものの、その事実はぜひ映像で見せたいと考えていた。番組では大地一面に広がる緑と豊かな昆布が海に広がる様子が美しいBGMと共に映し出されていた。子どもたちの目は釘付けである。映像の効果である。

・「えりも岬の例から言えることは何か」という投げかけは、本時の学習を焦点化させる。「人が失った緑は、人が取り戻すことができる」「緑を増やすには時間がかかる。もっと緑を人間は大切にしなければいけない」といったことが出てきた。このまとめにより、子どもたちは社会的なものの見方を深めることとなる。

■ 改めて感じたこと

 この授業から改めて価値あるテレビ番組を授業で活用することのよさを感じた。やはりプロの作った映像である。迫力がある。これからもどんどん積極的に使っていきたいと感じた。
 ただ、その活用方法は吟味しなければいけないし、授業の組み立てもポイントとなる。その点では、「どう活用するか」という教師自身の考えを明確にしなければいけないと改めて感じた。

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